JP2002178086A - 鍛造用金型装置および鍛造成形方法 - Google Patents

鍛造用金型装置および鍛造成形方法

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JP2002178086A
JP2002178086A JP2000382404A JP2000382404A JP2002178086A JP 2002178086 A JP2002178086 A JP 2002178086A JP 2000382404 A JP2000382404 A JP 2000382404A JP 2000382404 A JP2000382404 A JP 2000382404A JP 2002178086 A JP2002178086 A JP 2002178086A
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forging
molding
punch
cavity
mold member
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Moriyuki Oohama
司志 大浜
Michitoshi Kono
通敏 河野
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造工程を簡素化し、しかも、従来、次工程で
使用されていた高価な鍛造用金型を不要とすることによ
り製造コストを大幅に削減することにある。 【解決手段】パンチ26の一端側に、軸線方向に沿って
延在し且つ周方向に沿って所定の離間角度を有する複数
の突条部50a〜50cを設け、各突条部50a〜50
cに、所定幅を有し一端側を周回するように形成された
成形ランド部54と、所定幅を有して他端側を周回し内
形の製品精度を形成する凸部58と、前記成形ランド部
54と前記凸部58との間に前記パンチ26のたわみ量
を見込んだ凹部60とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャビティに鍛造
用素材が配設され、パンチの加圧作用下に前記鍛造用素
材を鍛造成形する鍛造用金型装置および鍛造成形方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、互いに接合された上部ダイス
および下部ダイスに形成されるキャビティに鍛造用素材
を装填し、パンチを介して前記鍛造用素材に加圧力を付
与することにより、鍛造用素材を所定形状に鍛造成形す
る金型装置が知られている。
【0003】この種の金型装置を用いて、例えば、自動
車の車輪駆動用の等速ジョイントの外輪部材(アウタカ
ップ)が冷間鍛造成形方法によって製造されている。前
記外輪部材は、碗状または筒状のカップ部と、前記カッ
プ部と一体的に形成される軸部とから構成され、前記カ
ップ部の内周面には、軸線方向に沿って延在するボール
溝またはトラック溝が形成され、前記ボール溝およびト
ラック溝に沿ってボールまたはローラが転動するように
設けられている。
【0004】従来技術に係る冷間鍛造成形方法によって
外輪部材を鍛造成形する工程について以下に概略説明す
る。
【0005】先ず、所定長に接続された円柱状のワーク
(鍛造用素材)に対して球状化焼鈍処理を施し、続い
て、その表面にボンデライト処理によって燐酸塩被膜等
の潤滑用化成被膜を形成した後、第1鍛造用金型によっ
て前方押し出し成形を行うことにより軸線方向に沿って
延在する軸部が形成される(第1工程)。
【0006】次に、ワークの未加工部分に対して、第1
鍛造用金型とは異なる他の第2鍛造用金型を介して据え
込み成形を施す第2工程が行われる。そして、前記据え
込み成形がなされた成形品に対し、応力除去等のために
低温焼鈍処理、前記低温焼鈍処理の際に発生する酸化ス
ケール等を除去するショットブラスト処理、および、ワ
ークの外表面に潤滑用化成被膜を形成するボンデライト
処理をそれぞれ行う。
【0007】続いて、ワークに対して、カップ部を形成
するとともに、その内周面にボール溝またはローラ溝を
形成する後方押し出し成形を施す第3工程が行われる。
この後方押し出し成形は、前記第1および第2鍛造用金
型とは異なる他の第3鍛造用金型によって行われる。前
記後方押し出し成形がなされた成形品に対し、低温焼鈍
処理を施してワークを軟化させた後、ショットブラスト
処理によって酸化スケール等を除去し、さらに、成形時
に潤滑性を得るためにボンデライト処理を行う。
【0008】最後に、前記第1乃至第3鍛造用金型とは
異なる他の第4鍛造用金型によって、最終的な製品形状
に仕上げるためのしごき加工(最終サイジング成形)を
第4工程として行うことにより、完成品が得られる。
【0009】このように、従来技術に係る鍛造成形方法
では、それぞれ構造が異なる第1乃至第4鍛造用金型を
用いてワークに対する各種の鍛造成形を行うとともに、
鍛造成形工程の間に種々の処理作業がなされる。
【0010】なお、第4工程のしごき加工を行う前に、
低温焼鈍処理、ショットブラスト処理およびボンデライ
ト処理等を行うのは、後方押し出し成形を行った第3工
程の後にしごき加工を連続して行った際、しごき加工中
にカップ部の内面に割れが生ずるおそれがあるからであ
る。このため、従来技術に係る鍛造成形方法では、しご
き加工を行う前に低温焼鈍処理等の各種処理が必要とな
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、最終的な製
品形状に仕上げるためのしごき加工(最終サイジング成
形)である第4工程を省略するとともに、前記しごき加
工を行う前の低温焼鈍処理等の各種の処理をも省略して
製造工程を簡素化し、しかも、第4工程で使用される高
価な第4鍛造用金型を不要とすることにより製造コスト
を大幅に削減することが可能な鍛造用金型装置および鍛
造成形方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、キャビティに装填された鍛造用素材に
対して加圧力を付与することにより、鍛造成形する装置
において、前記鍛造用素材が装填されるキャビティが形
成された型部材と、前記キャビティに装填された鍛造用
素材に対して加圧力を付与するパンチと、を備え、前記
パンチの一端側には、軸線方向に沿って延在し且つ周方
向に沿って所定の離間角度を有する複数の突条部が設け
られ、各突条部には、所定幅を有し一端側を周回するよ
うに形成された成形ランド部と、所定幅を有して他端側
を周回し内形の製品精度を形成する凸部と、前記成形ラ
ンド部と前記凸部との間に形成され前記パンチのたわみ
量を見込んだ凹部とがそれぞれ設けられることを特徴と
する。
【0013】また、本発明は、キャビティに装填された
鍛造用素材に対して加圧力を付与することにより、鍛造
成形する装置において、前記鍛造用素材が装填されるキ
ャビティが形成された型部材と、前記キャビティに装填
された鍛造用素材に対して加圧力を付与するパンチと、
を備え、前記型部材のキャビティ面には、軸線方向に沿
って所定間隔離間し外形の製品精度を形成する第1成形
部および第2成形部と、前記第1成形部と第2成形部と
の間に形成され該型部材のたわみ量を見込んだ凹部とが
設けられることを特徴とする。
【0014】さらに、本発明は、キャビティに装填され
た鍛造用素材に対して加圧力を付与することにより、鍛
造成形する装置において、前記鍛造用素材が装填される
キャビティが形成された型部材と、前記キャビティに装
填された鍛造用素材に対して加圧力を付与するパンチ
と、を備え、前記パンチの一端側には、軸線方向に沿っ
て延在し且つ周方向に沿って所定の離間角度を有する複
数の突条部が設けられ、各突条部には、所定幅を有し一
端側を周回するように形成された成形ランド部と、所定
幅を有して他端側を周回し内形の製品精度を形成する凸
部と、前記成形ランド部と前記凸部との間に形成され前
記パンチのたわみ量を見込んだ凹部とがそれぞれ設けら
れ、前記型部材のキャビティ面には、軸線方向に沿って
所定間隔離間し外形の製品精度を形成する第1成形部お
よび第2成形部と、前記第1成形部と第2成形部との間
に形成され該型部材のたわみ量を見込んだ凹部とが設け
られることを特徴とする。
【0015】この場合、パンチの凹部を、成形ランド部
および凸部に対して、約0.1mm〜0.7mmだけ凹
状に形成し、型部材のキャビティ面の凹部を、第1成形
部および第2成形部に対して、約0.1mm〜0.7m
mだけ凹状に形成するとよい。
【0016】さらにまた、本発明は、キャビティに装填
された鍛造用素材に対して加圧力を付与することによ
り、鍛造成形する方法において、型部材のキャビティに
装填された鍛造用素材に対しパンチの変位作用下に加圧
力が付与される際、前記パンチの一端側に形成された成
形ランド部によって鍛造素材の内壁面に対して後方押し
出し成形がなされ、前記成形ランド部によって押し出さ
れた鍛造用素材の肉が前記成形ランド部に隣接する凹部
に沿って流動し、さらに、型部材の歪みを鍛造用素材に
転写する精度矯正部によって精度が矯正保持されること
により、内形における製品の完成精度が形成されること
を特徴とする。
【0017】またさらに、本発明は、キャビティに装填
された鍛造用素材に対して加圧力を付与することによ
り、鍛造成形する方法において、型部材のキャビティに
装填された鍛造用素材に対しパンチの変位作用下に加圧
力が付与される際、前記型部材のキャビティ面に所定間
隔離間して配置され、製品精度を形成する第1成形部お
よび第2成形部と、前記第1成形部と第2成形部との間
に形成され型部材のたわみ量を見込んだ凹部とによって
鍛造用素材の外周面に対して後方押し出し成形および据
え込み成形を行うことにより、外形における製品の完成
精度が形成されることを特徴とする。
【0018】またさらに、本発明は、キャビティに装填
された鍛造用素材に対して加圧力を付与することによ
り、鍛造成形する方法において、型部材のキャビティに
装填された鍛造用素材に対しパンチの変位作用下に加圧
力が付与される際、前記パンチの一端側に形成された成
形ランド部によって鍛造素材の内壁面に対して後方押し
出し成形がなされ、前記成形ランド部によって押し出さ
れた鍛造用素材の肉が前記成形ランド部に隣接する凹部
に沿って流動し、さらに、精度矯正部によって型部材の
歪みを鍛造用素材に対して転写することにより、内形に
おける製品の完成精度が形成され、同時に、前記型部材
のキャビティ面に所定間隔離間して配置され、製品精度
を形成する第1成形部および第2成形部と、前記第1成
形部と第2成形部との間に形成され型部材のたわみ量を
見込んだ凹部とによって鍛造用素材の外周面に対して後
方押し出し成形および据え込み成形を行うことにより、
外形における製品の完成精度が形成されることを特徴と
する。
【0019】本発明によれば、パンチに形成された成形
ランド部、凹部および凸部によって製品の内形精度が確
保され、一方、型部材に形成された第1成形部、第2成
形部および凹部によって製品の外形精度が同時に確保さ
れる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係る鍛造成形方法につい
て、これを実施する鍛造用金型装置との関連において好
適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下
詳細に説明する。
【0021】図1において、参照数字10は本発明の実
施の形態に係る鍛造用金型装置を示す。
【0022】この鍛造用金型装置10は、第1ダイプレ
ート12および第2ダイプレート14を有し、前記第1
ダイプレート12上には、厚肉に形成された圧入リング
18が図示しない固定部材を介して固定されている。
【0023】前記圧入リング18の孔部内には、円筒状
に形成されたインサート部材20が内嵌されている。こ
の場合、インサート部材20の外径は、圧入リング18
の内径よりも若干大きく設定されており、前記インサー
ト部材20は、締まりばめにて圧入リング18の孔部内
に嵌入される。
【0024】前記インサート部材20の内部には、分割
して形成された上部ダイス22および下部ダイス24が
軸線方向に沿って一体的に結合され、前記上部ダイス2
2および下部ダイス24の内部には、後述する鍛造用素
材が装填されるキャビティが形成されている。なお、前
記上部ダイス22および下部ダイス24は、型部材とし
て機能するものである。
【0025】前記上部ダイス22の上面には、図1に示
されるように、パンチ26が案内される孔部28が形成
された第1リング体30が接合され、また、インサート
部材20の上面には前記第1リング体30に外嵌される
大径な第2リング体32が接合され、さらに、圧入リン
グ18の環状凹部には第2リング体32に外嵌される大
径な第3リング体34が一体的に接合される。
【0026】この場合、第2リング体32を外嵌するよ
うに第3リング体34を圧入リング18に対して締結す
ることにより、第3リング体34に形成されたテーパ面
34aが第2リング体32に形成された逆テーパ面32
aに摺接し、第1リング体30および第2リング体32
を下方側に向かって押圧する力が作用する。
【0027】なお、前記第1リング体30の孔部28の
上部には、パンチ26が挿入される際に該パンチ26を
案内する環状のガイド溝(図示せず)を形成するとよ
い。
【0028】前記上部ダイス22および下部ダイス24
によって形成されるキャビティの下部側には、鍛造品を
押し出すためのノックアウトピン36が第1ダイプレー
ト12に形成された孔部38に沿って進退自在に配設さ
れる。このキャビティには、鍛造用素材として後述する
第2次成形品が装填される。
【0029】前記上部ダイス22の内周面は、軸線方向
に沿って所定間隔離間する一組の略円筒面からなり、図
2に示されるように、製品精度を形成する第1成形部4
0aおよび第2成形部40bと、前記第1成形部40a
と第2成形部40bとの間に設けられ、鍛造成形すると
きの上部ダイス22および下部ダイス24のたわみ量を
見込んで形成された凹部42a〜42cとから構成され
る。
【0030】前記凹部42a〜42cは、第1成形部4
0aと第2成形部40bとの間に軸線方向に沿って所定
長だけ延在するとともに、周方向に沿って全周形成され
ている。なお、前記凹部42a〜42cは、前記第1成
形部40aおよび第2成形部40bに対して、約0.1
mm〜0.7mmだけ凹状に形成されるとよい。
【0031】図1に示されるように、圧入リング18か
ら所定距離離間する上方には、図示しない機械プレスの
ラム(図示せず)に連結され、前記機械プレスの駆動作
用下にラムと一体的に上下方向に沿って変位する昇降部
材44が設けられる。前記昇降部材44には治具46を
介してパンチ26が固定され、前記パンチ26の外周部
の所定部分には円筒状の金属製材料で形成されたガイド
スリーブ48が外嵌される。
【0032】前記ガイドスリーブ48には、図3に示さ
れるように、複数の孔部を介してグラファイト49が埋
設され、第1リング体30の孔部28に対して挿入され
る際の潤滑特性を良好に保持することができる。この場
合、パンチ26に外嵌されたガイドスリーブ48の外周
側の直径は、第1リング体30の孔部28の内周側の直
径よりも若干大きく設定されている。
【0033】なお、ガイドスリーブ48を、例えば、ロ
ックウェル硬さHRC58〜60からなるSKD11等
の金属製材料によって形成し、また、第1リング体30
を、ガイドスリーブ48よりも硬質な金属製材料によっ
て形成すると好適である。
【0034】パンチ26は、第1ダイプレート12に立
設された複数の図示しないガイド手段の案内作用下に昇
降部材44と一体的に上下方向に沿って変位自在に設け
られ、例えば、ロックウェル硬さHRC62〜64から
なるSKH51等の金属製材料によって形成されると好
適である。
【0035】このパンチ26の一端部には、図4および
図6に示されるように、周方向に沿って約120度の離
間角度をおいて3個の突条部50a〜50cが設けら
れ、各突条部50a〜50cは、該パンチ26の軸線方
向に沿って所定長だけ延在するように形成される。3個
の突条部50a〜50cは、等速ジョイントを構成する
カップ部の内壁面に形成された図示しない案内溝(トラ
ック溝)に対応するものであり、前記パンチ26の突条
部50a〜50cによってカップ部の軸線方向に沿って
延在し且つ周方向に沿って等角度離間する3個の案内溝
が形成される。前記突条部50a〜50cの一端側であ
るパンチ26の先端面には、複合曲線状に面取りされた
面取り部52が全周にわたって形成されている。
【0036】図5は、1つの突条部50a(50b、5
0c)を上方側から見た一部省略拡大平面図であり、こ
の突条部50a(50b、50c)の一端側(パンチ2
6の先端側)には、所定幅Bの凸部からなる成形ランド
部54がパンチ26の周方向に沿って形成されている。
この成形ランド部54は、3個の突条部50a〜50c
および隣接する突条部50a〜50c間の溝部56a〜
56cを含む全周にわたって形成されている。
【0037】ガイドスリーブ48に近接するパンチ26
の中間部分には、図5に示されるように、前記成形ラン
ド部54よりも大きな所定幅Cを有する凸部58が形成
され、前記凸部58は、該成形ランド部54と同様に、
3個の突条部50a〜50cおよび隣接する突条部50
a〜50c間の溝部56a〜56cを含む全周にわたっ
て形成されている。
【0038】前記成形ランド部54と前記凸部58との
間には、3個の突条部50a〜50cおよび隣接する突
条部50a〜50c間の溝部56a〜56cを含む全周
にわたって凹部60が形成され、前記凹部60は、成形
ランド部54によって鍛造用素材を鍛造成形するときの
歪み量を見込んだ凹部として製品精度をだすために機能
するものである。
【0039】なお、前記凹部60は、成形ランド部54
および凸部58に対して、約0.1mm〜0.7mmだ
け凹状に形成されるとよい。
【0040】この場合、3個の突条部50a〜50cお
よび隣接する突条部50a〜50c間の溝部56a〜5
6cを含む全周にわたって形成された凹部60および凸
部58は、上型であるパンチ26の歪みを鍛造用素材に
転写するとともに、製品精度を形成する精度矯正部62
を構成するものである。
【0041】本発明の実施の形態に係る鍛造用金型装置
10は、基本的には以上のように構成されるものであ
り、次にその動作並びに作用効果について説明する。な
お、鍛造品として等速ジョイントを構成する外輪部材を
鍛造成形する場合を例にして以下説明する。
【0042】先ず、鍛造用素材に対する鍛造成形の工程
について図8A〜8Dに基づいて説明する。
【0043】図8Aに示される円柱状のビレット70に
対して図示しない第1鍛造用金型によって第1次鍛造成
形を施すことにより、中間部の段部を介して直径がそれ
ぞれ異なる第1次成形品72が得られる(図8B参
照)。
【0044】続いて、前記第1次成形品72に対して予
備成形を施して予備成形品74(図8C参照)を得た
後、さらに、図示しない他の第2鍛造用金型によって前
記予備成形品74に対して第2次鍛造成形を行うことに
より、カップ部76aと軸部76bとからなる第2次成
形品78が得られる(図8D参照)。
【0045】本実施の形態に係る鍛造用金型装置10
は、この第2次成形品78を鍛造用素材78としてさら
に第3次鍛造成形を施すことにより、最終製品形状に仕
上げるものである。
【0046】先ず、準備作業として、上部ダイス22お
よび下部ダイス24によって形成されるキャビティに対
してパンチ26が予め位置決めされているものとする。
そして、図示しない機械プレスの駆動作用下にラム(図
示せず)に連結された昇降部材44と一体的にパンチ2
6が下降し、図1に示す状態となることにより鍛造成形
が開始される。
【0047】なお、パンチ26が昇降部材44と一体的
に下降する際、前記昇降部材44と第1ダイプレート1
2との間に設けられた複数の図示しないガイド手段によ
って横方向の荷重が好適に吸収され、前記パンチ26が
第1リング体30の孔部28の中心に円滑に圧入され
る。
【0048】鍛造成形を開始する際、パンチ26の外周
面の一部に外嵌されたガイドスリーブ48は、第1リン
グ体30の孔部28の上端部に形成された環状のガイド
溝(図示せず)の案内作用下に進入し、さらに、パンチ
26が下降することにより、パンチ26およびガイドス
リーブ48は、第1リング体30の孔部28内に圧入さ
れた状態で一体的に変位する。
【0049】このようにしてパンチ26が下降し、図1
に示される成形開始位置から図7に示される成形終了位
置に到達することにより、このパンチ26と上部ダイス
22および下部ダイス24を介して鍛造用素材78に対
して鍛造成形が施され、前記鍛造用素材78がキャビテ
ィの形状に沿って塑性流動する。
【0050】すなわち、パンチ26の一端側に形成され
た成形ランド部54によって鍛造用素材78の内壁面に
対して後方押し出し成形がなされ、前記成形ランド部5
4によって押し出された鍛造用素材78の肉はパンチ2
6の凹部60に沿って流動し、さらに、ガイドスリーブ
48側に形成され型部材の歪みを鍛造用素材に対して転
写する凸部58によって精度が矯正保持される。
【0051】換言すると、鍛造成形時におけるパンチ2
6の歪みが成形ランド部54によって鍛造用素材78に
対して転写される場合であっても、前記パンチ26のた
わみ量を見込んだ凹部60が成形途中の製品精度を矯正
しながら、終局的には、前記凹部60に連続する凸部5
8によって案内溝(トラック溝)等の形状を含む製品
(完成製品)の内形精度が確保される。
【0052】同時に、上部ダイス22に形成された第1
成形部40a、第2成形部40bおよび凹部42a〜4
2cによって鍛造用素材78の外周面に対して据え込み
成形および後方押し出し成形がなされる。
【0053】すなわち、鍛造成形時における上部ダイス
22および下部ダイス24の歪みが鍛造用素材78に転
写される場合であっても、前記上部ダイス22および下
部ダイス24のたわみ量を見込んだ凹部42a〜42c
がその逃げとして許容され、終局的には、凹部42a〜
42cに隣接して設けられた第1成形部40aおよび第
2成形部40bによって製品の外形精度が形成される。
【0054】このようにして鍛造成形が終了した後、図
示しない機械プレスの駆動作用下にラム(図示せず)に
連結された昇降部材44と一体的にパンチ26が所定位
置まで上昇することにより、該パンチ26およびガイド
スリーブ48が第1リング体30の孔部28から離間
し、次なる工程の待機状態となる。そして、ノックアウ
トピン36の変位作用下に完成製品精度を有する鍛造品
が取り出される。
【0055】本実施の形態では、パンチ26に形成され
た成形ランド部54および精度矯正部62(凹部60お
よび凸部58)と、上部ダイス22に形成された第1成
形部40a、第2成形部40bおよび凹部42a〜42
cとの共働作用下に、製品の内形精度および外形精度が
同時に確保される。
【0056】従って、本実施の形態では、従来において
最終的な製品形状に仕上げるためのしごき加工(最終サ
イジング成形)である第4工程を省略することができる
とともに、前記しごき加工を行う前の低温焼鈍処理等の
各種の処理をも省略して製造工程を簡素化することがで
きる。この結果、本実施の形態では、従来において第4
工程で使用していた高価な第4鍛造用金型(図示せず)
が不要となり製造コストを大幅に削減することができ
る。
【0057】また、本実施の形態では、上部ダイス22
の内周面に周方向に沿って所定角度離間する凹部42a
〜42cを形成し、前記凹部42a〜42cを除いた円
周面が鍛造用素材78との接触面となるため、鍛造成形
時における成形負荷を低減し、上部ダイス22および下
部ダイス24の耐久性を向上させることができる。
【0058】さらに、本実施の形態では、完成品として
トリポートタイプの等速ジョイントに基づいて説明して
いるが、カップ内にボール転動溝が形成された図示しな
いバーフィールドタイプの等速ジョイントにも適用する
ことができる。
【0059】なお、本実施の形態では、等速ジョイント
を構成する外輪部材を鍛造用素材として用いているがこ
れに限定されるものではなく、例えば、図示しない段付
き部品、段付き歯車等のように内形精度および外形精度
が共に必要とされる種々の鍛造成形品に適用することが
できることは、勿論である。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果が得られ
る。
【0061】すなわち、パンチに形成された成形ランド
部、凹部および凸部と、型部材に形成された第1成形
部、第2成形部および凹部との共働作用下に製品の内形
および外形精度が同時に確保されるため、従来行われて
いた最終的な製品形状に仕上げるためのしごき加工(最
終サイジング成形)である第4工程を省略するととも
に、前記しごき加工を行う前の低温焼鈍処理等の各種の
処理をも省略して製造工程を簡素化することができる。
【0062】しかも、本発明では、従来において第4工
程で使用される高価な第4鍛造用金型を不要とすること
により製造コストを大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る鍛造用金型装置の一
部省略縦断面図である。
【図2】前記鍛造用金型装置を構成する上部ダイスの内
壁面を示す部分拡大図である。
【図3】前記鍛造用金型装置を構成するパンチの縦断面
図である。
【図4】前記パンチの一部省略斜視図である。
【図5】前記パンチの一部省略拡大平面図である。
【図6】図3の矢印A方向からみた矢視図である。
【図7】パンチが降下して鍛造成形が終了した状態を示
す動作説明図である。
【図8】図8A乃至8Dは、それぞれ鍛造用素材に対す
る鍛造成形の工程を示す説明図である。
【符号の説明】
10…鍛造用金型装置 12、14…ダイプ
レート 18…圧入リング 20…インサート部
材 22…上部ダイス 24…下部ダイス 26…パンチ 30、32、34…
リング体 40a、40b…成形部 42a〜42c、6
0…凹部 48…ガイドスリーブ 50a〜50c…突
条部 52…面取り部 54…成形ランド部 56a〜56c…溝部 58…凸部 62…精度矯正部 78…鍛造用素材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャビティに装填された鍛造用素材に対し
    て加圧力を付与することにより、鍛造成形する装置にお
    いて、 前記鍛造用素材が装填されるキャビティが形成された型
    部材と、 前記キャビティに装填された鍛造用素材に対して加圧力
    を付与するパンチと、 を備え、 前記パンチの一端側には、軸線方向に沿って延在し且つ
    周方向に沿って所定の離間角度を有する複数の突条部が
    設けられ、各突条部には、所定幅を有し一端側を周回す
    るように形成された成形ランド部と、所定幅を有して他
    端側を周回し内形の製品精度を形成する凸部と、前記成
    形ランド部と前記凸部との間に形成され前記パンチのた
    わみ量を見込んだ凹部とがそれぞれ設けられることを特
    徴とする鍛造用金型装置。
  2. 【請求項2】キャビティに装填された鍛造用素材に対し
    て加圧力を付与することにより、鍛造成形する装置にお
    いて、 前記鍛造用素材が装填されるキャビティが形成された型
    部材と、 前記キャビティに装填された鍛造用素材に対して加圧力
    を付与するパンチと、 を備え、 前記型部材のキャビティ面には、軸線方向に沿って所定
    間隔離間し外形の製品精度を形成する第1成形部および
    第2成形部と、前記第1成形部と第2成形部との間に形
    成され該型部材のたわみ量を見込んだ凹部とが設けられ
    ることを特徴とする鍛造用金型装置。
  3. 【請求項3】キャビティに装填された鍛造用素材に対し
    て加圧力を付与することにより、鍛造成形する装置にお
    いて、 前記鍛造用素材が装填されるキャビティが形成された型
    部材と、 前記キャビティに装填された鍛造用素材に対して加圧力
    を付与するパンチと、 を備え、 前記パンチの一端側には、軸線方向に沿って延在し且つ
    周方向に沿って所定の離間角度を有する複数の突条部が
    設けられ、各突条部には、所定幅を有し一端側を周回す
    るように形成された成形ランド部と、所定幅を有して他
    端側を周回し内形の製品精度を形成する凸部と、前記成
    形ランド部と前記凸部との間に形成され前記パンチのた
    わみ量を見込んだ凹部とがそれぞれ設けられ、 前記型部材のキャビティ面には、軸線方向に沿って所定
    間隔離間し外形の製品精度を形成する第1成形部および
    第2成形部と、前記第1成形部と第2成形部との間に形
    成され該型部材のたわみ量を見込んだ凹部とが設けられ
    ることを特徴とする鍛造用金型装置。
  4. 【請求項4】請求項1または3記載の装置において、 前記パンチの凹部は、成形ランド部および凸部に対し
    て、約0.1mm〜0.7mmだけ凹状に形成されるこ
    とを特徴とする鍛造用金型装置。
  5. 【請求項5】請求項2または3記載の装置において、 前記キャビティ面の凹部は、前記第1成形部および第2
    成形部に対して、約0.1mm〜0.7mmだけ凹状に
    形成されることを特徴とする鍛造用金型装置。
  6. 【請求項6】キャビティに装填された鍛造用素材に対し
    て加圧力を付与することにより、鍛造成形する方法にお
    いて、 型部材のキャビティに装填された鍛造用素材に対しパン
    チの変位作用下に加圧力が付与される際、前記パンチの
    一端側に形成された成形ランド部によって鍛造素材の内
    壁面に対して後方押し出し成形がなされ、前記成形ラン
    ド部によって押し出された鍛造用素材の肉が前記成形ラ
    ンド部に隣接する凹部に沿って流動し、さらに、型部材
    の歪みを鍛造用素材に転写する精度矯正部によって精度
    が矯正保持されることにより、内形における製品の完成
    精度が形成されることを特徴とする鍛造成形方法。
  7. 【請求項7】キャビティに装填された鍛造用素材に対し
    て加圧力を付与することにより、鍛造成形する方法にお
    いて、 型部材のキャビティに装填された鍛造用素材に対しパン
    チの変位作用下に加圧力が付与される際、前記型部材の
    キャビティ面に所定間隔離間して配置され、製品精度を
    形成する第1成形部および第2成形部と、前記第1成形
    部と第2成形部との間に形成され型部材のたわみ量を見
    込んだ凹部とによって鍛造用素材の外周面に対して後方
    押し出し成形および据え込み成形を行うことにより、外
    形における製品の完成精度が形成されることを特徴とす
    る鍛造成形方法。
  8. 【請求項8】キャビティに装填された鍛造用素材に対し
    て加圧力を付与することにより、鍛造成形する方法にお
    いて、 型部材のキャビティに装填された鍛造用素材に対しパン
    チの変位作用下に加圧力が付与される際、前記パンチの
    一端側に形成された成形ランド部によって鍛造素材の内
    壁面に対して後方押し出し成形がなされ、前記成形ラン
    ド部によって押し出された鍛造用素材の肉が前記成形ラ
    ンド部に隣接する凹部に沿って流動し、さらに、型部材
    の歪みを鍛造用素材に転写する精度矯正部によって精度
    が矯正保持されることにより、内形における製品の完成
    精度が形成され、 同時に、前記型部材のキャビティ面に所定間隔離間して
    配置され、製品精度を形成する第1成形部および第2成
    形部と、前記第1成形部と第2成形部との間に形成され
    型部材のたわみ量を見込んだ凹部とによって鍛造用素材
    の外周面に対して後方押し出し成形および据え込み成形
    を行うことにより、外形における製品の完成精度が形成
    されることを特徴とする鍛造成形方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006101098A1 (ja) * 2005-03-22 2006-09-28 Honda Motor Co., Ltd. 等速ジョイント用外輪部材の製造装置及び製造方法並びにその中間成形体
CN116809833A (zh) * 2023-05-31 2023-09-29 中南大学 一种铝合金异形筒段精密模锻成形模具及方法
JP7430555B2 (ja) 2020-03-23 2024-02-13 日本製鉄株式会社 歯形部を有する冷間鍛造製部品と、その製造方法および製造装置

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