JP4400769B2 - 高分子樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光板保護膜等の光学用途透明フィルム、写真感光材料用支持体フィルム等に用いることができる高分子樹脂フィルム及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、フィルム表面に機能層を塗工した際、塗工ムラが発生しないようにした高分子樹脂フィルム及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光学用途透明フィルム、写真感光材料用支持体フィルム等のフィルムとしては、セルローストリアセテートフィルム等が用いられており、このセルローストリアセテートフィルム等は溶液製膜法により製造されている。溶液製膜法は、有機溶媒に溶かしたポリマー溶液をダイから支持体上に流延するとともに、ダイ近傍に設けた減圧チャンバーにより流延リボン(ダイ吐出口から支持体着地までの間の液膜。以下同様)を支持体に密接に接触させるものである。このような溶液製膜法としては、例えば、特公昭49−36946号公報においては、エアー同伴を防止するために2つの吸引室を持つ減圧チャンバーを設け液体組成物流とローラーとを密接に接触させる液体組成物のキャスト方法が提案されており、特公昭62−38133号公報及び特公昭63−57222号公報においては、隔離壁で2つの真空帯域を設けることにより端部ビードを安定化できるウェブの均一押しつけ装置が提案されており、特開平5−86212号公報等においては、良溶剤と貧溶剤とを特定の割合にしたドープを用いることによりカワバリの発生を防止した流延方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の溶液製膜法で製造された高分子樹脂フィルムは、減圧チャンバー内部の気柱振動、減圧のための吸引ダクトの気柱振動、ブロワーの振動が伝わった減圧チャンバーの振動等の風圧振動や機械振動による振動外乱により、流延リボンがある周波数で振動するので、フィルムの長手方向に微小な周期的な段状の厚みムラが発生するものであった。
【0004】
特に、近年、液晶表示装置(以下、LCDという)の薄型化が進み、それぞれの素子も薄膜化が求められており、偏光板用保護膜も薄膜化が要求されているが、薄膜化することにより溶液製膜法の特徴であるレベリング効果が低減して種々の厚みムラが顕在化してくるものであった。
【0005】
ところで、光学用途透明フィルムは、例えばハードコートや反射防止機能を付与するためにアンチグレア層を塗工しているが、ベースに厚みムラが存在するとそれに起因する塗工ムラが発生し、光学用途のフィルムの外観価値や機能性を阻害するので、LCD等において品質上の大きな問題であった。
【0006】
また、写真感光材料用支持体においても乳剤塗工において同様な問題が生じるものであった。
【0007】
本発明は、以上の問題点を解決し、溶液製膜法で製造されたフィルムに各種機能層を塗工しても塗工ムラが発生しない高分子樹脂フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究し、周期的な長手方向の厚みムラの所定範囲において、厚みムラのピッチと厚みムラとの関係が所定の領域にあると、高分子樹脂フィルムを塗工に供しても良好な外観品質を得ることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0009】
すなわち、本発明によるセルロースアシレートフィルムは、溶液製膜法によって製造されたものであって、ウェブ長手方向の周期的な厚みムラのピッチa[cm]と厚みムラ率d[%]とが以下の式(2)を満たし、ウェブ長手方向の厚みムラのピッチが0.2cm以下において、厚みムラ率が2%以下であり、ウェブ長手方向の厚みムラのピッチが4cm以上において、厚みムラ率が7%以下であることを特徴として構成されている。
d≦0.19a−0.38a+0.25a+0.42……(2)
(但し、0.2<a<3)
【0010】
さらに、本発明者は、流延リボンの伸縮率と、流延速度及び伸縮周波数との関係が所定の領域にあると、高分子樹脂フィルムを塗工に供しても良好な外観品質を得ることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0011】
すなわち、本発明による高分子樹脂フィルムの製造方法は、高分子樹脂を有機溶媒に溶かした溶液をダイから支持体に流延してフィルムを製造する方法において、流延速度v[cm/s]、伸縮周波数f[1/s]及び伸縮率e[%]が、以下の式(3)を満たすことを特徴として構成されている。
e≦0.46(v/f)−0.91(v/f)+0.60(v/f)+1.01
……(3)
(但し、0.2<(v/f)<3)
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の高分子樹脂フィルムにおいては、ウェブ長手方向の厚みムラピッチa[cm]が0.2〜3cmの範囲にある段状の厚みムラに関し、厚みムラのピッチaと厚みムラ率d[%]とが、以下の式(1)を満たすものであり、
d≦0.46a−0.91a+0.60a+1.01……(1)
さらに、好ましくは以下の式(2)を満たすものである。
d≦0.19a−0.38a+0.25a+0.42……(2)
【0013】
すなわち、本発明者は、ウェブの長手方向の周期的な厚みムラのピッチa[cm]と厚みムラ率d[%]との関係と、塗工ムラの見え方の強弱とについて、図1に示すような結果を得た。図1において、曲線aは上記式(1)を示し、曲線bは上記式(2)を示し、曲線aより上の領域は、塗工ムラが強く見える領域であり、曲線aと曲線bとの間の領域は、塗工ムラが弱く見える領域であり、曲線bの下の領域は、塗工ムラが見えない領域である。このような塗工ムラの強弱は、目視観察により判断した。
【0014】
なお、厚みムラ率は、厚みムラの凹凸の最大値と最小値との差をフィルムの平均厚さで割った値である。厚みムラのピッチ及び厚みムラ率の測定は、フィルムの厚みを長手方向に連続測定し、そのチャートから周期的な厚みムラのピッチと厚みムラの最大値、最小値及び平均値を読み取る方法や、厚み変動値の周波数分析と最大ピーク値を読み取る方法により行うことができる。厚みの連続測定方法は、接触式連続厚み計や非接触式連続厚み計などにより行うことができる。
【0015】
厚みムラピッチ及び厚みムラを以上のような所定範囲に設定するには、溶液の送液量脈動、流延部の機械振動、支持体の速度ムラ、ダイリップ吐出リボン部の静圧変動及び動圧変動の抑制、適切なリボン長の設定等により達成することができる。
【0016】
また、ウェブの長手方向の厚みムラのピッチが0.2cm以下において、厚みムラ率が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。厚みムラ率が2%を超えると、塗工ムラが強く見えることとなる。
【0017】
さらに、ウェブの長手方向の厚みムラのピッチが3cm以上において、厚みムラ率が7%以下であることが好ましく、2.8%以下であることがより好ましい。厚みムラ率が7%を超えると、塗工ムラが強く見えることとなる。
【0018】
本発明の高分子樹脂フィルの製造方法においては、流延速度を伸縮周波数で割った値が0.2〜3cmの範囲において、流延速度v[cm/s]、伸縮周波数f[1/s]及び流延リボンの伸縮率e[%]が、以下の式(3)を満たすものであり、
e≦0.46(v/f)−0.91(v/f)+0.60(v/f)+1.01
……(3)
さらに、好ましくは以下の式(4)を満たすものである。
e≦0.19(v/f)−0.38(v/f)+0.25(v/f)+0.42
……(4)
【0019】
すなわち、本発明者は、流延リボンの伸縮率eと、流延速度v及び伸縮周波数fとについて、図2に示すような結果を得た。図2において、曲線cは上記式(3)を示し、曲線dは上記式(4)を示し、曲線cより上の領域は、塗工ムラが強く見える領域であり、曲線cと曲線dとの間の領域は、塗工ムラが弱く見える領域であり、曲線dの下の領域は、塗工ムラが見えない領域である。このような塗工ムラの強弱は、目視観察により判断した。
【0020】
流延リボンの平均長さlは、流延ダイ吐出口から支持体着地までの液膜の長さである。流延リボンの平均長さlは、流延リボンをビデオ撮影し最大長さと最小長さを測定し、それらの平均値より求める。
【0021】
流延速度vは、支持体の移動速度である。支持体駆動モーターの回転数或いは、支持体の移動速度を接触又は非接触速度計により直接測定することにより求める。
【0022】
伸縮周波数fは、1秒間の流延リボンの伸縮回数である。流延ビデオ画像より、流延リボンの長さの変化を連続測定し、周波数分析を行うことにより求める。
【0023】
伸縮率eは、流延リボンの最大長さと最小長さとの差を平均長さで割った値である。
【0024】
これらの流延速度、伸縮周波数及び伸縮率を以上のような所定範囲に設定するには、溶液の送液量脈動、流延部の機械振動、支持体の速度ムラ、ダイリップ吐出リボン部の静圧変動及び動圧変動の抑制、適切なリボン長の設定等により達成することができる。
【0025】
流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅は、2.4Pa以下であることが好ましく、2.0Pa以下であることがよりに好ましく、0.5Pa以下であることが最も好ましい。制圧変動幅が2.4Paを超えると、厚みムラが大きくなりすぎ実用化できない。静圧変動幅を上記2.4Pa以下にするには、送風ダクトの振動防止などにより行うことができる。静圧変動幅は、圧力センサーにより、静圧を連続測定し、そのチャートから周期的な静圧変動の周期と静圧変動の最大値、最小値を読み取る方法や、静圧変動値の周波数分析と最大ピーク値を読み取る方法により測定することができる。
【0026】
本発明による高分子樹脂フィルムを製造する溶液製膜装置の例を図3〜図8を参照して説明する。
【0027】
図3は溶液製膜装置の流延ダイ部分の模試図である。図3においては、1は流延ダイ、2は支持体(流延バンド又は流延ドラム)、3は減圧チャンバーで、4は流延ダイ1から支持体(流延バンド又は流延ドラム)2に流延されている流延リボンである。
【0028】
溶液製膜装置としては、表面が鏡面処理された流延バンドを用いた溶液製膜装置であっても、流延ドラムを用いた溶液製膜装置であってもよい。流延バンドを用いた溶液製膜装置を図4に、流延ドラムを用いた溶液製膜装置を図5に示す。
【0029】
図4に示すバンド式の溶液製膜装置において、10は流延ダイで、この流延ダイ10に対向して回転ドラム20が設けられており、この回転ドラム20に流延バンド30が巻き掛けられて走行するようになっている。また、流延ダイ10に隣接して減圧チャンバー40が設けられ、この減圧チャンバー40は、吸引ダクト50及びバッファータンク60を介してブロワー70に連結されている。
【0030】
図5に示すドラム式の溶液製膜装置において、80は流延ドラムで、バンド式の溶液製膜装置における回転ドラム20及び流延バンド30の代わりに設けられている。なお、減圧チャンバー40、吸引ダクト50、バッファータンク60及びブロワー70は同一に構成されている。
【0031】
上記流延ダイとしては、図6、図7及び図8に示すようなものを用いることができる。
【0032】
図6は、単層のフィルムを製膜する際に用いる流延ダイで、この流延ダイ10は、1つのマニホールド11が形成されている。図7は、マルチマニホールド型の共流延ダイで、この共流延ダイ10は、3つのマニホールド12が形成され3層構成のフィルムを製膜できるものである。図8は、フィードブロック型の共流延ダイで、この共流延ダイ10は、マニホールド13が形成されると共に、フィードブロック14が設けられ、フィードブロック13において合流させられて複数層(図8においては3層)になったドープを流延するものである。なお、以上の流延ダイにおいては、コートハンガーダイを使用しているが、これに限定されるものでなく、Tダイ等他の形状のダイであっても良い。
【0033】
溶液製膜法におけるダイリップクリアランスc1は、通常0.2mmから3mmの範囲で設定し、好ましくは0.5mmから2.5mmの範囲で設定するのが良いが、これに限定されるものではない。
【0034】
流延ダイと支持体の距離hは通常1mmから10mmの範囲で設定し、好ましくは1.5mmから6mmの範囲で設定するのが良いが、これに限定されるものではない。
【0035】
減圧チャンバーの減圧度pは、通常−500〜−10Paの範囲で設定し、好ましくは−400〜−20Paで設定するのが良いがこれに限定されるものではない。
【0036】
流延速度vは、通常3m/分〜150m/分の範囲で設定し、好ましくは10m/分〜100m/分の範囲で設定するのが良いが、これに限定されるものではない。
【0037】
フィルムの厚みtは、20〜500μmが好ましく、30〜300μmがより好ましく、35〜200μmが最も好ましいが、これに限定されるものではない。
【0038】
溶液の送液量脈動は0.3%以下、流延ダイの振動変位量は、ダイと支持体の距離の0.02%以下、支持体の速度ムラは支持体平均速度に対し0.02%以下であることが好ましい。
【0039】
溶液製膜装置の流延部近傍には、流延リボンに作用する動圧外乱を小さくできるので、遮風手段を設けることが好ましい。遮風手段としては、遮風板、遮風ブロック、遮風箱、遮風フィンを用いることができる。また、遮風手段には、遮風効果をより大きくするために、吸引手段(ブロワ−等)を設けることが好ましい。なお、これらの遮風手段及び吸引手段は、単独で用いても、任意に組み合わせて用いてもよい。
【0040】
遮風手段を設けた溶液製膜装置の例を図9〜図33を参照して説明する。
図9に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の下流側(流延リボン100の流れる方向側。以下同様)に密着して遮風板91が設けられている。図10に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の上流側(流延リボンの流れる方向側と反対方向側。以下同様)に密着して遮風板91が設けられている。図11に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の下流側に少しの間隔を隔てて遮風板91が設けられている。図12に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の上流側に少しの間隔を隔てて遮風板91が設けられている。図13に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の下流側に少しの間隔を隔てて2枚の遮風板91が設けられている。図14に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の上流側に少しの間隔を隔てて2枚の遮風板91が設けられている。
【0041】
図15に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の下流側に密着して遮風ブロック92が設けられている。図16に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の上流側に密着して遮風ブロック92が設けられている。図17に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の下流側に少しの間隔を隔てて遮風ブロック92が設けられている。図18に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の下流側に少しの間隔を隔てて遮風ブロック92が設けられている。
【0042】
図19に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の下流側に密着して遮風箱93が設けられている.図20に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の上流側に密着して遮風箱93が設けられている。図21に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の下流側に密着して遮風箱93が設けられ、また、この遮風箱93に吸引用のブロワ−94が設けられている。図22に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の上流側に密着して遮風箱93が設けられ、また、この遮風箱93に吸引用のブロワ−94が設けられている。
【0043】
図23に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の下流側に密着して遮風フィン95が設けられている。図24に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の上流に密着して遮風フィン95が設けられている。図25に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の下流側に少しの間隔を隔てて背の低い遮風フィン95が設けられている。図26に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の上流に背の低い遮風フィン95が設けられている。
【0044】
図27に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の両側に密着して遮風板91が設けられている。図28に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の両側に少しの間隔を隔てて遮風板91が設けられている。図29に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の両側に密着して遮風ブロック92が設けられている。図30に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の両側に密着して遮風箱93が設けられている。図31に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の両側に密着して遮風板93が設けられ、また、この遮風箱93にブロワ−94が設けられている。図32に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の両側に密着して遮風フィン95が設けられている。図33に示す溶液製膜装置は、流延ダイ10の両側に少しの間隔を隔てて背の低い遮風フィン95が設けられている。
【0045】
本発明の高分子樹脂フィルムは溶液製膜法で製造されるものであるが、この溶液製膜法に用いられるポリマー溶液の素材ポリマーとしては、セルロースアシレート、ポリカーボネート等が用いられる。セルロースアシレートの詳細について、以下に記載する。好ましいセルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式▲1▼〜▲4▼のすべてを満足するものである。
▲1▼ 2.6≦A+B≦3.0
▲2▼ 2.0≦A≦3.0
▲3▼ 0≦B≦0.8
▲4▼ 1.9<A−B
【0046】
ここで、式中A及びBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換基を表し、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜5のアシル基の置換度である。セルロースには1グルコース単位に3個の水酸基があり、上記の数字はその水酸基3.0に対する置換度を表すもので、最大の置換度が3.0である。セルローストリアセテートは一般にAの置換度が2.6以上3.0以下であり(この場合、置換されなかった水酸基が最大0.4もある)、B=0の場合がセルローストリアセテートである。本発明の溶液製膜方法のポリマー溶液に用いるセルロースアシレートは、アシル基が全部アセチル基のセルローストリアセテート、及びアセチル基が2.0以上で、炭素原子数が3〜5のアシル基が0.8以下、置換されなかった水酸基が0.4以下のものが好ましく、置換度2.6〜3.0のセルローストリアセテートが特に好ましい。なお、置換度は、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び炭素原子数3〜5の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。
【0047】
アセチル基の他の炭素原子数3〜5のアシル基はプロピオニル基(CCO−)、ブチリル基(CCO−)(n−、iso−)、バレリル基(CCO−)(n−、iso−、sec−、tert−)で、これらのうちn−置換のものがフィルムにした時の機械的強さ、溶解し易さ等から好ましく、特にn−プロピオニル基が好ましい。また、アセチル基の置換度が低いと機械的強さ、耐湿熱性が低下する。炭素原子数3〜5のアシル基の置換度が高いと有機溶剤への溶解性は向上するが、それぞれの置換度が前記の範囲であれば良好な物性を示す。
【0048】
セルロースアシレートの重合度(粘度平均)は200〜700が好ましく、特に250〜550のものが好ましい。粘度平均重合度(DP)は、オストワルド粘度計で求めることができ、測定されたセルロースアシレートの固有粘度[η]から下記式により求められる。
DP=[η]/Km(式中、Kmは定数6×10−4)
【0049】
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンターや木材パルプなどがあるが、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、また、これらを混合して使用してもよい。
【0050】
セルロースアシレートを溶解する有機溶剤の例には、炭化水素(例:ベンゼン、トルエン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン)、ハロゲン化炭化水素(例:メチレンクロライド、クロロベンゼン)、アルコール(例:メタノール、エタノール、ジエチレングリコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール)、ケトン(例:アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン)、エステル(例:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル及び2−エトキシ−エチルアセテート)及びエーテル(例:テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、アニソール、フェネトール)などがあげられる。
【0051】
炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、メチレンクロライドが最も好ましく用いられる。セルロースアシレートの溶解性、支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械強度等、光学特性等の物性の観点から、メチレンクロライドの他に炭素原子数1〜5のアルコールを一種、ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等があげられるが、メタノール、エタノール、n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0052】
溶剤はセルロースエステルフィルムの形成において除去する。溶剤の残留量は一般に5質量%未満である。残留量は、1質量%未満であることが好ましく、0.5質量%未満であることがさらに好ましい。
【0053】
本発明の高分子樹脂フィルムの溶液製膜法に用いるポリマー溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、微粒子粉体、離型剤、光学特性調整剤、フッ素系界面活性剤)を加えることができる。またその添加する時期はポリマー溶液作製工程において何れでも添加しても良いが、ポリマー溶液調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
【0054】
前記可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリクレジルフォスフェート(TCP)、クレジルジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、ジフェニルビフェニルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート等があげられる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチルが含まれる。
【0055】
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリメチルトリメリテート等のトリメリット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどがある。
【0056】
以上に例示した可塑剤の中でも、トリフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、トリアセチン、エチルフタリルエチルグリコレート、トリメチルトリメリテートらを用いることが好ましい。特にトリフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ジエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、トリメチルトリメリテートが好ましい。
【0057】
以上のような可塑剤は1種でもよいし2種以上併用してもよい。可塑剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。添加量が0.1質量%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添加量が20質量%を超えると、フィルム表面にブリードアウトする場合がある。
【0058】
その他、本発明においてはその光学的異方性を小さくする可塑剤として、特開平11−124445号記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号記載の置換フェニルリン酸エステル類などが好ましく用いられる。
【0059】
前記紫外線吸収剤は、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができるが、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン等をあげることができる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等をあげることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等をあげることができる。これら例示した紫外線吸収剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾールが特に好ましい。
【0060】
紫外線吸収剤は、吸収波長の異なる複数の吸収剤を複合して用いることが、広い波長範囲で高い遮断効果を得ることができるので好ましい。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不要な着色が少ないことから、好ましい。
【0061】
また、紫外線吸収剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載がある。
【0062】
紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対し0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添加量が5質量%を超えると、フィルム表面へ紫外線吸収剤がブリードアウトする場合がある。
【0063】
また、紫外線吸収剤はセルロースアシレート溶解時に同時に添加しても良いし、溶解後のポリマー溶液に添加しても良い。特にスタティックミキサ等を用い、流延直前にポリマー溶液に紫外線吸収剤溶液を添加する形態が、分光吸収特性を容易に調整することができるので好ましい。
【0064】
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止することができる。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物がある。
【0065】
このうち、ヒンダードアミン化合物の例としては、t−ブチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン等がある。また、グアニジン誘導体として、下記式(1a)、(1b)で示される化合物等がある。
【0066】
【化1】
Figure 0004400769
【0067】
劣化防止剤の添加量は、0.001〜5%が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。添加量が0.001%未満であると添加効果が少なく、添加量が5%を超えると、原料コストが上昇して不利である。
【0068】
前記微粒子粉体としては、シリカ、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどを目的に応じ、任意に用いることができる。これら微粒子粉体はポリマー溶液に添加する前に、高速ミキサー、ボールミル、アトライター、超音波分散機等、任意の手段でバインダー溶液中に分散を行うことが好ましい。バインダーとしてはセルロースアシレートが好ましい。紫外線吸収剤等、他の添加物と共に分散を行うことも好ましい。分散溶媒は任意であるが、ポリマー溶液溶媒と近い組成であることが好ましい。
【0069】
微粒子粉体の数平均粒径は0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmが特に好ましい。上記の分散液はセルロースアシレート溶解工程に同時に添加しても良いし、任意の工程でポリマー溶液に添加できるが、紫外線吸収剤同様スタティックミキサ等を用い、流延直前に添加する形態が好ましい。
【0070】
微粒子粉体の含有量は、セルロースアシレートに対して0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。添加量が0.001質量%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添加量が5質量%を超えると、外観面状が悪くなる場合がある。
【0071】
前記離型剤としては、界面活性剤が有効であり、リン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、ノニオン系、カチオン系など特に限定されない。これらは、例えば特開昭61−243837号などに記載されている。離型剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%未満であれば添加効果を十分に発揮することができず、添加量が2質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じたりすることがある。
【0072】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基とする界面活性剤であり、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることができる。
【0073】
アニオン系界面活性剤としてはカルボン酸塩、硫酸塩、スルフォン酸塩、リン酸エステル塩であり、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩、α−スルフォン化脂肪酸塩、N−メチルーNオレイルタウリン、石油スルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などである。
【0074】
カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、4級アンモニウム塩、ピリジュム塩などを挙げることができ、第一〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイミダゾリウム塩など)を挙げることができる。両性系界面活性剤としてはカルボキシベタイン、スルフォベタインなどであり、N−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタインなどである。
【0075】
前記フッ素系界面活性剤を添加することにより、帯電防止効果を発揮することができる。フッ素系界面活性剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.002〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。添加量が0.002質量%未満であれば添加効果を十分に発揮することができず、添加量が2質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じたりすることがある。
【0076】
本発明においては、レターデーション上昇剤(光学特性調整剤)を添加することができる。レターデーション上昇剤を添加することにより、光学異方性をコントロールすることができる。レターデーション上昇剤は、セルロースアシレートフイルムのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセレート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
【0077】
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。
【0078】
本発明においては、着色剤を添加することができる。着色剤を添加することにより、感光材料支持体等に用いる場合、ライトパイピングを防止することができる。着色剤の添加量は、セルロースアシレートに対する重量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmが更に好ましい。
【0079】
また、本発明におけるポリマー溶液には、ルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤などを、必要に応じて適宜添加することができる。
【0080】
本発明の溶液製膜方法により製造されるフィルムの光学特性について記す。まず、フィルムの面内のレターデーション(Re)について記すと、その測定法はエリプソメーター(偏光解析計AEP−100:島津製作所(株)製)を用いて、波長632.8nmにおける面内の縦横の屈折率差にフィルム膜厚さを乗じたものであり、下記の式で求められる。
Re=(nx−ny)×d
nx:横方向の屈折率
ny:縦方向の屈折率
【0081】
レターデーション(Re)は、小さいほど面内方向の光学異方性がないことを示し、0〜300nmの範囲で用途に応じて用いられる。また、フィルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)も重要であり、波長632.8nmにおける厚さ方向の複屈折にフィルム膜厚さを乗じたものであり、下記の式で求められる。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
nx:横方向の屈折率
ny:縦方向の屈折率
nz:厚さ方向の屈折率
【0082】
厚さ方向の屈折率が小さいほど、厚さ方向の光学異方性がないことを示すが、その使用用途によって好ましい範囲は定まる。一般には、本発明により製造されたセルロースアシレートフィルムのRthは100μm当たり、0nm〜600nmであり、さらには0nm〜400nmで用いられる。
【0083】
本発明の高分子樹脂フィルムは、例えば、偏光板保護膜、光学補償シート、AR、LR、AG膜用支持体フィルム等の光学用途フィルム、写真感光材料用支持体フィルムとしても利用することができる。
【0084】
本発明の高分子樹脂フィルムを光学補償シートに利用する場合、フイルムそのものを光学補償シートとして用いることができる。なお、フイルムそのものを光学補償シートとして用いる場合は、偏光板の透過軸と、光学補償シートの遅相軸とを実質的に平行又は垂直になるように配置することが好ましい。このような偏光板と光学補償シートとの配置については、特開平10−48420号公報に記載がある。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、及び該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成を有している。
【0085】
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
【0086】
光学補償シートは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。本発明によるセルロースアシレートフィルムそのものを、光学補償シートとして用いることができる。さらに反射防止層、防眩性層、λ/4層や2軸延伸セルロースアシレートフィルムとして機能を付与してもよい。また、液晶表示装置の視野角を改良するため、本技術のセルロースアシレートフィルムと、それとは(正/負の関係が)逆の複屈折を示すフィルムを重ねて光学補償シートとして用いてもよい。
【0087】
また、支持体の上に液晶性化合物(特にディスコティック液晶性分子)を含む光学的異方性層を設けた光学補償シートも提案されている(特開平3−9325号、同6−148429号、同8−50206号、同9−26572号の各公報記載)。本発明の高分子樹脂フィルムそのような光学補償シートの支持体としても用いることができる。
【0088】
前記偏光板の偏光素子には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。いずれの偏光素子も、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光板の保護膜は、25〜350μmの厚さを有することが好ましく、40〜200μmの厚さを有することがさらに好ましい。液晶表示装置には、表面処理膜を設けてもよい。表面処理膜の機能には、ハードコート、防曇処理、防眩処理及び反射防止処理が含まれる。
【0089】
前記光学的異方性層は、負の一軸性を有し傾斜配向したディスコティック液晶性分子を含む層であることが好ましい。ディスコティック液晶性分子を含む層が、円盤面と支持体面とのなす角が光学的異方性層の深さ方向において変化したハイブリッド配向していても構わないし、円盤面が支持体面と平行なホメオトロピック配向、円盤面が支持体面と垂直なホモジニアス配向、又は、円盤面が光学的異方性層の深さ方向でねじれているツイスト配向を取っていても構わない。また、これらの配向が混在した配向(例えば、ハイブリッド配向+ツイスト配向)していても構わない。そのなかでもハイブリッド配向していることが好ましい。ディスコティック液晶性分子ひとつひとつの光軸は、円盤面の法線方向に存在する。しかし、ディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向している層全体としては、光軸は存在しない。
【0090】
本発明の溶液製膜方法により製造されるフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。セルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
【0091】
本発明の高分子樹脂フィルムをTNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、同6−148429号、同8−50206号、同9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。TN型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO9848320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。
【0092】
本発明の高分子樹脂フィルムをSTNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
【0093】
本発明の高分子樹脂フィルムをVAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質は、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学的異方性層と支持体との配置により決定される。VA型液晶表示装置に光学補償シートを二枚使用する場合は、光学補償シートの面内レターデーションを、−5nm〜5nmの範囲内にすることが好ましい。従って、二枚の光学補償シートのそれぞれの面内レターデーションの絶対値は、0〜5とすることが好ましい。VA型液晶表示装置に光学補償シートを一枚使用する場合は、光学補償シートの面内レターデーションを、−10nm〜10nmの範囲内にすることが好ましい。
【0094】
本発明の高分子樹脂フィルムを、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
【0095】
本発明の高分子樹脂フィルムをASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)外の論文(Kume et al.,SID 98 Digest 1089(1998))に記載がある。
【0096】
【実施例】
溶液製膜工程において使用した原料は、以下の通りである。
セルローストリアセテート 100重量部
トリフェニルフォスフェート 10重量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 5重量部
メチレンクロライド 315重量部
メタノール 60重量部
n−ブタノール 10重量部
乾燥後の製品厚み 40、80μm
減圧チャンバー減圧度 0〜500Pa
【0097】
Figure 0004400769
【0098】
前記図3に示す流延装置を用い、実施例の各条件にて、流延リボンの平均長さl、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp、厚みムラピッチa、厚みムラ率d、伸縮周波数f、流延リボンの伸縮率eを測定するとともに、製膜したフィルムの塗工ムラを目視観察により評価した。
【0099】
[実施例1]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=−200Pa
3)ドープ粘度μ=45Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=0.9mm
5)流延速度v=83.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0100】
この時、流延リボンの平均長さl=10mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=0.5Pa、厚みムラのピッチa=0.9cm、厚みムラ率d=0.3%、伸縮周波数f=93(1/s)、流延リボンの伸縮率e=0.3%であった。
【0101】
この実施例は、図1において曲線bより下の領域に入リ、また、図2において曲線dより下の領域に入り、塗工ムラは見えなかった。
【0102】
[実施例2]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=−100Pa
3)ドープ粘度μ=45Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=0.9mm
5)流延速度v=83.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0103】
この時、流延リボンの平均長さl=14mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=0.4Pa、厚みムラのピッチa=1.6cm、厚みムラ率d=、0.4%、伸縮周波数f=52(1/s)、流延リボンの伸縮率e=0.4%であった。
【0104】
この実施例は、図1において曲線bより下の領域に入リ、また、図2において曲線dより下の領域に入り、塗工ムラは見えなかった。
【0105】
[実施例3]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=−40Pa
3)ドープ粘度μ=45Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=0.9mm
5)流延速度v=83.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0106】
この時、流延リボンの平均長さl=19mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=0.4Pa、厚みムラのピッチa=2.4cm、厚みムラ率d=、0.9%、伸縮周波数f=34.7(1/s)、流延リボンの伸縮率e=0.9%であった。
【0107】
この実施例は、図1において曲線bより下の領域に入リ、また、図2において曲線dより下の領域に入り、塗工ムラは見えなかった。
【0108】
[実施例4]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=1.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=0Pa
3)ドープ粘度μ=45Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=1.2mm
5)流延速度v=58.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0109】
この時、流延リボンの平均長さl=12mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=0.2Pa、厚みムラのピッチa=1.8cm、厚みムラ率d=、0.7%、伸縮周波数f=32.4(1/s)、流延リボンの伸縮率e=0.7%であった。
【0110】
この実施例は、図1において曲線aと曲線bの間の領域に入リ、また、図2において曲線cと曲線dの間の領域に入り、塗工ムラは見えたが弱かった。
【0111】
[実施例5]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=10Pa
3)ドープ粘度μ=45Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=1.5mm
5)流延速度v=83.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0112】
この時、流延リボンの平均長さl=26mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=2.0Pa、厚みムラのピッチa=4.0cm、厚みムラ率d=9.0%、伸縮周波数f=20.8(1/s)、流延リボンの伸縮率e=9.0%であった。
【0113】
この実施例は、図1において曲線aと曲線bの間の領域に入リ、また、図2において曲線cと曲線dの間の領域に入り、塗工ムラは見えたが弱かった。
【0114】
[実施例6]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=300Pa
3)ドープ粘度μ=45Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=1.0mm
5)流延速度v=83.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0115】
この時、流延リボンの平均長さl=7.0mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=2.0Pa、厚みムラのピッチa=0.7cm、厚みムラ率d=0.5%で、伸縮周波数f=119(1/s)、流延リボンの伸縮率e=0.5%であった。
【0116】
この実施例は、図1において曲線aと曲線bの間の領域に入リ、また、図2において曲線cと曲線dの間の領域に入り、塗工ムラは見えたが弱かった。
【0117】
[実施例7]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=1.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=0Pa
3)ドープ粘度μ=45Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=1.2mm
5)流延速度v=33.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0118】
この時、流延リボンの平均長さl=12.0mm、リボン近傍の静圧変動周波数=170Hz、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=5.0Pa、厚みムラのピッチa=0.2cm、厚みムラ率d=0.4%、伸縮周波数f=166.5(1/s)、流延リボンの伸縮率e=0.4%であった。
【0119】
この実施例は、図1において曲線aと曲線bの間の領域に入リ、また、図2において曲線cと曲線dの間の領域に入り、塗工ムラは見えたが弱かった。
【0120】
[実施例8]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=−300Pa
3)主流ドープ粘度μ=45Pa・s
副流ドープ粘度μs=20Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=1.0mm
5)流延速度v=133.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0121】
この時、流延リボンの平均長さl=8mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=0.2Pa、厚みムラのピッチa=1.2cm、厚みムラ率d=0.1%、伸縮周波数f=111(1/s)、流延リボンの伸縮率e=0.1%であった。
【0122】
この実施例は、図1において曲線bより下の領域に入リ、また、図2において曲線dより下の領域に入り、塗工ムラは見えなかった。
【0123】
[実施例9]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=−200Pa
3)ドープ粘度μ=45Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=0.9mm
5)流延速度v=83.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0124】
この時、流延リボンの平均長さl=10mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=1.2Pa、厚みムラのピッチa=0.9cm、厚みムラ率d=0.7%、伸縮周波数f=92.6(1/s)、流延リボンの伸縮率e=0.7%であった。
【0125】
この実施例は、図1において曲線bより下の領域に入リ、また、図2において曲線dより下の領域に入り、塗工ムラは見えなかった。
【0126】
[比較例1]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=−100Pa
3)ドープ粘度μ=45Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=0.9mm
5)流延速度v=83.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0127】
この時、流延リボンの平均長さl=14mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=2.4Pa、厚みムラのピッチa=1.6cm、厚みムラ率d=2.4%、伸縮周波数f=52(1/s)、流延リボンの伸縮率e=2.4%であった。
【0128】
この比較例は、図1において曲線bより上の領域に入リ、また、図2において曲線dより上の領域に入り、塗工ムラは強く見えた。
【0129】
[比較例2]
下記の条件で製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=−40Pa
3)ドープ粘度μ=45Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=0.9mm
5)流延速度v=83.3cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0130】
この時、流延リボンの平均長さl=19mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=2.4Pa、厚みムラのピッチa=2.4cm、厚みムラ率d=5.3%、伸縮周波数f=34.7(1/s)、流延リボンの伸縮率e=5.3%であった。
【0131】
この比較例は、図1において曲線bより上の領域に入リ、また、図2において曲線dより上の領域に入り、塗工ムラは強く見えた。
【0132】
[実施例10]
ドープ処方を変えて、下記の条件で製膜を行った。
セルローストリアセテート 100重量部
トリフェニルフォスフェート 10重量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 5重量部
酢酸メチル 315重量部
エタノール 60重量部
n−ブタノール 10重量部
【0133】
溶媒にてセルローストリアセテートを30分間膨潤させ、−70℃にて冷却後50℃に加温溶解した。
1)流延ダイと支持体の距離h=3.5mm
2)減圧チャンバーの減圧度p=0Pa
3)ドープ粘度μ=30Pa・s
4)ダイリップクリアランスc1=1.2mm
5)流延速度v=16.7cm/s
6)ベース厚みt=80μm
【0134】
この時、流延リボンの平均長さl=10mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅Δp=0.5Pa、厚みムラのピッチa=1.0cm、厚みムラ率d=0.1%、伸縮周波数f=16.7(1/s)、流延リボンの伸縮率e=0.1%であった。
【0135】
この実施例は、図1において曲線bより下の領域に入リ、また、図2において曲線dより下の領域に入り、塗工ムラは見えなかった。
【0136】
[実施例11]
<セルローストリアセテート溶液の作製>
攪拌羽根を有するステンレス性溶解タンクに、下記の溶媒混合溶液によく攪拌しつつ、セルローストリアセテート粉体(平均サイズ2mm)を徐々に添加して仕込んだ。添加後、室温(25℃)にて3時間,25℃にて放置し、セルローストリアセテートを膨潤させた。なお、溶媒である酢酸メチルとシクロペンタノン、アセトン、メタノール及びエタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。
【0137】
セルローストリアセテート 16質量部
(置換度2.83、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、メチレン
クロライド溶液中6質量%の粘度305mPa・s)
酢酸メチル 53質量部
シクロペンタン 10質量部
アセトン 5質量部
メタノール 5質量部
エタノール 5質量部
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 3質量部
可塑剤B(トリフェニルフォスフェート) 3質量部
微粒子粉体(シリカ(粒径20nm)) 0.1質量部
紫外線吸収剤a 0.1質量部
(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−
ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン)
紫外線吸収剤b 0.1質量部
(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−
5−クロルベンゾトリアゾール)
紫外線吸収剤c 0.1質量部
(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−
5−クロルベンゾトリアゾール
1225OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2 0.05質量部
【0138】
なお、後述する冷却溶解法で得られたこの溶液の粘度は160Pa・S(45℃)であった。
【0139】
<セルローストリアセテート溶液の冷却溶解>
上述したセルローストリアセテート溶液をスクリュー押し出し機で送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒(3M社製,『フロリナート』)を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液は、静止型混合器を設置した熱交換器により120℃まで温度を上昇させ、3分間保持した後冷却し50℃としてステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間撹拌し脱泡を行った。このように調製したセルローストリアセテート溶液を、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製,『#63』)で濾過し、さらに、絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製,『FH 025』)にて濾過した。
【0140】
<セルローストリアセテート溶液の流延製膜>
上記の方法により調製したセルローストリアセテート溶液は25Pa・sであった。この溶液を実施例10と同様な条件下で流延してセルローストリアセテートフィルムを得た。
【0141】
その結果、流延リボンの平均長さはl=9.5mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅ΔP=0.5Pa、厚みムラのピッチa=1.1mm、厚みムラ率d=0.1%、伸縮周波数17.5(1/s)、流延リボンの伸縮率e=0.1%であった。
【0142】
この実施例は、図1において曲線bより下の領域に入リ、また、図2において曲線dより下の領域に入り、塗工ムラは見えなかった。
【0143】
<反射防止膜>
上記条件にて製造したセルローストリアセテートフィルムを使って塗工による反射防止膜を下記の手順により作製した。
【0144】
(防眩層用塗布液Aの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製,『DPHA』)125g、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(住友精化(株)製,『MPSMA』)125gを、439gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50質量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(チバガイギー社製,『イルガキュア 907』)5.0g及び光増感剤(日本化薬(株)製,『カヤキュアー DETX』)3.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.60であった。
【0145】
さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(綜研化学(株)製,商品名『SX−200H』)10gを添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して防眩層の塗布液を調製した。
【0146】
(ハードコート層用塗布液Dの調製)
紫外線硬化性ハードコート組成物(JSR(株),『デソライト KZ−7689』72質量%)250gを62gのメチルエチルケトン及び88gのシクロヘキサノンに溶解した溶液を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.53であった。
【0147】
さらに、この溶液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層の塗布液を調製した。
【0148】
(低屈折率層用塗布液Eの調製)
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JSR(株)製,『TN−049』)200 93gにMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiOゾルのMEK分散物、日産化学(株)製)8g、及びメチルエチルケトン100gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
【0149】
上記80μmの厚さのセルローストリアセテートフィルムに、上記のハードコート層用塗布液Dをバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量300mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ2.5μmのハードコート層を形成した。
【0150】
その上に、上記防眩層用塗布液Aをバーコーターを用いて塗布し、上記ハードコート層と同条件にて乾燥、紫外線硬化して、厚さ約1.5μmの防眩層を形成した。さらに、その上に、上記低屈折率層用塗布液Eをバーコーターを用いて塗布し、80℃で乾燥の後、さらに120℃で10分間熱架橋し、厚さ0.096μmの低屈折率層を形成した。
【0151】
[比較例3]
実施例11と同様なセルローストリアセテート溶液を用いて比較例1と同様な流延条件で流延した。
【0152】
その結果、流延リボンの平均長さはl=14.5mm、流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅ΔP=2.5Pa、厚みムラのピッチa=16mm、厚みムラ率d=2.5%、伸縮周波数53(1/s)、流延リボンの伸縮率e=2.5%であった。
【0153】
この比較例は、図1において曲線bより上の領域に入リ、また、図2において曲線dより上の領域に入り、塗工ムラは強く見えた。
また、実施例11と同様の方法で、反射防止膜を作製した。
【0154】
[反射防止膜の評価]
実施例11及び比較例3により得られたセルローストリアセテートフィルムを用いた反射防止膜について、以下の項目の評価を行った。
【0155】
(1) 鏡面反射率及び色味
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプター ARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出した。この反射率により、反射防止性を評価した。
さらに、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表すCIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。
【0156】
(2) 積分反射率
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプター ILV−471を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出した。この反射率により、反射防止性を評価した。
【0157】
(3) ヘイズ
ヘイズメーター MODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
【0158】
(4) 鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて(荷重:1kg)、以下の基準で評価した。
n=5の評価において傷が全く認められない:○
n=5の評価において傷が1又は2つ :△
n=5の評価において傷が3つ以上 :×
【0159】
(5) 接触角
温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、水に対する接触角を測定し、指紋付着性の指標とした。この指紋付着性は、表面の耐汚染性の指標として用いられる。
【0160】
(6) 動摩擦係数
表面滑り性の指標として動摩擦係数を用いた。動摩擦係数としては、反射防止膜を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。
【0161】
(7) 防眩性評価
反射防止膜にルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m)を映し、その反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭が全くわからない :◎
蛍光灯の輪郭がわずかにわかる :○
蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる:△
蛍光灯がほとんどぼけない :×
【0162】
(8)面状評価
目視により、表面を観察し、塗布ムラの有無により評価した。評価基準は以下の通りである。
反射像が一様に見える :◎
反射像が段状のムラに見える:×
以上の評価結果を表1に示す。
【0163】
【表1】
Figure 0004400769
【0164】
以上の結果、実施例11、比較例3とも防眩性、反射防止性に優れ、かつ色味が弱く、また、鉛筆硬度、指紋付着性(接触角)、動摩擦係数のような膜物性を反映する評価の結果も良好であった。
【0165】
しかしながら、比較例3においては、段状の塗布ムラが目視で確認でき反射防止膜としては使えないレベルであった。
【0166】
[防眩性反射防止偏光板]
前記実施例11のセルローストリアセテートフィルムを用いて防眩性反射防止偏光板を作製した。この偏光板を用いて反射防止膜を最表層に配置した液晶表示装置を作製したところ、外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れた視認性を有し、指紋付も良好であった。
【0167】
上記偏光板は、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記反射防止膜を、その遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように片側に貼り付けるとともに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光素子の反対側に貼り付けて作製した。
【0168】
【発明の効果】
本発明は、溶液製膜法で製造したフィルムの長手方向に発生する周期的な厚みムラに対して、そのピッチと厚みムラとの関係が適切な領域に入るように設定することにより、該フィルムを塗工に供しても良好な外観品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 厚みムラ率と厚みムラピッチとの関係と、塗工ムラの視認率との関係を表す図である。
【図2】 流延速度及び伸縮周波数と伸縮率との関係と、塗工ムラの視認率との関係を表す図である。
【図3】 本発明による高分子樹脂フィルムの製造方法に用いることができる溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図4】 本発明による高分子樹脂フィルムの製造方法に用いることができる溶液製膜装置の模式図である。
【図5】 本発明による高分子樹脂フィルムの製造方法に用いることができる溶液製膜装置の模式図である。
【図6】 本発明による高分子樹脂フィルムの製造方法に用いることができる流延ダイの模式断面図である。
【図7】 本発明による高分子樹脂フィルムの製造方法に用いることができる流延ダイの模式断面図である。
【図8】 本発明による高分子樹脂フィルムの製造方法に用いることができる流延ダイの模式断面図である。
【図9】 遮風板を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図10】 遮風板を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図11】 遮風板を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図12】 遮風板を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図13】 遮風板を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図14】 遮風板を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図15】 遮風ブロックを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図16】 遮風ブロックを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図17】 遮風ブロックを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図18】 遮風ブロックを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図19】 遮風箱を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図20】 遮風箱を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図21】 遮風箱を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図22】 遮風箱を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図23】 遮風フィンを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図24】 遮風フィンを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図25】 遮風フィンを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図26】 遮風フィンを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図27】 遮風板を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図28】 遮風板を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図29】 遮風ブロックを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図30】 遮風箱を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図31】 遮風箱を設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図32】 遮風フィンを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図33】 遮風フィンを設けた溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【符号の説明】
1…流延ダイ
2…支持体
3…減圧チャンバー
4…リボン
10…流延ダイ
20…回転ドラム
30…流延バンド
40…減圧チャンバー
50…吸引ダクト
60…バッファータンク
70…ブロワー
80…流延ドラム
91…遮風板
92…遮風ブロック
93…遮風箱
94…ブロワ−
95…遮風フィン

Claims (16)

  1. 溶液製膜法によって製造されたものであって、ウェブ長手方向の周期的な厚みムラのピッチa[cm]と厚みムラ率d[%]とが以下の式(2)を満たし、ウェブ長手方向の厚みムラのピッチが0.2cm以下において、厚みムラ率が2%以下であり、ウェブ長手方向の厚みムラのピッチが4cm以上において、厚みムラ率が7%以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    d≦0.19a−0.38a+0.25a+0.42……(2)
    (但し、0.2<a<3)
  2. 溶媒が酢酸メチル、ケトン及びアルコールからなり、その溶媒比率が酢酸メチルが20〜90質量%、ケトンが0〜60質量%、そしてアルコールが5〜30質量%であるセルロースアシレート溶液を用いて溶液製膜法で製造された請求項1記載のセルロースアシレートフィルム。
  3. 少なくとも一種の可塑剤をセルロースアシレートに対して0.1〜20質量%含有しているセルロースアシレート溶液を用いて溶液製膜法で製造された請求項1又は2記載のセルロースアシレートフィルム。
  4. 少なくとも一種の紫外線吸収剤をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液を用いて溶液製膜法で製造された請求項1、2又は3記載のセルロースアシレートフィルム。
  5. 少なくとも一種の微粒子粉体をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液を用いて溶液製膜法で製造された請求項1、2、3又は4記載のセルロースアシレートフィルム。
  6. 少なくとも一種の離型剤をセルロースアシレートに対して0.001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液を用いて溶液製膜法で製造された請求項1、2、3、4又は5記載のセルロースアシレートフィルム。
  7. 少なくとも一種のフッ素系界面活性剤をセルロースアシレートに対して0.002〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液を用いて溶液製膜法で製造された請求項1、2、3、4、5又は6記載のセルロースアシレートフィルム。
  8. 共流延法により製造された請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のセルロースアシレートフィルム。
  9. 高分子樹脂を有機溶媒に溶かした溶液をダイから支持体に流延してフィルムを製造する方法において、流延速度v[cm/s]、伸縮周波数f[1/s]及び流延リボンの伸縮率e[%]が、以下の式(3)を満たすことを特徴とする高分子樹脂フィルムの製造方法。
    e≦0.46(v/f)−0.91(v/f)+0.60(v/f)+1.01
    ……(3)
    (但し、0.2<(v/f)<3)
  10. 高分子樹脂を有機溶媒に溶かした溶液をダイから支持体に流延してフィルムを製造する方法において、流延速度v(cm/s)、伸縮周波数f[1/s]及び流延リボンの伸縮率e[%]が、以下の式(4)を満たすことを特徴とする高分子樹脂フィルムの製造方法。
    e≦0.19(v/f)−0.38(v/f)+0.25(v/f)+0.42
    ……(4)
    (但し、0.2<(v/f)<3)
  11. 流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅が2.4Pa以下である請求項9又は10に記載の高分子樹脂フィルムの製造方法。
  12. 流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅が2.0Pa以下である請求項9又は10に記載の高分子樹脂フィルムの製造方法。
  13. 流延リボンを含む雰囲気の静圧変動幅が0.5Pa以下である請求項9又は10に記載の高分子樹脂フィルムの製造方法。
  14. 流延リボンの周辺に遮風手段を設置して動圧外乱を小さくした請求項9、10、11、12又は13に記載の高分子樹脂フィルムの製造方法。
  15. 前記遮風手段に吸引手段を設けて流延リボンを含む雰囲気の空気を吸引しつつ流延する請求項14に記載の高分子樹脂フィルムの製造方法。
  16. 共流延法を用いた請求項9、10、11、12、13、14又は15記載の高分子樹脂フィルムの製造方法。
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