JP2002181126A - 能動型防振用加振器およびそれを用いた能動型防振装置 - Google Patents

能動型防振用加振器およびそれを用いた能動型防振装置

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JP2002181126A
JP2002181126A JP2000381102A JP2000381102A JP2002181126A JP 2002181126 A JP2002181126 A JP 2002181126A JP 2000381102 A JP2000381102 A JP 2000381102A JP 2000381102 A JP2000381102 A JP 2000381102A JP 2002181126 A JP2002181126 A JP 2002181126A
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浩幸 市川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発生加振力の周波数を容易に且つ高精度に制
御することが出来ると共に、大きな加振力を安定して得
ることの出来る、新規な構造の能動型防振用加振器を提
供することを、目的とする。 【解決手段】 ヨーク部材12の磁極部42a,42b
と加振部材14の磁気吸引部44,46を、軸方向に傾
斜して径方向で対向位置せしめると共に、それら磁極部
42a,42bと磁気吸引部44,46の各近接側端部
において環状エッジ部29,36,48,50を形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、防振対象部材やその振動伝達系
を構成する部材等に装着されることにより、防振すべき
振動に対する能動的な防振効果を発揮する能動型防振装
置において好適に採用される、新規な構造の能動型防振
用加振器と、それを用いた能動型防振装置に関するもの
である。
【0002】
【背景技術】防振対象部材における振動を低減するため
に、従来では、一般に、ショックアブソーバやゴム弾性
体等の減衰効果を利用した振動減衰手段の他、コイルス
プリングやゴム弾性体等のばね効果を利用した振動絶縁
手段が採用されているが、これらは、何れも、受動的な
防振作用を発揮するものであるために、例えば、防振す
べき振動が変化する場合等においては、十分な防振効果
を得ることが難しい等という問題があった。そこで、近
年では、加振力を発生するアクチュエータを備え、防振
すべき振動を積極的乃至は相殺的に抑制する能動的な防
振装置が開発され、検討されるようになってきた。
【0003】ところで、このような能動型防振装置で
は、加振力を発生する加振器が必要であり、かかる加振
器においては、発生加振力の優れた周波数制御性が要求
される。そこで、能動型防振装置用の加振器としては、
例えば、特開平6−235438号公報や特開平8−3
12718号公報等に記載されているように、永久磁石
によって形成された磁界中にコイルを配設して通電する
ことにより、ローレンツ力や電磁力を利用して加振力を
得るようにしたボイスコイル型の加振器を採用すること
が提案されている。
【0004】しかしながら、ボイスコイル型の加振器で
は、得られる加振力が小さく、十分な加振力を得ようと
すると、消費電力や発熱等の他、加振器の大型化等が問
題となり易かった。
【0005】また一方、特開平10−246283号公
報等には、能動型防振装置用加振器として、電磁石型の
加振器を採用したものが提案されている。かかる加振器
は、一般に、磁性材からなるヨーク部材に対して軸方向
一方の側に開口する環状凹溝を設けて該環状凹溝にコイ
ルを収容配置することにより、該コイルへの通電によっ
て該コイルの周囲に磁路が形成されるようにすると共
に、該ヨーク部材における環状凹溝の開口部の内周側壁
部と外周側壁部にそれぞれ該磁路の両磁極を設定する一
方、磁性材からなる加振部材を、前記ヨーク部材におけ
る環状凹溝の開口部側に離隔して軸方向で対向位置せし
めて、前記コイルへの通電により該加振部材に磁力を及
ぼして、それら加振部材とヨーク部材の間に軸方向の加
振力を及ぼすようにした構造とされている。
【0006】このような電磁石型の加振器においては、
コイルへの通電を制御することにより、発生加振力の周
波数や位相等を高精度に制御することが出来ることに加
えて、前述の如きボイスコイル型の加振器より大きな加
振力を容易に得ることが可能となる。
【0007】ところが、従来の電磁石型の加振器におい
ては、加振部材の変位方向(軸方向)で、ヨーク部材の
磁極面と加振部材が直接に対向位置せしめられており、
それら加振部材とヨーク部材の対向面間距離によって発
生加振力が大きく変化してしまうことから、例えば、低
周波大振幅での加振に際しての加振部材とヨーク部材の
当接を防止するために加振部材とヨーク部材の対向面間
距離を大きくすると、十分な発生加振力を得ることが難
しくなるという問題があった。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、発生加振力の周波数を容易に且つ高精度に
制御することが出来ると共に、大きな加振力を安定して
得ることの出来る、新規な構造の能動型防振用加振器
と、かかる能動型防振用加振器を用いた能動型防振装置
を提供することにある。
【0009】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様は、任意の組み合わせで採用可能である。また、本
発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限
定されることなく、明細書全体および図面に記載され、
或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る
発明思想に基づいて認識されるものであることが理解さ
れるべきである。
【0010】すなわち、能動型防振用加振器に関する本
発明の第一の態様は、磁性材からなるヨーク部材をコイ
ルに挿通配置せしめると共に、該ヨーク部材を該コイル
の軸方向両側に突出せしめて、該コイルの軸方向両側の
外周部分において磁極部を該ヨーク部材によって形成す
る一方、磁性材からなる加振部材を該ヨーク部材の外周
側に離隔して軸方向に相対変位可能に配設せしめると共
に、それらヨーク部材と加振部材を軸方向で弾性的に相
対位置決めする弾性支持部材を設け、更に該加振部材に
おいて該ヨーク部材の各磁極部の外周側に離隔して且つ
軸方向一方の側に偏倚して対向位置せしめられた環状の
磁気吸引部を形成して、前記コイルへの給電によって前
記磁極部と前記磁気吸引部の間に作用せしめられる磁力
に基づいて、前記ヨーク部材と前記加振部材に対して軸
方向の相対的駆動力が及ぼされるようにしたことを、特
徴とする。
【0011】このような本態様に従う構造とされた能動
型防振用加振器においては、コイルへの通電によって磁
力が及ぼされるヨーク部材の磁極部と加振部材の磁気吸
引部が軸方向に偏倚して対向位置せしめられていること
から、コイルに対して、例えば、交番電流や脈動電流等
を通電し、或いは、コイルへの通電をON/OFFする
こと等によって磁極部と磁気吸引部の間に及ぼされる磁
気吸引力に基づいて、ヨーク部材と加振部材に対して軸
方向の駆動力を発生させることが出来る。
【0012】しかも、かかる能動型防振用加振器におい
ては、磁極部と磁気吸引部が軸方向に傾斜して径方向斜
めで対向配置されていることから、磁極部と磁気吸引部
の間に及ぼされる磁気吸引力等の方向も径方向に傾斜す
ることとなり、ヨーク部材に対する加振部材の軸方向で
の相対位置の変化量に対して、磁極部と磁気吸引部の間
に及ぼされる磁気吸引力等の大きさの変化量を小さく抑
えることが出来る。その結果、ヨーク部材に対する加振
部材の軸方向での相対位置の変化量が大きい場合でも、
磁極部と磁気吸引部の間に作用せしめられる磁力の変化
を、それら磁極部と磁気吸引部を軸方向で直接対向位置
せしめた従来の電磁石型の加振器に比べて、安定した加
振力を発生させることが可能となるのである。加えて、
本態様の能動型防振装置においては、コイルへの通電に
よって生ぜしめられる磁力を利用して駆動力を得るもの
であることから、従来のローレンツ力を利用したボイス
コイル型の加振手段に比して、より大きな加振力を効率
的に得ることが出来るのである。
【0013】なお、本態様に係る能動型防振用加振器に
おいて、磁極部と磁気吸引部は、コイルへの通電によっ
て軸方向の駆動力が生ぜしめられるように互いに軸方向
で偏倚して配設されていれば良く、各近接側の軸方向端
部が互いに径方向の投影で重なって配設されていても良
いが、好ましくは、それら磁極部と磁気吸引部は、各近
接側の軸方向端部が、コイルへの通電による磁力が及ぼ
されていない初期位置において、互いに軸方向で僅かに
離隔位置せしめられるか、或いは軸方向で略同一位置と
なるように設定されることとなり、それによって、コイ
ルへの通電による磁力が、磁極部と磁気吸引部の間に一
層効率的に及ぼされ得る。
【0014】また、本態様に係る能動型防振用加振器に
おいて、磁極部および磁気吸引部は、コイルの軸方向両
側にそれぞれ少なくとも一つ設けられていれば良く、軸
方向一方の側において、軸方向の異なる位置に二つ以
上、互いに磁力が及ぼされる磁極部と磁気吸引部を形成
することも可能である。このように磁極部および磁気吸
引部を、コイルの軸方向両側で合計三つ以上形成するこ
とによって、磁気吸引部の形状等の設計自由度が向上さ
れると共に、ヨーク部材と加振部材の間に作用せしめら
れるトータルの磁力を大きく確保することも可能とな
る。
【0015】更にまた、本態様に係る能動型防振用加振
器において、ヨーク部材および加振部材に用いられる磁
性材としては、軟鉄等の透磁率の大きい強磁性材であっ
て、磁気的ヒステリシスの小さい材質が好適に採用され
得る。また、本態様に係る能動型防振用加振器におい
て、弾性支持部材としては、例えば、ゴム弾性体や金
属,合成樹脂等によって形成されたコイルバネ,板ばね
等が採用されることとなり、特に、板ばね等のように、
ヨーク部材と加振部材の軸方向の相対変位を許容しつ
つ、軸直角方向では相対的な位置決め作用を発揮し得る
ものが好適に採用される。更に、そのような弾性支持部
材の配設構造としては、コイルを挟んだ軸方向両側でヨ
ーク部材と加振部材を弾性的に連結して相対的に位置決
め支持せしめる構造が好適に採用される。このようにヨ
ーク部材と加振部材を軸方向両側で弾性連結せしめるこ
とによって、ヨーク部材と加振部材の軸直角方向の相対
変位を効率的に抑えることが出来ることから、それらヨ
ーク部材と加振部材の軸直角方向やこじり方向の相対変
位に起因する干渉を防止することが出来る。
【0016】また、能動型防振用加振器に関する本発明
の第二の態様は、前記第一の態様に従う構造とされた能
動型防振用加振器において、前記加振部材を円筒形状と
すると共に、該加振部材の軸方向両端部分においてそれ
ぞれ径方向内方に突出する環状突出部を設けて、それら
環状突出部によって前記磁気吸引部を形成したことを、
特徴とする。このような本態様に従う構造とされた能動
型防振用加振器においては、磁気吸引部が、径方向内方
に突出せしめられていることから、磁気吸引部において
大きな磁束密度を得ることが可能となって、磁極部と磁
気吸引部の間に生ぜしめられる磁気吸引力を一層効率的
に得ることが出来る。
【0017】また、能動型防振用加振器に関する本発明
の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に従う構造と
された能動型防振用加振器において、前記ヨーク部材の
磁極部を円筒形の外周面形状とする一方、前記加振部材
の磁気吸引部を、該磁極部の外径寸法よりも大きな内径
寸法を有する円筒形の内周面形状としたことを、特徴と
する。
【0018】このような本態様に従う構造とされた能動
型防振用加振器においては、磁気吸引部が磁極部の外径
寸法よりも大きな内径寸法を有していることから、磁気
吸引部において、磁極部に対する軸方向対向面の存在が
回避され得る。それによって、磁極部に対して軸方向で
直接に対向位置する磁気吸引部の存在が回避されて、ヨ
ーク部材と加振部材の間に作用せしめられる駆動力が、
専ら、径方向乃至は斜め径方向で対向位置せしめられた
磁極部と磁気吸引部の間に生ぜしめられる磁力に基づい
て生ぜしめられることから、より安定した駆動力を得る
ことが可能となる。また、本態様においては、磁極部と
磁気吸引部が互いに接近する方向に大きく相対変位せし
められた際にも、磁極部と磁気吸引部の当接が有利に回
避され得て、安定した作動が実現される。なお、磁極部
と磁気吸引部の径方向での対向面間距離は、ヨーク部材
と加振部材の軸直角方向での許容変位量や、要求される
加振力,コイル供給電流の大きさ等を考慮して適宜に設
定されるものであって、特に限定されるものでないが、
磁極部と磁気吸引部の相互緩衝を回避しつつ加振力を効
率的に得るために、例えば自動車用等に採用される能動
型防振装置用の加振器においては、一般に、磁極部と磁
気吸引部の径方向での対向面間距離を0.5〜3mmとす
ることが好ましく、より好適には、かかる対向面間距離
が1〜2mmとされる。
【0019】また、能動型防振用加振器に関する本発明
の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に従
う構造とされた能動型防振用加振器において、前記ヨー
ク部材の磁極部と前記加振部材の磁気吸引部との少なく
とも一方において、それらヨーク部材と加振部材の相対
的偏倚方向における近接側の端部に略直角な角部断面形
状で周方向に延びる環状エッジ部を形成し、該環状エッ
ジ部を、該磁極部と該磁気吸引部の他方における軸方向
中心に対して、それら磁極部と磁気吸引部の偏倚方向に
離隔位置せしめたことを、特徴とする。
【0020】このような本態様に従う構造とされた能動
型防振用加振器においては、環状エッジ部に磁束が集中
し易くなっていることから、加振部材に対してより効率
的に磁力を及ぼすことが出来、延いてはヨーク部材と加
振部材の間において軸方向の相対的駆動力を一層効率的
に得ることが可能となる。なお、本態様において、磁極
部と磁気吸引部の一方に形成された環状エッジ部は、磁
極部と磁気吸引部の他方に対して、コイルへの通電によ
る磁力が及ぼされていない初期位置において、互いに軸
方向で僅かに離隔位置せしめられるか、或いは軸方向で
略同一位置となるようにして、軸直角方向の投影で重な
らないように位置設定されることが望ましく、それによ
って、コイルへの通電による磁力が、磁極部と磁気吸引
部の間に一層効率的に及ぼされ得る。なお、このような
環状エッジ部は、コイルの軸方向一方の側で対向位置せ
しめられた磁極部及び/又は磁気吸引部だけに形成して
も良いが、コイルの軸方向両側でそれぞれ対向位置せし
められた磁極部及び/又は磁気吸引部に形成することが
望ましい。
【0021】また、能動型防振用加振器に関する本発明
の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に従
う構造とされた能動型防振用加振器において、前記ヨー
ク部材の磁極部と前記加振部材の磁気吸引部との両方に
おいて、略直角な角部断面形状で周方向に延びる環状エ
ッジ部をそれぞれ形成すると共に、該磁極部の環状エッ
ジ部と該磁気吸引部の環状エッジ部を対向位置せしめ
て、前記コイルへの通電によってそれら磁極部と磁気吸
引部の両環状エッジ部間に磁力が作用せしめられるよう
にしたことを、特徴とする。
【0022】このような本態様に従う構造とされた能動
型防振用加振器においては、対向位置せしめられている
磁極部および磁気吸引部の近接側端部の両方において、
環状エッジ部を形成して、それら環状エッジ部同士を対
向位置せしめたことにより、コイルへの通電による磁力
が、磁極部と磁気吸引部の間により一層効率的に及ぼさ
れ得る。なお、このような磁極部および磁気吸引部にお
ける環状エッジ部は、コイルの軸方向一方の側で対向位
置せしめられた磁極部及び/又は磁気吸引部だけに形成
しても良いが、コイルの軸方向両側でそれぞれ対向位置
せしめられた磁極部及び/又は磁気吸引部に形成するこ
とが望ましい。
【0023】また、本発明の第六の態様は、前記第一乃
至第五の何れかの態様に従う構造とされた能動型防振用
加振器において、前記ヨーク部材及び/又は前記加振部
材に対して、前記コイルへの通電によって生ぜしめられ
る磁束の方向と同一又は反対の方向に磁束を及ぼし得る
ように永久磁石を配設したことを、特徴とする。
【0024】このような本態様に従う構造とされた能動
型防振用加振器においては、永久磁石が設けられている
ことによって、コイルへの通電が行われていない状態で
あっても、ヨーク部材及び/又は加振部材に磁束が生ぜ
しめられていることから、かかる部材における初透磁率
が改善されることとなり、加振器における加振精度およ
び加振効率が向上され得る。なお、本態様において、永
久磁石としては従来から公知の材質が何れも採用可能で
ある。また、かかる永久磁石は、ヨーク部材及び/又は
前記加振部材に対して、コイルへの通電によって生ぜし
められる磁束の方向と同一又は反対の方向に磁束を及ぼ
し得るものであれば良く、例えば、ヨーク部材や加振部
材においてコイルへの通電によって生ぜしめられる磁路
上の任意の位置に少なくとも一つ配設される。
【0025】また、本発明の第七の態様は、制振対象に
取り付けられる固定部材に対して、マス部材を弾性支持
せしめると共に、該マス部材を加振駆動するアクチュエ
ータを設けた能動型制振器において、前記第一乃至第六
の何れかに記載の能動型防振用加振器を用い、前記ヨー
ク部材と前記加振部材の何れか一方に前記固定部材を固
設すると共に、それらヨーク部材と加振部材の他方に前
記マス部材を固設したことを、特徴とする。
【0026】このような本態様に従う構造とされた能動
型制振器においては、前述の如く、ヨーク部材と加振部
材の相対位置のばらつきに起因する発生加振力のばらつ
きが抑えられて安定した加振力が生ぜしめられる特定構
造の能動型防振用加振器を制振器として採用したことに
より、制振対象に対して安定した加振力を優れたエネル
ギ効率で作用せしめることが出来るのであり、以て、目
的とする能動型防振効果を有効に且つ安定して得ること
が可能となるのである。特に、本態様に係る能動型制振
器においては、例えば、装着状態下で静的な初期荷重が
及ぼされることによって、或いはかかる初期荷重が静的
に変化することによって、加振部材とヨーク部材の相対
的な初期位置が軸方向に変化するような場合でも、加振
部材とヨーク部材の間に及ぼされる磁力の変化が低減さ
れることにより、所望の加振力を安定して得ることが可
能となるのである。
【0027】また、本発明の第八の態様は、防振連結さ
れる部材にそれぞれ取り付けられる第一の取付部材と第
二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本
体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が
封入された主液室を形成する一方、該主液室の壁部の別
の一部を変位可能な可動壁で構成すると共に、該可動壁
を加振駆動するアクチュエータを設けた流体封入式の能
動型マウントにおいて、前記第一乃至第六の何れかの態
様に従う構造とされた能動型防振用加振器を用い、前記
ヨーク部材と前記加振部材の何れか一方に前記第二の取
付部材を固設すると共に、それらヨーク部材と加振部材
の他方に前記可動壁を固設したことを、特徴とする。
【0028】このような本態様に従う構造とされた能動
型マウントにおいては、加振部材とヨーク部材の相対位
置のばらつきに起因する発生加振力のばらつきが抑えら
れて安定した加振力が生ぜしめられる特定構造の能動型
防振用加振器をアクチュエータとして採用したことによ
り、例えば、アクチュエータに対して装着状態下で静的
な初期荷重が及ぼされることによって、或いはかかる初
期荷重が静的に変化することによって、アクチュエータ
における加振部材とヨーク部材の相対的な初期位置が軸
方向に変化する場合でも、可動壁に安定した加振力を作
用せしめることが出来るのであり、以て、目的とする能
動的防振効果を有効に且つ安定して得ることが可能とな
るのである。
【0029】また、本発明の第九の態様は、前記第八の
態様に従う構造とされた能動型マウントにおいて、壁部
の一部が前記可動壁で構成された副液室を、前記主液室
から独立して形成すると共に、それら主液室と副液室を
相互に連通するオリフィス通路を設けたことを、特徴と
する。このような本態様に従う構造とされた能動型マウ
ントにおいては、主液室と副液室を相互に連通するオリ
フィス通路が設けられていることから、オリフィス通路
を流動せしめられる流体の共振作用を利用して受動的な
防振効果を得ることか出来るのである。特に、本態様に
おいては、可動壁の加振に基づいて能動的防振効果が発
揮される周波数域とよりも低周波数域の振動に対して、
受動的防振効果が発揮されるようにオリフィス通路をチ
ューニングすることが望ましい。
【0030】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
【0031】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としての能動型制振器10が示されている。かかる能動
型制振器10は、図示しない自動車のボデー等の制振対
象に固定されるヨーク部材としてのヨーク金具12に対
して、マス部材としての加振金具14が弾性支持部材と
しての板ばね16,16を介して弾性的に連結支持され
ており、それによって、加振金具14等をマス系とし、
板ばね16,16をバネ系とする一つの振動系が構成さ
れている。また、ヨーク金具12には、コイル18が固
定的に組み付けられており、コイル18への通電によっ
て加振金具14に対して磁気的な相対変位力(加振力)
が及ぼされるようになっている。そして、加振金具14
をヨーク金具12に対して相対加振制御することによ
り、制振対象における振動を能動的に抑えるようになっ
ている。なお、本実施形態の能動型制振器10において
は、図1中の上下方向の振動に対して、有効な制振効果
を発揮し得るようになっている。また、以下の説明にお
いて、上下方向とは、図1中の上下方向をいうものとす
る。
【0032】より詳細には、ヨーク金具12は、上側ヨ
ーク金具20と下側ヨーク金具22が同一中心軸上で重
ね合わせられると共に、連結ボルト23で相互に連結固
定されることによって形成されている。なお、上側ヨー
ク金具20と下側ヨーク金具22は、鉄等の強磁性材に
よって形成されている。
【0033】上側ヨーク金具20は、厚肉の円環板形状
を有していると共に、軸方向中間部分に形成された二つ
の段差面21a,21bを備えており、これら二つの段
差面21a,bによって外径寸法が軸方向で三段階に変
化せしめられている。そして、上側ヨーク金具20は、
軸方向下端から上端に向かって階段状に次第に小径化す
る外周面形状を有しており、軸方向下端部から上端部に
向かって大径部26,中径部27,小径部28が連続形
成されている。また、段差面21aが軸直角方向に広が
っていると共に、大径部26の外周面が円筒形状とされ
ており、それによって、大径部26の外周面と段差面2
1aの交角が略90度とされて、略直角な外周エッジ部
29が、大径部26の軸方向上端部において外周縁部の
全周に亘って環状に連続形成されている。
【0034】また、下側ヨーク金具22は、中実の円形
ロッド形状を有する中軸部30と、該中軸部30の軸方
向下端部に一体形成されて、径方向外方に向かって広が
る大径円板形状の鍔状部32を備えている。また、下側
ヨーク金具22の軸方向両端部分には、各軸方向端面中
央に開口してそれぞれ軸方向内方に延びるねじ穴30,
32が形成されている。なお、下側ヨーク金具22の鍔
状部32は、円筒形状の外周面を有しており、その外径
寸法が、上側ヨーク金具20の大径部26と略同じとさ
れている。また、鍔状部32における軸方向内側の外周
角部は、略直角断面で周方向全周に亘って連続して延び
る環状の外周エッジ部36とされている。
【0035】さらに、下側ヨーク金具22には、電気絶
縁性のボビン38に巻回されたコイル18が組み付けら
れている。ボビン38は、軸方向両端にフランジ状部3
9a,39bを備えた糸巻形状を有しており、該ボビン
38の外周面にコイル18が巻回されている。なお、ボ
ビン38の軸方向下側のフランジ状部39bには、コイ
ルのマグネットワイヤへの給電用リード線の取出用溝4
0が形成されて、シール材が充填されている。
【0036】また、ボビン38は、下側ヨーク金具22
の中軸部30と略同じ軸方向長さを有していると共に、
両フランジ状部39a,bの外径寸法が下側ヨーク金具
22の鍔状部32と略同じ外径寸法を有している。ま
た、ボビン38に巻回されたコイル巻線も、フランジ状
部39a,bの外径寸法を超えない最大外径寸法とされ
ている。
【0037】そして、かかるコイル18は、ボビン38
が下側ヨーク金具22の中軸部30に外嵌されることに
より、下側のフランジ状部39bが下側ヨーク金具22
の鍔状部32に重ね合わせられた状態で、下側ヨーク金
具22に対して組み付けられている。また、ボビン38
の上側のフランジ状部39bには、下側ヨーク金具22
にボルト固定された上側ヨーク金具20が密接状態で重
ね合わせられている。これにより、ボビン38が、下側
ヨーク金具22の鍔状部32と上側ヨーク金具20の間
で軸方向に挟持固定された状態で、ヨーク金具12に対
して同一中心軸上に固定的に組み付けられているのであ
る。
【0038】而して、コイル18に対して、図示しない
給電用リード線を通じて給電することにより、コイル1
8が電磁石として機能するようになっている。そして、
コイル18の周囲に生ぜしめられる磁界が、強磁性材か
らなるヨーク金具12内を通り、ヨーク金具12がヨー
クとして作用せしめられることによって、ヨーク金具1
2の軸方向両端部分に位置する上側ヨーク金具20の大
径部26の外周縁部と下側ヨーク金具22における鍔状
部32の外周縁部において、各一方の磁極(N極または
S極)が形成されるようになっている。
【0039】すなわち、本実施形態では、上側ヨーク金
具20の大径部26の外周縁部と、下側ヨーク金具22
における鍔状部32の外周縁部によって、磁極部42
a,42bが構成されている。
【0040】一方、ヨーク金具12の径方向外方には、
加振金具14が同一中心軸上に配設されている。この加
振金具14は、鉄等の強磁性材で形成されており、略一
定の矩形断面をもって周方向に延びる厚肉大径の円環ブ
ロック形状を有している。また、加振金具14の内周面
には、軸方向中央部分に位置して、略一定の矩形断面で
加振金具14の全周に亘って延びる凹溝54が形成され
ている。これにより、凹溝54を挟んだ軸方向両側部分
が径方向内方に突出せしめられており、以て、加振金具
14の軸方向両端部分において、それぞれ矩形断面形状
をもって内周面上に突出する円環形状の上側径方向突部
44および下側径方向突部46が、加振金具14に一体
形成されているのである。
【0041】ここにおいて、加振金具14の軸方向長さ
は、下側ヨーク金具22単体より長いが、上下ヨーク金
具20,22を組み合わせたヨーク金具12の全長より
は短くされている。また、凹溝54の軸方向幅寸法が、
加振金具14の軸方向長さの略1/3とされていると共
に、該凹溝54が、加振金具14の内周面上で軸方向上
方に所定量だけ偏倚して位置せしめられている。これに
より、加振金具14における上側径方向突部44の軸方
向長さが、下側径方向突部46の軸方向長さよりも小さ
くされている。なお、本実施形態では、下側径方向突部
46の軸方向長さが、上側径方向突部44の軸方向長さ
の略2倍とされている。
【0042】また、上下径方向突部44,46の突出先
端面である内周面は、何れも、加振金具14と同一中心
軸上に広がる円筒形状とされていると共に、加振金具1
4の軸方向端面と凹溝54の軸方向両側面によって形成
された上下径方向突部44,46の軸方向両端面は、何
れも、加振金具14の中心軸に直交して広がる平面形状
とされている。これによって、上側径方向突部44の軸
方向下端部の内周縁部において、略直角断面で周方向全
周に亘って連続して延びる環状の内周エッジ部48が形
成されていると共に、下側径方向突部46の軸方向下端
部の内周縁部において、略直角断面で周方向全周に亘っ
て連続して延びる環状の内周エッジ部50が形成されて
いる。
【0043】そして、加振金具14は、ヨーク金具12
に外挿配置されており、ヨーク金具12と加振金具14
の軸方向両側に配設された一対の板ばね16,16によ
って、それらヨーク金具12と加振金具14が軸方向に
相対変位可能に弾性連結されている。
【0044】かかる板ばね16は、非磁性材からなるば
ね鋼などによって形成されており、薄肉の大径円板形状
を有していると共に、その外径寸法が、加振金具14の
外径寸法と略同じとされている。また、板ばね16に
は、図2にその単体図が示されているように、外周縁部
と中心部分の相対的な軸方向(板厚方向)の弾性変形ス
トロークを確保すると共に、ばね定数を調節するため
に、板ばね16の中央から外周側に広がって平面的な略
螺旋状に延びる3本の螺旋孔56が、板厚方向に貫通し
て形成されている。更にまた、板ばね16の中央部分に
は、ボルト挿通孔58が形成されている一方、板ばね1
6の外周縁部には、軸方向に貫通した取付孔60が、周
方向に所定間隔で複数形成されている。
【0045】そして、このような構造とされた一対の板
ばね16,16は、その中央部分において、ヨーク金具
12の軸方向両端面に対して小径円環形状のスペーサ6
2,62を介して重ね合わされて、軸直角方向に広がっ
て配設されており、ヨーク金具12のねじ穴33,34
に螺着された連結ボルト23と取付ボルト63で締め付
けられることにより、ヨーク金具12に対して固着され
ている。また一方、板ばね16,16の外周部分は、加
振金具14の軸方向両端面に対して大径円環形状のスペ
ーサ64,64を介して重ね合わされており、図面上に
明示はされていないが、各板ばね16の取付孔60に挿
通されたピン等によって、加振金具14に対して固着さ
れている。これにより、ヨーク金具12と加振金具14
が、軸方向両端部分において、板ばね16,16によっ
て相互に弾性連結されており、ヨーク金具12と加振金
具14における軸直角方向での相対変位が、一対の板ば
ね16,16の剛性に基づいて抑制されると共に、軸方
向の相対変位が、一対の板ばね16,16の弾性変形に
基づいて許容されるようになっている。
【0046】また、ヨーク金具12の下端部に螺着され
た取付ボルト63は、その頭部の先端部分において固定
部材としての固定板66が固設されている。この固定板
66は、軸直角方向に広がる平板形状を有する剛性板で
あって、外周部分には、板厚方向に貫通する複数個の取
付孔68が設けられている。
【0047】そして、上述の如き構造とされた能動型制
振器10は、ヨーク金具12に固設された固定板66
が、自動車において振動が問題となっているフレーム等
の制振すべき振動部材に対して重ね合わせられて、取付
孔68に挿通される固定ボルトによって固定される。こ
れにより、固定板66延いてはヨーク金具12が、振動
部材に対して、防振すべき振動が中心軸方向に入力され
る状態で固定的に取り付けられる。
【0048】このような装着状態下では、ヨーク金具1
2において大径部26と鍔状部32の各外周縁部によっ
て形成された磁極部42a,42bと、加振金具14に
形成された上下径方向突部44,46とが、同一中心軸
上に配設されて互いに軸方向に傾斜した斜め径方向で離
隔して対向位置せしめられている。そして、図3に要部
の拡大が示されているように、ヨーク金具12において
最大外径面となる磁極部42a,42bの外周面の外径
寸法が、加振金具14において最小内径面となる上下径
方向突部44,46の内周面の内径寸法よりも、僅かに
小さくされており、以て、それら磁極部42a,42b
と上下径方向突部44,46の間に径方向の僅かな間
隙:tを有する状態で、ヨーク金具12と加振金具14
が軸方向に相対変位せしめられるようになっている。
【0049】また、板ばね16,16によって弾性連結
されたヨーク金具12と加振金具14における磁極部4
2a,42bと上下径方向突部44,46は、コイル1
8への非通電状態下において、互いに軸方向一方の側に
偏倚せしめられており、特に本実施形態では、図3に示
されているように、ヨーク金具12の磁極部42a,4
2bに対して加振金具14の上下径方向突部44,46
が、何れも軸方向上方に相対偏倚せしめられている。即
ち、軸方向上側においては、上側ヨーク金具20の段差
面21aと加振金具14における凹溝54の軸方向上側
面が、軸直角方向に広がる略同一の平面上に位置せしめ
られており、それによって、磁極部42aの軸方向上側
の外周エッジ部29と上側径方向突部44の軸方向下側
の内周エッジ部48の各角部が、軸直角方向で略同一平
面上に位置せしめられている。また、軸方向下側におい
ては、下側ヨーク金具22の鍔状部32における軸方向
上側端面と加振金具14における凹溝54の軸方向下側
面が、軸直角方向に広がる略同一の平面上に位置せしめ
られており、それによって、磁極部42bの軸方向上側
の外周エッジ部36と下側径方向突部46の軸方向下側
の内周エッジ部50の各角部が、軸直角方向で略同一平
面上に位置せしめられている。
【0050】従って、上述の如き構造とされた能動型制
振器10において、図示しない給電用リード線を通じて
コイル18に通電すると、ヨーク金具12に対して磁界
が及ぼされて、ヨーク金具12における磁極部42a,
42bに対して、それぞれ所定の磁極が生ぜしめられる
こととなる。また、それに伴って、加振金具14にも磁
界が及ぼされて加振金具14内に磁束が生ぜしめられる
こととなり、かかる加振金具14においてヨーク金具1
2の磁極部42a,42bに対して最も接近位置せしめ
られた上下の径方向突部44,46には、ヨーク金具1
2の磁極部42a,42bに呼応した極性の磁極が生ぜ
しめられることとなる。その結果、ヨーク金具12にお
ける各磁極部42a,42bと、加振金具14における
上下径方向突部44,46の間に、磁力による吸引力が
作用せしめられることとなり、以て、ヨーク金具12と
加振金具14に対して、磁極部42aと上側径方向突部
44が相互に軸方向で接近すると共に、磁極部42bと
下側径方向突部46が相互に軸方向で接近する方向に相
対的な駆動力が及ぼされるのである。なお、このことか
ら明らかなように、本実施形態では、加振金具14にお
ける上下径方向突部44,46によって磁気吸引部が構
成されている。
【0051】それ故、かかる能動型制振器10において
は、制振すべき振動に対応した制御信号に基づいてコイ
ル18への供給電流を調節することにより、制振すべき
振動に対応した加振力を制振対象に及ぼして、かかる制
振対象における振動を能動的乃至は相殺的に低減するこ
とが出来るのである。なお、制振すべき振動に対応した
制御信号としては、例えば、加速度センサなどを用いて
検出された振動レベルに対応した信号の他、自動車用制
振器においては、内燃機関の点火信号等を利用すること
も可能である。
【0052】そこにおいて、かかる能動型制振器10に
おいては、ヨーク金具12側の磁極部42a,42b
と、加振金具14側の磁気吸引部としての上下径方向突
部44,46が、互いに軸方向一方の側に偏倚せしめら
れて軸方向に傾斜して径方向で対向位置せしめられてお
り、それらヨーク金具12側の磁極部42a,42b
と、加振金具14側の磁気吸引部としての上下径方向突
部44,46が、軸方向の投影で重なり合うことがない
ようにされている。これによって、コイル18への通電
によってヨーク金具12と加振金具14の間に生ぜしめ
られる磁気吸引力の作用方向が、軸方向線に対して径方
向で傾斜することから、ヨーク金具12に対する加振金
具14の軸方向での相対位置の変化量に対して、作用す
る磁気吸引力の大きさの変化量を小さく抑えることが出
来る。その結果、ヨーク金具12と加振金具14の軸方
向での大きな相対的ストローク範囲に亘って、それらヨ
ーク金具12と加振金具14に対して軸方向の加振力を
有効に且つ安定して及ぼすことが可能となるのである。
【0053】なお、このように加振金具14のヨーク金
具12に対する軸方向での相対位置の変化に伴う磁気吸
引力の変化量が抑えられる技術的理由は、磁極部42
a,42bと上下径方向突部44,46が径方向斜めに
対向位置せしめられていることから、軸方向の駆動力が
分力として生ぜしめられることや、それら磁極部42
a,42bと上下径方向突部44,46における磁極
が、何れも筒状面とされて軸方向で所定長さに亘って形
成されていること等によるものと考えられる。
【0054】また、本実施形態では、磁極部42a,4
2bに形成された略直角断面の外周エッジ部29,36
と、上下径方向突部44,46に形成された略直角断面
の内周エッジ部48,50が、初期状態下で互いに最も
接近して対向位置せしめられていることから、それらエ
ッジ部29,36,48,50への磁束の集中作用に基
づいて、コイル18への通電に基づく加振力が一層効率
的に生ぜしめられるのである。
【0055】また、本実施形態の能動型制振器10にお
いては、ヨーク金具12側にコイル18が取り付けられ
ていることから、コイル18が小径化されて、コイルワ
イヤの巻回数に対するワイヤ長が短くされ得るのであ
り、それによって、ワイヤ長に比例する抵抗値を小さく
して消費電力を抑えることが出来ると共に、ワイヤ長に
比例する重量も抑えることが可能となる。しかも、コイ
ル18のワイヤ長に対するワイヤ巻回数が多くされるこ
とから、ワイヤ巻回数に略比例して生ぜしめられる磁界
の磁束密度、即ち、磁力を大きくして発生加振力を一層
効率的に増大させることも可能となる。
【0056】更にまた、本実施形態の能動型制振器10
においては、コイル18が組み付けられたヨーク金具1
2が振動部材に固定的に取り付けられるようになってい
ることから、加振駆動に際して、コイル18への給電用
のリード線における繰返し変形が防止されて、ワイヤの
断線も有利に防止され得る。
【0057】なお、上述の説明から明らかなように、か
かる能動型制振器10は、実質的に加振器によって構成
されており、コイル18への給電によってヨーク金具1
2と加振金具14に及ぼされる軸方向の相対駆動力を利
用し、加振金具14と板ばね16,16からなる振動系
の共振的作用も利用して、生ぜしめられる加振力を防振
対象に及ぼすことによって、防振対象における振動を相
殺的乃至は積極的に低減せしめ得るのである。
【0058】次に、本発明の第二の実施形態として、本
発明を能動型防振用マウントに適用したものの一具体例
を、図4を参照しつつ、説明する。
【0059】すなわち、本実施形態としてのエンジンマ
ウント78は、離隔して対向配置された第一の取付部材
としての第一の取付金具80と第二の取付部材としての
第二の取付金具82が、本体ゴム弾性体84によって弾
性的に連結された構造とされており、第一及び第二の取
付金具80,82の何れか一方がパワーユニット等の振
動源側部材に固定されると共に、他方が車両ボデー等の
防振対象部材に固定されることにより、振動源側部材を
防振対象部材に対して防振支持せしめるようになってい
る。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として図
4中の上下方向をいうものとする。
【0060】より詳細には、第一の取付金具80は、そ
れぞれ、略有底円筒形状の上金具86と下金具88が、
各開口側で互いに軸方向に重ね合わされてボルト連結さ
れることにより、中空構造をもって形成されている。な
お、上金具86の底壁部には、外方に突出する取付ボル
ト92が固設されており、この取付ボルト92によっ
て、上金具86が振動源側部材または防振対象部材に取
り付けられるようになっている。
【0061】また、第一の取付金具80の中空内部に
は、略薄肉円板形状のゴム膜からなる可撓性膜94が配
設されており、その外周縁部が上下金具86,88間で
挟持されている。それによって、第一の取付金具80の
内部が、可撓性膜94を挟んで、上金具86側と下金具
88側とに流体密に二分されている。更に、上金具86
の筒壁部には通孔96が形成されており、上金具86の
内部空所が外部空間に連通されている。また一方、下金
具88の底壁部には、円板形状のオリフィス金具96が
重ね合わされてボルト固定されており、それら下金具8
8とオリフィス金具96の重ね合わせ面間に、周方向に
一周弱の長さで延びるオリフィス通路100が形成され
ている。
【0062】さらに、下金具88には、本体ゴム弾性体
84が加硫接着されている。この本体ゴム弾性体84
は、テーパ付の略厚肉円筒形状を呈しており、その小径
側の開口端面に下金具88の筒壁部外周面が加硫接着さ
れている。それによって、本体ゴム弾性体84の小径側
開口部が第一の取付金具80で閉塞されており、本体ゴ
ム弾性体84の内部に、下方に向って開口する凹所10
2が形成されている。
【0063】また、本体ゴム弾性体84の大径側の開口
端面には、円環ブロック形状の連結金具104が加硫接
着されている。そして、この連結金具104に対して、
円環ブロック形状を呈する第二の取付金具82が、軸方
向に重ね合わされて、ボルト固定されている。
【0064】更にまた、第二の取付金具82の中央孔1
06内には、全体として略浅底の有底円筒形状を有する
可動壁としての加振板108が配設されている。かかる
加振板108は、中央孔106の内径寸法よりも所定寸
法小さな外径寸法を有しており、その底壁部の中央部分
には、底壁部を軸方向に貫通した逆カップ形状の連結固
定部109が一体的に形成されている。そして、この加
振板108の筒壁部と第二の取付金具82の内周縁部の
間に略円環板形状を有する支持ゴム弾性体110が介装
されて、該支持ゴム弾性体110が加振板108と第二
の取付金具82に加硫接着されることにより、加振板1
08が第二の取付金具82によって弾性的に支持されて
いると共に、加振板108と支持ゴム弾性体110によ
って本体ゴム弾性体84の凹所102の開口部が流体密
に閉塞されている。
【0065】そして、凹所102の開口部が加振板10
8と支持ゴム弾性体110で流体密に閉塞されることに
より、壁部の一部が本体ゴム弾性体84で構成されて内
部に所定の非圧縮性流体が封入された受圧室112が形
成されている。即ち、かかる受圧室112には、振動入
力時に本体ゴム弾性体84が弾性変形することにより、
内圧変動が生ぜしめられるようになっている。
【0066】また一方、第一の取付金具80内に形成さ
れた下金具88側の空所にも非圧縮性流体が封入されて
おり、壁部の一部が可撓性膜94によって構成されて、
該可撓性膜94の変形に基づいて容積変化が容易に許容
される平衡室114が形成されている。なお、第一の取
付金具80内に形成された上金具86側の空所は、可撓
性膜94の変形を許容する空気室116とされている。
【0067】そして、これら受圧室112と平衡室11
4が、第一の取付金具80内に形成されたオリフィス通
路100を通じて相互に連通されており、振動入力時に
受圧室112と平衡室114の間に生ぜしめられる圧力
差に基づいて、オリフィス通路100を通じての流体流
動が生ぜしめられ、かかる流体流動によって生ぜしめら
れる流体の共振作用に基づいて防振効果が発揮されるよ
うになっている。なお、本実施形態では、オリフィス通
路100を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基
づいて、シェイク等の低周波数域の入力振動に対して有
効な防振効果が発揮されるように、オリフィス通路10
0の長さや断面積等がチューニングされている。
【0068】また、本実施形態では、流体の共振作用等
に基づく防振効果を有効に得るために、受圧室112お
よび平衡室114の封入流体として、例えば、水やアル
キレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコ
ーン油等の0.1Pa・s以下の粘度を有する低粘性流
体が好適に採用される。更にまた、かかる流体の封入
は、例えば、連結金具104に対する第二の取付金具8
2の取り付けを流体中で行うこと等によって、有利に為
され得る。
【0069】さらに、加振板108の下方には、加振器
118が配設されている。かかる加振器118は、第一
の実施形態としての能動型制振器(10)と同様な構造
とされており、第一の実施形態としての能動型制振器
(10)と同様な構造とされた部材および部位について
は、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に付
することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0070】より詳細には、加振器118は、図1に示
された能動型制振器(10)に比して、軸方向上側の板
ばね16を備えておらず、その代わりに、ヨーク金具1
2と加振金具14の各軸方向上端部が、受圧室112の
壁部の一部を構成する支持ゴム弾性体110によって弾
性的に連結されている。即ち、ヨーク金具12において
は、連結ボルト23として植込みボルトが採用されてお
り、該連結ボルト23によってヨーク金具12に加振板
108が同一中心軸上で連結固定されている一方、加振
金具14の外周縁部が第二の取付金具82に対して同一
中心軸上で重ね合わされてボルト126によって固定さ
れている。
【0071】なお、下側の板ばね16bの外周縁部に
は、軸方向下方に突出する円環ブロック形状のスペーサ
128が重ね合わせられて固着されており、下側のボル
ト72の突出した頭部の周囲が該スペーサ128が囲ま
れていることにより、かかるボルト63の頭部の他部材
への干渉が防止されるようになっている。
【0072】このような構造とされたエンジンマウント
78においては、加振器118のコイル18に対して、
制振すべき振動に対応した制御信号に基づいて給電する
ことによって、ヨーク金具12と加振金具14の間に軸
方向の相対変位力が生ぜしめられることとなり、この相
対変位力が加振板108に及ぼされることにより、加振
板108が支持ばね弾性体110の弾性変形に伴って、
軸方向上下に変位せしめられることとなる。そして、加
振板108が変位することによって、加振板108が直
接に壁部の一部を構成する受圧室112に圧力変動が生
ぜしめられることとなり、更に、この圧力変化に伴って
発生する加振力が防振対象部材に伝達されることによっ
て、能動的な防振効果が発揮され得るのである。
【0073】また、かかるエンジンマウント78におい
ては、その装着状態下で第一の取付金具80と第二の取
付金具82の間に防振すべき振動が入力されると、本体
ゴム弾性体84の弾性変形に基づいて受圧室112に圧
力変化が生ぜしめられて受圧室112と平衡室114の
相対的な圧力変動が惹起されることによって、それら両
室112,114間で、オリフィス通路100を通じて
の流体流動が生ぜしめられることとなる。それ故、オリ
フィス通路100を流動せしめられる流体の共振作用に
基づいて、エンジンシェイク等の低周波振動に対して、
受動的な防振効果が発揮されるのである。
【0074】更にまた、かかるエンジンマウント78に
おいては、加振板108が受圧室112に直接に臨まさ
れており、オリフィス通路100から独立して形成され
ていることから、オリフィス通路100のチューニング
周波数よりも高い周波数域においても、オリフィス通路
100の実質的な目詰まりによる悪影響が回避されて、
加振板108の加振によって、受圧室112を圧力制御
することが出来るのであり、具体的には、シェイク振動
よりも高周波数域のアイドリング振動やこもり音等の中
〜高周波振動に対しても、有効な防振効果を得ることが
可能となる。
【0075】ここにおいて、かかるエンジンマウント7
8においては、前述の如き特定構造の加振器118が採
用されていることから、加振板108の大きなストロー
ク範囲に亘って、加振板108に対して軸方向の加振力
を有効に且つ安定して及ぼすことが可能となるのであ
り、それ故、比較的に振幅の大きいアイドリング振動等
に対しても、能動的防振効果を有効に且つ安定して得る
ことが出来るのである。
【0076】また、装着状態下で静的な初期荷重が及ぼ
されることによって加振板108が所定量だけ軸方向に
変位して位置せしめられたり、或いは静的な荷重が変化
することによって加振板108が初期の位置から軸方向
に変位せしめられることによって、加振器118におけ
るヨーク金具12と加振金具14の初期的な相対位置が
軸方向に変化した場合でも、目的とする加振力を有効に
且つ安定して得ることが出来るのであり、それ故、所期
の能動的防振効果が効果的に発揮され得ることとなるの
である。
【0077】以上、本発明の幾つかの実施形態について
詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発
明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、
何等、限定的に解釈されるものではない。
【0078】例えば、磁極部および磁気吸引部をコイル
の軸方向両側で合計三つ以上形成することも可能であ
る。具体的には、例えば、図5に示されているような構
造が好適に採用され得る。
【0079】すなわち、図5には、本発明の第三の実施
形態としての制振器130が示されている。なお、以下
の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた
部材及び部位については、それぞれ、図中に第一の実施
形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説
明を省略する。
【0080】より詳細には、本実施形態の制振器130
においては、加振金具14の軸方向上端面に対して、そ
れぞれ強磁性材からなる調整板132と磁極板134が
重ね合わされて、加振金具14とスペーサ64の間に固
定的に配設されている。調整板132は、ヨーク金具1
2の上端部分と同一の内外径寸法を有する薄肉円環板形
状とされており、ヨーク金具12の上端面に重ね合わさ
れることにより、磁極板134の軸方向位置を調節する
ようになっている。
【0081】また、磁極板134は、加振金具14の外
径寸法と略同じ外形寸法を有していると共に、その内径
寸法が加振金具14の内径寸法よりも小さくされてお
り、かかる磁極板134によって、加振金具14の軸方
向上端部において径方向内方に向かって所定高さで突出
する環状の第二の上側径方向突部136が形成されてい
る。更に、この第二の上側径方向突部136における内
径寸法は、ヨーク金具12における上側ヨーク金具20
の大径部26の外径寸法より小さく、且つ中径部27の
外径寸法より僅かに大きくされており、中径部27に対
して、軸方向斜め上方に偏倚して径方向外方で斜めに対
向位置せしめられている。これにより、上側ヨーク金具
20の中径部27の外周縁部によって上側第二磁極部が
構成されており、コイル18への通電に際して、かかる
上側第二磁極部と磁極板134における第二の上側径方
向突部136の間に、前述の如き磁極部42a,42b
と径方向突部44,46の間に及ぼされる方向と同じ軸
方向の磁気吸引力が作用せしめられるようになってい
る。
【0082】このような構造とされた本実施形態の制振
器130においても、前記第一の実施形態の制振器(1
0)と同様な効果が何れも有効に発揮され得るのであ
り、また、それに加えて、本実施形態の制振器130で
は、加振金具14側における第二の上側径方向突部13
6が、上側ヨーク金具20の大径部26に対しても軸方
向で離隔して対向位置せしめられていることから、例え
ば、加振金具14とヨーク金具12の間に軸方向の大き
な相対変位(加振変位)が生ぜしめられた際には、第二
の上側径方向突部136が上側ヨーク金具20の中径部
27と径方向の投影で重なった後も、それら第二の上側
径方向突部136と大径部26の軸方向対向面間に生ぜ
しめられる磁力に基づいて有効な加振力が及ぼされ得る
といった効果がある。
【0083】更にまた、ヨーク金具12側や加振金具1
4側における磁路上に永久磁石を配設することも可能で
あり、その一具体例である制振器138が、図6におい
て、本発明の第四の実施形態として示されている。な
お、本実施形態において、第一の実施形態と同様な構造
とされた部材および部位については、その理解を容易と
するために、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付
しておく。
【0084】すなわち、本実施形態の制振器138は、
前述の第一の実施形態としての制振器(10)に比し
て、ヨーク金具12を構成する下側ヨーク金具22の中
軸部30の上端部分に永久磁石142が重ね合わせられ
て固定的に配設されていることを、特徴とする。具体的
には、下側ヨーク金具22の中軸部30が、コイル18
よりも所定寸法だけ軸方向に短くされており、この中軸
部30の上面に対して、該中軸部30と同一寸法の円形
断面を有する永久磁石142が重ね合わされて、該永久
磁石142が上下のヨーク金具20,22の間に密接状
態で挟まれて組み付けられている。
【0085】ここにおいて、かかる永久磁石142は、
コイル18への通電によってヨーク金具12に生ぜしめ
られる磁界と同一方向又は逆方向の磁界を該ヨーク金具
に与えるように軸方向両端部分に着磁されており、特に
本実施形態では、軸方向上端部がS極とされていると共
に、軸方向下端部がN極とされている。そして、この永
久磁石142によってヨーク金具12と加振金具14の
間に及ぼされる磁力と、板ばね16,16によってヨー
ク金具12と加振金具14の間に及ぼされる弾性力の釣
合状態下で、図6に示されている如きヨーク金具12と
加振金具14の相対位置が発現されるようになってい
る。
【0086】このような構造とされた本実施形態の制振
器138においても、前記第一の実施形態の制振器(1
0)と同様な効果が何れも有効に発揮され得るのであ
り、また、それに加えて、ヨーク金具12に永久磁石1
42が組み付けられていることにより、コイル18への
通電によってヨーク金具12に生ぜしめられる磁界と同
一方向乃至は逆方向の磁界が、コイル18への通電前に
予めヨーク金具12に及ぼされていることから、例え
ば、コイル18への通電初期におけるヨーク金具12の
透磁率が向上されて、磁極部42a,42bにおける磁
極が一層有利に形成され得るといった利点がある。
【0087】また、前記実施形態においては、何れも、
ヨーク金具12に対して単一のコイル18が組み付けら
れていたが、例えば、ヨーク金具12の軸方向に直列的
に重ね合わせて配設すること等によって、複数個のコイ
ルを採用することも可能である。
【0088】また、磁極部や磁気吸引部は、必ずしも周
方向に連続した環状乃至は筒状である必要はなく、周方
向で分断されて形成されていても良い。
【0089】また、磁路における初透磁率を向上させる
ためにヨーク金具12に組み付けられる永久磁石142
は、本発明において、必ずしも設ける必要はない。
【0090】また、前記第一の実施形態において、ヨー
ク金具12における磁極部42a,bと、加振金具14
における磁気吸引部としての上下径方向突部44,46
は、コイル18に通電されていない初期状態下において
軸方直角向で互いに重なっていなかったが、それら磁極
部42a,bと上下径方向突部44,46を、初期状態
下で互いに軸直角方向に重なるように配設しても良い。
具体的には、図7にモデル図が示されているように、磁
極部42a,42bの上端面、換言すればそれら磁極部
42a,42bにおける軸方向上側の外周エッジ部2
9,36が、上下径方向突部44,46の軸方向中心線
144よりも軸方向下方に位置せしめられていれば良
く、それによって、磁極部42,a,42bによる磁気
吸引力を、磁気吸引部としての上下方向突部44,46
に対して、軸方向の駆動力として効率的に及ぼすことが
出来るのである。
【0091】加えて、本発明は、自動車用の各種部材に
装着される各種制振器や、自動車用のエンジンマウン
ト,ボデーマウント、デフマウントなどの各種防振装置
の他、自動車以外の各種の機械装置等における防振装置
や、該防振装置用の加振器に対して、何れも適用可能で
あることは、勿論である。
【0092】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもない。
【0093】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた加振器においては、コイルへの通電
に伴って磁気吸引力が及ぼされるヨーク部材の磁極部と
加振部材の磁気吸引部が軸方向に傾斜して径方向で対向
位置せしめられていることから、ヨーク部材に対する加
振部材の軸方向での相対位置の変化量に対して、磁極部
と磁気吸引部の間に及ぼされる磁気吸引力の大きさの変
化量を小さく抑えることが出来る。その結果、ヨーク部
材に対する加振部材の軸方向における大きなストローク
範囲に亘って、安定した加振力を効率的に発生させるこ
とが可能となるのである。
【0094】また、このような加振器を採用した、本発
明に従う構造とされた制振器および能動型防振装置にお
いては、目的とする能動的な防振効果が有効に且つ安定
して発揮され得るのであり、例えば、装着状態下で入力
される初期荷重等によって加振器におけるヨーク部材と
加振部材の軸方向相対位置に影響が及ぼされるおそれが
ある場合等においても、目的とする能動的な防振効果を
有効に且つ安定して得ることが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての能動型制振器
を示す断面図である。
【図2】図1に示された能動型制振器に採用されている
板ばねの平面図である。
【図3】図1に示された能動型制振器の要部を拡大して
示すモデル図である。
【図4】本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す断面図である。
【図5】本発明の第三の実施形態としての能動型制振器
を示す断面図である。
【図6】本発明の第四の実施形態としての能動型制振器
を示す断面図である。
【図7】磁極部と磁気吸引部の軸方向の位置関係を示す
モデル図である。
【符号の説明】
10 制振器 12 ヨーク金具 14 加振金具 16 板ばね 18 コイル 29,36 外周エッジ部 42 磁極部 44 上側径方向突部 46 下側径方向突部 48,50 内周エッジ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J047 AA14 AA15 AB01 CA04 FA02 3J048 AA02 AD01 BA04 BE03 BE09 DA01 EA01 5D107 AA03 AA14 AA16 CC09 DD12 DE02 EE05 FF05 FF07 FF09 FF10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材からなるヨーク部材をコイルに挿
    通配置せしめると共に、該ヨーク部材を該コイルの軸方
    向両側に突出せしめて、該コイルの軸方向両側の外周部
    分において磁極部を該ヨーク部材によって形成する一
    方、磁性材からなる加振部材を該ヨーク部材の外周側に
    離隔して軸方向に相対変位可能に配設せしめると共に、
    それらヨーク部材と加振部材を軸方向で弾性的に相対位
    置決めする弾性支持部材を設け、更に該加振部材におい
    て該ヨーク部材の各磁極部の外周側に離隔して且つ軸方
    向一方の側に偏倚して対向位置せしめられた環状の磁気
    吸引部を形成して、前記コイルへの給電によって前記磁
    極部と前記磁気吸引部の間に作用せしめられる磁力に基
    づいて、前記ヨーク部材と前記加振部材に対して軸方向
    の相対的駆動力が及ぼされるようにしたことを特徴とす
    る能動型防振用加振器。
  2. 【請求項2】 前記加振部材を円筒形状とすると共に、
    該加振部材の軸方向両端部分においてそれぞれ径方向内
    方に突出する環状突出部を設けて、それら環状突出部に
    よって前記磁気吸引部を形成した請求項1に記載の能動
    型防振用加振器。
  3. 【請求項3】 前記ヨーク部材の磁極部を円筒形の外周
    面形状とする一方、前記加振部材の磁気吸引部を、該磁
    極部の外径寸法よりも大きな内径寸法を有する円筒形の
    内周面形状とした請求項1又は2に記載の能動型防振用
    加振器。
  4. 【請求項4】 前記ヨーク部材の磁極部と前記加振部材
    の磁気吸引部との少なくとも一方において、それらヨー
    ク部材と加振部材の相対的偏倚方向における近接側の端
    部に略直角な角部断面形状で周方向に延びる環状エッジ
    部を形成し、該環状エッジ部を、該磁極部と該磁気吸引
    部の他方における軸方向中心に対して、それら磁極部と
    磁気吸引部の偏倚方向に離隔位置せしめた請求項1乃至
    3の何れかに記載の能動型防振用加振器。
  5. 【請求項5】 前記ヨーク部材の磁極部と前記加振部材
    の磁気吸引部との両方において、略直角な角部断面形状
    で周方向に延びる環状エッジ部をそれぞれ形成すると共
    に、該磁極部の環状エッジ部と該磁気吸引部の環状エッ
    ジ部を対向位置せしめて、前記コイルへの通電によって
    それら磁極部と磁気吸引部の両環状エッジ部間に磁力が
    作用せしめられるようにした請求項1乃至4の何れかに
    記載の能動型防振用加振器。
  6. 【請求項6】 前記ヨーク部材及び/又は前記加振部材
    に対して、前記コイルへの通電によって生ぜしめられる
    磁束の方向と同一又は反対の方向に磁束を及ぼし得るよ
    うに永久磁石を配設した請求項1乃至5の何れかに記載
    の能動型防振用加振器。
  7. 【請求項7】 制振対象に取り付けられる固定部材に対
    して、マス部材を弾性支持せしめると共に、該マス部材
    を加振駆動するアクチュエータを設けた能動型制振器に
    おいて、 請求項1乃至6の何れかに記載の能動型防振用加振器を
    用い、前記ヨーク部材と前記加振部材の何れか一方に前
    記固定部材を固設すると共に、それらヨーク部材と加振
    部材の他方に前記マス部材を固設したことを特徴とする
    能動型制振器。
  8. 【請求項8】 防振連結される部材にそれぞれ取り付け
    られる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性
    体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が
    構成されて非圧縮性流体が封入された主液室を形成する
    一方、該主液室の壁部の別の一部を変位可能な可動壁で
    構成すると共に、該可動壁を加振駆動するアクチュエー
    タを設けた流体封入式の能動型マウントにおいて、 請求項1乃至6の何れかに記載の能動型防振用加振器を
    用い、前記ヨーク部材と前記加振部材の何れか一方に前
    記第二の取付部材を固設すると共に、それらヨーク部材
    と加振部材の他方に前記可動壁を固設したことを特徴と
    する能動型マウント。
  9. 【請求項9】 壁部の一部が前記可動壁で構成された副
    液室を、前記主液室から独立して形成すると共に、それ
    ら主液室と副液室を相互に連通するオリフィス通路を設
    けた請求項8に記載の能動型マウント。
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