JP2002186663A - 硬組織修復材料及びその製造方法 - Google Patents

硬組織修復材料及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002186663A
JP2002186663A JP2001231891A JP2001231891A JP2002186663A JP 2002186663 A JP2002186663 A JP 2002186663A JP 2001231891 A JP2001231891 A JP 2001231891A JP 2001231891 A JP2001231891 A JP 2001231891A JP 2002186663 A JP2002186663 A JP 2002186663A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hard tissue
substrate
coating
tissue repair
ions
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001231891A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4601218B2 (ja
Inventor
Tadashi Kokubo
正 小久保
Masaki Uchida
昌樹 内田
Masahiro Nawa
正弘 名和
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP2001231891A priority Critical patent/JP4601218B2/ja
Priority to US09/969,772 priority patent/US6569547B2/en
Publication of JP2002186663A publication Critical patent/JP2002186663A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4601218B2 publication Critical patent/JP4601218B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/28Materials for coating prostheses
    • A61L27/30Inorganic materials
    • A61L27/306Other specific inorganic materials not covered by A61L27/303 - A61L27/32

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】生体内の硬組織と結合する性質(生体活性)に
優れた硬組織修復材料及びその製造方法を提供する。 【解決手段】この発明の硬組織修復材料は、定形の基材
と、この基材の表面に形成され、Zr−OH基を有する
ジルコニア結晶相を含む被膜とを備えることを特徴とす
る。この発明の硬組織修復材料は、基材と被膜との間
に、基材を構成する少なくとも1種以上の元素と被膜を
構成する少なくとも1種以上の元素とによって形成され
た中間層を備えるのが望ましい。この発明の硬組織修復
材料を製造する方法は、定形の基材にジルコニアゾル溶
液をコーティングした後、結晶化させることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、硬組織修復材料
及びその製造方法に属し、疾病、災害などにより手足な
どの関節機能や骨機能が失われた場合に、これらを修復
するために用いられる骨修復材料として、あるいは、老
齢、疾病などによって失われた歯牙を再建するために用
いられる人工歯根などのインプラント材料として、好適
に使用される硬組織修復材料とその製造方法に属する。
【0002】
【従来の技術】骨、歯牙などの硬組織に障害が生じた場
合、人工の硬組織修復材料を生体内に入れて治療するこ
とがある。硬組織修復材料は、生体内に入れられた後、
生体内の硬組織と結合しなければならない。生体内の硬
組織と結合するためには、硬組織修復材料はその表面に
骨類似のアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)を形成させる
必要があり、そのためにはアパタイトの核形成を誘起す
る官能基を有していなければならない。
【0003】従来より、金属やセラミックなどの定形の
基材と、基材表面にゾル−ゲル法により形成され、ジル
コニアゲルからなる被膜とを備える硬組織修復材料が知
られている。この硬組織修復材料では、被膜にZr−O
H基が含まれており、この官能基がアパタイトの核形成
を誘起する(Biomeramics volume11 Ed. by R. Z. LeGe
ros and J. P. LeGeros, World Scientific, (1998) p
p.77-80)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この硬組織修
復材料では、アパタイトを形成させる能力が低く、従っ
て生体内の硬組織と十分に結合することができない。そ
れ故、この発明の課題は、生体内の硬組織と結合する性
質(生体活性)に優れた硬組織修復材料及びその製造方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】その課題を達成するため
に、この発明の硬組織修復材料は、定形の基材と、この
基材の表面に形成され、Zr−OH基を有するジルコニ
ア結晶相を含む被膜とを備えることを特徴とする。
【0006】この発明の硬組織修復材料では、被膜にZ
r−OH基が含まれているので、アパタイトの核形成を
誘起することができる。しかも、この発明の硬組織修復
材料は、多くのアパタイトを形成させることができ、優
れた生体活性を有する。この発明によってアパタイト形
成量が多くなる理由は、この発明では被膜が結晶相から
なるので、Zr−OH基がアパタイトのOH基の結晶方
位と整合性を保ちながらアパタイトを成長させることが
可能だからであると考えられる。
【0007】この発明の硬組織修復材料において、基材
と被膜との間に、基材を構成する少なくとも1種以上の
元素と被膜を構成する少なくとも1種以上の元素とによ
って形成された中間層を備えるのが望ましい。この中間
層を備えていると、基材と被膜との密着性を高めること
ができる。この中間層は、アモルファス状態であって
も、また結晶相を含んでいても構わない。さらに、二つ
以上の元素が複塩等の化合物をなしていても良いし、固
溶体を形成していても良い。
【0008】この発明において、結晶相については、結
晶構造が正方晶や単斜晶であれば良く、さらにこれら両
方を含んでいても良い。また、被膜中にカルシウムイオ
ン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びリン酸イオ
ンの中から選ばれた少なくとも1種以上のイオン成分が
含まれているときは、骨類似のアパタイトの形成を促進
する。さらに、被膜の上にアパタイトを主成分とする第
二の被膜が形成されているときは、その第二被膜中のア
パタイトが核となるので、生体内でのアパタイト形成を
促進する。基材としては、特に限定はないが、強度が高
く且つ靭性に優れたものが望ましい。例えば、シリカガ
ラス、ジルコニア、ジルコニア/アルミナ複合体等のセ
ラミック、チタン等の金属、さらに高分子などの材料を
使用すると良い。
【0009】この発明の硬組織修復材料を製造する適切
な方法は、定形の基材にジルコニアゾル溶液をコーティ
ングした後、結晶化させることを特徴とする。
【0010】ジルコニアゾル溶液としては、例えば、ジ
ルコニウムアルコキシド、アルコール、蒸留水及び酸触
媒などを含む溶液を使用すると良い。具体的には、Zr
(OC37)4、C25OH、H2O及びHNO3からなる
溶液がある。ジルコニアゾル溶液を基材にコーティング
するには、例えばゾル溶液に基材を浸漬すると良い。ゾ
ル溶液を結晶化させるには、例えば、加熱する。また、
ゾル溶液によるコーティング及び加熱処理を、数回繰り
返しても良い。
【0011】加熱温度については、ジルコニア結晶相を
形成させることができるならば、特に限定はない。従っ
て、加熱温度は、ジルコニアゾル溶液の組成や雰囲気な
どの諸条件により異なる。例えば、ゾル溶液がZr(O
37)4、C25OH、H2O及びHNO3からなり、こ
れがコーティングされた基材を空気中で加熱する場合に
は、500℃以上が望ましい。但し、ゾル溶液が同じで
も、熱水中など他の雰囲気中で加熱する場合には、より
低温でも良い。
【0012】上記の中間層を備えた硬組織修復材料を得
るためには、基材にジルコニアゾル溶液をコーティング
してから加熱することによって、ジルコニウムの基材へ
の拡散及び/又は基材の構成元素のうちの少なくとも一
種以上の元素のジルコニアゾル溶液への拡散をさせると
良い。そして、その後に再度ジルコニアゾル溶液をコー
ティングし、結晶化させる。
【0013】ここで、加熱条件については、元素の拡散
が可能な限り、特に限定はない。例えば、基材の材料と
してシリカガラス、ジルコニア、ジルコニア/アルミナ
複合体等のセラミックを用いる場合には、空気中で10
00℃以上温度にて加熱する。基材の材料としてチタン
等の金属を用いる場合には、酸化防止のために、窒素、
アルゴン等の不活性ガス中で加熱し、温度はα−β転移
温度(800℃)以下にする。
【0014】また、表面に水酸基等の親水基を有する基
材を使用しても、基材と被膜との密着性に優れた硬組織
修復材料を得ることができる。このような基材を使用す
ると、基材表面の親水基と被膜の水酸基との間で脱水縮
合等の結合が起こるからである。基材の表面に親水基を
形成させるには、例えば、基材をアルカリ性溶液又は酸
性溶液に浸けると良い。
【0015】ジルコニアゾル溶液に、カルシウムイオ
ン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びリン酸イオ
ンの中から選ばれた少なくとも1種以上のイオン成分を
含有させると、これらのイオン成分が被膜に含まれた硬
組織修復材料を得ることができる。ジルコニアゾル溶液
にこれらイオン成分を含有させるには、イオンの元にな
る化合物を添加すると良い。ここで、化合物としては、
水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
などの金属水酸化物、カルシウムエトキシド、ナトリウ
ムエトキシド、カリウムエトキシドなどのアルコキシ
ド、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウムな
どの硝酸塩、さらに酢酸塩、炭酸塩、塩酸塩、リン酸塩
等が挙げられる。さらに、加熱して結晶化させた後に基
材を、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウム
イオン及びリン酸イオンの中から選ばれた少なくとも1
種以上のイオン成分を含む溶液又は溶融塩中に浸けて
も、この硬組織修復材料を得ることは可能である。
【0016】また、加熱して結晶化させた後あるいは前
記イオン成分を含む溶液又は溶融塩中に浸けた後に、前
記基材を体液に近いイオン濃度を有する疑似体液中に浸
けると、被膜の上にアパタイトを主成分とする第二の被
膜が形成された硬組織修復材料を得ることができる。疑
似体液としては、例えば、142.0mMのNa+
5.0mMのK+、2.5mMのCa2+、1.5mMの
Mg2+、147.8mMのCl-、4.2mMのHCO3
-、1.0mMのHPO4 2-、及び0.5mMのSO4 2-
を含有する溶液がある。
【0017】
【実施例】−実施例1− Zr(OC37)4、C25OH、H2O、及びHNO3
らなるジルコニアゾル溶液1を調整した。モル比につい
ては、Zr(OC37)4:C25OH:H2O:HNO3
=1.0:25.0:1.0:0.1とした。次に、シ
リカガラス基材、ジルコニア基材及びチタン金属基材を
それぞれ複数個準備した。各基材の大きさは10×10
×1mmである。続いて、各基材をゾル溶液1に浸漬し
て引き上げることにより、各基材の表面をゾル溶液1で
コーティングした。その後、これらの基材を400℃、
600℃及び800℃で10分間空気中で加熱した。さ
らに、ゾル溶液1によるコーティング及び加熱処理を同
一条件で5回繰り返した。これにて、ジルコニアを含む
被膜が形成された硬組織修復材料を得た。
【0018】得られた各硬組織修復材料の被膜の構造を
薄膜X線回析(TF−XRD)により調べた。その結
果、基材の種類に拘わらず、400℃で加熱された硬組
織修復材料ではアモルファス、600℃では正方晶、8
00℃では正方晶及び単斜晶であった。また、X線光電
子分光分析(XPS)により、各硬組織修復材料のO1s
スペクトルを測定し、さらにZr−O−Zr結合による
ピークとZr−OH基及び吸着水によるピークとに分離
した。その結果、いずれの硬組織修復材料についても、
被膜中にZr−OH基が存在することが確認された。
【0019】続いて、各硬組織修復材料を疑似体液(S
BF)30ml中に浸漬した。ここで、疑似体液は、1
42.0mMのNa+、5.0mMのK+、2.5mMの
Ca 2+、1.5mMのMg2+、147.8mMのC
-、4.2mMのHCO3 -、1.0mMのHPO4 2-
及び0.5mMのSO4 2-を含有しており、36.5℃
でpH7.40に調整されている。浸漬を開始してから
7日後及び14日後に、硬組織修復材料を取り出し、表
面のアパタイト析出量を走査型電子顕微鏡(SEM)に
より調べた。その結果を表1〜3に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】表1〜3に見られるように、いずれの硬組
織修復材料も14日後にはアパタイトの析出が認められ
た。しかし、どの基材についても、被膜の構造がアモル
ファスである硬組織修復材料に比べて、被膜の構造が正
方晶若しくは正方晶及び単斜晶である硬組織修復材料で
は、アパタイトの析出量が多かった。
【0024】−実施例2− 実施例1で得たジルコニアゾル溶液1に硝酸カルシウム
塩及びリン酸塩を添加することによって、ジルコニアゾ
ル溶液2を調整した。モル比については、ジルコニウム
1に対してカルシウム1及びリン1とした。次に、大き
さ10×10×1mmのジルコニア基材を複数個準備し
た。このジルコニア基材は、全ジルコニアに対して10
モル%のセリアを有し、これで安定化された正方晶ジル
コニア多結晶体(正方晶ジルコニア多結晶体の割合98
容量%)からなる第1相と、全ジルコニアに対して30
容量%のアルミナ粒子を有する第2相とが分散した複合
焼結体である。
【0025】次いで、各基材をゾル溶液2に浸漬して引
き上げることにより、各基材の表面をゾル溶液2でコー
ティングし、その後、これらの基材を1200℃で30
分間空気中で加熱した。続いて、先と同様にして基材を
ゾル溶液2でコーティングした後に1100℃で30分
間加熱し、さらに同様にコーティング後に1000℃で
30分間加熱した。そして、再び基材をゾル溶液2でコ
ーティングし、800℃で10分間加熱した。次に、ゾ
ル溶液1によるコーティング及び800℃での加熱処理
を5回繰り返した。これにて、ジルコニアを含有する被
膜が形成された硬組織修復材料を得た。
【0026】尚、得られた硬組織修復材料の被膜部分の
断面を、エネルギー分散型X線分光分析(EDAX)に
よって調べた結果、Ca、Zr、P、O、Ceが検出さ
れた。これより、被膜と基材との間ではセリウム及びジ
ルコニウムが相互に拡散していて、基材を構成する元素
と被膜を構成する元素とによって形成された中間層が形
成されていることが確認できた。また、各加熱処理の直
後に被膜表面の構造をTF−XRDによって調べた結
果、1200℃、1100℃、1000℃での加熱処理
直後の被膜表面には、複リン酸塩CaZr4(PO46
に基づく回析ピークが認められた。EDAXとTF−X
RDによる結果より、この複リン酸塩CaZr4(P
46は、Zr4+イオンが基材由来のCe4+イオンと置
換固溶してCaZr4-XCeX(PO46からなる固溶体
を形成しているものと推定される。また、硬組織修復材
料完成後の被膜表面は、正方晶及び単斜晶ジルコニアか
らなることが判った。この表面では複リン酸塩CaZr
4(PO46に基づく回析ピークは認められなかった。
さらに、実施例1と同様にして、XPSによりO1sスペ
クトルを測定し調べた結果、完成後の被膜表面にZr−
OH基が存在することが確認された。
【0027】続いて、得られた硬組織修復材料を実施例
1と同様の疑似体液(SBF)30ml中に浸漬した。
そして、浸漬を開始してから14日後に硬組織修復材料
を取り出し、被膜及びその上に形成されたアパタイトに
10×10(計100ピース)の升目を切った。さら
に、その升目上に粘着テープを貼った後にそれを剥が
し、これにより剥離される被膜の断片を数えることによ
って、基材と被膜との密着性を評価した。また、実施例
1で得られた3種の硬組織修復材料についても、同様の
試験を行った。
【0028】その結果、実施例1の硬組織修復材料で
は、いずれも5〜20ピースが剥離した。それに対し
て、本実施例の硬組織修復材料では、5ピース以下しか
剥離しなかった。これより、被膜と基材との間で元素の
拡散が起こっていると、被膜と基材との密着性が向上す
ることが判った。
【0029】−実施例3− 実施例1で得たジルコニアゾル溶液1に、ナトリウムエ
トキシド(C25ONa)、カリウムエトキシド、又は
リン酸塩を添加することによって、3種類のジルコニア
ゾル溶液3〜5を調整した。モル比については、ジルコ
ニウム1に対して、ナトリウムエトキシド、カリウムエ
トキシド及びリン酸塩が0.2になるようにした。次
に、シリカガラス基材、ジルコニア基材及びチタン金属
基材をそれぞれ複数個準備した。各基材の大きさは10
×10×1mmである。続いて、各種基材をゾル溶液
3、4及び5にそれぞれ浸漬して引き上げることによ
り、基材表面をゾル溶液3、4又は5でコーティングし
た。その後、これらの基材を600℃で10分間空気中
で加熱した。さらに、ゾル溶液3〜5によるコーティン
グ及び加熱処理を同一条件で5回繰り返した。これに
て、ジルコニアを含む被膜が形成された硬組織修復材料
を得た。
【0030】得られた各硬組織修復材料の被膜の構造を
TF−XRDにより調べた結果、いずれも正方晶及び単
斜晶であった。また、実施例1と同様にして、XPSに
よりO1sスペクトルを測定し調べた結果、いずれについ
ても被膜中にZr−OH基が存在することが確認され
た。さらに、ゾル溶液3、4及び5から形成された被膜
には、それぞれナトリウムイオン、カリウムイオン及び
リン酸イオンが存在していることが確認された。
【0031】続いて、各硬組織修復材料を実施例1と同
様の疑似体液(SBF)30ml中に浸漬した。浸漬を
開始してから7日後に、硬組織修復材料を取り出し、表
面のアパタイト析出量をSEMにより調べた。そして、
その析出量を実施例1で調べた析出量(表1〜3)と比
較した。その結果、いずれの硬組織修復材料において
も、アパタイトが被膜の全面に層となって析出してい
た。即ち、実施例1において14日間浸漬した場合と同
じぐらいの析出量であった。これより、被膜中にナトリ
ウムイオン、カリウムイオン又はリン酸イオンが含まれ
ていると、アパタイトの形成が促進されることが判っ
た。
【0032】−実施例4− シリカガラス基材、ジルコニア基材及びチタン金属基材
をそれぞれ複数個準備した。各基材の大きさは10×1
0×1mmである。次に、シリカガラス基材については
60℃に保った10Mの水酸化カリウム水溶液5ml中
に1日間、ジルコニア基材については95℃に保った5
Mのリン酸水溶液5ml中に4日間、さらにチタン金属
基材については60℃に保った10Mの水酸化ナトリウ
ム水溶液5ml中に1日間浸漬した。浸漬後、各基材表
面をTF−XRDにより調べたところ、いずれの基材も
表面に水酸基を有することが確認された。
【0033】次いで、実施例1で得たジルコニアゾル溶
液1に各基材を浸漬して引き上げることにより、各基材
の表面をゾル溶液1でコーティングし、その後、各基材
を600℃で10分間空気中で加熱した。さらに、ゾル
溶液1によるコーティング及び加熱処理を同一条件で5
回繰り返した。これにて、ジルコニアを含む被膜が形成
された硬組織修復材料を得た。得られた各硬組織修復材
料の被膜の構造をTF−XRDにより調べた結果、いず
れも正方晶及び単斜晶であった。また、実施例1と同様
にして、XPSによりO1sスペクトルを測定し調べた結
果、いずれについても被膜中にZr−OH基が存在する
ことが確認された。
【0034】続いて、各硬組織修復材料を実施例1と同
様の疑似体液(SBF)30ml中に浸漬した。そし
て、浸漬を開始してから14日後に硬組織修復材料を取
り出し、実施例2と同じ方法で基材と被膜との密着性を
評価した。その結果、本実施例の硬組織修復材料では、
いずれも剥離した被膜断片が5ピース以下であった。こ
れより、基材表面に水酸基が形成されていると、基材と
被膜との密着性が向上することが判った。
【0035】−実施例5− 大きさ10×10×1mmのジルコニア基材を準備し
た。次に、実施例1で得たジルコニアゾル溶液1に基材
を浸漬して引き上げることにより、基材の表面をゾル溶
液1でコーティングした。その後、基材を800℃で1
0分間空気中で加熱した。さらに、ゾル溶液1によるコ
ーティング及び加熱処理を同一条件で5回繰り返した。
これにて、ジルコニアを含む被膜が形成された硬組織修
復材料を得た。
【0036】得られた硬組織修復材料を、塩化カルシウ
ム及び塩化ナトリウムを5:5のモル比で混合して58
0℃で溶融させてなる塩酸溶融塩中に1時間浸漬した。
さらに、硬組織修復材料を、炭酸カルシウム及び炭酸カ
リウムを6:4のモル比で混合して850℃で溶融させ
てなる炭酸溶融塩中に1時間浸漬した。その後、硬組織
修復材料を蒸留水で洗浄し、乾燥させた。そして、被膜
をXPSで分析したところ、カルシウムイオン、ナトリ
ウムイオン及びカリウムイオンに基づくピークが認めら
れた。得られた硬組織修復材料の被膜の構造をTF−X
RDにより調べた結果、いずれも正方晶及び単斜晶であ
った。また、実施例1と同様にして、XPSによりO1s
スペクトルを測定し調べた結果、いずれについても被膜
中にZr−OH基が存在することが確認された。
【0037】続いて、硬組織修復材料を実施例1と同様
の疑似体液(SBF)30ml中に浸漬した。浸漬を開
始してから7日後に、硬組織修復材料を取り出し、表面
のアパタイト析出量をSEMにより調べた。そして、そ
の析出量を、実施例1で調べたジルコニア基材の場合の
析出量(表2)と比較した。その結果、本実施例の硬組
織修復材料では、アパタイトが被膜の全面に層となって
析出していた。即ち、実施例1において14日間浸漬し
た場合と同じぐらいの析出量であった。これより、被膜
中にカルシウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウム
イオンが含まれていると、アパタイトの形成が促進され
ることが判った。
【0038】
【発明の効果】この発明の硬組織修復材料によると、被
膜がジルコニア結晶相からなるため、多くのアパタイト
を形成させることができる。従って、この発明の硬組織
修復材料は、優れた生体活性を有する。またこの発明の
製造方法によると、生体活性に優れた硬組織修復材料を
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 名和 正弘 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 Fターム(参考) 4C081 AA04 AB04 AB05 AB06 CF04 CF11 CF26 DC03 DC04 DC05 EA06 EA12 4C089 AA06 BA02 BA03 BA05 BA16 CA03

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】定形の基材と、この基材の表面に形成さ
    れ、Zr−OH基を有するジルコニア結晶相を含む被膜
    とを備えることを特徴とする硬組織修復材料。
  2. 【請求項2】前記基材と前記被膜との間に、前記基材を
    構成する少なくとも1種以上の元素と、前記被膜を構成
    する少なくとも1種以上の元素とによって形成された中
    間層を備える請求項1に記載の硬組織修復材料。
  3. 【請求項3】前記結晶相が、正方晶及び単斜晶の中から
    選ばれた1種以上の結晶構造をなす請求項1又は2に記
    載の硬組織修復材料。
  4. 【請求項4】前記被膜中に、カルシウムイオン、ナトリ
    ウムイオン、カリウムイオン及びリン酸イオンの中から
    選ばれた少なくとも1種以上のイオン成分が含まれてい
    る請求項1〜3のいずれかに記載の硬組織修復材料。
  5. 【請求項5】前記被膜の上に、更にアパタイトを主成分
    をする第二の被膜が形成されている請求項1〜4のいず
    れかに記載の硬組織修復材料。
  6. 【請求項6】定形の基材にジルコニアゾル溶液をコーテ
    ィングした後、結晶化させることを特徴とする硬組織修
    復材料の製造方法。
  7. 【請求項7】前記基材に前記ジルコニアゾル溶液をコー
    ティングしてから加熱することによって、ジルコニアゾ
    ル溶液中のジルコニウムの基材への拡散及び/又は基材
    の構成元素のうちの少なくとも一種以上の元素のジルコ
    ニアゾル溶液への拡散をさせた後、再度ジルコニアゾル
    溶液をコーティングし、結晶化させる請求項6に記載の
    製造方法。
  8. 【請求項8】前記基材が表面に親水基を有している請求
    項6又は7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】前記基材をアルカリ性溶液又は酸性溶液に
    浸けることによって、基材の表面に親水基を形成させる
    請求項8に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】前記ジルコニアゾル溶液が、カルシウム
    イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びリン酸
    イオンの中から選ばれた少なくとも1種以上のイオン成
    分を含む請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 【請求項11】結晶化させた後に前記基材を、カルシウ
    ムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びリン
    酸イオンの中から選ばれた少なくとも1種以上のイオン
    成分を含む溶液又は溶融塩中に浸ける請求項6〜10の
    いずれかに記載の製造方法。
  12. 【請求項12】結晶化させた後、あるいは前記イオン成
    分を含む溶液又は溶融塩中に浸けた後に、前記基材を体
    液に近いイオン濃度を有する疑似体液中に浸ける請求項
    6〜11のいずれかに記載の製造方法。
JP2001231891A 2000-10-10 2001-07-31 硬組織修復材料及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4601218B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001231891A JP4601218B2 (ja) 2000-10-10 2001-07-31 硬組織修復材料及びその製造方法
US09/969,772 US6569547B2 (en) 2000-10-10 2001-10-04 Hard tissue repairing materials and the process for producing the same

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-308586 2000-10-10
JP2000308586 2000-10-10
JP2001231891A JP4601218B2 (ja) 2000-10-10 2001-07-31 硬組織修復材料及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002186663A true JP2002186663A (ja) 2002-07-02
JP4601218B2 JP4601218B2 (ja) 2010-12-22

Family

ID=26601745

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001231891A Expired - Fee Related JP4601218B2 (ja) 2000-10-10 2001-07-31 硬組織修復材料及びその製造方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US6569547B2 (ja)
JP (1) JP4601218B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008541960A (ja) * 2005-06-06 2008-11-27 トーメン メディカル アーゲー 歯科インプラント及びその製造方法

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1225927B1 (en) * 1999-11-02 2003-08-06 Matsushita Electric Works, Ltd. Hard tissue repairing material
EP2543333B1 (de) * 2006-07-25 2023-08-30 Holger Zipprich Verfahren zur Herstellung eines Implantatkörpers sowie Implantat mit einem derartigen Implantatkörper
US8790345B2 (en) * 2007-08-21 2014-07-29 Zimmer, Inc. Titanium alloy with oxidized zirconium for a prosthetic implant
CN102596853B (zh) * 2009-04-13 2014-11-19 杨全祖 在陶瓷材料上制造功能陶瓷膜的方法
CN114159626B (zh) * 2021-11-30 2022-07-12 陕西科技大学 一种具有生物活性和抗菌性的钽酸钠膜层及其制备方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0623030A (ja) * 1992-07-03 1994-02-01 Nippon Electric Glass Co Ltd 人工生体材料
JP2003512895A (ja) * 1999-11-02 2003-04-08 松下電工株式会社 硬組織修復材及びその製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2512402B2 (ja) * 1988-06-22 1996-07-03 日新製鋼株式会社 ジルコニア膜の製造方法
JPH10179718A (ja) 1996-12-25 1998-07-07 Nippon Electric Glass Co Ltd 生体インプラント材料及びその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0623030A (ja) * 1992-07-03 1994-02-01 Nippon Electric Glass Co Ltd 人工生体材料
JP2003512895A (ja) * 1999-11-02 2003-04-08 松下電工株式会社 硬組織修復材及びその製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010040377, Bioceramics, 1998, 11, 77−80 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008541960A (ja) * 2005-06-06 2008-11-27 トーメン メディカル アーゲー 歯科インプラント及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4601218B2 (ja) 2010-12-22
US6569547B2 (en) 2003-05-27
US20020072807A1 (en) 2002-06-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0678300B1 (en) Bone substitute material and process for producing the same
US7829196B2 (en) Hard tissue repairing material
JP4188275B2 (ja) リン酸カルシウム化合物のポリメリックゾル製造方法とその金属移植体
JP4601218B2 (ja) 硬組織修復材料及びその製造方法
JP2007075486A (ja) リン酸カルシウム化合物被覆複合材およびその製造方法
JP4425198B2 (ja) チタン酸カルシウム・非晶質炭素複合物、それを用いた被覆材、およびその製造方法
JP4377507B2 (ja) リン酸カルシウム被覆ジルコニア系生体材料及びその製造方法
JP2007202782A (ja) 生体材料及びその製造方法
EP4316536A1 (en) Efficient biphasic calcium phosphate coating method
EP1197234B1 (en) Hard tissue repairing materials and the process for producing the same
JP2775523B2 (ja) 骨代替材料とその製造方法
KR20060082717A (ko) 다층 산화막 코팅구조를 가지는 금속 임플란트 및 그 제조방법
CN102886072A (zh) 医用镁合金表面的降解玻璃陶瓷薄膜及制备方法
JPH072181B2 (ja) ヒドロキシアパタイトを被覆した生体材料の製造方法
JP4625943B2 (ja) 骨代替材料及びその製造方法
JP2623315B2 (ja) リン酸カルシウム被覆セラミックス及びその製造方法
JPH10179719A (ja) 生体インプラント材料及びその製造方法
JPH1052484A (ja) 人工生体材料及びその製造方法
JP2003220127A (ja) 人工生体材料
JPH01275766A (ja) インプラント材の製造方法
Borsowska et al. Optical and structural properties of sol-gel derived bioactive glasses
劉永興 et al. In vitro bioactive nano-crystalline TiO2 layers grown at glass-coating/titanium interface
JP4815583B2 (ja) 無機粒子・酸化チタン複合体層の製造方法
JPH09238965A (ja) 骨修復材料及びアパタイト膜付き骨修復材料並びにそれらの製造方法
JPS63218591A (ja) 生体インプラントの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061020

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100720

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100917

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100928

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131008

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees