JP2002182005A - 反射防止フイルム - Google Patents

反射防止フイルム

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JP2002182005A
JP2002182005A JP2000382017A JP2000382017A JP2002182005A JP 2002182005 A JP2002182005 A JP 2002182005A JP 2000382017 A JP2000382017 A JP 2000382017A JP 2000382017 A JP2000382017 A JP 2000382017A JP 2002182005 A JP2002182005 A JP 2002182005A
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refractive index
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JP2000382017A
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Taku Nakamura
卓 中村
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素を
含まない溶剤を用いるドープの流延によって製造される
セルロースアシレートフイルム、または共流延によって
速い製膜速度で製造されるセルロースアシレートフイル
ムを支持体とする反射防止フイルムを得る。 【解決手段】 実質的にハロゲン化炭化水素系溶媒を含
まず、炭素原子数2〜12のエーテル、炭素原子数3〜
12のケトンおよび炭素原子数2〜12のエステルから
なる群より選ばれる溶媒を少なくとも用いてセルロース
アシレートを溶解した溶液を流延して得られるセルロー
スアシレートフイルム支持体、または複数のセルロース
アシレート溶液を共流延して得られるセルロースアシレ
ートフイルム支持体と、屈折率が支持体の屈折率よりも
低い低屈折率層とから反射防止フイルムを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースアシレ
ートフイルムを支持体とする反射防止フイルムに関す
る。特に本発明は、偏光板あるいは液晶表示装置に有利
に用いることができる反射防止フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースアシレートフイルムを支持体
とする反射防止フイルムは、様々な用途に用いられてい
る。特に液晶表示装置用偏光板の保護フイルムとして
は、セルロースアシレートフイルムが広く用いられい
る。反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマ
ディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセ
ンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CR
T)のような様々な画像表示装置に設けられている。眼
鏡やカメラのレンズにも反射防止膜が設けられている。
反射防止膜としては、金属酸化物の透明薄膜を積層させ
た多層膜が従来から普通に用いられている。複数の透明
薄膜を用いるのは、様々な波長の光の反射を防止するた
めである。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CV
D)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種
である真空蒸着法により形成されている。金属酸化物の
透明薄膜は、反射防止膜として優れた光学的性質を有し
ているが、蒸着による形成方法は、生産性が低く大量生
産に適していない。PVD法による反射防止膜は、用途
に応じて表面凹凸による防眩性を有する支持体上に形成
される場合がある。平滑な支持体上に形成されたものよ
り平行光線透過率は減少するが、背景の映り込みが表面
凹凸によって散乱されて低下するため防眩性を発現し、
反射防止効果とあいまって、画像形成装置に適用すると
その表示品位は著しく改善される。
【0003】蒸着法に代えて、無機微粒子の塗布により
反射防止膜を形成する方法が提案されている。特公昭6
0−59250号公報は、微細空孔と微粒子状無機物と
を有する反射防止層を開示している。反射防止層は、塗
布により形成される。微細空孔は、層の塗布後に活性化
ガス処理を行い、ガスが層から離脱することによって形
成される。特開昭59−50401号公報は、支持体、
高屈折率層および低屈折率層の順に積層した反射防止膜
を開示している。同公報は、支持体と高屈折率層の間に
中屈折率層を設けた反射防止膜も開示している。低屈折
率層は、ポリマーまたは無機微粒子の塗布により形成さ
れている。
【0004】特開平2−245702号公報は、二種類
以上の超微粒子(例えば、MgF2とSiO2 )を混在
させて、膜厚方向にその混合比を変化させた反射防止膜
を開示している。混合比を変化させることにより屈折率
を変化させ、上記特開昭59−50401号公報に記載
されている高屈折率層と低屈折率層を設けた反射防止膜
と同様の光学的性質を得ている。超微粒子は、エチルシ
リケートの熱分解で生じたSiO2 により接着してい
る。エチルシリケートの熱分解では、エチル部分の燃焼
によって、二酸化炭素と水蒸気も発生する。特開平2−
245702号公報の第1図に示されているように、二
酸化炭素と水蒸気が層から離脱することにより、超微粒
子の間に間隙が生じている。特開平5−13021号公
報は、上記特開平2−245702号公報記載の反射防
止膜に存在する超微粒子間隙をバインダーで充填するこ
とを開示している。特開平7−48527号公報は、多
孔質シリカよりなる無機微粉末とバインダーとを含有す
る反射防止膜を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】塗布による反射防止膜
に防眩性を付与する手段として、表面凹凸を有する支持
体上に反射防止層を塗布する方法や、表面凹凸を形成す
るためのマット粒子を反射防止層を形成する塗布液に添
加する方法が検討されている。また、従来のセルロース
アシレートフイルムからなる支持体は、原料となるセル
ロースアシレートを塩化メチレンを含む溶剤に溶解して
得られるドープの流延により製造されており、この溶剤
を低コストで、より安全なものにすることが求められて
いる。さらに、従来の流延では製膜速度が遅く、支持体
の低コスト化のために、流延速度の向上が求められても
いる。本発明の目的は、塩化メチレンのようなハロゲン
化炭化水素を含まない溶剤を用いるドープの流延によっ
て製造されるセルロースアシレートフイルム、または共
流延によって速い製膜速度で製造されるセルロースアシ
レートフイルムを支持体とする反射防止フイルムを提供
することである。また本発明の目的は、偏光板あるいは
液晶表示装置に有利に用いることができる反射防止フイ
ルムを提供することでもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(12)の反射防止フイルムにより達成され
た。 (1)実質的にハロゲン化炭化水素系溶媒を含まず、炭
素原子数2〜12のエーテル、炭素原子数3〜12のケ
トンおよび炭素原子数2〜12のエステルからなる群よ
り選ばれる溶媒を少なくとも用いてセルロースアシレー
トを溶解した溶液を流延して得られるセルロースアシレ
ートフイルム支持体と、屈折率が支持体の屈折率よりも
低い低屈折率層とを有する反射防止フイルム。
【0007】(2)支持体と低屈折率層との間に、表面
に微細な凹凸を有し、屈折率が支持体より高い防眩層が
設けられている(1)に記載の反射防止フイルム。 (3)防眩層と支持体との間に、鉛筆硬度が支持体より
も高く、屈折率が防眩層より低く、かつ低屈折率層より
高いハードコート層が設けられている(2)に記載の反
射防止フイルム。
【0008】(4)支持体と低屈折率層との間に、支持
体より高い鉛筆硬度を有し、屈折率が低屈折率層より高
く、1μm以上の厚さを有するハードコート層が設けら
れている(1)に記載の反射防止フイルム。 (5)ハードコート層と低屈折率層との間に、屈折率が
ハードコート層より高い高屈折率層が設けられている
(4)に記載の反射防止フイルム。 (6)ハードコート層と高屈折率層の間に、屈折率が低
屈折率層より高く、かつ高屈折率層よりは低い中屈折率
層が設けられている(5)に記載の反射防止フイルム。
【0009】(7)複数のセルロースアシレート溶液を
共流延して得られるセルロースアシレートフイルム支持
体と、屈折率が支持体の屈折率よりも低い低屈折率層と
を有する反射防止フイルム。 (8)支持体と低屈折率層との間に、表面に微細な凹凸
を有し、屈折率が支持体より高い防眩層が設けられてい
る(7)に記載の反射防止フイルム。 (9)防眩層と支持体との間に、鉛筆硬度が支持体より
も高く、屈折率が防眩層より低く、かつ低屈折率層より
高いハードコート層が設けられている(8)に記載の反
射防止フイルム。
【0010】(10)支持体と低屈折率層との間に、支
持体より高い鉛筆硬度を有し、屈折率が低屈折率層より
高く、1μm以上の厚さを有するハードコート層が設け
られている(7)に記載の反射防止フイルム。 (11)ハードコート層と低屈折率層との間に、屈折率
がハードコート層より高い高屈折率層が設けられている
(10)に記載の反射防止フイルム。 (12)ハードコート層と高屈折率層の間に、屈折率が
低屈折率層より高く、かつ高屈折率層よりは低い中屈折
率層が設けられている(11)に記載の反射防止フイル
ム。
【0011】
【発明の実施の形態】[反射防止フイルムの構成]図1
は、最も基本的な反射防止フイルムの構成を示す断面模
式図である。図1に示す反射防止フイルムは、セルロー
スアシレートフイルム支持体(1)上に、低屈折率層
(2)が設けられている。図2は、反射防止フイルムの
別の構成を示す断面模式図である。図2に示す反射防止
フイルムは、セルロースアシレートフイルム支持体
(1)上に、防眩層(3)、そして低屈折率層(2)が
順次設けられている。図3は、反射防止フイルムのまた
別の構成を示す断面模式図である。図3に示す反射防止
フイルムは、セルロースアシレートフイルム支持体
(1)上に、ハードコート層(4)、防眩層(3)、そ
して低屈折率層(2)が順次設けられている。
【0012】図4は、反射防止フイルムのさらに別の構
成を示す断面模式図である。図4に示す反射防止フイル
ムは、セルロースアシレートフイルム支持体(1)上
に、ハードコート層(4)、そして低屈折率層(2)が
順次設けられている。図5は、反射防止フイルムのさら
にまた別の構成を示す断面模式図である。図5に示す反
射防止フイルムは、セルロースアシレートフイルム支持
体(1)上に、ハードコート層(4)、高屈折率層
(5)、そして低屈折率層(2)が順次設けられてい
る。図6は、反射防止フイルムの他の構成を示す断面模
式図である。図6に示す反射防止フイルムは、セルロー
スアシレートフイルム支持体(1)上に、ハードコート
層(4)、中屈折率層(6)、高屈折率層(5)、そし
て低屈折率層(2)が順次設けられている。
【0013】[セルロースアシレートフイルム支持体]
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花
リンターや木材パルプを用いることができる。二種類以
上の原料セルロースを混合して使用してもよい。セルロ
ースの水酸基の置換度は、下記式(I)〜(III)の全て
を満足することが好ましい。
【0014】(I) 2.6≦A+B≦3.0 (II) 2.0≦A≦3.0 (III) 0≦B≦0.8
【0015】式中、AおよびBはセルロースのグルコー
ス単位の3個の水酸基のうち置換されている個数を示す
置換度であり、Aはアセチル基の置換度、Bは炭素原子
数3〜22のアシル基の置換度である。セルロースには
1グルコース単位に3個の水酸基があり、上記の数字は
その水酸基に対するアシル基の置換度を表す。最大の置
換度は、3である。セルローストリアセテートは、一般
にAの置換度が2.6以上3以下であり(この場合、置
換されなかった水酸基が最大0.4である)。そして、
セルローストリアセテートでは、B=0である。セルロ
ースアシレートとしては、アシル基が全部アセチル基で
あるセルローストリアセテートが好ましい。また、アセ
チル基が2.0%以上で、炭素原子数が3〜22のアシ
ル基が0.8以下、置換されなかった水酸基が0.4以
下のセルロースアシレートも好ましい。フイルム物性の
観点では、炭素原子数3〜22のアシル基については、
0.3以下であることが特に好ましい。置換度は、セル
ロースの水酸基に置換する酢酸及び炭素原子数3〜22
の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測
定は、ASTMのD−817−91に準じて実施するこ
とができる。
【0016】セルロースアシレートの重合度(粘度平
均)は200〜700が好ましく、特に250〜550
のものが好ましい。一般的にセルローストリアセテート
を含むセルロースアシレートフイルム繊維又は成型品の
機械的強度がタフであるためには重合度が200以上あ
ることが必要とされており、祖父江寛、右田伸彦編「セ
ルロースハンドブック」朝倉書房(1958)や、丸沢
廣、宇田和夫編「プラスチック材料講座17」日刊工業
新聞社(1970)に記載されている。粘度平均重合度
はオストワルド粘度計で測定することができ、測定され
たセルロースアシレートの固有粘度[η]から下記式に
より求められる。 DP=[η]/Km (式中DPは粘度平均重合度、K
mは定数6×10-4
【0017】炭素原子数3〜22のアシル基の例には、
プロパノイル基(C2 5 CO−)、ブタノイル基(C
3 7 CO−)(n−、iso−)、バレロイル基(C
4 9 CO−)(n−、iso−、sec−、tert
−)、オクタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル
およびオレオロイルが含まれる。プロパノイルおよびブ
タノイルが好ましい。n−アシル置換のセルロースアシ
レートがフイルムにした時の機械的強さ、溶解し易さか
ら好ましい。特にn−プロパノイル基が好ましい。ま
た、アセチル基の置換度が低いと機械的強さ、耐湿熱性
が低下する。炭素原子数3〜5のアシル基の置換度が高
いと有機溶媒への溶解性は向上するが、それぞれの置換
度が前記の範囲であれば良好な物性を示す。
【0018】セルロースアシテートとしては、セルロー
ストリアセテートが好ましく、写真用グレードのセルロ
ーストリアセテートが特に好ましい。市販の写真用グレ
ードのセルローストリアセテートとして、粘度平均重合
度や酢化度の品質を満足する製品を容易に入手すること
ができる。写真用グレードのセルローストリアセテート
は、ダイセル化学工業(株)、コートルズ社、ヘキスト
社やイーストマンコダック社から販売されている。
【0019】アシル基のアシル化剤が酸無水物や酸クロ
ライドである場合、反応溶媒としての有機溶媒を用いる
ことができる。有機溶媒の例には、有機酸(例、酢酸)
およびメチレンクロライドが含まれる。触媒としては、
プロトン性触媒(例、硫酸)が好ましい。アシル化剤が
酸クロライド(例えば、CH3 CH2 COCl)の場
合、塩基性化合物を用いることもできる。工業的に最も
一般的な方法では、セルロースをアセチル基および他の
アシル基に対応する脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸)またはそれらの酸無水物(無水酢酸、無水
プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸)を含む混合有機
酸成分でアシル化してセルロースアシレートを合成す
る。セルロースアシレートの具体的な製造方法について
は、例えば、特開平10−45804号公報に記載され
ている。セルロースアシレート溶液の濃度は、5〜30
質量%であることが好ましく、10〜28質量%である
ことがさらに好ましく、15〜25質量%であることが
最も好ましい。
【0020】ソルベントキャスト法によりセルロースア
シレートフイルムを製造することが好ましく、セルロー
スアシレートを有機溶媒に溶解したセルロースアシレー
ト溶液(ドープ)を用いて製造される。有機溶媒は、炭
素原子数が2〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12
のケトンおよび炭素原子数が2〜12のエステルから選
ばれる。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造
を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステル
の官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO
−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒と
して用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水
酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以
上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数
は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であ
ればよい。
【0021】炭素原子数が2〜12のエーテルの例に
は、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメ
トキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソ
ラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネト
ールが含まれる。炭素原子数が3〜12のケトンの例に
は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、
ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサ
ノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原
子数が2〜12のエステルの例には、メチルホルメー
ト、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチル
ホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよ
びペンチルアセテートが含まれる。二種類以上の官能基
を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテ
ート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタ
ノールが含まれる。
【0022】2種類以上の有機溶媒を混合した溶媒を用
いてもよい。特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる3
種類以上の混合溶媒である。3種類以上の混合溶媒で
は、第1の溶媒が炭素原子数が3〜4のケトンおよび炭
素原子数が2〜4のエステルあるいはこれらの混合溶媒
であり、第2の溶媒が炭素原子数が5〜7のケトン、エ
ーテルまたはアセト酢酸エステルから選ばれ、そして、
第3の溶媒として沸点が30〜170℃のアルコールま
たは沸点が30〜170℃の炭化水素を用いることが好
ましい。第1の溶媒のケトンおよびエステルとしては、
アセトン、酢酸メチル、蟻酸メチルおよび蟻酸エチルが
好ましい。第2の溶媒としては、メチルイソブチルケト
ン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセト酢酸
メチル、ジオキサンおよび1,3−ジオキソランが好ま
しい。
【0023】第3の溶媒のアルコールは一価であること
が好ましい。アルコールの炭化水素部分は、直鎖であっ
ても、分岐を有していても環状であってもよい。炭化水
素部分は、飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。
アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであっ
てもよい。アルコールの例には、メタノール(沸点:6
4.65℃)、エタノール(78.325℃)、1−プ
ロパノール(97.15℃)、2−プロパノール(8
2.4℃)、1−ブタノール(117.9℃)、2−ブ
タノール(99.5℃)、t−ブタノール(82.45
℃)、1−ペンタノール(137.5℃)、2−メチル
−2−ブタノール(101.9℃)およびシクロヘキサ
ノール(161℃)が含まれる。また、フルオロアルコ
ールもアルコールの一種として用いることができる。フ
ルオロアルコールの炭素原子数は2乃至10が好まし
く、2乃至8がさらに好ましい。二種類以上のアルコー
ルを併用してもよい。第3の溶媒の炭化水素は、直鎖で
あっても、分岐を有していても、環状であってもよい。
炭化水素としては芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のい
ずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和で
あっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シ
クロヘキサン(沸点:80.7℃)、ヘキサン(69
℃)、ベンゼン(80.1℃)、トルエン(110.6
℃)およびキシレン(138.4〜144.4℃)が含
まれる。
【0024】3種混合溶媒中には、第1の溶媒が30〜
95質量%含まれることが好ましく、40〜90質量%
含まれることがより好ましく、50〜90質量%含まれ
ることが更に好ましく、50〜質量%含まれることが最
も好ましい。第2の溶媒及び第3の溶媒は、1〜40質
量%含まれることが好ましく、3〜30質量%含まれる
ことがより好ましい。溶媒の組み合わせ例には、セルロ
ースアシレート/酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタ
ノール/エタノール(X/(70−X)/20/5/
5、質量部)、セルロースアシレート/酢酸メチル/メ
チルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール
(X/(50−X)/20/20/5/5、質量部)、
セルロースアシレート/アセトン/アセト酢酸メチル/
エタノール(X/(75−X)/20//5、質量
部)、セルロースアシレート/酢酸メチル/シクロペン
タノン/メタノール/エタノール(X/(80−X)/
10/5/5、質量部)、セルロースアシレート/酢酸
メチル/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール
(X/(70−X)/20/5/5、質量部)、セルロ
ースアシレート/酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/
メタノール/エタノール(X/(60−X)/20/1
0/5/5、質量部)およびセルロースアシレート/
1,3−ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチ
ルケトン/メタノール/エタノール(X/(55−X)
/20/10/5/5/5、質量部)が含まれる。上記
Xは、セルロースアシレートの質量部であって、好まし
くは10〜25、さらに好ましくは13〜25である。
【0025】セルロースアシレートの溶解では、予め室
温でセルロースアシレートを非ハロゲン系有機溶媒に膨
潤させることが好ましい。すなわち、非ハロゲン系有機
溶媒にセルロースアシレート粉末を良く攪拌しつつ添加
するか、あるいはその逆としてセルロースアシレートに
非ハロゲン系有機溶媒を添加することで、セルロースア
シレートの膨潤液を作製することができる。なお、非ハ
ロゲン系有機溶媒とは、ハロゲン系有機溶媒の含有率が
5質量%未満(好ましくは3質量%未満)であることを
意味する。膨潤に要する時間は0.1〜24時間が好ま
しく、より好ましくは0.2〜6時間であり、さらに好
ましくは0.5〜3時間である。セルロースアシレート
と溶媒の混合物は高い粘度を有するため、強力な攪拌装
置が好ましい。攪拌装置としてニーダーを用いたり、ス
クリュー押出し機を通過させたりすることが特に好まし
い。
【0026】セルロースアシレートと溶媒との混合物
は、−100〜−10℃、好ましくは−80〜−10
℃、さらに好ましくは−80〜−30℃、最も好ましく
は−80〜−50℃に冷却される。冷却は、例えば、機
械的冷凍機(−100℃)、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30〜−20℃)で実施できる。冷却すると、セル
ロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。バッ
チ式での冷却の場合、冷却に伴いセルロースアシレート
溶液の粘度が上がり、冷却効率が低下する。よって、所
定の冷却温度に達するために効率よい溶解タンクを用い
ることが好ましい。セルロースアシレートと有機溶媒と
の混合物は膨潤させたあと、所定の冷却温度にした冷却
装置へ短時間移送することで容易に冷却できる。冷却時
間は、短いほど生産性上で好ましい。冷却時間は0.5
〜180分が好ましく、より好ましくは0.5〜30分
であり、最も好ましくは0.5〜10分である。冷却し
て得られたセルロースアシレート溶液は、次に0〜50
℃に加温することが好ましくこれにより有機溶媒中にセ
ルロースアシレートが流動する溶液となる。
【0027】セルロースアシレートと有機溶媒との混合
液は、0.3〜30Mpaの加圧下で70〜200℃に
加熱することができる。加熱温度は、好ましくは70〜
180℃、さらに好ましくは70〜160℃である。加
熱時間は特に限定されないが短いほど好ましく、0.5
〜60分が好ましくく、より好ましくは0.5〜30分
であり、特に好ましくは1〜10分である。加熱は、例
えば高圧蒸気あるいは電気熱源を用いて実施できる。さ
らに炭酸ガスを溶媒に共存させ、所謂超臨界状態での溶
解方法をとってもよく、二酸化炭素が溶液中の5〜30
質量%であることが好ましい。この場合は、より低い温
度の高圧下で溶解を達成できる。高圧のためには耐圧容
器あるいは耐圧ラインを必要とする。鉄やステンレス製
あるいは他の金属耐圧容器やラインを用いてもよい。
【0028】加熱溶液はそのままでは取り扱いができな
いため、使用された溶媒の最も低い沸点以下に冷却する
必要がある。その場合、−10〜50℃に冷却して常圧
に戻すことが一般的である。冷却はセルロースアシレー
ト溶液が内蔵されている高圧高温容器やラインを、室温
に放置するだけでもよく、更に好ましくは冷却水などの
冷媒を用いて該装置を冷却してもよい。なお、溶解を早
めるために加熱または冷却の操作を繰り返してもよい。
溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の概観を
観察するだけで判断することができる。高圧高温溶解方
法においては、溶媒の蒸発を避けるために密閉容器を用
いる。また、膨潤工程おいて、加圧や減圧にしたりする
ことで更に溶解時間を短縮することが出来る。加圧及び
減圧を実施するためには、耐圧性容器あるいはラインが
必須である。以上の冷却処理または高温高圧処理により
セルロースアシレート溶液を作製できる。
【0029】得られたセルロースアシレート溶液は、適
当な手段を用いて濃縮してもよい。濃縮の方法として
は、例えば、低濃度溶液を筒体とその内部の周方向に回
転する回転羽根外周の回転軌跡との間に導くとともに、
溶液との間に温度差を与えて溶媒を蒸発させながら高濃
度溶液を得る方法(例えば、特開平4−259511号
公報記載)、加熱した低濃度溶液をノズルから容器内に
吹き込み、溶液をノズルから容器内壁に当たるまでの間
で溶媒をフラッシュ蒸発させるとともに、溶媒蒸気を容
器から抜き出し、高濃度溶液を容器底から抜き出す方法
(例えば、米国特許2541012号、同285822
9号、同4414341号、同4504355号各明細
書に記載の方法)で実施できる。
【0030】セルロースアシレート溶液を調製する際
に、容器内に窒素ガスなどの不活性ガスを充満させても
よい。セルローストリアセテート溶液の製膜直前の粘度
は、製膜の際に流延可能な範囲である。粘度は通常10
ps・s〜2000ps・sの範囲が好ましく、特に3
0ps・s〜400ps・sが好ましい。溶液の温度
は、好ましくは−5〜70℃であり、より好ましくは−
5〜55℃である。セルロースアシレート溶液には、各
調製工程において用途に応じた種々の添加剤を加えるこ
とができる。ドープ調製工程の最後の調製工程におい
て、添加剤を加えることができる。添加剤には、可塑
剤、紫外線防止剤および劣化防止剤(例、酸化防止剤、
過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸
捕獲剤、アミン)が含まれる。
【0031】可塑剤としては、リン酸エステルまたはカ
ルボン酸エステルが好ましい。リン酸エステルの例に
は、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリ
クレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニル
ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフ
ェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェ
ート、トリブチルホスフェートが含まれる。カルボン酸
エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エ
ステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジ
メチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(D
EP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフ
タレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)
およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含ま
れる。クエン酸エステルの例には、o−アセチルクエン
酸トリエチル(OACTE)、o−アセチルクエン酸ト
リブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル
およびクエン酸アセチルトリブチルが含まれる。
【0032】その他のカルボン酸エステルの例には、オ
レイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシ
ン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれ
る。グリコール酸エステルの例には、トリアセチン、ト
リブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチ
ルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチル
グリコレートおよびブチルフタリルブチルグリコレート
が含まれる。トリフェニルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリ
ブチルホスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフ
タレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、ジエチルヘキシルフタレート、トリアセチンおよび
エチルフタリルエチルグリコレートが好ましく、トリフ
ェニルホスフェート、ジエチルフタレートおよびエチル
フタリルエチルグリコレートが特に好ましい。可塑剤は
二種以上を併用してもよい。可塑剤の添加量は、セルロ
ースアシレートに対して5〜30質量%であることが好
ましく、8〜16質量%がさらに好ましい。可塑剤は、
セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースア
シレートや溶媒と共に添加することができる。溶液調製
中や調製後に、可塑剤を添加してもよい。
【0033】フイルムの光学的異方性を小さくする可塑
剤として、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類(特
開平11−124445号公報記載)、グリセロールエ
ステル類(特開平11−246704号公報記載)、ジ
グリセロールエステル類(特開2000−63560号
公報記載)、クエン酸エステル類(特開平11−925
74号公報記載)または置換フェニルリン酸エステル類
(特開平11−90946号公報記載)を用いることが
できる。
【0034】劣化防止剤や紫外線防止剤については、特
開昭60−235852号、特開平3−199201
号、同5−1907073号、同5−194789号、
同5−271471号、同6−107854号、同6−
118233号、同6−148430号、同7−110
56号、同7−11055号、、同7−11056号、
同8−29619号、同8−239509号、特開20
00−204173号の各公報に記載がある。劣化防止
剤の添加量は、調製するセルロースアシレート溶液(ド
ープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、
0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。
特に好ましい劣化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエ
ン(BHT)である。なお、平均酢化度が55.0〜5
8.0%であるセルロースアシレートは、平均酢化度が
58.0%以上であるセルローストリアセテートと比較
して、調製した溶液の安定性や製造したフイルムの物性
が劣るとの欠点がある。しかし、上記のような劣化防止
剤、特にブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のよう
な酸化防止剤を用いることで、この欠点を実質的に解消
することが可能である。
【0035】紫外線吸収剤をセルロースアシレート溶液
に添加してもよい。液晶用の紫外線吸収剤を用いること
ができる。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観
点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、
かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可
視光の吸収が少ない化合物である。紫外線吸収剤の例に
は、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾー
ル系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェ
ノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル
錯塩系化合物が含まれる。特に好ましい紫外線吸収剤
は、ベンゾトリアゾール系化合物およびベンゾフェノン
系化合物である。ベンゾトリアゾール系化合物は、セル
ロースアシレートに対する不要な着色が少ないことか
ら、最も好ましい。
【0036】セルロースアシレート溶液中に、光学異方
性をコントロールするためのレターデーション上昇剤を
添加してもよい。レターデーション上昇剤は、セルロー
スアシレートフイルムのレターデーションを調整するた
め、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物で
あることが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシ
レート100質量部に対して、0.01乃至20質量部
の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセレ
ート100質量部に対して、0.05乃至15質量部の
範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部
の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の
芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族
環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環
を含む。
【0037】セルロースアシレートフイルムの光学特性
としては、面内のレターデーション(Re)が重要であ
る。面内のレターデーションは、エリプソメーター(偏
光解析計AEP−100:島津製作所(株)製)を用い
て、波長632.8nmにおける面内の縦横の屈折率差
にフイルム膜厚さを乗じた値であって、下記の式で求め
られる。 Re=(nx−ny)×d 式中、nxは、横方向の屈折率であり;nyは、縦方向
の屈折率であり;そして、dはフイルムの膜厚である。
【0038】面内のレターデーションが小さいほど、面
内方向の光学異方性がないことを意味する。面内のレタ
ーデーションは、用途に応じて0〜300nmの範囲か
ら決定する。フイルムの厚さ方向のレターデーション
(Rth)も重要な光学特性である。厚さ方向のレターデ
ーション(Rth)は、波長632.8nmにおける厚さ
方向の複屈折にフイルム膜厚を乗じたものであり、下記
の式で求められる。 Rth={(nx+ny)/2−nz}×d 式中、nxは、横方向の屈折率であり;nyは、縦方向
の屈折率であり;そして、nzは、厚さ方向の屈折率で
ある。
【0039】厚さ方向の屈折率が小さいほど、厚さ方向
の光学異方性がないことを意味する。セルロースアシレ
ートフイルムのRthは、厚さ100μm当たり、0nm
〜600nmであることが好ましく、0nm〜400n
mであることがさらに好ましい。
【0040】平均のアシル基の置換度が2.6〜3.0
のセルロースアシレート及び、実質的にハロゲン化炭化
水素を含まない有機溶媒で溶解したセルロースアシレー
ト溶液からセルロースアシレートフイルムを形成する場
合、セルロースアシレート溶液を流延する前に、式
(1)または(2)で表わされる剥離剤を溶液の0.0
05〜2質量%添加することが好ましい。 (1)(R1−B2−O)n1−P(=O)−(OM
1)n2 (2)R2−B2−X 式中、R1とR2は、炭素数4〜40の置換、無置換の
アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリー
ル基であり;M1は、アルカリ金属、アンモニアまたは
低級アルキルアミンであり;B1およびB2は、2価の
連結基であり;;Xは、カルボン酸またはその塩、スル
ホン酸またはその塩、あるいは硫酸エステルまたはその
塩であり;n1は、1または2であり;そして、n2
は、3−n1である。
【0041】上記R1およびR2において、炭素数4〜
40の置換、無置換のアルキル基の例には、ブチル、ヘ
キシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、ドデ
シル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコサニル、ド
コサニルおよびミリシルが含まれる。炭素数4〜40の
置換、無置換のアルケニル基の例には、2−ヘキセニ
ル、9−デセニルおよびオレイルが含まれる。炭素数4
〜40の置換、無置換のアリール基の例には、フェニ
ル、ナフチル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、ト
リメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニ
ル、ジイソプロピルフェニル、トリイソプロピルフェニ
ル、t−ブチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニル、ト
リ−t−ブチルフェニル、イソペンチルフェニル、オク
チルフェニル、イソオクチルフェニル、イソノニルフェ
ニル、ジイソノニルフェニル、ドデシルフェニルおよび
イソペンタデシルフェニルが含まれる。以下に、剥離剤
の具体例を示す。
【0042】RZ−1 C8 17O−P(=O)−(O
H)2 RZ−2 C1225O−P(=O)−(OK)2 RZ−3 C1225OCH2 CH2 O−P(=O)−
(OK)2 RZ−4 C1531(OCH2 CH2 5 O−P(=
O)−(OK)2 RZ−5 {C1225O(CH2 CH2 O)5 2 −P
(=O)−OH RZ−6 {C1835(OCH2 CH2 8 O}2 −P
(=O)−ONH4 RZ−7 (t−C4 9 3 −C6 2 −OCH2
2 O−P(=O)−(OK)2 RZ−8 (iso-C9 19−C6 4 −O−(CH2
2 O)5 −P(=O)−(OK)(OH) RZ−9 C1225SO3 Na RZ−10 C1225OSO3 Na RZ−11 C1733COOH RZ−12 C1733COOH・N(CH2 CH2
H)3 RZ−13 iso-C8 17−C6 4 −O−(CH2
2 O)3 −(CH2 2 SO3 Na RZ−14 (iso-C9 192 −C6 3 −O−(C
2 CH2 O)3 −(CH2 4 SO3 Na RZ−15 トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸
ナトリウム RZ−16 トリ−t−ブチルナフタレンスルフォン酸
ナトリウム RZ−17 C1733CON(CH3 )CH2 CH2
3 Na RZ−18 C1225−C6 4 SO3 ・NH4
【0043】式(1)または(2)で表される剥離剤の
使用量は、溶液の0.002〜2質量%であることが好
ましく、0.005〜1質量%であることがさらに好ま
しく、0.01〜0.5質量%であることが最も好まし
い。剥離剤は、そのままの液体あるいは固体の状態で、
溶解する前に他の素材と共に溶液に添加することができ
る。また、予め調製されたセルロースアシレート溶液
に、後から剥離剤を添加してもよい。
【0044】セルロースアシレート溶液には、必要に応
じて更に種々の添加剤を溶液の調製前から調製後のいず
れの段階で添加することができる。例えば、微粒子を添
加してフイルムの軋みを防止することができる。無機物
質(例、シリカ、カオリン、タルク、ケイソウ土、石
英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アル
ミナ)の微粒子が好ましい。その他の添加剤には、熱安
定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤および油剤が含まれ
る。熱安定剤としては、アルカリ土類金属(例、カルシ
ウム、マグネシウム)の塩が代表的である。
【0045】溶液の流延前に、適当な濾材(例、金網、
ネル)を用いて、溶液から異物(例、未溶解物、ゴミ、
不純物)を除去しておくことが好ましい。セルロースア
シレート溶液の濾過には、絶対濾過精度が0.05〜1
00μmのフィルターが好ましく用いられる。絶対濾過
精度は、0.5〜10μmであることがさらに好まし
い。濾過圧力は、16kg/cm2 以下であることが好
ましく、12kg/cm 2 以下であることがより好まし
く、10kg/cm2 以下であることがさらに好まし
く、2kg/cm2 以下であることが最も好ましい。精
密濾過した溶液からセルロースアシレートフイルム支持
体を形成すると、クロスニコル状態で認識される大きさ
が50μmを越える異物を、面積250mm 2 当たり実
質上0個にすることができる。また、5〜50μmの異
物を面積250mm2 当たり200個以下にすることも
可能である。このように異物を削減すると、偏光板用保
護フイルムとしての商品価値を著しく高くすることがで
きる。異物の検査では、セルロースアシレートフイルム
をクロスニコル状態で配置した二枚の偏光板の間に置
き、一方の偏光板の外側から光を当て、他方の偏光板の
外側から顕微鏡(透過光源で倍率30倍)で認識し、そ
の時の異物の数を10箇所にわたって測定し、この評価
を5回繰り返した時の異物の数を求める。
【0046】セルロースアシレートフイルムを製造する
方法および設備は、従来のセルローストリアセテートフ
イルム製造に供する溶液流延製膜方法および溶液流延製
膜装置を用いることができる。溶解タンク(釜)から調
製されたドープ(セルロースアシレート溶液)をストッ
クタンクで一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡
し最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば
回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤ
ポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイ
の口金(スリット)からエンドレスに走行している流延
部の支持体の上に均一に流延し、支持体がほぼ一周した
剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を支持
体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟
み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて
乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機
で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装
置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化
銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用
いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の
他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層や保護
層の支持体への表面加工のために、塗布装置が付加され
ることが多い。
【0047】調製したセルロースアシレート溶液(ドー
プ)を用いて、ソルベントキャスト法によりフイルムを
製造することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバン
ド上に流延し、溶媒を蒸発させることでフイルムを形成
する。流延前のドープは、必要に応じて固形分量が5〜
40質量%となるように濃度を調整する。ドラムまたは
バンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好まし
い。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法
については、米国特許2336310号、同23676
03号、同2492078号、同2492977号、同
2492978号、同2607704号、同27390
69号、同2739070号、英国特許640731
号、同736892号の各明細書、特公昭45−455
4号、同49−5614号、特開昭60−176834
号、同60−203430号、同62−115035号
の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以
下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
【0048】セルロースアシレート溶液を、支持体とし
ての平滑なバンド上あるいはドラム上に単層液として流
延することができる。2層以上の複数のセルロースアシ
レート溶液を共流延することもできる。複数のセルロー
スアシレート溶液を共流延する場合、支持体の進行方向
に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシ
レートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながら
フイルムを作製することができる。共流延については、
特開昭61−158414号、特開平1−122419
号、同11−198285号の各公報に記載がある。ま
た、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延
することによりフイルムを製造してもよい(特公昭60
−27562号、特開昭61−94724号、同61−
947245号、同61−104813号、同61−1
58413号、特開平6−134933号の各公報記
載)。また、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを
低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その
高,低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す
セルロースアシレートフイルムの流延方法(特開昭56
−162617号公報記載)も適用できる。
【0049】2個の流延口を用いて、第一の流延口によ
り支持体に成型したフイルムを剥ぎ取り、支持体面に接
していた側に第二の流延を行うことでフイルムを作製す
ることも可能である(特公昭44−20235号公報記
載)。流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液
でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよ
い。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるた
めに、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、
それぞれの流延口から押出せばよい。セルロースアシレ
ート溶液に加えて、他の機能層(例、接着層、染料層、
帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光
層)の塗布液を同時に流延することもできる。
【0050】従来の単層液では、必要なフイルム厚さに
するためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶
液を押出すことが必要である。その場合、セルロースア
シレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故
障となったり、平面性が不良であったりして問題となる
ことが多かった。平面性、面状を改良するために、最外
層用の低粘度の溶液と、内部層用の高粘度の溶液とを同
時に支持体上に押出すことができる。その結果として、
濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負
荷の低減化が達成でき、フイルムの生産スピードを高め
ることも可能である。共流延の場合の膜厚は、外部層が
内部層より薄いことが好ましい。外部層の膜厚は、1〜
50μmが好ましく、特に好ましくは1〜30μmであ
る。
【0051】調製されたドープを加圧ダイから支持体上
に均一に押し出す方法、一旦支持体上に流延されたドー
プをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる
方法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロー
ルコーターによる方法が採用できる。加圧ダイによる方
法が特に好ましい。加圧ダイとしては、コートハンガー
タイプやTダイタイプを好ましく用いることができる。
また、従来知られているセルローストリアセテート溶液
を流延製膜する種々の方法(例えば、特開昭61−94
724号、同61−148013号、特開平4−850
11号、同4−286611号、同5−185443
号、同5−185445号、同6−278149号、同
8−207210号の各公報に記載の方法)を採用して
もよい。処理条件(例えば、溶媒の沸点)の違いを考慮
すれば、従来と同様の効果が得られる。
【0052】セルロースアシレートフイルムを製造する
のに使用されるエンドレスに走行する支持体としては、
表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト
(バンド)や、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げ
されたドラム支持体やバンド支持体が用いられる。支持
体は、セルロースアシレートフイルム溶液の強度を得る
ために15℃以下に冷却しておくことが好ましい。ドラ
ム支持体の直径としては0.5〜5mが好ましく、1〜
5mがさらに好ましい。ドラム法の流延ではセルロース
アシレート溶液をドラムで冷却し、乾燥することなく支
持体から流延膜を剥ぎ取り、しかる後に乾燥される。し
たがって、従来のバンド法に比べ剥ぎ取りに必要な乾燥
時間を必要としないために、高速での流延が可能となっ
ている。セルロースアシレートフイルムの製造に用いら
れる流延時の加圧ダイは、支持体の上方に1基或いは2
基以上の設置でもよい。好ましくは1基〜3基である。
2基以上設置する場合には流延するドープ量をそれぞれ
のダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギ
ヤアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液す
る。この時、セルロースアシレート溶液は同一の溶解タ
ンクから分割されてもよく、また別々に作製して流延ダ
イに送液し流延してもよい。
【0053】セルロースアシレートフイルムの製造に係
わる支持体上に流延されたおけるドープの乾燥は、一般
的には支持体(ドラム或いはベルト)の表面側、つまり
支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ド
ラム或いはベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コ
ントロールした液体をベルトやドラムの裏面から接触さ
せて、伝熱によりドラム或いはベルトを加熱し表面温度
をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液
体伝熱方式が好ましい。流延される前の支持体の表面温
度はドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何
度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また支持
体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の
内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度
に設定することが好ましい。
【0054】セルロースアシレートフイルムの乾燥温度
は、30〜250℃が好ましく、40〜180℃がさら
に好ましい。残留溶媒を除去するために、50〜160
℃でさらに乾燥してもよい。残留溶剤を蒸発させるため
には、逐次温度を変えた高温風で乾燥してことが好まし
い。乾燥方法については、特公平5−17844号公報
に記載がある。同公報記載の方法によると、流延から剥
ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。使用す
る溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異な
る。使用溶媒の種類、組合せに応じて、乾燥条件を適宜
選択する。最終仕上がりフイルムの残留溶媒量は2質量
%以下であることが好ましく、1質量%以下であること
がさらに好ましく、0.5質量%以下であることが最も
好ましい。残留溶媒量の削減は、寸度安定性が良好なフ
イルムを得るために必要である。前記の剥離剤を用いる
ことで、剥離時間を短縮できる。また、剥離剤で剥離時
の抵抗が低くなることで、面状の悪化(例えば、剥離時
の横方向のムラ、ゲル状ブツの剥げ残りに起因するブ
ツ)がないセルロースアシレートフイルムを得ることが
できる。
【0055】支持体から剥離後の乾燥工程では、溶媒の
蒸発によってフイルムは巾方向に収縮しようとする。高
温度で乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮は可能
な限り抑制しながら乾燥することが、出来上がったフイ
ルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、
例えば、特開昭62−46625号公報に示されている
ように、乾燥全工程或いは一部の工程を幅方向にクリッ
プでウェブの巾両端を巾保持しつつ乾燥させる方法(テ
ンター方式)が好ましい。
【0056】セルロースアシレートフイルムを製造する
速度は、ベルトの長さ、乾燥方法、ドープ溶媒組成によ
っても変化するが、ウェブをベルトから剥離する時点で
の残留溶媒の量によってほとんど決定されてしまう。ド
ープ膜のベルト表面付近での溶媒濃度が高すぎる場合に
は、剥離した時、ベルトにドープが残ってしまい、次の
流延に支障を来す。そのため、剥離残りは絶対あっては
ならない。さらに、剥離する力に耐えるだけのウェブ強
度が必要とされる。剥離時点での残留溶媒量は、ベルト
やドラム上での乾燥方法によっても異なる。ドープ表面
から風を当てて乾燥する方法よりは、ベルト或いはドラ
ム裏面から伝熱する方法が効果的に残留溶媒量を低減す
ることができる。
【0057】積極的に幅方向に延伸する方法(例えば、
特開昭62−115035号、特開平4−152125
号、同4−284211号、同4−298310号、同
11−48271号の各公報に記載)を採用してもよ
い。セルロースアシレートフイルムの面内レターデーシ
ョン値を高い値とするためには、製造したフイルムを延
伸する。フイルムの延伸は、常温または加熱条件下で実
施する。加熱温度は、フイルムのガラス転移温度以下で
あることが好ましい。フイルムの延伸は、一軸延伸でも
よく二軸延伸でもよい。フイルムは、乾燥中の処理で延
伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効であ
る。例えば、フイルムの搬送ローラーの速度を調節し
て、フイルムの剥ぎ取り速度よりもフイルムの巻き取り
速度の方を速くするとフイルムは延伸される。フイルム
の巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾
を徐々に広げることによってもフイルムを延伸できる。
フイルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好
ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。フ
イルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分
の比率)は、10〜30%であることが好ましい。流延
から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素
ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。セルロースア
シレートフイルムの製造に係わる巻き取り機は、一般的
に使用されている機械が利用できる。定テンション法、
定トルク法、テーパーテンション法、あるいは内部応力
一定のプログラムテンションコントロール法により巻き
取ることができる。
【0058】出来上がり(乾燥後)のセルロースアシレ
ートフイルムの厚さは、通常5〜500μmの範囲であ
り、好ましくは10〜250μmの範囲である。反射防
止フイルムの支持体としては、75〜200μmの範囲
が最も好ましい。フイルムは、所望の厚さになるよう
に、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリ
ット間隙、ダイからの押し出し圧力や支持体速度を調節
する。セルロースアシレートフイルムの製造装置は、セ
ルロースアシレートフイルム製造後に、特定の洗浄液を
用いて常温で洗浄することが好ましい。セルロースアシ
レート溶液の製造工程では、セルロースアシレート溶液
を作製する際の膨潤仕込み装置、常温,冷却或いは高温
高圧溶解装置、続いて流延される流延ギーサー内部及び
その流延口、これらの装置間を接続する配管、更にはろ
過装置、一時的にセルロースアシレート溶液を貯蔵する
ストックタンク、濃縮装置、各種添加物を添加・攪拌す
る攪拌・混合装置を使用する。セルロースアシレート溶
液を用いてセルロースアシレートフイルムを作製した
後、これらの製造装置は、次のセルロースアシレート溶
液を作製しセルロースアシレートフイルムを作製するた
めに、利用した製造装置を洗浄することが必要である。
【0059】セルロースアシレートフイルムの表面処理
を行うことによって、セルロースアシレートフイルムと
その上に設ける各層との接着の向上を達成することがで
きる。表面処理としては、グロー放電処理、紫外線照射
処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を
採用できる。グロー放電処理とは、10-3〜20Torrの
低圧ガス(いわゆる低温プラズマ)下で実施する。
【0060】反射防止フイルムを偏光板の保護フイルム
として用いる場合、偏光子との接着性を改良するため、
表面に親水性バインダー層を設けることが好ましい。親
水性バインダーの例には、−COOM基(Mは、一価の
陽イオン)を含む酢酸ビニル−マレイン酸共重合体化合
物、親水性セルロース誘導体(例、メチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセル
ロース)、ポリビニルアルコール誘導体(例、酢酸ビニ
ル−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセター
ル、ポリビニルホルマール、ポリビニルベンザール)、
天然高分子化合物(例、ゼラチン、カゼイン、アラビア
ゴム)、親水基含有ポリエステル誘導体(例、スルホン
基含有ポリエステル共重合体)が含まれる。
【0061】反射防止フイルムを偏光板の保護フイルム
として用いる場合、さらに導電性素材を含む帯電防止層
を設ける事が好ましい。導電性素材としては、導電性金
属酸化物や導電性ポリマーが好ましい。なお、蒸着やス
パッタリングによる透明導電性膜でもよい。導電性層
は、最外層でもよいし、内部層でも問題はない。導電層
は、抵抗が100 〜1012Ωであることが好ましく、特
には100 〜1010Ωであることが好ましい。導電性金
属酸化物の例には、ZnO、TiO2 、SnO2 、Al
2 3 、In 2 3 、SiO2 、MgO、BaO、Mo
2 およびV2 5 が含まれる。ZnO、SnO2 およ
びV2 5 が好ましい。これらの複合酸化物をもちいて
もよい。複合酸化物の異種原子としては、Al、In、
Ta、Sb、Nb、ハロゲン原子およびAgが好まし
い。異種原子の添加量は、0.01mol%乃至25mol%の
範囲が好ましい。導電性金属化合物は、結晶性でもよく
非晶質でもよい。形態は、球状でも針状でも鱗片状でも
ゾル状でもよい。1次粒子径は、100Å以上0.2μ
mが好ましい。凝集体の高次構造の長径は、300Å以
上6μm以下である特定の構造を有する粉体を帯電防止
層に体積分率で0.01%以上20%以下含んでいることが好
ましい。導電性微粒子の使用量は0.01〜5.0g/
2 が好ましく、特に0.005〜1g/m2 が好まし
い。また、導電性金属化合物の体積抵抗率は10-6Ω・
cm〜105 Ω・cmであることが好ましく、10-6Ω
・cm〜102 Ω・cmであることがさらに好ましい。
【0062】帯電防止層には、導電性微粒子をバインダ
ーに分散させて用いる。導電性微粒子の分散用バインダ
ーとしては、フイルム形成能を有するポリマーを用い
る。バインダーの例には、タンパク質(例、ゼラチン、
カゼイン)、セルロース誘導体(例、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アセチルセ
ルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロ
ース)、多糖類(例、デキストラン、寒天、アルギン酸
ソーダ、デンプン誘導体)および合成ポリマー(例、ポ
リビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸
エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、
ポリアクリルアミド、ポリ-N-ビニルピロリドン、ポリ
エステル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸)が含まれ
る。導電性ポリマーとして、ポリアニリン誘導体、ポリ
チオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリアセチレ
ン誘導体を用いてもよい。ポリピロール、特にポリスチ
レンスルフォン酸とポリピロールとの塩が好ましい。
【0063】セルロースアシレートフイルムの上のいず
れかの層に滑り剤を含有させることができる。最外層に
滑り剤を含有させることが好ましい。滑り剤の例には、
ポリオルガノシロキサン(特公昭53−292号公報記
載)、高級脂肪酸アミド(米国特許4275146号明
細書記載)、高級脂肪酸エステル(英国特許92744
6号明細書、特公昭58−33541号、特開昭55−
126238号、同58−90633号の各公報記
載)、高級脂肪酸金属塩(米国特許3933516号明
細書記載)、直鎖高級脂肪酸と直鎖高級アルコールのエ
ステル(特開昭58−50534号公報記載)および分
岐アルキル基を含む高級脂肪酸と高級アルコールとのエ
ステル(WO90108115.8号明細書記載)が含
まれる。上記高級脂肪酸エステルは、炭素数10〜24
の脂肪酸と炭素数10〜24のアルコールとのエステル
である。
【0064】セルロースアシレートフイルムの易滑性や
高湿度下での耐接着性の改良のために、マット剤を使用
することが好ましい。セルロースアシレートフイルム
は、その表面突起物の平均高さが0.005〜10μm
であることが好ましく、0.01〜5μmであることが
さらに好ましい。突起物は表面に多数ある程良いが、必
要以上に多いとへイズの原因になる。球形あるいは不定
形マット剤で突起物を形成する場合、マット剤の含有量
は0.5〜600mg/m2 であることが好ましいく、
1〜400mg/m2 であることがさらに好ましい。マ
ット剤としては、無機物あるいは有機物が使用できる。
2種類以上のマット剤を混合して用いてもよい。
【0065】無機マット剤としては、無機物(例、硫酸
バリウム、マンガンコロイド、二酸化チタン、硫酸スト
ロンチウムバリウム、二酸化ケイ素)の微粉末が用いら
れる。二酸化ケイ素(例えば、湿式法やケイ酸のゲル化
より得られる合成シリカ)あるいはルチル型やアナター
ス型の二酸化チタン(チタンスラッグと硫酸により生
成)もマット剤として用いられる。粒径が比較的大きい
(例えば20μm以上)の無機物を粉砕した後、分級
(例えば、振動ろ過、風力分級)することによっても得
られる。有機マット剤としては、ポリマーの粉砕分級物
を用いることができる。ポリマーの例には、ポリテトラ
フルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレ
ン、ポリメチルメタクリレート、ポリプピルメタクリレ
ート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネ
ートおよび澱粉が含まれる。懸濁重合法で合成したポリ
マー、スプレードライ法あるいは分散法により球型にし
たポリマーを用いることができる。
【0066】[低屈折率層]低屈折率層は、その屈折率
が支持体よりも低い。屈折率は、1.2〜1.7の範囲
であることが好ましく、1.2〜1.5の範囲であるこ
とがさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低いポリ
マー、あるいは屈折率の低い化合物とポリマーとの混合
物から形成する。また、特開平9−288201号公報
に記載されているように、光の波長以下のサイズの空気
または真空からなるミクロボイドを均一に形成すること
によって、低屈折率を達成することもできる。屈折率の
低い化合物としては、フッ素化合物あるいはケイ素化合
物が用いられる。フッ素化合物とケイ素化合物とを併用
してもよい。ケイ素化合物は、下記式で表される有機置
換ケイ素系化合物が好ましい。
【0067】R1aR2bSiX4-(a+b) 式中、R1およびR2は、それぞれ、アルキル基、アル
ケニル基またはアリール基であり;Xは、アルコキシ
基、アルコキシアルコキシ基、ハロゲン原子およびアシ
ルオキシ基からなる群より選ばれる加水分解可能な置換
基であり;a、bは、それぞれ、0、1または2であっ
て、a+bは1または2である。アルキル基、アルケニ
ル基およびアリール基は、置換基(例、ハロゲン原子、
エポキシ基、アミノ、メルカプト、メタクリルオキシ、
シアノ)を有していてもよい。上記ケイ素化合物の加水
分解生成物を用いてもよい。
【0068】低屈折率層に用いられるフッ素化合物とし
ては、フッ素原子を有するモノマーを重合して形成した
ポリマーが好ましい。モノマー単位の例には、フルオロ
オレフィン類(例、フルオロエチレン、ビニリデンフル
オライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエ
チレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−
2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、(メタ)
アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル
誘導体類、および完全または部分フッ素化ビニルエーテ
ル類が含まれる。二種類以上のモノマーからコポリマー
を合成してもよい。
【0069】含フッ素モノマーと、フッ素原子を含有し
ないモノマーとのコポリマーを用いてもよい。フッ素原
子を含有しないモノマーの例には、オレフィン類(例、
エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化
ビニリデン)、アクリル酸エステル類(例、アクリル酸
メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類
(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレー
ト)、スチレン、スチレン誘導体(例、ジビニルベンゼ
ン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエ
ーテル類(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステ
ル類(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビ
ニル)、アクリルアミド類(例、N−tert−ブチルアク
リルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メ
タクリルアミド類およびアクリロ二トリル誘導体が含ま
れる。等を挙げることができる。
【0070】低屈折率層は、屈折率の小さい無機化合物
(例、フッ化マグネシウム、蛍石、二酸化珪素)の微粒
子を、ポリマーバインダーに分散して形成することもで
きる。ポリマーバインダーとしては、ポリウレタン、S
BR、ポリシロキサンまたはアクリル樹脂が好ましい。
多官能モノマー(例、ジペンタエリスリトールヘキサア
クリレート)から得られる高度に架橋されたアクリル樹
脂が特に好ましい。
【0071】[防眩層]反射防止フイルムには、表面に
微細な凹凸を有し、その屈折率が支持体よりも大きい防
眩層を設ける事ができる。防眩層は、後述するハードコ
ート層を形成する素材に加えて、高屈折率モノマーまた
は高屈折率無機微粒子によって形成できる。高屈折率モ
ノマーの例には、ビス(4−メタクリロイルチオフェニ
ル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルス
ルフィドおよび4−メタクリロキシフェニル−4’−メ
トキシフェニルチオエーテルが含まれる。高屈折率無機
微粒子は、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、
錫およびアンチモンから選ばれる金属の酸化物からなる
粒径100nm以下の微粒子が好ましい。粒径は、50
nm以下であることがさらに好ましい。金属酸化物の例
には、TiO2 、Al2 3 、In2 3 、ZnO、S
nO2 、Sb2 3 およびITOが含まれる。無機微粒
子の添加量は、防眩層全量の10乃至90質量%である
ことが好ましく、20乃至80質量%であると更に好ま
しい。
【0072】防眩層には、防眩性付与とハードコート層
の干渉による反射率悪化防止、色むら防止の目的で、樹
脂または無機化合物のマット粒子が用いられる。マット
粒子の平均粒径は1.0乃至10.0μmが好ましく、
1.5乃至5.0μmがさらに好ましい。防眩層のバイ
ンダー膜厚よりも小さい粒径のマット粒子は、マット粒
子全体の50%未満であることが好ましい。粒度分布
は、コールターカウンター法や遠心沈降法等により測定
できる。ただし、粒度分布は、粒子数分布に換算して検
討する。防眩層の膜厚は0.5乃至10μmが好まし
く、1乃至5μmがさらに好ましい。
【0073】[ハードコート層]反射防止フイルムに
は、ハードコート層を設けることができる。ハードコー
ト層は、支持体よりも鉛筆硬度が高く、屈折率が防眩層
より小さく、低屈折率層より大き、3ミクロン以上の厚
みを有することが好ましい。ハードコート層の鉛筆硬度
はH以上であることが好ましく、2H以上であることが
さらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
ハードコート層の屈折率は、1.45〜2.0の範囲が
好ましく、1.5〜1.8の範囲がさらに好ましい。ハ
ードコート層は二酸化珪素を主とする無機化合物からな
る層、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有
するポリマー等の有機化合物からなる層、あるいは無機
/有機化合物のハイブリッド化された層として形成でき
る。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーからなる
層であることが特に好ましい。ポリマーは架橋している
ことが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリ
マーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得
ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを
得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモ
ノマーを用いることが好ましい。
【0074】二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸と
のエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペン
タエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シク
ロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリア
クリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニル
ベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベン
ゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエ
ステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニル
スルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド
(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリル
アミドが含まれる。ポリエーテルを主鎖として有するポ
リマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により
合成することが好ましい。これらのエチレン性不飽和基
を有するモノマーは、塗布後電離放射線または熱による
重合反応により硬化させる必要がある。
【0075】二以上のエチレン性不飽和基を有するモノ
マーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応によ
り、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ
基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カ
ルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロー
ル基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン
酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、
エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テト
ラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構
造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロッ
クイソシアナート基のように、分解反応の結果として架
橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明におい
て架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解し
た結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋基
を有する化合物は塗布後熱などによって架橋させる必要
がある。
【0076】更にハードコート層には、屈折率の調節や
膜の硬化強度を高めるために無機の微粒子を添加しても
良い。無機の微粒子としては平均粒子サイズが0.5μ
m以下のものが好ましく、0.2μm以下のものが特に
好ましい。無機微粒子としては二酸化ケイ素粒子、二酸
化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化錫粒子、炭
酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、タルク、カオリ
ンおよび硫酸カルシウム粒子があげられ、二酸化ケイ素
粒子、二酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子が特に
好ましい。無機微粒子の添加量は、ハードコート層の全
質量の10乃至90質量%であることが好ましく、20
乃至80質量%であると更に好ましく、30乃至60質
量%が特に好ましい。ハードコート層の厚さは、1〜3
0μmであることが好ましく、1〜20μmであること
がさらに好ましく、2〜15μmであることが最も好ま
しい。
【0077】[高、中屈折率層]高屈折率層の屈折率
は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.
70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折
率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈
折率との間の値となるように調整され、1.55乃至
1.80であることが好ましい。高屈折率層および中屈
折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。
【0078】中屈折率層および高屈折率層は、比較的屈
折率が高いポリマーを用いて形成することが好ましい。
屈折率が高いポリマーの例には、ポリスチレン、スチレ
ン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香
族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポ
リウレタンが含まれる。その他の環状(芳香族、複素環
式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロ
ゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高
い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノ
マーの重合反応によりポリマーを形成してもよい。
【0079】屈折率の高い無機微粒子を前述のモノマー
と開始剤、有機置換されたケイ素化合物、または上記ポ
リマー中に分散してもよい。無機微粒子としては、金属
(例、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アン
チモン)の酸化物が好ましい。モノマーと開始剤を用い
る場合は、塗布後に電離放射線または熱による重合反応
によりモノマーを硬化させることで、耐傷性や密着性に
優れる中屈折率層や高屈折率層が形成できる。無機微粒
子の平均粒径は、10乃至100nmであることが好ま
しい。
【0080】被膜形成能を有する有機金属化合物から、
高屈折率層または中屈折率層を形成してもよい。有機金
属化合物は、適当な媒体に分散できるか、あるいは液状
であることが好ましい。有機金属化合物の例には、金属
アルコレート(例、チタンテトラエトキシド、チタンテ
トラ−I−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキ
シド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−
sec-ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキ
シド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ
−I−プロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、ア
ンチモントリエトキシド、アンチモントリブトキシド、
ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ−
I−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキ
シド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニ
ウムテトラ−sec-ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t
ert−ブトキシド)、キレート化合物(例、ジ−イソ
プロポキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−
ブトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−エ
トキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ビスアセ
チルアセトンジルコニウム、アルミニウムアセチルアセ
トネート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチル
アセトアセテート、アルミニウムジ−I−プロポキシド
モノメチルアセトアセテート、トリ−n−ブトキシドジ
ルコニウムモノエチルアセトアセテート)、有機酸塩
(例、炭酸ジルコニールアンモニウム)およびジルコニ
ウムを主成分とする活性無機ポリマーが含まれる。
【0081】反射防止フイルムには、さらに、防湿層、
帯電防止層や保護層を設けてもよい。特に低屈折率層の
上に、保護層を設けることが好ましい。保護層は、滑り
層または汚れ防止層として機能する。滑り層に用いる滑
り剤の例には、ポリオルガノシロキサン(例、ポリジメ
チルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジフェ
ニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、アル
キル変性ポリジメチルシロキサン)、天然ワックス
(例、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ホ
ホバ油、ライスワックス、木ろう、蜜ろう、ラノリン、
鯨ろう、モンタンワックス)、石油ワックス(例、パラ
フィンワックス、マイクロクリスタリンワックス)、合
成ワックス(例、ポリエチレンワックス、フィッシャー
・トロプシュワックス)、高級脂肪脂肪酸アミド(例、
ステアラミド、オレインアミド、N,N’−メチレンビ
スステアラミド)、高級脂肪酸エステル(例、ステアリ
ン酸メチル、ステアリン酸ブチル、グリセリンモノステ
アレート、ソルビタンモノオレエート)、高級脂肪酸金
属塩(例、ステアリン酸亜鉛)およびフッ素含有ポリマ
ー(例、パーフルオロ主鎖型パーフルオロポリエーテ
ル、パーフルオロ側鎖型パーフルオロポリエーテル、ア
ルコール変性パーフルオロポリエーテル、イソシアネー
ト変性パーフルオロポリエーテル)が含まれる。汚れ防
止層には、含フッ素疎水性化合物(例、含フッ素ポリマ
ー、含フッ素界面活性剤、含フッ素オイル)を添加す
る。保護層の厚さは、反射防止機能に影響しないように
するため、20nm以下であることが好ましく、10n
mであると更に好ましい。
【0082】反射防止フイルムの各層は、ディップコー
ト法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロー
ラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート
法やエクストルージョンコート法(米国特許26812
94号明細書記載)により、塗布により形成することが
できる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布
の方法については、米国特許2761791号、同29
41898号、同3508947号、同3526528
号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、2
53頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
【0083】反射防止フイルムは、液晶表示装置(LC
D)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレク
トロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表
示装置(CRT)のような画像表示装置に適用する。反
射防止フイルムが透明支持体を有する場合は、透明支持
体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。
【0084】
【実施例】[実施例1] (1)内層用セルローストリアセテート溶液の調製 攪拌羽根を有する20リットルのステンレス製溶解タン
クに、セルローストリアセテート以外の下記成分をよく
攪拌しつつ、セルローストリアセテート粉体を徐々に添
加し、全体が10kgになるように仕込んだ。添加後、
室温(25℃)にて3時間放置して、セルローストリア
セテートを膨潤させた。なお、溶媒である塩化メチレ
ン、メタノールおよびn−ブタノールは、すべてその含
水率が0.2質量%以下のものを利用した。
【0085】 ──────────────────────────────────── セルローストリアセテート溶液の成分 ──────────────────────────────────── 平均粒径2mmのセルローストリアセテート粉体(置換度2.83、粘度平均 重合度320、含水率0.4質量%、メチレンクロライド溶液中6質量%の粘度 305mPa・s) 20質量部 塩化メチレン 54.4質量部 メタノール 10.2質量部 nーブタノール 3.4質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアセテート(可塑剤A) 6質量部 トリフェニルフォスフェート(可塑剤B) 6質量部 粒径20nmのシリカ微粒子 0.1質量部 (2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ −tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(UV剤a) 0.1質量部 2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−ク ロルベンゾトリアゾール(UV剤b) 0.1質量部 2−(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−アミルフェニル)−5−ク ロルベンゾトリアゾール(UV剤c) 0.1質量部 C1225OCH2 CH2 O−P(=O)−(OK)2 0.05質量 部 ────────────────────────────────────
【0086】 (2)内層用セルローストリアセテートドープの調製 (1)で得られたセルローストリアセテート溶液をスク
リューポンプで送液して、180℃、1Mpaに加温加
圧した加熱部分を3分間通過させた後50℃に冷却し、
絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、
#63)で濾過して、内層用セルローストリアセテート
ドープを作製した。
【0087】 (3)外層用セルローストリアセテートドープの調製 上記(1)の内層用セルローストリアセテート溶液の調
製において、セルローストリアセテートを19質量部、
塩化メチレンを55.4質量部に変更する以外は同様に
して外層用セルローストリアセテートドープを作製し
た。
【0088】 (4)セルロースアシレートフイルム支持体の作製 上記(2)、(3)で作製したドープを、三層共流延ダ
イを用い、内層用セルロースアシレートドープが内側
に、外層用セルロースアシレートドープが両外側になる
ように配置して金属支持体上に同時に吐出させて重層流
延した後、流延膜を支持体から剥ぎ取り、乾燥して、三
層構造のセルロースアセテートフイルム積層体(内層の
厚さ:74μm、各表面層の厚さ:3μm)を製造し
た。70℃で3分、130℃で5分乾燥した後、ガラス
板からフイルムを剥ぎ取り、そして160℃、30分で
段階的に乾燥して溶剤を蒸発させ、厚さ80μmのセル
ロースアシレートフイルム支持体を作製した。このよう
にして、ハロゲン化炭化水素を全く含まない工程で支持
体を製造することができた。
【0089】(5)低屈折率層用塗布液の調製 屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7
228、固形分濃度6%、JSR(株)製)210gに
シリカゾル(MEK−ST、平均粒径10〜20nm、
固形分濃度30質量%、日産化学(株)製)18g、お
よびメチルエチルケトン200gを添加、攪拌の後、孔
径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低
屈折率層用塗布液を調製した。
【0090】(6)反射防止フイルムの作製 セルロースアシレートフイルム支持体上に、低屈折率層
用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、80℃で5分
乾燥後、120℃で10分間加熱してポリマーを架橋さ
せ、厚さ0.1μmの低屈折率層を形成し、反射防止フ
イルムを作製した。低屈折率層の屈折率は、1.42で
あった。
【0091】[実施例2] (1)セルローストリアセテート溶液の調製 攪拌羽根を有する20リットルのステンレス製溶解タン
クに、セルローストリアセテート以外の下記成分をよく
攪拌しつつ、セルローストリアセテート粉体を徐々に添
加し、全体が10kgになるように仕込んだ。添加後、
室温(25℃)にて3時間放置しセルローストリアセテ
ートを膨潤させた。なお、溶媒である酢酸メチル、シク
ロペンタノン、アセトン、メタノール及びエタノール
は、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用
した。
【0092】 ──────────────────────────────────── セルローストリアセテート溶液の成分 ──────────────────────────────────── 平均粒径2mmのセルローストリアセテート粉体(置換度2.83、粘度平均 重合度320、含水率0.4質量%、メチレンクロライド溶液中6質量%の粘度 305mPa・s) 20質量部 酢酸メチル 43質量部 シクロペンタノン 10質量部 アセトン 5質量部 メタノール 5質量部 エタノール 5質量部 トリフェニルフォスフェート(可塑剤B) 12質量部 粒径20nmのシリカ微粒子 0.1質量部 (2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ −tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(UV剤a) 0.1質量部 2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−ク ロルベンゾトリアゾール(UV剤b) 0.1質量部 2−(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−アミルフェニル) −5−クロルベンゾトリアゾール(UV剤c) 0.1質量部 C1225OCH2 CH2 O−P(=O)−(OK)2 0.05質量 部 ────────────────────────────────────
【0093】 (2)セルローストリアセテートドープの調製 (1)のセルロースアシレート溶液をスクリューポンプ
で送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を
通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒を
用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液はス
テンレス製の容器に移送し、50℃で2時間攪拌した。
そして、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙
(株)製、#63)で濾過した。
【0094】 (3)セルロースアシレートフイルム支持体の作製 (2)で得られたドープを50℃に加温し、流延ギーサ
ーを通して鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体
温度は10℃であり、流延スピードは30m/分でその
塗布幅は100cmとした。乾燥は55℃の乾燥風を送
風した。10分後に鏡面ステンレス支持体から剥ぎ取
り、しかる後に110℃、10分、更に150℃で30
分乾燥して、セルロースアシレートフイルム支持体(膜
厚80μm)を作製した。この支持体は、従来の流延方
法と比較して、より速い流延速度で製造することができ
た。
【0095】(3)反射防止フイルムの作製 作製したセルロースアシレートフイルム支持体を用いた
以外は、実施例1と同様にして反射防止フイルムを作製
した。
【0096】[実施例3] (1)防眩層用塗布液の調製 ジルコニア含有UV硬化型ハードコート液(デソライト
Z7401、JSR社製、固形分濃度48%、ジルコニ
ア含率71%、平均粒径約20nm)278gにジペン
タエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリス
リトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本
化薬(株)製)120g、光重合開始剤(イルガキュア
907、チバガイギー社製)7.7gを加え、メチルエ
チルケトン/シクロヘキサノン=50/50%の混合溶
媒355gを加えた。さらにこの溶液に平均粒径2μm
の架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜
研化学(株)製)10gを添加し、高速ディスパーによ
り5000rpmで一時間攪拌し、均一分散させた後、
孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して
防眩層用塗布液を調製した。
【0097】(2)反射防止フイルムの作製 実施例1で作製したセルロースアシレートフイルム支持
体上に、調製した防眩層用塗布液をバーコーターを用い
て塗布し、120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷
メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)
を用いて、照度400mW/cm2 、照射量300mJ
/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ
1.4μmの防眩層を形成した。防眩層の屈折率は1.
61であった。防眩層の上に実施例1で調製した低屈折
率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、80℃で
5分乾燥後、120℃で10分間加熱してポリマーを架
橋させ、厚さ0.1μmの低屈折率層を形成し、反射防
止フイルムを作製した。
【0098】[実施例4] (1)反射防止フイルムの作製 実施例2で作製したセルロースアシレートフイルム支持
体を用いた以外は、実施例3と同様にして反射防止フイ
ルムを作製した。
【0099】[実施例5] (1)ハードコート層用塗布液の調製 シリカ含有UV硬化型ハードコート液(デソライトKZ
7526、JSR社製、固形分濃度72%、シリカ含量
38%、平均粒径20nm)347gをメチルエチルケ
トン/シクロヘキサノン=50/50質量%の混合溶媒
400gに溶解し、撹拌した後、孔径1μmのポリプロ
ピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液
を調製した。
【0100】 (2)反射防止フイルムの作製 実施例1で作製したセルロースアシレートフイルム支持
体上に、調製したハードコート層用塗布液をバーコータ
ーを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、160W/c
mの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス
(株)製)を用いて、照度400mW/cm2 、照射量
300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化さ
せ、厚さ6μmのハードコート層を形成した。ハードコ
ート層の屈折率は、1.53であった。ハードコート層
の上に、実施例3で調製した防眩層用塗布液をバーコー
ターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、160W/
cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス
(株)製)を用いて、照度400mW/cm2 、照射量
300mJ/cm2 の紫外線を照射して塗布層を硬化さ
せ、厚さ1.4μmの防眩層を形成した。防眩層の上
に、実施例1で調製した低屈折率層用塗布液をバーコー
ターを用いて塗布し、80℃で5分乾燥後、120℃で
10分間加熱してポリマーを架橋させ、厚さ0.1μの
低屈折率層を形成し、反射防止フイルムを作製した。
【0101】[実施例6] (1)反射防止フイルムの作製 実施例2で作製したセルロースアシレートフイルム支持
体を用いた以外は、実施例5と同様にして反射防止フイ
ルムを作製した。
【0102】[実施例7] (1)反射防止フイルムの作製 実施例1で作製したセルロースアシレートフイルム支持
体上に、実施例5で調製したハードコート層用塗布液を
バーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、1
60W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフ
ィックス(株)製)を用いて、照度400mW/c
2 、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗
布層を硬化させ、厚さ6μmのハードコート層を形成し
た。ハードコート層の上に、実施例1で調製した低屈折
率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、80℃で
5分乾燥後、120℃で10分間加熱してポリマーを架
橋させ、厚さ0.1μの低屈折率層を形成し、反射防止
フイルムを作製した。
【0103】[実施例8] (1)反射防止フイルムの作製 実施例2で作製したセルロースアシレートフイルム支持
体を用いた以外は、実施例7と同様にして反射防止フイ
ルムを作製した。
【0104】[実施例9] (1)二酸化チタン分散物の調製 二酸化チタン(一次粒子質量平均粒径:50nm、屈折
率2.70)30質量部、アニオン性ジアクリレートモ
ノマー(商品名:PM21、日本化薬(株)製)5.0
質量部、カチオン性メタクリレートモノマー(商品名:
DMAEA、興人(株)製)0.2質量部およびメチル
エチルケトン65.2質量部をサンドグラインダーによ
り分散し、二酸化チタン分散物を調製した。
【0105】(2)高屈折率層用塗布液の調製 シクロヘキサノン125.2gおよびメチルエチルケト
ン37.2gに、光重合開始剤(イルガキュア907、
チバガイギー社製)0.07gおよび光増感剤(カヤキ
ュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02gを溶解
した。さらに、調製した二酸化チタン分散物13.4g
およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(D
PHA、日本化薬(株)製)0.76gを加え、室温で
40分間攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フ
ィルターでろ過して、高屈折率層用塗布液を調製した。
【0106】(3)反射防止フイルムの作製 実施例1で作製したセルロースアシレートフイルム支持
体上に、実施例5で調製したハードコート層用塗布液を
バーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、1
60W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフ
ィックス(株)製)を用いて、照度400mW/c
2 、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗
布層を硬化させ、厚さ6μmのハードコート層を形成し
た。ハードコート層の上に、調製した高屈折率層用塗布
液をバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の
後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイ
グラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/
cm2 、照射量300mJ/cm2 の紫外線を照射して
塗布層を硬化させ、厚さ0.06μmの高屈折率層を形
成した。高屈折率層の屈折率は1.90であった。高屈
折率層の上に、実施例1で調製した低屈折率層用塗布液
をバーコーターを用いて塗布し、80℃で5分乾燥後、
120℃で10分間加熱してポリマーを架橋させ、厚さ
0.1μの低屈折率層を形成し、反射防止フイルムを作
製した。
【0107】[実施例10] (1)反射防止フイルムの作製 実施例2で作製したセルロースアシレートフイルム支持
体を用いた以外は、実施例9と同様にして反射防止フイ
ルムを作製した。
【0108】[実施例11] (1)中屈折率層用塗布液の調製 シクロヘキサノン153gおよびメチルエチルケトン3
7gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイ
ギー社製)0.14gおよび光増感剤(カヤキュアーD
ETX、日本化薬(株)製)0.04gを溶解した。さ
らに、実施例9で調製した二酸化チタン分散物6.2g
およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(D
PHA、日本化薬(株)製)2.4gを加え、室温で3
0分間攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィ
ルターでろ過して、中屈折率層用塗布液を調製した。
【0109】(2)オーバーコート層塗布液の調製 含フッ素ポリマー(KP−801M、信越化学(株)
製)30gをフッ素系溶剤(フロリナートFC−77、
3M社製)570gに添加、攪拌の後、孔径1μmのポ
リプロピレン製フィルターでろ過して、オーバーコート
層用塗布液を調製した。
【0110】(3)反射防止フイルムの作製 実施例1で作製したセルロースアシレートフイルム支持
体上に、実施例5で調製したハードコート層用塗布液を
バーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、1
60W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフ
ィックス(株)製)を用いて、照度400mW/c
2 、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗
布層を硬化させ、厚さ6μmのハードコート層を形成し
た。ハードコート層の上に、調製した中屈折率層用塗布
液をバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の
後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイ
グラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/
cm2 、照射量300mJ/cm2 の紫外線を照射して
塗布層を硬化させ、厚さ0.08μmの中屈折率層を形
成した。中屈折率層の屈折率は1.76であった。中屈
折率層の上に実施例9で調製した高屈折率層用塗布液を
バーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、1
60W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフ
ィックス(株)製)を用いて、照度400mW/c
2 、照射量300mJ/cm2 の紫外線を照射して塗
布層を硬化させ、厚さ0.06μmの高屈折率層を形成
した。高屈折率層の上に実施例1で調製した低屈折率層
用塗布液をバーコートを用いて塗布し、80℃で5分乾
燥後、120℃で10分間加熱してポリマーを架橋さ
せ、厚さ0.1μの低屈折率層を形成した。低屈折率層
の上に、調製したオーバーコート層用塗布液をバーコー
ターを用いて塗布し、120℃で乾燥して、厚さ0.0
06μmのオーバーコート層を形成し、反射防止フイル
ムを作製した。
【0111】[実施例12] (1)反射防止フイルムの作製 実施例2で作製したセルロースアシレートフイルム支持
体を用いた以外は、実施例11と同様にして反射防止フ
イルムを作製した。
【0112】[比較例1] (1)反射防止フイルムの作製 厚さ80μmの市販のセルローストリアセテートフイル
ム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)
を、セルロースアシレートフイルム支持体として用いた
以外は、実施例5と同様にして反射防止フイルムを作製
した。
【0113】[比較例2] (1)反射防止フイルムの作製 厚さ80μmの市販のセルローストリアセテートフイル
ム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)
を、セルロースアシレートフイルム支持体として用いた
以外は、実施例11と同様にして反射防止フイルムを作
製した。
【0114】(反射防止フイルムの評価)得られた反射
防止フイルムについて、以下の項目の評価を行った。
【0115】(イ)鏡面反射率 分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプタ
ーARV−474を装着して、380〜780nmの波
長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡
面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を
算出し、反射防止性を評価した。
【0116】(ロ)ヘイズ 得られたフイルムのヘイズをヘイズメーターMODEL
1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定
した。
【0117】(ハ)鉛筆硬度評価 耐傷性の指標としてJIS−K−5400に記載の鉛筆
硬度評価を行った。反射防止フイルムを温度25℃、湿
度60%RHで2時間調湿した後、JIS−S−600
6に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて1kgの荷重で
評価した。5回のテストのうち3回以上傷がつかない場
合を持って鉛筆硬度とした。
【0118】(ニ)防眩性評価 作製した防眩性フイルムに、ルーバーなしのむき出し蛍
光灯(8000cd/m2 )を映し、その反射像のボケ
の程度を以下の4段階で評価した。 A:蛍光灯の輪郭が全くわからない B:蛍光灯の輪郭がわずかにわかる C:蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる D:蛍光灯がほとんどぼけない
【0119】以上の結果を第1表に示す。
【0120】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 反射防止フイルム 反射率 ヘイズ 鉛筆硬度 防眩性 ──────────────────────────────────── 実施例1 2.6% 0.2% 3H未満 D 実施例2 2.5% 0.2% 3H未満 D 実施例3 1.0% 12% 3H未満 A 実施例4 1.0% 12% 3H未満 A 実施例5 1.2% 12% 3H A 実施例6 1.2% 12% 3H A 実施例7 2.4% 0.2% 3H D 実施例8 2.4% 0.2% 3H D 実施例9 1.0% 0.2% 3H D 実施例10 1.0% 0.2% 3H D 実施例11 0.6% 0.3% 3H D 実施例12 0.6% 0.3% 3H D 比較例1 1.2% 12% 3H A 比較例2 0.65 0.3% 3H D ────────────────────────────────────
【0121】[実施例13]実施例5で作製した反射防
止フイルムを鹸化処理した。鹸化処理した反射防止フイ
ルムと、実施例1で作製したセルロースアシレートフイ
ルム支持体とを、ヨウ素を吸着させた延伸PVAの両側
にPVA系粘着材を介して貼り合わせ、偏光板を作製し
た。この偏光板を用いて反射防止層を最表層に配置した
液晶表示装置を作製したところ、外光の映り込みが少な
く、視認性が優れていた。
【0122】[実施例14]実施例11で作製した反射
防止フイルムを鹸化処理した。鹸化処理した反射防止フ
イルムと、実施例1で作製したセルロースアシレートフ
イルム支持体とを、ヨウ素を吸着させた延伸PVAの両
側にPVA系粘着材を介して貼り合わせ、偏光板を作製
した。この偏光板を用いて反射防止層を最表層に配置し
た液晶表示装置を作製したところ、外光の映り込みが少
なく、視認性が優れていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】最も基本的な反射防止フイルムの構成を示す断
面模式図である。
【図2】反射防止フイルムの別の構成を示す断面模式図
である。
【図3】反射防止フイルムのまた別の構成を示す断面模
式図である。
【図4】反射防止フイルムのさらに別の構成を示す断面
模式図である。
【図5】反射防止フイルムのさらにまた別の構成を示す
断面模式図である。
【図6】反射防止フイルムの他の構成を示す断面模式図
である。
【符号の説明】
1 セルロースアシレートフイルムからなる支持体 2 低屈折率層 3 防眩層 4 ハードコート層 5 高屈折率層 6 中屈折率層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/10 G02B 1/10 A G09F 9/00 313 Z Fターム(参考) 2K009 AA02 AA12 AA15 BB28 CC03 CC26 DD02 EE03 4D075 AE03 CA02 CB03 CB06 DA04 DB33 DC24 EA21 EB12 EB13 EB14 EB15 EB17 EB18 EB19 EB22 EB24 EB32 EB33 EB35 EB38 EB43 EB45 EB47 4F100 AA20 AB20 AJ04 AJ04A AK12 AK17 AK25 AR00B AR00C BA02 BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10B BA26 CC00D CC00E DD07C EH46 EH46A GB41 JA20E JK12 JK12D JK12E JN01 JN06 JN06C JN18B JN18C JN18D JN18E YY00E 5G435 AA17 BB12 FF14 GG43 HH03

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にハロゲン化炭化水素系溶媒を含
    まず、炭素原子数2〜12のエーテル、炭素原子数3〜
    12のケトンおよび炭素原子数2〜12のエステルから
    なる群より選ばれる溶媒を少なくとも用いてセルロース
    アシレートを溶解した溶液を流延して得られるセルロー
    スアシレートフイルム支持体と、屈折率が支持体の屈折
    率よりも低い低屈折率層とを有する反射防止フイルム。
  2. 【請求項2】 支持体と低屈折率層との間に、表面に微
    細な凹凸を有し、屈折率が支持体より高い防眩層が設け
    られている請求項1に記載の反射防止フイルム。
  3. 【請求項3】 防眩層と支持体との間に、鉛筆硬度が支
    持体よりも高く、屈折率が防眩層より低く、かつ低屈折
    率層より高いハードコート層が設けられている請求項2
    に記載の反射防止フイルム。
  4. 【請求項4】 支持体と低屈折率層との間に、支持体よ
    り高い鉛筆硬度を有し、屈折率が低屈折率層より高く、
    1μm以上の厚さを有するハードコート層が設けられて
    いる請求項1に記載の反射防止フイルム。
  5. 【請求項5】 ハードコート層と低屈折率層との間に、
    屈折率がハードコート層より高い高屈折率層が設けられ
    ている請求項4に記載の反射防止フイルム。
  6. 【請求項6】 ハードコート層と高屈折率層の間に、屈
    折率が低屈折率層より高く、かつ高屈折率層よりは低い
    中屈折率層が設けられている請求項5に記載の反射防止
    フイルム。
  7. 【請求項7】 複数のセルロースアシレート溶液を共流
    延して得られるセルロースアシレートフイルム支持体
    と、屈折率が支持体の屈折率よりも低い低屈折率層とを
    有する反射防止フイルム。
  8. 【請求項8】 支持体と低屈折率層との間に、表面に微
    細な凹凸を有し、屈折率が支持体より高い防眩層が設け
    られている請求項7に記載の反射防止フイルム。
  9. 【請求項9】 防眩層と支持体との間に、鉛筆硬度が支
    持体よりも高く、屈折率が防眩層より低く、かつ低屈折
    率層より高いハードコート層が設けられている請求項8
    に記載の反射防止フイルム。
  10. 【請求項10】 支持体と低屈折率層との間に、支持体
    より高い鉛筆硬度を有し、屈折率が低屈折率層より高
    く、1μm以上の厚さを有するハードコート層が設けら
    れている請求項7に記載の反射防止フイルム。
  11. 【請求項11】 ハードコート層と低屈折率層との間
    に、屈折率がハードコート層より高い高屈折率層が設け
    られている請求項10に記載の反射防止フイルム。
  12. 【請求項12】 ハードコート層と高屈折率層の間に、
    屈折率が低屈折率層より高く、かつ高屈折率層よりは低
    い中屈折率層が設けられている請求項11に記載の反射
    防止フイルム。
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