JP2618784B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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JP2618784B2
JP2618784B2 JP1853192A JP1853192A JP2618784B2 JP 2618784 B2 JP2618784 B2 JP 2618784B2 JP 1853192 A JP1853192 A JP 1853192A JP 1853192 A JP1853192 A JP 1853192A JP 2618784 B2 JP2618784 B2 JP 2618784B2
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fluid
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coil
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明良 井出
勝博 後藤
穣 石岡
芳樹 舟橋
錬太郎 加藤
徹 松井
良二 神田
篤 村松
恵一 石破
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、自動車のエンジンマウント等に
用いられる流体封入式の防振装置に係り、特に防振特性
を外部から制御することのできる流体封入式防振装置に
関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振装置として、それぞれ防振連結乃至は支
持される部材の各一方に取り付けられる第一の支持金具
と第二の支持金具とを、それら両金具間に介装されたゴ
ム弾性体にて、弾性的に連結せしめてなる防振装置が知
られており、例えば、自動車用エンジンマウントやサス
ペンション・ブッシュ等として用いられてきている。
【0003】ところで、このような防振装置において
は、近年の自動車の高級化等に伴い、要求される防振特
性が高度化してきており、それに対処するための一つの
方策として、例えば特開昭57−9340号公報等に開
示されているように、オリフィス通路を通じて相互に連
通された複数の流体室を形成し、かかるオリフィス通路
を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、
防振効果を得るようにした構造の防振装置が、種々提案
されている。
【0004】しかしながら、かくの如きオリフィス通路
を備えた流体封入式の防振装置にあっては、流体の共振
作用に基づく防振効果が、予めチューニングされた狭い
周波数域の入力振動にしか有効に発揮され得ず、それよ
りも高周波数域の振動入力時には、オリフィス通路が実
質的に閉塞化することにより高動ばね化が惹起されて、
防振性能が著しく低下することが避けられないために、
未だ、満足できる防振特性を得ることができなかったの
である。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、入力振動に応じて防振特性を切換制御する
ことが可能で、広い周波数域の入力振動に対して、何れ
も、良好なる防振効果を得ることのできる流体封入式防
振装置を提供することにある。
【0006】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明にあっては、互いに所定距離を隔てて配された第一
の支持金具と第二の支持金具とを、それらの間に介装さ
れたゴム弾性体にて連結すると共に、内部に所定の非圧
縮性流体が封入された流体室を、かかるゴム弾性体にて
壁部の一部を構成して設けてなる流体封入式防振装置に
おいて、前記流体室の壁部の一部を、前記第二の支持金
具により、弾性支持部材を介して、変位可能に支持され
た振動板にて構成する一方、かかる振動板の背後に磁歪
素子を配設せしめて、該磁歪素子を前記振動板と前記第
二の支持金具との間で伸縮方向の予荷重を加えて保持せ
しめると共に、かかる磁歪素子の回りを周方向に延びる
コイルを配設して、該コイルへの通電にて前記磁歪素子
に対して磁界の変化を及ぼすようにした流体封入式防振
装置を、その特徴とするものである。
【0007】また、本発明にあっては、互いに所定距離
を隔てて配された第一の支持金具と第二の支持金具と
を、それらの間に介装されたゴム弾性体にて連結すると
共に、内部に所定の非圧縮性流体が封入された流体室
を、かかるゴム弾性体にて壁部の一部を構成して設けて
なる流体封入式防振装置において、前記流体室の壁部の
一部を、前記第二の支持金具により、弾性支持部材を介
して、変位可能に支持された振動板にて構成する一方、
かかる振動板の背後に磁歪素子を配設せしめて、該磁歪
素子を前記振動板と前記第二の支持金具との間で保持せ
しめると共に、かかる磁歪素子に対して伸縮方向の磁界
を及ぼす永久磁石を設け、更に該磁歪素子の回りを周方
向に延びるコイルを配設して、該コイルへの通電にて前
記磁歪素子に対して磁界の変化を及ぼすようにした流体
封入式防振装置をも、その特徴とするものである。
【0008】更にまた、本発明にあっては、互いに所定
距離を隔てて配された第一の支持金具と第二の支持金具
とを、それらの間に介装されたゴム弾性体にて連結する
と共に、内部に所定の非圧縮性流体が封入された流体室
を、かかるゴム弾性体にて壁部の一部を構成して設けて
なる流体封入式防振装置において、前記流体室の壁部の
一部を、前記第二の支持金具により、弾性支持部材を介
して、変位可能に支持された振動板にて構成する一方、
かかる振動板の背後に磁歪素子を配設せしめて、該磁歪
素子を前記振動板と前記第二の支持金具との間で伸縮方
向の予荷重を加えて保持せしめると共に、かかる磁歪素
子に対して伸縮方向の磁界を及ぼす永久磁石を設け、更
に該磁歪素子の回りを周方向に延びるコイルを配設し
て、該コイルへの通電にて前記磁歪素子に対して磁界の
変化を及ぼすようにした流体封入式防振装置をも、その
特徴とするものである。
【0009】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳
細に説明することとする。
【0010】先ず、図1には、本発明に従う構造とされ
た自動車用エンジンマウントの具体例が示されている。
かかる図において、10は第一の支持金具、12は第二
の支持金具であり、互いに所定距離を隔てて対向配置さ
れていると共に、それらの間に介装されたゴム弾性体1
4にて、互いに弾性的に連結されている。そして、かか
るエンジンマウントにあっては、第一の支持金具10お
よび第二の支持金具12の各一方が、パワーユニット側
またはボデー側に取り付けられることにより、パワーユ
ニットをボデーに対して防振支持せしめることとなる。
【0011】より詳細には、第一の支持金具10は、そ
れぞれ開口周縁部に外フランジ部20,22が設けられ
た略有底円筒形状を呈する上金具16と下金具18と
が、開口側において互いに重ね合わされて、外フランジ
部20,22においてボルト連結されることにより構成
されている。なお、上金具16の底壁部には、取付ボル
ト19が、外方に突出して立設されており、この取付ボ
ルト19により、かかる第一の支持金具10が、パワー
ユニット側またはボデー側に取り付けられるようになっ
ている。
【0012】また、この第一の支持金具10の内部に
は、上下金具16,18間において、それら上下金具1
6,18の凹部23,25により、空所が形成されてい
る。そして、この空所内に、略薄肉の円板形状を呈する
可撓性膜24が収容配置されており、外周縁部を、上下
金具16,18の外フランジ部20,22間で挟持され
ることにより装着されている。即ち、この可撓性膜24
により、かかる空所が、上金具16の凹部23側と下金
具18の凹部25側とに流体密に二分されているのであ
る。
【0013】一方、第二の支持金具12は、略円環ブロ
ック形状の環状金具26と、開口周縁部に外フランジ部
27を備えた略有底円筒形状の底金具28とによって構
成されている。そして、環状金具26の軸方向端面が、
底金具28の外フランジ部27上に重ね合わされて、複
数本のボルト30にて一体的に連結固定されることによ
り、第二の支持金具12とされている。
【0014】そして、この第二の支持金具12を構成す
る環状金具26が、前記第一の支持金具10を構成する
下金具18に対して、軸方向に所定距離を隔てて対向位
置せしめられており、それら第一の支持金具10と環状
金具26との間に介装されたゴム弾性体14によって、
互いに弾性的に連結されている。かかるゴム弾性体14
は、テーパが付された円筒形状を呈しており、その小径
側の開口端面に対して下金具18の筒壁部外周面が固着
されている一方、大径側の開口端面に対して環状金具2
6の軸方向端面が固着されている。即ち、このゴム弾性
体14は、下金具18と環状金具26とを有する一体加
硫成形品として形成されているのである。
【0015】また、かかるゴム弾性体14にて、第一の
支持金具10と第二の支持金具12とが連結されること
により、それらの間に、内部空所が形成されている。そ
して、かかる内部空所には、円板形状を呈する振動板3
2が、第一の支持金具10と第二の支持金具12との対
向方向に対して直角な方向に広がる状態で、それら第一
の支持金具10と第二の支持金具12との対向方向にお
ける中間部分に配設せしめられている。
【0016】さらに、この振動板32の外周縁部には、
軸方向に突出する環状の竪周壁部34が一体的に設けら
れており、かかる竪周壁部34の外周面が、径方向外方
に所定距離を隔てて配された取付リング36に対して、
それらの間に介装された円環板の支持ゴム38を介し
て、弾性的に連結されている。そして、かかる取付リン
グ36が、前記環状金具26に対して、複数本のボルト
40にて固定されることにより、振動板32が、第二の
支持金具12に装着されている。即ち、この振動板32
は、第二の支持金具12に対し、支持ゴム38の弾性変
形に基づいて変位可能に、取り付けられているのであ
る。
【0017】また、かかる振動板32の第二の支持金具
12への装着により、第一の支持金具10と第二の支持
金具12との間に形成された内部空所が流体密に二分さ
れている。そして、振動板32に対して第一の支持金具
10側には、壁部に一部がゴム弾性体14にて構成され
て、内部に所定の非圧縮性流体が封入された受圧室42
が形成されている。なお、かかる封入流体としては、例
えば水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコ
ール、シリコーン油等が、好適に用いられる。
【0018】すなわち、この受圧室42にあっては、第
一の支持金具10と第二の支持金具12との間への振動
入力時に、ゴム弾性体14の弾性変形に基づいて、内圧
変動が惹起されるようになっているのである。なお、こ
のことから明らかなように、本実施例では、かかる受圧
室42にて流体室が構成されている。
【0019】また一方、前記第一の支持金具10の内部
に形成された空所のうち、下金具18の凹部25側に
も、受圧室42と同一の非圧縮性流体が封入されてい
る。それによって、かかる下金具18の凹部25によ
り、可撓性膜24の変形に基づいて容易に容積変化が許
容される平衡室44が形成されている。なお、可撓性膜
24を挟んで、平衡室44と反対側に位置する、上金具
16の凹部23側の空所は、かかる可撓性膜24の変形
を許容する空気室46とされている。
【0020】更にまた、それら受圧室42と平衡室44
とを仕切る隔壁を構成する下金具18の底壁部には、円
板金具48が重ね合わされて、ボルト50により固定さ
れている。この円板金具48には、下金具18に対する
重ね合わせ面上に、周方向に延びる周溝52が設けられ
ている。それによって、下金具18に重ね合わされた
際、それら円板金具48と下金具18との重ね合わせ面
間において、周方向に所定長さで延び、その周方向両端
部が、下金具18および円板金具48に設けられた連通
孔を通じて、受圧室42および平衡室44に連通せしめ
られたオリフィス通路54が形成されている。
【0021】そして、振動入力時に受圧室42に内圧変
動が惹起された際、受圧室42と平衡室44との間で、
オリフィス通路54を通じての流体の流動が生ぜしめら
れることにより、かかる流体の流動作用乃至は共振作用
に基づいて、所定の防振効果が発揮されることとなるの
である。なお、本実施例では、オリフィス通路54を通
じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、シェ
イク等の低周波大振幅振動の入力時に高減衰効果が発揮
され得るように、オリフィス通路54の長さや断面積等
が、チューニングされている。
【0022】一方、振動板32を挟んで、受圧室42の
反対側に位置する、底金具28の内部には、振動板32
を駆動するための駆動手段56が収容されて、受圧室4
2の壁部の一部を構成する振動板32の背後に配設され
ている。
【0023】かかる駆動手段56は、円形ロッド状を呈
する磁歪素子58を備えている。また、この磁歪素子5
8の軸方向両端部には、鉄等の強磁性材から成る上下の
ヨーク60,62が、それぞれ組み付けられている。こ
れら上下のヨーク60,62は、何れも、全体として略
円板形状を有していると共に、その一方の面上に、軸方
向中央部において突出する円形突部64と、外周縁部に
おいて突出する環状突部66とを、一体的に備えてお
り、磁歪素子58の軸方向両端面に対して、各々の円形
突部64の突出端面が当接せしめられることにより、互
いに軸方向に重ね合わされて、組み付けられている。
【0024】また、磁歪素子58の外側には、それを取
り巻くように巻回されたコイル68が、上下のヨーク6
0,62間に配設されている。このコイル68は、アル
ミニウム合金や合成樹脂等の非磁性材料にて形成された
ボビン70が、磁歪素子58の外周面に対して所定間隙
を隔てて外挿位置せしめられた状態で、下側のヨーク6
2に対して、接着剤やボルト止等によって固着されてい
る。また、かかるコイル68のボビン70と上側のヨー
ク60との間にも、所定の間隙が形成されている。それ
によって、磁歪素子58における軸方向の伸縮変形が、
コイル68にて阻害されることなく、許容され得るよう
になっているのである。
【0025】更にまた、コイル68の外側には、磁歪素
子58およびコイル68の周りを囲むように、円筒形状
の永久磁石72が配設されている。この永久磁石72
は、軸方向両端部分に磁極部を有するものであり、上下
のヨーク60,62における環状突部66,66の対向
面間に介装されている。そして、その軸方向下端面が、
下側のヨーク62の環状突部66の突出端面に対して固
着されている一方、軸方向上端面が、上側のヨーク60
の環状突部66の突出端面に対して所定間隙を隔てて対
向位置せしめられて、磁歪素子58における軸方向の伸
縮変形を許容し得る状態で、配設されている。
【0026】すなわち、かくの如く、磁歪素子58、上
下のヨーク60,62、コイル68および永久磁石72
によって構成された駆動手段56にあっては、コイル6
8への通電によって生ぜしめられる磁界が磁歪素子58
に及ぼされることとなり、以て、かかる磁歪素子58に
対して磁歪(軸方向の伸縮)が惹起せしめられるように
なっているのである。
【0027】なお、そこにおいて、かかる磁歪素子58
としては、アルフェロ等の一般的な磁性材料を用いるこ
とも可能であるが、特に、テルビウム(Tb)等の希土
類元素を含む磁性材料が、磁歪量(変位乃至は変形量)
が大きいことから好適に用いられる。更に、特に本実施
例では、かかる磁歪素子58として、磁界を及ぼすこと
によって伸長変形が惹起される、所謂正磁歪材料が採用
されている。
【0028】また、かかる駆動手段56においては、上
下のヨーク60,62と磁歪素子58とによって、永久
磁石72の両磁極部を磁気的に接続する閉磁路形態の磁
路が構成されている。それによって、かかる永久磁石7
2による磁力が、磁歪素子58に対して効率的に及ぼさ
れているのであり、以て、該磁歪素子58に対して、そ
の伸縮方向にバイアス磁界が及ぼされている。即ち、こ
のようなバイアス磁界を及ぼすことにより、磁歪素子5
8における磁歪感度の向上が図られると共に、該磁歪素
子58に対して交番磁界を及ぼすことによって、正負の
伸縮を有利に得ることが可能となるという効果がある。
なお、バイアス磁界の大きさは、磁歪素子58の材質
や、後述するプレ・コンプレッションの大きさ等にもよ
るが、通常、100〜10000Oe程度の磁界を及ぼ
すことが、有効である。
【0029】そして、かくの如き駆動手段56は、振動
板32と底金具28との間に介装されて、上側のヨーク
60が振動板32に対して、下側のヨーク62が底金具
28に対して、それぞれ当接固定されて配設せしめられ
ている。また、そのような配設状態下では、振動板32
の背面に上側のヨーク60が圧接されて、該振動板32
が上方に押し上げられており、それによって、駆動手段
56の磁歪素子58に対して、支持ゴム38の弾性力に
基づく、軸方向の正の予荷重(プレ・コンプレッショ
ン)が及ぼされている。
【0030】すなわち、正磁歪材料からなる磁歪素子5
8を用いた本実施例では、このようなプレ・コンプレッ
ションを及ぼすことにより、磁歪素子58における磁歪
感度の向上が図られることとなり、大きな変位量を確保
することが可能となるのである。なお、プレ・コンプレ
ッションの大きさは、磁歪素子58の材質等にもよる
が、通常、40〜200 kgf/cm2程度の圧力を及ぼすこ
とが、有効である。
【0031】従って、上述の如き構造とされたエンジン
マウントにおいては、コイル68に交番電流を通電する
ことにより、該コイルの磁気作用によって、磁歪素子5
8に対して、コイル68への通電電流に略比例した磁界
が及ぼされることとなるところから、かかる磁歪素子5
8が伸縮変形せしめられて、その変形が振動板32に及
ぼされることにより、該振動板32が、受圧室42の容
積を変化させる方向に駆動せしめられることとなる。
【0032】それ故、このコイル68に対する通電を、
パワーユニットの運転状態や車体側への振動伝達状態等
に応じて、その振幅、周波数、位相等に関して制御し、
入力振動によって生ぜしめられる受圧室42の内圧変動
に応じて、振動板32を加振することにより、受圧室4
2の内圧を制御することができるのであり、それによっ
て、マウントの防振特性を、防振すべき振動に応じて、
適宜、変更することが可能となるのである。
【0033】具体的には、例えば、シェイクやバウンス
等の低周波振動の入力時には、振動板32を、入力振動
と同位相で振動させて、受圧室42の内圧を積極的に発
生せしめ、オリフィス通路54を通じて流動せしめられ
る流体の流通量の増大を図ることにより、高減衰特性を
発揮させることができる。また一方、コモリ音等の原因
となる中乃至高周波振動の入力時には、振動板32を、
入力振動と逆位相で振動させて、受圧室42の内圧を吸
収乃至は軽減せしめることにより、低動ばね特性を発揮
させることができるのである。
【0034】しかも、駆動手段として磁歪素子58を用
いていることから、大きな駆動力を容易に得ることがで
きると共に、優れた応答速度を確保することが可能であ
り、それによって、低周波から高周波に至る広い周波数
域の振動入力時に、受圧室42の内圧制御を有効に且つ
安定して行なうことができるのである。因みに、Tb系
の磁性材料においては、150kgf/mm2 以上の発生応力
を得ることが可能である。
【0035】また、上述の如き構造のエンジンマウント
にあっては、磁歪素子58に対して、軸方向(伸縮方
向)のプレ・コンプレッションが加えられていることか
ら、かかる磁歪素子58の変位量、延いては振動板32
の変位量を、より効率的に得ることができるのであり、
それによって、目的とする防振特性が有利に発揮され得
ることとなる。
【0036】さらに、かかるエンジンマウントにおいて
は、磁歪素子58に対してバイアス磁界が及ぼされてい
ることから、磁歪素子58の変位量、延いては振動板3
2の変位量を、より一層効率的に得ることができると共
に、コイル68に対する交番電流の通電により、磁歪素
子58に対して、バイアス磁界を中心とした波形磁界が
及ぼされることとなるところから、コイル68への通電
制御が容易となるという利点も有しているのである。
【0037】また、本実施例のエンジンマウントにおい
ては、正磁歪材料から成る磁歪素子58に対して、正の
予荷重が及ぼされていることから、磁歪素子58におけ
る引張応力の発生が有効に軽減乃至は防止され得るので
あり、それによって、磁歪素子58、延いてはマウント
の耐久性が有利に確保され得るのである。
【0038】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これは文字通りの例示であって、本発明は、かか
る具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0039】例えば、前記実施例では、流体室(受圧室
42)に対して、オリフィス通路54を通じて連通され
た平衡室44が設けられていたが、それらオリフィス通
路や平衡室は、必ずしも設ける必要はない。
【0040】そして、それらオリフィス通路や平衡室を
有しない防振装置であっても、流体室の内圧を制御する
ことにより、防振特性の切換制御に基づく、前述の如き
効果は、有効に発揮され得ることとなる。
【0041】また、前記実施例の如き正磁歪材料から成
る磁歪素子の他、磁界を及ぼすことによって収縮変位乃
至は変形が惹起される負の磁歪材料から成る磁歪素子を
用いることも可能である。
【0042】更にまた、磁歪材料の種類等に応じ、磁歪
感度を向上させるために、磁歪素子に対して、負の予荷
重(引張荷重)を加えることも、可能である。
【0043】さらに、前記実施例では、振動板32が、
第二の支持金具12に対して、支持ゴム38を介して、
弾性支持されていたが、かかる支持ゴム38の代わり
に、板バネ等を使用することも可能である。
【0044】また、前記実施例では、磁歪素子58に対
して、予荷重とバイアス磁界とが加えられていたが、そ
れら予荷重とバイアス磁界との何れか一方だけを磁歪素
子に対して加えることによっても、有効な磁歪感度を得
ることができるものであり、必ずしも、それら予荷重と
バイアス磁界とを併せ備える必要はない。
【0045】そして、磁歪素子58に対してバイアス磁
界を及ぼさない場合には、ヨーク60,62や永久磁石
72が不要となることから、磁歪素子58の軸方向両端
部を、直接に、振動板32および底金具28に対して当
接、接続せしめることも可能である。
【0046】加えて、前記実施例では、ゴム弾性体14
を振動入力方向に挟んだ両側部分に、それぞれ第一の支
持金具10と第二の支持金具12とが対向して固着され
た、所謂非筒型のマウントタイプの防振装置に対して、
本発明を適用したものの具体例を示したが、その他、例
えば、互いに径方向に所定距離を隔てて配された内筒金
具と外筒金具とを、それらの間に介装されたゴム弾性体
に連結せしめてなる、所謂筒型タイプの防振装置に対し
ても、本発明は、同様に適用され得るものである。
【0047】また、前記実施例では、本発明を自動車用
エンジンマウントに対して適用したものの具体例を示し
たが、その他、自動車用ボデーマウントやデフマウン
ト、サスペンション・ブッシュ、或いは自動車以外の各
種装置における防振装置に対しても、同様に、適用され
得ることは、勿論である。
【0048】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【0049】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、コ
イルに対する通電にて、磁歪素子に及ぼされる磁界を変
化させることにより、かかる磁歪素子の変位(伸縮変
形)に基づいて、振動板が駆動(振動)せしめられると
ころから、入力振動に応じて、コイルに対する通電電流
を制御することにより、流体室の内圧変化を制御し、マ
ウント防振特性を、適宜、変更することが可能となるの
である。
【0050】しかも、かかる流体封入式防振装置におい
ては、磁歪素子の変位に基づいて、振動板が駆動される
ようになっていることから、該振動板に対する大きな駆
動力を優れた応答速度をもって得ることができるのであ
り、それ故、大きな駆動力が要求される低周波大振幅振
動の入力時における流体室の内圧制御と、速い応答速度
が要求される高周波小振幅振動の入力時における流体室
の内圧制御とが、何れも、有利に且つ安定して為され得
ることとなり、以て、目的とする防振特性が、広い周波
数域に亘って、高度に実現され得ることとなるのであ
る。
【0051】さらに、本発明に係る流体封入式防振装置
にあっては、磁歪素子に対して、伸縮方向の予荷重また
はバイアス磁界が及ぼされていることから、かかる磁歪
素子の感度が有利に向上され得るのであり、その歪量、
延いては振動板の変位量を、より効率的に確保すること
ができるという利点をも、有しているのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての自動車用エンジンマ
ウントを示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 第一の支持金具 12 第二の支持金具 26 環状金具 28 底金具 32 振動板 38 支持ゴム 42 受圧室 56 駆動手段 58 磁歪素子 68 コイル 72 永久磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 舟橋 芳樹 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 加藤 錬太郎 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 松井 徹 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 神田 良二 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 村松 篤 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 石破 恵一 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−24338(JP,A) 特開 平5−10372(JP,A) 特開 昭57−9340(JP,A) 特開 平5−149370(JP,A) 実開 平5−50200(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに所定距離を隔てて配された第一の
    支持金具と第二の支持金具とを、それらの間に介装され
    たゴム弾性体にて連結すると共に、内部に所定の非圧縮
    性流体が封入された流体室を、かかるゴム弾性体にて壁
    部の一部を構成して設けてなる流体封入式防振装置にお
    いて、 前記流体室の壁部の一部を、前記第二の支持金具によ
    り、弾性支持部材を介して、変位可能に支持された振動
    板にて構成する一方、かかる振動板の背後に磁歪素子を
    配設せしめて、該磁歪素子を前記振動板と前記第二の支
    持金具との間で伸縮方向の予荷重を加えて保持せしめる
    と共に、かかる磁歪素子の回りを周方向に延びるコイル
    を配設して、該コイルへの通電にて前記磁歪素子に対し
    て磁界の変化を及ぼすようにしたことを特徴とする流体
    封入式防振装置。
  2. 【請求項2】 互いに所定距離を隔てて配された第一の
    支持金具と第二の支持金具とを、それらの間に介装され
    たゴム弾性体にて連結すると共に、内部に所定の非圧縮
    性流体が封入された流体室を、かかるゴム弾性体にて壁
    部の一部を構成して設けてなる流体封入式防振装置にお
    いて、 前記流体室の壁部の一部を、前記第二の支持金具によ
    り、弾性支持部材を介して、変位可能に支持された振動
    板にて構成する一方、かかる振動板の背後に磁歪素子を
    配設せしめて、該磁歪素子を前記振動板と前記第二の支
    持金具との間で保持せしめると共に、かかる磁歪素子に
    対して伸縮方向の磁界を及ぼす永久磁石を設け、更に該
    磁歪素子の回りを周方向に延びるコイルを配設して、該
    コイルへの通電にて前記磁歪素子に対して磁界の変化を
    及ぼすようにしたことを特徴とする流体封入式防振装
    置。
  3. 【請求項3】 互いに所定距離を隔てて配された第一の
    支持金具と第二の支持金具とを、それらの間に介装され
    たゴム弾性体にて連結すると共に、内部に所定の非圧縮
    性流体が封入された流体室を、かかるゴム弾性体にて壁
    部の一部を構成して設けてなる流体封入式防振装置にお
    いて、 前記流体室の壁部の一部を、前記第二の支持金具によ
    り、弾性支持部材を介して、変位可能に支持された振動
    板にて構成する一方、かかる振動板の背後に磁歪素子を
    配設せしめて、該磁歪素子を前記振動板と前記第二の支
    持金具との間で伸縮方向の予荷重を加えて保持せしめる
    と共に、かかる磁歪素子に対して伸縮方向の磁界を及ぼ
    す永久磁石を設け、更に該磁歪素子の回りを周方向に延
    びるコイルを配設して、該コイルへの通電にて前記磁歪
    素子に対して磁界の変化を及ぼすようにしたことを特徴
    とする流体封入式防振装置。
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