JP3996754B2 - イヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、 イヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
絞り缶用鋼板は、 冷延鋼板のまま或いはSnメッキ、Niメッキ、Crメッキ、Sn−Niメッキ等の各種のメッキが施されたメッキ鋼板で、 一段の絞り加工、厳しい多段の絞り加工、 DI(Drawn & Ironed)加工等を行い、缶容器例えば電池缶( 以下、単に絞り缶と称する)に製缶される、 或は、 製缶後Snメッキ、Niメッキ、Crメッキ、Sn−Niメッキ等の各種のメッキまたは塗装が施され缶容器となる。
【0003】
従来技術としては、 特公平7−59734号公報等の方法或いは板金プレス成形分科会第29回SMFセミナー資料「製缶技術と製缶材料の最新動向(平成6年10月7日/於名古屋大学)」/文献−1で紹介されている技術等があるが、 例えば、絞り缶のイヤリングに伴う鋼板歩留まりの更なる改善の要求、電池缶等の絞り成形のプレス速度が速くなり、その結果、多段プレス或いはDI絞り工程においてイヤリング起因に伴う工程間の順送りトラブル、イヤリング先端のちぎれによる押し疵などの問題が発生し易くなり、 より極めて優れたイヤリング性が要求されるようになるなど、例えば、特公平7−59734号公報のような単にΔr値を約ゼロにするような方法ではイヤリング性が不十分で、より厳しい電池缶のような絞り缶の成形には耐えられないものも現れるようになった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、 イヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、 上記課題を解決する鋼板を提供することについて、 鋭意検討を行い本発明を完成したものであり、 その要旨とするところは下記の通りである。
(1)重量%で、C:0.0050〜0.0170%、Si:≦0.35%、Mn:≦1.0%、P:≦0.020%、S:≦0.025%、solAl:0.005〜0.100%、N:≦0.0070%、Ti:(6〜20)×C%、残部がFeおよび不可避元素からなる組成で、Δr値が+0.15〜−0.12の範囲、平均r値≧1.40、 再結晶粒のGS.noが8.5〜11.0で、イヤリング率が1.0%以下であることを特徴とするイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板。
【0006】
(2)前記(1)において、 Nb含有量が0.050%以下であるイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板。
(3)重量%で、C:0.0050〜0.0170%、Si:≦0.35%、Mn:≦1.0%、P:≦0.020%、S:≦0.025%、solAl:0.005〜0.100%、N:≦0.0070%、Nb:(3〜15)×C%、残部がFeおよび不可避元素からなる組成で、Δr値が+0.15〜−0.12の範囲、平均r値≧1.40、 再結晶粒のGS.noが8.5〜12.0で、イヤリング率が1.0%以下であることを特徴とするイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板。
【0007】
(4)前記(1)〜(3)において、C:0.0070〜0.0130%で、イヤリング率が更に低いことを特徴とするイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板。
(5)前記(1)〜(4)において、B含有量が0.0002%以下である二次加工性にも優れたイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板。
(6)前記(1)〜(5)において、鋼板の表面にNiメッキ、Ni拡散メッキ、Snメッキ、TFSメッキのいずれか一種のメッキが施されたイヤリング性の極めて優れた絞り缶用メッキ鋼板。
【0008】
以下に本発明について詳細に述べる。
本発明者らは、前述の文献−1の図4にも、「Δr値をほぼゼロにすることで良好なイヤリング性が得られるが、しかし、Δr値をゼロにしてもなおかつイヤリングは1.0〜3%と大きくばらついていることと共に、イヤリングを1%以下にはできていないこと」が示されているように、イヤリングは、Δr値がゼロでも大きくばらつくことに着目し、イヤリング値を更に優れたものにする方法について検討した。
【0009】
本発明者らは、 前述の文献に紹介されている図3の高r値(2.0前後レベル)である0.009C−0.118Ti( いわゆるTi添加の極低炭素鋼)、特公平7−59734号公報の高Al−Al−K鋼をBAF(箱焼鈍)する方法、等種々の鋼種について、イヤリング性が最も良くなると紹介されている冷延率( 87〜88%)前後に調整し、 再結晶焼鈍を行い1.0%の調質圧延を施し冷延鋼板を造り、 絞り缶を試作し、Δr値{=(r0 +r90)/2− r45,....r0 ,r90,r45:r値測定用引張り試験片の方向と圧延方向とのなす角度がそれぞれ0°,90°,45°であるところのそれぞれのr値}とイヤリング性との関係を調査した。
【0010】
調査した鋼板のΔr値とイヤリング率[ ={(平均山高さ(絞りカップ側壁山高さ) −平均谷高さ(絞りカップ側壁谷高さ))/平均壁高さ}×100 ]との関係は、Δr値とイヤリング率との関係は認められるものの、ある程度最適化なされた冷延率の範囲では、鋼種間の差が大きいことが分かった。
そこで、 本発明者らは、 この原因を調査するため、種種の鋼板のr値を15度ピッチで0〜90度まで調査し、 r値の面内異方性を詳細に調査し、 イヤリング性との関係を比較検討した。
【0011】
その結果、1)r値の最大値は90°,75°,60°,45°、最小値は0°,15°,30°,45°の位置に存在し、Δr値の算出に用いられる0°,45°,90°方向以外にも存在し、定義されているΔr値は0〜90°間のr値の最大偏差値に必ずしもならないこと、2)イヤリング率の定義とΔr値の定義の測定方向の定義は、上述に示すように一致していないことに起因していると考えるべきであること。そして、Δr値≒0の範囲においては、 イヤリング値は鋼組成で大きく異なることを知見した。なお、Δr値は、その鋼種のイヤリング値が最小値になる冷延率を求めるのに有効で、その鋼種の最少のイヤリング率の鋼板を得るには、Δr値:+0.15〜−0.12の範囲にある必要があることも知見した。
【0012】
本発明者らは、 本発明の課題である「イヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板」を見いだすために、 鋼組成,製造条件を種々変更して製造したΔr値≒0の鋼板のイヤリング率等の調査結果を詳細に解析した結果、
1)図1に示すように、極低イヤリング率を得るには、C含有量が大きく影響し、C:0.0050〜0.0170wt%の範囲がよく、特にC:0.0070〜0.0130wt%の範囲が極低イヤリング鋼板を得るのに最も好ましく、ノンイヤリング鋼板と言ってもよいほど優れたイヤリング特性が得られること。
【0013】
2)添加元素としては、Ti:(6〜20)×Cwt%単独添加、Ti:(6〜20)×Cwt% +Nb:≦0.050wt%の複合添加、Nb:(3〜15)×Cwt%単独添加、の組成とすることで、軟質で、極低イヤリング性が得られること。
3)Bの多量の添加は、イヤリング性を損なうが、C含有量を0.007〜0.013wt%とした上で、B添加量を0.0002wt%以下とすれば、極低イヤリング鋼板が得られ、更に良好な二次加工性も得られることを見出した。
【0014】
なお、本発明の最重点ポイントであるC含有量を、C:0.0050〜0.0170wt%の範囲 (特にC:0.0070〜0.0130wt%の範囲) とするTi,Nbを添加した鋼板が、Ti,Nb添加極低炭素鋼(C:0.0010〜0.0030wt%)鋼に比べ、イヤリング性が顕著に改善される理由については明確でないが、C含有量が適度に多いので、熱延板の結晶粒径が微細化されることに基因しているものと思われる。
また、本発明者等が発明した「低炭素Al−K鋼にB添加し連続焼鈍で再結晶焼鈍した鋼板(特願平2000−246147号)」も極低イヤリング鋼板であるが、r値レベルが、先願では1.20以下程度であるのに対し、本発明では、1.4以上で、優れた深絞り性も得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の構成条件の詳細な説明を行う。
Cは、 0.0050〜0.0170wt%の範囲を外れる組成では、例え、Δr値を+0.15〜−0.12の範囲であっても良好なイヤリング性でなくなるので、C含有量は0.0050超〜0.0170wt%にする必要がある。 更に、C含有量が0.0070〜0.0130wt%の範囲に鋼板は、更に優れたイヤリング性となる。
Siは、 多くなるとメッキ密着性や製缶後に塗装されるときの塗装密着性等に悪影響を及すので0.35wt%以下に規制する必要がある。
【0016】
Mnは、 多く含有すると、 硬質化し、厳しい深絞り加工に耐えれなくなるので1.0wt%以下に規制する必要がある。
Pは、 鋼板の強度を上昇させるので必要に応じ添加しても良いが、0.020wt%超になると、 絞り缶の二次加工性( 深絞りを行った缶は、 例えば−10℃のような低温では落下時の衝撃や曲げ加工歪みで缶側壁端部が脆性破断することがある。 このような破断の発生のしやすさを示す指標を二次加工性と称されている。)を劣化させるので、 0.020wt%以下に規制する必要がある。
また、より二次加工性を向上させるには、P含有量を0.008wt%以下に規制するとよい。
【0017】
Sは、 熱間圧延時の脆性を阻害し、 熱延鋼帯に耳荒れを生じさせるので、 0.025wt%以下に規制する必要がある。
solAlは、 鋳片を造るときに、良好な表面品位を得るために必要な元素で0.005wt%以上含有させてやる必要があり、 また,0.10wt%超ではこの効果が飽和しコストが高くなるばかりでなく、 固溶強化により硬質化しすぎると言う弊害も生じるようになるので、 0.10wt%以下に規制する必要がある。
【0018】
Nは、 本発明の組成ではTiやAl或いはNbと結びついてNによる材質の時効劣化等の弊害防止できるのであるが、それでも、多くなりすぎると弊害が生じるようになるので、0.0070wt%以下に規制する必要がある。
Bは、 本発明の鋼の優れたイヤリング特性を阻害する元素であるので添加しないのが好ましいが、特に、優れた二次加工特性を必要とするものは、0.0002wt%以下の範囲で添加すればよい。
【0019】
Ti,Nbは、極低炭素鋼に比べ多量に含有するCを、TiC系、NbC系の析出物として無害化することと、それら析出物による結晶方位のコントロールによるイヤリング特性の改善のために、添加する必要がある。添加量は、Ti:(6〜20)×Cwt%単独添加、Ti:(6〜20)×Cwt%+Nb:≦0.050wt%の複合添加、Nb:(3〜15)×Cwt%単独添加の組成範囲に規制する必要がある。添加量が少なすぎた場合には固溶のCやFe3 Cが存在するようになりr値が低くなるとともにイヤリング性も劣化するようになる。また、多くすぎた場合は焼鈍時の再結晶温度が高くなるとともに硬質化しイヤリング性も劣化し、且つ、合金コストも高くなる。そして、残部がFeおよび不可避元素からなる鋼組成でなければならない。なお、スクラップのリサイクルなどで混入するCu,Ni,Cr,Sn等はそれぞれ0.5,0.5,0.3,0.05wt%程度未満ではイヤリング特性への大きな影響はないので、含有しても差し支えない。
【0020】
本発明の鋼板の製造条件例について、以下に説明する。
本発明の絞り缶用鋼板の製鋼条件は、 上述の組成の鋼を溶製し鋳片にし得るものではあれば特に規制する必要がなく、通常の方法で鋳片とすればよい。
熱延条件は、 絞り缶用鋼板の結晶粒を所定のものにする重要な工程ではあるが特別な規制は必要でなく通常の製造条件でよい。具体的には、 鋳片を、1000℃以上に加熱し、850℃〜950℃で仕上げ圧延を行い、 仕上げ圧延後冷却し、巻取り熱延鋼帯とすればよい。 なお、仕上げ圧延温度は通常の熱延条件から逸脱して850℃未満になればα域圧延となり熱延板集合組織が通常のものと異なり、その結果として、冷延、再結晶焼鈍後の集合組織も異常なものとなり、イヤリング性が劣化する。なお、 推奨加熱温度を1000℃以上としたのは1000℃未満では850℃以上の仕上げ温度が確保できなくなるためである。
【0021】
また、熱延の巻き取り温度は、特に規制しなくても優れたイヤリング特性が得られるが、巻き取り温度を通常の巻き取り温度の350〜670℃とすると、コイルの全長全巾にわたり、安定して更に優れたイヤリング特性が得られる。
冷間圧延の圧延率は、 本発明の製造条件で製造した熱延板を用い、事前に、冷延率を変化させ絞り缶用鋼板或いはNiメッキ鋼板を造り、冷延率とΔr値との関係を求め、鋼板のΔr値がほぼゼロ(+0.15〜−0.13の範囲)になるように冷間圧延率を設定する必要がある。 優れたイヤリング性が得られる冷延率の範囲は84〜90%である。
【0022】
再結晶焼鈍は、特に規制する必要はなく再結晶が完了すればよい。 なお、 再結晶焼鈍方法には、箱焼鈍(BAFと称されている) 法と連続焼鈍(CAL)法とがあるが、 BAF法では、加熱速度が遅すぎ生産性が悪いのと、BAF焼鈍時のコイルの積み位置及びコイルの内周、 中央、 外周部での焼鈍温度差が大きいので、イヤリング特性等のバラツキが発生しやすくなるので、 連続焼鈍法で再結晶焼鈍するのがよい。
【0023】
調質圧延は、通常行われている0.5〜3.0%程度の調質圧延を施せば、形状が優れ、調質度を選択すれば適度の降伏点の絞り缶用鋼板が得られる。なお、本発明の鋼板では、調質圧延率3〜40%施す高調質材或いはDR−6〜10と呼ばれる鋼板に適用しても、良好なイヤリング性が得られる。
鋼板の表面処理は、必要に応じ、製造した冷延鋼板の表面にNiメッキ、Ni拡散メッキ、Snメッキ、TFSメッキを施せばよく特別な制約はない。
また、冷間圧延後、 脱脂等の前処理を行った後にNi電気メッキを施し、 その後、 再結晶焼鈍とNiのメッキ層の再結晶軟化焼鈍と拡散熱処理とを兼ねた連続焼鈍を行うと、メッキ層の加工性と密着性を向上させた耐食性及びイヤリング性の極めて優れた電池絞り缶用Ni拡散メッキ鋼板の製造ができる。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明の効果を実施例により説明する。
表1に示す成分の鋳片を造り、表2に示す熱延条件で熱延板を製造し、予め調査したΔr値がほぼゼロになる冷延率で冷間圧延し、表2に示す条件で、0.25mmの絞り缶用鋼板を製造し、 Δr値、平均r値、GS.no、イヤリング率{円筒絞り缶のイヤリング率=(缶側壁の平均山高さ−平均谷高さ)/(平均山谷高さ×100)}を評価した。 それらの評価結果は、 表2に示す。 なお、イヤリング率の評価は、ブランク径=φ41.0mm、ポンチ径=φ20.65mm、で絞りカップを作成し、上記定義でイヤリング率を測定した。 また、イヤリング率の絶対値はカップ絞り条件で変化するので留意する必要がある。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
供試鋼A,B,C,Jは、従来例鋼および比較例鋼の組成の鋼で、 鋼AはB=0.0003wt%含有するC=0.0020wt%のTi添加極低炭素鋼、 鋼BはB=0.0003wt%含有するC=0.0020wt%のNb−Ti添加極低炭素鋼、 鋼CはC含有量が本発明の範囲であるがNb,Tiを添加しない低炭素鋼の従来例鋼である。 また、鋼JはB=0.0007wt%と本発明の範囲を外れ含有している比較例鋼である。
【0028】
供試鋼D,E,F,G,H,Iは、本発明成分範囲の鋼で、 鋼DはC=0.0055wt%、Ti=0.065wt%、Ti/C=11.8の組成、 鋼EはC=0.0095wt%、Ti=0.100wt%、Ti/C=10.5の組成、 鋼FはC=0.0095wt%、Ti=0.080wt%、Ti/C=8.4,Nb=0.020wt%の組成、 鋼GはC=0.0095wt%、Nb=0.045wt%、Nb/C=4.7の組成、 鋼HはC=0.0095wt%、Ti=0.100wt%、Ti/C=10.5でB=0.00015wt%含有する二次加工性に優れる成分の組成、 鋼IはC=0.0145wt%、Ti=0.135wt%、Ti/C=9.3の組成の鋼である。
【0029】
試料No.1,2,3,11は、鋼成分が本発明の範囲を外れた従来例或いは比較例で、 何れもイヤリング率が2.5%以上と本発明の目標のイヤリング率から大きく外れている。
試料No.4,5,7,8,9,10は、冷間圧延後鋼板にNiを電気メッキ法で2μmメッキした後再結晶焼鈍とNiの軟化再結晶ならびに拡散合金化処理を施し調質圧延を行って電池缶用に製造したNi拡散メッキ鋼板の本発明の実施例で、何れもイヤリング率が1.0未満で優れたイヤリング性を示している。
【0030】
試料No.6は、冷間圧延後Niめっきを施さずに焼鈍を行った容器用めっき原板或いは冷延鋼板を製造した実施例で、同様に優れたイヤリング性が得られている。また、 特に、C含有量が0.0070〜0.0130wt%の範囲の試料No.5,6,7,8,10の本発明の実施例はイヤリング率が0.4%以下と極めて優れたイヤリング率が得られている。
更に、本発明の実施例では、平均r値が1.6以上と優れた深絞り性と、GS.noが8.8以上のプレス加工後の肌荒れの少ない表面品位の良好な特性も得られている。
【0031】
以上の実施例の結果から明らかなように、 本発明の鋼板は、 本発明が解決しようとする課題の「イヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板を提供すること」が十分に達成できる。本発明の絞り缶用鋼板は、 Snメッキ、Niメッキ、Ni拡散メッキ、Crメッキ、Sn−Niメッキ等の各種のメッキが施された後に、 厳しい多段の深絞り加工、 厳しいDI加工を行い、深絞り缶に製缶され、 或は、 製缶後Snメッキ、Niメッキ、Crメッキ、Sn−Niメッキ等の各種のメッキ或いは塗装が施され、 電池缶をはじめ各種の缶容器に供されその効果が発揮できる。
【0032】
【発明の効果】
以上、本発明について詳細に説明したが、 本発明の鋼板は、 本発明が解決しようとする課題の「イヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板を提供すること」が十分に達成でき、 工業的価値が極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】各鋼種に於けるC含有量とイヤリング率との関係を示す図である。
Claims (6)
- 重量%で、
C:0.0050〜0.0170%、
Si:≦0.35%、
Mn:≦1.0%、
P:≦0.020%、
S:≦0.025%、
solAl:0.005〜0.100%、
N:≦0.0070%、
Ti:(6〜20)×C%、
残部がFeおよび不可避元素からなる組成で、Δr値が+0.15〜−0.12の範囲、平均r値≧1.40、 再結晶粒のGS.noが8.5〜11.0で、イヤリング率が1.0%以下であることを特徴とするイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板。 - 請求項1において、 Nb含有量が0.050%以下であるイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板。
- 重量%で、
C:0.0050〜0.0170%、
Si:≦0.35%、
Mn:≦1.0%、
P:≦0.020%、
S:≦0.025%、
solAl:0.005〜0.100%、
N:≦0.0070%、
Nb:(3〜15)×C%、
残部がFeおよび不可避元素からなる組成で、Δr値が+0.15〜−0.12の範囲、平均r値≧1.40、 再結晶粒のGS.noが8.5〜12.0で、イヤリング率が1.0%以下であることを特徴とするイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板。 - 請求項1〜3において、 C:0.0070〜0.0130%で、イヤリング率が更に低いことを特徴とするイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板。
- 請求項1〜4において、B含有量が0.0002%以下である二次加工性にも優れたイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板。
- 請求項1〜5において、鋼板の表面にNiメッキ、Ni拡散メッキ、Snメッキ、TFSメッキのいずれか一種のメッキが施されたイヤリング性の極めて優れた絞り缶用メッキ鋼板。
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