JP2002190247A - Cnt膜及びその製造方法並びにcnt膜を用いた電界放出型冷陰極及び画像表示装置 - Google Patents

Cnt膜及びその製造方法並びにcnt膜を用いた電界放出型冷陰極及び画像表示装置

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JP2002190247A JP2000386669A JP2000386669A JP2002190247A JP 2002190247 A JP2002190247 A JP 2002190247A JP 2000386669 A JP2000386669 A JP 2000386669A JP 2000386669 A JP2000386669 A JP 2000386669A JP 2002190247 A JP2002190247 A JP 2002190247A
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cnt film
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美徳 富張
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機バインダのみに依存せずに機械的膜強度
が確保でき、平坦形状が簡便に得られ膜内に気泡を抱え
込むことがなく、また、ナノチューブ以外の不純物を必
要以上に除去するような複雑なCNT精製工程を無くす
ことを可能とし、バンドル径増大による電子放出特性の
劣化を軽減できるCNT膜を提供する。 【解決手段】 本発明のカーボンナノチューブ(CN
T)及び粒子状不純物を含むCNT膜12は、断面及び
表面構造におけるCNT12aと粒子状不純物との面積
比が0.5:99.5〜40:60の範囲に設定されて
いる。このようなCNT膜12において、粒子状不純物
を、CNT12aを製造する際にCNT12aと共に得
られる不純物で構成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばフィールド
・エミッション・ディスプレィ(以下、FEDとも呼ぶ)
等における電界放出型冷陰極に使用されるカーボンナノ
チューブ(以下、CNTとも呼ぶ)膜の製造方法に関
し、特に、良好なエミッション特性を発揮できる電界放
出型冷陰極を実現するCNT膜及びその製造・加工方
法、並びに、このようなCNT膜を用いた電界放出型冷
陰極及び電界放出型画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、新しい炭素材料であるカーボンナ
ノチューブが、特に電界放出型冷陰極等のエミッタ材料
としての応用において期待されている。CNTは、炭素
原子が規則的に配列されたグラフェンシートをチューブ
状に丸めた中空の円筒形状を有し、外径がナノメートル
(nm)オーダーで、長さが0.5〜数10μmという
極めてアスペクト比が高い微小な物質である。このよう
な形状のCNTでは、先端部分に電界集中が起こり易
く、高い放出電流密度が期待できる。また、CNTは、
化学的、物理的安定性が高い特性を有するので、動作真
空中の残留ガスの吸着やイオン衝撃等に対して安定であ
ることが予想される。
【0003】CNTには、単層ナノチューブ及び多層ナ
ノチューブの2種類が存在する。単層ナノチューブは、
1枚のグラフェン(単原子層の炭素六角網面)が円筒状
に閉じた単原子層厚さのチューブであり、その直径はお
よそ2nmである。多層ナノチューブは、円筒状グラフ
ェンが多層に積み重なったもので、その外径が5〜50
nm、中心空洞の直径が3〜10nmである。エミッタ
としての使用頻度が高い単層ナノチューブは、炭素棒を
電極とするアーク放電によって生成できる。
【0004】上記単層ナノチューブの生成法は、Nature
Vol.354(1991)p.56〜58等の文献に記載されている。こ
の記載中に、真空チャンバ内を66500Pa(500
Torr)のヘリウム又はアルゴンガスの雰囲気で満たし、
触媒金属として鉄、コバルトやニッケルを添加した炭素
棒を用い、この炭素棒の端部を相互に対向させて電極に
接続した状態でアーク放電を行う旨の記述がある。CN
Tは、触媒金属の種類によって生成場所が異なる。例え
ば、触媒金属に鉄とコバルトを添加した際には、CNT
はチャンバ内壁に付着する煤中に生成される。
【0005】特開平10-120409号公報には、上記単層ナ
ノチューブの精製法が記載されている。この精製法で
は、アーク放電法等で生成した単層ナノチューブを含有
するカーボン原料に、予め極性溶媒分子による衝撃処理
を施しておき、更に焼成処理、酸処理を施した後、超音
波処理を施すことにより、99重量%以上の単層ナノチュ
ーブの高純度化を実現している。
【0006】特開平6-252056号公報には、CNTをレジ
スト中に分散して基板上に塗布して、フィルム状のCN
T膜を得る方法が記載されている。この方法では、膜厚
の均一性が必要な場合にはスピンコーティングを用い
る。その後、レジストに必要な焼成を施すことにより、
基板上にCNT膜を固定する。
【0007】また、CNTを電子放出として活用する試
みがある。例えば、Jpn. J. Appl.Phys. Vol. 36 (199
7), L1340-L1342ページには、上記精製法によって高純
度化した単層ナノチューブを電子放出源として用いた際
の特性が報告されている。特願平11-145900号には、精
製後の単層ナノチューブをレジスト等のバインダ中に混
合し、スピンコート、スクリーン印刷及び噴霧等の手法
でナノチューブ層を形成し、それらを電子源として用い
た電界放出型冷陰極及び平面ディスプレイの製造方法が
記載されている。
【0008】図16に示すように、3極管構造のFED
では、電界放出型冷陰極に、CNT膜を用いたエミッタ
12bを使用し、エミッタ12bとアノード電極24と
の間にゲート電極25が配設される。ガラス基板10上
には、導電性基板又は導電層11が形成され、導電層1
1上にCNT膜12が堆積され、CNT膜12上に絶縁
膜23を介してゲート電極25が形成されている。ゲー
ト電極25及び絶縁膜23を貫通するゲート開口17に
より、CNT膜12の一部が露出して、エミッタ12b
をなしている。CNT膜12及びゲート電極25等を含
むガラス基板10の上方には所定の距離をあけてアノー
ド電極24が配置され、双方の間の空間は真空に保持さ
れる。
【0009】上記3極管構造のディスプレイでは、CN
T膜12に負電位を、アノード電極24及びゲート電極
25に正電位を夫々印加することにより、ゲート開口1
7内に露出したエミッタ12bからアノード電極24に
向けて電子を放出させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来のCNT膜は、精
製した後に、有機バインダ材を用いることでCNTをフ
ィルム状に固定し、機械的膜強度を確保していた。しか
し、CNTが有機バインダ材のみで固められると、有機
バインダから発生する放出ガスでCNT膜が気泡を抱え
込むことになって装置内の真空度が損なわれる。このよ
うなCNT膜をFEDのエミッタに用いると、真空中で
の動作が必要なFEDではCNT膜内に存在する気泡が
障害となり、短時間で真空状態を得ることができない状
況が生じる。
【0011】また、有機バインダは無機物であるCNT
と比較してイオン照射、電子照射、加熱といった方法で
エネルギーを与えられた場合にその成分が気化してガス
を放出しやすい。このため、有機バインダを多く含んだ
CNT膜では、たとえその初期状態で気泡が少ない場合
でもエネルギー付与後には気泡が増えてしまう問題も抱
えている。更に、有機バインダはその構成分子が大きな
分子であるので気泡に含まれるガスの分子も大きな分子
である場合がある。
【0012】このように大きな分子がイオン化した場合
には小さな分子がイオン化した場合よりも同じ電界にお
いて大きな運動エネルギーを持つことになり、この大き
なイオンが衝突した物質に大きなダメージを与えること
になる。更に、大きな分子が分解して小さな気体分子に
なる場合には気体分子がその分だけ増えることになり、
気泡が更に、増えることになる。
【0013】また、上述のように、レジストに必要なプ
リベーキングを施すことで基板上にCNT膜を固定する
際には、ベーキングによって、CNT膜に含浸する有機
バインダ成分であるアクリル等の多くが焼失し、これに
起因する体積減少でCNT膜表面が凹凸化し、或いは、
隙間が発生するといった問題が生じる。
【0014】また、電子放出の観点からは、以下に示す
問題点があった。つまり、従来エミッタ形成前に用いら
れる精製工程は、ナノチューブ以外の不純物を排除し、
ナノチューブの高純度化を実現する上で効果的である
が、その際に、ナノチューブの束(バンドル)の径が増
大して電子放出特性(エミッション特性)が劣化するこ
とがある。アーク放電やレーザーアブレーション等で形
成した単層ナノチューブは通常、ナノチューブ同士が比
較的弱い結合力(ファンデルワールス力)によって直径
20〜30nm程度のバンドルを形成する。
【0015】ナノチューブの精製工程では、前述した特
開平10-120409号公報に示されるように、複数の工程を
経ると同時に、次第にナノチューブ以外の不純物が排除
されるため、隣接するナノチューブの接触回数が増加
し、バンドル化が促進する。すなわち、バンドル径が増
大する。電界電子放出ではエミッタ先端部、ここではナ
ノチューブのバンドル径が小さいほど低電界でより多く
の電子を放出することが可能である。しかし、精製工程
を経たナノチューブはそのバンドル径の増大により、電
子放出特性が劣化する。
【0016】ナノチューブ精製工程では別の課題もあ
る。粒子状不純物はファンデルワールス力又は化学結合
でCNTに付着しているので、この粒子状不純物を除去
しようとする場合には、上記ファンデルワールス力又は
化学結合力以上のエネルギー、別の言い方をすればCN
Tと粒子状不純物とを結合させている以上の活性化エネ
ルギーを与えなければならない。このエネルギー付与に
よって、CNTの結合にダメージが生じることが懸念さ
れる。
【0017】ダメージを受けたCNTは、その後に自身
から電子放出する際に自身の結晶構造が破壊して初期の
電子放出特性を長時間維持できないという問題も抱えて
いる。粒子状不純物を昇華させ、或いは、粒子状不純物
を液中に溶解させて除去する場合には、昇華エネルギー
付与や溶解エネルギー付与によってCNTにダメージを
与える懸念がある。バンドルを形成しているシングルウ
ォールナノチューブにおいてはその端面で1本又は数本
のナノチューブが他のバンドル構成ナノチューブよりも
飛び出している状態がその特性に重要な影響を与える場
合がある。
【0018】電界電子放出特性の場合には、複数本が束
ねてあるバンドル状態では束の直径が太く電界が集中し
にくいことに対して、端部でアンテナ状に1本又は数本
のナノチューブが飛び出していると鋭利な先端となるの
で電界が集中して低電界で電子放出がなされる。このア
ンテナ状に飛び出したナノチューブが精製工程で消失し
てしまう場合があるので、その点でもナノチューブの精
製を行わずに済ませたい。前記アンテナ状先端は電界電
子放出の観点だけでなく、CNTの端部の構造を用いた
測定器や触媒反応においても重要である。
【0019】また、精製後のカーボンナノチューブは、
それ以外の不純物がほとんど存在しないため、ナノチュ
ーブ膜表面の単位面積に占めるナノチューブの割合が増
大する。すなわち、電子放出源であるナノチューブ先端
部がエミッタ表面に密に配列する。しかし、隣接するナ
ノチューブ先端部の間隔が極端に小さくなると、先端部
周辺に電位が浸透しなくなるため、電界集中は低下す
る。従って、電子放出特性が劣化する原因になる。
【0020】本発明は、上記に鑑み、有機バインダのみ
に依存せずに機械的膜強度が確保でき、平坦形状が簡便
に得られ膜内に気泡を抱え込むことがなく、また、ナノ
チューブ以外の不純物を必要以上に除去するような複雑
なCNT精製工程を無くすことを可能とし、バンドル径
増大による電子放出特性の劣化を軽減できるCNT膜を
提供すること、及び、良好な電子放出特性を有するCN
T膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0021】本発明は更に、このようなCNT膜を用い
た電界放出型冷陰極、及び、該電界放出型冷陰極を用い
た画像表示装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】例えば、アーク放電法等
でCNTを生成する場合、チャンバ内壁に付着する煤中
にはCNTと共に粒子状不純物が存在する。粒子状不純
物は500ナノメートル以下でサブナノメートル以上の
範囲を示す。本発明者らは、CNT膜の形成時に不要な
ものとして廃棄される粒子状不純物を充填材として用い
れば、従来の有機系バインダ材のみに依存することな
く、CNT間の隙間を埋め込んで膜強度を確保した緻密
な充填状態を得ることができると共に、他のバインダ材
を加えて有機バインダ材を使用したとしても、有機バイ
ンダ成分が少ないために放出ガスで真空度が損なわれる
おそれが極めて少ないという作用効果が得られる点に着
目し、鋭意研究を重ね、本発明をなすに至った。上記煤
は炭素原料がCNT構造にその原子配列を組み直す高エ
ネルギー過程を経て真空装置内部に形成されているの
で、その煤に含有される粒子状不純物は形成過程でガス
を放出しており、それ以降ガスを放出しにくい状態とな
っている。予めガス放出しにくい状態になっている粒子
状不純物を廃棄せずに使用することで工程を増やすこと
なく放出ガスの少ない充填材を得る効果がある。
【0023】上記目的を達成するために、本発明のCN
T膜は、カーボンナノチューブ(CNT)及び粒子状不
純物を含むCNT膜であって、断面及び表面構造におけ
るCNTと粒子状不純物との面積比が0.5:99.5
〜40:60の範囲に設定されていることを特徴とす
る。
【0024】本発明のCNT膜では、粒子状不純物を上
記面積比でCNT相互間の隙間を埋め込んだので、有機
バインダのみに依存せずに機械的膜強度が確保でき、膜
内に気泡を抱え込むことがない平坦形状が簡便に得られ
る。また、ナノチューブ以外の不純物を必要以上に除去
するような複雑なCNT精製工程を無くすことが可能と
なり、バンドル径増大による電子放出特性の劣化を軽減
することができる。
【0025】ここで、前記粒子状不純物が、前記CNT
を製造する際に該CNTと共に得られる不純物から成る
ことが好ましい。この場合、工程が簡便になるととも
に、基板との付着力が高く、かつ良好なエミッション特
性を有するCNT膜を形成できるという効果を奏するこ
とができる。
【0026】また、前記粒子状不純物がCNT相互間の
隙間を埋め込むバインダ材として機能し、該バインダ材
とは別のバインダ材が更に添加されることも好ましい態
様である。この場合、基板との付着力が更に、高く、か
つ良好なエミッション特性を有するCNT膜を形成する
ことができる。
【0027】好ましくは、前記バインダ材が有機物で構
成される。これにより、低温での焼成が可能になり、更
に、CNTのパターニングが容易になるという効果を奏
することができる。
【0028】具体的には、前記有機物を、アクリル、ニ
トロセルロース、及びポリイミド樹脂の内の少なくとも
1つを含む材料で構成することができる。この場合、C
NTの基板への固着状態をより確実にすることができ
る。
【0029】また、CNT相互間の隙間を埋め込む前記
粒子状不純物の充填率が70%以上であることが望まし
い。この場合には、CNT膜が緻密になるためガスが内
部に残存することがなく、また前記CNT膜上に良好な
絶縁層を形成可能であるという効果を奏することができ
る。
【0030】前記CNT膜が、順次に積層された2層以
上の積層膜で構成され、該積層膜の各層におけるCN
T、粒子状不純物及びバインダ材の含有比率が夫々別個
に設定されていることが好ましい。例えば、3層から成
る積層膜の場合に、主に基板に固着する機能が必要な最
下層、CNT相互間の隙間を埋め込む機能が必要な中間
層、及び、CNT膜から直立するようなCNTを必要と
する最上層に対し、夫々最適な状態を形成することが可
能になる。
【0031】特に、前記CNT、粒子状不純物及び別の
バインダ材の内で、上層ほどCNTの含有比率が高く、
下層ほど前記粒子状不純物及び別のバインダ材の含有比
率が高いことが望ましい。具体的には、最上層における
CNTの含有比率を80〜90%に、最上層以下の層に
おけるCNT以外の含有比率を70〜80%に、最下層
における前記別のバインダ材の含有比率を60〜70%
に夫々設定することができる。
【0032】ここで、前記CNT膜を用いて電界放出型
冷陰極を形成することが好ましい。その場合、CNT膜
と基板との付着力が強く、均一な絶縁層が形成可能であ
るため、安定で長寿命なエミッション特性を有する電界
放出型冷陰極を得ることができる。
【0033】本発明のCNT膜の製造方法は、前記CN
T膜を製造する製造方法であって、前記粒子状不純物か
ら成るバインダ材及び/又は前記別のバインダ材をCN
Tのエッチングレートよりも速い材料で構成して、前記
CNT膜をパターニングすることを特徴とする。
【0034】本発明のCNT膜の製造方法では、CNT
膜のパターニングの際に、バインダ材及び/又は別のバ
インダ材のエッチングレートがCNTよりも速いので、
CNT膜の除去工程が極めて簡便になる。また、所望の
領域のCNTを残存させ該領域以外のCNT膜を除去す
る場合に、残存させる領域におけるバインダ材及び/又
は別のバインダ材も残存させると、基板に対してCNT
膜をプロセス後も堅固に固着させることができる。
【0035】ここで、相互に同じ工程で同時に得られた
CNT及び粒子状不純物を用いることが好ましい。これ
により、工程が簡便に強固なCNTを形成できるという
効果が得られる。或いは、これに代えて、相互に異なる
工程で得られたCNT及び粒子状不純物を用いることも
好ましい態様である。この場合、CNT及び粒子状不純
物混合比をより正確に制御することができる。
【0036】また、本発明のCNT膜の製造方法は、チ
ャンバ内で相互に対向する一対の炭素棒を用いてアーク
放電を行い、前記チャンバ内の天板、側板及び底板の夫
々にCNT及び粒子状不純物を堆積させ、該堆積物を用
いてCNT膜を製造する製造方法であって、前記チャン
バ内の天板及び側板に夫々堆積した天板堆積物及び側板
堆積物を回収し、回収した前記天板堆積物及び側板堆積
物の双方を所定の重量比率で混合して混合材料を生成
し、該混合材料における前記粒子状不純物を該混合材料
中のCNT相互間の隙間を埋める材料として用いたこと
を特徴とする。
【0037】本発明のCNT膜の製造方法では、天板及
び側板から回収した天板堆積物及び側板堆積物を所定の
重量比率で混合させ、更にその混合材料における粒子状
不純物を該混合材料中のCNT相互間の隙間を埋める材
料として用いたので、有機バインダのみに依存せずに機
械的膜強度が確保でき、膜内に気泡を抱え込むことがな
い平坦状のCNT膜を簡便に得ることができる。また、
ナノチューブ以外の不純物を必要以上に除去するような
複雑なCNT精製工程を無くすことができるので、バン
ドル径増大による電子放出特性の劣化を軽減することが
できる。
【0038】具体的には、前記側板堆積物と前記天板堆
積物とを用いて、断面及び表面構造におけるCNTと粒
子状不純物との面積比が0.5:99.5〜40:60
の範囲を満たすようにCNTと粒子状不純物との含有量
を調整することができる。この場合、CNTと粒子状不
純物との面積比を0.5:99.5〜40:60の範囲
に設定してCNT相互間の隙間を埋め込むことにより、
有機バインダのみに依存せずに機械的膜強度を確保する
ことができると共に、膜内に気泡を抱え込むことのない
平坦形状が簡便に得られる。
【0039】ここで、前記CNT膜の製造方法で製造さ
れたCNT膜を用いることにより、CNT膜と基板との
付着力が強く、均一な絶縁層が形成可能であるため、安
定で長寿命なエミッション特性を有する電界放出型冷陰
極を得ることができる。その場合、CNT膜がCNT及
び粒子状不純物を含有する電子放出面を構成し、該電子
放出面には500nmを超える粒径の粒子状不純物は含
まれないように構成することができる。また、電子放出
面に500nm以下の粒径の粒子状不純物を用いること
により平坦な表面が得られ、良好なエミッション効果を
奏する電界放出型冷陰極を得ることができる。
【0040】また、側板堆積物に対する天板堆積物の混
合比率を50%以下にしたCNT膜を形成することによ
り、電界放出型画像表示装置(平面画像表示装置)に好
適に使用できる電界放出型冷陰極を得ることができる。
このような電子放出型冷陰極を用いた電界放出型画像表
示装置は、高画質で均一な表示ができ、歩留まりも良好
になる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明の一
実施形態例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図
1は、本発明の第1実施形態例に係る製造方法で製造さ
れたCNT膜をエミッタに適用したFED等の平面画像
表示装置を示す斜視図である。
【0042】平面画像表示装置は、ガラス基板10上
に、図1の左右方向に相互に平行に延在する複数の帯状
の導電層11を有している。各導電層11上には夫々、
同じ幅のCNT膜12が堆積されてカソード(エミッ
タ)ライン15が形成されている。また、CNT膜12
を含むガラス基板10の全面を覆うように、SOG(Sp
inOn Glass)、若しくは、ポリイミド、アクリル樹脂等
が滴下・塗布(スピンコート)されてゲート絶縁膜13
が形成されている。
【0043】ゲート絶縁膜13上には、帯状のゲート電
極16がカソードライン15と直交する方向に且つ相互
に平行に延在してゲートラインをなしている。カソード
ライン15とゲートラインとの交差部分には、電子放出
部を構成する所定径のゲート開口17が形成されてお
り、このゲート開口17に露出するCNT膜12がエミ
ッタを構成する。
【0044】電子放出部が形成された上記ガラス基板1
0の上方には、RGB(赤、緑、青)の蛍光体が塗布さ
れたアノードパネル(図16参照)が、ガラス基板10
と所定の間隔をあけて対向して配置されている。これに
より、カソードライン15及びゲートラインに選択的に
電圧を印加することによって表示動作を行う平面画像表
示装置が構成される。また、ガラス基板10とアノード
パネルとの間の空間は、真空に保持される。
【0045】図2は、FEDの製造プロセスを示す一部
断面にした斜視図であり、(a)〜(d)は各工程を段
階的に示す。図3は、図2の各工程に対応する工程を示
すフローチャートである。
【0046】まず、ステップS1では、ガラス基板10
上に導電層11を介してCNT膜12を堆積する((図
2(a))。次いで、ステップS2で、CNT膜12上に
絶縁膜形成液をスピンコートした後に、焼きしめを行っ
てゲート絶縁膜13を形成する(図2(b))。
【0047】引き続き、ステップS3で、目合わせ露光
と現像とを実施するパターニングにより、ゲート開口
(エミッタホール)17を形成する(図2(c))。更
に、ステップS4で、ゲート開口17が形成されたゲー
ト絶縁膜13上にメタル配線を施して、ゲート電極16
に形成する(図2(d))。これにより、CNT膜を用
いたFEDの電界放出型冷陰極(カソードパネル)が完
成する。
【0048】ところで、図2(a)においてCNT膜1
2が凹凸状となり、或いは、CNT間の隙間が多く存在
する場合には、図2(b)に示したスピンコート工程
で、次のような問題が発生することがある。つまり、ゲ
ート絶縁膜13の表面が凹凸状に形成されると、スピン
コーティングされる絶縁膜液体材料が均一に延びること
ができず、完成時のゲート絶縁膜13の膜厚が不均一に
なる。また、表面の凹凸やCNTの隙間に気泡36が溜
まって絶縁膜液体材料中に拡散し、気泡36を含んだゲ
ート絶縁膜13が形成されることになる。この場合に、
良好な絶縁特性が損なわれ、機械的強度も低下すること
になる。
【0049】また、CNT膜12を導電層11上に形成
する際に、有機バインダを含有しなければCNT膜12
の強度を十分に確保できないが、その場合には、有機バ
インダから放出するガスにより、完成後のFEDにおけ
る真空度が損なわれるおそれがある。更に、ベーキング
を施すことでガラス基板上にCNT膜を固定する際に
は、ベーキングによって、CNT膜に含浸する有機バイ
ンダ成分が焼失し、膜成分として残存しないため、これ
による体積減少でCNT膜12表面が凹凸化し、又はC
NT間に隙間が発生する等の問題が発生し、平坦状のC
NT膜の形成が困難になる。
【0050】図4に、FEDの断面構造をより詳細に示
す。FEDは、ガラス基板10上に、導電層11(カソ
ード電極)と電子放出源としてのCNT膜12とをこの
順に有する。CNT膜12上方には、厚み20μm程度
のゲート絶縁膜13を介してゲート電極16が形成され
ている。ゲート電極16及びゲート絶縁膜13には、所
定のエッチング工程で円柱状に貫通されたゲート開口1
7が形成されており、ゲート開口17底面におけるCN
T膜12表面には、直立配向したCNT12aが存在
し、このCNT12aから電子が放出される。ここで、
「直立配向」とは、CNT膜12におけるCNT12a
の先端部分がガラス基板10における法線に対して50
度以下の角度で配向された状態を示す。
【0051】ここで、CNT膜12内に、CNTの生成
時に混入した大粒不純物14がある場合には次のような
問題が生じる。この大粒不純物14が数μmを超える粒
径を有するような場合には、CNT膜12表面の凹凸形
状化を招く。この凹凸形状がゲート開口17内に出現し
た場合には、CNT膜12表面の電位分布が歪むことに
なる。
【0052】例えば、ゲート電極16に30V、導電層
11を含むエミッタ(12)に0V、ゲート電極16上
に設けられたアノード電極(図16参照)に1KVの電
圧を夫々印加した場合、図4に示すように等電位面18
が発生する。この際に、大粒不純物14が表面に存在す
るCNT膜12表面では、等電位面18が大きく歪む。
【0053】図4におけるゲート開口17内の左端側で
は、大粒不純物14が存在するため、その分だけゲート
絶縁膜13が薄くなり、或いは、大粒不純物14の突出
形状により電界が異常に集中する現象が発生し、ゲート
電極16と導電層11との間の絶縁耐性が低下すること
になる。また、大粒不純物14の影響でゲート電極16
が持ち上げられたような構造では、ゲート電極16と直
立配向のCNT12aとの距離が必要以上に離れ、電子
放出が困難になり、電子軌跡19が歪むという問題が生
じる。FEDでは、各電子放出構造から均一に電子放出
することが期待されるが、大粒不純物14が存在する
と、均一性が失われることになる。
【0054】次に、上記問題点を解消する、本実施形態
例に係るCNT膜のCNTを生成するためのアーク放電
装置を説明する。図5は、このアーク放電装置を示す断
面図である。
【0055】アーク放電装置20は、水冷されるシール
ド板を成す真空チャンバ21と、真空チャンバ21の外
側を覆う箱体22とを備えている。真空チャンバ21
は、相互に対向する矩形状の天板21a及び底板21c
と、上下端部が夫々天板21a及び底板21cの各辺に
接合される4つの側板21bとで略立方体状に構成され
る。なお、真空チャンバ21は、略立方体状に限らず、
略円筒形状に構成されても良い。
【0056】真空チャンバ21の側板21bの一部を貫
通する孔21dと、各孔21dに対応する箱体22の側
面に形成された孔26とには、真空チャンバ21の内方
に先端部を突出させた炭素棒29a、29bの各後端部
をクランプした放電電極30a、30bが嵌合される。
炭素棒29a、29bは、所定の触媒金属が含有されて
おり、各先端部が所定の距離をあけて対向した状態で保
持される。放電電極30a、30bと孔27内周面との
間にはシーリング部材27が嵌め込まれ、これにより箱
体22内方が大気と遮断されている。放電電極30a、
30bは夫々リード線31を介して、矩形波方式のアー
ク放電電源32に接続されている。
【0057】次に、アーク放電装置20を用いたCNT
の生成法について具体的に説明する。図6は、この生成
法を示すフローチャートである。まず、ステップS11
では、真空チャンバ21内を排気して1×10-1Pa以
下の圧力に保持した後、真空チャンバ21内にヘリウム
(He)ガスを導入して6.7×105Paの圧力に保
持する。更に、この圧力下で、アーク放電電源32から
放電電極30a及び30bに矩形波を印加し、炭素棒2
9a、29bの各先端部間でアーク放電を発生させる。
この際に、真空チャンバ21内では、Heガスによる対
流が生じている。
【0058】アーク放電によって炭素棒29a、29b
の各先端が高温に加熱されると、炭素棒29a、29b
自身の炭素と、炭素棒29a、29bに微量含有する金
属不純物(触媒金属)とが昇華して、Heガスによる対
流に乗り真空チャンバ21内方で煙状に舞い上がる。つ
まり、アーク放電による昇華と昇華したガス分子とがH
e分子に衝突して急冷されて結晶化することで、CN
T、種々の炭素系粒子、及び、炭素と後述の粒子状不純
物との化合物や混合物が生成される。また、金属不純物
の含有率は、炭素を100%とする際の重量比で、ニッ
ケル(Ni)が5%、及びイットリウム(Y)が5%で
ある。
【0059】煙状のCNT等が真空チャンバ21内面に
到達すると、天板21a、側板21b及び底板21cの
夫々に煤状に固着して堆積する。この際に、天板21
a、側板21b及び底板21cでは、堆積する結晶の種
類や形状が夫々に異なる。ステップS12では、真空チ
ャンバ21内における天板21aに堆積した生成粉末
(以下、天板堆積物と呼ぶ)と、側板21bに堆積した
生成粉末(以下、側板堆積物と呼ぶ)とを回収する。こ
の際に、底板21cに堆積する生成粉末(以下、底板堆
積物と呼ぶ)は、回収しても使用せずに廃棄する。
【0060】例えば、アーク放電法で10分間放電させ
ると、天板堆積物と側板堆積物とを合わせて1グラムの
堆積物を回収することができる。天板堆積物と側板堆積
物との重量比率は、およそ30:70であることが多
い。ステップS13では、天板堆積物と側板堆積物とを
30:70等の重量比で混合させた混合粉末を作製す
る。この混合処理は、混合ミキサーを用いて乾式で混ぜ
合わせる。また、15分間で1グラムの堆積物が得られ
るように炭素棒29a、29b間の距離を調整すると、
天板堆積物と側板堆積物との重量比率が40:60にで
きる。
【0061】次いで、ステップS14では、混合粉末
1:エタノール200の重量比で、混合液を生成する。
つまり、混合粉末1グラムに対してエタノール200グ
ラムを用意し、このエタノール中に混合粉末を混ぜ込
む。この場合、粉末は溶解しないが、極めて微細な粒子
なのでエタノール中にほぼ均一に分散する。
【0062】更に、ステップS15では、ステップS1
3で作製した混合粉末を用いてCNT膜12を形成す
る。ここで、アクリル等の有機バインダを混合させて膜
強度を高め、或いは、有機バインダによりガラス基板1
0との付着率を高めることができる。また、有機バイン
ダを全く使用しない場合でも、CNTと粒子状不純物と
の分子間力で基板に固着することが可能である。基板の
表面に凹凸をつけることで表面積を増やすことで有機バ
インダがある場合でもない場合でもその付着率を向上さ
せることができる。
【0063】図7は、真空チャンバ内の天板、側板及び
底板の夫々に堆積する生成粉末の典型的な形状を示す図
であり、(a)は天板堆積物を、(b)は側板堆積物
を、(c)は底板堆積物を夫々示す。
【0064】図7(a)に示すように、天板堆積物で
は、金属微粒子の周りを亀の子結合の炭素ネットワーク
が取り囲んだ形状を有する粒子状不純物12cが観察さ
れる。この粒子状不純物12cからは単層のCNT12
aが生えている。CNT12aは、髪の毛のように細長
く、複数本が束ねられたバンドル状態にされることが多
く、また複数本生えている場合もある。天板堆積物中に
は、CNT12aと離れた位置にある粒子状不純物12
dと、CNT12aに固着する粒子状不純物12eも観
察される。ここで、天板堆積物にエタノールを添加し、
ガラスに液滴して電子顕微鏡で観察した。その場合のC
NT12aと粒子状不純物との存在割合は、面積比でお
よそ80:20であった。
【0065】図7(b)に示すように、側板堆積物は、
内容的には天板堆積物とほぼ同様であるが、側板堆積物
では、CNT12aの存在割合が、天板堆積物に比して
少なく、面積比で全体の約0.5%であった。
【0066】図7(c)に示すように、底板堆積物は、
上記天板堆積物及び側板堆積物における堆積物の種類に
加えて、数μm以上の粒径を有する大粒不純物14が観
察された。
【0067】図8は、図6のステップS15におけるC
NT膜形成工程で形成されたCNT膜の拡大形状を模式
的に示す図であり、(a)は天板堆積物を100%使用
した場合、(b)は天板堆積物30%と側板堆積物70
%とを混合させて使用した場合、(c)は側板堆積物を
100%使用した場合を夫々示す。
【0068】ここで、天板堆積物と側板堆積物との混合
重量比率と、CNT層の断面を電子顕微鏡で観察した際
の面積比とを測定したところ、以下の結果が得られた。
つまり、 天板堆積物:側板堆積物の重量比が0:100のと
き、CNT:粒子状不純物の面積比は0.5:99.
5、 天板堆積物:側板堆積物の重量比が10:90のと
き、CNT:粒子状不純物の面積比は10:90、 天板堆積物:側板堆積物の重量比が30:70のと
き、CNT:粒子状不純物の面積比は25:75、 天板堆積物:側板堆積物の重量比が50:50のと
き、CNT:粒子状不純物の面積比は40:60、 天板堆積物:側板堆積物の重量比が100:0のと
き、CNT:粒子状不純物の面積比は80:20であっ
た。
【0069】ところで、直径平均30nmの粒子状不純物
での電子顕微鏡下観察でのCNTと粒子状不純物の面積
比が40:60の場合、体積比は2:98程度で有るこ
とがわかった。また、0.5:99.5の場合、体積比
は1×10-7:1となる。CNTと粒子状不純物との体
積比VRは、電子顕微鏡下(視野1.2×1.0μm2)で撮
影したCNTと粒子状不純物との面積を夫々S(CN
T)nm2、S(NP)nm2とすると、CNTの平均直径D
n nmとS(CNT)とに比例し、S(NP)の1.5
乗に反比例することがわかった。つまり、 VR=係数×Dn×S(CNT)/S(NP)1.5(但
し、係数=1.02) である。従って、上式を用いて計算することによりCN
Tの平均太さがわかると、体積比に換算することができ
る。
【0070】本実施形態例に係るCNT膜は、断面及び
表面構造におけるCNTと粒子状不純物との面積比を
0.5:99.5〜40:60の範囲に設定することが
望ましい。この場合、CNTと粒子状不純物との面積比
を0.5:99.5〜40:60の範囲に設定してCN
T相互間の隙間を埋め込むことにより、有機バインダの
みに依存せずに機械的膜強度を確保することができると
共に、膜内に気泡を抱え込むことない平坦形状が簡便に
得られる。また、ナノチューブ以外の不純物を必要以上
に除去するような複雑なCNT精製工程を無くすことが
可能となり、バンドル径増大による電子放出特性の劣化
を軽減することができる。
【0071】図8(a)に示すように、天板堆積物を1
00%使用した場合には、粒子状不純物に対してCNT
の割合が相対的に多いため、より多くのCNTが導電層
11から垂直方向に直立配向する(CNT12a)。ま
た、膜中には横倒しの配向状態になったCNT12b、
及びCNT同士が癒着し、バンドル径が増加したCNT
も観察される。ここで、「横倒し」とは、ガラス基板1
0(図1参照)に沿って倒れた状態を意味する。CNT
を使用した電子放出源としてエミッタを構成する場合
に、直立配向の姿勢が最も電界集中し易く、電子放出源
として良好に機能するので、直立配向のCNT12aが
如何に多いかが重要である。AはCNT膜12の平均膜
厚を示す。
【0072】図8(b)に示すように、天板堆積物30
%と側板堆積物70%とを混合させて使用した場合に
は、図8(a)と比較して、直立配向のCNT12aが
若干少ないが、癒着したCNTはほとんど見られない。
また、CNTの周りには粒子状不純物12eや12dが
付着した形状を示す。
【0073】図8(c)に示すように、側板堆積物を1
00%使用した場合には、直立配向のCNT12aが極
めて少なく、逆に、粒子状不純物12c、12d、12
eが増大している。
【0074】本発明では従来の手法と比較して、複雑な
CNTの精製工程を行わないため、精製工程中もしくは
膜形成時のCNTのバンドル化を抑制することができ
る。また、本発明では従来不要な構成物として排除して
いたCNT製造過程で混入する粒子状不純物の混入量を
積極的に制御することで隣接CNT間の接触を少なく
し、バンドル化を抑制することができる。すなわち、バ
ンドル径増大によるエミッション特性の劣化を軽減する
ことができる。
【0075】具体的には、図8(a)に示すように、C
NTを取り巻く粒子状不純物12eと12dとがCNT
に対して相対的に少ないため、CNT同士が付着しやす
く、バンドル径が増大しやすい。しかし、図8(b)で
は、CNTを取り巻く粒子状不純物が適度に存在するた
め、隣接するCNTは粒子状不純物が障害になり、接触
しにくい。従って、バンドル径の増大は抑制される。
【0076】更に、CNTと粒子状不純物との混合比を
所望の値に制御することで、CNT膜表面に存在するC
NT先端部の間隔(密度)を制御することができる。従
来、エミッタ形成前に用いられる精製工程では、ナノチ
ューブ以外の不純物を排除していた。これは、ナノチュ
ーブの高純度化を実現する上で効果的であるが、ナノチ
ューブ膜表面の単位面積に占めるナノチューブの割合が
増大し、隣接するナノチューブ先端部の間隔が密にな
る。精製工程を経てCNT膜表面に突出する隣接CNT
の間隔は、およそ1μm以下になる。一方、CNT中に
粒子状不純物を配合した場合、すなわち、図8(a)で
はその間隔は2μm、図8(b)は4μm、図8(c)
では20μmとなる。
【0077】図9は、本発明に係る製造方法で得られた
CNT膜をエミッタに用いた際の電子放出特性を蛍光ス
クリーン33で測定する際の状態を示す図である。この
測定時、膜厚L1のCNT膜12の下部に位置する導電
層11(カソード電極)と、対向する蛍光スクリーン3
3との間の距離L2を1mmに設定し、真空中で、電源
37から導電層11に負の電圧を、蛍光スクリーン33
に正の電圧を夫々印加した。この際に、直立配向のCN
T12aから電子が軌跡35のように放出された。蛍光
スクリーン33と導電層11との間に流れる電流を電流
計36で測定した。
【0078】図10は、図9の測定で求めた電界と電流
密度との相関関係を示すグラフ図である。グラフの結果
は、蛍光スクリーン33と導電層11との間の距離L2
と、電界印加電圧とから求めた。電流密度は、CNT膜
12の面積をエミッタ面積として、電流計36で得られ
た電流をこの面積で割ることによって求めた。
【0079】図10では、天板堆積物と側板堆積物との
混合重量比率を30:70にしたCNT膜12、つま
り、天板比率30%のCNT膜12を用いた結果をグラ
フA、天板堆積物を含まない側板堆積物100%のCN
T膜12を用いた結果をグラフB、天板堆積物100%
を用いて形成したCNT膜12を用いた結果をグラフC
で夫々示した。測定の結果、グラフAが、最も低い電界
で電子を放出し、また、同じ電界では最も高い電流密度
の電子を放出した。グラフA〜Cの各CNT膜12に関
して2mA/cm2の電流密度が得られる電界は、夫々、
1.5V/μm、2V/μm、及び、2.7V/μmであった。
【0080】図11は、天板堆積物比率を10%刻みで
測定した際の混合比率依存性を示すグラフである。グラ
フでは、天板堆積物比率30%のときが最も低い1.5
mA/cm2の電子放出が得られ、天板堆積物比率100%
のときが最も高い2.7V/μmの電子放出電界が得られ
ることが分かる。例えば、2mA/cm2の電流密度とは、
蛍光スクリーン33にP22蛍光体(つまり、ZnS:
Cu,Al)を用いて5kVの高圧を印加した場合に7
00cd/m2の輝度が得られる値である。これは、FED
で700cd/m2という十分に明るい画面を得るのに、ド
ライブ電界が僅か1.5V/μmで十分あることを意味す
る。
【0081】図11で、天板堆積物100%のCNT膜
12を用いた場合に電子放出電界が上がった上記結果
は、図8(a)に示すように、CNTを取り巻く粒子状
不純物12eと12dがCNTに対して相対的に少ない
ため、CNT同士が付着しやすく、バンドル径が増加し
やすいことと、CNT膜表面から突出したCNT間の距
離が短いことによる。粒子状不純物は隣接CNT間の付
着によるバンドル径の増大を抑制する役割を果たすが、
この場合にはその作用が小さいために、局所的にCNT
同士もしくはCNTバンドル同士が癒着し、結果的にバ
ンドル径を増大させる。電子放出電界は電界集中度が高
いほど、すなわちバンドル径が小さいほど低くなるが、
ここでのCNTと粒子状不純物の配合比ではバンドル径
を増大する方向に作用するため、電子放出電界は高くな
る。
【0082】また、天板堆積物の混合割合を高め、或い
は、製造後のCNTを精製することによってCNTの純
度を高めた場合には、CNT膜表面に存在するCNTの
密度は増加する。よって、CNT膜表面から突出したC
NT間の距離が短くなる。例えば、図8(a)に示すC
NT膜表面に突出した隣接CNTの間隔は、先述したよ
うにおよそ2μm程度で、精製したCNT膜ではそれ以
下になる。
【0083】このように、隣接CNT間の距離が短くな
ると、CNT先端もしくはバンドル先端に電界集中が起
こりにくくなる。CNTは金属もしくは半導体的な伝導
を示す物質なので、外部電界はCNT中に浸透せずにそ
の表面を這うような電界分布をとる。例えば、基板上に
1本のCNTが孤立して直立配向している場合には、電
界が基板表面から鋭利なCNT先端部を覆うように分布
するため、CNT先端部の電界集中は大きくなる。しか
しながら、複数本のCNTが密に配列している場合に
は、個々のCNTで電界が遮蔽されるため、CNT先端
部での電界集中は孤立した1本のCNTの場合よりも小
さくなる。このような電界集中の抑制効果は、隣接CN
T間の距離が小さくなるほど大きくなる。
【0084】本発明者らは、上記のような電界集中の抑
制効果を更に詳細に調べるために、電界放出電界の隣接
CNT間距離依存性を計算した。具体的には、一定面積
内にCNTの数を増加(隣接CNT間の距離を小さく)
させ、そのときのCNT先端近傍の電界分布及び電界集
中度を計算し、電界放出電界を算出した。なお、配列し
たCNTの高さは1μm、CNT(バンドル)の径を2
0nmとした。その結果、電界放出電界は隣接CNT間
の距離を無限大から2.4μmまで小さくする間では、
低下する傾向を示した。これは電子放出点(CNT)が
単純に増加したためである。しかし、隣接CNT間の距
離が2.4μm以下になると、逆に個々のCNTの電界
集中度が減少し、電界放出電界が増加する傾向を示し
た。この結果は、過度にCNTを密に配列しても逆に特
性を劣化させることを意味する。
【0085】一方、図11において天板堆積物30%以
下で電子放出電界が上昇する要因は、計算結果からも示
唆されるように、電子放出に寄与するCNTが実質的に
少なくなるためである。
【0086】以上のように、CNTの密度を増加させて
も電界集中の抑制効果を受けず、且つ、CNTが癒着し
ないための条件は、天板堆積物比率が50%以下であっ
た。50%のときのCNT間の距離は約2.5μmであ
り、上記の電界集中の抑制効果が働く際のしきい値に相
当する配合比である。
【0087】ただし、天板堆積物比率が小さくなりすぎ
ると、電界放出電界が大きくなると同時に、電流安定性
及び均一性が劣化する。これは、CNTの数が実質的に
減少することにより、単位面積当たりの電子放出点が減
少し、個々のCNTからの放出電流の揺らぎが統計的に
平均化されないためである。放出電流が、肉眼によって
充分に安定であると認識できるのは天板堆積物比率が1
0%以上のときであった。
【0088】従って、電子放出の観点からは、天板堆積
物比率は10%以上が望ましく、10%以上且つ50%
以下がより望ましい。また、CNT及び粒子状不純物の
総面積に占めるCNT面積比で言いかえると、CNT含
有率はおよそ10%以上が望ましく、10%以上且つ4
0%以下がより望ましい。
【0089】図12に示すように、ガラス基板10上に
堆積したCNT膜12を、厚みFが0.5μmの形状に
スライスして、同図の手前側から奥側に向かって目視観
察した場合に、どの程度の隙間が見られるかによりCN
T膜12の充填率を測定した。隙間が見えない場合は充
填率100%、全て隙間の場合は充填率0%とする。
【0090】図13は、天板堆積物の比率と充填率との
関係を示すグラフ図である。CNT膜の充填率の評価に
際して、実際には充填率0%は有り得ない。グラフから
分かるように、側板堆積物のみを用いてCNT膜12を
作成した場合(天板堆積物比率0%)には、充填率95
%という極めて高い結果が得られる。これは、球形に近
い粒子状不純物が、分散するCNTの隙間に侵入するこ
とにより充填率が上がったことを意味する。逆に、天板
堆積物の重量比率を高めると、CNTの存在割合が増大
し、CNTが相互に絡まって隙間が増大することにな
る。つまり、充填率が高ければ、CNT膜12としては
凹凸が少なく良好なものとなるので、CNT膜12上
に、ゲート絶縁膜13及びゲート電極16(又はグリッ
ド電極)を配設する際に好適である。逆に充填率が低い
場合には、絶縁膜13中に気泡が発生する原因にも繋が
る。充填率が高いCNT膜12が良好であるという観点
では、側板堆積物の比率が高いほど良い。
【0091】具体的には、天板堆積物の混合比率が30
%の場合に充填率は80%であったが、これが実用上最
も好ましい値である。また、充填率が70%よりも小さ
い場合、つまり、天板堆積物比率が50%よりも大きい
場合には、CNT膜上層に絶縁層を形成する際に気泡が
発生し易く、膜形成後に凹凸が発生し、或いは、異常電
子放出の発生のおそれがある。従って、CNT膜上に構
造を形成し、電界放出型冷陰極を形成する際には、粒子
状不純物の充填率が70%以上、すなわち天板堆積物比
率50%以下に制御することが望ましい。この場合、安
定でかつ、絶縁特性に優れた絶縁層をCNT膜上に形成
可能であるという効果が得られる。先に述べた電界放出
に最適な条件(天板堆積物含有比率10%以上且つ50
%以下)を考慮すると、良好な電子放出特性を保持し、
かつ電界放出型冷陰極を形成可能な条件は天板堆積物比
率が10%以上50%以下であることがわかる。
【0092】次に、図2及び図4を参照して、本実施形
態例の具体例について説明する。この具体例では、CN
T−FEDを形成する。つまり、本発明のCNT膜を用
いると、CNT膜12表面の凹凸が抑制されているこ
と、及び、CNT間の隙間が少ないことにより、ゲート
絶縁膜13に気泡が入りにくいという効果が得られる。
【0093】本具体例では、図2に示すように、ゲート
絶縁膜13を厚み5μmに設定してCNT−FEDを形
成した。ゲート絶縁膜13を5μmという薄さにするた
めに、天板堆積物の混合比率を50%以下にした。これ
は先に示したように充填率が70%以上になる条件であ
る。
【0094】一方、混合比を50%以上にすると、表面
の凹凸と膜中の隙間が増加し、5μmのゲート絶縁層で
は充分な絶縁耐性を確保することができない。この場
合、充分な絶縁耐圧を有する絶縁層を形成するには少な
くとも15μm以上の膜厚が必要である。これに対し、
混合比を50%以下にすれば、粒子状不純物が膜中の隙
間を塞ぎ、気泡が発生し難く、均一で薄い良好な絶縁層
を形成することが可能となる。
【0095】ゲート絶縁膜13の薄膜化は、ゲート電極
16とエミッタ12bとの間の印加電圧(ドライブ電
圧)を低電圧化させる。例えば、ゲート絶縁膜13の厚
みを20μmから5μmへと25%低減すると、印加電
圧は25%減の電圧で良いことになる。従って、絶縁層
の薄膜化が可能な上記条件(天板堆積物の混合比率50
%以下)は低電圧動作においても有効である。
【0096】5μmの膜厚のゲート絶縁膜を用い、且つ
混合比30:70のCNT膜を採用したFEDでは、図
11からも明らかなように、 1.5V/μm×5μm=7.5V の印加電圧が必要であるのに対し、0:100の混合比
率を採用したFEDでは、 2.0V/μm×5μm=10V の印加電圧が必要である。更に、図11には図示してい
ないが、精製したCNTを用いた場合(図11の比率1
00%よりも右側)には電子放出電界が2.8V/μm
であり、そのときの印加電圧は、 2.8V/μm×5μm=14V となる。従って、絶縁層膜厚が5μmの場合、電子放出
電界が2V/μm以下では10V以下の低印加電圧で素
子を駆動させることが可能となる。
【0097】しかし、精製後のCNTのように、電子放
出電界が2V/μmよりも大きくなると、10Vよりも
大きい印加電圧となり、低価格液晶用駆動ドライバが使
用できなくなり、新たな駆動ドライバを開発する必要が
生じる。これにより、ドライバ価格が高くなり、ドライ
バを含むディスプレイのモジュールとしての価格が高く
なる。従って、電子放出電界は2V/μm以下が望まし
い。また、5μmよりも薄いゲート絶縁膜を用いること
で2V/μm以上の電界放出電界でも10V以下の駆動
が可能になるが、この場合、長時間駆動する間に絶縁膜
中の絶縁劣化が生じやすいため、膜厚は5μm以上が望
ましい。
【0098】以上の結果から、FEDとして最適なCN
T膜の組成は、0%以上且つ50%以下の範囲内の天板
堆積物比率が望ましい。また、CNT同士の癒着等の問
題を考慮するときは10%以上且つ50%以下の範囲内
の天板堆積物比率が望ましい。これらの条件をCNT及
び粒子状不純物の総面積に占めるCNT面積比で言いか
えると、CNT含有率は0.5%以上且つ40%以下が
望ましく、10%以上且つ40%以下がより望ましい。
【0099】次に、本発明に係る第2実施形態例につい
て説明する。図14は、本実施形態例における成膜工程
を示す断面図である。本実施形態例では、CNT膜12
を厚み方向で、第1層12A、第2層12B、及び第3
層12Cの3段階に分割している。
【0100】CNT膜12は、CNT12aと粒子状不
純物とを含有しており、その機械的強度の増大や、ガラ
ス基板10との接着特性を向上させるために、アクリル
やニトロセルロース、ポリイミド樹脂等の有機バインダ
材を含浸させることができる。ここで、有機バインダを
用いた理由は低温プロセス(300度以下)で焼成可能
であることと、後述するようにCNT膜のパターニング
が容易になるためである。この点に鑑み、本実施形態例
では、CNT膜12の3つの部分毎にその組成比を調整
している。
【0101】電子放出面を構成する第1層12Aには、
直立配向のCNT12aが増大する比率を採用した。第
2層12Bでは、粒子状不純物が多くCNT膜12の充
填率が高くなる組成比を採用した。第3層12Cでは、
アクリルが多くガラス基板10への接着特性がより優
れ、CNT膜12の充填率がより向上する組成比を採用
した。
【0102】具体的には、CNT:粒子状不純物:アク
リルの組成比を、第1層12Aでは、20:80:0の
比率に、第2層12Bでは5:80:15の比率に、第
3層12Cでは1:29:70の比率に夫々設定するこ
とができる。
【0103】また、CNT膜12をスプレーで塗布しつ
つ作製する際には、塗布溶液を3種類用意して、第3層
12Cに相当する初期塗布では、1:29:70の第3
の比率パターンの材料を0.2μm厚に塗布し、その乾
燥後に、5:80:15の第2の比率パターンの材料を
1μmの膜厚で塗布し、これを乾燥させずにそのまま、
20:80:0の第1の比率パターンの材料を0.5μ
mの厚みに塗布する。
【0104】なお、上層ほどバインダの混入量を減少さ
せているのは、バインダの表面張力による膜表面の直立
配向CNTの横倒、及びCNT表面へのバインダ成分の
付着による仕事関数の増加を軽減するためである。この
ように、上層ほどCNTの含有量が高く、下層ほどCN
T以外の材料の含有量を高く設計することで電子放出特
性を劣化させることなく、固着力の強いCNT膜を形成
することができる。
【0105】また、上記組成比の各材料を良好にスプレ
ー塗布するためにエタノールを添加しているが、エタノ
ールは塗布直後に蒸発するので、組成比としては考慮し
ない。本実施形態例では、アクリル成分も膜の構成物と
してそのまま残存させてFEDパネルを形成する。
【0106】次に、本発明に係る第3実施形態例につい
て説明する。図15は、CNT膜をパターニングする状
態を示す断面図である。本実施形態例では、CNT膜1
2における残存させるべき部分の表面をマスク材35で
被覆し、除去すべき部分36をアセトン等で溶解させる
ことで除去する。その場合に、CNT及び粒子状不純物
はアセトンで溶解しないが、アクリルは溶解する。
【0107】したがって、上記の方法を用いることによ
り、CNT膜のパターニングを行うことができる。この
場合、パターニングで除去する隙間距離よりも含有CN
Tの長さを短くしておくことにより、残存したCNTが
架橋となって分離できないという不具合を招くことなく
パターニングすることができる。
【0108】CNTが隙間距離よりも長い場合には、C
NTが架橋とならないようにその隙間部分を機械的に擦
ることで、一時的に架橋状態になっているCNTを除去
できる。この場合には、CNTを支えているバインダが
アセトンで溶解して強度が落ちているので、簡単に架橋
CNTが除去される。架橋CNTを除去する方法として
は、パターニング後に隣接パターン間に通電して架橋C
NTの根元を溶断させる方法もある。
【0109】架橋CNTが無ければ、隣接パターン間が
絶縁である場面では、隣接パターン間に電圧印加したこ
とによる電流が架橋CNTを通じて流れることになる。
細いCNT部分に電流が流れることで、架橋CNTとC
NT膜との境界部分である根元が発熱して溶断できるこ
とを発見した。このように、本来絶縁された隣接配線間
に架橋CNTが残存する場合には、通電除去という方法
を適用することができる。
【0110】図14で説明したCNT:粒子状不純物:
アクリルの組成比に設定すれば、第2層12B、及び第
3層12Cに夫々、70%及び15%ずつ含浸されたア
クリルが溶解することになる。つまり、アセトンにより
CNT膜12の下面部分から全体をエッチング除去する
ことができる。このように上記組成比に設定すれば、パ
ターニングに適した比率で調合されるので、パターニン
グを上記ウエットエッチングではなく、プラズマ法(酸
素プラズマ処理)やミリング法等を用いたドライエッチ
ングによっても、CNT膜のパターニングが可能とな
る。
【0111】例えば、プラズマ法を用いると、図15の
場合と同様に、残存部分をマスク材で覆ってプラズマ中
に晒すことで上記アクリルを焼失させて、パターニング
することができる。CNT12a及び粒子状不純物は、
酸素プラズマ中でアクリル等の有機バインダと一緒に焼
失するので、除去後の成分がガラス基板10に再付着す
ることがない。
【0112】この際には、バインダ材(別のバインダ
材)のエッチングレートが少なくともCNTのそれより
も大きい(速い)ことが望ましい。例えば、SOGや水
ガラス等の無機材料を主成分とするバインダを用いた場
合、それらは酸素プラズマに対してはほとんどエッチン
グされないため、パターニングを行うことが困難にな
る。また、バインダ材のエッチングレートがCNTのそ
れよりも小さい場合には、CNTのみのエッチングが優
先的に進行するため、マスク材35の下のCNT12A
及びその下層のCNTがエッチング領域36を形成する
前に、酸素プラズマによって焼失してしまう。したがっ
て、パターニングされたCNT膜上に電界を印加しても
充分な放出電流を得ることができない。
【0113】しかし、バインダ材のエッチングレートが
少なくともCNTのそれよりも大きい(速い)場合に
は、バインダが優先的にエッチングされるために、エッ
チング領域36を形成する時間はCNTのエッチングレ
ートのみに依存する。したがって、エッチング時間を最
小限に抑えることができ、マスク材35下のCNT層の
エッチングを軽減することができる。また、ミリング法
においてもバインダに有機系のバインダを用いること
で、バインダ材のエッチングレートがCNTのそれより
も大きくなり、上記の効果が得られる。これらの作用効
果は、CNTのエッチングレートよりも大きい材料であ
る粒子状不純物をバインダ材として用いた場合にも、同
様に得ることができる。
【0114】以上のように、本実施形態例に係る製造方
法は、粒子状不純物から成るバインダ材及び/又は別の
バインダ材をCNT12aのエッチングレートよりも大
きい材料で構成してCNT膜12をパターニングする。
つまり、本製造方法では、少なくともCNT12aのエ
ッチングレートよりも大きなエッチングレートを有する
バインダ材を用い、プラズマ法又はミリング法で用いる
エッチングガスに対して、バインダ材及び/又は別のバ
インダ材をCNT12aと同時もしくはCNT12aよ
りも早く消失させることができるので、CNT膜12の
除去工程が極めて簡便になり、電子放出特性を劣化させ
ることなくCNT膜12のパターニングを行うことがで
きる。更に、所望の領域のCNT12aを残存させ該領
域以外のCNT膜12を除去する際に、残存させる領域
における粒子状不純物(バインダ材)及び/又はアクリ
ル等のバインダ材(別のバインダ材)をも残存させるこ
とにより、ガラス基板10に対してCNT膜12をプロ
セス後も堅固に固着させることができる。
【0115】ところで、CNT膜12中には、CNT生
成時に炭素棒に含有させたニッケル等の金属性不純物が
存在する。この金属性不純物は、酸化され絶縁物として
上記除去部分36に残存するので、電気的には絶縁とな
り、機能上問題がない。この金属性不純物を除去する際
には、酸性溶液を用いてウエットエッチングすればよ
い。その場合に、金属製不純物を取り囲んでいた炭素が
既に焼失しているので、容易にエッチングすることがで
きる。
【0116】また、粒子状不純物は後から添加すること
もできる。例えば、CNTを製造した後に粒子状不純物
を除去して精製したCNTに、500nm以下の炭素か
ら成る不純物や、金属微粒子、無機微粒子、有機微粒子
を添加することによっても、上記各実施形態例における
粒子状不純物を含んだCNT膜12と同様の機能を備え
たCNT膜を形成することができる。この場合、CNT
製造時に同時に生成される粒子状不純物よりも粒径の揃
った微粒子を混入させることができ、また、配合比の制
御性も良好になる。なお、精製したCNTは癒着等の影
響で電子放出の観点からは不向きであるが、微粒子を添
加し、充分に分散させることで、CNTの癒着等の問題
を回避することができる。
【0117】以上のように、上記各実施形態例による
と、CNT膜12がCNT12aと共に粒子状不純物1
2c〜12eを含有することにより、バインダ成分に依
存することなくCNT膜12を緻密に形成することがで
きる。CNT膜12が緻密になることにより、CNT膜
12上への成膜過程においてゲート絶縁膜13内方に気
泡が侵入するような現象を回避できる。このように形成
したCNT膜12をFEDに用いた場合、FEDを真空
中で動作させることになるが、その際にCNT膜12に
隙間があると、その隙間に侵入していた空気を排気する
ことに多大な時間を要することになる。しかし、本発明
によるCNT膜12では、緻密で隙間が極めて少ないの
で、短時間で真空状態にすることができる。
【0118】また、CNT膜12が粒子状不純物で緻密
に充填されることにより、有機バインダに依存せずに、
十分な膜強度を確保することができる。更に、有機バイ
ンダ成分を減少できるので、有機バインダからの放出ガ
スで真空度が損なわれるおそれがない。また、CNT膜
12に含浸するバインダ成分(アクリル等)を焼失させ
ることなく膜成分として残存させるので、バインダ成分
が焼失する際の体積減少により膜表面が凹凸化し、或い
は、隙間が発生するという問題を回避できる。これによ
り、平坦な表面を有するCNT膜12が容易に形成でき
る。
【0119】以上、本発明をその好適な実施形態例に基
づいて説明したが、本発明のCNT膜及びその製造方法
並びにCNT膜を用いた電界放出型冷陰極及び画像表示
装置は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるもので
はなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更
を施したCNT膜及びその製造方法並びにCNT膜を用
いた電界放出型冷陰極及び画像表示装置も、本発明の範
囲に含まれる。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
有機バインダのみに依存せずに機械的膜強度が確保で
き、平坦形状が簡便に得られ膜内に気泡を抱え込むこと
がなく、また、ナノチューブ以外の不純物を必要以上に
除去するような複雑なCNT精製工程を無くすことを可
能とし、バンドル径増大による電子放出特性の劣化を軽
減できるCNT膜を得ることができる。また、良好な電
子放出特性を有するCNT膜の製造方法を得ることがで
きる。更に、このようなCNT膜を用いた良好な電子放
出特性を有する電界放出型冷陰極、及び、該電界放出型
冷陰極を用いた電界放出型画像表示装置を得ることがで
きる。また、CNT膜の充填材として前記粒子状不純物
を含ませることで有機バインダ成分を減少させ、これに
より、CNT膜から電界電子放出をさせた際に生じるC
NT膜の温度上昇やイオン照射に対してCNT膜からの
ガス放出が抑制できる効果を得ることができる。電界電
子放出型画像表示装置においては、真空容器内残留ガス
や蛍光体がイオン化及び加速されてCNT膜表面に照射
される。この場合には、特にCNT膜表面がイオン照射
で分解しにくいCNTを多く含むことでガス放出の問題
が軽減される。多層構造で上層よりも下層で有機バイン
ダの含有率が高い場合には、有機バインダよりも耐イオ
ン性が高い粒子状不純物が表面付近を充填していること
で耐イオン性の高い表面層が有機バインダを多く含む下
層の表面を保護する効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る製造方法で製造
されたCNT膜をエミッタに適用したFED等の平面画
像表示装置を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態例におけるFEDの製造プロセス
を示す一部断面した斜視図であり、(a)〜(d)は各
工程を段階的に示す。
【図3】図2の各工程に対応する工程を示すフローチャ
ートである。
【図4】FEDの断面構造をより詳細に示す図である。
【図5】アーク放電装置を示す断面図である。
【図6】アーク放電による生成法を示すフローチャート
である。
【図7】真空チャンバ内に堆積する生成粉末の典型的な
形状を示す図であり、(a)は天板堆積物を、(b)は
側板堆積物を、(c)は底板堆積物を夫々示す。
【図8】図6のCNT膜形成工程で形成されたCNT膜
の拡大形状を示す図であり、(a)は天板堆積物を10
0%使用した場合、(b)は天板堆積物30%と側板堆
積物70%とを混合させて使用した場合、(c)は側板
堆積物を100%使用した場合を夫々示す。
【図9】本発明によるCNT膜をエミッタに用いた際の
電子放出特性を蛍光スクリーンで測定する際の状態を示
す図である。
【図10】図9の測定で求めた電界と電流密度との相関
関係を示すグラフ図である。
【図11】天板堆積物比率を測定した際の混合比率依存
性を示すグラフである。
【図12】ガラス基板上に堆積したCNT膜をスライス
した状態を示す斜視図である。
【図13】天板堆積物の比率と充填率との関係を示すグ
ラフ図である。
【図14】本発明の第2実施形態例における成膜工程を
示す断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態例に係るCNT膜をパ
ターニングする状態を示す断面図である。
【図16】従来の3極管構造の一例を模式的に示す図で
ある。
【符号の説明】
10:ガラス基板 11:導電層 12:CNT膜 12a:CNT 12c〜12e:粒子状不純物 12A:第1層 12B:第2層 12C:第3層 13:ゲート絶縁膜 14:大粒不純物 15:カソードライン 16:ゲート電極 17:ゲート開口 20:アーク放電装置 21:真空チャンバ 21a:天板 21b:側板 21c:底板 22:箱体 29a、29b:炭素棒 30a、30b:放電電極 33:蛍光スクリーン
フロントページの続き (72)発明者 岡本 明彦 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 富張 美徳 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 岡田 裕子 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 Fターム(参考) 4G046 CA00 CB03 CC10 5C031 DD17 5C036 EE01 EF01 EF06 EF08 EG02 EG12 EH21

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボンナノチューブ(CNT)及び粒
    子状不純物を含むCNT膜であって、断面及び表面構造
    におけるCNTと粒子状不純物との面積比が0.5:9
    9.5〜40:60の範囲に設定されていることを特徴
    とするCNT膜。
  2. 【請求項2】 前記粒子状不純物が、前記CNTを製造
    する際に該CNTと共に得られる不純物から成ることを
    特徴とする請求項1に記載のCNT膜。
  3. 【請求項3】 前記粒子状不純物が、CNT相互間の隙
    間を埋め込むバインダ材として機能し、該バインダ材と
    は別のバインダ材が更に添加されることを特徴とする請
    求項1又は2に記載のCNT膜。
  4. 【請求項4】 前記別のバインダ材が有機物から成るこ
    とを特徴とする請求項3に記載のCNT膜。
  5. 【請求項5】 前記有機物が、アクリル、ニトロセルロ
    ース、及びポリイミド樹脂の内の少なくとも1つを含む
    材料で構成されることを特徴とする請求項4に記載のC
    NT膜。
  6. 【請求項6】 CNTと前記粒子状不純物とが前記CN
    T膜中に占める充填率が70%以上であることを特徴と
    する、請求項1〜5に記載のCNT膜。
  7. 【請求項7】 前記CNT膜が、順次に積層された2層
    以上の積層膜で構成され、該積層膜の各層におけるCN
    T、粒子状不純物及び別のバインダ材の含有比率が夫々
    別個に設定されていることを特徴とする請求項3〜6の
    内の何れか1項に記載のCNT膜。
  8. 【請求項8】 前記CNT、粒子状不純物及び別のバイ
    ンダ材の内で、上層ほどCNTの含有比率が高く、下層
    ほど前記粒子状不純物及び別のバインダ材の含有比率が
    高いことを特徴とする請求項7に記載のCNT膜の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 最上層におけるCNTの含有比率が80
    〜90%、最上層以下の層におけるCNT以外の含有比
    率が70〜80%、最下層における前記別のバインダ材
    の含有比率が60〜70%であることを特徴とする請求
    項8に記載のCNT膜。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の内の何れか1項に記載
    のCNT膜を用いたことを特徴とする電界放射型冷陰
    極。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の内の何れか1項に記
    載のCNT膜を製造する製造方法であって、 前記粒子状不純物から成るバインダ材及び/又は前記別
    のバインダ材をCNTのエッチングレートよりも速い材
    料で構成して、前記CNT膜をパターニングすることを
    特徴とするCNT膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記CNT膜のパターニング工程にお
    いて残存させたCNT膜領域では、CNTと共に前記バ
    インダ材及び/又は別のバインダ材も残存させることを
    特徴とする請求項11に記載のCNT膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 相互に同じ工程で同時に得られたCN
    T及び粒子状不純物を用いることを特徴とする請求項1
    1又は12に記載のCNT膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 相互に異なる工程で得られたCNT及
    び粒子状不純物を用いることを特徴とする請求項11又
    は12に記載のCNT膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 チャンバ内で相互に対向する一対の炭
    素棒を用いてアーク放電を行い、前記チャンバ内の天
    板、側板及び底板の夫々にCNT及び粒子状不純物を堆
    積させ、該堆積物を用いてCNT膜を製造する製造方法
    であって、 前記チャンバ内の天板及び側板に夫々堆積した天板堆積
    物及び側板堆積物を回収し、回収した前記天板堆積物及
    び側板堆積物の双方を所定の重量比率で混合して混合材
    料を生成し、該混合材料における前記粒子状不純物を該
    混合材料中のCNT相互間の隙間を埋める材料として用
    いたことを特徴とするCNT膜の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記側板堆積物と前記天板堆積物とを
    用いて、断面及び表面構造におけるCNTと粒子状不純
    物との面積比が0.5:99.5〜40:60の範囲を
    満たすようにCNTと粒子状不純物との含有量を調整す
    ることを特徴とする請求項15に記載のCNT膜の製造
    方法。
  17. 【請求項17】 請求項11〜16の内の何れか1項に
    記載のCNT膜の製造方法によって製造されたCNT膜
    を用いたことを特徴とする電界放射型冷陰極。
  18. 【請求項18】 前記CNT膜が前記CNT及び粒子状
    不純物を含有する電子放出面を構成し、該電子放出面に
    は500nmを超える粒径の粒子状不純物は含まれない
    ことを特徴とする請求項17に記載の電子放出型冷陰
    極。
  19. 【請求項19】 請求項18に記載の電子放出型冷陰極
    を用いたことを特徴とする電界放出型画像表示装置。
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