JP2002178625A - インクジェット記録用樹脂組成物および記録シート - Google Patents

インクジェット記録用樹脂組成物および記録シート

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JP2002178625A JP2000375983A JP2000375983A JP2002178625A JP 2002178625 A JP2002178625 A JP 2002178625A JP 2000375983 A JP2000375983 A JP 2000375983A JP 2000375983 A JP2000375983 A JP 2000375983A JP 2002178625 A JP2002178625 A JP 2002178625A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐光性に優れたインクジェット記録層が形成
でき、かつ、鮮明で、高いインク吸収性、乾燥性、光沢
性および塗膜強度を有する記録層が得られるインクジェ
ット記録用樹脂組成物およびそれを用いた記録シートを
提供すること。 【解決手段】 少なくとも加水分解性シリル基を有する
部位と、光安定性を有する部位および/または紫外線吸
収性を有する部位とを含有する樹脂を配合してなるイン
クジェット記録用樹脂組成物および基材上に該樹脂組成
物を用いて記録層が形成されてなる記録シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用樹脂組成物および記録シートに関し、さらに詳しく
は、紙やプラスチックフィルム(以下、「シート」とい
うことがある。)などの基材の表面に記録層を形成する
ためのインクジェット記録用樹脂組成物であって、耐光
性に優れた記録層を形成でき、かつ、光沢が高く、イン
クの吸収性、印字品質に優れる記録シートの製造に好適
なインクジェット記録用樹脂組成物およびそれを用いた
記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、安価であ
り、フルカラー化が容易であり、低騒音で印字品質に優
れていることから、近年急速に普及しつつある。インク
ジェット記録には、安全性、記録適性の点から主に水系
インクが使用され、ノズルから記録シートに向けてイン
クドットを飛翔させることにより記録が行われる。この
ため記録シートは、速やかにインクを吸収することが要
求される。さらに、インクの多色化やインクドットの小
粒径化により、銀塩写真画像と比較して遜色のない記録
を得ることも可能になってきており、記録速度も高速化
されてきた。このように、記録装置および記録方法の改
良が行われてきたが、これに対応してインクジェット記
録材料に対しても高度な特性が求められるようになって
きた。
【0003】インクジェット記録材料としては、従来か
ら様々の記録用紙が用いられている。例えば、普通紙、
塗工紙(アート紙、コート紙、キャストコート紙な
ど)、さらにこれらの紙に加えて、透明または不透明の
プラスチック製フィルム、合成紙や、紙の両面をプラス
チックで被覆したRC紙など各種基材に記録層を設けた
記録シートが用いられている。
【0004】記録層としては、ポリビニルアルコールな
ど水溶性や親水性樹脂を主体に構成される、いわゆる膨
潤タイプ記録層と、シリカなどの微粒子成分を主体に空
隙層を形成して記録層とする、いわゆる空隙タイプ記録
層に大きく分けることができる。これらの記録層とし
て、例えば、特開昭63−115780号公報には、合
成シリカを含む(メタ)アクリル酸アルキル4級アンモ
ニウム塩および/または(メタ)アクリルアミドアルキ
ル4級アンモニウム塩を骨格とする重合体が、また特開
平6−227114号公報には、微粒シリカを含む顔料
と両性イオンラテックスを主成分とする水性組成物から
形成されるものが開示されている。
【0005】膨潤タイプ記録層を有するインクジェット
記録材料は、水および高沸点有機溶媒(グリセリンやエ
チレングリコールなど)からなるインク溶媒が完全に蒸
発した後では、非常に高い光沢と色濃度の銀塩写真の風
合いを有する画像が得られるという利点があるが、イン
ク吸収速度(乾燥速度)が空隙タイプ記録層に比べて遅
く、場合によってはインク溶媒中の高沸点溶媒の影響で
印刷後数時間から数日間に亘り記録層が膨潤した湿潤状
態のままであり、べたついたり重ねることができない欠
点がある。また、印刷インク量が多い部分では、インク
吸収性が足りずにビーディングなどの画像不良が発生し
たり、インク吸収性と耐水性を両立させるのが難しかっ
たりする問題がある。特に、プリンターの高速化やフォ
トインク使用、1000dpi以上の高解像度印刷など
高画質化が進むにつれ、インク吸収速度(乾燥速度)の
遅さが問題となり、空隙タイプ記録層を有するインクジ
ェット記録材料が主流になりつつある。
【0006】一方、空隙タイプ記録層を有するインクジ
ェット記録材料は、空隙にインクを吸収させるために高
いインク吸収性を示す。このため、ビーディングなどの
画像不良も発生しにくく、非水溶性の無機微粒子を主成
分としているので耐水性も高い。また、十分なインク吸
収容量を確保できるように記録層厚さを設定すれば、空
隙中に高沸点有機溶媒などインク溶媒が残存していたと
しても、表面は印刷直後でも見かけ上乾いた状態にな
り、触れたり重ねたりすることができる乾燥速度を有し
ている。しかしながら、このような利点にも拘わらず、
空隙を有しているために光沢が低すぎるという問題があ
る。
【0007】上記のような空隙タイプ記録層としては、
例えば、特開昭60−219084号、同63−170
074号、特開平2−43083号、同4−93284
号、同7−137431号、同8−197832号公報
など、各種無機粒子を使用したものが開示されている。
このような空隙タイプ記録層を、基材上に形成するため
の塗布液は、光沢性を上げるために、無機微粒子に対す
るバインダーの含有量を余り多くし過ぎると、無機微粒
子間に形成される空隙を塞いでしまったり、バインダー
樹脂の特性によっては、インク溶媒によって該樹脂が膨
潤して空隙を塞ぎ、結果としてインク吸収性が十分得ら
れない。従って、バインダー樹脂含有量の低い処方が使
用される。しかしながら、インク吸収性や吸収容量を確
保するために無機微粒子の比率を上げすぎると、記録層
を形成する塗膜の強度が低下して脆弱になり、無機微粒
子の脱落が発生したり、ひび割れが発生して高い平面性
を有する表面を形成することができず鮮明な印刷画像が
得られない。また、印刷画像の保存安定性についても問
題があり、その耐光性において依然として改良の余地が
大きく残されている。従って、耐光性に優れた記録層が
形成でき、かつ、塗膜強度、インク吸収性(乾燥性)お
よび光沢性を有する記録層が得られるインクジェット記
録用樹脂組成物およびそれを用いた記録シートの開発が
求められていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
の空隙タイプインクジェット記録用樹脂組成物の有する
問題点を解決するために、耐光性に優れた記録層の形成
が可能であり、光沢が高く、塗膜強度、インクの吸収
性、印字品質に優れる記録シートの製造に好適なインク
ジェット記録用樹脂組成物およびそれを用いた記録シー
トを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に鑑み、鋭意検討を行った結果、少なくともアルコキ
シシリル基などの加水分解性シリル基を有する部位と、
光安定性を有する部位および/または紫外線吸収性を有
する部位とを含有する樹脂を配合してなるインクジェッ
ト記録用樹脂組成物は、光安定剤および/または紫外線
吸収剤を、塗膜表面や無機微粒子表面へ効率よく固定化
させることにより、光安定剤および/または紫外線吸収
剤を、後添加したとしても、そのブリードアウトおよび
/または添加量増加によるコストアップの問題を克服
し、耐光性に優れ、かつ、光沢が高く、塗膜強度、イン
クの吸収性、印字品質に優れるインクジェット記録層が
得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の第1発明によれば、基
材上に記録層を形成するためのインクジェット記録用樹
脂組成物において、少なくとも加水分解性シリル基を有
する部位と、光安定性を有する部位および/または紫外
線吸収性を有する部位とを含有する樹脂を配合してなる
インクジェット記録用樹脂組成物が提供される。
【0011】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、上記樹脂が塗膜形成能を有するバイン
ダー樹脂(A)であり、該バインダー樹脂(A)は、加
水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体(a)
0.5〜15重量%と、イオン形成性基を有する重合性
不飽和単量体(b)3〜40重量%と、ラジカル重合性
光安定剤(c)0〜5重量%と、ラジカル重合性紫外線
吸収剤(d)0〜5重量%(ただし、(c)と(d)の
和は、0.1〜10重量%である。)と、その他の重合
性不飽和単量体(e)95.5〜35重量%とを共重合
して得られるアクリル共重合体(f)であり、かつ、該
バインダー樹脂(A)3〜60重量%、並びに無機微粒
子(B)97〜40重量%を含有するインクジェット記
録用樹脂組成物が提供される。
【0012】また、本発明の第3の発明によれば、第2
の発明において、アクリル共重合体(f)が、溶液重合
により得られた樹脂溶液に水を添加してエマルジョン化
した後、重合溶媒を除去することにより得られる水系樹
脂組成物であるインクジェット記録用樹脂組成物が提供
される。
【0013】また、本発明の第4の発明によれば、第2
の発明において、ラジカル重合性光安定剤(c)が、ヒ
ンダードアミン系光安定剤であり、かつ、ラジカル重合
性紫外線吸収剤(d)が、ベンゾフェノン系紫外線吸収
剤またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるイン
クジェット記録用樹脂組成物が提供される。
【0014】また、本発明の第5の発明によれば、第2
の発明において、無機微粒子(B)の粒径が、3〜30
0nmであるインクジェット記録用樹脂組成物が提供さ
れる。
【0015】さらに、本発明の第6の発明によれば、第
1ないし第5のいずれかの発明により得られるインクジ
ェット記録用樹脂組成物により、基材上に形成される記
録層を有する記録シートが提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 1.バインダー樹脂(A) (a)加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体 本発明のバインダー樹脂(A)として使用される、アク
リル共重合体(f)には、加水分解性シリル基を有する
重合性不飽和単量体(a)、イオン形成性基を有する重
合性不飽和単量体(b)、ラジカル重合性光安定剤
(c)、ラジカル重合性紫外線吸収剤(d)およびその
他の重合性不飽和単量体(e)を共重合したものを用い
る。該加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体
(a)としては、例えば、シリル基などの加水分解縮合
性含有単量体である[ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビ
ニルメトキシジメチルシラン、ビニルエトキシジメチル
シラン、ビニルイソブトキシジメチルシラン、ビニルジ
メトキシメチルシラン、ビニルジエトキシメチルシラ
ン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビ
ニルジフェニルエトキシシラン、ビニルトリフェノキシ
シラン、γ−(ビニルフェニルアミノプロピル)トリメ
トキシシラン、γ−(ビニルベンジルアミノプロピル)
トリメトキシシラン、γ−(ビニルフェニルアミノプロ
ピル)トリエトキシシラン、γ−(ビニルベンジルアミ
ノプロピル)トリエトキシシラン、ジビニルジメトキシ
シラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ(β−
メトキシエトキシ)シラン、ビニルジアセトキシメチル
シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルビス(ジ
メチルアミノ)メチルシラン、ビニルメチルジクロロシ
ラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロ
シラン、ビニルメチルフェニルクロロシラン、アリルト
リエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメト
キシシラン、アリルジアセトキシメチルシラン、アリル
トリアセトキシシラン、アリルビス(ジメチルアミノ)
メチルシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジ
メチルクロロシラン、アリルトリクロロシラン、メタク
リルフェニルジクロロシラン、β−(メタ)アクリロキ
シエチルトリメトキシシラン、β−(メタ)アクリロキ
シエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリ
ロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)
アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキ
シ)シランなど]などが例示できる。好ましくは、アル
コキシシリル基(メトキシシリル基,エトキシシリル基
などのC1−4アルコキシシリル基)を有する重合性不
飽和化合物である。
【0017】加水分解性シリル基を有する重合性不飽和
単量体(a)は、全重合性不飽和単量体のうち、0.5
〜15重量%用いるが、好ましくは1〜12重量%、さ
らに好ましくは2〜10重量%である。加水分解性シリ
ル基を有する重合性不飽和単量体(a)が、全重合性不
飽和単量体の0.5重量%未満であると、塗膜の耐水性
や塗膜強度など十分な改良効果がでなくなる。一方、1
5重量%を超えると、増粘、ゲル化し易くなる。
【0018】(b)イオン形成性基を有する重合性不飽
和単量体 本発明においては、イオン形成性基を有する重合性不飽
和単量体(b)を樹脂の共重合成分の1つとして用い
る。イオン形成性基としては、アミノ基、イミノ基など
のカチオン形成性基、カルボキシル基などのアニオン形
成性基が挙げられる。カチオン形成性基を有する不飽和
単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)
アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチル
アンモニウムサルフェートなどが挙げられる。このよう
なカチオン形成性基を有する不飽和単量体は、単独でま
たは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】アニオン形成性基を有する不飽和単量体と
しては、例えば、カルボキシエチル(メタ)アクリレー
ト、カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニル
カルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ソルビ
ン酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸など]、ビニ
ルスルホン酸[ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、
ビニルトルエンエンスルホン酸、スチレンスルホン酸な
ど]、(メタ)アクリルスルホン酸[(メタ)アクリル
酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピルな
ど]、(メタ)アクリルアミドスルホン酸[2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など]などが
挙げられる。このようなアニオン形成性基を有する不飽
和単量体は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いる
ことができる。
【0020】カチオン形成性基を有する不飽和単量体を
用いる方が、インクジェット記録におけるインク定着性
の点において好ましい。特に、アクリル共重合体(f)
のイオン性が、カチオン性となるような組成にイオン形
成性基を有する重合性不飽和単量体(b)を共重合させ
ることが好ましい。該イオン形成性基を有する重合性不
飽和単量体(b)は、全重合性不飽和単量体のうち、3
〜40重量%用いるが、好ましくは5〜35重量%、さ
らに好ましくは8〜30重量%である。イオン形成性基
を有する重合性不飽和単量体(b)が、全重合性不飽和
単量体の3重量%未満であると、インクとの親和性が悪
くなり、また、エマルジョン化する時に凝集物が生じ
る。一方、40重量%を超えると、べたつきなどの問題
を生じ、また、塗膜の耐水性が悪化する。
【0021】(c)ラジカル重合性光安定剤 本発明のアクリル共重合体(f)においては、ラジカル
重合性光安定剤(c)を樹脂の共重合成分の1つとして
用いる。ラジカル重合性光安定剤(c)としては、例え
ば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリ
レート、2,2,6,6−テトラメチル−4−イミノピ
ペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−
シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペ
リジルメタクリレートなどのヒンダードアミン系光安定
剤が挙げられ、またこれらの1種または2種類以上のも
のを組み合わせて用いることができる。市販品の例とし
ては、旭電化工業株式会社から入手可能な、アデガスタ
ブLA−82、LA−87などが挙げられる。
【0022】上記ラジカル重合性光安定剤(c)は、0
〜5重量%の範囲で使用される。好ましくは0.1〜5
重量%、さらには0.2〜3重量%の範囲がよい。ラジ
カル重合性光安定剤(c)の使用量が上記範囲を超える
と、重合安定性が悪くなったり、未反応の光安定剤がブ
リードを起こし塗膜形成が不良となる場合がある。その
ため使用量は0.1〜5重量%の範囲が好ましい。
【0023】(d)ラジカル重合性紫外線吸収剤 本発明のアクリル共重合体(f)においては、ラジカル
重合性紫外線吸収剤(d)を樹脂の共重合成分の1つと
して用いる。ラジカル重合性紫外線吸収剤(d)として
は、例えば、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−エトキ
シ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリ
ロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−トリエトキシ)
ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系の紫外線吸収
剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエ
チルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチル−3
−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシ
プロピル−3−tert−ブチルフェニル)−5−クロ
ロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−メタクリロイル−
2−ヒドロキシプロピル−3−[3’−(2’’ベンゾ
トリアゾリル)−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチ
ル]フェニルプロピオネートなどのベンゾトリアゾール
系の紫外線吸収剤が挙げられる。市販品の例としては、
大塚化学株式会社のRUVA−93、日本チバガイギー
株式会社のCGL−104などが挙げられる。またこれ
らの1種または2種類以上のものを数種組み合わせて用
いることができる。
【0024】ラジカル重合性紫外線吸収剤(d)は、0
〜5重量%の範囲で使用される。好ましくは0.1〜5
重量%、さらには0.2〜3重量%の範囲がよい。ラジ
カル重合性紫外線吸収剤(d)の使用量が上記範囲を超
えると、重合安定性が悪くなったり、未反応の紫外線吸
収剤がブリードを起こし塗膜形成が不良となる場合があ
る。そのため使用量は0.1〜5重量%の範囲が好まし
い。
【0025】ラジカル重合性光安定剤(c)とラジカル
重合性紫外線吸収剤(d)の使用量については、両者の
和((c)+(d))が、0.1〜10重量%になるよ
うにする必要があり、好ましくは、両者の和を0.2〜
6重量%とする。両者の和((c)+(d))が、全重
合性不飽和単量体の0.1重量%未満であると、耐光性
などの改良効果が十分でなく、一方、10重量%を超え
ると、重合時の安定性が悪くなる。
【0026】(e)その他の重合性不飽和単量体 本発明においては、その他の重合性不飽和単量体(e)
を樹脂の共重合成分の1つとして用いる。該重合性不飽
和単量体は、既知の種々の重合性不飽和単量体から、樹
脂組成物が適用される用途に応じて適宜選択される。
【0027】このような重合性不飽和単量体(e)とし
ては、例えば、(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニ
ル類、ビニルエステル類、ハロゲン含有ビニル類、ビニ
ルエーテル類(例えば、ビニルエチルエテールなど)、
ビニルケトン類(例えば、メチルビニルケトンなど)、
ビニルヘテロ環化合物(例えば、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルイミダゾールなどのN−ビニル化合物、
N−ビニルピリジンなど)、オレフィン系単量体(例え
ば、エチレン、プロピレンなど)、アリル化合物(例え
ば、酢酸アリルなどのアリルエステルなど)などが挙げ
られる。この重合性不飽和単量体(e)は、単独でまた
は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0028】上記重合性不飽和単量体(e)の(メタ)
アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロニト
リルなどが含まれる。(メタ)アクリレートには、例え
ば、アルキル(メタ)アクリレート[例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)
アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチ
ル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレ
ート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのC
1−18アルキル(メタ)アクリレートなど]、シクロ
アルキル(メタ)アクリレート[例えば、シクロヘキシ
ル(メタ)アクリレートなど]、アリール(メタ)アク
リレート[例えば、フェニル(メタ)アクリレートな
ど]、アラルキル(メタ)アクリレート[例えば、ベン
ジル(メタ)アクリレートなど]、ヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート[例えば、2−ヒドロキシエチ
ル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど
のヒドロキシ−C2−4アルキル(メタ)アクリレート
など]、グリシジル(メタ)アクリレート、ジアルキル
アミノ−アルキル(メタ)アクリレート [例えば、2
−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2
−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレートなど
のジC1−4アルキルアミノ−C2−4アルキル(メ
タ)アクリレートなど]などが含まれる。
【0029】(メタ)アクリルアミド類には、例えば、
(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)
アクリルアミド、[例えばN−メチロール(メタ)アク
リルアミドなどのN−ヒドロキシ−C1−4アルキル
(メタ)アクリルアミドなど]、アルコキシアルキル
(メタ)アクリルアミド、[例えばN−メトキシメチル
(メタ)アクリルアミドなどのN−C1−4アルコキシ
−C1−4アルキル(メタ)アクリルアミドなど]、ジ
アセトキシ(メタ)アクリルアミドなどが含まれる。
【0030】好ましい(メタ)アクリル系単量体として
は、例えば、(メタ)アクリレート[例えば、C
1−18アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ−
2−4アルキル(メタ)アクリレート、グリシジル
(メタ)アクリレート、ジC1−4アルキルアミノ−C
2−4アルキル(メタ)アクリレート]など、(メタ)
アクリルアミド類などが挙げられる。さらに、好ましい
(メタ)アクリル系単量体としては、C2−10アルキ
ルアクリレート、C1−6アルキルメタアクリレート、
ヒドロキシ−C2−3アルキル(メタ)アクリレート、
グリシジル(メタ)アクリレート、ジC1−3アルキル
アミノ−C2−3アルキル(メタ)アクリレートなどが
挙げられる。
【0031】芳香族ビニル類には、例えば、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが含まれ、ス
チレンを用いる場合が多い。ビニルエステル類には、例
えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック
酸ビニル(VeoVa)などが含まれる。ハロゲン含有
ビニル類には、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンな
どが含まれる。また、その他の重合性不飽和単量体
(e)として、上記した加水分解性シリル基を有する重
合性不飽和単量体(a)を使用してもよい。
【0032】このような重合性不飽和単量体(e)とし
て、通常、ハードモノマー[例えば、(メタ)アクリル
酸メチル、スチレンなどのガラス転移温度80〜120
℃(特に90〜105℃)程度の単独重合体を形成する
単量体成分]と、ソフトモノマー[例えば、アクリル酸
2−10アルキルエステルなどのガラス転移温度−8
5℃〜10℃(特に−85℃〜−20℃)程度の単独重
合体を形成する単量体成分]と組み合わせて用いる場合
が多い。このように重合性不飽和単量体(e)として、
通常、ハードモノマーおよびソフトモノマーを用いる場
合、その配合比は特に限定されないが、例えば、ハード
モノマー10〜90重量%(例えば、15〜85重量
%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは2
5〜75重量%、特に30〜70重量%)、ソフトモノ
マー10〜90重量%(例えば、15〜85重量%、好
ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは25〜7
5重量%、特に30〜70重量%)とすることができ
る。
【0033】その他の重合性不飽和単量体(e)は、加
水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体(a)、
イオン形成性基を有する重合性不飽和単量体(b)、ラ
ジカル重合性光安定剤(c)およびラジカル重合性紫外
線吸収剤(d)の残部を占めるが、イオン形成性基を有
する重合性不飽和単量体(b)並びにその他の重合性不
飽和単量体(e)の合計を100重量%とした場合、イ
オン形成性基を有する重合性不飽和単量体(b)の含有
量は、例えば、1〜20重量%、好ましくは2〜10重
量%とすることが重合体を容易に乳化させやすいという
点で好ましい。その他の重合性不飽和単量体(e)は、
全重合性不飽和単量体のうち、95.5〜35重量%用
いるが、好ましくは95〜38重量%、さらに好ましく
は90〜40重量%である。
【0034】本発明においては、乳化重合など既知の種
々の重合法を用いて共重合することができるが、上記各
共重合成分を溶液重合し、得られた樹脂溶液に水を添加
することによりエマルジョン化した後、溶液重合に使用
した溶媒を除去して水系樹脂組成物を得る方法が好まし
く用いられる。すなわち、上記各共重合成分を混合し、
適当な有機溶剤の存在下にて共重合し、この重合体を、
アルカリ(例えば、トリエチルアミンなどのアルキルア
ミン、モルホリンなどの環状アミン、トリエタノールア
ミンなどのアルカノールアミン、ピリジン、アンモニア
など)や酸[例えば、無機酸(例えば、塩酸、硫酸な
ど)、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸などのカル
ボン酸、スルホン酸など)など]を用いて溶解または分
散させてもよい。なお、重合操作は、バッチ式、連続式
であってもよい。
【0035】溶液重合で用いる有機溶剤としては、例え
ば、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノールなど)、芳香族炭化水素(例えば、
ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素
(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなど)、脂環
族炭化水素(例えば、シクロヘキサンなど)、エステル
(例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなど)、ケトン
(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エー
テル(例えば、ジエチルエテール、ジオキサン、テトラ
ヒドロフランなど)、などを用いることができる。これ
ら有機溶剤は、単独でまたは2種以上の組み合わせで使
用してもよい。有機溶剤としては、通常、イソプロパノ
ールなどのアルコール、トルエンなどの芳香族炭化水
素、メチルエチルケトンなどのケトンが使用される。
【0036】有機溶剤の使用量は、特に制限されず、例
えば、重合性不飽和単量体の総量に対する有機溶剤量が
重量比で0.1/1〜5/1、好ましくは0.5/1〜
2/1程度の範囲から選択できる。
【0037】溶液重合では、電子線または紫外線の照射
加熱により重合を開始してもよいが、重合開始剤を用い
て重合を開始する場合が多い。重合開始剤としては、例
えば、アゾ化合物[例えば、アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニト
リル、アゾビスシアノ吉草酸、2,2−アゾビス(2−
アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾ
ビス(2−アミジノプロパン)アセテートなど]、無機
過酸化物(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸化水素な
ど)、有機過酸化物[例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−
t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキ
サイド、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボ
ネートなど]およびレドックス触媒[例えば、亜硫酸塩
もしくは重亜硫酸(例えば、アルカリ金属塩、アンモニ
ウム塩など)、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸な
どの還元剤と、過硫酸塩(例えば、アルカリ金属塩、ア
ンモニウム塩など)、過酸化物などの酸化剤との組合わ
せからなる触媒系]などが例示できる。重合開始剤は単
独で、または2種以上組合わせて使用できる。
【0038】重合開始剤の使用量は、例えば、重合性不
飽和単量体の総重量に対して0.001〜20重量%、
好ましくは0.01〜10重量%(例えば、0.1〜1
0重量%)程度の範囲から選択できる。
【0039】溶液重合における反応温度は、例えば、5
0〜150℃、好ましくは70〜130℃程度である。
また、反応時間は、例えば、1〜10時間、好ましくは
2〜7時間程度である。なお、重合の終点は、赤外吸収
スペクトルにおける二重結合の吸収(1648c
−1)の消滅、またはガスクロマトグラフィーを用い
て、未反応の単量体の減少などにより確認することがで
きる。
【0040】なお、重合体にアミノ基、イミド基や他の
カチオン形成性基などのカチオン性基が含まれている場
合、酸を用いると親水性が向上し、重合体を容易に溶解
または乳化することができる。このような酸としては、
例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸な
ど)、有機酸[例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸など
の飽和脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、アジピン酸な
どの飽和脂肪族ポリカルボン酸、(メタ)アクリル酸な
どの不飽和脂肪族ポリカルボン酸;マレイン酸、イタコ
ン酸などの不飽和脂肪族ポリカルボン酸;乳酸、クエン
酸などの脂肪族オキシカルボン酸など]などが例示でき
る。
【0041】重合体がカルボキシル基などのアニオン形
成性基を有する場合、塩基を用いると重合体を容易に溶
解または乳化することができる。このような塩基には、
例えば、有機塩基(例えば、トリエチルアミンなどのア
ルキルアミン、モルホリンなどの環状アミン、トリエタ
ノールアミンなどのアルカノールアミン、ピリジンな
ど)、無機塩基(例えば、アンモニア、アルカリ金属水
酸化物など)などが含まれる。酸および塩基の使用量
は、例えば、アニオン形成性基の合計モルに対して塩基
/アニオン形成性基=0.3/1〜1.5/1(モル
比)、カチオン形成性基の合計モルに対して酸/カチオ
ン形成性基=0.3/1〜1.5/1(モル比)程度の
範囲から選択できる。
【0042】このようなアクリル共重合体(f)の共重
合を行う際に、インクジェット記録用組成物からなる塗
布液のアクリル共重合体(f)と無機微粒子(B)の混
合性を向上させるという観点より、塗布液に配合する無
機微粒子(B)の一部または全ての存在下において共重
合を行ってもよい。重合溶液中に存在させる無機微粒子
(B)の量は、重合性不飽和単量体の総和重量100重
量部に対して、好ましくしくは3〜80重量部、特に好
ましくは5〜30重量部である。
【0043】溶液重合により得られた重合体の乳化は、
有機溶剤の存在下または非存在下で行うことができる。
有機溶剤の存在下、重合体を溶解または乳化分散する場
合、有機溶剤としては、水溶性の有機溶剤(例えば、イ
ソプロパノールなどのアルコールなど)を用いる場合が
多い。有機溶剤の存在下、重合体を乳化した場合、乳化
後、有機溶剤を蒸発などにより除去してもよく、得られ
るエマルジョンは、有機溶剤を含有していてもよい。な
お、重合体を乳化する前に有機溶剤を除去する場合、低
沸点の有機溶剤(例えば、メチルエチルケトンなどのケ
トン)を用いる場合が多い。
【0044】溶液重合により得られた重合体を、有機溶
剤の存在下、乳化する場合、重合体を含む有機溶液に添
加剤(例えば、乳化剤、pH調整剤、酸など)を添加し
た後、水を添加して乳化できる。この場合、水は、滴下
などにより徐々に添加することが好ましい。乳化すると
きの温度は、低温の方が好ましく、例えば、5〜70
℃、好ましくは10〜50℃程度の範囲から選択でき
る。水を添加して乳化した後の有機溶剤の除去は、例え
ば5〜80℃程度の温度で、常圧または減圧下(例え
ば、0.0001〜1気圧程度)で行う場合が多い。
【0045】なお、溶液重合では、重合体の分子量を調
整するために、連鎖移動剤、例えば、カテコールなどの
アルコール類、チオール類、メルカプタン類(例えば、
n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタ
ン、t−ドデシルメルカプタン、3−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチル
ジメトキシシラン)などを用いてもよい。
【0046】このようにして得られる水性エマルジョン
における重合体粒子の平均粒子径は、分散安定性、密着
性などを損なわない範囲、例えば、0.01〜2μm、
好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.01
〜0.5μm、さらにより好ましくは0.01〜0.3
μm程度の範囲から選択できる。
【0047】また、本発明のアクリル共重合体(f)に
は、必要に応じて、例えば、滑剤、酸化防止剤、光安定
化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などの安定剤、ラジカル
補捉剤、消光剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、消泡剤
などの各種既知の添加剤を添加してもよい。
【0048】2.無機微粒子(B) 本発明に使用する無機微粒子(B)としては、例えば、
アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、珪酸カルシウムなどが挙げられる。好ましくはシリ
カであり、特に好ましくはコロイダルシリカであり、具
体的には、水分散タイプのシリカゾルやオルガノシリカ
ゾルである。記録層の光沢や透明性のためには、小粒径
のものが好ましい。例えば、その粒径は3〜300n
m、好ましくは5〜50nmである。無機粒子の形状
は、球状、平板状、柱状、数珠状のいずれであってもよ
い。
【0049】3.インクジェット記録用樹脂組成物 このようにして得られたアクリル共重合体(f)である
バインダー樹脂(A)と、無機微粒子(B)とを混合し
て、記録層形成に使用するインクジェット記録用樹脂組
成物を調製する。混合方法は、従来公知の方法を使用す
ることができる。また、高圧ホモジナイザーなどを用い
て、乾式シリカや湿式シリカなどの大粒径(1μm以
上)のシリカ粒子など無機微粒子を水に分散させたもの
を、アクリル共重合体(f)の存在下で、本発明の好ま
しい無機微粒子(B)の粒径範囲に入るように粉砕・混
合させてもよい。このような高圧ホモジナイザーとして
は、例えば、日本BEE(株)の高圧ジェット流乳化
機、三田村理研工業(株)のジェットストリームミキサ
ー、ナノマナイザー(株)のナノマナイザーなどが挙げ
られる。
【0050】混合比率は、バインダー樹脂(A)3〜6
0重量%に対し、無機微粒子(B)97〜40重量%で
ある。好ましくは、バインダー樹脂(A)または、安定
剤混合バインダー樹脂5〜30重量%に対し、無機微粒
子(B)95〜70重量である。無機微粒子(B)が9
7重量%を超えると、造膜性低下の傾向が見られ、40
重量%に満たない場合は速乾性やインク吸収性が低下す
る。
【0051】記録層形成に使用するインクジェット記録
用樹脂組成物には、特性を失わない範囲で慣用のインク
定着剤、架橋剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、アンチブ
ロッキング剤、造膜助剤などインクジェット記録性や記
録体の保存安定性や塗布液の特性改良などのための添加
剤を必要に応じて、さらに配合してもよい。
【0052】4.記録層 記録層には、必要に応じて、他の成分、例えば、架橋性
基を有していない重合体や重合体を含む水性エマルジョ
ン(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョ
ン、酢酸ビニル系エマルジョンなど)を含有させてもよ
い。また、記録層には、粉粒体(顔料など)を含有させ
てもよい。ここで粉粒体としては、例えば、無機粉粒体
(ホワイトカーボン、微粒子状珪酸カルシウム、ゼオラ
イト、アミノ珪酸マグネシウム、焼成珪成土、微粒子状
炭酸マグネシウム、微粒子状アルミナ、タルク、カオリ
ン、デラミカオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽
質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、
水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネ
シウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、セリサイ
ト、ベントナイト、スクメタイトなどの鉱物質粉粒体な
ど)、有機粉粒体(ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの架橋または非架
橋有機微粒子、微小中空粒子などの有機質粉粒体など)
が挙げられる。これらの粉粒体は1種または2種以上、
適宜選択して併用することも可能である。
【0053】なお、粉粒体を用いる場合、そのバインダ
ー樹脂として、酢酸ビニル系共重合体のケン化物などの
親水性高分子が使用できる。粉粒体とバインダー樹脂と
の割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、粉粒
体0.1〜80重量部、好ましくは0.2〜50重量部
程度である。
【0054】5.基材 本発明において、表面に記録層が形成される基材は用途
に応じて不透明、半透明や透明であってもよく、オーバ
ーヘッドプロジェクター(OHP)などに用いる場合の
基材は、通常、透明である。基材の材質には、特に制限
はなく、使用し得る基材としては、例えば、紙、塗工
紙、不織布、プラスチックフィルムおよび合成紙が挙げ
られる。
【0055】プラスチックフィルムおよび合成紙を構成
するポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプ
ロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレ
ン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、
ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレ
ートなどのポリアルキレンナフタレートなど)、ポリカ
ーボネート、ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド6
/6、ポリアミド6/10、ポリアミド6/12な
ど)、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミ
ド、ポリイミドアミド、ポリエーテルエステルなどが挙
げられ、さらに、これらの共重合体、ブレンド物、架橋
物を用いてもよい。
【0056】これらのフィルムまたは合成紙を構成する
ポリマーとしては、通常、ポリオレフィン(特にポリプ
ロピレン)、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタ
レートなど)、ポリアミドなどが使用され、特に、機械
的強度、作業性、コストなどの点からポリエステル(特
にポリエチレンテレフタレート)が好ましい。紙または
塗工紙としては、例えば、上質紙、アート紙、RC紙な
どが使用できる。
【0057】基材の厚みは、用途に応じて選択でき、通
常、5〜500μm、好ましくは10〜300μm程度
である。基材には、その内部または表面に、必要に応じ
て、サイズ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、
滑剤、顔料などの慣用の添加剤を使用してもよい。ま
た、記録層との接着性を向上させるため、コロナ放電処
理やアンダーコート処理などの表面処理を行ってもよ
い。
【0058】6.記録シートの製造方法 本発明の記録シートは、上記基材の少なくとも一方の面
に、本発明のインクジェット記録用樹脂組成物からなる
塗布液にて、記録層を形成することにより製造する。す
なわち、記録層は、調製した塗布液を基材に塗布するこ
とにより形成できる。塗布液は、慣用の流延または塗布
方法、例えば、ロールコーター、エヤナイフコーター、
ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、コ
ンマコーター、グラビアコーター、シルクスクリーンコ
ーター法などにより、基材の少なくとも一方の面に流延
または塗布される。記録層は、上記成分を含む塗布液を
基材の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥することによ
り形成できる。また、必要に応じて、塗布液を塗布した
後、50〜150℃程度の範囲から選択される適当な温
度で加熱して架橋したインク吸収層を形成してもよい。
なお、上記記録層の上には、必要により、多孔質層、ブ
ロッキング防止層、滑性層、帯電防止層などを形成して
もよい。さらに、必要に応じて、スーパーカレンダーな
ど記録層表面の平滑化処理を行ってもよい。
【0059】上記のバインダー樹脂(A)および無機微
粒子(B)を含有するインクジェット記録用樹脂組成物
により形成する記録層の厚みは、用途に応じて選択で
き、例えば、1〜50μm、好ましくは3〜30μm程
度であり、さらに好ましくは5〜20μm程度である。
【0060】記録シートの好ましい層構成は、基材上に
少なくとも一層以上の無機微粒子よりなるインク吸収層
を形成し、さらに、その上に記録層が形成されてなる層
構成である。インク吸収層を形成する無機微粒子として
は、従来公知の乾式シリカおよび/または湿式シリカが
好ましく使用できる。また、そのバインダー樹脂として
は、ポリビニルアルコールなどの従来公知のものが使用
できる。
【0061】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。なお、特に断りのない限り、アクリ
ル共重合体(f)および無機微粒子(B)の重量部は固
形分換算とする。
【0062】実施例および比較例で得られたインクジェ
ット記録用樹脂組成物について、以下のように評価し
た。
【0063】(耐光性1)イエロー:Y、マゼンタ:
M、シアン:C、ブラック:Bのカラーパターンを記録
シートに印刷し、南向きガラス越しの室内環境に一ヶ月
間保管し、保管前後の色濃度をマクベス色濃度計にて測
定した。評価基準は、下記の通りである。 C、M、Y、Bの平均色濃度保持率が85%以上のも
の:○ 70〜85%のもの:△ 70%未満のもの:×
【0064】(耐光性2)イエロー:Y、マゼンタ:
M、シアン:C、ブラック:Bのカラーパターンを記録
シートに印刷し、キセノンウエザーメ−ターのブラック
パネル温度65℃、槽内湿度50%RH、340nmに
おける照射エネルギー:0.35W/mで90KJ/
暴露した。次いで、暴露前後の色濃度をマクベス色
濃度計にて測定した。評価基準は、下記の通りである。 C、M、Y、Bの平均色濃度保持率が85%以上のも
の:○ 70〜85%のもの:△ 70%未満のもの:×
【0065】(塗膜強度)鉛筆引っかき試験機を用いて、
塗工した記録層を荷重(50g)をかけながら種々の硬さ
の鉛筆で引っかき試験を行い、塗膜の破れ具合を目視に
て判断した。 ○:HB以上の硬さの鉛筆で引っかいたときに、粉落ち
が認められない。 △:HBの鉛筆で引っかいたときに、僅かに粉落ちが認
められる。×:B以下の硬さの鉛筆で引っかいたとき
に、容易に粉落ちが認められる。
【0066】(インク乾燥性)プリンタを用いてシア
ン、マゼンタ、イエロー、ブラックおよびこれらの混色
であるレッド、グリーン、ブルーのベタ画像印刷を行っ
た後、30秒後に印字部分にPPCコピー紙を載せ、荷
重(500g/cm)を10秒間かけた後、PPC用紙
を剥がし、下記の基準でコピー用紙へのインクの移り具
合を目視にて判断した。 ○:コピー用紙へのインクの移りが全く認められない。 △:僅かにインクの移りが認められる。 ×:インクの移りが著しい。
【0067】(印刷画質)プリンタを用いてISO標準画
像を印刷し、下記の基準で目視にて判断した。 ○:滲みやムラなどの画質不良が全く認められない。 △:僅かに滲みやムラなどの画質不良が認められる。 ×:滲みやムラなどの画質不良が著しく、明確な画像が
得られない。
【0068】[合成例1]アクリル共重合体(f−1)
の合成 攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管および温
度計を備えた2lの反応容器に、イソプロピルアルコー
ル(以下「IPA」と略す。)175重量部を入れ、攪
拌しながらアゾビスイソブチロニトリル(以下「AIB
N」と略す。)0.62重量部を加えて溶解し、80℃
に加温した。共重合成分として、3−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製、A
−174)6重量部、アクリル酸(以下「AA」と略
す。)6重量部、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタ
クリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾー
ル(RUVA−93:大塚化学(株)製)0.85重量
部、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピ
ペリジルメタクリレート(LA−82:旭電化工業
(株)製)0.85重量部、メチルメタクリレート(以
下「MMA」と略す。)96重量部、n−ブチルアクリ
レート(以下「BA」と略す。)60.3重量部を混合
し、滴下ロートを用いて約4時間かけて反応容器に滴下
した。滴下終了後、追加触媒としてAIBN0.25重
量部をIPA25重量部に溶解して、反応容器に滴下
し、さらに2時間反応を保持した。重合終了後、攪拌を
続けながら、25%アンモニア水7.2重量部を反応容
器に加え、水705重量部を約2時間かけて反応容器に
滴下し、エマルジョン化した。エマルジョン化後、ロー
タリーエバポレーターを用いてIPAを蒸発させ、アニ
オン性のアクリル共重合体(f−1)を得た。この樹脂
組成物の固形分は40重量%であった。
【0069】[合成例2]アクリル共重合体(f−2)の
合成 攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管および温
度計を備えた2lの反応容器に、IPA175重量部を
入れ、攪拌しながらAIBN0.62重量部を加えて溶
解し、80℃に加温した。共重合成分として、3−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー
(株)製、A−174)6重量部、AA6重量部、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェ
ニル)−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93:
大塚化学(株)製)0.85重量部、2,2,6,6−
テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート
(LA−87:旭電化工業(株)製)0.85重量部、
MMA96重量部、BA60.3重量部を混合し、滴下
ロートを用いて約4時間かけて反応容器に滴下した。滴
下終了後、追加触媒としてAIBN0.25重量部をI
PA25重量部に溶解して、反応容器に滴下し、さらに
2時間反応を保持した。重合終了後、攪拌を続けなが
ら、25%アンモニア水7.2重量部を反応容器に加
え、水705重量部を約2時間かけて反応容器に滴下
し、エマルジョン化した。エマルジョン化後、ロータリ
ーエバポレーターを用いてIPAを蒸発させ、アニオン
性のアクリル共重合体(f−2)を得た。この樹脂組成
物の固形分は40重量%であった。
【0070】[合成例3]アクリル共重合体(f−3)
の合成 攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管および温
度計を備えた2lの反応容器に、IPA219重量部を
入れ、攪拌しながらAIBN1.23重量部を加えて溶
解し、80℃に加温した。共重合成分として、3−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー
(株)製、A−174)4.93重量部、ジエチルアミ
ノエチルメタアクリレート49.3重量部、2−(2’
−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)
−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93:大塚化
学(株)製)1.23重量部、1,2,2,6,6−ペ
ンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート(L
A−82:旭電化工業(株)製)1.23重量部、MM
A93.7重量部、BA96.24重量部を混合し、滴
下ロートを用いて約4時間かけて反応容器に滴下した。
滴下終了後、追加触媒としてAIBN0.25重量部を
IPA25重量部に溶解して、反応容器に滴下し、さら
に2時間反応を保持した。重合終了後、攪拌を続けなが
ら、酢酸16重量部を反応容器に加え、水705重量部
を約2時間かけて反応容器に滴下し、エマルジョン化し
た。エマルジョン化後、ロータリーエバポレーターを用
いてIPAを蒸発させ、カチオン性のアクリル共重合体
(f−3)を得た。この樹脂組成物の固形分は40重量
%であった。
【0071】[合成例4]アクリル共重合体(f−4)
の合成 攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管および温
度計を備えた2lの反応容器に、IPA219重量部を
入れ、攪拌しながらAIBN1.23重量部を加えて溶
解し、80℃に加温した。共重合成分として、3−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー
(株)製、A−174)4.93重量部、ジエチルアミ
ノエチルメタアクリレート49.3重量部、2−(2’
−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)
−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93:大塚化
学(株)製)2.46重量部、MMA93.7重量部、
BA96.24重量部を混合し、滴下ロートを用いて約
4時間かけて反応容器に滴下した。滴下終了後、追加触
媒としてAIBN0.25重量部をIPA25重量部に
溶解して、反応容器に滴下し、さらに2時間反応を保持
した。重合終了後、攪拌を続けながら、酢酸16重量部
を反応容器に加え、水705重量部を約2時間かけて反
応容器に滴下し、エマルジョン化した。エマルジョン化
後、ロータリーエバポレーターを用いてIPAを蒸発さ
せ、カチオン性のアクリル共重合体(f−4)を得た。
この樹脂組成物の固形分は40重量%であった。
【0072】[合成例5]アクリル共重合体(f−5)
の合成 攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管および温
度計を備えた2lの反応容器に、IPA219重量部を
入れ、攪拌しながらAIBN1.23重量部を加えて溶
解し、80℃に加温した。共重合成分として、3−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー
(株)製、A−174)4.93重量部、ジエチルアミ
ノエチルメタアクリレート49.3重量部、1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタ
クリレート(LA−82:旭電化工業(株)製)2.4
6重量部、MMA93.7重量部、BA96.24重量
部を混合し、滴下ロートを用いて約4時間かけて反応容
器に滴下した。滴下終了後、追加触媒としてAIBN
0.25重量部をIPA25重量部に溶解して、反応容
器に滴下し、さらに2時間反応を保持した。重合終了
後、攪拌を続けながら、酢酸16重量部を反応容器に加
え、水705重量部を約2時間かけて反応容器に滴下
し、エマルジョン化した。エマルジョン化後、ロータリ
ーエバポレーターを用いてIPAを蒸発させ、カチオン
性のアクリル共重合体(f−5)を得た。この樹脂組成
物の固形分は40重量%であった。
【0073】[合成例6]アクリル共重合体(f−6)
の合成 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(日本
ユニカー(株)製、A−174)、2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−
ベンゾトリアゾール(RUVA−93:大塚化学(株)
製)および1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イ
ミノピペリジルメタクリレート(LA−82:旭電化工
業(株)製)を用いなかったこと、並びにMMAを9
9.7重量部、BAを64.3重量部としたこと以外
は、(f−1)と同様にして重合反応およびエマルジョ
ン化を行い、アクリル共重合体(f−6)を得た。この
樹脂組成物の固形分は40重量%であった。
【0074】[実施例1]アクリル共重合体(f−1)
100重量部に対して、球状コロイダルシリカ(日産化
学(株)製、ST−20、固形分20%)400重量部
を配合し、塗布液の固形分濃度が20重量%となるよう
にイオン交換水を加えて塗布液1を調製した。
【0075】[実施例2]アクリル共重合体(f−2)
100重量部に対して、球状コロイダルシリカ(日産化
学(株)製、ST−20、固形分20%)400重量部
を配合し、塗布液の固形分濃度が20重量%になるよう
にイオン交換水を加えて塗布液2を調製した。
【0076】[実施例3]アクリル共重合体(f−3)
100重量部に対して、カチオン性コロイダルシリカ
(日産化学(株)製、スノーテックスAK、固形分19
%)400重量部を配合し、塗布液の固形分濃度が20
重量%になるようにイオン交換水を加えて塗布液3を調
製した。
【0077】[実施例4]アクリル共重合体(f−4)
100重量部に対して、カチオン性コロイダルシリカ
(日産化学(株)製、スノーテックスAK、固形分19
%)400重量部を配合し、塗布液の固形分濃度が20
重量%になるようにイオン交換水を加えて塗布液4を調
製した。
【0078】[実施例5]アクリル共重合体(f−5)
100重量部に対して、カチオン性コロイダルシリカ
(日産化学(株)製、スノーテックスAK、固形分19
%)400重量部を配合し、塗布液の固形分濃度が20
重量%になるようにイオン交換水を加えて塗布液5を調
製した。
【0079】[実施例6]アクリル共重合体(f−4)
50重量部とアクリル共重合体(f−5)50重量部を
混合したものに対して、球状コロイダルシリカ(日産化
学(株)製、ST−50、固形分50%)400重量部
を配合し、塗布液の固形分濃度が40重量%になるよう
にイオン交換水を加えて塗布液6を調製した。
【0080】[比較例1]アクリル共重合体(f−6)
100重量部に対して、球状コロイダルシリカ(日産化
学(株)製、ST−20、固形分20%)400重量部
を配合し、塗布液の固形分濃度が20重量%になるよう
にイオン交換水を加えて塗布液7を調製した。
【0081】[比較例2]ポリビニルアルコール(クラ
レ(株)PVA−405の30%水溶液)100重量部
に対して、球状コロイダルシリカ(日産化学(株)製、
ST−20、固形分20%)400重量部を配合し、塗
布液の固形分濃度が20重量%になるようにイオン交換
水を加えて塗布液8を調製した。
【0082】湿式シリカ(平均粒径4.5μm、(株)
トクヤマ製ファインシールX−45)100重量部、ポ
リビニルアルコール(クラレ(株)R1130)25重
量部およびカチオン樹脂(日華化学(株)製ネオフィッ
クスE117)10重量部を配合した水分散塗布液(固
形分20%)を、乾燥塗布量で30μmになるように塗
布してインク吸収層を、厚さ190μmのアート紙(N
Kホワイトーングロス180.0)上に形成した。
【0083】該インク吸収層の上に、さらに、実施例お
よび比較例で調製した、塗布液を塗布し、乾燥塗布量で
10μmになるように記録層を形成した。得られた記録
シートにエプソンプリンター(エプソンPM770C)で
印刷を行った。得られた印刷画像につき、耐光性1、耐
光性2、塗膜強度、インク乾燥性および印刷画質につい
て評価を行った。結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】本発明により、耐光性に優れ、かつ、鮮
明で、高いインク吸収性、乾燥性、光沢性および塗膜強
度を有する記録層が得られるインクジェット記録用樹脂
組成物およびそれを用いた記録シートが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA13 FC06 2H086 BA15 BA31 BA33 BA34 BA38 BA45 4J038 CC021 CD021 CD081 CF021 CG141 CG161 CG171 GA02 GA03 GA06 GA07 GA08 GA09 GA13 GA15 HA096 HA216 HA286 HA376 HA446 HA456 JA02 JA05 JA19 JA26 JA33 JA37 JA56 JA66 JA70 JB03 JB06 JB09 JB16 JB39 JC13 KA03 KA06 KA08 KA18 KA20 MA08 MA10 NA01 NA03 NA24 NA26 PA18 PB11 PC08 PC10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に記録層を形成するためのインク
    ジェット記録用樹脂組成物において、少なくとも加水分
    解性シリル基を有する部位と、光安定性を有する部位お
    よび/または紫外線吸収性を有する部位とを含有する樹
    脂を配合することを特徴とするインクジェット記録用樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記樹脂が塗膜形成能を有するバインダ
    ー樹脂(A)であり、該バインダー樹脂(A)は、加水
    分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体(a)0.
    5〜15重量%と、イオン形成性基を有する重合性不飽
    和単量体(b)3〜40重量%と、ラジカル重合性光安
    定剤(c)0〜5重量%と、ラジカル重合性紫外線吸収
    剤(d)0〜5重量%(ただし、(c)と(d)の和
    は、0.1〜10重量%である。)と、その他の重合性
    不飽和単量体(e)95.5〜35重量%とを共重合し
    て得られるアクリル共重合体(f)であり、かつ、該バ
    インダー樹脂(A)3〜60重量%、並びに無機微粒子
    (B)97〜40重量%を含有することを特徴とする請
    求項1に記載のインクジェット記録用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 アクリル共重合体(f)が、溶液重合に
    より得られた樹脂溶液に水を添加してエマルジョン化し
    た後、重合溶媒を除去することにより得られる水系樹脂
    組成物であることを特徴とする請求項2に記載のインク
    ジェット記録用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ラジカル重合性光安定剤(c)が、ヒン
    ダードアミン系光安定剤であり、かつ、ラジカル重合性
    紫外線吸収剤(d)が、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤
    またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを
    特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録用樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 無機微粒子(B)の粒径が、3〜300
    nmであることを特徴とする請求項2に記載のインクジ
    ェット記録用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載のイ
    ンクジェット記録用樹脂組成物により、基材上に形成さ
    れる記録層を有することを特徴とする記録シート。
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