JP2002184471A - 使用済みニッケル水素二次電池からの有価金属の回収方法 - Google Patents
使用済みニッケル水素二次電池からの有価金属の回収方法Info
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Abstract
ルト等の有価金属を含む活物質を、プラスティック類、
鉄又は鋼製の容器や集電体などと分離して、簡単に且つ
高純度に回収する方法を提供する。 【解決手段】 使用済みニッケル水素二次電池を5mm
以下に破砕し、破砕物を水中で撹拌してスラリー状に分
散させた後、目開き0.5mmの篩で篩い分けして有価
金属を含む活物質を篩下とし、容器、集電体、及びプラ
スティック類から分離して回収する。破砕物を水中で撹
拌したとき、浮遊するプラスティック類を濾過するか又
は網で掬い取って分離する。篩上を更にボールミルで粉
砕し、粉砕物を目開き0.5mmの篩で篩い分けし、付
着している活物質を篩下として分離する。
Description
水素二次電池に含まれるニッケルやコバルト等の有価金
属を分離回収する方法に関する。
ある水酸化ニッケル及び負極活性物質である水素吸蔵合
金と、これら活物質を支持する鉄にニッケルめっきした
パンチング板又は多孔質ニッケル板からなる電極集電体
と、ポリプロピレン等のセパレーターと、KOH等の電
解液と、更にこれらを収納する鉄又は鋼製若しくは樹脂
製の容器とから構成されている。
ル−カドミウム電池に代わる二次電池として電気自動車
のバッテリーや携帯電話等に使用され、需要が急増して
いる。ニッケル水素二次電池は、ニッケル−カドミウム
電池よりも特性が優れ、有害なカドミウムを使用してい
ないため廃棄した場合でも深刻な公害を発生させるには
至らないが、ニッケルや水素吸蔵合金は貴重な資源であ
るため、これらの有価金属を回収してリサイクルするこ
とが極めて重要である。
次電池から有価金属を回収するとしても、電化製品の小
型化に伴って電池もコンパクト化が進んでいるため、有
価金属を高純度に回収することは容易ではない。また、
自動車用のバッテリーに使用される場合、ニッケル水素
二次電池は車の衝突等でも壊れにくい構造となっている
ため、分解することは容易ではない。
使用済みのニッケル水素二次電池から有価金属を回収す
る方法が検討されている。例えば、使用済みニッケル水
素二次電池から有価金属を回収する方法として、特開平
10−88250公報が提案されている。この方法は、
使用済み電池を焙焼することにより、セパレーターや電
解液を揮発除去すると共に、酸化物又は水酸化物である
ニッケルやコバルトをメタルに還元し、得られた焙焼物
を破砕し、篩分けして鉄を除去した後、篩下を磁選し、
磁着物を溶融してニッケル−コバルト合金として回収す
る方法である。
は磁選により非磁着物として分離されるが、磁着物に含
まれるニッケルやコバルトは空気中での焙焼により酸化
物となっているため、後に硫酸又は塩酸による溶解処理
が必要となると共に、その浸出率が低いためスクラップ
の処理方法としては有利でない。また、焙焼するためプ
ラスティックは回収できず、更には焙焼時にCO2ガス
を発生するため、地球温暖化が叫ばれている今日では望
ましい方法とは云い難い。しかも、この方法は、新たな
原料を使用するよりもコスト的に高くなるという問題も
あった。
使用済みニッケル水素二次電池からニッケルやコバルト
等の有価金属を回収するに際し、有価金属を含む活物質
を、プラスティック類、鉄又は鋼製の容器や集電体など
と分離して、簡単に且つ高純度に回収できる方法を提供
することを目的とする。
め、本発明が提供する使用済みニッケル水素二次電池か
らの有価金属の回収方法は、使用済みニッケル水素二次
電池を破砕し、破砕物を水中で撹拌してスラリー状に分
散させた後、目開き0.5mmの篩で篩い分けして有価
金属を含む電極活物質を篩下とし、容器、電極集電体、
及びプラスティック類から分離して回収することを特徴
とする。前記使用済みニッケル水素二次電池を破砕する
際には、5mm以下の破砕物とすることが好ましい。
池からの有価金属の回収方法においては、前記破砕物を
水中で撹拌してスラリー状に分散させ、浮遊物をオーバ
ーフローさせて目開き0.5mmの網で濾過するか、又は
目開き0.5〜1mmの網で掬い取ることにより、プラ
スティック類を金属類及び電極活物質から分離すること
を特徴とする。
二次電池からの有価金属の回収方法において、目開き
0.5mmの篩で篩い分けして有価金属を含む電極活物
質を篩下とした後、分離された篩上を更にボールミルで
粉砕し、粉砕物を目開き0.5mmの篩で篩い分けし、
該篩上に付着している有価金属を含む電極活物質を篩下
として分離することを特徴とする。
次電池からの有価金属の回収方法は、(1)電池の破砕
工程、(2)破砕物を水中で分散させるスラリー化工
程、及び(3)スラリーの篩別工程からなる。これらの
各工程を経ることによって、有価金属であるニッケル、
コバルト、希土類元素を含む電極活物質を簡単に、しか
も高純度で回収することができる。
な破砕物を得る。現在主流となっているニッケル水素二
次電池の容器には主に鉄又は鋼が使用されているため、
例えば電池の上下端を切断して内部の電極だけを取り出
す場合、潰れないようにダイヤモンドカッターのような
円盤状の刃で切断することになるが、この方法では一度
に切断できる数が少なく、切断時間の増加や中身の押し
出し機の設置による設備投資が増加するなどの問題が考
えられる。これに対し本発明では、容器ごと破砕するこ
とで、短時間での処理が可能であると同時に、市販の破
砕機を用いることができるため設備投資が少なくて済
む。また、鉄又は鋼製の容器は電極等に比べて破砕され
にくく、比較的大きい粒子として残るため、後の破砕物
の篩別工程で活物質との分離が容易となる。
いパンチングメタル板や多孔質ニッケル板であるため、
破砕時に変形する。破砕物が大きいと、変形した集電体
に活物質やセパレーターが噛み込まれ、水中で分散させ
ても噛み込んだままとなるため、後の篩別工程で活物質
が篩上にロスして回収率が低下する。しかし、破砕工程
で5mm以下の破砕物にすることによって、セパレータ
ー及び活物質が集電体に噛み込まれることがなくなり、
後の篩別工程で篩上の集電体やプラスティック類から分
離して、活物質の篩上へのロスを低減することができ
る。
在したものである。そこで、破砕物を水中で分散させる
ことによって、容器や電極集電体、プラスティック類、
活物質を良くほぐし、次の篩別工程で活物質を回収しや
すくすると共に、電解液を洗浄する。この時セパレータ
ー等のプラスティック類は浮遊しやすいため、オーバー
フローさせて目開き0.5mmの網で濾過するか、又は
目開き0.5〜1mmの網で掬い取ることにより、予め
プラスティック類を分離することができる。ここで網の
目開きを最小で0.5mmとしたのは、次の篩別工程で
使用する篩目と同じ0.5mmにすることで、浮遊した
活物質をプラスティック類と共に網上に回収せずに通過
させるためである。
の篩で篩い分けし、篩上と篩下を得る。この篩い分けは
湿式で行い、用いる篩の目開きを0.5mmとすること
で、容器と電極集電体、及びプラスティック類(スラリ
ー化工程で浮遊物として分離されていない場合)を篩上
に、活物質を篩下に分離できる。この0.5mmの目開
きは、破砕物中の容器や集電体から活物質を分離できる
上限である。篩の目開きが1mm以上では、篩下に一部
細かく過破砕された集電体が混在してくる。しかし、過
度に細かい目開きでは活物質が通過しにくくなり、篩別
に時間がかかるため好ましくない。
き、得られる篩上は容器と集電体、及び先に浮遊物とし
て分離されなかったセパレーター等のプラスティック類
であり、容器と集電体は主に鉄にニッケルめっきした金
属であるため、フェロニッケルの原料とすることができ
る。尚、正極の集電体として多孔質ニッケル板を使用し
ている場合には、目開き0.5mmの篩で篩い分けした
篩上に、正極であるニッケルメタルの殆どが含まれ、こ
れに付着した活物質も含まれる。そこで、このニッケル
と活物質を回収するため、篩上を更にボールミルで粉砕
した後、目開き0.5mmの篩で再度篩い分けすること
によって、ニッケルと活物質を篩下として回収すること
ができる。
価金属であるニッケル、コバルト、希土類元素を含む活
物質を、及び含まれる場合には多孔質ニッケル板からな
る電極集電体を、簡単に且つ高純度に回収することがで
きる。このように回収された活物質等に含まれる有価金
属は、塩酸、硫酸などの鉱酸で溶解し、公知の方法に従
って個々の金属に分離回収することができる。
ル水素二次電池を、剪断破砕機の一種である(株)氏家
製作所製のグッドカッターを用いて破砕した。その際、
目開き5mmの篩を用いて破砕物を篩い分けしながら、
目視により篩上に電極がなくなるまで繰り返し破砕し
た。尚、正極及び負極の集電体にはニッケルめっきした
鉄のパンチング板が用いられ、正極と負極を隔てるセパ
レーターにはポリプロピレン性の不織布が用いられてい
た。
後、直径300mmであって、その目開きが5mm、1
mm、0.5mmの各篩をこの順に用いて手動で湿式篩
い分けを行い、それぞれの篩上と0.5mmの篩下の成
分分析を実施した。その結果を、下記表1及び表2に示
した。
ピレン製の容器内に収められた角型の使用済みニッケル
水素二次電池を、実施例1と同様の方法で0.5mm以
下に破砕した。尚、正極集電体は多孔質ニッケル板、負
極集電体にはニッケルめっきした鉄のパンチング板が用
いられ、正極と負極を隔てるセパレーターにはポリプロ
ピレン製の不織布が用いられていた。
静置し、水面の浮遊物(主にポリプロピレン製の容器)
を目開き0.5mmの網で掬い取った。その後、再度撹
拌して、浮遊物(主にポリプロピレン製のセパレータ
ー)を同様に目開き0.5mmの網で掬い取った。その
後、実施例1と同じ3種類の篩を用いて湿式篩い分けを
行い、各篩上と0.5mmの篩下の成分分析を実施し
た。その結果を、下記表3及び表4に示した。
果、及び表3、4に示す実施例2の破砕物篩別結果から
分るように、いずれの電池破砕物の篩物も0.5mm以
下には負極活物質であるランタン、ネオジウム並びに正
極活物質であるニッケル、コバルトの分布が高い。一
方、集電体や容器の主成分である鉄の0.5mm以下へ
の分布は実施例1で約0.7%、実施例2では約1.4%
であり、98%以上が0.5mmの篩上に存在してい
る。このことから、鉄を主体とする集電体及び容器と有
価金属からなる活物質とは目開き0.5mmの篩で分離
できることが分る。
ニッケル板であるため、篩別工程での目開き0.5mm
の篩上に含まれる多孔質ニッケルメタルに負極活物質が
付着している。この篩上に残る活物質を回収するため、
この篩上を更にボールミルで粉砕した後、目開き0.5
mmの篩で再度篩い分けした。
型ポットミル(容量3リットル)を使用し、径10mm
のSUS球5kgと、試料として破砕物の+0.5mm
篩上200gを、水1リットルと共に24時間粉砕し
た。得られた粉砕物を、目開き0.5mmの篩で再度篩
い分けし、篩上と篩下の成分分析を行ない、その結果を
下記表5及び表6に示した。
上には正極である多孔質ニッケルメタルは目視では確認
できなかった。一方、0.5mmの篩下はニッケル、コ
バルト、及び希土類の品位が高くなり、鉄を混入させず
に正極の多孔質ニッケルメタル及びそれに充填されてい
た水酸化ニッケルを回収することができた。
二次電池から、ニッケルやコバルト等の有価金属を含む
正極及び負極の活物質を、プラスティック類、鉄又は鋼
を主体とする容器や集電体などと分離して、簡単に且つ
高純度に、効率よく回収することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 使用済みニッケル水素二次電池を破砕
し、破砕物を水中で撹拌してスラリー状に分散させた
後、目開き0.5mmの篩で篩い分けして有価金属を含
む電極活物質を篩下とし、容器、電極集電体、及びプラ
スティック類から分離して回収することを特徴とする使
用済みニッケル水素二次電池からの有価金属の回収方
法。 - 【請求項2】 前記使用済みニッケル水素二次電池を破
砕して、5mm以下の破砕物とすることを特徴とする、
請求項1に記載の使用済みニッケル水素二次電池からの
有価金属の回収方法。 - 【請求項3】 前記破砕物を水中で撹拌してスラリー状
に分散させ、浮遊物をオーバーフローさせて目開き0.
5mmの網で濾過するか、又は目開き0.5〜1mmの網
で掬い取ることにより、プラスティック類を金属類及び
電極活物質から分離することを特徴とする、請求項1又
は2に記載の使用済みニッケル水素二次電池からの有価
金属の回収方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの方法により電
極活物質を篩下とした後、分離された篩上を更にボール
ミルで粉砕し、粉砕物を目開き0.5mmの篩で篩い分
けし、該篩上に付着している有価金属を含む電極活物質
を篩下として分離することを特徴とする使用済みニッケ
ル水素二次電池からの有価金属の回収方法。
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