JP2002187967A - 有機ガラスの着色方法 - Google Patents

有機ガラスの着色方法

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JP2002187967A
JP2002187967A JP2000389277A JP2000389277A JP2002187967A JP 2002187967 A JP2002187967 A JP 2002187967A JP 2000389277 A JP2000389277 A JP 2000389277A JP 2000389277 A JP2000389277 A JP 2000389277A JP 2002187967 A JP2002187967 A JP 2002187967A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自由に希望の色調、濃度を変えられるのみな
らず、グラデーション染色加工も容易に行える有機ガラ
ス着色方法を提供すること。 【解決手段】 有機ガラス基材に染料媒体膜を介して昇
華移染により染色を行う方法において、(1) 有機ガラス
基材の表面に媒体樹脂塗膜を形成後、染色浴に浸漬して
媒体樹脂塗膜に染料吸着をさせて染料媒体膜を形成する
染色媒体膜形成工程、(2) 加熱して染料媒体膜中の染料
を有機ガラス基材に昇華移染させる染料移染工程、(3)
染料媒体膜を溶解により脱膜させる染料媒体膜除去工
程、の各工程を順次経て着色有機ガラスを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼鏡、カメラなど
の光学有機ガラスの着色方法、及び、その着色方法によ
り得られる光学要素に関する。以下、光学有機ガラスと
して眼鏡レンズを主として例に採り説明を行なう。
【0002】
【従来の技術】近年、光学レンズ材料として、無機ガラ
スに比して軽量かつ耐衝撃性に優れ、可染性で加工も容
易な有機ガラスが普及してきている。さらに、近年の動
向としては、光学レンズ自体のファッション性の要求か
ら、レンズの端面のコバ薄肉化のニーズが高まりつつあ
る。このため、より高い屈折率を有する超高屈折有機ガ
ラスレンズ(屈折率約1.70)が上市されるようにな
ってきている。
【0003】しかし、有機ガラスレンズは屈折率が向上
するにつれて難染性になるという問題点があった。この
ため、分散染料等を使用した水系染浴(水溶液)に基材
(レンズ)を浸漬して染色を行なう浸漬染色法では、下
記に挙げる課題が顕著に現れ易かった。
【0004】均一かつ安定した色調の染色を基材に対
して行なうことが困難である。染着性(染着速度及び染
着平衡)が、染料水系分散液の各成分(分散染料、界面
活性剤、染色促進剤等)の濃度や、染色温度のバラツ
キ、有機ガラス基材の種類等の影響を受け易いためであ
る。
【0005】高濃度染色(着色)が必要な場合、染色
に長時間を要する。
【0006】低温での染色であり、染着力が十分でな
いことから、後工程での色落ちが大きく、最終仕上がり
で望みの色調に仕上げることが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記課題を解決するた
めに、浸漬染色法に替わる手段、例えば、 気相中に染料を昇華させ有機ガラス表面に染色層を形
成した後、染料を加熱転写(移染)する方法(特開昭5
6−159376号等)、 染色された転写フィルムを有機ガラス基材表面に貼り
付け、加熱転写する方法(特開2000−9905号
等)、 染料を含有した油性インキを有機ガラス基材上に塗布
し、加熱転写する方法(特開2000−17586
等)、 水溶性ポリマーに分散染料を溶解若しくは懸濁したう
えで、有機ガラス基材に練り込みまたは浸透させる方法
(特許第3022555号、3074503号等)、 が提案されている。
【0008】しかし、上記の方法では、染料により昇
華温度が違うため、希望する色調、着色濃度を基材に得
ることが困難である。また上記の方法では、転写フィ
ルムを曲面に対しきれいに貼付することが難しく、着色
むらのない均一な着色を基材に得ることが困難である。
【0009】また、上記、、ともに、(a) 「ハー
フ」と称すグラデーション染色加工が困難である、(b)
予め染料を配合(調合)し、加熱転写を行なうため、短
時間で希望の色調に着色するのが困難であり、希望色に
配合(調合)するのに時間を要する、という問題点があ
った。
【0010】更に、上記の方法では、着色性の面で不
十分であり、高濃度(濃度70%以上、視感度透過率3
0%以下)の染色物を得難かった。
【0011】本発明は、上記にかんがみて、自由に希望
の色調、濃度を変えられるのみならず、グラデーション
染色加工も容易に行える有機ガラスの着色方法及び該着
色方法により得られる光学要素を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意開発・研究に努力した結果、下記構
成の有機ガラス着色方法、及び光学要素に想到した。
【0013】本発明の有機ガラス着色方法は、有機ガラ
ス基材又はハードコート膜を備えた有機ガラス基材(以
下有機ガラス基材等)に染料媒体膜を介して昇華移染に
より染色を行う方法において、(1) 有機ガラス基材等の
表面に媒体樹脂塗膜を設けた後、染色浴に浸漬して媒体
樹脂塗膜に染料吸着をさせて染料媒体膜とする染料媒体
膜形成工程、(2) 加熱して染料媒体膜中の染料を有機ガ
ラス基材等に転写(昇華移染)させる染料移染工程、
(3) 染料媒体膜を溶解により脱膜させる染料媒体膜除去
工程、の各工程を順次経て着色有機ガラスを得ることを
特徴とする。
【0014】又、別の方法として、(1) 有機ガラス基材
等の表面に、染料を含有する染料媒体樹脂を設けること
により染料媒体膜を形成する染料媒体膜形成工程、(2)
加熱して染料媒体膜中の染料を有機ガラス基材に転写
(昇華移染)させる染料移染工程、(3) 前記染料媒体膜
を溶解により脱膜させる染料媒体膜除去工程、の各工程
を順次経て着色有機ガラスを得ることを特徴とする。
【0015】前記各染料移染工程においては、加熱処理
の温度及び/又は時間に勾配を持たせ、かつ必要により
部分的に冷却を行うことにより、グラデーション染色を
行うことが可能である。
【0016】前記染料としては、非水溶性染料を使用す
ることが、高屈折有機ガラス基材に対する染色性が良好
であるとともに昇華性の高いものが得易くて望ましい。
【0017】また、染料媒体膜を形成する媒体樹脂塗液
に含有させる合成樹脂は、有機溶媒に溶解可能なもの
で、特にアクリル系熱可塑性樹脂を使用することが、染
料媒体性が優れているとともに、有機ガラス基材等から
の脱膜除去性に優れているため望ましい。
【0018】一方、本発明の光学要素は、上記各着色方
法により着色されていることを特徴とする。必要によ
り、プライマー層を介して、又は介さずにシリコーン系
硬化塗膜等のハードコート膜を積層し、さらに無機反射
防止膜を積層したものとすることもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態について詳
細に説明を行う。図1には、本発明の着色有機ガラスの
製造工程の代表例を示す。以下の説明で配合組成を示す
「%」、「部」は、特に断らない限り「質量(重量)」
単位とする。
【0020】本発明の有機ガラスの着色方法は、有機ガ
ラス基材に又はハードコート膜を備えた有機ガラス基材
に、染料媒体膜を介し昇華移染により染色を行なうこと
を前提的構成とする。
【0021】有機ガラス基材としては、ポリメチルメタ
クリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、
脂肪族アリルカーボネート、芳香族アリルカーボネー
ト、ポリチオウレタン、チオエポキシ樹脂等からなるも
のを挙げることができる。本発明の着色方法は、低屈折
率レンズ、高屈折率レンズを問わず適用可能である。
【0022】有機ガラス基材上には、通常、ハードコー
ト膜を備えている。そして、該ハードコート膜には、耐
衝撃性を高めるため、プライマー層を付与することも可
能である。
【0023】ハードコート膜は、最終製品に形成されて
いればよく、 染色前に有機ガラス基材上に形成し、その後ハードコ
ート膜上に染料媒体膜を形成して染色を行う方法、 有機ガラス基材上に染料媒体膜を形成し染色が完了し
た後にハードコート膜を形成する方法、 のいずれを選択してもよい。
【0024】ハードコート膜としては、シリコーン系硬
化塗膜を使用することが望ましく、例えば、オルガノア
ルコキシシランの加水分解物に、触媒、金属酸化物微粒
子(複合微粒子を含む)を加え、希釈溶剤にて塗布可能
な粘度になるように調節したハードコート液をガラス基
材上に塗布することにより形成される。さらにこのハー
ドコート液には、適宜界面活性剤、紫外線吸収剤等の添
加も可能である。
【0025】なお、上記ハードコート膜は、可染性タイ
プ・非染性タイプを問わず染色が可能である。
【0026】上記オルガノアルコキシシランとして
は、下記一般式で示されるものが使用可能である。
【0027】R1 a2 bSi(OR34-(a+b) (但し、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基、
エポキシ基、メタクリルオキシ基、フェニル基であり、
2 は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シク
ロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ア
リールアルキル基、アルキルアリール基、R3 は、炭素
数1〜4のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル
基、アルコキシアルキル基、アリールアルキル基であ
る。また、a=0または1、b=0、1、または2であ
る)。
【0028】具体的には、テトラメトキシシラン、メチ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメ
チルクロロシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシ
ラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β
−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができ
る。これらは、単独使用の他に、2種以上を併用するこ
とも可能である。
【0029】上記触媒としては、トリメリト酸、無水
トリメリト酸、イタコン酸、ピロメリト酸、無水ピロメ
リト酸等の有機カルボン酸、メチルイミダゾール、ジシ
アンジアミド等の窒素含有有機化合物、チタンアルコキ
シド、ジルコアルコキシド等の金属アルコキシド、アセ
チルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄等の金
属錯体、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金
属有機カルボン酸塩を使用できる。
【0030】金属酸化物微粒子としては、平均粒径が
約5〜50μmのコロイダルシリカ、コロイダルチタニ
ア、コロイダルジルコニア、コロイダル酸化セリウム(I
V)、コロイダル酸化タンタル(V) 、コロイダル酸化ス
ズ(IV)、コロイダル酸化アンチモン(III) 、コロイダル
アルミナ、コロイダル酸化鉄(III) 等を使用でき、これ
らは、単一使用の他に、2種以上を併用、または複合微
粒子として使用することも可能である。
【0031】希釈溶剤としては、アルコール類、ケト
ン類、エステル類、エーテル類及びセロソルブ(VCC
社商品名:エチレングリコールのモノアルキルエーテル
類)類の極性溶剤を好適に使用できる。
【0032】コーティング方法としては、ディッピン
グ法、スピンコート法等の慣用の方法から選ばれる。硬
化条件は、約80〜130℃×約1〜4hとする。
【0033】上記有機ガラス基材と、ハードコート膜と
の間には、プライマー層を形成することができるが、特
に、耐衝撃性に優れた下記プライマーを使用することが
望ましい。
【0034】具体的なプライマーとして、ウレタン系熱
可塑性エラストマー(TPU)に金属酸化物無機微粒子
を添加したTPUプライマー組成物と、塗膜形成ポリマ
ーの全部または主体がエステル系熱可塑性エラストマー
(TPEE)に上記と同様の金属酸化物無機微粒子を添
加したTPEEプライマー組成物を用いる。
【0035】TPUは、長鎖ポリオールとポリイソシア
ナートからなるソフトセグメントと短鎖ポリオールとポ
リイソシアナートからなるハードセグメントとで構成さ
れるもので、水性エマルション(乳濁液)の形態で添加
されることが望ましい。
【0036】金属酸化物微粒子は、前述のハードコート
に使用したものを使用出来る。
【0037】TPEEは、ハードセグメントにポリエス
テル、ソフトセグメントにポリエーテル又はポリエステ
ルを使用したマルチブロック共重合体で、このハードセ
グメントとソフトセグメントとの重量比率は、通常、前
者/後者=約30/70〜10/90とする。
【0038】また、ウレタン系プライマーと同様の金属
酸化物無機微粒子を屈折率調整用として用いる。
【0039】そして、上記有機ガラス基材等を染色する
場合、第1の方法としては、まず、有機ガラス基材等表
面に媒体樹脂塗膜を設けた後、染色浴に浸漬して染料を
媒体樹脂塗膜に吸収(受容)させて染料媒体膜とする。
いわゆる、なせん(捺染)におけるのり(糊)層を形成
する工程(印なつ工程)に相当する。
【0040】媒体樹脂塗膜を形成する媒体樹脂として
は、下記溶解(分散)剤に対して、可溶(分散)可能な
樹脂であれば特に限定されるものではないが、具体的に
は、アクリル系樹脂、飽和エステル系樹脂、ビニルブチ
ラール系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、アミ
ド系樹脂、セルロース系樹脂(以上、熱可塑性樹脂);
ウレタン系樹脂、ふっ素系樹脂、エポキシ樹脂、メラミ
ン樹脂、シリコーン系樹脂(以上、熱硬化性樹脂)等
や、又はそれらの混合物、誘導体の重合体、共重合体等
を挙げることができる。
【0041】上記樹脂のうち、熱硬化性樹脂は加熱によ
り硬化して加熱昇華後の剥離が困難となる。そのため熱
可塑性樹脂を使用するのが好ましい。上記熱可塑性媒体
樹脂のうち、アクリル系熱可塑性樹脂が、染料媒体性が
優れているとともに、有機ガラス基材等からの脱膜除去
性に優れているため望ましい。ここで、染料媒体性と
は、染色浴中の染料を吸着(受容)しかつ有機ガラス基
材等へ移行させる性質をいう。
【0042】上記媒体樹脂塗膜を形成する媒体樹脂塗料
中の上記媒体樹脂の濃度は、約0.01〜90%、好ま
しくは約0.1〜70%、さらに好ましくは約1〜50
%とする。樹脂濃度が低過ぎると、染料を吸着(受
容)、移染させるのに十分な塗膜厚を得難い。また、逆
に高すぎると染料の移染性の低下及び付着膜の面精度
(レベリング性)が低下して染色ムラの一因となる。こ
こで、必要な塗膜厚は約0.1〜10μmである。
【0043】前記媒体樹脂塗料における媒体樹脂の溶解
(分散)剤は、SP値20以下、好ましくはSP値15
以下のものであれば特に限定されるものではなく、媒体
樹脂を溶解又は分散できるものであればよい。具体的に
は、メタノール(14.8)、エタノール(12.
8)、イソプロピルアルコール(11.15)、n−ブ
タノール(11.1)などのアルコール類、酢酸メチル
(9.6)、酢酸エチル(9.0)、酢酸ブチル(8.
5)などのエステル類、ベンゼン(9.2)、トルエン
(8.9)、p−キシレン(8.8)などの炭化水素
類、アセトン(9.8)、メチルイソプロピルケトン
(9.5)、メチルプロピルケトン(8.9)などのケ
トン類等が挙げられ、上記溶剤2種以上を併用すること
もできる(括弧内はSP値を示す。)。
【0044】上記媒体樹脂塗料を有機ガラス基材等に塗
布する方法としては、均一に成膜することができれば特
に制限されるものではないが、具体的には、ディッピン
グ法、スピンコート法、刷毛塗り法、スプレー法等の公
知技術を利用することができる。特にスピンコート法
は、均一な成膜が容易であるため有効に利用できる。
【0045】通常、有機ガラス基材等への形成を行う前
に基材レンズ表面を酸、アルカリ洗浄溶剤を使用して脱
脂洗浄、超音波洗浄等の前処理を行なう。有機ガラス基
材への付着性を向上させるために、プラズマエッチン
グ、アルカリエッチング等の処理を施してもよい。ま
た、媒体樹脂塗膜の硬化、もしくは乾燥をさせるために
約50〜100℃で10min 程度の熱処理を行うことが
望ましい。
【0046】また、溶解または分散した媒体樹脂塗料の
レベリング性を向上させるために、シリコーン系界面活
性剤、またはふっ素系界面活性剤を配合することが望ま
しい。
【0047】上記媒体樹脂塗膜を有機ガラス基材等の表
面(両面又は片面)に形成した後、該媒体樹脂塗膜に染
料を吸着(吸着・受容)させて染料媒体膜を形成する。
この染料吸着の方法としては、公知技術を使用すること
ができ、中でも、浸漬染色法を使用することが望まし
い。具体的には、染色浴中に、染料とキャリヤー剤を含
有させて行うキャリヤー染色法、染料と分散剤を含有さ
せて行う一般染色法等が挙げられる。染料として非水溶
性染料を使用する場合、上記染色浴は、SP値(溶解性
パラメーター)が約7〜13の有機溶媒からなる染料溶
解剤(水と有機溶剤との混合系)に染料が完全溶解また
は一部溶解されてなる状態であることが望ましい。ここ
で完全溶解とは、染色浴中の染料が飽和量に達しておら
ず、染料がすべて溶解している状態をいい、一部溶解と
は、染色浴中の染料が飽和量以上存在しており、染料の
一部が溶解せずに残存した状態をいう。また、近年普及
してきているインクジェット記録法等なども挙げられ、
上記方法を複数併用することも可能である。
【0048】染料としては、高屈折率の有機ガラス基材
に対する染色性(有機ガラス基材に対する移染性)が良
好であるとともに、昇華性の高いものが得易いことか
ら、非水溶性染料が望ましい。非水溶性染料としては、
汎用の分散染料(Disperse Dyes)、または、油溶性染料
(Solvent Dyes) を好適に使用できる。
【0049】分散染料としては、「スミカロン (Sumika
ron)」住友化学社製;「ダイアセリトン (Diaoellito
n)」 、「ダイアニックス (Dianix) 」、「サマロン (S
amaron)」ダイスタージャパン社製;「カヤロン ポリ
エステル (Kayalon Polyester)」日本化薬社製;「ミケ
トン ポリエステル (Miketon Polyester)」三井BAS
F染料社製、等の各商品名で製造販売されているものを
挙げることができる。
【0050】油溶性染料としては、「スピリット (Spil
it) 」住友化学社製;「オリエントオイル (Orient Oi
l) 」オリエント化学社製;「ミツイSP」三井化学社
製、等の各商品名で製造販売されているものを挙げるこ
とができる。
【0051】上記非水溶性染料である分散染料や油溶性
染料には、これらの染料と同等の昇華性を示す紫外線吸
収剤や蛍光増白剤(非水溶性昇華性染料の1種であ
る。)を添加することができる。上記、紫外線吸収剤及
び蛍光増白染料はこれらを添加した非水溶性染料全体量
中の、約0.1〜50%、望ましくは約1〜20%とす
る。これらの紫外線吸収剤や蛍光増白剤を含んだ染色浴
で染色し、後述の如く基材レンズ等染料の加熱昇華(移
染)を行うと、染色と同時的に、紫外線吸収・蛍光増白
等の効果を光学要素(眼鏡等)に付与できる。すなわ
ち、眼鏡使用時において、目を紫外線から保護すること
ができるとともに、眼鏡のファッション機能を高めるこ
とができる。
【0052】紫外線吸収剤としては、昇華性を有すれば
特に限定されるものではないが、ベンゾフェノン系、ベ
ンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリシレ
ート系等が使用可能である。蛍光増白剤としては、ジア
ミノスチルベンジスルホン酸系、イミダゾール系、クマ
リン系、トリアゾール系等が使用可能である。
【0053】媒体樹脂塗膜への染料の吸着温度として
は、媒体樹脂塗膜に染料を吸着させることができれば特
に限定されるものではないが、具体的には約0〜100
℃、好ましくは約5〜85℃、さらに好ましくは約15
〜75℃とする。吸着温度が低過ぎると染料の凝集が起
こり、吸着性が低下するとともに、冷却装置を必要とす
るため、不経済である。逆に吸着温度が高すぎると、有
機ガラス基材及び媒体樹脂塗膜に熱変形、溶解、等のダ
メージを与える可能性があるとともに、有機溶剤が突沸
するおそれがある。
【0054】第2の方法としては、有機ガラス基材等の
表面に、染料を含有する染料媒体樹脂を設けることによ
り染料媒体膜を形成する方法である。これは、染料媒体
樹脂中に染料を含有させた後、該染料媒体樹脂を有機ガ
ラスレンズ等の表面に塗布する方法であって、練り込み
着色法として公知の技術である。
【0055】染料媒体膜を形成する媒体樹脂としては、
上記第1の方法において例示したものが使用可能であ
る。さらに、染料媒体樹脂塗料中の上記染料媒体樹脂の
濃度、必要な塗膜厚、媒体樹脂の溶解剤(分散剤)、有
機ガラスレンズ等への塗布方法、添加可能な界面滑性
剤、使用可能な染料等も、上記第1の方法において述べ
たものに準じて使用することが出来る。
【0056】染料として非水溶性染料を使用する場合に
は、上記染料媒体樹脂は、SP値(溶解性パラメータ
ー:Solubility Parameter )が約7〜13、望ましくは
約9〜11の有機溶媒からなる染料溶解剤(有機溶剤の
み、若しくは、水と有機溶剤との併用系)に完全溶解ま
たは一部溶解されてなる状態の染料を含有することが望
ましい。ここで完全溶解とは、染色浴中の染料が飽和量
に達しておらず、染料がすべて溶解している状態をい
い、一部溶解とは、染色浴中の染料が飽和量以上存在し
ており、染料の一部が溶解せずに残存した状態をいう。
染料溶解剤のSP値が上記値から外れると、樹脂、染
料、溶剤の相互溶解性が悪くなり、目的の濃度まで着色
できなかったり、染色ムラ等の外観不良を招く。
【0057】また、染料溶解剤は、有機ガラス基材及び
ハードコート層の表面を冒さない(面荒れがない)こと
を考慮して選択する。具体的には、ベンゼン(9.1
5)、トルエン(8.90)、o−キシレン(9.0
0)、m−キシレン(8.80)、p−キシレン(8.
75)、エチルベンゼン(8.80)、ナフタレン
(9.90)、テトラリン(9.50)、n−プロピル
ベンゼン(8.65)、i−プロピルベンゼン(8,8
6)、メシチレン(8.80)、等の芳香族炭化水素
類、シクロヘキサノール(11.40)、エタノール
(12.7)、n−ブタノール(11.40)、i−ブ
タノール(10.70)、n−プロパノール(12.1
0)、ジアセトンアルコール(10.18)、n−ヘプ
タノール(10.00)、等の水酸基化合物類、アセト
ン(10.00)、メチルエチルケトン(9.30)、
ジエチルケトン(8.80)、ジブチルケトン(8.1
0)、メチル−n−プロピルケトン(8.70)、メチ
ル−n−ブチルケトン(8.60)、メチル−i−アミ
ルケトン(8.50)、メチルヘキシルケトン(8.4
5)、シクロヘキサノン(9.90)、アセトフェノン
(9.68)等のケトン類、メチラール(8.52)、
フラン(9.09)、β−β−ジクロロエチルエーテル
(9.80)、ジオキサン(10.00)、テトラヒド
ロフラン(9.90)、エチルセロソルブ(9.90)
等のエーテル類、等が挙げられ、単独若しくは、二種以
上を適宜選択して用いることができる(括弧内は、SP
値を示す。)。
【0058】また、上記染料溶解剤には、少なくともエ
ーテル類、水酸基化合物類及び/又はケトン類を含むこ
とが染料の溶解性に優れ、かつ、有機ガラス基材等の表
面の面荒れを起こしにくい。
【0059】そして、上記染料媒体膜を加熱することに
より、染料を昇華させ、有機ガラス基材等に染料を移染
(移行固着)させる。いわゆるなせん(捺染)におけ
る、蒸熱による染料固着工程に相当する。
【0060】加熱昇華の方法としては特に限定されるも
のではないが、具体的には熱風循環炉、遠赤外線炉、電
気炉、ドライヤー等を使用するドライ処理、湯、または
熱油浴への浸漬によるウエット処理等がある。上記のう
ち、熱風循環炉は、機器内部の温度むらがなく、かつ、
有機ガラス基材を均一に加熱可能である利点を有する。
【0061】一方、この加熱処理に際して、次のような
操作を行えば、着色濃度勾配(グラデーション:gradat
ion )を有する着色有機ガラスを容易に得ることができ
る。
【0062】染料溶解剤にて溶解若しくは一部溶解させ
た染料を浸透若しくは含有させた染料媒体膜に対して、
不均等加熱を行う。又は、湯浴、熱湯浴を使用し、少な
くとも染料媒体膜に対し、温度勾配がつくように、又は
加熱時間に差を持たせるように熱処理を行う。このよう
な不均等加熱を行うことにより、積算累計加熱量に応じ
た着色濃度勾配を持たせることができる。そのため、着
色濃度勾配を有する着色有機ガラスレンズを得るには、
局部加熱が容易な遠赤外線炉、電気炉、ドライヤー、又
はウェット処理による加熱が望ましい。
【0063】着色濃度勾配を有する着色有機ガラスを得
る際の冷却方法としては、特に限定はされないが、40
℃以下のエアーを使用するのが実用上好適である。エア
ー冷却は熱伝導による着色(移染)を抑えることが可能
である。
【0064】加熱昇華(移染)温度としては、有機ガラ
ス基材のガラス転移温度、ハードコート膜を備えた有機
ガラス基材の染色を行なう場合はハードコート膜(プラ
イマー層を含む。)の耐熱温度、及び、染料の昇華圧
(昇華温度)を考慮して設定する。
【0065】通常、約60〜200℃、望ましくは約7
0〜180℃、さらに望ましくは約80〜150℃とす
る。加熱昇華温度が低過ぎると十分な着色性が得難く、
逆に高すぎると有機ガラス基材に熱変形が発生するおそ
れがある。なお、この場合に、減圧雰囲気(通常約10
〜800hPa )とすれば、相対的に加熱処理温度を低く
でき、かつ加熱昇華時間も短くすることが期待できる。
また、熱に対して安定な(変形しない)有機ガラス基材
に関しては加圧加熱することも可能であり、この際、比
較的低温でより有機ガラス基材へ染料を移染することが
できる。
【0066】加熱昇華時間としては、有機ガラス基材等
の染色性の違いにより異なるが、通常約10min 〜24
h、好ましくは約30min 〜6hとする。加熱昇華温
度、時間とも被染対象物となる有機ガラス基材、又は、
プライマー膜、ハードコート膜(シリコーン系硬化塗
膜)に悪影響がないよう配慮して選定することが必要で
ある。
【0067】なお、上記加熱昇華を行う際には、染料の
外部飛散防止、及び染料媒体膜形成面の傷防止を目的と
して、染料媒体膜形成面のさらにその上に熱可塑性樹脂
を保護膜としてコーティングしてもよい。保護膜用熱可
塑性樹脂としては、耐熱性及び耐溶剤性が良好であり、
保護膜とした後、溶解剥離できるものであれば特に限定
されるものではない。具体的にはポリビニルブチラー
ル、ポリビニルアルコール等を好適に使用できる。
【0068】上記加熱昇華後の有機ガラス基材に付着し
ている染料媒体膜及び保護膜は、アセトン等の有機溶剤
または水(温水)等への浸漬により溶解剥離させて除去
する。当該工程は、捺染における糊除去工程に相当す
る。なお、使用可能な有機溶剤としては、前述の染料用
介在に使用したものと同様にSP値8〜11の有機溶剤
を使用する。
【0069】上記ハードコート膜上には、通常、反射防
止膜を形成することが望ましい。該反射防止膜の形成
は、通常、金属、金属酸化物、金属ふっ化物等の無機微
粒子を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティ
ング等の乾式メッキ法により形成することにより行う。
【0070】反射防止膜を形成する無機物の具体例とし
ては、シリカ、チタニア(IV)、酸化タンタル(V)、酸
化アンチモン(III) 、ジルコニア、アルミナ等の金属酸
化物や、ふっ化マグネシウム等の金属ふっ化物を挙げる
ことができる。
【0071】
【発明の効果】本発明の有機ガラス着色方法は、有機ガ
ラス基材等の表面に、媒体塗膜を形成後、染色浴により
染料媒体膜を設けて染色を行うことにより、後述の実施
例で支持されるごとく、下記効果を奏する。
【0072】媒体樹脂塗膜の膜厚及び染色浴を用いた染
料吸着条件、さらには、昇華移染の条件をそれぞれ独立
的に調整して、容易に組み合わせることができる。
【0073】このため、超高屈折率から低屈折率の有機
ガラス基材、特に非染性の有機ガラス基材に対しても効
率よく、かつ安易に希望の色調、濃度に着色を行うこと
ができる。また、従来の加熱昇華染色法では困難とされ
ていた、グラデーション着色加工も安易に行うことでき
る。さらに、有機ガラス基材表面に形成されたハードコ
ート膜に対しても容易に着色できることから、後工程で
の変褪色を考慮せずに希望の色調、濃度に着色すること
が可能となった。
【0074】
【実験例】以下本発明の効果を確認するために行った実
験例である実施例及び比較例について説明する。各実験
例に使用した材料は、それぞれ、下記のようにして調製
したものである。
【0075】有機ガラス基材 有機ガラス基材A(低屈折基材:屈折率1.50) ジエチレングリコールビスアリルカーボネート100部
に、重合開始剤:ジイソプロピルパーオキシカーボネー
ト3部を混ぜ合わせ、0.8μメンブランフィルターに
て濾過を行い、濾液をガラス製鋳型中に注入した。次に
40℃で3h、40〜60℃までを12h、65〜85
℃までを6hかけて昇温し、最後に85℃にて3hの加
熱を行った後、レンズを鋳型より取り出し、さらに13
0℃にて2hのアニーリング(annealing:歪み除去) を
行うことにより、有機ガラス基材を得た。
【0076】有機ガラス基材B(高屈折基材:屈折率
1.67上市品)…チオウレタン系有機ガラス。
【0077】有機ガラス基材C(超高屈折基材:屈折
率1.74上市品)…チオエポキシ系有機ガラス。
【0078】ハードコート液 ハードコート液a(低屈折液:屈折率1.50):γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100部、
MeOH200部、10-2N HCl 1100部を2
時間還流にて加水分解後、メタノールシリカゾール12
00部、アセチルアセトンアルミニウム7部、「FC−
430」(住友3M社製ふっ素系界面活性剤)0.4部
を加え調製した。
【0079】ハードコート液b(高屈折液:屈折率
1.60):γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン320部、テトラエトキシシラン50部、及びMe
OH230部からなる混合物を、攪拌して均一化後、攪
拌を続けながら10-2N HCl 60部をゆっくり滴
下した後、室温にて一昼夜の加水分解を行った。この加
水分解液にチタニア系複合粒子360部、イタコン酸4
0部、ジシアンアミド20部、レベリング剤1部を添加
し、室温で約24h攪拌して調製した。
【0080】ハードコート液c(超高屈折液:屈折率
1.66):γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン320部、テトラエトキシシラン50部、及びMe
OH230部からなる混合物を、攪拌して均一化後、攪
拌を続けながら10-2N HCl 60部をゆっくり滴
下した後、室温にて一昼夜の加水分解を行った。この加
水分解液にチタニア系複合粒子700部、イタコン酸4
0部、ジシアンアミド20部、レベリング剤1部を添加
し、室温で約24h攪拌して調製した。
【0081】媒体樹脂塗料 市販のアクリルレジン『ダイヤナールBR−80』9部
をジアセトンアルコール21部に溶解させた後、メチル
エチルケトン(MEK)30部、レベリング剤として
『SILWET L−7001』0.01部を混合し、
均一な状態になるまで攪拌し調製した。
【0082】染料(含有)媒体樹脂塗料 染料(含有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用) 『スミカロンブルーE−RPD』6部、『スミカロンレ
ッドE−RPD』4部、『スミカロンイエローE−RP
D』2部にメチルケトン12部、ジオキサン12部を加
え、約10分間攪拌溶解した後、3μフィルターにて濾
過を行い、非水溶性塗料の溶解液を調製した。別に、市
販のアクリルレジン『ダイヤナールBR−80』3.2
部をトルエン12.8部に溶解させた樹脂溶液を調製
し、そこへ、上記塗料の溶解液、及びレベリング剤とし
て『SILWET L−7001』0.01部を混合
し、均一な状態になるまで攪拌し調製した。
【0083】染料(含有)媒体樹脂塗料β(紫外線吸
収染料使用) 紫外線吸収剤『ユビナールD−50』2部にメチルケト
ン14.4部、ジオキサン14.39部を加え、約10
分間攪拌溶解した後、3μフィルターにて濾過を行い、
非水溶性塗料の溶解液を調製した。別に、市販のアクリ
ルレジン『ダイヤナールBR−80』3.84部をトル
エン15.36部に溶解させた樹脂溶液を調製し、そこ
へ、上記紫外線吸収剤の溶解液、及びレベリング剤とし
て『SILWET L−7001』0.01部を混合
し、均一な状態になるまで攪拌し調製した。
【0084】染料(含有)媒体樹脂塗料γ(高分子ポ
リマーベース:比較例で使用) 純水100部にポリビニルアルコール#2000(分子
量約2000)6部を加え、均一な状態になるまで攪拌
し、次いで、『スミカロンブルーE−RPD』3部、
『スミカロンレッドE−RPD』2部、『スミカロンイ
エローE−RPD』1部を加え、均一な状態になるまで
攪拌して調製した。
【0085】保護膜用塗料 ポリビニルアルコール(重合度約2,000)15部に
純水85部を加え、均一な状態になるまで攪拌して調製
した。
【0086】染色浴 染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用) 水1000部に『スミカロンブルーE−RPD』1部、
『スミカロンレッドE−RPD』0.5部、『スミカロ
ンイエローE−RPD』0.5部、染料溶解剤として
『イソプロピルアルコール』25部、界面活性剤として
『レベノールV−700』3部、及び、キャリヤー剤と
して、ベンジルアルコール25部を加え攪拌した後、6
0℃まで加熱して調製した。
【0087】染色浴II(染料溶解剤含有、紫外線吸収
染料使用) 水1000部に紫外線吸収剤『ユビナールD−50』2
部、界面活性剤として『レベノールV−700』3部、
染料溶解剤として『イソプロピルアルコール』25部、
及び、キャリヤー剤として、ベンジルアルコール25部
を加え攪拌した後、60℃まで加熱して調製した。
【0088】染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料
使用) 水1000部に『スミカロンブルーE−RPD』2部、
『スミカロンレッドE−RPD』1部、『スミカロンイ
エローE−RPD』1部、及び界面活性剤として、『レ
ベノールV−700』3部を加え、攪拌した後90℃ま
で加熱して調製した。
【0089】染色浴IV(染料溶解剤なし、紫外線吸収
染料使用) 水1000部に紫外線吸収剤『ユビナールD−50』2
部、及び界面活性剤として、『レベノールV−700』
3部を加え、攪拌した後90℃まで加熱して調製した。
【0090】<実施例1>エチルアルコールを浸した布
で有機ガラス基材A(低屈折基材:レンズ)を拭き上
げ、該レンズの凹面にスピンコート法(ステップ1:1
000rpm ×5sec、ステップ2:2000rpm ×5s
)により、前記媒体樹脂塗料を塗布し、エアーオーブ
ンにて100℃×5min の熱処理を行った。その後、凸
面も同様に媒体樹脂塗料を塗布し熱処理をしてガラス基
材上に媒体樹脂塗膜(塗膜厚0.15μm)を形成し
た。
【0091】次に、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染
料使用)に10min 浸漬して媒体樹脂塗膜に染料吸着を
させて染料媒体膜とし、浸漬後のガラス基材上に媒体樹
脂塗膜形成時と同条件で保護膜を塗布した。
【0092】その後、エアオーブンにて、130℃×1
00min の加熱を行った後、温水(約60℃)に2min
、次いでアセトンに1min 浸漬させ、染料媒体膜及び
保護膜を脱膜し、着色有機ガラス基材を得た。
【0093】上記着色有機ガラス基材を40℃の水酸化
ナトリウム水溶液(濃度10%)に浸漬させ、純水にて
洗浄し、水切りを行った。
【0094】その後、ハードコート液a(低屈折液)に
浸漬させ、105mm/minで引き上げて、95℃で20mi
n の仮硬化を得た。その後100℃で2hの硬化を行
い、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0095】<実施例2>有機ガラス基材A(低屈折基
材)、染色浴II(染料溶解剤含有、紫外線吸収染料使
用)、ハードコート液a(低屈折液)を用いて、実施例
1の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を
得た。
【0096】<実施例3>有機ガラス基材B(高屈折基
材)、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用)、ハ
ードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例1の方法
に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0097】<実施例4>有機ガラス基材B(高屈折基
材)、染色浴II(染料溶解剤含有、紫外線吸収染料使
用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例
1の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を
得た。
【0098】<実施例5>有機ガラス基材C(超高屈折
基材)、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用)、
ハードコート液c(超高屈折液)を用いて、実施例1の
方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得
た。
【0099】<実施例6>有機ガラス基材A(低屈折基
材:レンズ)を40℃の水酸化ナトリウム水溶液(濃度
10%)に浸漬させ、純水にて洗浄し、水切りを行った
後、ハードコート液a(低屈折液)に浸漬させ、105
mm/minで引き上げて、95℃で20min の仮硬化を行っ
た。その後100℃で2hの硬化を行い、ガラスハード
コート加工品を得た。
【0100】上記ガラスハードコート加工品に、実施例
1の方法に準じて媒体樹脂塗膜を形成し、染色浴I(染
料溶解剤含有、着色染料使用)に10min 浸漬して媒体
樹脂塗膜に染料吸着をさせて染料媒体膜とし、浸漬後の
ガラス基材上に媒体樹脂塗膜形成時と同条件で保護膜を
形成した。
【0101】その後、エアオーブンにて、130℃×1
00min の加熱を行って昇華移染を行なった後、温水
(約60℃)に2min 、次いでアセトンに1min 浸漬さ
せて、染料媒体膜及び保護膜を脱膜除去して、有機ガラ
スハードコート加工品を得た。
【0102】<実施例7>有機ガラス基材A(低屈折基
材)、染色浴II(染料溶解剤含有、紫外線吸収染料使
用)、ハードコート液a(低屈折液)を用いて、実施例
6の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を
得た。
【0103】<実施例8>有機ガラス基材B(高屈折基
材)、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用)、ハ
ードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例6の方法
に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0104】<実施例9>有機ガラス基材B(高屈折基
材)、染色浴II(染料溶解剤含有、紫外線吸収染料使
用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例
6の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を
得た。
【0105】<実施例10>有機ガラス基材C(超高屈
折基材)、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使
用)、ハードコート液c(超高屈折液)を用いて、実施
例6の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品
を得た。
【0106】<実施例11>エチルアルコールを浸した
布で、有機ガラス基材A(低屈折基材)を拭き上げ、該
レンズの凸面にスピンコート法(ステップ1:300rp
m ×15s 、ステップ2:1000rpm ×15s )によ
り、染料(含有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)を塗
布し、風乾させて染料媒体膜を形成した。
【0107】その後、保護膜の形成、有機ガラス基材の
熱処理、温水(約60℃)に2min、次いでアセトンに
1min 浸漬させることによる染料媒体膜及び保護膜の脱
膜除去、ハードコート加工(ハードコート液a(低屈折
液)を使用)を行い、着色有機ガラスハードコート加工
品を得た。各処理方法・処理条件は実施例1に準じて行
ったが、本実施例においては、エアオーブンによる有機
ガラス基材の熱処理時間を30min とした。
【0108】<実施例12>有機ガラス基材B(高屈折
基材)、ハードコート液b(高屈折液)、染料(含有)
媒体樹脂塗料α(着色染料使用)を用いて実施例11の
方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品を得
た。
【0109】<実施例13>有機ガラス基材C(超高屈
折基材)、ハードコート液c(超高屈折液)、染料(含
有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)を用いて、実施例
11の方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品
を得た。ただし、本実施例においては、エアオーブンに
よる有機ガラス基材の熱処理時間を60min とした。
【0110】<実施例14>有機ガラス基材A(低屈折
基材)(レンズ)を、ハードコート液a(低屈折液)を
用いて実施例6と同様にハードコート加工を行った。
【0111】上記ガラスハードコート加工品に、実施例
11の方法に準じて、染料(含有)媒体樹脂塗料α(着
色染料使用)を用い、染料含有媒体樹脂塗膜を形成し、
その後保護膜の形成、有機ガラス基材の熱処理を行い、
さらに温水(約60℃)に2min 、次いでアセトンに1
min 浸漬させて染料媒体膜及び保護膜を脱膜除去して有
機ガラスハードコート加工品を得た。
【0112】<実施例15>有機ガラス基材A(低屈折
基材)、ハードコート液a(低屈折液)、染料(含有)
媒体樹脂塗料β(紫外線吸収染料使用)を用いて実施例
11の方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品
を得た。
【0113】<実施例16>有機ガラス基材B(高屈折
基材)、染料(含有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)
を用いて実施例11の方法に準じて染料媒体膜及び保護
膜の形成を行った。
【0114】その後、前記有機ガラス基材を固定し、凸
面上部約10cmの距離からヒーティングガンにて熱風を
レンズに吹きつけ加熱を行った。この際、ヒーティング
ガンを上下に揺動させながら下方にずらし、なおかつ熱
風が当たっていない部分には、室温(23℃)の風を当
てて冷却した。この動作を繰り返し3min 行った後、温
水(約60℃)に2min 、次いでアセトンに1min 浸漬
させ、染料媒体膜及び保護膜を脱膜し、着色有機ガラス
基材を得た。
【0115】上記着色有機ガラス基材に、実施例1の方
法に準じてハードコート液b(高屈折液)を用い、ハー
ドコート加工を行い、着色有機ガラスハードコート加工
品を得た。
【0116】<実施例17>有機ガラス基材C(超高屈
折基材)、ハードコート液c(超高屈折液)、染料(含
有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)を用いて、実施例
16の方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品
を得た。ただし、本実施例では、上記加熱・冷却処理を
繰り返し5min 行った。
【0117】<実施例18>染色浴III (染料溶解剤な
し、着色染料使用)を使用する以外は、実施例1と同様
の条件として、着色有機ガラスハードコート加工品を得
た。
【0118】<実施例19>有機ガラス基材A(低屈折
基材)、染色浴IV(染料溶解剤なし、紫外線吸収染料使
用)、ハードコート液a(低屈折液)を用いて、実施例
18の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品
を得た。
【0119】<実施例20>有機ガラス基材B(高屈折
基材)、染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使
用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例
18の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品
を得た。
【0120】<実施例21>有機ガラス基材B(高屈折
基材)、染色浴IV(染料溶解剤なし、紫外線吸収染料使
用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例
18の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品
を得た。
【0121】<実施例22>有機ガラス基材C(超高屈
折基材)、染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使
用)、ハードコート液c(超高屈折液)を用いて、実施
例18の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工
品を得た。ただし、染色浴への浸漬時間は30min とし
た。
【0122】<実施例23>染色浴III (染料溶解剤な
し、着色染料使用)を使用する以外は、実施例6と同様
の条件として、着色有機ガラスハードコート加工品を得
た。
【0123】<実施例24>有機ガラス基材A(低屈折
基材)、染色浴IV(染料溶解剤なし、紫外線吸収染料使
用)、ハードコート液a(低屈折液)を用いて、実施例
23の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品
を得た。
【0124】<実施例25>有機ガラス基材B(高屈折
基材)、染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使
用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例
23の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品
を得た。
【0125】<実施例26>有機ガラス基材B(高屈折
基材)、染色浴IV(染料溶解剤なし、紫外線吸収染料使
用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例
23の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品
を得た。
【0126】<実施例27>有機ガラス基材C(超高屈
折基材)、染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使
用)、ハードコート液c(超高屈折液)を用いて、実施
例23の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工
品を得た。ただし、染色浴への浸漬時間は30min とし
た。
【0127】<比較例1>エチルアルコールを浸した布
で、有機ガラス基材A(低屈折基材)を拭き上げ、該レ
ンズの凹面にスピンコート法(ステップ1:300rpm
×15sec 、ステップ2:1000rpm ×15sec )に
より、染料(含有)媒体樹脂塗料γ(高分子ポリマーベ
ース)を塗布し、エアーオーブンにて100℃×5min
の熱処理の後、凸面も同様に塗布し、染料媒体膜を形成
した。
【0128】その後、前記有機ガラス基材をエアオーブ
ンにて、150℃で30min の加熱を行なった後、流水
に15min 浸漬したが、媒体膜が剥離できなかったた
め、媒体膜を擦り剥して着色有機ガラス基材を得た。ほ
とんどの染料を含む媒体膜は剥れ落ちてしまい、着色は
わずかであった。
【0129】その後、実施例23の方法に準じてハード
コート液a(低屈折液)を使用してハードコート加工を
施し、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0130】<比較例2>有機ガラス基材C(超高屈折
基材)、ハードコート液c(超高屈折液)、染料(含
有)媒体樹脂塗料γ(高分子ポリマーベース)を使用し
て、比較例1の方法に準じて着色有機ガラスハードコー
ト加工品を得た。
【0131】<比較例3>有機ガラス基材A(低屈折基
材)を使用した。
【0132】まず、純水100部にポリビニルアルコー
ル#2000(分子量約2000)6部を加え、均一な
状態になるまで攪拌し、染料媒体樹脂塗料を調製した。
【0133】別に、水100部に『スミカロンブルーE
−RPD』3部、『スミカロンレッドE−RPD』2
部、『スミカロンイエローE−RPD』1部を加え、均
一な状態になるまで攪拌し、塗布用染色液を調製した。
【0134】比較例1の方法に準じ、ガラス基材両面に
染料媒体膜を形成した(ただし、エアオーブンによる熱
処理時間は15min とした)。さらに、その両面に上記
で調製した塗布用染色液を同じくスピンコート法により
塗布した(エアオーブンによる熱処理時間は5min とし
た)。しかし、ステップ2でほとんどの染色液が飛散し
てしまい、わずかに残った染色液は、染料媒体膜上で不
均一に塗布された。
【0135】そして、比較例1と同様熱処理を行なった
が、媒体膜は剥離できず擦り剥し、着色有機ガラス基材
を得た。ほとんどの染料を含む媒体膜は剥れ落ちてしま
い、ほとんど着色されず、製品としては不可であった。
【0136】<比較例4>有機ガラス基材C(超高屈折
基材)、ハードコート液c(超高屈折液)を使用して、
比較例3の方法に準じて着色有機ガラスレンズを得た。
【0137】<比較例5>メチルアルコールを浸した布
にて有機ガラス基材B(高屈折基材)を拭き上げ、染色
浴III (染料溶解剤なし、着色染料使用)に10min 浸
漬させ、染色有機ガラス基材を得た。
【0138】そして、実施例1の方法に準じて、ハード
コート液b(高屈折液)を使用してハードコート加工を
施し、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0139】<比較例6>有機ガラス基材C(超高屈折
基材)、ハードコート液c(超高屈折液)、染色浴III
(染料溶解剤なし、着色染料使用)を使用して、比較例
5の方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品を
得た。ただし、染色浴への有機ガラス基材の浸漬時間は
60min とした。
【0140】上記実験例で得られた着色有機ガラス基材
等の透過率をそれぞれ富士光電工業社製「視感度透過率
計:CORE STS-3」を用いて測定した。上記染色後のレン
ズの表面を一旦アルコールで拭き上げ、水分を取り除い
た後、レンズ中心部の視感度透過率を測定した。
【0141】それらの結果を表1・2・3・4に示す。
各実施例については、適宜、媒体膜熱剥離後の透過率、
ハードコート形成後の透過率をそれぞれ測定した。ま
た、同様に各比較例においても適宜、染色後(処理後)
の透過率、ハードコート形成後の透過率をそれぞれ測定
した。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】
【表4】
【0146】なお、上記表1・2からも分かる如く、実
施例18〜27は、実質的にそれぞれ実施例1〜10に
対応しており、染色浴が異なるのみである。実施例11
〜17は、上記以外の他の態様である。
【0147】表1・2・3・4から、本発明の有機ガラ
スの着色方法を用いた実施例は、製品として十分な染色
が可能であることが分かる。特に、実施例1〜17の染
色方法で得られた染色品は、実施例18〜27で得られ
た染色品よりも全体的に透過率が低いことが分かる。す
なわち、より染色性が良好であって、望ましい態様であ
ることが分かる。
【0148】対して、比較例1〜4は、染料媒体膜の溶
解による剥離ができず、染色性に劣るものであった。ま
た、比較例5は、対応する実施例3,4と比較し、ハー
ドコート前と比べてハードコート後の視感度透過率の差
が大きく上昇していることから、後工程での色落ちが激
しいことが分かる。また、比較例6は、対応する実施例
5と比較し、ハードコート前の視感度透過率の値が大き
いことから、ほとんど着色されなかったことが分かる。
【0149】なお、上記各実施例と各請求項との対応を
明確にするため、以下に参考として実施例−請求項対応
表を付す。
【0150】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機ガラス着色方法を示す概略工程
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // D06P 5/00 C08L 69:00 C08L 69:00 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2K009 AA15 BB02 CC03 CC09 CC42 DD02 EE01 4F006 AA22 AA34 AA36 AB39 BA02 CA05 DA04 4F073 AA26 BA18 BA22 BA26 BA28 BB02 EA75 4F100 AA01E AK01A AK01B AK21 AK25B AK45 AK51 AK52C AK53 AR00D BA01 BA02 BA03 BA04 BA10A BA10B BA41 CA13A CA13B CA13C CC00B CC00C EC042 EH462 EJ422 EJ502 EJ65D EJ822 EJ912 GB90 HB00A HB00C JK12C JL02 JL10A JL10C JN06E JN28 4H057 AA02 BA81 DA02 DA15 DA16 FA17 GA05 GA13 HA01 JA10 JB02

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ガラス基材に染料媒体膜を介して昇
    華移染により染色を行う方法において、 (1) 有機ガラス基材の表面に媒体樹脂塗膜を形成した
    後、染色浴に浸漬して前記媒体樹脂塗膜に染料吸着をさ
    せて染料媒体膜を形成する染料媒体膜形成工程、 (2) 加熱して染料媒体膜中の染料を有機ガラス基材に転
    写(昇華移染)させる染料移染工程、 (3) 前記染料媒体膜を溶解により脱膜させる染料媒体膜
    除去工程、 の各工程を順次経て着色有機ガラスを得ることを特徴と
    する有機ガラスの着色方法。
  2. 【請求項2】 ハードコート膜を備えた有機ガラス基材
    に、染料媒体膜を介して昇華移染により染色を行う方法
    において、 (1) ハードコート膜の表面に媒体樹脂塗膜を形成した
    後、染色浴に浸漬して前記媒体樹脂塗膜に染料吸着をさ
    せて染料媒体膜を形成する染色媒体膜形成工程、 (2) 加熱して染料媒体膜中の染料をハードコート膜を備
    えた有機ガラス基材に加熱転写(昇華移染)させる染料
    移染工程、 (3) 前記染料媒体膜を溶解により脱膜させる染料媒体膜
    除去工程、 の各工程を順次経て着色有機ガラスを得ることを特徴と
    する有機ガラスの着色方法。
  3. 【請求項3】 前記染色浴が、水及び有機溶剤からなる
    染料溶解剤にて染料を一部若しくは完全溶解させたもの
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の有機ガラ
    スの染色方法。
  4. 【請求項4】 有機ガラス基材に染料媒体膜を介して昇
    華移染により染色を行う方法において、 (1) 有機ガラス基材の表面に、染料を含有する染料媒体
    樹脂を設けることにより染料媒体膜を形成する染料媒体
    膜形成工程、 (2) 加熱して染料媒体膜中の染料を有機ガラス基材に転
    写(昇華移染)させる染料移染工程、 (3) 前記染料媒体膜を溶解により脱膜させる染料媒体膜
    除去工程、 の各工程を順次経て着色有機ガラスを得ることを特徴と
    する有機ガラスの着色方法。
  5. 【請求項5】 ハードコート膜を備えた有機ガラス基材
    に、染料媒体膜を介して昇華移染により染色を行う方法
    において、 (1) ハードコート膜の表面に、染料を含有する染料媒体
    樹脂を設けることにより染料媒体膜を形成する染料媒体
    膜形成工程、 (2) 加熱して染料媒体膜中の染料をハードコート膜を備
    えた有機ガラス基材に加熱転写(昇華移染)させる染料
    移染工程、 (3) 前記染料媒体膜を溶解により脱膜させる染料媒体膜
    除去工程、 の各工程を順次経て着色有機ガラスを得ることを特徴と
    する有機ガラスの着色方法。
  6. 【請求項6】 前記染料媒体樹脂が、水及び有機溶剤か
    らなる又は有機溶剤のみからなる染料溶解剤にて一部若
    しくは完全溶解された染料を含有することを特徴とする
    請求項4又は5記載の有機ガラスの染色方法。
  7. 【請求項7】 前記染料溶解剤がSP値(溶解パラメー
    ター)約7〜13の有機溶媒を必須成分として含むこと
    を特徴とする請求項3又は6記載の有機ガラスの染色方
    法。
  8. 【請求項8】 前記染料を非水溶性染料とすることを特
    徴とする請求項1、2、4又は5記載の有機ガラスの着
    色方法。
  9. 【請求項9】 前記染料媒体膜を形成する媒体樹脂が有
    機溶媒に溶解可能であることを特徴とする請求項1、
    2、4又は5記載の有機ガラスの着色方法。
  10. 【請求項10】 前記染料媒体膜を形成する媒体樹脂が
    アクリル系熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項
    9記載の有機ガラスの着色方法。
  11. 【請求項11】 前記染料移染工程において、加熱処理
    の温度及び/又は時間に勾配を持たせ、かつ必要により
    部分的に冷却を行うことにより、グラデーション染色を
    行うことを特徴とする請求項1、2、4又は5記載の有
    機ガラスの染色方法。
  12. 【請求項12】 請求項1、2、4、5又は11記載の
    方法で着色されていることを特徴とする光学要素。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の光学要素表面に、さ
    らにプライマー層を介して、又は介さずにハードコート
    膜が積層されてなることを特徴とする光学要素。
  14. 【請求項14】 前記ハードコート膜がシリコーン系硬
    化塗膜であることを特徴とする請求項2、5又は13記
    載の有機ガラスの着色方法。
  15. 【請求項15】 さらに無機反射防止膜が積層されてな
    ることを特徴とする請求項12又は13記載の光学要
    素。
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