JPH0724686B2 - 生体活性水酸アパタイト膜の製造方法 - Google Patents

生体活性水酸アパタイト膜の製造方法

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JPH0724686B2
JPH0724686B2 JP2269217A JP26921790A JPH0724686B2 JP H0724686 B2 JPH0724686 B2 JP H0724686B2 JP 2269217 A JP2269217 A JP 2269217A JP 26921790 A JP26921790 A JP 26921790A JP H0724686 B2 JPH0724686 B2 JP H0724686B2
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apatite
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は骨修復材料・体内埋め込み式医療器具器材・
医療用品・各種人工臓器等の生体中で使われる材料の製
造方法に関する。更に詳しくは、この発明は無機材料、
金属材料、有機材料を問わず生体内で使われる種々の形
状を有するすべての材料表面に、骨と類似した組成と構
造を有する生体活性な水酸アパタイトの膜の製造方法に
関するものである。
(従来の技術) 水酸アパタイトを基材へコーティングする方法として
は、 プラズマ溶射法を用いたもの(特開昭62−34559号公
報、特開昭62−57548号公報、特開昭63−160663号公
報) CaとPとを含んだ溶液または化合物を基材表面へ塗布
し焼結させる方法(特開昭62−231669号公報、特開昭63
−−24952号公報、特開昭63−46165号公報)、 スパッタリング法によるもの(特開昭58−109049号公
報)、 フレーム溶射法によるもの(日本セラミックス協会19
88第1回秋期シンポジウム講演予稿集p.p.401−402)、 ガラスフリットの焼付け法によるもの(第9回バイオ
マテリアル学会大会予稿集(1987)p.6) 電気永動法によるもの(日本セラミックス協会1988第
1回秋期シンポジウム講演予稿集p.p.417−418)が発表
された。
(発明が解決しようとする問題点) 上記の従来技術はそれぞれ次のような問題点を有する。
プラズマ溶射法・フレーム溶射法は、複雑で高価な装
置を必要とすること、緻密な膜を作りにくいこと、原料
の水酸アパタイトがいったん高温で溶融されるので生体
内のアパタイトと異なるアパタイトの膜が形成されるこ
と等、 スパッタリング法は、複雑で高価な装置を必要とする
こと、原料の水酸アパタイトがいったん高エネルギーで
分解されるので生体内のアパタイトと異なる種類のアパ
タイトの膜が形成されること等、 焼結法やガラスフリット法は、850℃前後の熱処理を
必要とするため耐熱性の高い基材にしか適用できないこ
と、更にこの場合も原料の水酸アパタイトがいったん高
温で加熱処理されるので生体内のアパタイトと異なる種
類のアパタイト膜が形成されること等、 電気永動法は、基材自身を電極として用いるため、良
導性の金属基材にしか適用できないこと、原料に焼結ア
パタイトを用いるためやはり生体内のアパタイトとは異
なるアパタイトの膜が形成されること等、 である。
一方、この発明者らはさきに、ガラス中にアパタイトと
ウォラストナイトとを析出させる方法によって、生体内
で自然に強く化学的に結合する生体活性を有し、しかも
長期間にわたって高い機械的強度保つ結晶化ガラスを開
発した。この発明者らはこの生体活性を支配する因子を
追求する過程で、セラミックスが骨と結合する際に重要
な役割を果たすのは、焼結法やガラス結晶化法により作
られたセラミックス中に存在するアパタイト層ではな
く、それらが体内に埋入された時周囲の体液と反応して
表面に新しく生成する骨類似のアパタイト層であるこ
と、更にこのアパタイト層は、それらの骨と結合するセ
ラミックスを細胞を含まず無機イオン濃度だけをヒトの
体液に等しくした水溶液に浸漬しただけでも作られるこ
と、およびこのアパタイト層の生成には結晶化ガラスか
ら溶出するCaとSiが極めて重要な役割を果たすことを解
明した。これらの知見を基に、この発明者らは種々の基
材表面に骨類似のアパタイト層を形成させることにつ
き、鋭意研究を重ねた結果、この発明を完成させたもの
である。
すなわち、この発明の目的は、無機材料・金属材料・有
機材料を問わず種々の形状を有するすべての基材の上
に、加熱処理を行うことなく生体内の骨と類似の生体活
性アパタイトの膜を基材表面の全面に均一に極めて簡便
にコーティングする方法を提供しようとするものであ
る。
(課題を解決するための手段) すなわち、第1の発明は、基材と少なくともCaOとSiO2
を主成分とする粉体ガラスとを共存せしめ、水、または
少なくともリンイオンを含む水溶液に浸漬することによ
り、基材表面に水酸アパタイトの核を形成させることを
特徴とする生体活性水酸アパタイト膜の製造方法であ
る。
また、第2の発明は、この操作に引き続いて基材を飽和
濃度近くか飽和濃度を越える量の水酸アパタイト成分を
溶解した水溶液にさらに浸漬することによりアパタイト
膜を形成させることを特徴とする生体活性水酸アパタイ
ト膜の製造方法である。
(作用) 本発明方法により、生体活性水酸アパタイト膜が製造さ
れるメカニズムを簡単に説明すると、以下のとおりであ
る。
つまり、粉体ガラスを水溶液に浸漬すると、ガラスから
その構成成分であるCa2+、Si(IV)イオン(HSiO3 -が代
表的なイオンである)等が溶出する。ここで、Si(IV)
イオンは基材に吸着してアパタイト核の形成に有利なサ
イトを提供し、また、Ca2+イオンは水溶液のアパタイト
に対する過飽和度を高めることになる。過飽和度が高ま
るとSi(IV)イオンの吸着している部分でアパタイトの
核が形成されることになる。すなわち、核形成に際し、
重要な点は過飽和度が局部的に上昇することである。こ
の場合、過飽和度を上昇させるCa2+イオン、およびSi
(IV)イオンは両者をガラスから供給してもよいし、水
溶液にP(V)イオン(HPO4 2-が代表的なイオンであ
る)を含有させておき、ガラスからはCa2+イオンを供給
してもよい。
このようなメカニズムでアパタイト核の形成が行なわれ
たのちに、次に第2の発明を実施する場合、アパタイト
の核を形成した基材を飽和濃度近くか飽和濃度を越える
量の水酸アパタイト成分を溶解した水溶液にさらに浸漬
するが、ここでは上記の粉体ガラスは不要となる。も
し、粉体ガラスを共存させておくと、粉体ガラスの表面
にアパタイトが成長し、水溶液のCa2+イオンが消費され
るという悪影響が現われる。
以下、本発明方法の構成をその作用とともに詳述する。
本発明方法を効率よく実施するには、基材と共存させる
粉体ガラスの組成ならびに粒径、および基材を浸漬する
水溶液のイオン濃度、pH並びに温度をそれぞれ所定範囲
に限定することが好ましい。
まず第1に、本発明の目的に適した粉体ガラスは少なく
とも主成分をCaOとSiO2とすることを要する。
その例を第1表に示す。同表中、試料1〜3はCaOとSiO
2のみを含む粉体ガラスである。試料4〜10はCaOとSiO2
の他にP2O5も含む粉体ガラスである。試料11はバイオガ
ラスと同じ組成の粉体ガラスである。試料12は本発明者
らが先に開発した生体活性結晶化ガラスと同じ組成を持
つ粉体ガラスである。試料13〜24はCaOとSiO2を主成分
とし、Na2O、K2O、MgO、P2O5、CaF2などを種々の量含有
する粉体ガラスである。これらはいずれも各種基板上に
水酸アパタイトの核の形成能力を有する。ただし、CaO
とSiO2の配合比についてみれば、CaOが20mol%未満では
粉体ガラスの核形成能力が過小となり70mol%以上では
ガラスが得られ難くなる。また、SiO2が30mol%未満で
は同様にガラスが得られ難く、80mol%以上では粉体ガ
ラスの水酸アパタイト核形成能力が過小となる。さら
に、粉体ガラスの全体量中、CaOとSiO2の合計が65mol%
未満では粉体ガラスの水酸アパタイト核形成能力が著し
く減少する。したがって、CaOは20〜70mol%に、SiO2
30〜80mol%に、かつCaOとSiO2の合計は65mol%以上で
あることが好ましい。
また、CaOとSiO2のガラスにさらにP2O5を含ませる場
合、CaO、SiO2およびP2O5の配合比についてみれば、P2O
5が0.1mol%未満ではガラスのアパタイト膜形成能力が
著しく小さく、25mol%を越えるとガラスそのものを構
成できなくなる。したがって、この場合、粉体ガラスの
全体量中、CaOは20〜70mol%に、SiO2は30〜80mol%
に、かつCaOとSiO2の合計は65mol%以上であり、P2O5
0.1〜25mol%であることが好ましい。
次に、粉体ガラスの粒径であるが、粒体は粒径が小さく
なるに従って比表面積が増大し、活性が高くなる。この
方法の場合、粉体ガラスを水溶液に浸漬すると粒径が減
少するにつれてガラス成分の水溶液への溶出速さが増大
する。第2表に示すように粉体ガラスの粒径が0.5μm
未満になるとガラスからのイオンの溶出速さが急激に増
加し、溶出と同時に粉体ガラス表面にアパタイト膜を形
成してそれ以降の溶出を抑制してしまう。その結果、素
材表面で選択的に起こるべきアパタイトの核形成が阻害
され、被覆率(核形成部分の面積/基材表面積)が低下
してしまう。また、粒径が10000μmを越えると基材と
粉体ガラスとの距離が不均一となり、基材表面近傍にお
けるアパタイトに対する過飽和度が均一に上昇せず核形
成がまばらにしか起こらなくなり、被覆率が低下してし
まう。従って、粉体ガラスの粒径は、0.5〜10000μmの
範囲にあることが好ましい。
次に、アパタイトの核形成のために適した水溶液は、水
または少なくともリンイオンを含む水溶液からなる。
より具体的には、次の3つの水溶液が使用できる。つま
り、 アパタイトの少なくとも主要構成成分を実質的に飽和
乃至過飽和濃度で含んでいる水溶液である。ここに「実
質的に飽和濃度」とは飽和濃度に近い濃度であって飽和
濃度と略略同等の作用を示す濃度の意味と介するものと
する。
アパタイトに対して不飽和であるが、リンイオン(P
(V))を多量に含んでいる水溶液である。
水またはアパタイトに対して不飽和で、カルシウムイ
オン(Ca2+)とリンイオン(P(V))を一定量越えて
含まない水溶液である。
上記した水溶液〜は、粉体ガラスの成分と密接な関
係がある。
つまり、CaO、SiO2を主成分とする粉体ガラスについて
は、、の水溶液と組合せることにより、アパタイト
の核形成が可能である。CaO、SiO2を主成分とする粉体
ガラスの具体的な組成としては、CaOは20〜70mol%に、
SiO2は30〜80mol%に、かつCaOとSiO2の合計は65mol%
以上の粉体ガラスが用いられる。この他、Na2O、K2O、M
gO、P2O5等を種々の量含有させた粉体ガラスを用いても
よい。
CaO、SiO2、P2O5を主成分とする粉体ガラスについて
は、〜の水溶液のいずれでも、アパタイトの核形成
が可能である。CaO、SiO2、P2O5を主成分とする粉体ガ
ラスの具体的な組成としては、CaOは20〜70mol%に、Si
O2は30〜80mol%に、かつCaOとSiO2の合計は65mol%以
上で、P2O5は0.1〜25mol%である粉体ガラスが用いられ
る。この他、Na2O、K2O、MgO等を種々の量含有させても
よい。
水溶液の組成を第3表に示した、第3表中、試料1はイ
オン交換水である。試料2〜6はP(V)イオンのみを
含有する水溶液である。試料7〜15はCa2+イオンとP
(V)イオンを含む水溶液である。試料16〜19はCa2+
オンとP(V)イオンを含まず、Na+、K+、Mg2+、Cl-
HCO3 -、SO4 2-などを種々の量含有する水溶液である。試
料20〜34はCa2+イオンやP(V)イオンを含み、この他
Na+、K+、Mg2+、Cl-、HCO3 -、SO4 2-などを種々の量含有
する水溶液である。組成35はヒトの血漿とほぼ等しいイ
オン濃度を有する水溶液である。これらはいずれも種々
の基材上の水酸アパタイトの核を形成させる能力を有す
る。
の水溶液について、具体的に説明すれば、Ca2+または
P(V)がそれぞれ0.1mM未満では核形成能力が過小で
あり、Ca2+またはP(V)イオンがそれぞれ10mM、50mM
を越えると水溶液中至るところに水酸アパタイトの沈澱
が生じ、核形成および結晶成長しない傾向がある。よっ
て、Ca2+は0.1〜10mMに、P(V)イオンは0.1〜50mMの
範囲で含有されているものである。水溶液の溶質として
重要なイオンはCa2+とP(V)イオンの2つであるが、
それ以外にNa+、K+、Mg2+、Cl-、HCO3 -、SO4 2-などのイ
オンを含んでいてもかまわない。しかし水溶液が長期間
にわたって安定したイオン状態を保つためには組成35の
疑似体液の組成がもっとも望ましい。
の水溶液について、具体的に説明すれば、P(V)イ
オンの濃度が0.1mM未満では核形成能力が過小であり、5
000mMを越えるとイオンとして存在しない。したがっ
て、Ca2+は0〜0.1mMに、P(V)イオンは0.1〜5000mM
の範囲で含有されているものである。水溶液の溶質とし
て重要なイオンはCa2+とP(V)イオンの2つである
が、それ以外にNa+、K+、Mg2+、Cl-、HCO3 -、SO4 2-など
のイオンを含んでいてもかまわない。
の水溶液について、具体的に説明すれば、Ca2+、P
(V)イオンがそれぞれ0〜0.1mMの範囲で含有されて
いるものである。
また、本発明の第2の発明を実施する場合、基材の表面
にアパタイトの核を形成したのち、の水溶液、つま
り、実質的に飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分
を溶解した水溶液に浸漬することにより、均一なアパタ
イトの膜が形成される。
次に水溶液のpHであるが、水酸アパタイトは酸性域では
不安定で、中性またはアルカリ性域で安定に析出するこ
とが知られている。本発明方法で水酸アパタイトの核を
形成する場合、水溶液のpHは一般に第4−1表に示すよ
うに調整時と浸漬後で異なり、浸漬中に粉体ガラス成分
の溶出によりpHが大きくなる方向に変化する。水酸アパ
タイトの核を形成するためには浸漬後にpHが7以上にな
ることが好ましい。そのためには調整時のpHを5以上と
することがよい。また、調整時のpHが9を越えると、水
酸アパタイトの沈澱が水溶液中で発生し、基材表面にお
ける選択的な核形成が困難となる。よって、好適な水溶
液のpHは5〜9の範囲にある。しかし液のpHは調整時か
ら水酸アパタイト核生成終了まで弱アルカリ性域にあり
ほとんど変化しないことが望ましく、そのためには例え
ばトリスヒドロキシメチルアミノメタン((CH2OH)3CN
H2)50mMと塩酸(HCl)45mMなどの緩衝剤を水溶液に加
えてpHを7〜9に保つことが有効である。
次に、アパタイトの核を形成した基材を浸漬する水溶液
のpHであるが、第4−2表に示すように、中性域のpH6
から水酸アパタイト膜が成長する。pH6より小さい場
合、核が消失することもある。したがって、好適な水溶
液のpHは6〜9の範囲にある。
次に基材と粉体ガラスを浸漬する水溶液の温度である
が、水酸アパタイトの溶解度は温度が上昇するにつれて
低くなることが知られている。本発明方法の要点は、水
または少なくともP(V)イオンを含む水溶液に、CaO
とSiO2を主成分とする粉体ガラスを浸漬し、粉体ガラス
成分の溶出によって徐々に水溶液のアパタイトに対する
過飽和度を高める点にある。水溶液の温度を低くすると
溶解度が大きくなりつまり過飽和度は小さくなり、かつ
ガラス成分の溶出量が少なくなる。第5−1表に示すよ
うに5℃未満になると核形成領域が急激に小さくなる。
また温度を高くすると過飽和度は大きくしやすいが70℃
を越えると膜の相が水酸アパタイトの単相ではなくな
る。よって水溶液の好適な温度は5〜70℃にある。
次にアパタイトの核を形成した基材を浸漬する水溶液の
温度であるが、第5−2表に示すように5℃未満になる
と膜成長速度が小さくなり、また70℃を越えると水酸ア
パタイト単相ではなくなる。よって水溶液の好適な温度
は同じく5〜70℃にある。
(効果) 本発明方法にかかる生体活性水酸アパタイト膜の製造方
法によれば、無機材料・金属材料・有機材料を問わず種
々の形状を有するすべての基材の上に、加熱処理を行う
ことなく生体内の骨と類似の生体活性アパタイトの膜を
基材表面の全面に均一に極めて簡便にコーティングする
ことができる。
(実施例) 以下、本発明を実施例に従って説明する。
実施例1. 基材には第6表に示す種々の径を有するアルミナボール
を用いた。直径0.5mm以下のアルミナボールについて
は、シアノアクリレート系接着剤によりアルミナ基板に
固定した。次に、第1表の試料12に示す組成が得られる
ように特級試薬の炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、酸化
マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、フッ化ケイ素を
所定量秤量後混合し、1450℃、2時間で溶融、融液を鉄
板上に流し出しガラス化した。得られたガラスをメノウ
乳鉢で粉砕し、篩で分級を行うことにより種々の粒度を
有する粉体ガラスを得た。その中から粒径30〜50μmの
粉体ガラスを50g計り取り、第3表の試料35に示すイオ
ン濃度を有する水溶液2000ml中に基材とともに第1図に
示すように、基材表面を粉体ガラスが完全に覆うように
して36.5℃で浸漬した。第1図において、1は容器、2
はアルミナボール、3はアルミナ基板、4は粉体ガラ
ス、5は水溶液、6は蓋である。水溶液は、特級試薬の
塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、
リン酸水素2カリウム・3水和物、塩化マグネシウム・
6水和物、塩化カルシウム、硫酸ナトリウムを所定量秤
量しイオン交換水に溶解して得た。緩衝剤としてトリス
ヒドロキシメチルアミノメタン50mMと塩酸約45mMを添加
し、pHを7.25に保った。2日後、基材を取り出し基材の
みをさらに同じく第3表の試料35のイオン濃度を有する
水溶液2000mlに45℃で浸漬した。浸漬2、4、6日後基
材を取り出すと、浸漬日数に比例してそれぞれ膜厚約
5、10、15μmの水酸アパタイト膜が基材の表面全面に
形成された。
実施例2. 実施例1と同じ直径2mmのアルミナボールを第1表の試
料11の組成を有する粒径5〜10μmの粉体ガラス5gの上
に第2図に示すように埋もれないように軽く乗せ、第3
表の試料33のイオン濃度を有する水溶液200ml中に30℃
で2日間浸漬した。第2図において、1は容器、2はア
ルミナボール、4は粉体ガラス、5は水溶液、6は蓋で
ある。粉体ガラスは実施例1.で用いた試薬にさらに特級
試薬の炭酸ナトリウムを用い、実施例1.と同様の方法で
作成した。浸漬した後、取り出してアルミナボールのみ
を第3表の試料34のイオン濃度を有する水溶液50mlに50
℃で更に浸漬した。水溶液は特級試薬の水酸化カルシウ
ム、リン酸2水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム、塩
化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムを所定
量秤量後イオン交換水に溶解して作成した。また、水溶
液には緩衝剤としてトリスヒドロキシメチルアミノメタ
ンと塩酸を添加し、pHを7.25に保った。2日間浸漬した
ところ、最初の浸漬で粉体ガラスと接している部分、そ
うでない部分とで相違無く、アルミナボール表面全面に
厚さ約5μmのアパタイト膜が得られた。
実施例3. 実施例1で用いた直径0.5mmのアルミナボールを第1表
の試料17の組成を有する粒径20〜40μmの粉体ガラス5g
と目開き200μm、厚さ100μmのナイロンメッシュで隔
てて対峙せしめ、第3表の試料22のイオン濃度を有する
水溶液200ml中に40℃で2日間浸漬した。粉体ガラスは
実施例1.で用いた試薬にさらに特級試薬の炭酸カルシウ
ムを用い、実施例1.と同様に方法で作成した。浸漬した
後、アルミナボールを取り出し、アルミナボールのみを
第3図に示すように第3表の試料33のイオン濃度を有す
る水溶液200mlに40℃で更に浸漬した。第3図におい
て、1は容器、2はアルミナボール、4は粉体ガラス、
5は水溶液、6は蓋、7はナイロンメッシュである。水
溶液は実施例1.と同じものに特級試薬のリン酸水素ナト
リウムを加えたものとし、これを所定量秤量後イオン交
換水に溶解して作成した。また、水溶液には緩衝剤とし
てトリスヒドロキシメチルアミノメタンと塩酸を添加
し、pHを7.25に保った。6日間の浸漬によりアルミナボ
ール表面全部に均一に厚さ約5μmのアパタイト膜が得
られた。
実施例4. 第7表に示す種々の径を有する長さ5cmのアルミナファ
イバー、ガラスファイバー、ナイロン糸およびステンレ
スワイヤー(以下、ファイバーという)を10〜20μmの
粒度、第1表の試料18の組成を有する粉体ガラス50gと
共に、第4図に示すように第3表の試料1のイオン交換
水3000mlに36.5℃で浸漬した。第4図において、1は容
器、4は粉体ガラス、5は水溶液、6は蓋、8はファイ
バーのうち、アルミナファイバー、ガラスファイバー、
ナイロン糸であり、9はファイバーのうち、ステンレス
ワイヤーである。2日後、ファイバーを取り出しファイ
バーのみを更に2日間、第3表の試料32のイオン濃度を
有する水溶液3000mlに36.5℃で更に浸漬した。粉体ガラ
スは、実施例3.で用いた試薬を実施例1.と同様の方法で
作成した。また、水溶液は実施例1.で用いた試薬にさら
に特級試薬のリン酸水素ナトリウムを加えたものを用
い、実施例1.と同様の方法で作成した。なお、イオン交
換水、および水溶液は実施例1.と同様にpH7.25に保っ
た。その結果、膜厚約5μmの水酸アパタイト膜がすべ
てのファイバーの表面全面に形成された。
実施例5. 基材には第6表に示す種々の径を有するアルミナボール
を用いた。直径0.5mm以下のアルミナボールについて
は、シアノアクリレート径接着剤によりアルミナ基板に
固定した。次に、第1表の試料1に示す組成の粉体ガラ
スが得られるように特級試薬の炭酸カルシウム、二酸化
ケイ素を所定量秤量後混合し、1600℃、2時間で溶融
し、以下は実施例1.と同様の方法で粉体ガラスを作成し
た。粒径30〜50μmの粉体ガラスを50g計り取り、第3
表の試料35に示すイオン濃度を有する水溶液2000ml中に
基材とともに、第1図に示すように基材表面にを粉体ガ
ラスが完全に覆うようにして36.5℃で浸漬した。2日
後、基材を取り出し基材のみをさらに第8表の試料31の
イオン濃度を有する水溶液2000mlに45℃で浸漬した。水
溶液は、実施例1.同じ試薬を用い、同様の方法で作成し
た。また、pHは7.25に保った。浸漬して2、4、6日後
基材を取り出すと、浸漬日数に比例してそれぞれ膜厚約
5、10、15μmの水酸アパタイト膜が基材の表面全面に
形成された。
実施例6. 実施例5と同じ直径2mmのアルミナボールを第1表の試
料2の組成を有する粒径5〜10μmの粉体ガラス5gの上
に第2図に示すように埋もれないように軽く乗せ、第3
表の試料12のイオン濃度を有する水溶液200ml中に30℃
で2日間浸漬した。浸漬した後、取り出してアルミナボ
ールのみを第8表の試料30のイオン濃度を有する水溶液
50mlに50℃で更に浸漬した。粉体ガラスは実施例5.と同
じ試薬、方法で作成した。水溶液は実施例1.同じ試薬に
リン酸水素アンモニウム、リン酸水素ナトリウムを加
え、同様の方法で作成した。またpHは7.25に保った。2
日間浸漬したところ、最初の浸漬で粉体ガラスと接して
いる部分、そうでない部分とで相違無く、アルミナボー
ル表面全面に厚さ約5μmのアパタイト膜が得られた。
実施例7. 実施例5で用いた直径0.5mmのアルミナボールを第1表
の試料14の組成を有する粒径20〜40μmの粉体ガラス5g
と目開き200μm厚さ100μmのナイロンメッシュで隔て
て峙せしめ、第3表の試料8のイオン濃度を有する水溶
液200ml中に40℃で2日間浸漬した。浸漬した後、アル
ミナボールを取り出し、アルミナボールのみを第3図に
示すように第3表の試料29のイオン濃度を有する水溶液
200mlに40℃で更に浸漬した。粉体ガラスは実施例1.の
試薬に炭酸ナトリウムを加え、同様の方法で作成した。
また、水溶液は実施例1.及び6.と同じ試薬を用い、同様
の方法で作成した。またpHも7.25に保った。6日間の浸
漬によりアルミナボール表面全部に均一に厚さ約5μm
のアパタイト膜が得られた。
実施例8. 第7表に示す種々の径を有する長さ5cmのアルミナファ
イバー、ガラスファイバー、ナイロン糸及びステンレス
ワイヤーを10〜20μmの粒度、第1表の試料19の組成を
有する粉体ガラス50gと共に、第4図に示すように第3
表の試料4のイオン濃度の水溶液3000mlに36.5℃で浸漬
した。2日後、ファイバーを取り出しファイバーのみを
更に2日間第3表の試料28のイオン濃度を有する水溶液
3000mlに36.5℃で更に浸漬した。粉体ガラスは、実施例
1.と同じ試薬に炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを加えた
ものを用い、同様の方法で作成した。水溶液は実施例1.
と同じ試薬にリン酸アンモニウム、リン酸水素ナトリウ
ムを加えたものを用い、同様の方法で作成した。その結
果、膜厚約5μmの水酸アパタイト膜がすべてのファイ
バーの表面全面に形成された。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第4図は、本発明方法を実施するための装置の
概略断面図である。 1は容器、2はアルミナボール、4は粉体ガラス、5は
水溶液、6は蓋。
フロントページの続き (72)発明者 坂部 行雄 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 審査官 多喜 鉄雄

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材と少なくともCaOとSiO2を主成分とす
    る粉体ガラスとを共存せしめ、水、または少なくともリ
    ンイオンを含む水溶液に浸漬することにより、基材表面
    に水酸アパタイトの核を形成させることを特徴とする生
    体活性水酸アパタイト膜の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項(1)の操作に引き続いて基材を実
    質的に飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分を溶解
    した水溶液に更に浸漬することによりアパタイト膜を形
    成させることを特徴とする生体活性水酸アパタイト膜の
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記粉体ガラスの粒径が0.5〜10000μmの
    範囲にある請求項(1)に記載の生体活性水酸アパタイ
    ト膜の製造方法。
  4. 【請求項4】前記水溶液が5〜9のpH範囲にある請求項
    (1)記載の生体活性水酸アパタイト膜の製造方法。
  5. 【請求項5】前記水溶液が6〜9のpH範囲にある請求項
    (2)記載の生体活性水酸アパタイト膜の製造方法。
  6. 【請求項6】前記水溶液が5〜70℃の温度範囲にある請
    求項(1)または(2)記載の生体活性水酸アパタイト
    膜の製造方法。
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