JPH1052484A - 人工生体材料及びその製造方法 - Google Patents

人工生体材料及びその製造方法

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JPH1052484A
JPH1052484A JP8231508A JP23150896A JPH1052484A JP H1052484 A JPH1052484 A JP H1052484A JP 8231508 A JP8231508 A JP 8231508A JP 23150896 A JP23150896 A JP 23150896A JP H1052484 A JPH1052484 A JP H1052484A
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JP
Japan
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artificial
apatite
silica gel
alkaline earth
alkali metal
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Application number
JP8231508A
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English (en)
Inventor
Seiichi Morita
誠一 森田
Kiyoyuki Okunaga
清行 奥長
Takehiro Shibuya
武宏 渋谷
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Nippon Electric Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Electric Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 骨組織と早期に、しかも安定して結合するこ
とが可能な人工生体材料を提供する。 【解決手段】 基材上にシリカゲル及び/又はシリカか
らなる被覆層を有し、該被覆層の表面にR−O−Si系
化合物(R=アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元
素)が形成されてなることを特徴とする。このような生
体材料は、基材にシリカゲルを塗布し、アルカリ金属イ
オン及び/又はアルカリ土類金属イオンを含む溶液中に
浸漬した後、乾燥、焼成することにより製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工骨、人工関節、人
工股関節、人工歯根等のインプラント材料として有用な
人工生体材料とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高強度な人工生体材料として、チ
タン、ステンレス等の金属材料や、アルミナ、ジルコニ
ア等のセラミックス材料が知られている。ところがこれ
らの材料は、機械的強度や耐久性に優れる一方で、生体
との親和性に乏しく、骨組織との固着に長期間を要した
り、或いは全く固着しないといった問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】人工生体材料が骨と化
学的に結合するためには、表面にシリカゲルやチタニア
ゲルを有するか、或いは生体内に埋入したときにこれら
のゲルが生成する必要がある。つまり材料表面にシリカ
ゲル等が存在すると、ゲル表面のSi−OH基等を核と
してアパタイトが析出し、このアパタイト層を介して骨
と結合することができる。
【0004】そこで本出願人は特開平6−23030号
において、基材上にシリカゲルやチタニアゲルからなる
被覆層を有する人工生体材料を提案している。しかしな
がら上記特開平6−23030号の材料は、骨組織との
結合に時間がかかり、またゲルの状態によってはアパタ
イト層の形成が困難で骨と結合し難い場合がある。
【0005】本発明の目的は、骨組織と早期に、しかも
安定して結合することが可能な人工生体材料を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は種々の検討
を行った結果、被覆層の表面にR−O−Si系化合物が
存在していると、上記目的が達成できることを見いだ
し、本発明として提案するものである。
【0007】即ち、本発明の人工生体材料は、基材上に
シリカゲル及び/又はシリカからなる被覆層を有し、該
被覆層の表面にR−O−Si系化合物(R=アルカリ金
属元素又はアルカリ土類金属元素)が形成されてなるこ
とを特徴とする。
【0008】また本発明の人工生体材料の製造方法は、
基材にシリカゲルを塗布し、アルカリ金属イオン及び/
又はアルカリ土類金属イオンを含む溶液中に浸漬した
後、乾燥、焼成することを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の人工生体材料を生体内に埋入すると、
被覆層表面に形成されたR−O−Si系化合物が体液と
反応して、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イ
オンを溶出し、体液中からヒドロニウムイオン(H
3+)を取り込む。その結果、材料近傍の体液のpHが
上昇して、アパタイトに対する過飽和度が大きくなり、
アパタイトが析出し易い環境となる。またこの反応によ
って被覆層表面にSi−OH基が生じ、これが核となっ
てアパタイトが材料表面に析出し、このアパタイト層を
介して材料と骨が化学的に結合する。
【0010】本発明において、基材はアルミナ、ジルコ
ニア等のセラミックス材料、チタン等の金属材料のよう
な高強度材料を使用することが好ましい。
【0011】被覆層は、シリカゲル、シリカ又はこれら
が併存している場合の何れでもよいが、アパタイトの核
となるシリカゲルの割合が多いほど有利である。
【0012】被覆層表面に形成されるR−O−Si系化
合物は、Rが例えばNa、K、Ca等のアルカリ金属元
素又はアルカリ土類金属元素であるが、特にRがCaの
場合が最も好ましい。つまりCaイオンはアパタイトの
成分であるため、これが溶出することによって、材料近
傍におけるアパタイトの過飽和度がさらに上昇し、アパ
タイトが非常に析出し易い環境となるためである。
【0013】次に、本発明の人工生体材料を製造する方
法を以下に述べる。
【0014】まず、所望の形状に成形した基材を用意す
る。
【0015】次いで基材の表面にシリカゲルを塗布す
る。塗布するに当たっては、珪素のアルコキシドである
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ
イソプロポキシシラン等のアルコール溶液に、触媒とし
て塩酸、硝酸、酢酸或いはアンモニア水溶液を混合、撹
拌してシリカゾルを作製し、次いでこのゾルをスプレー
コーティング、ディップコーティング等の方法で基材に
塗布すればよい。
【0016】続いて基材をアルカリ金属イオンやアルカ
リ土類金属イオンを含む溶液に浸漬し、シリカゲル中に
これらのイオンを担持させる。アルカリ金属イオンやア
ルカリ土類金属イオンを含む溶液としては、例えばCa
Cl2 、Ca(NO32 、Ca(CH3 CO22
の可溶性の塩の水溶液が使用できる。なお塩の陰イオン
は、Cl- 、NO3 -のように反応副生成物が揮発するも
の(HCl、HNO3等)であればよい。またアルカリ
金属イオンやアルカリ土類金属イオンの濃度は、溶液に
よって異なり、例えばCaCl2 水溶液の場合、0.1
〜5.0mol/l程度が好適である。
【0017】その後、基材を焼成することにより、アル
カリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンとシリカゲル
とを反応させ、R−O−Si系化合物を被覆層上に生成
させる。このとき、例えばRがアルカリ金属元素の場
合、以下のような反応が起こっている。
【0018】
【化1】
【0019】なお焼成条件を調整することにより、被覆
層をシリカゲル、シリカ又はこれらの併存状態にするこ
とができるが、アパタイトの核となるシリカゲルの割合
が多くなるようにすることが望ましい。好適な焼成条件
は500〜1000℃で0.5〜2時間程度である。
【0020】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明の人工生体材
料を説明する。
【0021】表1〜3は本発明の実施例(試料No.1
〜10)及び比較例(試料No.11及び12)を示し
ている。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】試料No.1〜9は次のようにして作製し
た。まず、表に示す基材(10×20×2mm)を、テ
トラエトキシシラン、水、エタノール、塩酸、ポリエチ
レングリコール(M.W.11000)をモル比1:
5:7:0.1:0.005の混合割合で調製したシリ
カゾルに浸漬した。次いで基材を引き上げ、乾燥後、4
00℃で0.5時間焼成してシリカゲル層を形成した。
続いて表に示す溶液に基材を浸漬し、シリカゲルに水溶
液を十分含浸させた後、取り出して乾燥させた。その
後、500℃で1時間焼成することによって、表面にR
−O−Si系化合物が形成された試料を得た。試料N
o.10は、上記と同様にしてシリカゲル層を形成し、
表に示す溶液に浸漬し、乾燥させた後、1000℃で1
時間焼成して作製した。
【0026】比較例である試料No.11は、基材を水
溶液に含浸させず、他は試料No.1と同様にして作製
した。
【0027】また試料No.12は、基材を水溶液に含
浸させた後の焼成を行わず、他は試料No.1と同様に
して作製した。
【0028】次に、各試料について、pH6.4の生理
食塩水に浸漬したときのpHの変化及びアパタイトの形
成能を評価した。結果を各表に示す。
【0029】表から明らかなように、本発明の実施例で
ある試料No.1〜10は、生理食塩水に浸漬すると、
そのpHが7.5以上となった。また7日後までにアパ
タイトが材料表面に析出した。これに対して比較例であ
る試料No.11及び試料No.12は、生理食塩水に
浸漬すると、そのpHが何れも5.5に下がってしまっ
た。またアパタイトの析出が確認できたのは14日後で
あり、実施例に比べてアパタイトの形成能が劣ってい
た。
【0030】なお生理食塩水に浸漬したときのpHの変
化は、各試料を2個ずつ使用し、37℃の生理食塩水
(pH6.4)50mlに5日間浸漬した後のpHを測
定し、平均を求めたものである。またアパタイトの形成
能は、次のようにして評価した。まず、各試料を3個ず
つ用意し、これらを生体の体液と同じイオン濃度を有す
るように調製した疑似体液中に浸漬した。その後、3,
5,7,14日目に試料をSEM観察し、アパタイトの
析出に要する平均日数を求めた。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の人工生体
材料は、生体内に埋入すると、材料表面にアパタイト層
が早期に形成されるため、骨組織と短期間に結合するこ
とが可能である。それゆえ、人工骨、人工関節、人工股
関節、人工歯根等の特に高強度が要求されるインプラン
ト材料として好適である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上にシリカゲル及び/又はシリカか
    らなる被覆層を有し、該被覆層の表面にR−O−Si系
    化合物(R=アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元
    素)が形成されてなることを特徴とする人工生体材料。
  2. 【請求項2】 Rが、Caであることを特徴とする請求
    項1の人工生体材料。
  3. 【請求項3】 基材が、アルミナ、ジルコニア、ステン
    レス合金、Ni−Cr合金、Co−Cr合金、チタン又
    はチタン合金からなることを特徴とする請求項1の人工
    生体材料。
  4. 【請求項4】 基材にシリカゲルを塗布し、アルカリ金
    属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンを含む溶液
    中に浸漬した後、焼成することを特徴とする人工生体材
    料の製造方法。
  5. 【請求項5】 溶液として、Caイオンを含む溶液を使
    用することを特徴とする請求項4の人工生体材料の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 基材として、アルミナ、ジルコニア、ス
    テンレス合金、Ni−Cr合金、Co−Cr合金、チタ
    ン又はチタン合金を使用することを特徴とする請求項4
    の人工生体材料の製造方法。
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