JP2002178107A - 薄鋼板の製造方法 - Google Patents

薄鋼板の製造方法

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JP2002178107A JP2000385008A JP2000385008A JP2002178107A JP 2002178107 A JP2002178107 A JP 2002178107A JP 2000385008 A JP2000385008 A JP 2000385008A JP 2000385008 A JP2000385008 A JP 2000385008A JP 2002178107 A JP2002178107 A JP 2002178107A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】偏析線または割れの発生のない薄鋼板を得るこ
とができ、これら薄鋼板を加工した製品において、加工
時の割れ、製品表面の光沢むら、硬度分布むらなどの発
生のない製品を得ることができる薄鋼板の製造方法の提
供。 【解決手段】質量%で、C:0.07〜0.4%、S
i:0.4%以下、Mn:2%以下、P:0.02%以
下、S:0.005%以下を含み、Mn/Sが160以
上の炭素鋼または低合金鋼からなる、厚さが6mm以下
の薄鋼板の製造方法であって、断面形状が長方形で厚さ
250〜350mmの鋳片を、速度1.5〜2.5m/
分の条件で鋳造し、次いで鋳片を素材として熱間圧延ま
たは熱間圧延後に冷間圧延する。薄鋼板が、さらに、質
量%で、B:0.005%以下を含むのが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延または熱
間圧延後の冷間圧延による薄鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用の鋼板などは、連続鋳造された
鋳片を熱間で圧延して得た薄鋼板、またはその熱間圧延
された薄鋼板をさらに冷間で圧延することなどにより製
造される。薄鋼板の熱間圧延用の素材である鋳片は、通
常、連続鋳造方法により製造される。近年、連続鋳造に
おける生産性の向上の要望が高まり、鋳片厚さを厚く
し、鋳造速度を速くすることが指向されている。ただ
し、鋳片厚さ、鋳造速度が大きくなると、いわゆる内部
割れが鋳片に発生し易くなる。鋳片の内部割れは、鋳造
中の鋳片の凝固界面に引張り歪が作用することにより、
凝固界面が破断して発生し、その破断ヶ所に偏析成分が
濃化した溶鋼が吸引され偏析線となる。鋳造後の鋳片を
切断して調査すると、空孔としての割れが観察される場
合は希で、切断面を腐食したり、サルファプリントした
りすると上述の偏析線が確認できる。割れてなくて偏析
線のみでも、これら偏析線は一般に内部割れと呼ばれて
いる。
【0003】内部割れの発生した鋳片を熱間圧延または
その後の冷間圧延により、薄鋼板に圧延すると、C、M
n、P、Sなどの成分が濃化した偏析線、すなわち内部
割れの部分が周りの組織より硬化している薄鋼板が得ら
れる。硬化が著しいと、その部分に割れが発生したり、
極端には、薄鋼板が破断する可能性がある。また、冷間
圧延された薄鋼板では、偏析線が大きく延ばされて薄鋼
板の表面に現れ、薄鋼板表面に光沢むら、硬度分布むら
などを引き起こすことが知られている。
【0004】さらに、このような薄鋼板を加工して最終
製品とする際、加工時にその偏析線の部分に歪が集中
し、その部分を起点として、製品に割れが発生したり、
製品が破断する可能性がある。
【0005】このような鋳片の内部割れの発生機構は、
次のように考えられている。断面形状が長方形であるス
ラブの連続鋳造においては、鋳片の非金属介在物対策な
どから、垂直曲げ型連続鋳造機が主流となっており、こ
のような連続鋳造機では、鋳造中の鋳片にさまざまな応
力が作用する。
【0006】たとえば、内部に未凝固部を含む鋳片が引
き抜かれて垂直部から湾曲部に進む際に、鋳片は円弧状
に曲げられる。その際、円弧の内側に相当する鋳片内部
の凝固殻の凝固界面には引張り歪が発生する。さらに、
内部に未凝固部を含む鋳片が湾曲部から水平部に進む際
に、鋳片は矯正されて真っ直ぐになる。その際、湾曲部
における円弧の外側の鋳片の凝固殻の凝固界面には引張
り歪が発生する。
【0007】また、未凝固部を含む鋳片は支持用ガイド
ロールで支持されつつ引抜かれる。その際、鋳片は溶鋼
静圧のためロール間でバルジングし、ロール直下ではバ
ルジングした厚さ分だけ圧下されるため、鋳片内部の凝
固殻の凝固界面には、引張り歪が発生する。鋳片は複数
の支持用ガイドロールを通過するので、繰り返してバル
ジングおよび圧下の変形を受けることになる。さらに、
支持用ガイドロールの各ロールが所定のパスラインより
ずれている場合には、そのずれの厚さだけ、鋳片のバル
ジングが大きくなったり、圧下が大きくなって、凝固界
面に作用する引張り歪が大きくなる。鋳片の冷却過程
で、ZST(抗張力発現温度)からZDT(延性発現温
度)までの間に鋳片内部の凝固殻に作用する引張り歪量
の総和が、鋼に固有の限界値(内部割れ発生限界歪)を
超えると、鋳片の内部割れが発生することが知られてい
る。
【0008】近年指向されているように、鋳片厚さ、鋳
造速度が大きくなると、鋳片の抜熱が相対的に低下し、
上述のZSTからZDTまでの間隔が長くなり、内部割
れの発生の危険性が飛躍的に大きくなる。とくに鋳片厚
さが250mmを超えると、鋳造速度などの鋳造条件に
よっては、内部割れが著しく発生しやすくなる。
【0009】また、Bを微量添加することにより焼き入
れ性や靱性を向上させた薄鋼板が用いられるが、その薄
鋼板用の熱間圧延用素材である鋳片の連続鋳造におい
て、Bの添加は鋳片の内部割れ感受性を高くし、内部割
れの発生の危険性を高める。
【0010】このように、鋳片厚さを厚くし、鋳造速度
を速くする近年の連続鋳造では、鋳片の内部割れの発生
の危険性が高く、このような鋳片を素材とする熱間圧延
した薄鋼板、またはその薄鋼板を素材として冷間圧延し
た薄鋼板、さらに、これらの薄鋼板を加工した最終製品
では、割れが発生したり、破断したり、表面に光沢む
ら、硬度分布むらなどが発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鋳片厚さを
厚くし、鋳造速度を速くする条件で連続鋳造した鋳片を
素材として、熱間圧延または熱間圧延後に冷間圧延した
薄鋼板において、鋳片の内部割れに起因する薄鋼板製品
の偏析線または内部割れの発生がなく、これら薄鋼板を
さらに加工した製品において、加工時の割れ、製品表面
の光沢むら、硬度分布むらなどの発生のない製品を得る
ことができる薄鋼板の製造方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)および(2)に示す薄鋼板の製造方法にある。 (1)質量%で、C:0.07〜0.4%、Si:0.
4%以下、Mn:2%以下、P:0.02%以下、S:
0.005%以下を含み、Mn/Sが160以上の炭素
鋼または低合金鋼からなる、厚さが6mm以下の薄鋼板
の製造方法であって、断面形状が長方形で厚さ250〜
350mmの鋳片を、速度1.5〜2.5m/分の条件
で鋳造し、次いで上記鋳片を素材として熱間圧延または
熱間圧延後に冷間圧延する薄鋼板の製造方法。 (2)薄鋼板が、さらに、質量%で、B:0.005%
以下を含む上記(1)に記載の薄鋼板の製造方法。
【0013】本発明者らは、前述の課題を下記により解
決した。鋳片の内部割れの発生のし易さは、鋼の化学組
成、鋳片の厚さ、鋳造速度などの影響を受ける。後述す
るように、PおよびSは、不純物として鋼中に含有され
るが、Cは、鋼の強度確保の観点から、鋼中に含有させ
る。またBは、鋼の焼き入れ性や靱性を向上させる目的
で必要により添加する。これらC、P、S、Bなどは偏
析しやすい成分であり、これらの含有率が高い場合に凝
固域での脆化が著しく内部割れが発生し易くなる。さら
に、厚さ250〜350mmの厚い断面形状が長方形の
鋳片を、速度1.5〜2.5m/分の速い条件で鋳造す
る際に、内部割れが発生しやすい。その原因は、つぎの
とおりである。すなわち、上述のように、鋳片の厚さが
厚く、鋳造速度が速くなると、未凝固部を含む鋳片から
の抜熱が相対的に低下するので、前述のZST(抗張力
発現温度)からZDT(延性発現温度)までの範囲内に
ある鋳片の鋳造方向の領域が長くなる。したがって、こ
のような温度範囲内の領域が鋳造方向で長くなるので、
それらの領域で鋼に固有の限界歪を超える引張り応力が
作用する機会が増加し、高鋳造速度化ではメニスカスか
らの距離が同じ位置で見ると、相対的に凝固殻の厚さが
薄くなるので、バルジング歪み、曲げ歪み、矯正歪み等
の凝固界面で発生する歪みなどが大きくなる。
【0014】鋳片で発生した内部割れ部には、偏析成分
が濃化した溶鋼が充填されているのが通常で、これら鋳
片を熱間で圧延した薄鋼板において、内部割れの痕であ
る偏析線として残存しやすい。これらを熱間圧延した薄
鋼板、その後にさらに冷間圧延した薄鋼板にも、これら
の偏析線が残存しやすい。
【0015】C、P、SおよびBは、上述のとおり、偏
析しやすく内部割れ感受性を高める元素である。偏析し
やすいのは、これらの元素は平衡分配係数が1よりずっ
と小さいからである。また、これら元素が偏析すると未
凝固溶鋼の融点が低下する。さらに、SおよびBは、凝
固殻と未凝固溶鋼の濡れ性を上昇させる。このようにS
およびBは、未凝固溶鋼の融点を低下させ、かつ、凝固
殻と未凝固溶鋼の濡れ性を上昇させる元素であり、内部
割れの原因となる液膜脆化を助長するので、これらSお
よびBの含有率を、とくに低くする必要がある。ここで
言う液膜脆化とは、凝固した結晶粒界に偏析した低融点
の残溶鋼があり、結晶粒全体が液膜状に残溶鋼で覆われ
ると、結晶粒同士の接合性が妨げられ、凝固組織、すな
わち鋳片として脆くなる現象を言う。
【0016】本発明では、Mnは2%以下、Sは0.0
05%以下とし、S含有率に対するMn含有率の比Mn
/Sは160以上とすることにより、偏析部のSは、M
nSとしてMnに固定される。さらに、必要により添加
する場合のBの含有率は0.005%以下とする。した
がって、凝固殻と未凝固溶鋼の濡れ性の上昇が抑制さ
れ、鋳片の内部割れが発生しにくくなる。
【0017】これらにより、鋳片を熱間圧延した薄鋼
板、熱間圧延後に冷間圧延した薄鋼板、さらにこれら薄
鋼板を加工した製品において、割れ、表面の光沢むら、
硬度分布むらなどの発生を防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】まず、薄鋼板の化学組成を以下に
説明する。なお、以下の%表示は質量%を意味する。 C:0.07〜0.4% Cは、鋼の強度を確保する上で安価で有用な元素であ
り、所要の強度などの機械特性による成分設計に基づい
て含有率を決めればよい。その効果を発揮するために
は、その下限は0.07%とする。多く含有させると鋼
の加工性を悪化させること、また、平衡分配係数が小さ
く偏析しやすいので、その上限は0.4%とする。C
は、偏析しやすい元素であり、未凝固溶鋼の融点を低下
させるが、上記の範囲内の含有率であれば、とくに影響
はない。したがって、Cは、0.07〜0.4%とす
る。
【0019】Si:0.4%以下 Siは、通常、脱酸と鋼の強化のために添加されるが、
加工性を劣化することなく強度を高めることができる元
素であり、その効果を発揮させるためには、0.05%
以上含有させることが望ましい。ただし、多く含有させ
ると鋼材の化成処理性が悪化するので、その上限は0.
4%とする。
【0020】Mn:2%以下で、かつ、Mn/Sが16
0以上 Mnは強度を増す元素として安価な元素であり、その効
果を発揮するためには、0.2%以上含有させることが
望ましい。Mnは偏析しやすい元素であるが、S含有率
に対してMnを適宜多く含有することにより、鋳片の内
部割れの発生を防止できる。すなわち、偏析部のSは、
MnSとしてMnに固定されるので、凝固した結晶粒界
の残溶鋼と結晶粒の濡れ性の上昇が抑制され、鋳片の内
部割れが発生しにくくなる。したがって、S含有率に対
するMn含有率の比Mn/Sは160以上とする。添加
するMn合金鉄などは高価であり、さらに、通常の薄鋼
板の用途、中心偏析などから、Mn含有率の上限は2%
とする。
【0021】P:0.02%以下 Pは、不純物元素であり、その含有率が多くなると鋼の
加工性が悪化する。また、偏析しやすく、未凝固溶鋼の
融点を低下させるが、0.02%以下の含有率であれ
ば、とくに影響はない。
【0022】S:0.005%以下 Sは、不純物元素であり、鋼の熱間延性を悪化させる。
また、未凝固溶鋼の融点を低下させ、さらに、未凝固溶
鋼の濡れ性を上昇させる元素である。そのため、凝固組
織の結晶粒界が弱くなり、鋳片に内部割れが発生しやす
くなる。したがって、その上限は0.005%とする。
【0023】B:0.005%以下 Bは、必要により添加する元素であり、添加する場合で
も含有率の上限は0.005%とする。微量含有するだ
けで鋼材の焼入性を向上させることができる。一方、B
は、偏析しやすく、割れ感受性を極めて高くする元素で
ある。また、未凝固溶鋼の融点を低下させ、さらに、未
凝固溶鋼の濡れ性を上昇させる元素である。そのため、
凝固組織の結晶粒界が弱くなり、鋳片に内部割れが発生
しやすくなる。したがって、含有率の上限は0.005
%とする。
【0024】本発明でいう炭素鋼または低合金鋼とは、
上述のC、Si、Mn、P、S、および必要時に含有さ
せるB以外に、さらに必要に応じて、質量%で、Al;
0.1%以下、Cr;1.0%以下、Ni;1.0%以
下、Ti;0.1%以下、Nb;0.1%以下、および
V;0.1%以下のうちの1種類または2種類以上を含
有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼を意味する。
これらAl、Cr、Ni、Ti、NbおよびVの元素を
含有することにより、薄鋼板の強度、靱性などの機械的
特性が改善される。また、これらAl、Cr、Ni、T
i、Nb、Vの元素は、鋳片の偏析を伴った内部割れの
発生への影響はほとんどない。
【0025】薄鋼板の厚さの上限は6mmとする。上限
を6mmとするのは、自動車の足廻り部品など、薄鋼板
が対象とする製品用途からである。薄鋼板の厚さの下限
は、とくに限定しないが、製品用途から0.5mmが望
ましい。
【0026】鋳片を連続鋳造する際には、厚さ250〜
350mmの鋳片を、1.5〜2.5m/分の速度で鋳
造する。鋳片の厚さが250mm未満では、上記鋳造速
度の範囲において、鋳片の生産性が低い。また、鋳片の
厚さが350mmを超えると、内部割れが発生しやす
い。また、連続鋳造機が大型になる。したがって、鋳片
の厚さは250〜350mmとする。
【0027】鋳造速度が1.5m/分未満では、内部割
れ発生を抑制できるが、鋳片表層部の清浄度が悪化す
る。鋳片表層部の清浄度が悪化すると、薄鋼板の表面品
質が悪化する。さらに、鋳片の生産性が低い。また、
3.5m/分を超えると、鋳片表面に割れが発生しやす
く、また内部割れが発生しやすい。したがって、鋳造速
度は1.5〜3.5m/分とする。
【0028】厚さ250〜350mmの鋳片を、1.5
〜3.5m/分の速度で鋳造する場合には、上述の化学
組成とすることにより、内部割れの発生を抑制すること
ができる。
【0029】また、内部割れの発生した鋳片を熱間で圧
延して薄鋼板を製造する際に、またはその熱間で圧延し
た薄鋼板をさらに冷間で圧延して薄鋼板を製造する際
に、内部割れが存在すると薄鋼板の表面近傍の品質にま
で影響を及ぼし、薄鋼板表面の硬度分布が不均一になっ
たり、表面に光沢むらが発生しやすい。したがって、鋳
片の内部割れの発生を防止することにより、薄鋼板表面
の硬度分布および光沢を均一にできる。
【0030】内部割れの発生のない鋳片を熱間で圧延し
て薄鋼板を得る際に、圧延前の鋳片の加熱温度、加熱時
間などの加熱条件、および圧延温度、巻き取り温度など
の圧延条件は、鋼に応じた通常の条件とすることができ
る。さらに、熱間圧延して得られた薄鋼板を冷間で圧延
して薄鋼板を得る際に、酸洗条件、冷間圧延条件、熱処
理条件などは、通常の条件とすることができる。
【0031】
【実施例】垂直部長さ3m、円弧半径10m、5点曲げ
4点矯正、機長45mの垂直曲げ型連続鋳造機を用い、
厚さ255mmまたは270mm、幅1200mmの鋳
片を鋳造する試験を実施した。連続鋳造機のガイドロー
ルの軸心間距離は、垂直部で250mm、湾曲部で25
0〜400mm、水平部で400〜450mmである。
二次冷却の比水量は1〜2リットル/kg−鋼とした。
用いた鋼は、後述する表1および表2に示すようにC含
有率が0.07〜0.40質量%の低炭素鋼または中炭
素鋼である。鋳造速度は1.5、1.6または1.7m
/分として試験した。
【0032】各試験で得られた鋳片から鋳造方向に長さ
100mmのサンプルを採取し、その横断面をサルファ
プリントして、内部割れの発生の有無を目視により調査
した。
【0033】また、得られた鋳片を熱間で圧延し、厚さ
5mmの薄鋼板をコイル状に巻き取った。その際、鋳片
を1230〜1250℃の温度範囲内で加熱し、120
0℃前後で粗圧延を終了して、引き続き930〜870
℃の温度で仕上圧延を行い、500〜600℃の温度で
コイル状に巻き取った。
【0034】得られた薄鋼板を酸洗した後、その表面を
目視で観察し、光沢むらの発生の有無を調査した。ま
た、薄鋼板のサンプルを採取し、硬度分布を調査した。
その際、薄鋼板の幅方向を5等分し、それぞれから長手
方向に500mmのサンプルを採取し、JIS Z 22
43「ブリネル硬さ試験−試験方法」により、薄鋼板表
面のブリネル硬度(HBW)を調査した。1個のサンプ
ルで約50カ所の位置の硬度を測定した。薄鋼板の幅方
向での硬度分布の均一性を確認するために、得られた硬
度のデータを統計処理し、その標準偏差(HBW)を求
めた。試験条件および試験結果を、前述の表1および表
2に示す。
【0035】
【表1】
【表2】 本発明例の試験No.1〜No.10では、厚さ255
mmまたは270mmの鋳片を速度1.5m/分または
1.7m/分で鋳造した。得られた鋳片を熱間で圧延
し、厚さ5mmの薄鋼板とした。これら鋳片厚さ、鋳造
速度および薄鋼板の厚さは、いずれも本発明で規定する
条件の範囲内である。また、用いた鋼は低炭素鋼または
中炭素鋼で、その化学組成は、質量%で、C:0.07
〜0.40%、Si:0.15〜0.35%、Mn:
0.50〜0.80%、P:0.010〜0.020
%、S:0.003〜0.005%とし、残部はFeお
よび不純物とした。また、Mn/Sは160〜200と
した。これらC、Si、Mn、P、SおよびMn/Sの
条件は、いずれも本発明で規定する条件の範囲内であ
る。さらに、一部の試験では、Bを添加したが、その
際、Bの含有率は、0.004〜0.005%とした。
【0036】試験No.1〜No.10では、内部割れ
の発生はなかった。また、これらの鋳片を熱間圧延した
厚さ5mmの薄鋼板では、硬度分布の標準偏差が8〜1
4HBWの小さな値であり、均一な硬度分布を有する薄
鋼板が得られた。さらに、薄鋼板表面には、光沢むらの
発生は認められなかった。
【0037】比較例の試験No.11〜No.14で
は、厚さ255mmまたは270mmの鋳片を1.5、
1.6または1.7m/分の速度で鋳造した。得られた
鋳片を熱間で圧延し、厚さ5mmの薄鋼板とした。これ
ら鋳片厚さ、鋳造速度および薄鋼板の厚さは、いずれも
本発明で規定する条件の範囲内である。また、用いた鋼
は低炭素鋼または中炭素鋼で、その化学組成は、質量%
で、C:0.07〜0.40%、Si:0.15〜0.
22%、Mn:0.65〜0.80%、P:0.010
〜0.020%、S:0.004〜0.005%とし、
残部はFeおよび不純物とした。また、Mn/Sは16
0〜200とした。これらC、Si、Mn、P、Sおよ
びMn/Sの条件は、いずれも本発明で規定する条件の
範囲内である。これらの試験では、さらに、Bを添加し
たが、その際、Bの含有率は、0.006〜0.007
%とし、本発明で規定する条件の範囲外の高い値とし
た。
【0038】試験No.11〜No.14では、B含有
率が少し高いため、微小な内部割れが見られた。これら
の影響として、鋳片を熱間圧延した厚さ5mmの薄鋼板
で、硬度分布の標準偏差が18〜28HBWと大きな値
となった。
【0039】比較例の試験No.15〜No.17で
は、厚さ255mmまたは270mmの鋳片を1.5ま
たは1.7m/分の速度で鋳造した。得られた鋳片を熱
間で圧延し、厚さ5mmの薄鋼板とした。これら鋳片厚
さ、鋳造速度および薄鋼板の厚さは、いずれも本発明で
規定する条件の範囲内である。また、用いた鋼は低炭素
鋼または中炭素鋼で、その化学組成は、質量%で、C:
0.07〜0.40%、Si:0.15〜0.35%、
Mn:0.50〜0.80%、P:0.021〜0.0
22%、S:0.003〜0.005%とし、残部はF
eおよび不純物とした。また、Mn/Sは160〜16
7とした。P以外のC、Si、Mn、SおよびMn/S
の条件は、いずれも本発明で規定する条件の範囲内であ
る。Pの値は、本発明で規定する条件を外れた高い値で
ある。
【0040】試験No.15〜No.17では、P含有
率が高いため、内部割れが発生した。また、これらの鋳
片を熱間圧延した厚さ5mmの薄鋼板では、硬度分布の
標準偏差が43〜52HBWと大きな値となり、不均一
な硬度分布の薄鋼板しか得られなかった。さらに、薄鋼
板表面には、光沢むらの発生が認められた。
【0041】比較例の試験No.18〜No.23で
は、厚さ255mmまたは270mmの鋳片を1.5ま
たは1.7m/分の速度で鋳造した。得られた鋳片を熱
間で圧延し、厚さ5mmの薄鋼板とした。これら鋳片厚
さ、鋳造速度および薄鋼板の厚さは、いずれも本発明で
規定する条件の範囲内である。また、用いた鋼は低炭素
鋼または中炭素鋼で、その化学組成は、質量%で、C:
0.07〜0.40%、Si:0.15〜0.35%、
Mn:0.40〜0.80%、P:0.019〜0.0
20%、S:0.005〜0.006%とし、残部はF
eおよび不純物とした。また、Mn/Sは125〜14
0とした。SおよびMn/S以外のC、Si、Mnおよ
びPの条件は、本発明で規定する条件の範囲内である。
Mn/Sの値は、いずれも本発明で規定する条件を外れ
た低い値である。また、試験No.16および試験N
o.23では、Sが0.006質量%であり、本発明で
規定する条件を外れた高い値である。
【0042】試験No.18〜No.23では、鋳片の
厚さ中心部近傍に、中心偏析に伴う内部割れが発生し
た。Mn/Sの値が低いため、未凝固溶鋼の濡れ性が上
昇し、鋳片の内部割れが発生しやすくなった。また、こ
れらの鋳片を熱間圧延した厚さ5mmの薄鋼板では、硬
度分布の標準偏差が38〜48HBWと大きな値とな
り、不均一な硬度分布の薄鋼板しか得られなかった。さ
らに、薄鋼板表面には、光沢むらの発生が認められた。
【0043】比較例の試験No.24〜No.26で
は、厚さ255mmまたは270mmの鋳片を1.5ま
たは1.7m/分の速度で鋳造した。得られた鋳片を熱
間で圧延し、厚さ5mmの薄鋼板とした。これら鋳片厚
さ、鋳造速度および薄鋼板の厚さは、いずれも本発明で
規定する条件の範囲内である。また、用いた鋼は低炭素
鋼または中炭素鋼で、その化学組成は、質量%で、C:
0.07〜0.40%、Si:0.15〜0.35%、
Mn:1.00〜1.30%、P:0.019〜0.0
20%、S:0.006〜0.007%とし、残部はF
eおよび不純物とした。また、Mn/Sは167〜18
6とした。S以外のC、Si、Mn、PおよびMn/S
の条件は、本発明で規定する条件の範囲内である。Sの
値は、本発明で規定する条件を外れた高い値である。
【0044】試験No.24〜No.26では、鋳片に
内部割れが発生した。S含有率が高いため、凝固殻と未
凝固溶鋼の濡れ性の上昇し、鋳片の内部割れが発生しや
すくなった。また、これらの鋳片を熱間圧延した厚さ5
mmの薄鋼板では、硬度分布の標準偏差が32〜35H
BWと大きな値となり、不均一な硬度分布の薄鋼板しか
得られなかった。さらに、薄鋼板表面には、光沢むらの
発生が認められた。
【0045】
【発明の効果】本発明の方法の適用により、鋳片厚さを
厚くし、鋳造速度を速くする条件で連続鋳造した鋳片を
素材として、熱間圧延または熱間圧延後に冷間圧延した
薄鋼板において、鋳片の内部割れに起因する薄鋼板製品
の偏析線または内部割れの発生がなく、これら薄鋼板を
さらに加工した製品において、加工時の割れ、製品表面
の光沢むら、硬度分布むらなどの発生のない製品を得る
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/04 C22C 38/04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.07〜0.4%、S
    i:0.4%以下、Mn:2%以下、P:0.02%以
    下、S:0.005%以下を含み、Mn/Sが160以
    上の炭素鋼または低合金鋼からなる、厚さが6mm以下
    の薄鋼板の製造方法であって、断面形状が長方形で厚さ
    250〜350mmの鋳片を、速度1.5〜2.5m/
    分の条件で鋳造し、次いで上記鋳片を素材として熱間圧
    延または熱間圧延後に冷間圧延することを特徴とする薄
    鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】薄鋼板が、さらに、質量%で、B:0.0
    05%以下を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄
    鋼板の製造方法。
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