JPH06293506A - 水酸アパタイト膜の形成方法 - Google Patents

水酸アパタイト膜の形成方法

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JPH06293506A
JPH06293506A JP10038193A JP10038193A JPH06293506A JP H06293506 A JPH06293506 A JP H06293506A JP 10038193 A JP10038193 A JP 10038193A JP 10038193 A JP10038193 A JP 10038193A JP H06293506 A JPH06293506 A JP H06293506A
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JP
Japan
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aqueous solution
glass
film
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apatite
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JP10038193A
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Tadashi Kokubo
正 小久保
Takehiro Shibuya
武宏 渋谷
Masaki Ogawa
雅樹 小川
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NIPPON SHERWOOD KK
Nippon Electric Glass Co Ltd
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NIPPON SHERWOOD KK
Nippon Electric Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】水溶液とガラスを用い、短時間の内に基材表面
に水酸アパタイトの膜を形成する方法を提供する。 【構成】基材を、Na2 OとSiO2の二成分からなる
ガラス体とともに、カルシウムイオン及びリン酸イオン
を含む第一の水溶液に浸漬し、ガラス体からガラス成分
を溶出せしめることによって基材表面にアパタイトの核
を生成させ、続いて第一の水溶液よりもイオン濃度の高
い第二の水溶液に基材を浸漬することによって、基材表
面に水酸アパタイトの膜を形成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基材表面に水酸アパタ
イト膜を形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機高分子や金属やセラミックスを用い
て人工骨、人工歯根、人工血管等の生体材料を作製する
試みが古くからなされている。ところでこれらの材料の
なかには生体親和性の不十分な、或は全く生体親和性を
示さない材料も存在する。そこでこれら材料の表面に生
体親和性の高いアパタイト膜を形成することが提案され
ている。
【0003】アパタイト膜を形成する代表的な方法とし
て、プラズマ溶射法を用いる方法(例えば特開昭62−
34559号、特開昭63−160663号)や、ガラ
スフリットの焼き付けによる方法(例えば第九回バイオ
マテリアル学会大会予稿集1987年 第6頁)が知ら
れている。しかしながらプラズマ溶射法を用いる場合、
複雑で高価な装置を必要とすること、緻密な膜を作り難
いこと、さらに生体内のアパタイト(水酸アパタイト
Ca10(PO46 (OH)2 )と異なる種類のアパタ
イト(酸素アパタイト Ca10(PO46 O)の膜が
形成されてしまうこと等の問題を有している。またガラ
スフリットの焼き付けによる場合、ガラスの焼き付け温
度が700℃以上になるため基材として使用できる材料
が限られてくることや、生体内のアパタイトと異なる種
類のアパタイト(酸素アパタイト)の膜が形成されてし
まうこと等の問題を有している。
【0004】そこで本発明者等は、特開平2−2551
5号等において、水溶液とCaO−SiO2 系ガラスを
用いて基材表面にアパタイト膜を形成する方法を提案し
ている。さらに特開平3−97466号において、この
ようにして形成したアパタイトの膜(核)を有する基材
を、よりイオン濃度の高い水溶液に浸漬して、十分な膜
厚を有する水酸アパタイト膜を形成する方法を提案して
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した水溶液とガラ
スを用いる方法は、基材をCaO−SiO2 系ガラスと
ともに、カルシウムイオンやリン酸イオンを含む水溶液
に浸漬することによって、まずガラスから溶出したケイ
酸イオンによって基材表面に無数のアパタイトの核を生
成させ、次いでこれを成長させてアパタイトの膜を形成
させるものであり、特別な装置を用いる必要がなく、ま
た低温で処理できるため、どのような基材であっても膜
を形成することができる。しかも生体内に存在するアパ
タイトと同じ水酸アパタイトの膜を形成することが可能
である。
【0006】しかしながらこのような方法では、基材上
にアパタイトの核を生成させる速度が遅く、結果として
膜形成に長時間を要するという欠点を有している。本発
明の目的は、水溶液とガラスを用い、短時間の内に基材
表面に水酸アパタイトの膜を形成する方法を提供するも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は種々の考察
を行った結果、ガラス粉末として実質的にNa2 OとS
iO2の二成分からなるガラスを用いることにより、上
記目的を達成できることを見いだし、本発明として提案
するものである。
【0008】即ち、本発明の水酸アパタイト膜の形成方
法は、基材を、Na2 OとSiO2の二成分からなるガ
ラス体とともに、カルシウムイオン及びリン酸イオンを
含む第一の水溶液に浸漬し、ガラス体からガラス成分を
溶出せしめることによって基材表面にアパタイトの核を
生成させ、続いて第一の水溶液よりもイオン濃度の高い
第二の水溶液に基材を浸漬することによって、基材表面
に水酸アパタイトの膜を形成することを特徴とする。
【0009】なお本発明において、第一の水溶液中に基
材を浸漬する際に、基材とガラス体との間に一定の間隔
を設けても差し支えないが、アパタイトの核を密に生成
させるために基材とガラス体とが接触した状態にしてお
くことが望ましい。
【0010】本発明において使用するガラス体は、板
状、棒状、粉末状等どのような形態であってもよいが、
特に基材と接触した状態でも水溶液を十分に供給できる
粉末状のものを用いることが好ましい。この粉末の粒径
は、50〜1000μm、好ましくは150〜300μ
mの範囲にあるものを使用することが望ましい。
【0011】またガラス体は、本発明の作用を損なわな
い限り微量の不純物を含んでいてもよいが、実質的にN
2 OとSiO2 の二成分からなる化学耐久性の低いガ
ラスであり、アパタイトの核の生成を誘起するケイ酸イ
オンを溶出し易いものである。具体的にはNa2 O 2
0〜40mol%、SiO2 60〜80mol%の組成
を有するガラスであることが好ましい。
【0012】組成範囲をこのように限定した理由は、N
2 Oが20mol%より少ないと、ケイ酸イオンが水
溶液中に溶出し難くなって、基材表面に水酸アパタイト
の核を早期に形成することができなくなるためであり、
また40mol%より多いと水溶液のpH値が高くな
り、至るところで水酸アパタイト結晶が析出してアパタ
イトの核が生成し難くなるため好ましくない。なおガラ
ス体が、Na2 OやSiO2 以外の成分(例えばCaO
等)を含んでいると、ケイ酸イオンの溶出速度が低下し
て、アパタイトの核を早期に形成することができないと
いう不都合がある。
【0013】第一の水溶液は、水酸アパタイトの構成成
分となるカルシウムイオン及びリン酸イオンを含むもの
であり、特にこれらのイオンをCa2+及びHPO4 2-
換算してCa2+を0.1〜9mM、HPO4 2- を0.1
〜49mMの範囲で含むものを使用することが望まし
い。イオン濃度をこのように限定した理由は、これらの
イオン濃度が高すぎると、水溶液が不安定になって水酸
アパタイト結晶が至るところで析出してしまい好ましく
ない。逆に濃度が低すぎるとアパタイトの核が十分に生
成せず、均一な膜の形成ができなくなるためである。
【0014】第一の水溶液の具体的な例を表1に示す。
なお表1中、最も好ましいものは、一般に疑似体液と呼
ばれるNo.3の水溶液である。
【表1】 第一の水溶液のpH値は5〜9が良く、好ましくはpH
7.25付近であり、また水溶液の温度は25〜50℃
が良く、特に36.5℃付近であることが好ましい。な
おガラス体からのガラス成分の溶出によって水溶液のp
H値が変化し易いために、トリスヒドロキシメチルアミ
ノメタン((CH2 OH)3 CNH2)50mMと塩酸
(HCl)45mM等を緩衝剤として加え、pH値を一
定に保つようにすることが望ましい。
【0015】第二の水溶液は、基材表面に生成したアパ
タイトの核を早期に成長させて水酸アパタイト膜を形成
するために使用するものであり、第一の水溶液よりイオ
ン濃度の高い水溶液を用いる。なお第一の水溶液よりイ
オン濃度の高い水溶液とは、全てのイオンの濃度が高い
場合の他、水酸アパタイトの構成成分となるカルシウム
イオンやリン酸イオンの濃度のみが高い場合も含まれ
る。
【0016】しかしこれらのイオン濃度が高すぎると水
溶液が不安定になり、至るところに水酸アパタイト結晶
が析出して沈殿してしまい、膜形成に支障をきたすおそ
れがある。それゆえ不要な水酸アパタイト結晶の析出・
沈殿を生じないように、これらイオンの濃度を適当に調
整する必要があり、具体的にはこれらのイオンをCa2+
及びHPO4 2- に換算してCa2+を10mM以下、HP
4 2- を50mM以下になるように調整する。
【0017】第二の水溶液のpH値は5〜9の範囲がよ
く、特にpH値が7.25であることが好ましい。また
水溶液の温度は10〜70℃が良く、好ましくは30〜
45℃、より好ましくは36.5℃付近である。本発明
において、水酸アパタイト膜を形成する基材としては、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル
スルフォン(PES)、ナイロン6、ポリメチルメタク
リレート(PMMA)等の有機高分子材料や、Ti、T
i合金等の金属材料や、アルミナ等のセラミックス材料
が使用できる。
【0018】
【作用】本発明の水酸アパタイト膜の形成方法において
は、まず第一の水溶液中にガラス体とともに基材を浸漬
する。浸漬されたガラス体からはNa2 O成分が多量に
溶け出すが、このNa2 O成分の溶出がSiO2 成分の
溶出を促進させる。さらに溶出したSiO2 成分(ケイ
酸イオン)がアパタイトの核の生成を誘起する。このよ
うにしてアパタイトの核を無数に生成させた基材を、さ
らにイオン濃度の高い水溶液中に浸漬することにより、
その核が水溶液中のカルシウムイオンやリンイオンを取
り込んで成長し、水酸アパタイトの膜が形成される。
【0019】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明の水酸アパタ
イト膜の形成方法を説明する。表2は、本発明の実施例
(試料No.1〜2)及び比較例(試料No.3)を示
している。
【0020】
【表2】 ガラス粉末は次のようにして調製した。まず表中の組成
となるようにガラス原料を秤量し、混合した後、表中の
温度で2時間溶融しガラス化した。次いでこの融液を鉄
板上に流しだして板状に成形した。得られたガラス板を
メノウ乳鉢で粉砕し、分級して粒径150〜300μm
のガラス粉末を得た。水溶液は次のようにして用意し
た。
【0021】第一の水溶液は、Na+ 142.0mM、
+ 5.0mM、Ca2+2.5mM、Mg2+1.5m
M、HCO3 -4.2mM、Cl- 147.8mM、HP
4 2-1.0mM、SO4 2- 0.5mMのイオン濃度を
有する水溶液を用意し、さらにトリスヒドロキシメチル
アミノメタンを50mM、塩酸を45mM加えて得た。
なおこの水溶液は、pH値を7.25、温度を36.5
℃に保つようにした。第二の水溶液は、全てのイオンの
濃度を第一の水溶液の1.5倍にしたものを使用した。
なおpH値及び温度は第一の水溶液と同様とした。
【0022】次に、図1に示すように、用意したガラス
粉末と水溶液とを用いてポリエーテルスルフォン(IC
I社製 4100G)からなる基材(10×15×1t
mm)を処理し、アパタイトの核の生成に要する時間を
確認した。なお図中1は基材、2はガラス粉末、3a、
3bはポリエチレン容器、4aは第一の水溶液、4bは
第二の水溶液を示している。
【0023】まずポリエチレン容器3aに第一の水溶液
4a(30ml)とガラス粉末2(1.5g)を入れ、
このガラス粉末2上に基材1を、アパタイトの核が生成
するまで載置した(図1−a)。続いて、基材1を第二
の水溶液4b(30ml)が入ったポリエチレン容器3
bに移し替え、6日間浸漬して(図1−b)基材表面に
水酸アパタイトの膜を形成させた。なお第二の水溶液4
bは2日置きに交換した。
【0024】表2から明らかなように、Na2 OとSi
2 のみからなるガラスを用いて処理した試料No.1
〜2は、アパタイトの核の形成に要する時間が0.5〜
1.5時間であった。これに対してCaO−SiO2
のガラスを用いて処理した試料No.3は、アパタイト
の核の生成に要する時間が24時間であり、試料No.
1〜2に比べて長時間を要した。なお本実施例では、基
材としてポリエーテルスルフォンを用いて説明したが、
他の材料に対しても適用できることは言うまでもない。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように本発明の方法によれ
ば、特別な装置を用いたり、加熱処理を施したりするこ
となく種々の材料からなる基材の表面に水酸アパタイト
の膜を形成することができる。しかも従来のCaO−S
iO2 系ガラスを用いる方法に比べてアパタイトの核の
形成速度が速いため、短時間に水酸アパタイトの膜を形
成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第一の水溶液に基材を浸漬した状態を
示す説明図であり、(b)は第二の水溶液に基材を浸漬
した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基材 2 ガラス粉末 3a、3b ポリエチレン容器 4a 第一の水溶液 4b 第二の水溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 雅樹 東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目27番7号 日 本ブランズウイックビルディング5階 日 本シャーウッド株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材を、Na2 OとSiO2 の二成分か
    らなるガラス体とともに、カルシウムイオン及びリン酸
    イオンを含む第一の水溶液に浸漬し、ガラス体からガラ
    ス成分を溶出せしめることによって基材表面にアパタイ
    トの核を生成させ、続いて第一の水溶液よりもイオン濃
    度の高い第二の水溶液に基材を浸漬することによって、
    基材表面に水酸アパタイトの膜を形成することを特徴と
    する水酸アパタイト膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 基材をガラス体に接触させた状態で第一
    の水溶液に浸漬することを特徴とする請求項1の水酸ア
    パタイト膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 ガラス体として、ガラス粉末を用いるこ
    とを特徴とする請求項1の水酸アパタイト膜の形成方
    法。
  4. 【請求項4】 ガラス体が、Na2 O 20〜40mo
    l%、SiO2 60〜80mol%の組成を有すること
    を特徴とする請求項1の水酸アパタイト膜の形成方法。
JP10038193A 1993-04-02 1993-04-02 水酸アパタイト膜の形成方法 Withdrawn JPH06293506A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6153266A (en) * 1997-12-08 2000-11-28 Japan As Represented By Director General Agency Of Industrial Science And Technology Method for producing calcium phosphate coating film

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6153266A (en) * 1997-12-08 2000-11-28 Japan As Represented By Director General Agency Of Industrial Science And Technology Method for producing calcium phosphate coating film

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