JP2525011B2 - リン酸カルシウム複合体およびその製法 - Google Patents
リン酸カルシウム複合体およびその製法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、歯根、骨等の生体硬組織代替材料あるい
は、生体硬組織欠損部への充填材料としてのリン酸カル
シウム複合体に関する。本発明によって提供されるリン
酸カルシウム複合体は生体親和性にすぐれているため、
上述の如き生体埋殖材料に利用される。
は、生体硬組織欠損部への充填材料としてのリン酸カル
シウム複合体に関する。本発明によって提供されるリン
酸カルシウム複合体は生体親和性にすぐれているため、
上述の如き生体埋殖材料に利用される。
(従来の技術) 生体内での骨生成速度を上げることを目的として、従
来、数ミクロンから数百ミクロンの空孔を含む材料が用
いられてきた。これとは別に、表面に凹凸を持つた材料
としては、α型リン酸三カルシウム(α−Ca3(P
O4)2)の微粉末(200メツシユふるいを通過)を蒸留
水中80℃以上の温度で水和せしめ、微粉末表面に水酸ア
パタイトの花弁状結晶を析出させたもの(門間英毅ら窯
業協会誌、86(2)、72−76(1978))、α−Ca3(P
O4)2の微粉末と不飽和カルボン酸などを含む水溶液と
を反応せしめ、凝固させたもの(たとえば特開昭61−71
059)あるいは、α型リン酸三カルシウムの焼結体を蒸
留水中80℃以上の温度で水和せしめ、α型リン酸三カル
シウム焼結体表面にアパタイト層を形成したもの(特開
昭62−91479号)がある。
来、数ミクロンから数百ミクロンの空孔を含む材料が用
いられてきた。これとは別に、表面に凹凸を持つた材料
としては、α型リン酸三カルシウム(α−Ca3(P
O4)2)の微粉末(200メツシユふるいを通過)を蒸留
水中80℃以上の温度で水和せしめ、微粉末表面に水酸ア
パタイトの花弁状結晶を析出させたもの(門間英毅ら窯
業協会誌、86(2)、72−76(1978))、α−Ca3(P
O4)2の微粉末と不飽和カルボン酸などを含む水溶液と
を反応せしめ、凝固させたもの(たとえば特開昭61−71
059)あるいは、α型リン酸三カルシウムの焼結体を蒸
留水中80℃以上の温度で水和せしめ、α型リン酸三カル
シウム焼結体表面にアパタイト層を形成したもの(特開
昭62−91479号)がある。
(発明が解決しようとする問題点) 上述の如き、多数の空孔を含む材料は低強度であり、
強い荷重の加わる部分への適用はできない。α−Ca3(P
O4)2の微粉末を水和させたものあるいは、α−Ca3(P
O4)2の微粉末を不飽和カルボン酸などを含む水溶液と
の反応で凝固させたものは、微粉末であるため操作性が
悪く、また凝固したとしても、多孔質であるため高々10
00Kgf/cm2程度の圧縮強度しかなく、荷重の加わる部分
への適用はできない。上記のα−Ca3(PO4)2の水和に
関しては、水酸アパタイトや非晶質リン酸カルシウムの
熱分解で得たα−Ca3(PO4)2は著しく低活性であり
(金澤孝文編著、「無機リン化学」、講談社(1985)p.
169)、このことから原料合成法も制限される。また、
α型リン酸三カルシウムの焼結体では生体内埋入後の強
度維持が不十分となる。
強い荷重の加わる部分への適用はできない。α−Ca3(P
O4)2の微粉末を水和させたものあるいは、α−Ca3(P
O4)2の微粉末を不飽和カルボン酸などを含む水溶液と
の反応で凝固させたものは、微粉末であるため操作性が
悪く、また凝固したとしても、多孔質であるため高々10
00Kgf/cm2程度の圧縮強度しかなく、荷重の加わる部分
への適用はできない。上記のα−Ca3(PO4)2の水和に
関しては、水酸アパタイトや非晶質リン酸カルシウムの
熱分解で得たα−Ca3(PO4)2は著しく低活性であり
(金澤孝文編著、「無機リン化学」、講談社(1985)p.
169)、このことから原料合成法も制限される。また、
α型リン酸三カルシウムの焼結体では生体内埋入後の強
度維持が不十分となる。
本発明の目的は、荷重のかかる部分にも適用可能であ
り、かつ骨誘導能にすぐれ、同時に取扱いの容易なリン
酸カルシウム複合体を提供することにある。
り、かつ骨誘導能にすぐれ、同時に取扱いの容易なリン
酸カルシウム複合体を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、かかる問題点を解決するため、鋭意検
討を重ねた結果、アパタイトとα型リン酸三カルシウム
を含むリン酸カルシウム多結晶からなる相対密度90%以
上の緻密な焼結体をリン酸イオン、リン酸1水素イオン
またはリン酸2水素イオンの水溶液中に浸漬処理し、さ
らに要すれば加熱処理することにより、該焼結体表面に
アパタイト結晶が析出した薄い層を有するリン酸カルシ
ウム複合体を得て、上記目的を達成しうることを見出し
た。
討を重ねた結果、アパタイトとα型リン酸三カルシウム
を含むリン酸カルシウム多結晶からなる相対密度90%以
上の緻密な焼結体をリン酸イオン、リン酸1水素イオン
またはリン酸2水素イオンの水溶液中に浸漬処理し、さ
らに要すれば加熱処理することにより、該焼結体表面に
アパタイト結晶が析出した薄い層を有するリン酸カルシ
ウム複合体を得て、上記目的を達成しうることを見出し
た。
本発明のリン酸カルシウム複合体の基体をなす、アパ
タイトとα型リン酸三カルシウムを含むリン酸カルシウ
ム多結晶からなる焼結体は、複合体の強度を維持する目
的において90%以上の相対密度を有することが必要であ
る。すなわち相対密度が90%よりも小さい場合には充分
な機械的強度が得られない。
タイトとα型リン酸三カルシウムを含むリン酸カルシウ
ム多結晶からなる焼結体は、複合体の強度を維持する目
的において90%以上の相対密度を有することが必要であ
る。すなわち相対密度が90%よりも小さい場合には充分
な機械的強度が得られない。
ここで、相対密度を求めるためには以下のごとき方法
が使用される。焼成して得たリン酸カルシウム焼結体を
粉砕し、粉末X線回折測定を行なう。得た粉末X線回折
図から、焼結体中に含まれるリン酸カルシウムの種類が
決定できる。各リン酸カルシウムの最強回折線の回折強
度から、焼結体中に存在する各リン酸カルシウムの存在
割合が求まる。各リン酸カルシウムの存在割合と理論密
度から、得た焼結体の理論密度を計算することができ
る。続いて、焼結体の真空度をアルキメデス法等により
求め、上で求めた焼結体の理論密度に対する百分率で相
対密度を表示する。
が使用される。焼成して得たリン酸カルシウム焼結体を
粉砕し、粉末X線回折測定を行なう。得た粉末X線回折
図から、焼結体中に含まれるリン酸カルシウムの種類が
決定できる。各リン酸カルシウムの最強回折線の回折強
度から、焼結体中に存在する各リン酸カルシウムの存在
割合が求まる。各リン酸カルシウムの存在割合と理論密
度から、得た焼結体の理論密度を計算することができ
る。続いて、焼結体の真空度をアルキメデス法等により
求め、上で求めた焼結体の理論密度に対する百分率で相
対密度を表示する。
本発明の複合体を得るために用いられるリン酸カルシ
ウム多結晶からなる焼結体は、焼結体上に骨誘導性を発
揮するアパタイト結晶の折出層を形成するために、α−
Ca3(PO4)2を含んでいることが必要であり、その含有
量は重量で20%以上〜70%以下(対焼結体)であること
が好ましい。α−Ca3(PO4)2を含まない場合には、微
細なアパタイト結晶からなる層を緻密焼結体表面に形成
できないか、形成できたとしても該層を形成するために
は数週間という時間が必要であるので、本発明の複合体
を得ることが困難となる。また、α−Ca3(PO4)2以外
のリン酸カルシウムとしては、生体埋入後の強度維持の
点から、生体によつて吸収されない水酸アパタイトが含
まれていることが必要で、その含有量は重量で30%以上
〜80%以下(対焼結体)であることが望ましい。リン酸
カルシウム多結晶を構成する他の成分としては、リン酸
水素カルシウム等があげられ、これらは焼結体中に10%
程度含まれていてもよい。
ウム多結晶からなる焼結体は、焼結体上に骨誘導性を発
揮するアパタイト結晶の折出層を形成するために、α−
Ca3(PO4)2を含んでいることが必要であり、その含有
量は重量で20%以上〜70%以下(対焼結体)であること
が好ましい。α−Ca3(PO4)2を含まない場合には、微
細なアパタイト結晶からなる層を緻密焼結体表面に形成
できないか、形成できたとしても該層を形成するために
は数週間という時間が必要であるので、本発明の複合体
を得ることが困難となる。また、α−Ca3(PO4)2以外
のリン酸カルシウムとしては、生体埋入後の強度維持の
点から、生体によつて吸収されない水酸アパタイトが含
まれていることが必要で、その含有量は重量で30%以上
〜80%以下(対焼結体)であることが望ましい。リン酸
カルシウム多結晶を構成する他の成分としては、リン酸
水素カルシウム等があげられ、これらは焼結体中に10%
程度含まれていてもよい。
本発明においては、次のようにして製造されたリン酸
カルシウム多結晶からなる焼結体が用いられる。すなわ
ち、任意のリン酸カルシウム原料を混合し、公知の方法
で所望形状に加圧成形後焼成したもの、あるいは、水溶
液反応においてリン酸カルシウムを合成する際にリンに
対するカルシウムの混合比を1.5程度に保ち、得た粉末
を公知の方法で所望形状に加圧成形後焼成したものなど
である。これらの方法で得られたものはあくまでも例と
して示したものであり、得られた焼結体にα−Ca3(P
O4)2とアパタイトが含まれ、その相対密度が90%以上
であればよいのであつて、上述のものに限定されるわけ
ではない。また、顆粒状など、特殊な形状が必要である
場合には、成形体の段階で加工あるいは破砕することも
可能である。こうして得られたリン酸カルシウム焼結体
は生体内に埋入し易いように表面を平滑にするために研
磨されるのが好ましい。また、本発明において用いられ
る焼結体は生体理入時の操作性と骨誘導性の点から最も
小さい部分の寸法が0.1mm以上であることが望ましい。
カルシウム多結晶からなる焼結体が用いられる。すなわ
ち、任意のリン酸カルシウム原料を混合し、公知の方法
で所望形状に加圧成形後焼成したもの、あるいは、水溶
液反応においてリン酸カルシウムを合成する際にリンに
対するカルシウムの混合比を1.5程度に保ち、得た粉末
を公知の方法で所望形状に加圧成形後焼成したものなど
である。これらの方法で得られたものはあくまでも例と
して示したものであり、得られた焼結体にα−Ca3(P
O4)2とアパタイトが含まれ、その相対密度が90%以上
であればよいのであつて、上述のものに限定されるわけ
ではない。また、顆粒状など、特殊な形状が必要である
場合には、成形体の段階で加工あるいは破砕することも
可能である。こうして得られたリン酸カルシウム焼結体
は生体内に埋入し易いように表面を平滑にするために研
磨されるのが好ましい。また、本発明において用いられ
る焼結体は生体理入時の操作性と骨誘導性の点から最も
小さい部分の寸法が0.1mm以上であることが望ましい。
以上のようにして作製されたリン酸カルシウム焼結体
は、相対密度が90%以上であれば3000kgf/cm2以上の圧
縮強度を有しており、人工歯根などとして充分利用しう
るものである。
は、相対密度が90%以上であれば3000kgf/cm2以上の圧
縮強度を有しており、人工歯根などとして充分利用しう
るものである。
本発明においては、上記のリン酸カルシウム焼結体は
リン酸イオン(PO4 3-)、リン酸1水素イオン(HP
O4 2-)、リン酸2水素イオン(H2PO4 -)のうち1種また
は2種以上を含むpH7.3以上の水溶液中に浸漬され、通
常常温で10〜24時間処理される。水溶液中には、充分な
量の微細なアパタイト結晶を析出させるために、これら
リン酸イオン、リン酸1水素イオン、リン酸2水素イオ
ンが全体として0.01mol/以上含まれていることが好ま
しい。この処理により、該焼結体表面には、通常0.1μ
mから10μm(該表面からの結晶の長さ)の微細なアパ
タイト結晶が析出した層が形成され、本発明のリン酸カ
ルシウム複合体が得られる。上記処理において、pHが7.
3よりも低い場合にはアパタイト結晶が析出しないか、
析出したとしても析出量が不充分であるので好ましくな
い。析出したアパタイト結晶は通常第1図に示すような
花弁状を呈しており、かかる結晶が焼結体表面に多数析
出して通常2〜30μmの厚さの薄い層(以下これを析出
層という)を形成している。析出層は焼結体全表面の50
%以上に形成されていることが望ましい。析出層の存在
する面積は、複合体の表面の走査型電子顕微鏡写真から
求めることができる。また、析出した結晶種の同定は、
薄膜X線回折により容易に決定される。
リン酸イオン(PO4 3-)、リン酸1水素イオン(HP
O4 2-)、リン酸2水素イオン(H2PO4 -)のうち1種また
は2種以上を含むpH7.3以上の水溶液中に浸漬され、通
常常温で10〜24時間処理される。水溶液中には、充分な
量の微細なアパタイト結晶を析出させるために、これら
リン酸イオン、リン酸1水素イオン、リン酸2水素イオ
ンが全体として0.01mol/以上含まれていることが好ま
しい。この処理により、該焼結体表面には、通常0.1μ
mから10μm(該表面からの結晶の長さ)の微細なアパ
タイト結晶が析出した層が形成され、本発明のリン酸カ
ルシウム複合体が得られる。上記処理において、pHが7.
3よりも低い場合にはアパタイト結晶が析出しないか、
析出したとしても析出量が不充分であるので好ましくな
い。析出したアパタイト結晶は通常第1図に示すような
花弁状を呈しており、かかる結晶が焼結体表面に多数析
出して通常2〜30μmの厚さの薄い層(以下これを析出
層という)を形成している。析出層は焼結体全表面の50
%以上に形成されていることが望ましい。析出層の存在
する面積は、複合体の表面の走査型電子顕微鏡写真から
求めることができる。また、析出した結晶種の同定は、
薄膜X線回折により容易に決定される。
以上の如く作製された、微細なアパタイト結晶が析出
した層を表面に有するリン酸カルシウム複合体に、さら
に700℃以上1100℃以下の温度で加熱処理(0.5〜5時
間)を施すと、花弁状アパタイト結晶はひも状となつ
て、結晶同志が相互に接合してくる。そのため、析出層
は三次元網状構造を有するようになる(第2図参照)。
また、かかる加熱処理によつて析出層におけるアパタイ
トは一部または全部がリン酸三カルシウムへと変化する
が、この加熱処理によつては中心をなす焼結体の強度、
骨誘導能はなんら影響されず、しかも表面の析出層と中
心の焼結体との結合がより強いものとなるので、かかる
加熱処理を行うことにより取り扱いがより簡単な複合体
を得ることができる。
した層を表面に有するリン酸カルシウム複合体に、さら
に700℃以上1100℃以下の温度で加熱処理(0.5〜5時
間)を施すと、花弁状アパタイト結晶はひも状となつ
て、結晶同志が相互に接合してくる。そのため、析出層
は三次元網状構造を有するようになる(第2図参照)。
また、かかる加熱処理によつて析出層におけるアパタイ
トは一部または全部がリン酸三カルシウムへと変化する
が、この加熱処理によつては中心をなす焼結体の強度、
骨誘導能はなんら影響されず、しかも表面の析出層と中
心の焼結体との結合がより強いものとなるので、かかる
加熱処理を行うことにより取り扱いがより簡単な複合体
を得ることができる。
なお、加熱温度が1100℃以上になると、析出したアパ
タイト結晶が半融し、析出結晶の形態を維持しにくくな
る。
タイト結晶が半融し、析出結晶の形態を維持しにくくな
る。
(発明の効果) 以上述べたように本発明で得られたリン酸カルシウム
複合体は、基体部が相対密度90%以上の緻密焼結体であ
ることから高強度(圧縮強度3000Kgf/cm2以上)であ
り、かつ、外表面に微細なアパタイト結晶層が形成され
ていることから、高い骨誘導能を有する。したがつて、
生体硬組織代替材料あるいは生体硬組織欠損部への充填
材料として有用である。
複合体は、基体部が相対密度90%以上の緻密焼結体であ
ることから高強度(圧縮強度3000Kgf/cm2以上)であ
り、かつ、外表面に微細なアパタイト結晶層が形成され
ていることから、高い骨誘導能を有する。したがつて、
生体硬組織代替材料あるいは生体硬組織欠損部への充填
材料として有用である。
(実施例) 実施例1 市販高純度水酸アパタイト粉末(セントラル硝子社製
ANグレード)および試薬1級のリン酸三カルシウム粉末
を重量でそれぞれ7対3の割合で混合した後、冷間静水
圧プレス法により、2000Kgf/cm2の圧力で直径5mm、長さ
10mmの円柱状に成形した。この成形体を破砕し、顆粒状
にした後、1400℃で3時間焼成して焼結体とした。この
顆粒状焼結体を共擂り法で研磨した後、該焼結体を充分
洗浄、乾燥し、ふるいを通して0.1mm以上の顆粒を分取
した。この顆粒を粉砕した試料について粉末X線回折を
測定したところ、水酸アパタイトとα−Ca3(PO4)2が
ほぼ原料の混合割合で存在していた。また顆粒の相対密
度は97%、圧縮強度は3200Kgf/cm2であつた。
ANグレード)および試薬1級のリン酸三カルシウム粉末
を重量でそれぞれ7対3の割合で混合した後、冷間静水
圧プレス法により、2000Kgf/cm2の圧力で直径5mm、長さ
10mmの円柱状に成形した。この成形体を破砕し、顆粒状
にした後、1400℃で3時間焼成して焼結体とした。この
顆粒状焼結体を共擂り法で研磨した後、該焼結体を充分
洗浄、乾燥し、ふるいを通して0.1mm以上の顆粒を分取
した。この顆粒を粉砕した試料について粉末X線回折を
測定したところ、水酸アパタイトとα−Ca3(PO4)2が
ほぼ原料の混合割合で存在していた。また顆粒の相対密
度は97%、圧縮強度は3200Kgf/cm2であつた。
以上のようにして作製した顆粒状焼結体を、0.05mol/
の濃度のNa2HPO4水溶液と0.05mol/の濃度のKH2PO4
水溶液を混合したpH7.5の水溶液中に、25℃で24時間浸
漬した。浸漬処理後の顆粒状焼結体表面には、ほぼ全面
にわたつて5μm程度の大きさの花弁状結晶が10μm程
度の厚みで析出していることが走査型電子顕微鏡観察に
よつて確認された。
の濃度のNa2HPO4水溶液と0.05mol/の濃度のKH2PO4
水溶液を混合したpH7.5の水溶液中に、25℃で24時間浸
漬した。浸漬処理後の顆粒状焼結体表面には、ほぼ全面
にわたつて5μm程度の大きさの花弁状結晶が10μm程
度の厚みで析出していることが走査型電子顕微鏡観察に
よつて確認された。
上述の如く得られたリン酸カルシウム複合体を犬の顎
骨に形成した空洞内に充填したところ、術後1週間で新
たな骨の生成が認められた。
骨に形成した空洞内に充填したところ、術後1週間で新
たな骨の生成が認められた。
比較例1 実施例1で作製した緻密焼結体顆粒(0.1mm以上)
を、リン酸含有水溶液による処理なしに、犬の顎骨に形
成した空洞内に充填したが、新生骨の生成には3〜4週
間必要であつた。
を、リン酸含有水溶液による処理なしに、犬の顎骨に形
成した空洞内に充填したが、新生骨の生成には3〜4週
間必要であつた。
実施例2 市販試薬特級の硝酸カルシウム〔Ca(NO3)2・4H
2O〕250gを蒸留水0.7に溶解し、この溶液に28%のア
ンモニア水0.08を徐々に加え、さらにこの溶液を蒸留
水0.3で希釈した。一方、市販リン酸水素二アンモニ
ウム〔(NH4)2HPO4〕93gを1の蒸留水に溶解し、こ
の溶液に、28%アンモニア水0.48と蒸留水2とを素
早く加えた。前者の硝酸カルシウム水溶液中に後者のリ
ン酸水素二アンモニウム水溶液を撹拌下に滴々加えた。
この時のカルシウムとリンの仕込原子比は1.5とした。
滴下が終つた後、撹拌を続けながら上記混合液を加熱
し、還流下に20分保持し、冷却後さらに1昼夜静置し
た。続いて該溶液を減圧下にガラスフィルターで濾過
し、この濾過ケーキをさらに蒸留水で洗浄後ガラスフイ
ルターごと80℃の乾燥器中にて一昼夜乾燥させた。この
ようにして得られたリン酸カルシウムの乾燥ケーキ体を
乳鉢中で粉砕し、実施例1と同様に冷間静水圧プレスに
より円柱状成形体とした。この成形体を電気炉中1400℃
で3時間焼成して得た焼結体中には、X線回折からほぼ
同量の水酸アパタイトとα−Ca3(PO4)2が含まれてお
り、また相対密度は98.5%、圧縮強度は3500Kgf/cm2で
あつた。この円柱状焼結体を研磨し、直径3mm、長さ10m
mの寸法とし、実施例1と同じ水溶液に25℃で浸漬した
ところ、24時間後には5μm程度の水酸アパタイト結晶
からなる層が20μm程度の厚みで焼結体表面のほぼ全面
に形成された。
2O〕250gを蒸留水0.7に溶解し、この溶液に28%のア
ンモニア水0.08を徐々に加え、さらにこの溶液を蒸留
水0.3で希釈した。一方、市販リン酸水素二アンモニ
ウム〔(NH4)2HPO4〕93gを1の蒸留水に溶解し、こ
の溶液に、28%アンモニア水0.48と蒸留水2とを素
早く加えた。前者の硝酸カルシウム水溶液中に後者のリ
ン酸水素二アンモニウム水溶液を撹拌下に滴々加えた。
この時のカルシウムとリンの仕込原子比は1.5とした。
滴下が終つた後、撹拌を続けながら上記混合液を加熱
し、還流下に20分保持し、冷却後さらに1昼夜静置し
た。続いて該溶液を減圧下にガラスフィルターで濾過
し、この濾過ケーキをさらに蒸留水で洗浄後ガラスフイ
ルターごと80℃の乾燥器中にて一昼夜乾燥させた。この
ようにして得られたリン酸カルシウムの乾燥ケーキ体を
乳鉢中で粉砕し、実施例1と同様に冷間静水圧プレスに
より円柱状成形体とした。この成形体を電気炉中1400℃
で3時間焼成して得た焼結体中には、X線回折からほぼ
同量の水酸アパタイトとα−Ca3(PO4)2が含まれてお
り、また相対密度は98.5%、圧縮強度は3500Kgf/cm2で
あつた。この円柱状焼結体を研磨し、直径3mm、長さ10m
mの寸法とし、実施例1と同じ水溶液に25℃で浸漬した
ところ、24時間後には5μm程度の水酸アパタイト結晶
からなる層が20μm程度の厚みで焼結体表面のほぼ全面
に形成された。
上記により作製した円柱状のリン酸カルシウム複合体
を犬の抜歯窩に形成した、直径3mm、深さ5mmの穴に埋入
した。新生骨の形成は術後1週間で確認された。また、
焼結体強度も歯根として充分作用するものであつた。
を犬の抜歯窩に形成した、直径3mm、深さ5mmの穴に埋入
した。新生骨の形成は術後1週間で確認された。また、
焼結体強度も歯根として充分作用するものであつた。
比較例2 試薬1級のCa2P2O7と試薬特級のCaCO3とから乾式反応
により合成したα−Ca3(PO4)2粉末をアクリル酸水溶
液と反応させ、直径3mm、長さ10mmの円柱状人工歯根を
得た。この歯根の圧縮強度は、高いものでも1000Kgf/cm
2であり(相対密度80%)、実施例2と同様に犬の顎骨
に埋入したところ破損した。
により合成したα−Ca3(PO4)2粉末をアクリル酸水溶
液と反応させ、直径3mm、長さ10mmの円柱状人工歯根を
得た。この歯根の圧縮強度は、高いものでも1000Kgf/cm
2であり(相対密度80%)、実施例2と同様に犬の顎骨
に埋入したところ破損した。
実施例3 実施例2で作製したリン酸カルシウム複合体を、900
℃で3時間加熱処理した。走査型電子顕微鏡観察の結
果、複合体表面を被覆した粒子の形態に変化が認められ
三次元網状構造となつていた。実施例2と同様に犬の顎
骨に埋入したところ、実施例2と同様に術後1週間で新
生骨の生成が確認される。また、上記加熱処理に伴う複
合体の強度変化は認められなかつた。しかしながら、リ
ン酸カルシウム結晶析出層の付着が実施例2の場合と比
較して強いため、複合体からの析出層の脱落はより少な
く、埋入操作および顎骨内での固定はより容易であつ
た。
℃で3時間加熱処理した。走査型電子顕微鏡観察の結
果、複合体表面を被覆した粒子の形態に変化が認められ
三次元網状構造となつていた。実施例2と同様に犬の顎
骨に埋入したところ、実施例2と同様に術後1週間で新
生骨の生成が確認される。また、上記加熱処理に伴う複
合体の強度変化は認められなかつた。しかしながら、リ
ン酸カルシウム結晶析出層の付着が実施例2の場合と比
較して強いため、複合体からの析出層の脱落はより少な
く、埋入操作および顎骨内での固定はより容易であつ
た。
第1図は、実施例1において得られたリン酸カルシウム
複合体の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
第2図は、実施例3において得られたリン酸カルシウム
複合体の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
複合体の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
第2図は、実施例3において得られたリン酸カルシウム
複合体の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
Claims (4)
- 【請求項1】アパタイトとα型リン酸三カルシウムを含
むリン酸カルシウム多結晶からなる相対密度90%以上の
緻密焼結体を基体として、該基体上にアパタイトの析出
結晶からなる薄い外層を有することを特徴とするリン酸
カルシウム複合体。 - 【請求項2】アパタイトの析出結晶からなる薄い外層が
該析出結晶がひも状となって相互に接合している層であ
る特許請求の範囲第1項記載のリン酸カルシウム複合
体。 - 【請求項3】アパタイトとα型リン酸三カルシウムを含
むリン酸カルシウム多結晶からなる相対密度90%以上の
緻密焼結体を、リン酸イオン、リン酸1水素イオン、リ
ン酸2水素イオンのうちいずれか1種または2種以上を
含む水溶液中に浸漬し、該緻密焼結体上に、アパタイト
結晶が析出した薄い外層を形成することを特徴とするリ
ン酸カルシウム複合体の製法。 - 【請求項4】アパタイト結晶が析出した薄い外層を形成
後さらに700〜1100℃に加熱処理を行う特許請求の範囲
第3項記載のリン酸カルシウム複合体の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62201659A JP2525011B2 (ja) | 1987-08-11 | 1987-08-11 | リン酸カルシウム複合体およびその製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62201659A JP2525011B2 (ja) | 1987-08-11 | 1987-08-11 | リン酸カルシウム複合体およびその製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6445793A JPS6445793A (en) | 1989-02-20 |
JP2525011B2 true JP2525011B2 (ja) | 1996-08-14 |
Family
ID=16444764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62201659A Expired - Lifetime JP2525011B2 (ja) | 1987-08-11 | 1987-08-11 | リン酸カルシウム複合体およびその製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2525011B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0773600B2 (ja) * | 1989-09-08 | 1995-08-09 | 株式会社村田製作所 | 生体活性水酸アパタイト膜のコーティング法 |
JP4782440B2 (ja) * | 2004-03-31 | 2011-09-28 | Hoya株式会社 | リン酸カルシウム系吸着剤及びその製造方法 |
JP4888930B2 (ja) * | 2004-07-13 | 2012-02-29 | Hoya株式会社 | リン酸カルシウム系骨補填材の製造方法 |
US20170232151A1 (en) * | 2016-02-13 | 2017-08-17 | National Taiwan University | Bioresorbable synthetic bone graft |
-
1987
- 1987-08-11 JP JP62201659A patent/JP2525011B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6445793A (en) | 1989-02-20 |
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