JP2002234042A - 溶液製膜方法 - Google Patents

溶液製膜方法

Info

Publication number
JP2002234042A
JP2002234042A JP2001031765A JP2001031765A JP2002234042A JP 2002234042 A JP2002234042 A JP 2002234042A JP 2001031765 A JP2001031765 A JP 2001031765A JP 2001031765 A JP2001031765 A JP 2001031765A JP 2002234042 A JP2002234042 A JP 2002234042A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
casting
film
dope
solution
cellulose acylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001031765A
Other languages
English (en)
Inventor
Shosuke Fujii
正輔 藤井
Koji Takahashi
公司 高橋
Tadahiro Tsujimoto
忠宏 辻本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2001031765A priority Critical patent/JP2002234042A/ja
Publication of JP2002234042A publication Critical patent/JP2002234042A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 平滑性及び透明性が良好で、また、厚み
精度が良好なフィルムを製造することができる溶液性膜
方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 流延ダイより流延バンド上にドープを流
延してフィルムを製造する方法において、中心線平均粗
さが0.005μm以下であり、かつ、最も厚い個所の
厚みと最も薄い個所の厚みとの差が0.06mm以下で
ある流延バンドを用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚み精度が良好
で、平滑性、透明性が良好なフィルムを製造することが
できる溶液製膜方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置に用いられる偏光板の偏光
板保護膜としては、透明性がよく、機械的強度が大き
く、温度の変化及び熱にともなう寸法変動が小さい(寸
法安定性がよい)ので、セルロースエステルフィルムが
用いられている.このセルロースエステルフィルムは、
溶液製膜方法で製造されており、例えば、図1に示すよ
うな製膜装置で製造されている。
【0003】図1において、10はドープを支持体上に
流延する流延工程、20は流延工程10で形成されたフ
ィルムをテンターで延伸する延伸乾燥工程、30は延伸
されたフィルムを乾燥させる乾燥工程である。流延工程
10は、流延ダイ11が設けられており、この流延ダイ
11から下方に設けられた流延バンド12に、セルロー
スエステルを溶媒に溶解したドープが流延される。延伸
乾燥工程20は、テンター21が設けられフィルムを巾
方向に延伸させるとともに乾燥させるようになってい
る。乾燥工程30は、搬送ロール31が設けられ、乾燥
風32により搬送ロール31で搬送中のフィルムを乾燥
させるものである。40は完成したフィルムを巻き取る
巻取り部である。
【0004】そして、前記流延バンド12の表面は、フ
ィルム表面の平滑性、フィルムの透明性等を確保するた
めに、鏡面仕上げがなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
流延バンドを用いた溶液製膜方法で製造されたフィルム
は、平滑性及び透明性が十分でない場合があり、より改
良されることが要望されていた。また、フィルムの厚み
精度が十分でない場合があった。
【0006】本発明は以上の問題点を解決し、平滑性及
び透明性が良好で、また、厚み精度が良好なフィルムを
製造することができる溶液性膜方法を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した目
的を達成するために、流延バンドの鏡面性、すなわち中
心平均粗さと平滑性及び透明性とに関して鋭意研究し、
良好な平滑性及び透明性を得ることができる中心線平均
粗さの範囲を見出した。
【0008】また、本発明者は、フィルムの厚み精度が
悪くなる原因について鋭意研究し、その原因を見出し
た。すなわち、流延バンドは、全体が均一な厚みではな
く、厚い個所と薄い個所が存在するものであり、このよ
うに流延バンドに厚みの差があると、流延ダイと流延バ
ンドとのクリアランスが変動し、このクリアランスの変
動がフィルムの厚み精度に悪影響を与えるものであるこ
とを見出した。そして、さらに鋭意研究し、流延バンド
の最も厚い個所の厚みと最も薄い個所の厚みとの差を所
定の範囲内にすることにより、フィルムの厚み精度を確
保できることを見出し、本発明を完成させたものであ
る。
【0009】また、フィルムの厚み差が引き起こす搬送
工程等におけるシワや巻ズレ、又は貼合ムラと、厚み差
との関係について検討し、厚み差の許容範囲を見出し本
発明を完成させたものである。、
【0010】本発明は、以上の知見に基づきなされたも
ので、フィルム表面の平滑性及びフィルムの透明性を確
保するために一定以上の超鏡面仕上げの流延バンドを使
用するとともに、フィルムの厚み精度を確保するため
に、一定範囲内の厚み精度を持つ流延バンドを使用する
ものである。
【0011】すなわち、本発明による溶液製膜方法は、
流延ダイより流延バンド上にドープを流延してフィルム
を製造する方法において、中心線平均粗さが0.001
μm以上かつ0.005μm以下である流延バンドを用
いたことを特徴として構成されている。
【0012】また、本発明による溶液製膜方法は、流延
ダイより流延バンド上にドープを流延してフィルムを製
造する方法において、最も厚い個所の厚みと最も薄い個
所の厚みとの差が0.06mm以下である流延バンドを
用いたことを特徴として構成されている。
【0013】さらに、本発明による溶液製膜方法は、流
延ダイより流延バンド上にドープを流延してフィルムを
製造する方法において、流延バンド1回転分の製品フィ
ルムの任意の2点の厚み差が4μm以下であることを特
徴として構成されている。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明においては、中心線平均粗
さ(Ra)が以上かつ0.005μm以下の流延バンド
を使用し、好ましくは0.003μm以下であり、ま
た、0.001μm以上であることが好ましい。中心性
平均粗さ(Ra)が0.005μmを超えると、製造し
たフィルム表面の平滑性及びフィルムの透明性を良好に
することができない。
【0015】流延バンドの表面の中心線平均粗さ(R
a)が0.005μm以下の超鏡面仕上げとするには、
例えば、ベルンドルフ社『C polish』を用いて
研磨する。
【0016】本発明においては、最も厚い個所の厚みと
最も薄い個所の厚みとの差(以下、「流延バンド厚み差」
という)が0.06mm以下の流延バンドを使用し、好
ましくは0.05mm以下、より好ましくは0.02m
m以下の流延バンドを使用する。流延バンド厚み差が
0.06mmを超えると、流延ダイと流延バンドとのク
リアランスの変動が大きく、製造されたフィルムの厚み
精度が悪くなる。
【0017】例えば、図2に示す流延バンドの部分断面
図において、流延バンド12は長手方向(図中、左右方
向)に厚みが異なっており、この異なる厚みの中で最も
厚い個所aの厚みtMaxと、最も薄い個所bの厚みtmin
との厚み差t(tMax−tmin)が0.06mm以下であ
る。なお、この例では、説明のため長手方向に一部につ
いて最も厚い個所と最も薄い個所を採用しているが、本
発明においては、長手方向に全域及び巾方向の全域にお
いて最も厚い個所と最も薄い個所を採用するものであ
る。
【0018】流延バンドは、狭幅バンド(1500mm
未満)と広幅バンド(1500mm以上、2000mm
未満)とがあり、狭幅バンドの場合は、厚みt(mm)
が、1−0.065≦t≦1+0.065であることが
好ましく、広幅バンドの場合は、厚みt(mm)が、
1.6−0.15≦t≦1.6+0.05であることが
好ましい。
【0019】また、流延バンド1回転での流延バンド位
置の巾方向変位が3mm以下であることが好ましく、
1.5mm以下であることがより好ましい。流延バンド
の巾方向の変位が大きいと、流延バンドが蛇行した際、
流延エッジ部の位置が変化して流延バンド面への剥ぎ残
りや、汚れの付着を引き起こすことがあり、これらの汚
れが成長すると、剥離不良となり、安定流延ができなく
なることがある。
【0020】また、本発明の溶液製膜方法においては、
流延バンド1回転分の製品フィルムの任意の2点の厚み
差が4μm以下であることを要し、好ましくは2μm以
下である。厚み差が4μmを超えると、フィルムの搬送
工程や巻取り工程で、シワや巻ズレが生ずることがあ
る。また、偏光板加工時の貼合ムラにより偏光板の性能
が低下したり、ハードコート、反射防止膜、光学機能性
膜等の塗工の際、塗工ムラが生ずることがある。
【0021】本発明の溶液製膜法方法に用いるドープの
素材ポリマーとしては、セルロースアシレートが用いら
れる。セルロースアシレートの詳細について、以下に記
載する。好ましいセルロースアシレートは、セルロース
の水酸基への置換度が下記式〜の全てを満足するも
のである。 2.6≦A+B≦3.0 2.0≦A≦3.0 0≦B≦0.8 1.9<A−B
【0022】ここで、式中A及びBはセルロースの水酸
基に置換されているアシル基の置換基を表し、Aはアセ
チル基の置換度、またBは炭素原子数3〜5のアシル基
の置換度である。セルロースには1グルコース単位に3
個の水酸基があり、上記の数字はその水酸基3.0に対
する置換度を表すもので、最大の置換度が3.0であ
る。セルローストリアセテートは一般にAの置換度が
2.6以上3.0以下であり(この場合、置換されなか
った水酸基が最大0.4もある)、B=0の場合がセル
ローストリアセテートである。本発明の溶液製膜方法の
ドープに用いるセルロースアシレートは、アシル基が全
部アセチル基のセルローストリアセテート、及びアセチ
ル基が2.0以上で、炭素原子数が3〜5のアシル基が
0.8以下、置換されなかった水酸基が0.4以下のも
のが好ましく、置換度2.6〜3.0のセルローストリ
アセテートが特に好ましい。なお、置換度は、セルロー
スの水酸基に置換する酢酸及び炭素原子数3〜5の脂肪
酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法
としては、ASTMのD−817−91に準じて実施す
ることが出来る。
【0023】アセチル基の他の炭素原子数3〜5のアシ
ル基はプロピオニル基(CCO−)、ブチリル基
(CCO−)(n−、iso−)、バレリル基
(CCO−)(n−、iso−、sec−、te
rt−)で、これらのうちn−置換のものがフィルムに
した時の機械的強さ、溶解し易さ等から好ましく、特に
n−プロピオニル基が好ましい。また、アセチル基の置
換度が低いと機械的強さ、耐湿熱性が低下する。炭素原
子数3〜5のアシル基の置換度が高いと有機溶媒への溶
解性は向上するが、それぞれの置換度が前記の範囲であ
れば良好な物性を示す。
【0024】セルロースアシレートの重合度(粘度平
均)は200〜700が好ましく、特に250〜550
のものが好ましい。粘度平均重合度(DP)は、オスト
ワルド粘度計で求めることができ、測定されたセルロー
スアシレートの固有粘度[η]から下記式により求めら
れる。 DP=[η]/Km(式中、Kmは定数6×10−4)
【0025】セルロースアシレート原料のセルロースと
しては、綿花リンターや木材パルプなどがあるが、何れ
の原料セルロースから得られるセルロースアシレートで
も使用でき、また、これらを混合して使用してもよい。
【0026】セルロースアシレートを溶解する有機溶媒
の例には、炭化水素(例:ベンゼン、トルエン)、ハロ
ゲン化炭化水素(例:メチレンクロライド、クロロベン
ゼン)、アルコール(例:メタノール、エタノール、ジ
エチレングリコール)、ケトン(例:アセトン)、エス
テル(例:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル)及
びエーテル(例:テトラヒドロフラン、メチルセロソル
ブ)などがあげられる。
【0027】炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が
好ましく用いられ、メチレンクロライドが最も好ましく
用いられる。セルロースアシレートの溶解性、支持体か
らの剥ぎ取り性、フィルムの機械強度等、光学特性等の
物性の観点から、メチレンクロライドの他に炭素原子数
1〜5のアルコールを一種、ないし数種類混合すること
が好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対し2
〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好まし
い。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタ
ノール等があげられるが、メタノール、エタノール、n
−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用い
られる。
【0028】また、酢酸メチル、ケトン類及びアルコー
ルからなり、その溶媒比率が酢酸メチルが20〜90質
量%、ケトン類が5〜60質量%、アルコールが5〜3
0質量%である溶媒を用いることが好ましい。
【0029】最近、環境に対する影響を最小限に抑える
ため、メチレンクロライドを用いない溶媒組成も提案さ
れている。この目的に対しては、炭素原子数が3〜12
のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子
数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合
して用いる。これらのエーテル、ケトン及びエステル
は、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及
びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び
−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有
機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコ
ール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素
原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲
内であればよい。
【0030】炭素原子数が3〜12のエーテル類の例に
は、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメ
トキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソ
ラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトー
ルがあげられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例
には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケト
ン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘ
キサノン及びメチルシクロヘキサノンがあげられる。炭
素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホル
メート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メ
チルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテ
ートがあげられる。二種類以上の官能基を有する有機溶
媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メト
キシエタノール及び2−ブトキシエタノールがあげられ
る。
【0031】本発明の溶液製膜方法に用いるドープに
は、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例
えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、微粒子粉
体、離型剤、光学特性調整剤、フッ素系界面活性剤)を
加えることができる。またその添加する時期はドープ作
製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製
工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を
加えて行ってもよい。
【0032】前記可塑剤としては、リン酸エステル又は
カルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例
には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリ
クレジルフォスフェート(TCP)、クレジルジフェニ
ルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェー
ト、ジフェニルビフェニルフォスフェート、トリオクチ
ルフォスフェート、トリブチルフォスフェート等があげ
られる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステ
ル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エス
テルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチ
ルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DB
P)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフ
タレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート
(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、
O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO
−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン
酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチルが
含まれる。
【0033】その他のカルボン酸エステルの例には、オ
レイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシ
ン酸ジブチル、トリメチルトリメリテート等のトリメリ
ット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例
としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリ
ルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレ
ート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタ
リルブチルグリコレートなどがある。
【0034】以上に例示した可塑剤の中でも、トリフェ
ニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェ
ート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニ
ルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジメチ
ルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレー
ト、トリアセチン、エチルフタリルエチルグリコレー
ト、トリメチルトリメリテートらを用いることが好まし
い。特にトリフェニルフォスフェート、ビフェニルジフ
ェニルフォスフェート、ジエチルフタレート、エチルフ
タリルエチルグリコレート、トリメチルトリメリテート
が好ましい。
【0035】以上のような可塑剤は1種でもよいし2種
以上併用してもよい。可塑剤の添加量は、セルロースア
シレートに対して0.1〜20質量%が好ましく、5〜
15質量%がより好ましい。添加量が0.1質量%未満
では添加効果を十分に発揮することができず、添加量が
20質量%を超えると、フィルム表面にブリードアウト
する場合がある。
【0036】その他、本発明においてはその光学的異方
性を小さくする可塑剤として、特開平11−12444
5号記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特
開平11−246704号記載のグリセロールエステル
類、特開2000−63560号記載のジグリセロール
エステル類、特開平11−92574号記載のクエン酸
エステル類、特開平11−90946号記載の置換フェ
ニルリン酸エステル類などが好ましく用いられる。
【0037】前記紫外線吸収剤は、目的に応じ任意の種
類のものを選択することができ、サリチル酸エステル
系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾ
エート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の
吸収剤を用いることができるが、ベンゾフェノン系、ベ
ンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系が好まし
い。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4
−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
アセトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−
4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキ
シベンゾフェノン等をあげることができる。ベンゾトリ
アゾール系紫外線吸収剤としては、2(2’−ヒドロキ
シ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)
−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキ
シ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−ter
t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−
ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒド
ロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾト
リアゾール等をあげることができる。サリチル酸エステ
ル系としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフ
ェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサ
リシレート等をあげることができる。これら例示した紫
外線吸収剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,
4’−メトキシベンゾフェノン、2(2’−ヒドロキシ
−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−
5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ
−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert
−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒ
ドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−5−クロルベンゾトリアゾールが特に好ましい。
【0038】紫外線吸収剤は、吸収波長の異なる複数の
吸収剤を複合して用いることが、広い波長範囲で高い遮
断効果を得ることができるので好ましい。液晶用紫外線
吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm
以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ、液晶表示性の観点
から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないもの
が好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化
合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系
化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。特に
好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物
やベンゾフェノン系化合物である。中でも、ベンゾトリ
アゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不要
な着色が少ないことから、好ましい。
【0039】また、紫外線吸収剤については、特開昭6
0−235852号、特開平3−199201号、同5
−1907073号、同5−194789号、同5−2
71471号、同6−107854号、同6−1182
33号、同6−148430号、同7−11056号、
同7−11055号、、同7−11056号、同8−2
9619号、同8−239509号、特開2000−2
04173号の各公報に記載がある。
【0040】紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシ
レートに対し0.001〜5質量%が好ましく、0.0
1〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量
%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添
加量が5質量%を超えると、フィルム表面へ紫外線吸収
剤がブリードアウトする場合がある。
【0041】また、紫外線吸収剤はセルロースアシレー
ト溶解時に同時に添加しても良いし、溶解後のドープに
添加しても良い。特にスタティックミキサ等を用い、流
延直前にドープに紫外線吸収剤溶液を添加する形態が、
分光吸収特性を容易に調整することができ、好ましい。
【0042】前記微粒子粉体としては、シリカ、カオリ
ン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム、酸化チタン、アルミナなどを目的に応じ、任
意に用いることができる。これら微粒子粉体はドープに
添加する前に、高速ミキサー、ボールミル、アトライタ
ー、超音波分散機等、任意の手段でバインダー溶液中に
分散を行うことが好ましい。バインダーとしてはセルロ
ースアシレートが好ましい。紫外線吸収剤等、他の添加
物と共に分散を行うことも好ましい。分散溶媒は任意で
あるが、ドープ溶媒と近い組成であることが好ましい。
【0043】微粒子粉体の数平均粒径は0.01〜10
0μmが好ましく、0.1〜10μmが特に好ましい。
上記の分散液はセルロースアシレート溶解工程に同時に
添加しても良いし、任意の工程でドープに添加できる
が、紫外線吸収剤同様スタティックミキサ等を用い、流
延直前に添加する形態が好ましい。
【0044】微粒子粉体の含有量は、セルロースアシレ
ートに対して0.001〜5質量%であることが好まし
く、0.01〜1質量%であることがより好ましい。添
加量が0.001質量%未満では添加効果を十分に発揮
することができず、添加量が5質量%を超えると、外観
面状が悪くなる場合がある。
【0045】前記離型剤としては、界面活性剤が有効で
あり、リン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、ノニ
オン系、カチオン系など特に限定されない。これらは、
例えば特開昭61−243837号などに記載されてい
る。離型剤の添加量は、セルロースアシレートに対して
0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%
がより好ましい。添加量が0.001質量%未満であれ
ば添加効果を十分に発揮することができず、添加量が2
質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じたりす
ることがある。
【0046】ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレ
ン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基
とする界面活性剤であり、具体的には、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステ
ル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エス
テル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセ
リン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリ
エタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることがで
きる。
【0047】アニオン系界面活性剤としてはカルボン酸
塩、硫酸塩、スルフォン酸塩、リン酸エステル塩であ
り、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキルベンゼン
スルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、
アルキルスルフォン酸塩、α−オレフィンスルフォン酸
塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩、α−スルフォン化
脂肪酸塩、N−メチルーNオレイルタウリン、石油スル
フォン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
アルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレ
ンスチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン
酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、
ナフタレンスルフォン酸塩ホルムアルデヒド縮合物など
である。
【0048】カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、
4級アンモニウム塩、ピリジュム塩などを挙げることが
でき、第一〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩
(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジ
ルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイ
ミダゾリウム塩など)を挙げることが出来る。両性系界
面活性剤としてはカルボキシベタイン、スルフォベタイ
ンなどであり、N−トリアルキル−N−カルボキシメチ
ルアンモニウムベタイン、N−トリアルキル−N−スル
フォアルキレンアンモニウムベタインなどである。
【0049】前記フッ素系界面活性剤を添加することに
より、帯電防止効果を発揮することができる。フッ素系
界面活性剤の添加量は、セルロースアシレートに対して
0.002〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質
量%がより好ましい。添加量が0.002質量%未満で
あれば添加効果を十分に発揮することができず、添加量
が2質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じた
りすることがある。
【0050】本発明においては、レターデーション上昇
剤(光学特性調整剤)を添加することができる。レター
デーション上昇剤を添加することにより、光学異方性を
コントロールすることができる。レターデーション上昇
剤は、セルロースアシレートフイルムのレターデーショ
ンを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する
芳香族化合物を使用することが好ましい。芳香族化合物
は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.
01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、
セルロースアセレート100質量部に対して、0.05
〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1
〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化
合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香
族性ヘテロ環を含む。
【0051】芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、
ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテ
ロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ
環は、5員環、6員環または7員環であることが好まし
く、5員環または6員環であることがさらに好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。
ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原
子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテ
ロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、
オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、
イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フ
ラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピ
リダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,
5−トリアジン環が含まれる。
【0052】本発明においては、着色剤を添加すること
ができる。着色剤を添加することにより、感光材料支持
体等に用いる場合、ライトパイピングを防止することが
できる。着色剤の添加量は、セルロースアシレートに対
する重量割合で10〜1000ppmが好ましく、50
〜500ppmが更に好ましい。
【0053】また、本発明におけるドープには、ルシウ
ム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱
安定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤などを、必要
に応じて適宜添加することができる。
【0054】本発明の溶液製膜方法で製造されるフィル
ムの光学特性について記す。まず、フィルムの面内のレ
ターデーション(Re)について記すと、その測定法は
エリプソメーター(偏光解析計AEP−100:島津製
作所(株)製)を用いて、波長632.8nmにおける
面内の縦横の屈折率差にフィルム膜厚さを乗じたもので
あり、下記の式で求められる。 Re=(nx−ny)×d nx:横方向の屈折率 ny:縦方向の屈折率
【0055】小さいほど、面内方向の光学異方性がない
ことを示すが0〜300nmの範囲で用途に応じて用い
られる。又、フィルムの厚さ方向のレターデーション
(Rth)も重要であり、波長632.8nmにおける
厚さ方向の複屈折にフィルム膜厚さを乗じたものであ
り、下記の式で求められる。 Rth={(nx+ny)/2−nz}×d nx:横方向の屈折率 ny:縦方向の屈折率 nz:厚さ方向の屈折率
【0056】厚さ方向の屈折率が小さいほど、厚さ方向
の光学異方性がないことを示すが、その使用用途によっ
て好ましい範囲は定まる。一般には、本発明のセルロー
スアシレートフィルムのRthは100μm当たり、0
nm〜600nmであり、さらのは0nm〜400nm
で用いられる。
【0057】本発明による溶液製膜方法は、各種フィル
ムの製膜に適用することができ、例えば、光学補償シー
ト、偏光板用保護膜、AR、LR、AG膜用支持体フィ
ルム等の光学用途フィルム、写真感光材料用支持体フィ
ルム等の製膜に適用することができ、特に、外観面状に
高品質が要求される光学補償シート、偏光板用保護膜等
に好適である。
【0058】本発明の溶液製膜方法で製造されたフィル
ムを光学補償シートとして用いる場合、フイルムそのも
のを光学補償シートとして用いることができる。なお、
フイルムそのものを光学補償シートとして用いる場合
は、偏光素子(後述)の透過軸と、フイルムからなる光
学補償シートの遅相軸とを実質的に平行または垂直にな
るように配置することが好ましい。このような偏光素子
と光学補償シートとの配置については、特開平10−4
8420号公報に記載がある。液晶表示装置は、二枚の
電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側
に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏
光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置
した構成を有している。
【0059】また、支持体の上に液晶(特にディスコテ
ィック液晶性分子)を含む光学的異方性層を設けた光学
補償シートも提案されている(特開平3−9325号、
同6−148429号、同8−50206号、同9−2
6572号の各公報記載)。本発明の溶液製膜方法で製
造されたセルロースアシレートフイルムは、そのような
光学補償シートの支持体としても用いることができる。
【0060】光学的異方性層は、負の一軸性を有し傾斜
配向したディスコティック液晶性分子を含む層であるこ
とが好ましい。ディスコティック液晶性分子の円盤面と
支持体面とのなす角は、光学的異方性層の深さ方向にお
いて変化している(ハイブリッド配向している)ことが
好ましい。ディスコティック液晶性分子の光軸は、円盤
面の法線方向に存在する。ディスコティック液晶性分子
は、光軸方向の屈折率よりも円盤面方向の屈折率が大き
な複屈折性を有する。ディスコティック液晶性分子は、
支持体表面に対して実質的に水平に配向させてもよい。
【0061】本発明の溶液製膜方法で製造されたセルロ
ースアシレートフイルムは、VAモードの液晶セルを有
するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体とし
て特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる
光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小
となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存
在しないことが好ましい。VA型液晶表示装置に用いる
光学補償シートの光学的性質は、光学的異方性層の光学
的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支
持体との配置により決定される。VA型液晶表示装置に
光学補償シートを二枚使用する場合は、光学補償シート
の面内レターデーションを、−5nm〜5nmの範囲内
にすることが好ましい。従って、二枚の光学補償シート
のそれぞれの面内レターデーションの絶対値は、0〜5
とすることが好ましい。VA型液晶表示装置に光学補償
シートを一枚使用する場合は、光学補償シートの面内レ
ターデーションを、−10nm〜10nmの範囲内にす
ることが好ましい。
【0062】また、本発明の溶液製膜方法で製造された
セルロースアシレートフイルムは、OCBモードの液晶
セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモー
ドの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償
シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液
晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学
補償シートには、レターデーションの絶対値が最小とな
る方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在し
ないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはH
AN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性
質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性
質および光学的異方性層と支持体との配置により決定さ
れる。
【0063】さらに、本発明の溶液製膜方法により製造
されたセルロースアシレートフイルムは、ASM(Ax
ially Symmetric Aligned Mi
crocell)モードの液晶セルを有するASM型液
晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用
いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位
置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの
特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと
同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表
示装置については、クメ(Kume)外の論文(Kum
e et al.,SID 98 Digest 1089
(1998))に記載がある。セルロースアシレートフ
イルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表
示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。
TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置について
は、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に
用いる光学補償シートについては、特開平3−9325
号、同6−148429号、同8−50206号、同9
−26572号の各公報に記載されている。
【0064】前記液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の
基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶
を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む
透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さら
にガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極
層の接着に用いる)アンダーコート層を設けてもよい。
これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの
基板は、一般に80〜500μmの厚さを有する。
【0065】前記偏光素子の偏光膜には、ヨウ素系偏光
膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光
膜がある。いずれの偏光膜も、一般にポリビニルアルコ
ール系フイルムを用いて製造する。偏光板の保護膜は、
25〜350μmの厚さを有することが好ましく、50
〜200μmの厚さを有することがさらに好ましい。液
晶表示装置には、表面処理膜を設けてもよい。表面処理
膜の機能には、ハードコート、防曇処理、防眩処理およ
び反射防止処理が含まれる。
【0066】
【実施例】本発明による溶液製膜方法の実施例について
説明する。図1に示した製膜装置(バンド流延方式)を
用い、セルローストリアセテートフィルムを製造した。
【0067】 <ドープの調製> (微粒子分散液の調製) シリカ(日本アエロジル株式会社製,『アエロジルR972』)2.00重量% セルロースアセテート(置換度2.8) 2.00重量% トリフェニルフォスフェート 0.16重量% ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.08重量% メチレンクロライド 88.10重量% メタノール 7.66重量% なる溶液を調製し、アトライターにて体積平均粒径0.
5μmになるよう分散を行った。ここで体積平均粒径
は、堀場製作所製,『粒度分布測定装置 LA920』
で測定した値を用いた。
【0068】 (原料ドープの調製) セルロースアセテート(置換度2.8) 89.3重量% トリフェニルフォスフェート 7.1重量% ビフェニルジフェニルフォスフェート 3.6重量% なる固形分100重量部に対し、上記微粒子分散液を6.5重量部添加し、さら に、 ジクロロメタン 92重量% メタノール 8重量% なる混合溶媒を適宜添加、攪拌溶解し原料ドープを調製
した。原料ドープの固形分濃度は18.5重量%であっ
た。この原料ドープを濾紙(東洋濾紙株式会社製,『♯
63』)にて濾過した後、さらに焼結金属フィルム(日
本精線株式会社製,『06N』、公称孔径10μm)で
濾過し、さらにメッシュフィルム(日本ボール株式会社
製,『RM』、公称孔径45μm)で濾過した。
【0069】 (紫外線吸収剤溶液の調製) 2(2’−ヒロロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル−5−ク ロルベンゾトリアゾール) 5.83重量% 2(2’−ヒロロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル−5−ク ロルベンゾトリアゾール) 11.66重量% セルロースアセテート(酢化度:60.8%) 1.48重量% トリフェニルフォスフェート 0.12重量% ビフェニルジフェニルフォスフェート 0.06重量% メチレンクロライド 74.38重量% メタノール 6.47重量%
【0070】上記処方で紫外線吸収剤溶液を調製し、富
士写真フイルム株式会社製,『アストロポア10μmフ
ィルタ』にて濾過した。
【0071】(流延ドープの調製)上記原料ドープに対
し、スタティックミキサーを用い、上記紫外線吸収剤溶
液を、原料ドープ中の固形分に対し紫外線吸収剤量が
1.04重量%になるよう調製しつつ、原料ドープの配
管経路において添加、混合し、流延ドープを調整した。
この流延ドープを図1に示すような製膜装置を用いて流
延し、自己支持性を持つまで熱風乾燥し、フィルムとし
て剥離した。
【0072】流延バンドとしては、ステンレススチール
からなり、幅2m、長さ56m(面積112m)から
なるものを用いた。この流延バンドの中心線平均粗さ
(Ra)は、0.002μmであり、流延バンド厚み差
は、0.02mmであった。中心線平均粗さ(Ra)の
測定は、JIS B 0601に規定によった。単位は、
[μm]である。また、バンド1回転分のフィルムの厚
味を巾方向及び流延方向に測定したところ、厚味差は2
μm以下であった。
【0073】製膜の条件は以下の通りである。 製膜速度:30m/分 フィルム(ベース)厚み:80μm 流延バンド1回転当たりのバンド位置の巾方向変化は2
mmであった。
【0074】[実施例2]図1に示した製膜装置(バン
ド流延方式)を用い、3層構成のセルローストリアセテ
ートフィルムを製造した。
【0075】<内層のセルローストリアセテートフィル
ム用ドープの調整>攪拌羽根を有するステンレス性溶解
タンクに、下記の溶媒混合溶液によく攪拌しつつ、セル
ローストリアセテート粉体(平均サイズ2mm)を徐々
に添加し、仕込んだ。添加後、室温(25℃)にて3時
間,25℃にて放置し、セルローストリアセテートを膨
潤させた。なお、溶媒である酢酸メチルとシクロペンタ
ノン、アセトン、メタノール及びエタノールは、すべて
その含水率が0.2質量%以下のものを利用した。 セルローストリアセテート 20質量部 (置換度2.83、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、メチレン クロライド溶液中6質量%の粘度305mPa・s) 酢酸メチル 43質量部 シクロペンタン 10質量部 アセトン 5質量部 メタノール 5質量部 エタノール 5質量部 可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 6質量部 可塑剤B(トリフェニルフォスフェート) 6質量部 微粒子(シリカ(粒径20nm)) 0.1質量部 紫外線吸収剤a 0.1質量部 (2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5− ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン) 紫外線吸収剤b 0.1質量部 (2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)− 5−クロルベンゾトリアゾール) 紫外線吸収剤c 0.1質量部 (2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)− 5−クロルベンゾトリアゾール C1225OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2 0.05質量部
【0076】なお、後述する冷却溶解法で得られたこの
溶液の粘度は160Pa・S(45℃)であった。
【0077】<セルローストリアセテート溶液の冷却溶
解>上述したセルローストリアセテート溶液をスクリュ
ー押し出し機で送液して、−70℃で3分間となるよう
に冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−8
0℃の冷媒(3M社製,『フロリナート』)を用いて実
施した。次に、冷却により得られた溶液はステンレス製
の容器に移送し、50℃で2時間攪拌した。そして、絶
対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製,
『#63』)で濾過した。
【0078】<外層のセルローストリアセテートフィル
ム用ドープの調整>上述した内層のセルローストリアセ
テートフィルム用ドープにおいて、セルローストリアセ
テートを19質量部、酢酸メチルを44質量部に変更し
た他は、同様に仕込んだ。なお、冷却溶解法で得られた
この溶液の粘度は110Pa・S(45℃)であった。
【0079】<セルローストリアセテートフィルムの作
製>上述したドープを三層共流延ダイを用い、内層用ド
ープが内側に、外層用ドープが両外側になるように配置
して、流延バンド上に同時に吐出させて重層流延した
後、流延膜を流延バンドから剥ぎ取り、乾燥して三層構
造のセルローストリアセテートフィルム積層体(内層の
厚さ:80μm、各表面層の厚さ:2μm)を作製し
た。流延バンドは、実施例1と同一のものを使用した。
また、流延バンド1回転当たりのバンド位置の巾方向変
化は2mmであった。乾燥は70℃で3分、130℃で
5分した後、ガラス板からフィルムを剥ぎ取り、そして
160℃,30分で段階的に乾燥して溶剤を蒸発させセ
ルローストリアセテートフィルムを得た。また、バンド
1回転分のフィルムの厚味を巾方向及び流延方向に測定
したところ、厚味差は2μm以下であった。
【0080】[外観面状の評価]実施例1、2で製膜さ
れたセルローストリアセテートフィルムの平滑性、透明
性及び厚み精度を評価したところ、いずれも極めて良好
であった。
【0081】[偏光板の作成方法および評価方法]偏光
板サンプルは、ポリビニルアルコールを延伸してヨウ素
を吸着させた偏光素子の両面に、ポリビニルアルコール
系接着剤により実施例1、2で製膜されたセルロースト
リアセテートフィルムを貼合し作製した。この偏光板サ
ンプルを60℃,90%RHの雰囲気下で500時間暴
露した。いずれの実施例においても偏光度は99.6%
以上であり、十分な耐久性が認められた。
【0082】なお、偏光度は、分光光度計により可視領
域における並行透過率Yp、直行透過率Ycを求め、次
式に基づき偏光度Pを決定した。 P=√((Yp−Yc)/(Yp+Yc))
【0083】
【発明の効果】本発明は、以上のように流延バンドの中
心線平均粗さを所定の値以下とすることにより、平滑性
及び透明性の良好なフィルムを製造することができる。
また、流延バンド厚み差を所定の値以下にすることによ
り、厚み精度の良好なフィルムを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶液製膜方法に用いる溶液製膜装置の概略摸
式図である。
【図2】 流延バンドの部分側面図である。
【符号の説明】
10…流延工程 11…流延ダイ 12…流延バンド 20…延伸工程 30…乾燥工程 40…巻取り部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 C08L 1:12 C08L 1:12 (72)発明者 辻本 忠宏 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA09 AD02 AE04 AE05 AE10 AE22 AH12 AH19 BA02 BB02 BC01 BC02 BC12 4F202 AA01 AB07 AB10 AB11 AB14 AC05 AG01 AG03 AH73 AR13 CA07 CB02 CB26 CK11 4F205 AA01 AB07 AB10 AB11 AB14 AC05 AG01 AG03 AH73 AR13 GA07 GB02 GB26 GC07 GF02 GN28

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流延ダイより流延バンド上にドープを流
    延してフィルムを製造する方法において、中心線平均粗
    さが0.005μm以下である流延バンドを用いたこと
    を特徴とする溶液製膜方法。
  2. 【請求項2】 流延ダイより流延バンド上にドープを流
    延してフィルムを製造する方法において、最も厚い個所
    の厚みと最も薄い個所の厚みとの差が0.06mm以下
    である流延バンドを用いたことを特徴とする溶液製膜方
    法。
  3. 【請求項3】 流延ダイより流延バンド上にドープを流
    延してフィルムを製造する方法において、流延バンド1
    回転分の製品フィルムの任意の2点の厚み差が4μm以
    下であることを特徴とする溶液製膜方法。
  4. 【請求項4】 中心線平均粗さが0.001μm以上で
    ある流延バンドを用いた請求項1記載の溶液製膜方法。
  5. 【請求項5】 前記流延バンドの1回転でのバンド位置
    の巾方向変位が3mm以下であることを特徴とする請求
    項1、2、3又は4記載の溶液製膜方法。
  6. 【請求項6】 前記ドープが、セルローストリアセテー
    トであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5
    記載の溶液製膜方法。
  7. 【請求項7】 前記流延ダイより流延バンド上にドープ
    を流延する際、2種類以上のセルロースアシレート溶液
    からなるドープを共流延することを特徴とする請求項
    1、2、3、4又は5記載の溶液製膜方法。
  8. 【請求項8】 前記ドープがセルロースアシレート溶液
    であって、その溶媒が酢酸メチル、ケトン類及びアルコ
    ールからなり、その溶媒比率が酢酸メチルが20〜90
    質量%、ケトン類が5〜60質量%、アルコールが5〜
    30質量%である請求項1、2、3、4、5又は7記載
    の溶液製膜方法。
  9. 【請求項9】 前記ドープがセルロースアシレート溶液
    であり、かつ、少なくとも一種の可塑剤をセルロースア
    シレートに対して0.1〜20質量%含有していること
    を特徴とする請求項1、2、3、4、5、7又は8記載
    の溶液製膜方法。
  10. 【請求項10】 前記ドープがセルロースアシレート溶
    液であり、かつ、少なくとも一種の紫外線吸収剤をセル
    ロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有し
    ていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    7、8又は9記載の溶液製膜方法。
  11. 【請求項11】 前記ドープがセルロースアシレート溶
    液であり、かつ、少なくとも一種の微粒子粉体をセルロ
    ースアシレートに対して0.001〜5質量%含有して
    いることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、7、
    8、9又は10記載の溶液製膜方法。
  12. 【請求項12】 前記ドープがセルロースアシレート溶
    液であり、かつ、少なくとも一種の離型剤をセルロース
    アシレートに対して0.001〜2質量%含有している
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、7、8、
    9、10又は11記載の溶液製膜方法。
  13. 【請求項13】 前記ドープがセルロースアシレート溶
    液であり、かつ、少なくとも一種のフッ素系界面活性剤
    をセルロースアシレートに対して0.002〜2質量%
    含有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、7、8、9、10、11又は12記載の溶液製膜方
    法。
  14. 【請求項14】 前記請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8、9、10、11、12又は13記載の溶液製膜
    方法で製造されたフィルムからなる偏光板用保護膜。
JP2001031765A 2001-02-08 2001-02-08 溶液製膜方法 Pending JP2002234042A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001031765A JP2002234042A (ja) 2001-02-08 2001-02-08 溶液製膜方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001031765A JP2002234042A (ja) 2001-02-08 2001-02-08 溶液製膜方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002234042A true JP2002234042A (ja) 2002-08-20

Family

ID=18895797

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001031765A Pending JP2002234042A (ja) 2001-02-08 2001-02-08 溶液製膜方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002234042A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7390434B2 (en) 2003-04-25 2008-06-24 Fujifilm Corporation Method and apparatus for producing film from polymer solution, and optical polymer film
US7727445B2 (en) * 2006-04-28 2010-06-01 Konica Minolta Opto, Inc. Method for manufacturing optical film

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7390434B2 (en) 2003-04-25 2008-06-24 Fujifilm Corporation Method and apparatus for producing film from polymer solution, and optical polymer film
US7727445B2 (en) * 2006-04-28 2010-06-01 Konica Minolta Opto, Inc. Method for manufacturing optical film

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20020192397A1 (en) Polarizing plate protection film
JP5657593B2 (ja) 積層フィルム、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2001343528A (ja) 偏光板保護膜
JP4558051B2 (ja) 溶液製膜装置
JP2002249599A (ja) セルロースエステルフィルム及びその製造方法
JP4400769B2 (ja) 高分子樹脂フィルム及びその製造方法
JP4400774B2 (ja) 溶液製膜方法及び偏光板保護膜、光学機能性膜並びに偏光板
JP2006265301A (ja) セルロース体組成物、セルロース体フィルム、セルロース体フィルム用改質剤、偏光板保護膜および液晶表示装置
JP4596940B2 (ja) セルロースアシレートフィルムの製造方法
JP4272092B2 (ja) セルロース体組成物、セルロース体フイルム、セルロース体フイルム用改質剤、偏光板保護膜、液晶表示装置およびハロゲン化銀写真感光材料
JP4400768B2 (ja) 溶液製膜方法
JP2002234041A (ja) 溶液製膜方法
JP2002127169A (ja) 溶液製膜方法
JP2002234042A (ja) 溶液製膜方法
JP4667047B2 (ja) セルロース体組成物、セルロース体フイルム、セルロース体フイルム用改質剤、偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料
JP2003119296A (ja) セルロースエステルフィルム
JP2003240948A (ja) 光学フィルム、偏光板、光学フィルムロ−ル、光学フィルムを用いた表示装置、光学フィルムの製造方法
JP2002079534A (ja) 溶液製膜方法
JP4587264B2 (ja) 光学補償フィルム及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置
JP2006124649A (ja) セルロース体組成物、セルロース体フィルム、セルロースフィルム用改質剤、偏光板保護膜、液晶表示装置およびハロゲン化銀写真感光材料
JP4208423B2 (ja) セルロースエステルフィルムの製造方法
JP4285721B2 (ja) 溶液製膜方法
JP4208424B2 (ja) セルロースエステルフィルムの製造方法
JP4749499B2 (ja) セルロース体組成物
JP2007297560A (ja) セルロース体、セルロース体組成物、セルロース体フィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Effective date: 20061207

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712