JP3132172B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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JP3132172B2
JP3132172B2 JP21630292A JP21630292A JP3132172B2 JP 3132172 B2 JP3132172 B2 JP 3132172B2 JP 21630292 A JP21630292 A JP 21630292A JP 21630292 A JP21630292 A JP 21630292A JP 3132172 B2 JP3132172 B2 JP 3132172B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、流体封入式防振装置に係り、特
に流体室の壁部の一部を加振して内圧を制御することに
より、防振特性を切換制御するようにした流体封入式防
振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振装置の一種として、それぞれ、防振連結
乃至は支持される部材の各一方に取り付けられる第一の
支持金具と第二の支持金具とを、それら両金具間に介装
されたゴム弾性体にて、弾性的に連結せしめてなる防振
装置が知られており、例えば、自動車用エンジンマウン
トやサスペンション・ブッシュ等として用いられてきて
いる。
【0003】また、近年では、より高度な防振特性を実
現するための一つの手段として、かかる防振装置に対し
て、壁部の一部がゴム弾性体にて構成された、内部に所
定の非圧縮性流体が封入されてなる流体室を設け、振動
入力時に惹起される流体室の内圧を制御することによ
り、防振特性が入力振動等に応じて切換制御されるよう
にした流体封入式の構造が、種々提案されている。
【0004】例えば、特開昭59−1828号公報や特
開昭59−1829号公報、実開平3−73741号公
報等には、流体室の壁部の一部を振動板にて構成し、こ
の振動板を電磁力にて加振することにより、流体室の内
圧を制御せしめて、防振特性を入力振動等に応じて切換
制御するようにしたものが、提案されている。
【0005】また、本願出願人においても、先に、特願
平3−339876号、特願平3−341930号等と
して、流体室の壁部の一部を変位可能な振動板にて構成
し、そして該振動板の背後に永久磁石を配設すると共
に、かかる永久磁石の両極部に第一及び第二のヨーク
を、それぞれ、接続して、それら第一のヨークと第二の
ヨークとの端部対向面間に環状のギャップ部を有する磁
路を形成する一方、かかるギャップ部に沿って周方向に
延びるリング状のコイルを変位可能に配設せしめて、該
コイルを前記振動板に連結し、かかるコイルへの通電に
て前記振動板を加振するようにした流体封入式防振装置
を提案した。
【0006】ところで、上記のような構造の流体封入式
防振装置にあっては、何れも、永久磁石とコイルとによ
って振動板を駆動する電磁力が生ぜしめられるようにな
っており、またそのような電磁力によって加振せしめら
れる振動板は、かかるコイルを保持するボビン等が連結
されて所定の重量を有し、これがゴム等で支持されて変
位可能とされているところから、所定の共振点を有し、
このため、前記電磁力による振動との共振により、大き
な振動が得られ、以てその共振点で、防振装置としての
大きな制御力が得られることとなるのであり、その制御
力のパターンは、図2において破線で示されるようなも
のであった。
【0007】しかしながら、図2における破線で示され
る制御力パターンにあっては、図からも明らかなよう
に、共振点を間にして、その両側の領域は、制御力が小
さく、特に、共振点よりも高周波側の領域において、制
御力の低下が著しい問題を内在していたのであり、また
エンジンのアイドル振動等の低周波数の振動にあって
は、その振幅が大であるところから、共振点よりも低周
波側の領域においても、大きな制御力を得ることが望ま
れている。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
に鑑みて為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、アイドル振動等の低い周波数領域での制御力を
向上せしめ、また高い周波数領域での制御力をも、有利
に高め得た流体封入式防振装置を提供することにある。
【0009】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明は、互いに所定距離を隔てて配された第一の支持金
具と第二の支持金具とを、それらの間に介装されたゴム
弾性体にて連結すると共に、内部に所定の非圧縮性流体
が封入された流体室を、かかるゴム弾性体にて壁部の一
部を構成して設けてなる流体封入式防振装置において、
前記流体室の壁部の一部を、ゴム部材により弾性的に支
持された変位可能な振動板にて構成し、更に該振動板の
背後に永久磁石を配設すると共に、該振動板に連結され
たボビンに保持せしめたコイルを該永久磁石に対して変
位可能に配して、それら永久磁石とコイルによって発生
せしめられる電磁力にて該振動板を加振せしめるように
する一方、該振動板に対して、弾性部材を介して、所定
質量のマス部材を弾性的に取り付けたことを特徴とする
ものである。
【0010】
【作用・効果】このような本発明に従う構造とされた流
体封入式防振装置にあっては、永久磁石とコイルとによ
って発生せしめられる電磁力にて加振される振動板に対
して、弾性部材を介して、所定質量のマス部材が弾性的
に取り付けられ、以てそこにダイナミックダンパ機構が
形成されていることにより、かかる振動板の共振点が二
つに分割され、もとの共振点の両側に分離された状態と
なることにより、低周波側及び高周波側における制御力
を効果的に高めることが出来ることとなったのである。
【0011】従って、特に、エンジンのアイドル振動
等、低い周波数領域では、入力振動の振幅が高く、その
ために防振装置の制御力が大なるものが要求されている
が、上述の如く、本発明に従う防振装置にあっては、そ
のような低周波数領域の制御力が効果的に高められてい
るために、効率の良い防振装置として用いることができ
ることとなったのであり、また高周波数領域での制御力
も向上せしめられているところから、従来装置の如き振
動板の共振点以降の制御力の落ち込みも、有利に改善さ
れ得ることとなったのである。
【0012】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の代表的な実施例について、図面を参照し
つつ、詳細に説明することとする。
【0013】先ず、図1には、本発明に従う構造とされ
た自動車用エンジンマウントの一例が示されている。か
かる図において、10は第一の支持金具、12は第二の
支持金具であり、互いに所定距離を隔てて対向配置され
ていると共に、それらの間に介装されたゴム弾性体14
にて、互いに弾性的に連結されている。そして、かかる
エンジンマウントにあっては、第一の支持金具10およ
び第二の支持金具12の各一方が、パワーユニット側ま
たはボデー側に取り付けられることにより、パワーユニ
ットをボデーに対して防振支持せしめ得るようになって
いる。
【0014】より具体的には、第一の支持金具10は、
それぞれ開口周縁部に外フランジ部20,22が設けら
れた略有底円筒形状を呈する上金具16と下金具18と
が、それらの開口側において互いに重ね合わされて、両
外フランジ部20,22においてボルト連結されること
によって構成されている。なお、上金具16の底壁部に
は、取付ボルト21が、外方に突出して立設されてお
り、この取付ボルト21により、かかる第一の支持金具
10が、パワーユニット側またはボデー側に取り付けら
れるようになっている。
【0015】また、この第一の支持金具10の内部に
は、上金具16と下金具18との間において、それら金
具16,18の凹部23,25により、所定大きさの空
所が形成されている。そして、この空所内に、それを二
分するように、略薄肉の円板形状を呈する可撓性膜24
が収容配置されており、その外周縁部を上金具16,下
金具18の外フランジ部20,22間で挟持せしめるこ
とによって、かかる可撓性膜24が取り付けられてい
る。即ち、この可撓性膜24により、かかる空所が、上
金具16の凹部23側と下金具18の凹部25側とに流
体密に仕切られているのである。
【0016】一方、第二の支持金具12は、略大径の円
環ブロック形状を呈しており、第一の支持金具10の下
金具18に対して、軸方向に所定距離を隔てて対向位置
せしめられている。そして、これら第一の支持金具10
と第二の支持金具12との間には、ゴム弾性体14が介
装されて、このゴム弾性体14にて、それら両金具1
0,12が、弾性的に連結せしめられている。なお、か
かるゴム弾性体14は、テーパが付された円筒形状乃至
は円錐台形状を呈しており、その小径側の開口端面に対
して、第一の支持金具10の下金具18の底壁部外周面
が固着されている一方、大径側の開口端面に対しては、
第二の支持金具12の軸方向端面が固着されている。即
ち、このゴム弾性体14は、下金具18と第二の支持金
具12とを有する一体加硫成形品として形成されている
のである。
【0017】また、かかるゴム弾性体14にて、第一の
支持金具10と第二の支持金具12とが連結されること
により、それらの間に、第二の支持金具12の内孔を通
じて外部に開口する凹所26が形成されている。即ち、
図1から明らかなように、テーパーの付いた円筒形状の
ゴム弾性体14の小径側の開口部が、第一の支持金具1
0によって閉塞されることにより、凹所26が、かかる
ゴム弾性体14内に形成され、そして、該ゴム弾性体1
4の大径側の開口部に環状の第二の支持金具12が取り
付けられていることによって、凹所26は、第二の支持
金具12の内孔に接続されているのである。
【0018】さらに、第二の支持金具12の内部には、
前記凹所26の開口部に位置して、略薄肉円板形状を有
する振動板27が配設されている。この振動板27の外
周縁部には、径方向外方に広がる円環板状の支持ゴム2
8を介して、同様な円環板形状の取付リング30が一体
的に取り付けられており、この取付リング30が第二の
支持金具12に対してボルト固定されることにより、か
かる振動板27が、第二の支持金具12に取り付けられ
るようになっている。従って、振動板27は、第二の支
持金具12に対して、支持ゴム28の弾性変形に基づい
て、変位可能に取り付けられているのである。
【0019】そして、かかる振動板27の第二の支持金
具12への装着により、前記凹所26の開口部が流体密
に閉塞されることとなり、それによって、そこに所定の
非圧縮性流体が封入された受圧室32が形成されてい
る。なお、封入流体としては、例えば水やアルキレング
リコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等
が、好適に用いられる。
【0020】このようにして形成される受圧室32にあ
っては、壁部の一部がゴム弾性体14にて構成されてお
り、第一の支持金具10と第二の支持金具12との間に
おける振動入力時に、かかるゴム弾性体14の弾性変形
に基づいて、内圧変動が惹起されるようになっているの
である。なお、このことから明らかなように、本実施例
では、かかる受圧室32にて流体室が構成されている。
【0021】また一方、前記第一の支持金具10の内部
に形成された空所のうち、下金具18の凹部25側に
も、受圧室32と同一の非圧縮性流体が封入されてい
る。それによって、かかる下金具18の凹部25によ
り、可撓性膜24の変形に基づいて容易に容積変化が許
容される平衡室34が形成されている。なお、可撓性膜
24を挟んで、平衡室34と反対側に位置する、上金具
16の凹部23側の空所は、該可撓性膜24の変形を許
容する空気室36とされている。
【0022】更にまた、それら受圧室32と平衡室34
とを仕切る隔壁を構成する下金具18の底壁部には、円
板金具38が重ね合わされて、ボルト固定されている。
この円板金具38には、下金具18に対する重ね合わせ
面上に、周方向に延びる周溝40が設けられている。そ
れによって、下金具18に重ね合わされた際、それら円
板金具38と下金具18との重ね合わせ面間において、
周方向に所定長さで延び、その周方向両端部が、下金具
18および円板金具38に設けられた連通孔を通じて、
受圧室32および平衡室34に連通せしめられたオリフ
ィス通路46が形成されている。
【0023】そして、振動入力時に受圧室32に内圧変
動が惹起された際、受圧室32と平衡室34との間で、
オリフィス通路46を通じての流体の流動が生ぜしめら
れることにより、かかる流体の流動作用乃至は共振作用
に基づいて、所定の防振効果が発揮されることとなるの
である。なお、本実施例では、オリフィス通路46を通
じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、シェ
イク等の低周波大振幅振動の入力時に高減衰効果が発揮
され得るように、オリフィス通路46の長さや断面積等
が、チューニングされている。
【0024】一方、第二の支持金具12には、本発明に
従うところの電磁駆動手段48が装着されており、受圧
室32の壁部の一部を構成する前記振動板27の背後に
位置するように設けられている。
【0025】すなわち、かかる電磁駆動手段48は、厚
肉円筒形状を呈し、軸方向両端部(図中、上下方向)が
磁極部とされた永久磁石50を備えている。この永久磁
石50における一方の磁極側端面(図中、上側端面)に
は、該永久磁石50よりも所定寸法大径で、厚肉円環板
形状を呈する端部金具54が、当接せしめられて取り付
けられている。また、この永久磁石50は、開口周縁部
に外フランジ部52が設けられた有底円筒形状を呈する
底金具56の内部に収容されており、該底金具56の底
部中央に対して、端部金具54が取り付けられていない
他方の磁極側端面が当接せしめられて、同心的に配置さ
れている。更に、この底金具56と端部金具54とが複
数の固定ボルト58にて連結固定されることにより、永
久磁石50が、それら両金具54,56間で挟持され
て、固定せしめられている。
【0026】また、上記端部金具54と底金具56は、
何れも、鉄等の強磁性材料にて形成されている。それに
よって、永久磁石50の周囲に略閉磁路形態の磁路が形
成されていると共に、かかる磁路上に位置する端部金具
54の外周面と、これに対向する底金具56の端面間に
おいて、周方向に連続した円環状乃至は円筒状のギャッ
プ部60が形成されているのである。なお、このことか
ら明らかなように、本実施例では、端部金具54及び底
金具56が、ヨークを構成しており、これによって、閉
磁路が有利に形成されると共に、磁束密度の漏れが効果
的に抑制乃至は阻止され得るようになっている。また、
端部金具54と底金具56とを連結する固定ボルトは、
合成樹脂やアルミニウム合金等の非磁性材料にて形成さ
れており、磁路の短絡が防止されるようになっている。
【0027】一方、振動板27には、合成樹脂やアルミ
ニウム等の非磁性材料にて形成された有底円筒形状のボ
ビン62が、その底部において、ボルト及びナットにて
固定せしめられており、そしてこのボビン62の円筒形
状の筒壁部64が、前記端部金具54と底金具56との
径方向対向面間に形成されたギャップ部60内に、軸方
向に相対的に移動可能に挿入配置せしめられ、更にこの
筒壁部64の外周面に円環状乃至は円筒状のコイル66
が固定せしめられており、これによって、コイル66と
ボビン62とが、ギャップ部60内において、永久磁石
50や端部金具54、底金具56に対して、一体的に変
位可能とされている。なお、このボビン62に取り付け
られたコイル66には、外部から、リード68を通じ
て、所定の電流が通電せしめられるようになっている。
【0028】さらに、ボビン62の底部中央部には、所
定大きさの貫通孔70が形成されており、この貫通孔7
0を通じて、振動板27の永久磁石50対向側の面か
ら、弾性部材としてのゴム72にて保持された所定質量
のマス部材74が垂下せしめられて、端部金具54及び
永久磁石50の内孔内に延びている。要するに、このゴ
ム72及びマス部材74によって、振動板27に対する
ダイナミックダンパ機構が構成されているのである。
【0029】従って、上述の如き構造とされたエンジン
マウントにおいては、コイル66に交番電流を通電する
ことにより、コイル66に対してフレミングの左手の法
則に従う電磁力(ローレンツ力)が発生し、それによっ
て、かかるコイル66が装着されたボビン62を介し
て、振動板27に対して、前記電流に比例する駆動力が
及ぼされることとなる。そして、このコイル66に対す
る通電を制御し、入力振動によって生ぜしめられる受圧
室32の内圧変動に応じて、振動板27を加振すること
により、受圧室32の内圧を制御することができるので
あり、それによって、マウントの防振特性を、適宜、変
更することが可能となるのである。
【0030】具体的には、例えば、低周波振動の入力時
には、振動板27を、入力振動と同位相で振動させて、
受圧室32の内圧を積極的に発生せしめ、オリフィス通
路46を通じて流動せしめられる流体の流通量の増大を
図ることにより、高減衰特性を発揮させることができる
のであり、また、中乃至高周波振動の入力時には、振動
板27を入力振動と逆位相で振動させて、受圧室32の
内圧を吸収乃至は軽減せしめることにより、低動ばね特
性を発揮させることができるのである。
【0031】しかも、かかる構造のエンジンマウントに
あっては、振動板27に対して、更にゴム72及びマス
部材74からなるダイナミックダンパ機構が附与されて
いるところから、振動板27のマスバネ共振による制御
力のピーク(共振点)が消滅せしめられて、その両側
に、制御力の高い領域が形成されるようになるところか
ら、低周波数領域での制御力の向上が達成されると共
に、高周波数領域での制御力の向上も、有利に達成し得
るのである。
【0032】すなわち、図2に、上述の如きダイナミッ
クダンパ機構を設けた本発明に従うエンジンマウント装
置と、そのようなダイナミックダンパ機構を設けていな
いエンジンマウント装置における制御力パターンを示す
が、この図2より明らかなように、破線にて示される従
来装置の制御力パターンにおいては、共振点において大
きな制御力を得ることが出来るが、その両側の領域にお
いては、制御力が極端に小さくなるのに対して、実線で
示される本発明装置の制御力パターンにあっては、従来
装置の共振点の両側の低周波数領域及び高周波数領域に
おいて大きな制御力が得られ(斜線部分)、これによっ
て、エンジンのアイドル振動等の低周波数の振動に対す
る防振制御が効果的に高められ得ることとなったのであ
り、また高周波数領域での制御力も、従来装置のそれに
比べて、著しく改善され得たのである。
【0033】なお、上例の如き構造のエンジンマウント
においては、電磁駆動手段48におけるコイル66が配
設されるギャップ部60が、閉磁路形態をもって形成さ
れた磁路上に形成されており、これによって、永久磁石
50からの漏れ磁束が効果的に抑制され得て、ギャップ
部60における磁束密度が効率的に確保されることか
ら、コイル66への通電時に大きな電磁力が発生せしめ
られ得て、振動板27の駆動力を有利に確保することが
できる利点がある。
【0034】また、図3には、本発明の別の実施例とし
て、本発明を所謂ブッシュタイプのエンジンマウントに
適用したものの一例が示されている。
【0035】そこにおいて、エンジンマウントは、互い
に径方向に所定距離を隔てて、且つ所定量だけ偏心して
配された内筒金具80と外筒金具82とが、それらの間
に介装されたゴム弾性体84にて、互いに弾性的に連結
されることによって構成されたマウント本体86を備え
ており、かかるマウント本体86が、ブラケット88に
対して、一体的に組み付けられて成る構造とされてい
る。そして、かかるエンジンマウントにあっては、マウ
ント本体86の内筒金具80が、ボデー側およびパワー
ユニット側の何れか一方に取り付けられると共に、外筒
金具82が、ブラケット88を介して、ボデー側および
パワーユニット側の何れか他方に取り付けられることに
より、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめ
るようになっている。
【0036】なお、そのような装着状態下において、マ
ウント本体86にあっては、内外筒金具80,82間に
及ぼされるパワーユニット重量にてゴム弾性体84が変
形することにより、内外筒金具80,82が略同軸的に
位置せしめられるのである。また、かくの如き装着状態
下、このエンジンマウントには、内外筒金具80,82
の偏心方向(図3中の上下方向)に、防振すべき主たる
振動が入力されることとなる。
【0037】ところで、このようなマウント本体86の
構造は、よく知られており、例えば特開平1−1538
31号公報等を参照すれば、自ずから明らかなところで
あるので、ここでは、詳細な説明は省略して、その構造
を簡単に説明するに止めることとする。
【0038】すなわち、そのようなマウント本体86に
おいては、ゴム弾性体84と外筒金具82とによって形
成される受圧室90が、薄肉のゴム膜からなる変形可能
なダイヤフラム92と外筒金具82との間に形成される
平衡室94に対して、所定長さ及び断面積のオリフィス
96を通じて連通せしめられ、それら受圧室90及び平
衡室94内に収容された前記実施例と同様な非圧縮性流
体が、オリフィス96を通じて、相互に流動せしめられ
るようになっている。
【0039】また、受圧室90内には、よく知られてい
るように、傘金具98が配置され、その脚部において、
内筒金具80に固定せしめられており、この内筒金具8
0と共に傘金具98が、外筒金具82に対して、相対的
に移動(図において上下方向に)せしめられることによ
って、傘金具98の傘部の周りに形成された環状の狭窄
部に位置する流体の流動作用乃至は共振作用に基づい
て、よく知られているように、所定の防振効果が発揮さ
れ得るようになっている。
【0040】そして、このような構造とされたマウント
本体86は、ブラケット88に対して一体的に組み付け
られることとなるが、このブラケット88には、ボデー
側或いはパワーユニット側に固定するための取付部10
0が、外方に突出して一体的に設けられていると共に、
その中心部分を貫通して、円形の装着孔102が形成さ
れており、この装着孔102内にマウント本体86が圧
入固定されることによって組み付けられようになってい
る。
【0041】また、ブラケット88には、その装着孔1
02に装着されたマウント本体86における受圧室90
の外側に位置する部分に、周壁部を貫通して延びる透孔
104が設けられており、更にこの透孔104の内側開
口部上に位置するマウント本体86の外筒金具82に
は、貫通孔106が設けられている。それによって、か
かる透孔104が、貫通孔106を通じてマウント本体
86の受圧室90に連通せしめられている。
【0042】一方、かかる透孔104の外側開口部は、
所定寸法拡径されており、そこに、略円板形状を呈する
振動板108が配設されている。この振動板108の外
周縁部には、そのマウント本体86側の面を覆い、径方
向外方に広がる円板状の支持ゴム110を介して、取付
リング112が取り付けられており、この取付リング1
12がブラケット88に対してボルト固定されることに
より、振動板108がブラケット88に取り付けられて
いる。即ち、この振動板108は、ブラケット88に対
して、支持ゴム110の弾性変形に基づいて、変位可能
に取り付けられているのである。
【0043】そして、かかる振動板108の取付けによ
り、ブラケット88に設けられた透孔104の開口部が
流体密に覆蓋せしめられ、そしてそれによって、内部に
所定の非圧縮性流体が封入されて、前記受圧室90に連
通せしめられた副液室114が形成されている。従っ
て、本実施例においては、これら受圧室90と副液室1
14によって、振動入力時に内圧変動が惹起される流体
室が構成されているのである。
【0044】なお、上記副液室114を形成する透孔1
04内には、その内周面上に円筒状のシールゴムスリー
ブ116が挿入配置されており、ブラケット88にボル
ト固定された円環板状の押え金具120とマウント本体
86の外筒金具82との間で、軸方向に挟圧されること
により、副液室114と受圧室90との接続部がシール
されるようになっている。
【0045】そして、上記ブラケット88には、副液室
114の壁部の一部を構成する振動板108の背後(図
において上方)に位置するようにして、電磁駆動手段1
22が装着されている。
【0046】この電磁駆動手段122は、前記実施例に
おける電磁駆動手段48とは異なり、径方向に着磁され
た円筒形状の永久磁石124が用いられており、この永
久磁石124が、有底円筒形状を成すキャップ部材12
6の内周部に嵌め込まれて、押え金具128にて支持さ
れた状態下において、かかるキャップ部材126のフラ
ンジ部において、ブラケット88に対してボルト固定さ
れて取り付けられている。また、キャップ部材126の
底部内面には、円柱形状を成すブロック130がボルト
固定されており、このブロック130の外周面と円筒状
永久磁石124の内周面との間に、所定間隙のギャップ
部132が形成されている。そして、このキャップ部材
126及びブロック130が、鉄等の強磁性材料にて形
成されていることによって、略閉磁路形態の磁路が形成
されているのである。
【0047】そして、かかる円筒形状の永久磁石124
と内側のブロック130との間に形成された円環状乃至
は円筒状のギャップ部132内には、前記実施例と同様
に非磁性材料にて形成された有底円筒状のボビン134
が、その円筒形状の筒壁部136において、軸方向に相
対的に移動可能に挿入配置せしめられ、更にこの筒壁部
136の外周面に、円環状乃至は円筒状のコイル138
が固定せしめられており、これによって、コイル138
とボビン134とが、ギャップ部132内において、永
久磁石124やブロック130に対して、一体的に変位
可能とされている。なお、このボビン134に取り付け
られたコイル138には、外部から、リード140を通
じて、所定の電流が通電せしめられるようになってい
る。
【0048】そして、振動板108の副液室114側の
面には、所定質量のマス部材142が、支持ゴム110
から一体的に延びる弾性材料としてのゴム144にて保
持され、副液室114内に垂下せしめられている。即
ち、このゴム144及びマス部材142によって、振動
板108に対するダイナミックダンパ機構が構成されて
いるのである。
【0049】従って、このような実施例の構造の装置、
即ち、円筒型構造、所謂ブッシュ型のエンジンマウント
においても、本発明は有利に適用され得るのであり、そ
れによって、前記実施例と同様な効果が、有効に奏され
得ることとなるのである。
【0050】以上、本発明の代表的実施例について詳細
に述べてきたが、それらは文字通りの例示であって、本
発明が、そのような具体例にのみ限定して解釈されるも
のでないことは言うまでもないところであり、本発明
が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改
良等を加えた態様において実施され、またそのような実
施形態が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何
れも、本発明の範囲に含まれるものであることが理解さ
れるべきである。
【0051】例えば、前記実施例では、何れも、流体室
(受圧室32,受圧室90及び副液室114)に対し
て、オリフィス通路46,96を通じて連通された平衡
室34,94が設けられていたが、それらオリフィス通
路や平衡室は、必ずしも設ける必要はないのである。そ
して、それらオリフィス通路や平衡室を有しない防振装
置であっても、流体室の内圧を制御することにより、防
振特性の切換制御に基づく、前述した如き効果は、有効
に達成され得るのである。
【0052】また、本発明は、上記例示の如きヨーク部
材を用いて構成された閉磁路構造を採用する電磁駆動手
段において、有利に実施され得るものであるが、従来か
ら公知の、開磁路構造を採用する電磁駆動手段に対して
も、適用することが可能である。
【0053】さらに、本発明において、振動板27,1
08に対して、ゴム72,144を介して取り付けら
れ、ダイナミックダンパ機構を構成するマス部材74,
142は、振動板27,108の共振に合わせて、その
共振点の両側に実現される制御力の向上効果の程度に応
じて、適宜の重さにおいて用いられることとなるが、一
般に、かかるマス部材74,142の重さとしては、ボ
ビン62,134やコイル66,138を含む振動板2
7,108の全体の重さの10%〜30%程度の範囲内
で選択されることとなる。マス部材74,142の重さ
が、そのような振動板全体の重さの10%未満の場合に
は、振動板の共振点の分割効果が充分でなく、また30
%を越えるようになると、その重さに見合う効果を充分
に享受し得なくなるからである。
【0054】更にまた、前記実施例では、ボビン62,
134が振動板27,108に対して別体構造とされ、
それらがボルト及びナットにて連結されているが、それ
らボビン及び振動板は、射出成形等によって形成された
一体的構造のものであっても、何等差支えないのであ
る。
【0055】なお、上記の実施例は、何れも、本発明を
自動車用エンジンマウントに対して適用したものの具体
例であったが、その他、自動車用ボデーマウントやデフ
マウント、サスペンション・ブッシュ、或いは自動車以
外の各種装置における防振装置に対しても、同様に、本
発明が適用され得ることは、言うまでもないところであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う自動車用エンジンマウントの一例
を示す縦断面説明図である。
【図2】本発明装置と従来装置の制御力パターンを示す
グラフである。
【図3】本発明に従う円筒型構造の自動車用のエンジン
マウントの一例を示す横断面説明図である。
【符号の説明】
10 第一の支持金具 12 第二の支持金具 14,84 ゴム弾性体 27,108 振動板 28,110 支持ゴム 32,90 受圧室 48,122 電磁駆動手段 50,124 永久磁石 54 端部金具 56 底金具 60,132 ギャップ部 62,134 ボビン 66,138 コイル 72,144 ゴム 74,142 マス部材 80 内筒金具 82 外筒金具 86 マウント本体 88 ブラケット 114 副液室 126 キャップ部材 130 ブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−187476(JP,A) 特開 昭59−1828(JP,A) 特開 昭59−1829(JP,A) 特開 平5−149369(JP,A) 特開 平5−149370(JP,A) 特開 昭61−2940(JP,A) 実開 昭61−191543(JP,U) 実開 平3−73741(JP,U) 実開 昭62−119550(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 13/26 B60K 5/12 F16F 15/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに所定距離を隔てて配された第一の
    支持金具と第二の支持金具とを、それらの間に介装され
    たゴム弾性体にて連結すると共に、内部に所定の非圧縮
    性流体が封入された流体室を、かかるゴム弾性体にて壁
    部の一部を構成して設けてなる流体封入式防振装置にお
    いて、 前記流体室の壁部の一部を、ゴム部材により弾性的に支
    持された変位可能な振動板にて構成し、更に該振動板の
    背後に永久磁石を配設すると共に、該振動板に連結され
    たボビンに保持せしめたコイルを該永久磁石に対して変
    位可能に配して、それら永久磁石とコイルによって発生
    せしめられる電磁力にて該振動板を加振せしめるように
    する一方、該振動板に対して、弾性部材を介して、所定
    質量のマス部材を弾性的に取り付けたことを特徴とする
    流体封入式防振装置。
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