JP2510916B2 - 流体封入式防振装置の製作方法 - Google Patents

流体封入式防振装置の製作方法

Info

Publication number
JP2510916B2
JP2510916B2 JP34958591A JP34958591A JP2510916B2 JP 2510916 B2 JP2510916 B2 JP 2510916B2 JP 34958591 A JP34958591 A JP 34958591A JP 34958591 A JP34958591 A JP 34958591A JP 2510916 B2 JP2510916 B2 JP 2510916B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
permanent magnet
metal fitting
vibration
support
fitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP34958591A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05164182A (ja
Inventor
勝博 後藤
明良 井出
穣 石岡
錬太郎 加藤
徹 松井
良二 神田
篤 村松
恵一 石破
芳樹 舟橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP34958591A priority Critical patent/JP2510916B2/ja
Priority to US07/979,934 priority patent/US5333846A/en
Publication of JPH05164182A publication Critical patent/JPH05164182A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2510916B2 publication Critical patent/JP2510916B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、自動車のエンジンマウント等に
用いられる流体封入式防振装置の製作方法に係り、特に
流体室の壁部の一部を加振して内圧を制御することによ
り防振特性を切換制御するようにした流体封入式防振装
置において、大きな加振力を容易に得ることのできる流
体封入式防振装置の製作方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振装置の一種として、それぞれ防振連結乃
至は支持される部材の各一方に取り付けられる第一の支
持金具と第二の支持金具とを、それら両金具間に介装さ
れたゴム弾性体にて、弾性的に連結せしめてなる防振装
置が知られており、例えば、自動車用エンジンマウント
やサスペンション・ブッシュ等として用いられてきてい
る。
【0003】また、近年では、より高度な防振特性を実
現するための一つの手法として、かかる防振装置に対し
て、壁部の一部がゴム弾性体にて構成された、内部に所
定の非圧縮性流体が封入されてなる流体室を設け、振動
入力時に惹起される流体室の内圧を制御することによ
り、防振特性を入力振動等に応じて切換制御するように
した流体封入式の防振装置が、提案されている。
【0004】例えば、特開昭59−1828号公報や特
開昭59−1829号公報,実開平3−73741号公
報等には、流体室の壁部の一部を振動板にて構成して、
この振動板を電磁力にて加振することにより、流体室の
内圧を制御せしめて、防振特性を入力振動等に応じて切
換制御するようにしたものが提案されている。
【0005】しかしながら、それら公報に開示されてい
る如き、従来構造の流体封入式防振装置にあっては、何
れも、永久磁石によって形成される磁路が、開磁路形態
とされており、コイルが置かれる領域の磁束密度を効率
的に確保することができないために、特に入力振動荷重
の大きな中低周波数域の振動入力時には、振動板の駆動
力を十分に確保することが難しく、流体室の有効な内圧
制御が困難となって、実用上、満足できる防振特性を得
ることができないという問題があった。
【0006】さらに、そのように永久磁石によって形成
される磁路が、開磁路形態とされているために、磁束密
度が略一定の領域を形成することができず、振動板が駆
動されて変位せしめられた際に、コイルに及ぼされる磁
束密度が大きく変化することとなり、そのために、振動
板に及ぼされる駆動力が不安定となり、流体室の内圧制
御に歪みが生じることが避けられず、目的とする防振特
性を十分に得ることができないという問題も有していた
のである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、大きく且つ略一定の磁束密度が及ぼされる
領域を形成することができ、それによって、振動板に対
する加振力が十分に確保され得て、流体室の内圧制御に
よる目的とする防振特性の切換制御効果を有効に得るこ
とのできる流体封入式防振装置の製作方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の要旨とするところは、(a)互いに所定距離を隔
てて配された第一の支持金具および第二の支持金具と、
(b)該第一の支持金具と該第二の支持金具との間に介
装されて、それら両支持金具を連結するゴム弾性体と、
(c)該ゴム弾性体にて壁部の一部が構成されて、内部
に所定の非圧縮性流体が封入された流体室と、(d)前
記第二の支持金具に対して変位可能に支持されて、該流
体室の壁部の一部を構成する振動板と、(e)該振動板
の背後に配設された永久磁石と、(f)該永久磁石の一
方の磁極部に接続された第一のヨークと、(g)前記永
久磁石の他方の磁極部に接続されて、該第一のヨークと
の端部対向面間に環状のギャップ部を形成する第二のヨ
ークと、(h)かかるギャップ部内に変位可能に配され
て、前記振動板に連結された、該ギャップ部に沿って周
方向に延びるリング状の可動コイルとを設け、かかる可
動コイルへの通電にて前記振動板を加振せしめるように
した流体封入式防振装置を製作するに際して、未着磁状
態にある前記永久磁石に対して、前記第一のヨークおよ
び前記第二のヨークを組み付けて、前記ギャップ部を有
する磁路を構成せしめた後、かかる永久磁石に対して着
磁することを特徴とする流体封入式防振装置の製作方法
にある。
【0009】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳
細に説明することとする。
【0010】先ず、図1には、本発明に従って製作され
た自動車用エンジンマウントの具体例が示されている。
かかる図において、10は第一の支持金具、12は第二
の支持金具であり、互いに所定距離を隔てて対向配置さ
れていると共に、それらの間に介装されたゴム弾性体1
4にて、互いに弾性的に連結されている。そして、かか
るエンジンマウントにあっては、第一の支持金具10お
よび第二の支持金具12の各一方が、パワーユニット側
またはボデー側に取り付けられることにより、パワーユ
ニットをボデーに対して防振支持せしめることとなる。
【0011】より詳細には、第一の支持金具10は、そ
れぞれ開口周縁部に外フランジ部20,22が設けられ
た略有底円筒形状を呈する上金具16と下金具18と
が、開口側において互いに重ね合わされて、外フランジ
部20,22においてボルト連結されることにより構成
されている。なお、上金具16の底壁部には、取付ボル
ト19が、外方に突出して立設されており、この取付ボ
ルト19により、かかる第一の支持金具10が、パワー
ユニット側またはボデー側に取り付けられるようになっ
ている。
【0012】また、この第一の支持金具10の内部に
は、上下金具16,18間において、それら上下金具1
6,18の凹部23,25により、空所が形成されてい
る。そして、この空所内に、略薄肉の円板形状を呈する
可撓性膜24が収容配置されており、外周縁部を、上下
金具16,18の外フランジ部20,22間で挟持され
ることにより装着されている。即ち、この可撓性膜24
により、かかる空所が、上金具16の凹部23側と下金
具18の凹部25側とに流体密に二分されているのであ
る。
【0013】一方、第二の支持金具12は、略大径の円
環ブロック形状を呈しており、第一の支持金具10の下
金具18に対して、軸方向に所定距離を隔てて対向位置
せしめられている。そして、これら第一の支持金具10
と第二の支持金具12との間には、ゴム弾性体14が介
装されており、該ゴム弾性体14にて、それら両金具1
0,12が、弾性的に連結されている。かかるゴム弾性
体14は、テーパが付された円筒形状を呈しており、そ
の小径側の開口端面に対して下金具18の筒壁部外周面
が固着されている一方、大径側の開口端面に対して第二
の支持金具12の軸方向端面が固着されている。即ち、
このゴム弾性体14は、下金具18と第二の支持金具1
2とを有する一体加硫成形品として形成されているので
ある。
【0014】また、かかるゴム弾性体14にて、第一の
支持金具10と第二の支持金具12とが連結されること
により、それらの間に、第二の支持金具12の内孔を通
じて外部に開口する凹所26が形成されている。
【0015】さらに、第二の支持金具12の内部には、
前記凹所26の開口部に位置して、振動板27が配設さ
れている。この振動板27の外周縁部には、径方向外方
に広がる円環板状の支持ゴム28を介して、取付リング
30が取り付けられており、この取付リング30が第二
の支持金具12に対して、複数本のボルト31にて固定
されることにより、かかる振動板27が、第二の支持金
具12に装着されている。即ち、この振動板27は、第
二の支持金具12に対し、支持ゴム28の弾性変形に基
づいて変位可能に、取り付けられているのである。
【0016】また、かかる振動板27の第二の支持金具
12への装着により、前記凹所26の開口部が流体密に
覆蓋されている。そして、そこに所定の非圧縮性流体が
封入された受圧室32が形成されている。なお、かかる
封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール、
ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が、好適に
用いられる。
【0017】すなわち、この受圧室32にあっては、そ
の壁部の一部がゴム弾性体14にて構成されており、第
一の支持金具10と第二の支持金具12との間への振動
入力時に、かかるゴム弾性体14の弾性変形に基づい
て、内圧変動が惹起されるようになっているのである。
なお、このことから明らかなように、本実施例では、か
かる受圧室32にて流体室が構成されている。
【0018】また一方、前記第一の支持金具10の内部
に形成された空所のうち、下金具18の凹部25側に
も、受圧室32と同一の非圧縮性流体が封入されてい
る。それによって、かかる下金具18の凹部25によ
り、可撓性膜24の変形に基づいて容易に容積変化が許
容される平衡室34が形成されている。なお、可撓性膜
24を挟んで、平衡室34と反対側に位置する、上金具
16の凹部23側の空所は、かかる可撓性膜24の変形
を許容する空気室36とされている。
【0019】更にまた、それら受圧室32と平衡室34
とを仕切る隔壁を構成する下金具18の底壁部には、円
板金具38が重ね合わされて、ボルト固定されている。
この円板金具38には、下金具18に対する重ね合わせ
面上に、周方向に延びる周溝40が設けられている。そ
れによって、下金具18に重ね合わされた際、それら円
板金具38と下金具18との重ね合わせ面間において、
周方向に所定長さで延び、その周方向両端部が、下金具
18および円板金具38に設けられた連通孔42,44
を通じて、受圧室32および平衡室34に連通せしめら
れたオリフィス通路46が形成されている。
【0020】そして、振動入力時に受圧室32に内圧変
動が惹起された際、受圧室32と平衡室34との間で、
オリフィス通路46を通じての流体の流動が生ぜしめら
れることにより、かかる流体の流動作用乃至は共振作用
に基づいて、所定の防振効果が発揮されることとなるの
である。なお、本実施例では、オリフィス通路46を通
じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、シェ
イク等の低周波大振幅振動の入力時に高減衰効果が発揮
され得るように、オリフィス通路46の長さや断面積等
が、チューニングされている。
【0021】さらに、前記第二の支持金具12には、振
動板27を駆動するための電磁駆動手段48が装着され
ており、受圧室32の壁部の一部を構成する振動板27
の背後に配設されている。
【0022】かかる電磁駆動手段48は、円形ブロック
形状を呈し、軸方向両端部(図中、上下方向)が磁極部
とされた永久磁石50を備えている。そして、この永久
磁石50は、開口周縁部に外フランジ部52が設けられ
た有底円筒形状を呈する底金具54の内部に収容されて
おり、該底金具54の底部中央に対して、一方の磁極側
端面が当接して配されている。
【0023】また、かかる永久磁石50における他方の
磁極側端面には、略厚肉の円板形状を呈する端部金具5
6が、当接して配されている。ここにおいて、この端部
金具56の外径は、永久磁石50よりも大径で、且つ底
金具54の筒壁部内径よりも小径とされており、永久磁
石50から径方向外方に所定寸法で突出せしめられてい
る。そして、この端部金具56と底金具54とが、複数
本の固定ボルト58にて連結固定されることにより、永
久磁石50が、それら両金具56,54間で挟持されて
固定せしめられている。
【0024】更にまた、底金具54の開口部には、略円
環形状の周縁金具60が配設され、複数本の固定ボルト
61によって、固定されている。この周縁金具60は、
底金具54の開口部において、径方向内方に突出して位
置せしめられており、その外周面が底金具54に当接せ
しめられている一方、その内周面が端部金具56の外周
面に対して径方向に所定距離を隔てて対向せしめられて
いる。
【0025】また、これら底金具54、端部金具56お
よび周縁金具60は、何れも、鉄等の強磁性材料にて形
成されている。それによって、永久磁石50の周囲に、
略閉磁路形態の磁路が形成されていると共に、かかる磁
路上に位置する端部金具56と周縁金具60との径方向
対向面間において、周方向に連続した円環状乃至は円筒
状のギャップ部62が形成されているのである。
【0026】なお、このことから明らかなように、本実
施例では、底金具54および周縁金具60によって第一
のヨークが構成されていると共に、端部金具56によっ
て第二のヨークが構成されている。また、底金具54と
端部金具56とを連結する前記固定ボルト58は、アル
ミニウム合金等の非磁性材料にて形成されており、磁路
の短絡が防止されている。
【0027】ところで、上述の如く、閉磁路形態の磁路
を形成する底金具54、端部金具56および周縁金具6
0の、永久磁石50に対する組付けは、該永久磁石50
に対する着磁前の工程で行なわれることとなる。
【0028】具体的には、上述の如く、閉磁路形態の磁
路を備えた永久磁石50を得るには、先ず、鉄系合金や
フェライト等の磁石材料によって形成された未着磁状態
の永久磁石を準備し、かかる未着磁の永久磁石に対し
て、底金具54、端部金具56、周縁金具60を、それ
ぞれ組み付けることにより、図2に示されている如き組
立体63を形成する。
【0029】そして、その後、この組立体63に対し
て、磁界を及ぼし、永久磁石50に対して着磁処理を施
すことにより、目的とする磁路を備えた永久磁石50を
形成する。なお、かかる着磁操作としては、例えば、組
立体63を取り巻くようにコイルを配し、このコイルに
電流を流して、永久磁石50に対して、その保磁力の数
倍以上の磁力を及ぼす手法等が、採用され得る。
【0030】すなわち、このように、永久磁石50に対
して底金具54、端部金具56および周縁金具60を組
み付けることにより、閉磁路形態の磁路が形成されるこ
とから、かかる組立体63は、永久磁石50単体よりも
大きなパーミアンス係数を有することとなる。それ故、
例えば、図3に示されている如き減磁曲線を示す磁石材
料を用いるとすると、永久磁石50単体で着磁した場合
には、動作点がP1′となり、その後に底金具54等を
組み付けて磁路を形成しても動作点はP1に移動するだ
けで、B1の磁束密度しか得られないのに対し、永久磁
石50に対して底金具54等を組み付けて組立体63と
した後に着磁すると、永久磁石の動作点がP2となり、
より大きな磁束密度:B2を得ることができるのであ
る。
【0031】さらに、上述の如くして組み立てられて着
磁された組立体63には、その端部金具56上に、合成
樹脂やアルミニウム合金等の非磁性材料にて形成された
可動部材64が、所定距離を隔てて配設されている。こ
の可動部材64は、全体として略有底円筒形状をもって
形成されており、その円筒状の筒壁部66が、磁路上の
ギャップ部62内に挿入されて、位置せしめられてい
る。そして、この可動部材64の筒壁部66と、ギャッ
プ部62を形成する対向面との間には、僅かな隙間が形
成されており、それによって、かかる可動部材64が、
軸方向に変位可能とされている。
【0032】また、この可動部材64の筒壁部66が位
置せしめられたギャップ部62内には、円環状乃至は円
筒状の可動コイル68が配設位置せしめられており、可
動部材64の筒壁部66の外周面に固定されている。そ
れによって、可動コイル68と可動部材64(筒壁部6
6)とが、ギャップ部62内で、一体的に変位可能とさ
れている。なお、図中、70は、可動コイル68の給電
用リード線であり、底金具54に設けられた貫通孔72
を通じて、内部に導かれている。
【0033】なお、特に本実施例では、かかる可動コイ
ル68の軸方向長さが、ギャップ部62を形成する周縁
金具60よりも、所定寸法短く設定されており、後述す
る如きギャップ部62内での可動コイル68の変位時に
も、可動コイル68が、かかる周縁金具60の軸方向端
部よりも突出しないようにされている。即ち、それによ
って、可動コイル68の変位時にも、該可動コイル68
に対して、略一定の磁束密度が及ぼされるようになって
いるのである。
【0034】そして、このようにして形成された電磁駆
動手段48は、図1に示されている如く、その可動部材
64が、振動板27の背面に重ね合わされて、ボルト7
4にて固定されると共に、底金具54の外フランジ部5
2が、第二の支持金具12に対して、複数本のボルト7
6にて固定されることにより、一体的に組み付けられて
いる。また、そのような組付状態下では、可動部材64
に装着された可動コイル68が、磁路のギャップ部62
上の略中央部に位置せしめられるようになっている。
【0035】従って、上述の如き構造とされたエンジン
マウントにおいては、可動コイル68に交番電流を通電
することにより、可動コイル68に対してフレミングの
左手の法則に従う電磁力(ローレンツ力)が発生し、そ
れによって、かかる可動コイル68が装着された振動板
27に対して、通電電流に比例した駆動力が及ぼされる
こととなる。そして、この可動コイル68に対する通電
を制御し、入力振動によって生ぜしめられる受圧室32
の内圧変動に応じて、振動板27を加振することによ
り、受圧室32の内圧を制御することができるのであ
り、それによって、マウントの防振特性を、適宜、変更
することが可能となるのである。
【0036】具体的には、例えば、低周波振動の入力時
には、振動板27を、入力振動と同位相で振動させて、
受圧室32の内圧を積極的に発生せしめ、オリフィス通
路46を通じて流動せしめられる流体の流通量の増大を
図ることにより、高減衰特性を発揮させることができる
のであり、また、中乃至高周波振動の入力時には、振動
板27を、入力振動と逆位相で振動させて、受圧室32
の内圧を吸収乃至は軽減せしめることにより、低動ばね
特性を発揮させることができるのである。
【0037】そこにおいて、特に、かかるエンジンマウ
ントにあっては、電磁駆動手段48において、可動コイ
ル68が配設されるギャップ部62が、閉磁路形態をも
って形成された磁路上に形成されており、永久磁石50
からの漏れ磁束が抑えられて、ギャップ部62における
磁束密度が効率的に確保されることから、可動コイル6
8への通電時に大きな電磁力が発生せしめられて、振動
板27の駆動力を有利に確保することができるのであ
る。
【0038】しかも、永久磁石50に対する着磁処理
が、該永久磁石50に対して底金具54等を組み付けて
閉磁路形態の磁路を形成した後に実施されることから、
永久磁石50の発生磁力、延いてはギャップ62におけ
る磁束密度が、一層効率的に確保され得るのであり、上
記漏れ磁束の抑制効果と相俟って、振動板27の駆動力
を十分に確保することができ、それによって、受圧室3
2の内圧制御が有効に為され得て、目的とするマウント
防振特性が、効果的に発揮され得ることとなるのであ
る。
【0039】さらに、かかるエンジンマウントでは、ギ
ャップ部62が、閉磁路形態の磁路上に形成されている
ことにより、かかるギャップ部62内における磁束密度
が均一化されて、可動コイル68に通電する電流量に略
比例した電磁力を安定して得ることができるのであり、
それによって、可動コイル68、延いては振動板27の
加振制御が容易となると共に、歪みの発生も防止され得
て、マウント防振特性の高精度な制御が可能となるので
ある。
【0040】また、上述の如きマウントの製作手法に従
えば、磁路を形成する底金具54や端部金具56、周縁
金具60の永久磁石50に対する組付けが、未着磁の永
久磁石50に対して行なわれることとなるところから、
その作業性が、強力な磁力によって妨げられるようなこ
とがなく、良好なる組付作業性が得られるのである。
【0041】更にまた、特に本実施例のエンジンマウン
トでは、電磁駆動手段48が、マウント本体とは別体構
造とされており、永久磁石50に対する着磁操作を、マ
ウント本体への組付前に行なうことが可能であることか
ら、着磁操作も容易となるのである。
【0042】次に、図4には、本発明の別の実施例とし
てのエンジンマウントが示されている。なお、本実施例
は、前記第一の実施例とは異なる電磁駆動手段の閉磁路
構造とその製作方法の具体例を示すものであり、第一の
実施例と同様な構造とされた部材および部位について
は、それぞれ、第一の実施例と同一の符号を付すること
により、その詳細な説明は省略することとする。
【0043】すなわち、本実施例のエンジンマウントに
おいては、図5にも示されているように、円形ブロック
形状の永久磁石50が、有底円筒形状の底金具54の内
部に収容されて、該底金具54の底部中央に対して一方
の磁極側端面が当接せしめられると共に、かかる永久磁
石50の他方の磁極側端面に対して、厚肉円板形状を呈
する端部金具56が当接して配されることにより、永久
磁石50の回りに閉磁路形態の磁路が形成されている。
【0044】なお、本実施例では、底金具54の開口部
分において、径方向内方に突出する環状突部78が、一
体的に形成されており、かかる環状突部78の内周面と
端部金具56の外周面との対向面間に、ギャップ部62
が形成されている。即ち、この環状突部78が設けられ
ていることにより、底金具54の内部に、アンダカット
形状の凹所80が形成されているのである。
【0045】そして、これら磁路を形成する底金具54
および端部金具56は、永久磁石50の両極側端面に対
して当接するように重ね合わされた状態で、樹脂材82
によって、互いに固着されており、それによって、組付
体84が形成されている。即ち、永久磁石56に対して
底金具54および端部金具56を重ね合わせた後、底金
具54の内部に合成樹脂材料を射出せしめて、それら永
久磁石50,底金具54,端部金具56の対向面に対し
て固着せしめられた樹脂材82を形成することにより、
永久磁石50に対して底金具54および端部金具56が
組付固定されているのである。
【0046】なお、特に本実施例では、かかる樹脂材8
2が、底金具54に設けられたアンダカット形状の凹所
80内にも充填されていることにより、底金具54から
の抜け出しが防止されて、強固な固着力が発揮され得る
ようになっている。
【0047】また、かかる組立体84の形成に際して
は、前記第一の実施例と同様、未着磁の永久磁石50が
用いられ、該永久磁石50に底金具54および端部金具
56を組み付けて組立体84と成した後、かかる永久磁
石50に対して、着磁処理が施されることとなる。
【0048】従って、かくの如くして形成された組立体
84を用いてなる本実施例のエンジンマウントにおいて
も、前記実施例と同様な効果が、何れも、有効に奏され
得ることは勿論、それに加えて、本実施例のエンジンマ
ウントでは、磁路を形成する部材の組付固着が、非透磁
率の極めて小さな樹脂材料によって行なわれることか
ら、前記第一の実施例の如く、固定ボルト58によって
固着する場合に比して、ボルト穴による磁路の寸断や固
定ボルト58による磁気漏洩等を防止することができる
のであり、それによって、ギャップ部62の磁束密度が
より効率的に確保され得て、可動コイル68への通電時
における発生電磁力、延いては振動板27の駆動力を、
より一層有利に得ることができるのである。
【0049】しかも、本実施例の如く、磁路を形成する
部材の組付固着を樹脂材82にて行なうようにすれば、
永久磁石50を樹脂材料にてモールドし、外部雰囲気か
ら遮断させることが可能であることから、かかる永久磁
石50として希土類系磁石を用いた場合にも、その酸化
劣化を効果的に防止することができるのであり、希土類
系磁石の優れた磁気特性を有利に享受することが可能と
なるのである。
【0050】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これらは文字通りの例示であって、本発明は、か
かる具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0051】例えば、前記実施例では、何れも、流体室
(受圧室32)に対して、オリフィス通路46を通じて
連通された平衡室34が設けられていたが、それらオリ
フィス通路や平衡室は、必ずしも設ける必要はない。
【0052】そして、それらオリフィス通路や平衡室を
有しない防振装置であっても、流体室の内圧を制御する
ことにより、防振特性の切換制御に基づく、前述の如き
効果は、有効に発揮され得ることとなる。
【0053】また、永久磁石とそれに組み付けられる磁
路形成部材は、振動板27の背後に環状のギャップ部を
形成する閉磁路形態の磁路を形成し得るものであれば良
く、その具体的な形状や構造は限定されるものではな
い。例えば、永久磁石として、軸方向両端部に磁極部を
有する環状のものを用い、かかる永久磁石の一方の磁極
部に接続されて、該永久磁石の中心孔を通じて他方の磁
極部側に延びる第一のヨークと、かかる永久磁石の他方
の磁極部に接続されて、該第一のヨークとの対向面間に
環状のギャップ部を形成する第二のヨークとによって、
磁路を形成することも可能である。
【0054】更にまた、永久磁石への着磁処理は、永久
磁石と第一及び第二のヨークとの組付体をマウント本体
に対して組み付けた後に行なうことも可能である。
【0055】さらに、前記実施例では、何れも、閉磁路
形態をなす磁路を形成する部材が、マウント本体とは別
部材にて構成されていたが、例えば、第二の支持金具1
2によって、磁路の一部を形成することも可能である。
【0056】また、永久磁石に対して第一及び第二のヨ
ークを組み付けた後、永久磁石に着磁処理を施すに際し
て、ギャップ部を磁気的に短絡させた状態で、着磁処理
を施すようにしても良い。
【0057】加えて、前記実施例では、ゴム弾性体14
を振動入力方向に挟んだ両側部分に、それぞれ第一の支
持金具10と第二の支持金具12とが対向して固着され
た、所謂マウントタイプの防振装置に対して、本発明を
適用したものの具体例を示したが、その他、例えば、互
いに径方向に所定距離を隔てて配された内筒金具と外筒
金具とを、それらの間に介装されたゴム弾性体に連結せ
しめてなる、所謂筒型タイプの防振装置に対しても、本
発明は、同様に適用され得るものである。
【0058】また、前記実施例では、本発明を自動車用
エンジンマウントに対して適用したものの具体例を示し
たが、その他、自動車用ボデーマウントやデフマウン
ト、サスペンション・ブッシュ、或いは自動車以外の各
種装置における防振装置に対しても、同様に、適用され
得ることは、勿論である。
【0059】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【0060】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
方法によって製作された流体封入式防振装置において
は、可動コイルが配設されることとなる領域が、閉磁路
形態をもって形成された磁路上において、ヨークが対向
位置せしめられたギャップ部として形成されることか
ら、永久磁石の磁力の漏れが抑えられて、かかる領域に
おける磁束密度の向上と均一化が図られ得るのであり、
しかも、永久磁石の着磁処理が、閉磁路形態の磁路の組
付後に為されることにより、発生磁力の向上が図られる
ことから、ギャップ部における磁束密度のより一層の向
上効果が発揮されることとなる。
【0061】そして、その結果、本発明方法にて製作さ
れた防振装置においては、可動コイルに対して大きな磁
束密度が及ぼされて、可動コイルへの通電時に、振動板
に対する大きな駆動力を得ることができる共に、可動コ
イルが変位した際にも、それに及ぼされる磁束密度の変
化が防止されて、安定した駆動力を得ることができるの
であり、その制御も容易となって、目的とする防振特性
を、高度に且つ安定して得ることができるのである。
【0062】また、本発明方法に従えば、磁路を形成す
る第一及び第二のヨークの永久磁石に対する組付けが、
未着磁の永久磁石に対して行なわれることとなるところ
から、その作業が、強力な磁力によって妨げられるよう
なことがなく、良好なる組付作業性が得られるのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に従って製作された自動車用エンジ
ンマウントの具体例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントに用いられて
いる永久磁石と磁路形成部材とから成る組付体を示す縦
断面図である。
【図3】パーミアンス係数と着磁処理によって得られる
磁束密度との関係を説明するためのグラフである。
【図4】本発明方法に従って製作された自動車用エンジ
ンマウントの別の具体例を示す縦断面図である。
【図5】図4に示されたエンジンマウントに用いられて
いる永久磁石と磁路形成部材とから成る組付体を示す縦
断面図である。
【符号の説明】
10 第一の支持金具 12 第二の支持金具 14 ゴム弾性体 27 振動板 28 支持ゴム 32 受圧室 48 電磁駆動手段 50 永久磁石 54 底金具 56 端部金具 58 固定ボルト 60 周縁金具 62 ギャップ部 63,84 組立体 64 可動部材 66 筒壁部 68 可動コイル 78 環状突部 82 樹脂材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 錬太郎 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 松井 徹 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 神田 良二 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 村松 篤 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 石破 恵一 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 舟橋 芳樹 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−312229(JP,A) 特開 昭59−1829(JP,A) 特開 昭59−1828(JP,A) 実開 平3−73741(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)互いに所定距離を隔てて配された
    第一の支持金具および第二の支持金具と、(b)該第一
    の支持金具と該第二の支持金具との間に介装されて、そ
    れら両支持金具を連結するゴム弾性体と、(c)該ゴム
    弾性体にて壁部の一部が構成されて、内部に所定の非圧
    縮性流体が封入された流体室と、(d)前記第二の支持
    金具に対して変位可能に支持されて、該流体室の壁部の
    一部を構成する振動板と、(e)該振動板の背後に配設
    された永久磁石と、(f)該永久磁石の一方の磁極部に
    接続された第一のヨークと、(g)前記永久磁石の他方
    の磁極部に接続されて、該第一のヨークとの端部対向面
    間に環状のギャップ部を形成する第二のヨークと、
    (h)かかるギャップ部内に変位可能に配されて、前記
    振動板に連結された、該ギャップ部に沿って周方向に延
    びるリング状の可動コイルとを設け、かかる可動コイル
    への通電にて前記振動板を加振せしめるようにした流体
    封入式防振装置を製作するに際して、 未着磁状態にある前記永久磁石に対して、前記第一のヨ
    ークおよび前記第二のヨークを組み付けて、前記ギャッ
    プ部を有する磁路を構成せしめた後、かかる永久磁石に
    対して着磁することを特徴とする流体封入式防振装置の
    製作方法。
JP34958591A 1991-11-28 1991-12-06 流体封入式防振装置の製作方法 Expired - Lifetime JP2510916B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34958591A JP2510916B2 (ja) 1991-12-06 1991-12-06 流体封入式防振装置の製作方法
US07/979,934 US5333846A (en) 1991-11-28 1992-11-23 Elastic mount having fluid chamber partially defined by oscillating plate actuated by moving coil in annular gap between two yokes connected to permanent magnet, and method of manufacturing the elastic mount

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34958591A JP2510916B2 (ja) 1991-12-06 1991-12-06 流体封入式防振装置の製作方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05164182A JPH05164182A (ja) 1993-06-29
JP2510916B2 true JP2510916B2 (ja) 1996-06-26

Family

ID=18404718

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34958591A Expired - Lifetime JP2510916B2 (ja) 1991-11-28 1991-12-06 流体封入式防振装置の製作方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2510916B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3336781B2 (ja) * 1994-12-22 2002-10-21 日産自動車株式会社 防振支持装置
JP4716607B2 (ja) * 2001-06-22 2011-07-06 山下ゴム株式会社 液封防振装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05164182A (ja) 1993-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3972210B2 (ja) 流体封入式能動型防振装置
JPH11351322A (ja) 能動的防振用加振器
US5333846A (en) Elastic mount having fluid chamber partially defined by oscillating plate actuated by moving coil in annular gap between two yokes connected to permanent magnet, and method of manufacturing the elastic mount
JP2538468B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH05164181A (ja) 流体封入式防振装置
US5249782A (en) Elastic mount and method of manufacturing the elastic mount
JP2510915B2 (ja) 流体封入式筒型防振装置
JPH09280304A (ja) 流体封入式マウント装置
JP2510916B2 (ja) 流体封入式防振装置の製作方法
JP2618784B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2510914B2 (ja) 流体封入式マウント装置
JP4258847B2 (ja) 流体封入式能動型防振装置
JP2005291276A (ja) 流体封入式能動型防振装置
JP3873618B2 (ja) 能動型防振用加振器およびそれを用いた能動型防振装置
JP3132172B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP3198608B2 (ja) 流体封入式マウント装置
JPH05164180A (ja) 流体封入式防振装置
JPH06200974A (ja) 流体封入式防振装置
JP5038198B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP2827844B2 (ja) 流体封入式マウント装置
JPH0642575A (ja) 流体封入式防振装置
JP3039077B2 (ja) 流体封入式防振装置
JP3132174B2 (ja) 流体封入式防振装置
JPH06109057A (ja) 流体封入式マウント装置
JPH0610986A (ja) 位相変換型流体封入式防振装置