JP2002179950A - 高屈折率材料塗料及びその製造方法並びにその塗料を用いて形成された塗膜 - Google Patents

高屈折率材料塗料及びその製造方法並びにその塗料を用いて形成された塗膜

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JP2002179950A
JP2002179950A JP2000381121A JP2000381121A JP2002179950A JP 2002179950 A JP2002179950 A JP 2002179950A JP 2000381121 A JP2000381121 A JP 2000381121A JP 2000381121 A JP2000381121 A JP 2000381121A JP 2002179950 A JP2002179950 A JP 2002179950A
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titanium oxide
oxide powder
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coating film
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Hiroki Hirata
寛樹 平田
Katsumi Ogi
勝実 小木
Yukiya Yamashita
行也 山下
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高屈折率材料塗料により塗膜を形成したとき
に、この塗膜が常に高い屈折率を示すとともに透明性が
良好であり、格子縞を発生しない。 【解決手段】 本発明の高屈折率材料塗料は酸化チタン
粉末と、β−ジケトンと、チタネート系又はアルミネー
ト系のいずれか一方又は双方のカップリング剤と、有機
溶媒とからなる有機分散液に、シリカゾルを混合するこ
とにより調製される。この高屈折材料塗料による塗膜形
成時の屈折率は1.8〜2.4である。また有機分散液
中の酸化チタン粉末の含有量は1.0〜10重量%であ
り、β−ジケトンの添加量は酸化チタン粉末に対して
1.0〜5.0重量%であり、チタネート系又はアルミ
ネート系のいずれか一方又は双方のカップリング剤の添
加量は酸化チタン粉末に対して0.5〜3.0重量%で
あることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屈折率が高い塗膜
を形成するための塗料及びその製造方法と、その塗料を
用いて形成された塗膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の塗料として、複合酸化物
微粒子とマトリックスとを含有し、上記複合酸化物微粒
子が核粒子とこの核粒子を被覆する被覆層とからなり、
核粒子がチタン及びスズの酸化物からなりかつルチル型
構造をとる複合固溶体酸化物からなり、被覆層が硅素酸
化物とジルコニウム又はアルミニウムのいずれか一方又
は双方の酸化物との複合酸化物とからなる被膜形成用塗
布液が開示されている(特開2000−204301
号)。このように構成された被覆形成用塗布液では、無
色透明で屈折率が高く、更に耐熱性等に優れ、しかも基
材との密着性にも優れた膜を形成できるようになってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の特
開2000−204301号公報に示された被膜形成用
塗布液では、この塗布液を用いて形成された膜の屈折率
が1.7前後と未だ低い不具合があった。本発明の第1
の目的は、塗膜を形成したときに、この塗膜が常に高い
屈折率を示すとともに、透明性が良好であり、格子縞を
発生することのない、高屈折率材料塗料を提供すること
にある。本発明の第2の目的は、有機分散液にシリカゾ
ルを混合したときに酸化チタン粉末の分散性が良好であ
る、高屈折率材料塗料の製造方法を提供することにあ
る。本発明の第3の目的は、常に高い屈折率を示すとと
もに、透明性が良好であり、格子縞を発生しない、塗膜
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、気相法に
より製造される酸化チタン粉末を、β−ジケトンと、チ
タネート系又はアルミネート系のいずれか一方又は双方
のカップリング剤との存在下で、有機溶媒中に均一に分
散させた後に、シリカゾルと混合することにより塗料を
調製すると、この塗料を用いて塗膜を形成したときに、
この塗膜は高い屈折率を再現でき、透明性が良好であっ
て、格子縞の発生を抑制できるという知見を得、本発明
をなすに至った。
【0005】請求項1に係る発明は、酸化チタン粉末
と、β−ジケトンと、チタネート系又はアルミネート系
のいずれか一方又は双方のカップリング剤と、有機溶媒
とからなる有機分散液に、シリカゾルを混合することに
より調製され、塗膜形成時の屈折率が1.8〜2.4で
ある高屈折率材料塗料である。この請求項1に記載され
た高屈折率材料塗料を基材に塗布することにより形成さ
れた塗膜は屈折率が1.8〜2.4と極めて高く、透明
性が良好であり、格子縞を発生することはない。また上
記塗膜の硬度が高いので、この塗膜は傷がつき難く、透
明性や屈折率の低下を抑制できる。
【0006】また有機分散液中の酸化チタン粉末の含有
量は1.0〜10重量%であり、β−ジケトンの添加量
は酸化チタン粉末に対して1.0〜5.0重量%であ
り、チタネート系又はアルミネート系のいずれか一方又
は双方のカップリング剤の添加量は酸化チタン粉末に対
して0.5〜3.0重量%であることが好ましい。また
有機溶媒は沸点65〜180℃以下の単一のアルコール
又は複数種類のアルコールの混合溶媒であり、有機分散
液中の有機溶媒の含有量が90〜95重量%であること
が好ましい。更にシリカゾルはエチルシリケート、アル
コール、酸及び水の混合物を加熱撹拌して調製されるこ
とが好ましい。
【0007】請求項7に係る発明は、有機溶媒にβ−ジ
ケトンと、チタネート系又はアルミネート系のいずれか
一方又は双方のカップリング剤とを混合して混合液を調
製する工程と、この混合液に酸化チタン粉末を混合して
酸化チタン粉末の分散液を調製する工程と、この分散液
にシリカゾルを混合する工程とを含む高屈折率材料塗料
の製造方法である。この請求項7に記載された高屈折率
材料塗料の製造方法では、有機溶媒にβ−ジケトンとカ
ップリング剤を混合することにより、酸化チタン粉末の
分散性が改善され、塗料の保存安定性が良好になり、得
られた塗膜の透明性が高められる。請求項8に係る発明
は、請求項1ないし6いずれかに記載された高屈折率材
料塗料を基材に塗布して形成され、屈折率が1.8〜
2.4である塗膜である。この請求項8に記載された塗
膜は常に高い屈折率を示すとともに、透明性が良好であ
り、格子縞を発生しない。
【0008】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を説明す
る。本発明の高屈折率材料塗料は酸化チタン粉末と、β
−ジケトンと、カップリング剤と、有機溶媒とからなる
有機分散液に、シリカゾルを混合することにより調製さ
れる。即ち、上記塗料は有機溶媒にβ−ジケトン及びカ
ップリング剤を混合した混合液に、酸化チタン粉末(チ
タニア)を分散させて得られた有機分散液Aと、バイン
ダ溶液であるシリカゾルBとからなる2液型の塗料であ
る。酸化チタン粉末としては、気相法で製造された平均
一次粒子径が0.1μm以下である超微粒子の酸化チタ
ン粉末が使用される。上記有機分散液AとシリカゾルB
とを混合して保存すると、保存中に液がゲル化する傾向
があるため、両者は別々に保存する必要がある。そのた
め本発明の塗料は2液型とし、使用直前にこれら2液を
混合して基材に塗布される。なお、酸化チタン粉末の平
均一次粒子径を0.1μm以下に限定したのは、0.1
μmを越えると、塗膜の屈折率が低下し、また塗膜が白
濁化して透明性も著しく低下するからである。酸化チタ
ン粉末の平均一次粒子径は好ましくは0.01μm〜
0.1μmであり、より好ましくは0.01μm〜0.
05μmである。
【0009】酸化チタン粉末は気相法と液相法のいずれ
でも製造可能であるけれども、本発明では気相法で製造
されたものが用いられる。気相法による酸化チタン粉末
の製造は一般に四塩化チタンガスの熱酸化分解により行
われるけれども、この方法に制限されず、気相法であれ
ば他の方法で製造してもよい。四塩化チタンガスから製
造された酸化チタン粉末としては、例えばP−25(日
本アエロジル社の商品名)が市販されており、これをそ
のまま利用できる。また工業的に使用される酸化チタン
粉末にはアナターゼ型とルチル型の2種類の結晶形のも
のがあり、いずれを使用してもよい。気相法により製造
された酸化チタン粉末は平均一次粒子径が上記のように
微細であれば、本発明の塗料を基材に塗布することによ
り高屈折率の塗膜を形成できる。
【0010】上記酸化チタン粉末を分散させる有機溶媒
としては、アルコールが好ましい。有機溶媒に酸化チタ
ン粉末を分散させるには、通常の塗料の調製方法が用い
られる。有機溶媒としては、単一のアルコール又は複数
種類のアルコールの混合溶媒を用いることが好ましいけ
れども、アルコールと他の有機溶媒との混合溶媒も使用
できる。アルコールには、非置換のアルコール、即ちア
ルカノールに加えて、アルコキシアルカーノルのように
置換基、特にエーテル基を有する置換アルコールも含ま
れる。アルコールの具体例としては、メタノール,エタ
ノール,プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノ
ール,イソブタノール,t−ブタノール,ペンタノール
等のアルカノール類や、2−メトキシエタノール,1−
メトキシ−2−プロパノール等のアルコキシアルカノー
ル類が挙げられ、これらを単独で或いは2種以上混合し
て使用できる。更に有機溶媒の沸点(常圧沸点)は好ま
しくは65〜180℃、より好ましくは65〜170℃
である。2種以上の混合溶媒の場合は、各溶媒の沸点が
好ましくは65〜180℃、より好ましくは65〜17
0℃である。有機溶媒の沸点を65〜180℃の範囲に
限定したのは、沸点が65℃未満のアルコールは存在せ
ず、180℃を越えると、塗膜乾燥時の加熱温度が高く
なり過ぎるためである。
【0011】β−ジケトンとカップリング剤は有機溶媒
中の酸化チタン粉末の分散性を改善することにより、塗
料の保存安定性を良好にし、得られた塗膜の透明性を高
める、即ちヘイズ(曇り度)を低下させるために添加す
る。上記β−ジケトン及びカップリング剤は酸化チタン
粉末を分散させる前の有機溶媒に予め添加しておくこと
が好ましい。なお、β−ジケトン及びカップリング剤は
一種の分散助剤であるので、酸化チタン粉末の分散後に
添加することは可能であるけれども、好ましい方法では
ない。β−ジケトンの例としては、2,4−ペンタンジオ
ン(=アセチルアセトン)、3−メチル−2,4−ペンタン
ジオン、3−イソプロピル−2,4−ペンタンジオン、2,2
−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメ
チル−3,5−ヘプタンジオン(=ジピバロイルメタン)
等が挙げられ、これらを単独で或いは2種以上混合して
使用することができる。β−ジケトンの添加量は酸化チ
タン粉末に対して1.0〜5.0重量%であることが好
ましい。β−ジケトンの添加量を1.0〜5.0重量%
に限定したのは、1.0重量%未満では塗膜の屈折率が
安定せず、5.0重量%を越えても更なる塗膜の屈折率
の安定化の向上に寄与しないためである。
【0012】カップリング剤としては、チタネート系又
はアルミネート系のいずれか一方又は双方のカップリン
グ剤が用いられる。これらのカップリング剤の例として
は、アセトアルコキシ基を有するアルミネート系カップ
リング剤、或いはジアルキルパイロホスフェート基若し
くはジアルキルホスファイト基を有するチタネート系カ
ップリング剤がある。アセトアルコキシ基を有するアル
ミネート系カップリング剤の例としては、次の式(a)
で示される化合物がある。またジアルキルパイロホスフ
ェート基を有するチタネート系カップリング剤の例とし
ては、次の式(b)〜式(d)で示される化合物があ
り、ジアルキルホスファイト基を有するチタネート系カ
ップリング剤の例としては、次の式(e)又は式(f)
で示される化合物がある。式(a)〜式(f)で示され
る化合物を単独で或いは2種以上混合して使用すること
ができる。またカップリング剤の添加量は酸化チタン粉
末に対して、好ましくは0.5〜3.0重量%であり、
より好ましくは0.8〜2.0重量%である。カップリ
ング剤の添加量を0.5〜3.0重量%の範囲に限定し
たのは、0.5重量%未満では塗膜の屈折率が安定せ
ず、3.0重量%を越えても更なる塗膜の屈折率の安定
化の向上に寄与しないためである。
【0013】
【化1】
【0014】シリカゾルBはエチルシリケート、アルコ
ール、酸及び水の混合物を加熱撹拌して調製される。即
ち、シリカゾルBはアルコキシシランを少なくとも部分
的に加水分解させた加水分解物が用いられる。このシリ
カゾルは有機分散液とは別に製造される。アルコキシシ
ランは加水分解と重縮合を経て、−Si−O−で示され
るシロキサン結合による重合体となり、最終的に有機物
が完全に除去されるとシリカ質の被膜を形成するので、
無機質バインダの一種である。なお、アルコキシシラン
を加水分解せずに使用すると、成膜(塗膜の乾燥)時間
が長くなるとともに、乾燥中に酸化チタン粉末の凝集が
起こり易く、塗膜の透明性や均質性が阻害される。
【0015】アルコキシシランの加水分解はアルコキシ
シラン、好ましくはテトラアルコキシシランのアルコー
ル溶液を水及び酸の存在下で加熱撹拌することにより調
製され、このときの反応を制御することで、加水分解の
程度を制御することができる。酸触媒としては、硫酸、
硝酸、塩酸などの無機酸が好ましいけれども、パラトル
エンスルホン酸などの有機強酸も使用できる。上記加水
分解は部分加水分解物(アルコキシシランのアルコキシ
基の一部が残留)が得られるように行ってもよく、或い
はシリカゾル(アルコキシ基を実質的に含有しない加水
分解物)が得られるように行ってもよい。溶媒に用いら
れるアルコールは上記有機分散液において用いたものと
同様のものを用いてよい。なお、アルコキシシランとし
ては、エチルシリケート(=テトラエトキシシラン)や
テトラアルコキシシラン等が用いられ、テトラアルコキ
シシランを用いることが好ましい。また部分加水分解反
応に供するアルコキシシランは単量体でもよいけれど
も、予め軽度に加水分解させたアルコキシシランのオリ
ゴマーでもよい。このオリゴマーの重合度は2〜100
の範囲内、特に3〜50の範囲内が好ましい。
【0016】加水分解するのに好ましい反応液として
は、アルコキシシランの単量体又はオリゴマーをSiO
2換算で5〜20重量%、有機溶媒を90〜65重量
%、触媒の酸を0.05〜0.5重量%、水を4.95
〜14.5重量%含有する反応液である。この反応液を
使用した場合、アルコキシシランの加水分解は30〜6
0℃、特に35〜55℃の比較的低温で2〜5時間程度
行うことが好ましい。この反応条件では、一般にアルコ
キシシランの部分加水分解物が得られる。加水分解後に
得られた反応液がそのまま、或いは必要に応じて濃度を
調整して、本発明のシリカゾルBとして使用される。加
水分解に用いた酸触媒や水はこの溶液中に残留していて
よく、これらは2液を混合して得られた本発明の塗料を
塗布した後、塗膜の乾燥を促進する作用を有する。
【0017】本発明に係る高屈折率材料塗料は上記有機
分散液AとシリカゾルBとを混合することにより製造さ
れる。有機分散液A中の酸化チタン粉末の含有量は1.
0〜10重量%であることが好ましく、3.0〜6.0
重量%であることが更に好ましい。酸化チタン粉末の含
有量を1.0〜10重量%に限定したのは、1.0重量
%未満では塗膜の屈折率が安定せず、10重量%を越え
ると酸化チタン粉末の分散性が低下し、塗膜の屈折率が
低くなるためである。また酸化チタン粉末とシリカゾル
の割合については、有機分散液A中の酸化チタン粉末量
と、シリカゾルB中のシリカ換算固形分含有量との重量
比が(50/50)〜(95/5)の範囲内であること
が好ましい。この重量比が50/50より小さいと、塗
膜中の酸化チタン粉末量が少なすぎて屈折率が低くな
り、95/5より大きいと、シリカゾル量が少なすぎ、
被膜強度が不十分となる。
【0018】このように製造された高屈折率材料塗料を
基材に塗布し、塗膜を乾燥させると、基材の表面に塗膜
が形成される。塗布法は特に制限されず、例えばスピン
コート、ロールコート、スプレイコート、バーコート、
浸漬などが例示され、基材の種類や形状に応じて選択す
ればよい。例えば、基材の塗布面が凹凸を有する場合に
は、浸漬法やスプレイコートが適している。特に浸漬法
では、塗布作業中に塗布中の酸化チタン粉末の分散性が
低下することがあるため、沸点が100℃以上と比較的
高い有機溶媒を使用することが好ましい。塗膜の乾燥は
常温でも可能であるが、乾燥時間を短縮するために、加
熱乾燥する方が好ましい。加熱温度は一般に80〜20
0℃の範囲内がよく、塗料に使用した有機溶媒の沸点以
上であって、基材の耐熱温度より低い温度に設定され
る。なお、有機溶媒の種類は基材の耐熱性も考慮して選
択される。
【0019】上記塗膜の厚さは特に制限されないけれど
も、通常は0.1μm〜1μmの範囲内に設定される。
この塗膜は酸化チタン粉末の有する高い屈折率を示すと
ともに、基材との密着性に優れ、かつ膜強度が高い(即
ち、高硬度で傷つき難い)ので、耐久性に優れる。また
透明性に優れているので、基材の透明度や外観を損うこ
とはない。上記塗膜が高い屈折率及び透明性を有するの
は、β−ジケトンとカップリング剤により気相法で製造
された酸化チタン粉末が一次粒子に近い状態で均一に分
散した膜が形成されるためであると考えられる。また高
い密着性及び膜強度を有するのは、シリカゾルの作用と
考えられる。即ち、このシリカゾルが酸化チタン粒子同
士の密着性の向上や、酸化チタン粒子及び基材の密着性
の向上に寄与するため、高硬度の被膜が形成されると考
えられる。
【0020】本発明の高屈折率材料塗料を適用する基材
は特に制限されず、有機質でも無機質でもよい。基材の
材質の例としては、ガラス、プラスチック、金属、木
材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリー
ト、繊維、紙及び皮革が例示される。但し、プラスチッ
クをはじめとする有機質基材に高屈折率材料塗料を適用
すると、基材上に形成された塗膜が基材を分解又は劣化
させることがあるため、有機質基材に適用する場合に
は、基材を保護するための下地層を予め形成し、その上
に塗膜を形成することが好ましい。下地層としては、塗
膜による劣化を受けない無機質の被膜が好ましい。下地
層としては、シリカ質のものを用いることが好ましく、
例えば本発明に係る2液型塗料のシリカゾルB、即ちア
ルコキシシランの少なくとも部分的な加水分解物の溶液
を単独で用いて、下地層を形成することができる。塗膜
のバインダがシリカ質であるので、下地層もシリカ質で
あると、下地層と塗膜との密着性が特に良好となり、透
明性もほとんど阻害されない。なお、基材が無機質の場
合には、塗膜による基材の劣化がないので、下地層は不
要であり、高屈折率材料塗料を基材に直接塗布すればよ
い。
【0021】本発明に係る高屈折率材料塗料を基材に塗
布することにより形成された塗膜は屈折率が1.8〜
2.4と極めて高く、透明性が良好であり、格子縞を発
生することはない。また上記塗膜の鉛筆硬度が3H以上
と高いので、この塗膜は傷がつき難く、透明性や屈折率
の低下を抑制できる。なお、この塗膜の形成に適した基
材の具体例としては、液晶ディスプレイ、プラズマディ
スプレイ、CRTなどの画面表示装置のガラス基板や、
眼鏡レンズ等が挙げられる。また上記塗膜の屈折率は
2.0〜2.4であることが更に好ましい。
【0022】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく
説明する。 <実施例1>アルコール系有機溶媒であるエタノール
(EtOH)190gに、β−ジケトンである2,4−ペ
ンタンジオン0.25gと、式(a)で示されるアルミ
ネート系カップリング剤0.1gとを混合して混合液を
調製し、この混合液に、気相法で製造されたアナターゼ
型酸化チタン粉末(日本アエロジル社製P−25、平均
一次粒子径0.02μm)10gを混合し、ジルコニア
ビーズ100gを用いてペイントシェーカーで16時間
分散させて、有機分散液Aを得た。なお、上記有機溶媒
の沸点は78℃であった。一方、エチルシリケートの4
0重量%エタノール溶液150gに、エタノール400
g、水45g及び60%硝酸0.6gを添加し、45℃
に3時間加熱してエチルシリケートを加水分解させ、シ
リカ換算濃度が10重量%のシリカゾルBを調製した。
上記有機分散液Aに10重量%のシリカゾルBを25g
加えて混合し、塗料を調製した。この塗料を実施例1と
した。
【0023】<実施例2>有機溶媒として沸点65℃の
メタノール(MeOH)を190g用い、カップリング
剤として式(b)で示されるチタネート系カップリング
剤を0.1g用いたことを除いて、実施例1と同様にし
て塗料を調製した。この塗料を実施例2とした。 <実施例3>カップリング剤として式(c)で示される
チタネート系カップリング剤を0.1g用い、有機分散
液Aに10重量%のシリカゾルBを11g加えたことを
除いて、実施例1と同様にして塗料を調製した。この塗
料を実施例3とした。 <実施例4>有機溶媒として沸点117〜118℃のn
−ブタノール(n−BuOH)を190g用い、β−ジ
ケトンとして3−メチル−2,4−ペンタンジオンを0.2
5g用い、カップリング剤として式(d)で示されるチ
タネート系カップリング剤を0.1g用い、更に有機分
散液Aに10重量%のシリカゾルBを11g加えたこと
を除いて、実施例1と同様にして塗料を調製した。この
塗料を実施例4とした。
【0024】<実施例5>有機溶媒として沸点78℃の
エタノール(EtOH)を300g用い、β−ジケトン
として3−メチル−2,4−ペンタンジオンを0.4g用
い、カップリング剤として式(e)で示されるチタネー
ト系カップリング剤を0.25g用い、更に有機分散液
Aに10重量%のシリカゾルBを11g加えたことを除
いて、実施例1と同様にして塗料を調製した。この塗料
を実施例5とした。 <実施例6>有機溶媒として沸点82℃のイソプロパノ
ール(IPA)を300g用い、β−ジケトンとして3
−メチル−2,4−ペンタンジオンを0.4g用い、カッ
プリング剤として式(f)で示されるチタネート系カッ
プリング剤を0.25g用い、更に有機分散液Aに10
重量%のシリカゾルBを11g加えたことを除いて、実
施例1と同様にして塗料を調製した。この塗料を実施例
6とした。
【0025】<比較例1>β−ジケトンを用いず、カッ
プリング剤として式(a)で示されるアルミネート系カ
ップリング剤を0.1g用いたことを除いて、実施例1
と同様にして塗料を調製した。この塗料を比較例1とし
た。 <比較例2>カップリング剤を用いなかったことを除い
て、実施例1と同様にして塗料を調製した。この塗料を
比較例2とした。 <比較例3>β−ジケトン及びカップリング剤を用いな
かったことを除いて、実施例1と同様にして塗料を調製
した。この塗料を比較例3とした。
【0026】<比較試験及び評価>実施例1〜6及び比
較例1〜3の塗料の各成分を表1に記載した。また表1
において、TiO2及びSiO2の重量比はシリカゾル中
のシリカ換算固形含有量に対する酸化チタン粉末(Ti
2)の重量比である。上記実施例1〜6及び比較例1
〜3の塗料をスピンコーターでガラス基板に塗布し、1
50℃で1時間乾燥させてガラス基板上に塗膜を形成し
た。これらの塗膜の厚さは0.3μm〜0.8μmの範
囲内であった。これらの塗膜のヘイズ(スガ試験機製ヘ
イズコンピュータ:HGM−3D)と、鉛筆硬度と、屈
折率(エリプソメーター)を測定した。その結果を表2
に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】表2から明らかなように、比較例1〜3の
塗膜のヘイズは3.5〜6.0と高かったのに対し、実
施例1〜6の塗膜のヘイズは0.4〜0.6と低くなっ
て透明性が良好になった。また比較例1〜3の塗膜の鉛
筆硬度はHと低かったのに対し、実施例1〜6の塗膜の
鉛筆硬度は3Hと固くなって塗膜の強度が向上した。更
に比較例1〜3の塗膜の屈折率は1.55〜1.70と
低かったのに対し、実施例1〜6の塗膜の屈折率は2.
00〜2.25と高くなった。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、酸
化チタン粉末と、β−ジケトンと、チタネート系又はア
ルミネート系のいずれか一方又は双方のカップリング剤
と、有機溶媒とからなる有機分散液に、シリカゾルを混
合することにより高屈折率材料塗料を調製したので、こ
の塗料を用いて塗膜を形成すると、この塗膜の屈折率は
1.8〜2.4と高い値を示し、透明性が良好になり、
格子縞を発生せず、更に強度が高くなるという優れた効
果を有する。また有機溶媒にβ−ジケトン及び上記カッ
プリング剤を混合して混合液を調製し、この混合液に酸
化チタン粉末を混合して酸化チタン粉末の分散液を調製
し、更にこの分散液にシリカゾルを混合すれば、酸化チ
タン粉末の分散性が改善され、塗料の保存安定性が良好
になり、この塗料を用いて形成された塗膜の透明性が高
められる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 行也 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4D075 EC02 EC08 EC45 4J038 AA011 HA216 HA446 JA19 JA34 JC38 KA03 KA20 LA02 LA06 MA07 MA10 NA17 PB08 PC02 PC03 PC04 PC06 PC08 PC09 PC10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化チタン粉末と、β−ジケトンと、チ
    タネート系又はアルミネート系のいずれか一方又は双方
    のカップリング剤と、有機溶媒とからなる有機分散液
    に、シリカゾルを混合することにより調製され、塗膜形
    成時の屈折率が1.8〜2.4である高屈折率材料塗
    料。
  2. 【請求項2】 有機分散液中の酸化チタン粉末の含有量
    が1.0〜10重量%である請求項1記載の高屈折率材
    料塗料。
  3. 【請求項3】 β−ジケトンの添加量が酸化チタン粉末
    に対して1.0〜5.0重量%である請求項1又は2記
    載の高屈折率材料塗料。
  4. 【請求項4】 チタネート系又はアルミネート系のいず
    れか一方又は双方のカップリング剤の添加量が酸化チタ
    ン粉末に対して0.5〜3.0重量%である請求1ない
    し3いずれか記載の高屈折率材料塗料。
  5. 【請求項5】 有機溶媒が沸点65〜180℃の単一の
    アルコール又は複数種類のアルコールの混合溶媒であ
    り、有機分散液中の前記有機溶媒の含有量が90〜95
    重量%である請求項1ないし4いずれか記載の高屈折率
    材料塗料。
  6. 【請求項6】 シリカゾルがエチルシリケート、アルコ
    ール、酸及び水の混合物を加熱撹拌して調製された請求
    項1ないし5いずれか記載の高屈折率材料塗料。
  7. 【請求項7】 有機溶媒にβ−ジケトンと、チタネート
    系又はアルミネート系のいずれか一方又は双方のカップ
    リング剤とを混合して混合液を調製する工程と、 前記混合液に酸化チタン粉末を混合して前記酸化チタン
    粉末の分散液を調製する工程と、 前記分散液にシリカゾルを混合する工程とを含む高屈折
    率材料塗料の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし6いずれかに記載された
    高屈折率材料塗料を基材に塗布して形成され、屈折率が
    1.8〜2.4である塗膜。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011126946A (ja) * 2009-12-15 2011-06-30 Canon Inc 酸化チタンゾル、それを用いた樹脂組成物、光学材料および光学素子
CN104403382A (zh) * 2014-11-14 2015-03-11 曾锦秋 一种水性耐高温的搪瓷涂料及其制备方法和施工方法

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