JP4400768B2 - 溶液製膜方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流延バンドを用いてセルローストリアセテート等のセルロースアセテートフィルムを高速で製造できる溶液製膜方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学用途等のフィルムは、セルローストリアセテート等のフィルムをベースとして製造されており、このセルローストリアセテート等のフィルムは溶液製膜方法により製造されている。溶液製膜方法は、有機溶媒に溶かしたポリマー溶液をダイから支持体上に流延するとともに、ダイ近傍に設けた減圧チャンバーによりリボン(ダイ吐出口から支持体着地までの間の液膜。以下同様)を支持体に密接に接触させるものである。このような溶液製膜方法としては、例えば、特公昭49−36946号公報においては、エアー同伴を防止するために2つの吸引室を持つ減圧チャンバーを設け液体組成物とローラーとを密接に接触させる液体組成物のキャスト方法が提案されており、特公昭62−38133号公報及び特公昭63−57222号公報においては、隔離壁で2つの真空帯域を設けることにより端部ビードを安定化できるウェブの均一押しつけ装置が提案されている。また、USP4,310,295号明細書にはエッジリークエアを防止してウェブを均一に固定する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
セルロースアセテートフィルムの流延製造においても生産効率向上のために高速化が求められている。このセルロースアセテート流延における高速化の問題点はエア同伴現象である。これを防止するためにポリマー溶液の低粘化や低濃度化あるいはバックサクション法が用いられる。しかし、低粘度化や低濃度化は支持体上に流延製膜した後の乾燥負荷の増大や乾燥風による風ムラや乾燥ムラが発生しやすく、製膜フィルムの品質を著しく損なう。一方、バックサクション法では、支持体との間隔が広いと、バックサクションによる流入風の影響により、流延リボンの安定性を乱し、また狭いと減圧チャンバーと支持体とが接触し支持体を傷つけることがあった。流延バンドを用いる方法は流延ドラムを用いる方法に比べて支持体上での乾燥時間を長くできるため、フィルムの平面性などが優れているが、特に、表面が傷つきやすいステンレスや銅など流延バンドでは、バックサクションチャンバーを用いないのが通常であった。
【0004】
本発明の目的は、流延バンドを用いてセルロースアセテートフィルムを製造する方法において、生産速度を高めうる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、流延ドラム法に比してフィルムの平面性などが優れている流延バンド法の生産性を向上させるべく鋭意検討の結果、流延バンドにも狭いながらバックサクション装置を設置してフィルムを安定して生産できる領域が存在することを見出した。また、その際、バックサクションの好ましい圧力範囲が存在し、さらに、バックサクション装置自体にも好ましい構造があることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、流延バンドを用いた溶液製膜方法において、流延ダイの後方にバックサクション装置を設け、該バックサクション装置と流延バンドとの間隔を0.3〜3mmとするとともに、前記バックサクション装置を、下流側に配置された前側の減圧チャンバーと、上流側に配置された後側の減圧チャンバーと、後側の減圧チャンバーの上面の両側端近傍に連結した吸引ダクトとで構成し、該前側の減圧チャンバーと後側の減圧チャンバーとは仕切りで仕切られ、流延バンドとの間の間隙のみで連通していることを特徴とするセルロースアセテートの溶液製膜方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の溶液製膜方法を実施する、表面が鏡面処理された流延バンドを用いた溶液製膜装置の概略構造を図2に示す。
【0008】
図2に示すバンド式の溶液製膜装置おいて、10は流延ダイで、この流延ダイ10に対向して回転ドラム20が設けられており、この回転ドラム20に流延バンド30が巻き掛けられて走行するようになっている。また、流延ダイ10に隣接してバックサクション装置40が設けられ、このバックサクション装置40は、吸引ダクト50及びバッファータンク60を介してブロワー70に連結されている。21は剥取ローラである。
【0009】
バックサクション装置40付近の部分拡大図を図1に示す。バックサクション装置40は流延ダイ10から流延されるリボン状ポリマー溶液1の後方から吸引して流延されたポリマー溶液を支持体に密着させるとともにエア同伴を防止している。
【0010】
バックサクション装置は、側面が流延ダイに対応した形状で全体として箱形構造をしている。
【0011】
図1に対応する部分の平面図を図3に、そしてバックサクション装置の底面図を図4に示す。このバックサクション装置は上面、前、後面、両側面がいずれも閉止されていて、底面のみが開口となっている。
このバックサクション装置は、流延ダイ吐出全幅に対して設ける。
【0012】
図1のバックサクション装置は減圧チャンバー41,42が幅方向に2室に分割されていて、吸引ダクトの接続口43は後側の減圧チャンバー42の上面の両側端近傍に1個所ずつ設けられている。両減圧チャンバー41,42間を仕切る仕切り44は平板で両チャンバー41,42間を上端から下端で仕切っている。従って、前側の減圧チャンバー41は前後、左右及び上面が閉止され、その減圧は後側の減圧チャバー42の減圧がその底面と流延バンド30又は流延ドラム80との間の隙間を通じて伝わることによって行われる。後側の減圧チャンバー42の底面は全体が開口となっている。このように減圧チャンバー41,42を2室に仕切ることによって吸引ダクトとリボン状ポリマー溶液間を遮風し、風の影響を少なくしている。
【0013】
バックサクションチャンバーの幅方向端部をラビリンス構造とすることが好ましい。図4では、前側の減圧チャンバー41の両側端にラビリンス45を設けている。各ラビリンスは平板で減圧チャンバー41の上端から略下端を仕切って設けられている。このラビリンスによって両端の風の流れを抑制し、渦流を減少させている。
【0014】
上記のバックサクション装置40の底面と流延バンド30の表面との間隔は0.3〜3mm、好ましくは0.5〜1.5mmとする。0.3mmよりも狭いとバックサクション装置の底面が支持体の表面をこすって傷付けるおそれがあり、3mmよりも広いと、減圧によるバックサクション装置への流入風量が増加し、流延されるリボン状ポリマー溶液を不安定にする原因となる。
【0015】
バックサクションの静圧は−10〜−500Pa、好ましくは−10〜−100Paが適当である。
【0016】
流延ダイと支持体の距離hは、通常1mmから10mmの範囲で設定し、好ましくは1.5mmから6mmの範囲で設定するのがよいが、これに限定されるものではない。
【0017】
ポリマー溶液粘度は、通常10pから1000pの範囲で設定し、好ましくは100pから800pの範囲で設定するのがよいが、これに限定されるものではない。
【0018】
リップクリアランスclは、通常0.2mmから3mmの範囲で設定し、好ましくは0.5mmから2mmの範囲で設定するのがよいが、これに限定されるものではない。
【0019】
流延速度vは、通常3m/分から150m/分の範囲で設定するが、好ましくは10m/分から100m/分の範囲で設定するのが良いが、これに限定されるものではない。
【0020】
フィルムの厚みtは、20〜500μmが好ましく、30〜300μmがより好ましく、35〜200μmが最も好ましいが、これに限定されるものではない。
【0021】
上記流延ダイとしては、図5、図6及び図7に示すようなものを用いることができる。
【0022】
図5は、単層のフィルムを製膜する際に用いる流延ダイで、この流延ダイ10は、1つのマニホールド11が形成されている。図6は、マルチマニホールド型の共流延ダイで、この共流延ダイ10は、3つのマニホールド12が形成され3層構成のフィルムを製膜できるものである。図7は、フィードブロック型の共流延ダイで、この共流延ダイ10は、マニホールド13が形成されるとともに、フィードブロック14が設けられ、フィードブロック14において合流させられて複数層(図7においては3層)になったポリマー溶液を流延するものである。
【0023】
なお、以上の流延ダイにおいては、コートハンガーダイを使用しているが、これに限定されるものでなく、Tダイ等他の形状のダイであってもよい。
【0024】
本発明の溶液製膜法方法に用いるポリマー溶液の素材ポリマーとしては、セルロースアシレートが用いられる。セルロースアシレートの詳細について、以下に記載する。好ましいセルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式▲1▼〜▲4▼のすべてを満足するものである。
▲1▼ 2.6≦A+B≦3.0
▲2▼ 2.0≦A≦3.0
▲3▼ 0≦B≦0.8
▲4▼ 1.9<A−B
【0025】
ここで、式中A及びBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換基を表し、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜5のアシル基の置換度である。セルロースには1グルコース単位に3個の水酸基があり、上記の数字はその水酸基3.0に対する置換度を表すもので、最大の置換度が3.0である。セルローストリアセテートは一般にAの置換度が2.6以上3.0以下であり(この場合、置換されなかった水酸基が最大0.4もある)、B=0の場合がセルローストリアセテートである。本発明の溶液製膜方法のポリマー溶液に用いるセルロースアシレートは、アシル基が全部アセチル基のセルローストリアセテート、及びアセチル基が2.0以上で、炭素原子数が3〜5のアシル基が0.8以下、置換されなかった水酸基が0.4以下のものが好ましく、置換度2.6〜3.0のセルローストリアセテートが特に好ましい。なお、置換度は、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び炭素原子数3〜5の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。
【0026】
アセチル基の他の炭素原子数3〜5のアシル基はプロピオニル基(C2H5CO−)、ブチリル基(C3H7CO−)(n−、iso−)、バレリル基(C4H9CO−)(n−、iso−、sec−、tert−)で、これらのうちn−置換のものがフィルムにした時の機械的強さ、溶解し易さ等から好ましく、特にn−プロピオニル基が好ましい。また、アセチル基の置換度が低いと機械的強さ、耐湿熱性が低下する。炭素原子数3〜5のアシル基の置換度が高いと有機溶剤への溶解性は向上するが、それぞれの置換度が前記の範囲であれば良好な物性を示す。
【0027】
セルロースアシレートの重合度(粘度平均)は200〜700が好ましく、特に250〜550のものが好ましい。粘度平均重合度(DP)は、オストワルド粘度計で求めることができ、測定されたセルロースアシレートの固有粘度[η]から下記式により求められる。
DP=[η]/Km(式中、Kmは定数6×10−4)
【0028】
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンターや木材パルプなどがあるが、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、また、これらを混合して使用してもよい。
【0029】
セルロースアシレートを溶解する有機溶剤の例には、炭化水素(例:ベンゼン、トルエン)、ハロゲン化炭化水素(例:メチレンクロライド、クロロベンゼン)、アルコール(例:メタノール、エタノール、ジエチレングリコール)、ケトン(例:アセトン)、エステル(例:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル)及びエーテル(例:テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ)などがあげられる。
【0030】
炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、メチレンクロライドが最も好ましく用いられる。セルロースアシレートの溶解性、支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械強度等、光学特性等の物性の観点から、メチレンクロライドの他に炭素原子数1〜5のアルコールを一種、ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等があげられるが、メタノール、エタノール、n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0031】
また、酢酸メチル、ケトン及びアルコールからなり、その溶剤比率が酢酸メチルが20〜90質量%、ケトンが5〜60質量%、アルコールが5〜30質量%である溶剤を用いることが好ましい。
【0032】
最近、環境に対する影響を最小限に抑えるため、メチレンクロライドを用いない溶媒組成も提案されている。この目的に対しては、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いる。これらのエーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶剤として用いることができる。有機溶剤は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶剤の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0033】
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールがあげられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンがあげられる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートがあげられる。二種類以上の官能基を有する有機溶剤の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールがあげられる。
【0034】
常温で容易に溶解し得ない系と、不溶解物の多くなる系では、溶解時に冷却又は加熱あるいは両者を組み合わせて用いると、良好なポリマー溶液が調製できる。冷却溶解法は、ポリマー中に溶剤を急速かつ有効に浸透せしめることにより溶解が促進される。有効な温度条件は−100〜−10℃であり、冷却後室温〜200℃に加熱することによってさらに良好な溶解性のポリマー溶液が得られる。
【0035】
本発明の溶液製膜方法に用いるポリマー溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、微粒子粉体、離型剤、光学特性調整剤、フッ素系界面活性剤)を加えることができる。またその添加する時期はポリマー溶液調製工程において何れでも添加しても良いが、ポリマー溶液調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
【0036】
前記可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリクレジルフォスフェート(TCP)、クレジルジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、ジフェニルビフェニルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート等があげられる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチルが含まれる。
【0037】
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリメチルトリメリテート等のトリメリット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどがある。
【0038】
以上に例示した可塑剤の中でも、トリフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、トリアセチン、エチルフタリルエチルグリコレート、トリメチルトリメリテートらを用いることが好ましい。特にトリフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ジエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、トリメチルトリメリテートが好ましい。
【0039】
以上のような可塑剤は1種でもよいし2種以上併用してもよい。可塑剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。添加量が0.1質量%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添加量が20質量%を超えると、フィルム表面にブリードアウトする場合がある。
【0040】
その他、本発明においてはその光学的異方性を小さくする可塑剤として、特開平11−124445号記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号記載の置換フェニルリン酸エステル類などが好ましく用いられる。
【0041】
前記紫外線吸収剤は、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができるが、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン等をあげることができる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等をあげることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等をあげることができる。これら例示した紫外線吸収剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾールが特に好ましい。
【0042】
紫外線吸収剤は、吸収波長の異なる複数の吸収剤を複合して用いることが、広い波長範囲で高い遮断効果を得ることができるので好ましい。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不要な着色が少ないことから、好ましい。
【0043】
また、紫外線吸収剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載がある。
【0044】
紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対し0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添加量が5質量%を超えると、フィルム表面へ紫外線吸収剤がブリードアウトする場合がある。
【0045】
また、紫外線吸収剤はセルロースアシレート溶解時に同時に添加しても良いし、溶解後のポリマー溶液に添加しても良い。特にスタティックミキサ等を用い、流延直前にポリマー溶液に紫外線吸収剤溶液を添加する形態が、分光吸収特性を容易に調整することができるので好ましい。
【0046】
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止することができる。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物がある。
【0047】
このうち、ヒンダードアミン化合物の例としては、t−ブチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン等がある。また、グアニジン誘導体として、下記式(1a)、(2b)で示される化合物等がある。
【0048】
【化1】
【0049】
劣化防止剤の添加量は、0.001〜5%が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。添加量が0.001%未満であると添加効果が少なく、添加量が5%を超えると、原料コストが上昇して不利である。
【0050】
前記微粒子粉体としては、シリカ、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどを目的に応じ、任意に用いることができる。これら微粒子粉体はポリマー溶液に添加する前に、高速ミキサー、ボールミル、アトライター、超音波分散機等、任意の手段でバインダー溶液中に分散を行うことが好ましい。バインダーとしてはセルロースアシレートが好ましい。紫外線吸収剤等、他の添加物と共に分散を行うことも好ましい。分散溶媒は任意であるが、ポリマー溶液溶媒と近い組成であることが好ましい。
【0051】
微粒子粉体の数平均粒径は0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmが特に好ましい。上記の分散液はセルロースアシレート溶解工程に同時に添加しても良いし、任意の工程でポリマー溶液に添加できるが、紫外線吸収剤同様スタティックミキサ等を用い、流延直前に添加する形態が好ましい。
【0052】
微粒子粉体の含有量は、セルロースアシレートに対して0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。添加量が0.001質量%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添加量が5質量%を超えると、外観面状が悪くなる場合がある。
【0053】
前記離型剤としては、界面活性剤が有効であり、リン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、ノニオン系、カチオン系など特に限定されない。これらは、例えば特開昭61−243837号などに記載されている。離型剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%未満であれば添加効果を十分に発揮することができず、添加量が2質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じたりすることがある。
【0054】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基とする界面活性剤であり、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることができる。
【0055】
アニオン系界面活性剤としてはカルボン酸塩、硫酸塩、スルフォン酸塩、リン酸エステル塩であり、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩、α−スルフォン化脂肪酸塩、N−メチルーNオレイルタウリン、石油スルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などである。
【0056】
カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、4級アンモニウム塩、ピリジュム塩などを挙げることができ、第一〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイミダゾリウム塩など)を挙げることができる。両性系界面活性剤としてはカルボキシベタイン、スルフォベタインなどであり、N−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタインなどである。
【0057】
前記フッ素系界面活性剤を添加することにより、帯電防止効果を発揮することができる。フッ素系界面活性剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.002〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。添加量が0.002質量%未満であれば添加効果を十分に発揮することができず、添加量が2質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じたりすることがある。
【0058】
本発明においては、レターデーション上昇剤(光学特性調整剤)を添加することができる。レターデーション上昇剤を添加することにより、光学異方性をコントロールすることができる。レターデーション上昇剤は、セルロースアシレートフイルムのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセレート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
【0059】
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。
【0060】
本発明においては、着色剤を添加することができる。着色剤を添加することにより、感光材料支持体等に用いる場合、ライトパイピングを防止することができる。着色剤の添加量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmが更に好ましい。
【0061】
また、本発明におけるポリマー溶液には、ルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤などを、必要に応じて適宜添加することができる。
【0062】
本発明の溶液製膜方法により製造されるフィルムの光学特性について記す。まず、フィルムの面内のレターデーション(Re)について記すと、その測定法はエリプソメーター(偏光解析計AEP−100:島津製作所(株)製)を用いて、波長632.8nmにおける面内の縦横の屈折率差にフィルム膜厚さを乗じたものであり、下記の式で求められる。
Re=(nx−ny)×d
nx:横方向の屈折率
ny:縦方向の屈折率
【0063】
レターデーション(Re)は、小さいほど面内方向の光学異方性がないことを示し、0〜300nmの範囲で用途に応じて用いられる。また、フィルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)も重要であり、波長632.8nmにおける厚さ方向の複屈折にフィルム膜厚さを乗じたものであり、下記の式で求められる。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
nx:横方向の屈折率
ny:縦方向の屈折率
nz:厚さ方向の屈折率
【0064】
厚さ方向の屈折率が小さいほど、厚さ方向の光学異方性がないことを示すが、その使用用途によって好ましい範囲は定まる。一般には、本発明により製造されたセルロースアシレートフィルムのRthは100μm当たり、0nm〜600nmであり、さらには0nm〜400nmで用いられる。
【0065】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムは、例えば、偏光板保護膜、光学補償シート、AR、LR、AG膜用支持体フィルム等の光学用途フィルム、写真感光材料用支持体フィルムとしても利用することができる。
【0066】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムを光学補償シートに利用する場合、フイルムそのものを光学補償シートとして用いることができる。なお、フイルムそのものを光学補償シートとして用いる場合は、偏光板の透過軸と、光学補償シートの遅相軸とを実質的に平行又は垂直になるように配置することが好ましい。このような偏光板と光学補償シートとの配置については、特開平10−48420号公報に記載がある。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、及び該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成を有している。
【0067】
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
【0068】
光学補償シートは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。本発明によるセルロースアシレートフィルムそのものを、光学補償シートとして用いることができる。さらに反射防止層、防眩性層、λ/4層や2軸延伸セルロースアシレートフィルムとして機能を付与してもよい。また、液晶表示装置の視野角を改良するため、本技術のセルロースアシレートフィルムと、それとは(正/負の関係が)逆の複屈折を示すフィルムを重ねて光学補償シートとして用いてもよい。
【0069】
また、支持体の上に液晶性化合物(特にディスコティック液晶性分子)を含む光学的異方性層を設けた光学補償シートも提案されている(特開平3−9325号、同6−148429号、同8−50206号、同9−26572号の各公報記載)。本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムそのような光学補償シートの支持体としても用いることができる。
【0070】
前記偏光板の偏光素子には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。いずれの偏光素子も、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光板の保護膜は、25〜350μmの厚さを有することが好ましく、40〜200μmの厚さを有することがさらに好ましい。液晶表示装置には、表面処理膜を設けてもよい。表面処理膜の機能には、ハードコート、防曇処理、防眩処理及び反射防止処理が含まれる。
【0071】
前記光学的異方性層は、負の一軸性を有し傾斜配向したディスコティック液晶性分子を含む層であることが好ましい。ディスコティック液晶性分子を含む層が、円盤面と支持体面とのなす角が光学的異方性層の深さ方向において変化したハイブリッド配向していても構わないし、円盤面が支持体面と平行なホメオトロピック配向、円盤面が支持体面と垂直なホモジニアス配向、又は、円盤面が光学的異方性層の深さ方向でねじれているツイスト配向を取っていても構わない。また、これらの配向が混在した配向(例えば、ハイブリッド配向+ツイスト配向)していても構わない。そのなかでもハイブリッド配向していることが好ましい。ディスコティック液晶性分子ひとつひとつの光軸は、円盤面の法線方向に存在する。しかし、ディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向している層全体としては、光軸は存在しない。
【0072】
本発明の溶液製膜方法により製造されるフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。セルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
【0073】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムをTNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、同6−148429号、同8−50206号、同9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。TN型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO9848320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。
【0074】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムをSTNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
【0075】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムをVAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質は、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学的異方性層と支持体との配置により決定される。VA型液晶表示装置に光学補償シートを二枚使用する場合は、光学補償シートの面内レターデーションを、−5nm〜5nmの範囲内にすることが好ましい。従って、二枚の光学補償シートのそれぞれの面内レターデーションの絶対値は、0〜5とすることが好ましい。VA型液晶表示装置に光学補償シートを一枚使用する場合は、光学補償シートの面内レターデーションを、−10nm〜10nmの範囲内にすることが好ましい。
【0076】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムを、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
【0077】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムをASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)外の論文(Kume et al.,SID 98 Digest 1089(1998))に記載がある。
【0078】
【実施例】
溶液製膜工程において、使用した原料は以下の通りである。
セルローストリアセテート 100重量部
トリフェニルフォスフェート 10重量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 5重量部
メチレンクロライド 315重量部
メタノール 60重量部
n−ブタノール 10重量部
【0079】
共流延時の副流ポリマー溶液組成
セルローストリアセテート 100重量部
トリフェニルフォスフェート 10重量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 5重量部
メチレンクロライド 400重量部
メタノール 75重量部
n−ブタノール 13重量部
実施例の各条件にて、エアー同伴有無、流延リボンの安定性を観察した。
【0080】
[実施例1]
下記の条件で、製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3mm
2)流延速度v=45m/分
3)ベース厚みt=80μm
4)バックサクション静圧p=−30Pa
5)バックサクション装置と流延バンドの間隔d=1.0mm
エアー同伴は発生せず、流延リボンは安定していた。
【0081】
[実施例2]
下記の条件で、共流延法により製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3mm
2)流延速度v=45m/分
3)ベース厚みt=80μm,主流厚み=76μm,副流厚み(上下層)=各2μm
4)バックサクション静圧p=−30Pa
5)バックサクション装置と流延バンドの間隔d=1.0mm
エアー同伴は発生せず、流延リボンは安定していた。
【0082】
[実施例3]
ポリマー溶液処方を変えて、下記の条件で製膜を行った。
セルローストリアセテート 100重量部
トリフェニルフォスフェート 10重量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 5重量部
酢酸メチル 315重量部
エタノール 60重量部
n−ブタノール 10重量部
【0083】
溶媒にてセルローストリアセテートを30分間膨潤させ、−70℃にて冷却後50℃に加温溶解した。
1)流延ダイと支持体の距離h=3mm
2)流延速度v=45m/分
3)ベース厚みt=80μm
4)バックサクション静圧p=−30Pa
5)バックサクション装置と流延バンドの間隔d=1.0mm
エアー同伴は発生せず、流延リボンは安定していた。
【0084】
[比較例1]
下記の条件で、製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3mm
2)流延速度v=45m/分
3)ベース厚みt=80μm
4)バックサクション無し
エアー同伴が発生し、流延続行不可能であった。
【0085】
[比較例2]
下記の条件で、製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3mm
2)流延速度v=45m/分
3)ベース厚みt=80μm
4)バックサクション静圧p=−2Pa
5)バックサクション装置と流延バンドの間隔d=1.0mm
エアー同伴が発生し、流延続行不可能であった。
【0086】
[比較例3]
下記の条件で、製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=3mm
2)流延速度v=45m/分
3)ベース厚みt=80μm
4)バックサクション静圧p=−30Pa
5)バックサクション装置と流延バンドの間隔d=3.5mm
エアー同伴は発生しなかったが、流延リボンの揺れが発生し安定しなかった。
【0087】
[偏光板の耐久性評価]
実施例1〜3の方法で製膜したフィルムを偏光板保護膜とする偏光板を作製し、耐久性を評価した。
【0088】
<偏光板の作成方法>
偏光板サンプルは、ポリビニルアルコールを延伸してヨウ素を吸着させた偏光素子の両面にポリビニルアルコール系接着剤により貼り合わせし作製した。この偏光板サンプルを60℃、90%RHの雰囲気下で500時間暴露した。いずれにおいても、偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。
【0089】
<偏光度の評価方法>
分光光度計により可視領域における並行透過率Yp、直交透過率Ycを求め、次式に基づき偏光度Pを決定する。
P=√((Yp−Yc)/(Yp+Yc))
【0090】
[実施例4]
<セルローストリアセテート溶液の作製>
攪拌羽根を有するステンレス性溶解タンクに、下記の溶媒混合溶液によく攪拌しつつ、セルローストリアセテート粉体(平均サイズ2mm)を徐々に添加し、仕込んだ。添加後、室温(25℃)にて3時間,25℃にて放置し、セルローストリアセテートを膨潤させた。なお、溶媒である酢酸メチルとシクロペンタノン、アセトン、メタノール及びエタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。
【0091】
セルローストリアセテート 16質量部
(置換度2.83、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、メチレンクロライド溶液中6質量%の粘度305mPa・s)
酢酸メチル 53質量部
シクロペンタン 10質量部
アセトン 5質量部
メタノール 5質量部
エタノール 5質量部
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 3質量部
可塑剤B(トリフェニルフォスフェート) 3質量部
微粒子粉体(シリカ(粒径20nm)) 0.1質量部
紫外線吸収剤a 0.1質量部
(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン)
紫外線吸収剤b 0.1質量部
(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール)
紫外線吸収剤c 0.1質量部
(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール
C12H25OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2 0.05質量部
【0092】
なお、後述する冷却溶解法で得られたこの溶液の粘度は160Pa・S(45℃)であった。
【0093】
<セルローストリアセテート溶液の冷却溶解>
上述したセルローストリアセテート溶液をスクリュー押し出し機で送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒(3M社製,『フロリナート』)を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液は、静止型混合器を設置した熱交換器により120℃まで温度を上昇させ、3分間保持した後冷却し50℃としてステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間撹拌し脱泡を行った。このように調製したセルローストリアセテート溶液を、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製,『#63』)で濾過し、さらに、絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製,『FH 025』)にて濾過した。
【0094】
<セルローストリアセテートフィルムの作製>
上述した溶解法で得られたセルローストリアセテート溶液を50℃にし、流延ギーザ−を通して鏡面ステンレスの流延支持体上に流延した。乾燥は120℃の乾燥風を送風した。2分後に鏡面ステンレスの流延支持体から剥ぎ取り、その後、110℃、10分、さらに150℃で30分乾燥して、セルローストリアセテートフィルム(膜厚40μm)を得た。
【0095】
下記の条件で、製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=2mm
2)流延速度v=40m/分
3)ベース厚みt=40μm
4)バックサクション静圧p=−100Pa
5)バックサクション装置と流延バンドの間隔d=0.5mm
6)塗布幅=100cm
7)流延支持体温度=10℃
エアー同伴は発生せず、流延リボンは安定していた。
【0096】
<偏光板aの作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記セルローストリアセテートフィルムを、その遅相軸が偏光素子の透過軸と平行になるように両側に貼り付けた。
【0097】
この偏光板aを80℃、90RHの雰囲気下で500時間暴露し、上述した方法で偏光度を測定した。偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。
【0098】
<偏光板bの作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記セルローストリアセテートフィルムを、その遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように片側に貼り付けるとともに、上記セルローストリアセテートフィルムにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。さらに、光学補償シート(富士写真フイルム(株)製,『WVフィルム』)をセルローストリアセテートフィルム側に、その遅相軸が互いに平行になるように粘着剤を用いて貼り付け、光学補償シートを貼合した偏光板を作製した。
【0099】
この偏光板bを80℃、90RHの雰囲気下で500時間暴露し、上述した方法で偏光度を測定した。偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。
【0100】
<液晶表示装置での評価>
上記偏光板a及び偏光板bをTFT(薄膜トランジスター)方式の液晶表示装置に実装した。その結果、良好な視野角及びコントラストを得ることができた。
【0101】
[実施例5]
<内層用セルローストリアセテート溶液の作製>
攪拌羽根を有するステンレス性溶解タンクに、下記の溶剤混合溶液によく攪拌しつつ、セルローストリアセテート粉体(平均サイズ2mm)を徐々に添加して仕込んだ。添加後、室温(25℃)にて3時間放置し、セルローストリアセテートを膨潤させた。なお、溶剤である酢酸メチルとシクロペンタノン、アセトン、メタノール及びエタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。
【0102】
セルローストリアセテート 16質量部
(置換度2.83、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、メチレンクロライド溶液中6質量%の粘度305mPa・s)
酢酸メチル 53質量部
シクロペンタン 10質量部
アセトン 5質量部
メタノール 5質量部
エタノール 5質量部
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 3質量部
可塑剤B(トリフェニルフォスフェート) 3質量部
微粒子粉体(シリカ(粒径20nm)) 0.1質量部
紫外線吸収剤a 0.1質量部
(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン)
紫外線吸収剤b 0.1質量部
(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール)
紫外線吸収剤c 0.1質量部
(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール
C12H25OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2 0.05質量部
【0103】
なお、冷却溶解法で得られたこの溶液の粘度は60Pa・S(45℃)であった。
【0104】
<内層用セルローストリアセテート溶液の冷却溶解>
上述したセルローストリアセテート溶液をスクリュー押し出し機で送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒(3M社製,『フロリナート』)を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液は静止型混合器を設置した熱交換器により120℃まで温度を上昇させ、3分間保持した後、冷却し50℃としてステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間撹拌し脱泡を行った。このセルローストリアセテート溶液を絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製,『#63』)で濾過し、さらに、絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製,『FH 025』)で濾過した。
【0105】
<外層用セルローストリアセテート溶液の調整>
上述した内層用セルローストリアセテート溶液において、セルローストリアセテートを19質量部、酢酸メチルを44質量部に変更した他は、同様に仕込んだ。なお、冷却溶解法で得られたこの溶液の粘度は25Pa・S(45℃)であった。
【0106】
<外層用セルローストリアセテート溶液の冷却溶解>
上述したセルローストリアセテート溶液をスクリュー押し出し機で送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒(3M社製,『フロリナート』)を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液は静止型混合器を設置した熱交換器により120℃まで温度を上昇させ、3分間保持した後、冷却し50℃としてステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間撹拌し脱泡を行った。このセルローストリアセテート溶液を絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製,『#63』)で濾過し、さらに、絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製,『FH 025』)で濾過した。
【0107】
<セルローストリアセテートフィルムの作製>
上述したセルローストリアセテート溶液を三層共流延ダイを用い、内層用セルローストリアセテート溶液が内側に、外層用セルローストリアセテート溶液が両外側になるように配置して、金属ならなる流延支持体上に同時に吐出させて重層流延した後、流延膜を流延支持体から剥ぎ取り、乾燥して三層構造のセルローストリアセテートフィルム積層体(内層の厚さ:80μm、各表面層の厚さ:2μm)を作製した。
【0108】
下記の条件で、製膜を行った。
1)流延ダイと支持体の距離h=5mm
2)流延速度v=50m/分
3)ベース厚みt=84μm
4)バックサクション静圧p=−50Pa
5)バックサクション装置と流延バンドの間隔d=1.0mm
6)塗布幅=100cm
7)流延支持体温度=10℃
エアー同伴は発生せず、流延リボンは安定していた。
【0109】
流延支持体から剥ぎ取ったフィルムは、テンターにより搬送しつつ乾燥させ、100℃で3分、130℃で5分乾燥させた後、150℃で10分で段階的に乾燥させて溶剤を蒸発させてセルローストリアセテートフィルムを得た。
【0110】
<偏光板cの作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記セルローストリアセテートフィルムを、その遅相軸が偏光素子の透過軸と平行になるように両側に貼り付けた。この偏光板cを80℃、90RHの雰囲気下で500時間暴露し、上述した方法で偏光度を測定した。偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。
【0111】
<偏光板dの作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記セルローストリアセテートフィルムを、その遅相軸が偏光素子の透過軸と平行になるように片側に貼り付けるとともに、上記セルローストリアセテートフィルムにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光素子の反対側に貼り付けた。さらに、光学補償シート(富士写真フイルム(株)製,『WVフィルム』)をセルローストリアセテートフィルム側に、その遅相軸が互いに平行になるように粘着剤を用いて貼り付け、光学補償シートを貼合した偏光板を作製した。
【0112】
この偏光板dを80℃、90RHの雰囲気下で500時間暴露し、上述した方法で偏光度を測定した。偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。
【0113】
<液晶表示装置での評価>
上記偏光板c及び偏光板dをTFT(薄膜トランジスター)方式の液晶表示装置に実装した。その結果、良好な視野角及びコントラストを得ることができた。
【0114】
【発明の効果】
本発明により、流延バンドを用いてセルロースアセテートフィルムを製造する生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶液製膜装置の流延ダイ部分の模式図である。
【図2】 本発明の溶液製膜方法を実施する溶液製膜装置の模式図である。
【図3】 図1の流延ダイ部分の平面図である。
【図4】 同上バックサクション装置の底面図である。
【図5】 本発明の溶液製膜方法を実施する溶液製膜装置に用いる流延ダイの模式断面図である。
【図6】 本発明の溶液製膜方法を実施する溶液製膜装置に用いる流延ダイの模式断面図である。
【図7】 本発明の溶液製膜方法を実施する溶液製膜装置に用いる流延ダイの模式断面図である。
【符号の説明】
1…リボン状ポリマー溶液
2…支持体
3…減圧チャンバー
4…リボン
10…流延ダイ
11…マニホールド
12…マニホールド
13…マニホールド
14…フィードブロック
20…回転ドラム
21…剥取ローラ
30…流延バンド(支持体)
40…バックサクション装置
41…減圧チャンバー
42…減圧チャンバー
43…吸引ダクト接続口
44…仕切り
45…ラビリンス
50…吸引ダクト
60…バッファータンク
70…ブロワー
80…流延ドラム
Claims (12)
- 流延バンドを用いた溶液製膜方法において、流延ダイの後方にバックサクション装置を設け、該バックサクション装置と流延バンドとの間隔を0.3〜3mmとするとともに、前記バックサクション装置を、下流側に配置された前側の減圧チャンバーと、上流側に配置された後側の減圧チャンバーと、後側の減圧チャンバーの上面の両側端近傍に連結した吸引ダクトとで構成し、該前側の減圧チャンバーと後側の減圧チャンバーとは仕切りで仕切られて流延バンドとの間隙のみで連通していることを特徴とする、セルロースアセテートの溶液製膜方法
- バックサクションの静圧を−10Pa〜−500Paとしたことを特徴とする、請求項1記載の溶液製膜方法
- バックサクション装置の幅方向端部がラビリンス構造になっている請求項2記載の溶液製膜方法
- バックサクション装置の幅が、流延リボン幅よりも広く、流延リボン端部の外側からも吸引することを特徴とする、請求項2又は3記載の溶液製膜方法
- バックサクション装置と流延バンドとの間隔が最も狭くなる部分のバックサクション装置表面をゴムの流延バンドを傷つけない材質とすることを特徴とする、請求項2、3又は4記載の溶液製膜方法
- 前記流延ダイから流延バンドに流延するポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であって、その溶媒が酢酸メチル、ケトン類及びアルコール類からなり、その溶媒比率が酢酸メチルが20〜90質量%、ケトン類が5〜60質量%、アルコールが5〜30質量%である請求項1、2、3、4又は5記載の溶液製膜方法。
- 前記流延ダイから流延バンドに流延するポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であり、かつ、少なくとも一種の可塑剤をセルロースアシレートに対して0.1〜20質量%含有している請求項1、2、3、4、5又は6記載の溶液製膜方法。
- 前記流延ダイから流延バンドに流延するポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であり、かつ、少なくとも一種の紫外線吸収剤をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有している請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の溶液製膜方法。
- 前記流延ダイから流延バンドに流延するポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であり、かつ、少なくとも一種の微粒子粉体をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有している請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の溶液製膜方法。
- 前記流延ダイから流延バンドに流延するポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であり、かつ、少なくとも一種の離型剤をセルロースアシレートに対して0.001〜2質量%含有している請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の溶液製膜方法。
- 前記流延ダイから流延バンドに流延するポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であり、かつ、少なくとも一種のフッ素系界面活性剤をセルロースアシレートに対して0.002〜2質量%含有している請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の溶液製膜方法。
- 前記流延ダイから流延バンドにポリマー溶液を流延する際、2種類以上のセルロースアシレート溶液からなるポリマー溶液を共流延する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載の溶液製膜方法。
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