JPH0773600B2 - 生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法 - Google Patents
生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法Info
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- JPH0773600B2 JPH0773600B2 JP1234478A JP23447889A JPH0773600B2 JP H0773600 B2 JPH0773600 B2 JP H0773600B2 JP 1234478 A JP1234478 A JP 1234478A JP 23447889 A JP23447889 A JP 23447889A JP H0773600 B2 JPH0773600 B2 JP H0773600B2
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Description
医療用品、各種人工臓器などの生体中で使用される材料
のコーティング法に関するものである。
料を問わず、生体内で使用されるすべての材料の表面
に、骨と類似した構造と組成を有する生体活性な水酸ア
パタイト膜のコーティング法に関するものである。
は、プラズマ溶射法を用いたもの(特開昭62−34559号
公報、特開昭63−160663号公報)や、CaとPを含んだ溶
液または化合物を基材表面に塗布し、これを焼結させる
方法(特開昭62−231669号公報、特開昭63−24952号公
報、特開昭63−46165号公報)が一般的である。
や、フレーム溶射法(日本セラミックス協会 1988第1
回秋期シンポジウム講演予稿集 401〜402ページ)、ガ
ラスフリットによる焼付け法(第9回バイオマテリアル
学会大会予稿集 1987 6ページ)、電気泳動法(日本
セラミックス協会 1988第1回秋期シンポジウム講演予
稿集 417〜418ページ)などがあり、さらには、本発明
の発明者らによる水溶液とガラスを用いる方法が提案さ
れている(特願平1−74829号)。
のうち、プラズマ溶射法、フレーム溶射法は、複雑で高
価な装置を必要とすること、また緻密な膜を作りにくい
こと、さらには原料の水酸アパタイトが一旦高温で溶融
されるので、生体内のアパタイトと異なる種類のアパタ
イトの膜が形成されることになるという問題がある。
すること、原料の水酸アパタイトが一旦高エネルギーで
分解されるので、生体内のアパタイトと異なる種類のア
パタイトの膜が形成されることになるという問題があ
る。
処理を必要とするため、耐熱性の高い基材にしか適用で
きないこと、さらにこの場合も原料の水酸アパタイトが
一旦高温で加熱処理されるので、生体内のアパタイトと
異なる種類のアパタイトの膜が形成されることになると
いう問題がある。
め、良導性の金属基材にしか適用できないこと、原料に
焼結アパタイトを用いるため、生体内のアパタイトと異
なる種類のアパタイトの膜が形成されることになるとい
う問題がある。
μmと薄いため、生体内に埋入した場合、アパタイト膜
が骨に吸収されてしまい、骨と結合させるという用途に
は使用できないという問題がある。
トナイトを析出させる方法によって、生体内で短期間に
骨と自然に強く化学的に結合する生体活性を有し、しか
も長期にわたって高い機械的強度を保つ結晶化ガラスを
開発した。本発明者らはこの生活活性を支配する因子を
追及する過程で、セラミックスが骨と結合する際に重要
な役割を果たすのは、焼結法やガラス結晶化法によりつ
くられたセラミックス中に存在するアパタイト相ではな
く、それらが体内に埋入されたとき周囲の体液と反応し
て新しく作る骨類似のアパタイト相であることを明らか
にした。さらにこのアパタイト相は、それら骨と結合す
るセラミックスを細胞を含まず無機イオン濃度だけをヒ
トの体液に等しくした水溶液に浸漬しただけでも作られ
ることを見出した。
にアパタイトの核を形成させた後、体液に近いイオン濃
度を有する水溶液中に浸漬させることにより、基材表面
に骨類似のアパタイト相を形成させ得ることに着目し、
鋭意研究の結果、予見どうりに生体活性水酸アパタイト
の膜が得られることを可能とした。
料を問わず、すべての基材の上に、加熱処理を行うこと
なく、生体内の骨と類似の生体活性アパタイトの膜を極
めて簡便にコーティングできる方法を提供するものであ
る。
基材を、飽和濃度近くかもしくは飽和濃度を越える量の
水酸アパタイト成分を溶解した水溶液に浸漬することに
より、基材表面に骨類似の水酸アパタイトの膜を形成さ
せることを特徴とする生体活性水酸アパタイト膜のコー
ティング法である。
のように、水溶液中のイオン濃度、pH、温度について条
件を設定しておく必要がある。
イオンとHPO4 2-イオンをその飽和濃度に近いかもしくは
これを少し越えた量の濃度で含んでいることを要する。
2+イオンとHPO4 2-イオンのみを含有する水溶液である。
試料番号8〜13はCa2+イオンとHPO4 2-イオンの他にN
a+、K+、Mg2+、Cl-、HCO3 -、SO4 2-などを種々含有する
水溶液である。試料番号14はヒトの血漿とほぼ等しいイ
オン濃度を有するものである。これらはいずれもアパタ
イトの核をその表面に有する基材上に水酸アパタイト膜
の形成能力を有するものである。ただし、Ca2+イオンま
たはHPO4 2-イオンの濃度が0.01mM未満では膜形成能力が
きわめて低く、Ca2+イオンまたはHPO4 2-イオンの濃度が
それぞれ10mM、50mMを越えると、水溶液中いたるところ
に水酸アパタイトの沈殿が生じ、目的の基材上には水酸
アパタイトの膜が成膜されない。したがって、溶質とし
てCaとPを次のイオンに換算して、Ca2+0.01〜10mM、HP
O4 2-0.01〜50mMの範囲で含有することが必要である。水
溶液の溶質として必須であるイオンはCa2+イオンまたは
HPO4 2-の2つであるが、それ以外にNa+、K+、Mg2+、C
l-、HCO3 -、SO4 2-などのイオンを含んでいてもかまわな
い。水溶液が長期間にわたって安定したイオン溶解状態
を保つためには、試料番号14の疑似体液の組成が最も望
ましい。
は酸性域では不安定で、中性またはアルカリ性域で安定
に析出する。本発明の方法で水酸アパタイトをコーティ
ングする場合、水溶液のpHは一般に第2表に示すよう
に、調整時と浸漬後で異なり、浸漬中にpHが大きくなる
方向に変化する。水酸アパタイト膜を生成させるために
は、浸漬中にpHが7以上になることが必要である。その
ためには調整時のpHは5以上でなければならない。ま
た、調整時のpHが9を越えると水酸アパタイトの沈殿が
水溶液中いたるところで自然発生的に起り、水酸アパタ
イトの成膜ができなくなる。したがって水溶液のpHは5
〜9に限定される。水溶液のpHは調整時から水酸アパタ
イト膜の生成終了まで変化しないことが望ましく、その
ためにはトリスヒドロキシメチルアミノメタン((CH2O
H)3CNH2))50mMと塩酸(HCl)45mMなどの緩衝剤を水
溶液に加えてpHを7〜9に保つことが有効である。
の溶解度は温度が上昇するにつれて低くなる。つまり、
水溶液の温度を低くすると、アパタイトの溶解度が大き
くなり、言い換えれば、過飽和度は小さくなり、イオン
濃度を小さくするのと同じこととなる。第3表のように
0℃未満になると膜厚の増加が急激に押えられるか水溶
液が凝固する。また温度を高くすると過飽和度は大きく
なるが70℃を越えると膜の相が水酸アパタイトの単相で
はなくなる。したがって、水溶液の温度は0〜70℃に限
定される。
しては、その素材や形状は限定されない。すなわち、基
材の材質は無機物、金属、有機物のいずれであってもか
まわない。また基材の形状は平板に限らず、凸面体、凹
面体あるいはそれらの混じった複雑な形状でもよい。
イトの核、この場合は1μmのアパタイト膜を形成させ
ておいた。このとき、基板としては第4表に示す各種の
ものを用い、ガラスには、CaO49.9モル%、SiO235.5モ
ル%、P2O57.1モル%、MgO7.1モル%、CaF20.4モル%の
組成のものを用いた。そして第1表に示した試料14の水
溶液を用い、基板とガラスを1mmの間隔をおいて対向さ
せ、水溶液のpHを7〜9に、水溶液の温度を30〜50℃に
調整しながら、基板の表面にアパタイト膜を形成した。
を準備した。この水溶液は、塩化ナトリウム、炭酸ナト
リウム、塩化カリウム、燐酸カリウム、塩化マグネシウ
ム、塩化カルシウムを秤量し、イオン交換水に溶解して
作成した。この水溶液に緩衝剤としてトリスヒドロキシ
メチルアミノメタンと塩酸をそれぞれ50mMおよび45mM加
え、水溶液のpHを7.25に保った。
量し、ポリエチレン製の容器1に投入し、上記した方法
で表面にアパタイト膜を形成しておいた基板をこの容器
1の中に浸漬し、50℃で恒温槽中に保持した。1日後水
溶液の中から基板を取り出し、イオン交換水で軽く洗浄
し、約半日室温で乾燥させた。
が形成されており、その膜厚は核としていたアパタイト
の厚み1μmよりも20〜30倍厚くなっており、接着強度
も向上していた。さらに膜相、構造は第4表に示すよう
な結果であった。
記した実施例のほかに、従来技術の項で説明した既存の
アパタイトコーティング法で形成したものを基材として
利用でき、本発明の方法でその表面を極めて簡便に骨類
似アパタイト膜に改質することができる。
る基板と水溶液を準備した。なお、このとき基板として
はアルミナ焼結体を用いた。次いで、実施例1と同じよ
うに基板を水溶液中に浸漬し、50℃で1日浸漬して水溶
液の量とその膜厚の関係を調べた。実験条件とその結果
を第5表に示した。第5表から水溶液の量を変化させる
ことにより膜厚のコントロールが可能なことが明らかで
ある。
ば、アパタイトの核を表面に有する基材を、飽和濃度近
くかもしくは飽和濃度を越える量の水酸アパタイト成分
を溶解した水溶液に浸漬することにより、高温での加熱
処理を行うことなく、簡便に膜厚の厚い生体活性水酸ア
パタイト膜が得られ、得られた骨類似のアパタイト膜は
骨組織との結合性に優れるだけでなく、表皮や筋肉等の
軟組織とも優れた親和性を示すという効果を有する。
図である。 1はポリエチレン製の容器、2は擬似体液、3はアルミ
ナ焼結体基板。
Claims (4)
- 【請求項1】アパタイトの核を表面に有する基材を、飽
和濃度近くかもしくは飽和濃度を越える量の水酸アパタ
イト成分を溶解した水溶液に浸漬することにより、基材
表面に骨類似の水酸アパタイトの膜を形成させることを
特徴とする生体活性水酸アパタイト膜のコーティング
法。 - 【請求項2】前記水溶液は、溶質としてCaとPを次のイ
オンに換算して、 Ca2+ 0.01〜10mM HPO4 2- 0.01〜50mM の範囲で含有する請求項第1項に記載の生体活性水酸ア
パタイト膜のコーティング法。 - 【請求項3】前記水酸アパタイト成分を溶解した水溶液
は、そのpHが5〜9の範囲にある請求項第1項に記載の
生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法。 - 【請求項4】前記水酸アパタイト成分を溶解した水溶液
は、その温度が0〜70℃の範囲にある請求項第1項に記
載の生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1234478A JPH0773600B2 (ja) | 1989-09-08 | 1989-09-08 | 生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1234478A JPH0773600B2 (ja) | 1989-09-08 | 1989-09-08 | 生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0397466A JPH0397466A (ja) | 1991-04-23 |
JPH0773600B2 true JPH0773600B2 (ja) | 1995-08-09 |
Family
ID=16971646
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1234478A Expired - Lifetime JPH0773600B2 (ja) | 1989-09-08 | 1989-09-08 | 生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0773600B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US5668570A (en) | 1993-06-29 | 1997-09-16 | Ditzik; Richard J. | Desktop computer with adjustable flat panel screen |
JP2004141630A (ja) | 2002-08-27 | 2004-05-20 | Contamination Control Service:Kk | 生体材料 |
US20050196519A1 (en) * | 2004-03-08 | 2005-09-08 | Depuy Products, Inc. | Apparatus for producing a biomimetic coating on a medical implant |
EP2042200A1 (en) * | 2006-06-19 | 2009-04-01 | Kyoto University | Method of producing bioactive complex material |
US10537658B2 (en) | 2017-03-28 | 2020-01-21 | DePuy Synthes Products, Inc. | Orthopedic implant having a crystalline gallium-containing hydroxyapatite coating and methods for making the same |
US10537661B2 (en) | 2017-03-28 | 2020-01-21 | DePuy Synthes Products, Inc. | Orthopedic implant having a crystalline calcium phosphate coating and methods for making the same |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2525011B2 (ja) * | 1987-08-11 | 1996-08-14 | 株式会社クラレ | リン酸カルシウム複合体およびその製法 |
-
1989
- 1989-09-08 JP JP1234478A patent/JPH0773600B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0397466A (ja) | 1991-04-23 |
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