JP4392122B2 - 鍛造金型構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビティに鍛造用素材が配設され、パンチの加圧作用下に前記鍛造用素材を鍛造成形する鍛造金型構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、互いに接合された上部ダイスおよび下部ダイスに形成されるキャビティに鍛造用素材を装填し、パンチを介して前記鍛造用素材に加圧力を付与することにより、鍛造用素材を所定形状に鍛造成形する金型装置が知られている。
【0003】
この種の金型装置を用いて、例えば、自動車の車輪駆動用の等速ジョイントの外輪部材(アウタカップ)が冷間鍛造成形方法によって製造されている。前記外輪部材は、碗状または筒状のカップ部と、前記カップ部と一体的に形成される軸部とから構成され、前記カップ部の内周面には、軸線方向に沿って延在するボール溝またはトラック溝が形成され、前記ボール溝およびトラック溝に沿ってボールまたはローラが転動するように設けられている。
【0004】
従来技術に係る冷間鍛造成形方法によって外輪部材を鍛造成形する工程について以下に概略説明する。
【0005】
先ず、所定長に接続された円柱状のワーク(鍛造用素材)に対して球状化焼鈍処理を施し、続いて、その表面にボンデライト処理によって燐酸塩被膜等の潤滑用化成被膜を形成した後、第1鍛造用金型によって前方押し出し成形を行うことにより軸線方向に沿って延在する軸部が形成される(第1工程)。
【0006】
次に、ワークの未加工部分に対して、第1鍛造用金型とは異なる他の第2鍛造用金型を介して据え込み成形を施す第2工程が行われる。そして、前記据え込み成形がなされた成形品に対し、応力除去等のために低温焼鈍処理、前記低温焼鈍処理の際に発生する酸化スケール等を除去するショットブラスト処理、および、ワークの外表面に潤滑用化成被膜を形成するボンデライト処理をそれぞれ行う。
【0007】
続いて、ワークに対して、カップ部を形成するとともに、その内周面にボール溝またはローラ溝を形成する後方押し出し成形を施す第3工程が行われる。この後方押し出し成形は、前記第1および第2鍛造用金型とは異なる他の第3鍛造用金型によって行われる。
【0008】
前記後方押し出し成形がなされた成形品に対し、低温焼鈍処理を施してワークを軟化させた後、ショットブラスト処理によって酸化スケール等を除去し、さらに、成形時に潤滑性を得るためにボンデライト処理を行う。
【0009】
最後に、前記第1乃至第3鍛造用金型とは異なる他の第4鍛造用金型によって、最終的な製品形状に仕上げるためのしごき加工(最終サイジング成形)を第4工程として行うことにより、完成品が得られる。
【0010】
このように、従来技術に係る鍛造成形方法では、それぞれ構造が異なる第1乃至第4鍛造用金型を用いてワークに対する各種の鍛造成形を行うとともに、鍛造成形工程の間に種々の処理作業がなされる。
【0011】
なお、第4工程のしごき加工を行う前に、低温焼鈍処理、ショットブラスト処理およびボンデライト処理等を行うのは、後方押し出し成形を行った第3工程の後にしごき加工を連続して行った際、しごき加工中にカップ部の内面に割れが生ずるおそれがあるからである。このため、従来技術に係る鍛造成形方法では、しごき加工を行う前に低温焼鈍処理等の各種処理が必要となる。
【0012】
ここで、等速ジョイントの外輪部材を構成するカップ部から軸部に繋がるコーナー部分を後方押し出し成形する第3鍛造用金型の部分縦断面図を図7に示す。第3鍛造用金型のコーナー部分1には、応力集中により多大な応力負荷が付与されるため、コーナーの湾曲部2の曲率半径(R)を大きく設定し、且つ前記湾曲部2の終端近傍で上部ダイス3と下部ダイス4とを分割する金型構造が一般的に採用されている。換言すると、前記湾曲部2の終端近傍が上部ダイス3と下部ダイス4との合わせ面として形成されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術に係る鍛造金型の分割構造では、後方押し出し成形時における鍛造用素材と金型の表面との摩擦力に起因して、分割された上部ダイスと下部ダイスとの合わせ面(金型の結合面)に強大な負荷が付与されることにより上部ダイスと下部ダイスとの合わせ面の間にクリアランスが形成され、前記クリアランスに鍛造用素材の余肉が入り込んでバリが発生するという問題がある。また、第4工程の仕上げ工程において、前記バリに起因して巻き込み等が生ずる場合がある。
【0014】
さらに、従来技術に係る鍛造金型構造では、パンチによって鍛造成形された成形品を上部ダイスおよび下部ダイスに形成されたキャビティ内に残留させておく必要がある。けだし、鍛造成形された成形品がパンチに付着した場合、前記パンチから成形品を離間させる作業が必要となり、生産効率が低下するからである。通常は、ダイス側に設けられたノックアウトピンによって鍛造成形された成形品をキャビティから外部に取り出すようにしている。
【0015】
この場合、キャビティが形成されたダイス側に鍛造成形された成形品を残留させるため、ダイス壁面の面粗度を荒くしたり、あるいは逆テーパ面等を形成して成形品がダイス側に食いつかせる工夫がなされているが、ダイス壁面の面粗度を荒くすることにより金型の寿命を短縮し、あるいは逆テーパ面が摩耗するという問題がある。
【0016】
本発明は、積層して構成される第1型部材と第2型部材との合わせ面を強固に結合することによりクリアランスによるバリの発生を防止し、しかも、鍛造成形された成形品をキャビティが形成された型部材側に残留させることが可能な鍛造金型構造を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、キャビティに装填された鍛造用素材に対して加圧力を付与することにより、段付円筒形状の鍛造品を成形する金型の構造において、
積層して構成される第1型部材および第2型部材を備え、
前記鍛造品のコーナー部分に対応する前記第1型部材と前記第2型部材との結合部分で、前記第1型部材には、前記第2型部材の側に向かって拡径するテーパ部と、前記テーパ部に連続し直径が均一な内周面からなる環状凹部とが設けられ、
前記結合部分の前記第2型部材には、前記環状凹部に連続し且つ略直交する平坦な合わせ平面部と、前記合わせ平面部に連続する湾曲面とが設けられ、
前記環状凹部の軸線方向に沿った長さは、鍛造成形される鍛造品の底部の肉厚以下であることを特徴とする。
【0018】
この場合、前記第2型部材に、前記合わせ平面部に連続し、鍛造用素材に対する鍛造成形時における第1型部材の伸張量を見込んだ段差部を形成するとよい。
【0019】
なお、前記鍛造品は、カップ部と軸部とを有する等速ジョイントの外輪部材からなり、前記コーナー部分は、カップ部から軸部に繋がる部分であってもよい。また、前記合わせ平面部は、キャビティを構成する部分と、前記第1型部材が当接する部分とが、連続の同一面を構成してもよい。
【0020】
本発明によれば、第1型部材と第2型部材との結合面を、第1型部材の環状凹部と、前記環状凹部に連続し且つ略直交する第2型部材の平坦な合わせ平面部とによって構成することにより、鍛造成形時において大きな負荷が付与された場合であっても第1型部材と第2型部材との結合面にクリアランスが形成されることがなく、バリの発生を防止することができる。
【0021】
また、前記環状凹部によって鍛造品が抱きつかれて保持されるため、鍛造品を第1および第2型部材側に残留させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係る鍛造金型構造について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0023】
図1において、参照数字10は本発明の実施の形態に係る鍛造金型構造が適用された鍛造用金型装置を示す。
【0024】
この鍛造用金型装置10は、第1ダイプレート12および第2ダイプレート14を有し、前記第1ダイプレート12上には、厚肉に形成された圧入リング18が図示しない固定部材を介して固定されている。
【0025】
前記圧入リング18の孔部内には、円筒状に形成されたインサート部材20が内嵌されている。この場合、インサート部材20の外径は、圧入リング18の内径よりも若干大きく設定されており、前記インサート部材20は、締まりばめにて圧入リング18の孔部内に嵌入される。
【0026】
前記インサート部材20の内部には、分割して構成されたリング体からなる上部ダイス(第1型部材)22および下部ダイス(第2型部材)24が軸線方向に沿って一体的に積層され、前記上部ダイス22および下部ダイス24の内部には、後述する鍛造用素材が装填されるキャビティが形成されている。なお、前記上部ダイス22および下部ダイス24は、型部材として機能するものである。
【0027】
上部ダイス22と下部ダイス24との結合部分の近傍(鍛造成形された鍛造品のコーナー部分に対応する部分)において、キャビティを構成する上部ダイス22の内壁面の下部側には、図2および図3に示されるように、下部ダイス24側に向かって徐々に拡径するテーパ部25と、前記テーパ部25に連続し直径が略均一な内周面からなる環状凹部27とが形成されている。なお、前記テーパ部25は、環状凹部27に対して縦断面が所定角度(例えば、約3度)の傾斜面に設定されるとよい。
【0028】
キャビティを構成する下部ダイス24の内壁面の上部には、前記環状凹部27に対して略直交する平坦面からなり上部ダイス22の平坦な下面に結合される合わせ平面部29と、前記合わせ平面部29から中心側に向かって所定距離だけ離間する湾曲面31とが形成される。前記湾曲面31は、平坦な合わせ平面部29から僅かに窪むように形成されている。
【0029】
なお、前記環状凹部27の軸線方向に沿った寸法Tは、後述する鍛造品の底部の肉厚Sに対して、T≦Sとなるように設定することにより、成形された素材(鍛造品)をダイス内に残留させることができるとともに、内外形状精度に対する影響を受けることがないという利点が得られる。
【0030】
また、鍛造成形する際の上部ダイス22の伸張を見込んで下部ダイス24の合わせ平面部29に連続する段差部33を設けるとよい(図4参照)。鍛造用素材の鍛造成形時における上部ダイス22および下部ダイス24の伸張量に対応する段差部33を設けることにより、上部ダイス22と下部ダイス24との合わせ面におけるクリアランスをなくしてバリの発生をより一層防止することができる。
【0031】
前記上部ダイス22の上面には、図1に示されるように、パンチ26が挿入される孔部28が形成された第1リング体30が接合され、また、インサート部材20の上面には前記第1リング体30に外嵌される大径な第2リング体32が接合され、さらに、圧入リング18の環状凹部には第2リング体32に外嵌される大径な第3リング体34が一体的に接合される。
【0032】
この場合、第2リング体32を外嵌するように第3リング体34を圧入リング18に対して締結することにより、第3リング体34に形成されたテーパ面34aが第2リング体32に形成された逆テーパ面32aに摺接し、第1リング体30および第2リング体32を下方側に向かって押圧する力が作用する。
【0033】
なお、前記第1リング体30の孔部28の上部には、パンチ26が挿入される際に該パンチ26を案内する環状のガイド溝(図示せず)を形成するとよい。
【0034】
前記上部ダイス22および下部ダイス24によって形成されるキャビティの下部側には、鍛造品を押し出すためのノックアウトピン36が第1ダイプレート12に形成された孔部38に沿って進退自在に配設される。このキャビティには、鍛造用素材として後述する第2次成形品が装填される。
【0035】
図1に示されるように、圧入リング18から所定距離離間する上方には、図示しない機械プレスのラム(図示せず)に連結され、前記機械プレスの駆動作用下にラムと一体的に上下方向に沿って変位する昇降部材44が設けられる。前記昇降部材44には治具46を介してパンチ26が固定され、前記パンチ26の外周部の所定部分には円筒状の金属製材料で形成されたガイドスリーブ48が外嵌される。
【0036】
前記ガイドスリーブ48には、複数の孔部を介して図示しないグラファイトが埋設され、第1リング体30の孔部28に対して圧入される際の潤滑特性を良好に保持することができる。この場合、パンチ26に外嵌されたガイドスリーブ48の外周側の直径は、第1リング体30の孔部28の内周側の直径よりも若干大きく設定されている。
【0037】
なお、ガイドスリーブ48を、例えば、ロックウェル硬さHRC58〜60からなるSKD11等の金属製材料によって形成し、また、第1リング体30を、ガイドスリーブ48よりも硬質な金属製材料によって形成すると好適である。
【0038】
パンチ26は、第1ダイプレート12に立設された複数の図示しないガイド手段の案内作用下に昇降部材44と一体的に上下方向に沿って変位自在に設けられ、例えば、ロックウェル硬さHRC62〜64からなるSKH51等の金属製材料によって形成されると好適である。
【0039】
このパンチ26の一端部には、周方向に沿って約120度の離間角度をおいて3個の突条部50a〜50cが設けられ、各突条部50a〜50cは、該パンチ26の軸線方向に沿って所定長だけ延在するように形成される。3個の突条部50a〜50cは、等速ジョイントを構成するカップ部の内壁面に形成された図示しない案内溝(トラック溝)に対応するものであり、前記パンチ26の突条部50a〜50cによってカップ部の軸線方向に沿って延在し且つ周方向に沿って等角度離間する3個の案内溝が形成される。
【0040】
本発明の実施の形態に係る鍛造金型構造が適用された鍛造用金型装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、鍛造品として等速ジョイントを構成する外輪部材を鍛造成形する場合を例にして以下説明する。
【0041】
先ず、鍛造用素材に対する鍛造成形の工程について図9A〜9Dに基づいて説明する。
【0042】
図9Aに示される円柱状のビレット70に対して図示しない第1鍛造用金型によって第1次鍛造成形を施すことにより、中間部の段部を介して直径がそれぞれ異なる第1次成形品72が得られる(図9B参照)。
【0043】
続いて、前記第1次成形品72に対して予備成形を施して予備成形品74(図9C参照)を得た後、さらに、図示しない他の第2鍛造用金型によって前記予備成形品74に対して第2次鍛造成形を行うことにより、カップ部76aと軸部76bとからなる第2次成形品78が得られる(図9D参照)。
【0044】
鍛造用金型装置10は、この第2次成形品78を鍛造用素材78としてさらに第3次鍛造成形を施すことにより、最終製品形状に仕上げるものである。
【0045】
先ず、準備作業として、上部ダイス22および下部ダイス24によって形成されるキャビティに対してパンチ26が予め位置決めされているものとする。そして、図示しない機械プレスの駆動作用下にラム(図示せず)に連結された昇降部材44と一体的にパンチ26が下降し、図1に示す状態となることにより鍛造成形が開始される。
【0046】
なお、パンチ26が昇降部材44と一体的に下降する際、前記昇降部材44と第1ダイプレート12との間に設けられた複数の図示しないガイド手段によって横方向の荷重が好適に吸収され、前記パンチ26が第1リング体30の孔部28の中心に円滑に挿入される。
【0047】
鍛造成形を開始する際、パンチ26の外周面の一部に外嵌されたガイドスリーブ48は、第1リング体30の孔部28の上端部に形成された環状のガイド溝(図示せず)の案内作用下に進入し、さらに、パンチ26が下降することにより、パンチ26およびガイドスリーブ48は、第1リング体30の孔部28内に圧入された状態で一体的に変位する。
【0048】
このようにしてパンチ26が下降し、図1に示される成形開始位置から図5に示される成形終了位置に到達することにより、このパンチ26と上部ダイス22および下部ダイス24を介して鍛造用素材78に対して鍛造成形が施され、前記鍛造用素材78がキャビティの形状に沿って塑性流動する。
【0049】
このようにして鍛造成形が終了した後、図示しない機械プレスの駆動作用下にラム(図示せず)に連結された昇降部材44と一体的にパンチ26が所定位置まで上昇することにより、該パンチ26およびガイドスリーブ48が第1リング体30の孔部28から離間し、次なる工程の待機状態となる。そして、ノックアウトピン36の変位作用下に完成製品精度を有する鍛造品が取り出される。
【0050】
本実施の形態では、上部ダイス22と下部ダイス24との結合面を環状凹部27に略直交する平坦な合わせ平面部29とすることにより、鍛造成形時において大きな負荷が付与された場合であっても上部ダイス22と下部ダイス24との間にクリアランスが形成されることがなく、バリの発生を防止することができる。
【0051】
換言すると、本実施の形態では、上部ダイス22の内壁面に連続する湾曲部2を削除して平坦な合わせ平面部29を形成し、しかも、略鉛直面からなる上部ダイス22の環状凹部27と前記鉛直面に略直交する下部ダイス24の平坦な合わせ平面部29とによって鍛造品のエッジ形状を成形することにより、鍛造品のコーナー部における外径寸法精度を向上させ、鍛造成形における加工代を大幅に削減することができる(図6参照)。
【0052】
従って、本実施の形態では、鍛造品のコーナー部の外形寸法精度を向上させ完成製品精度とすることができるため、従来において最終的な製品形状に仕上げるためのしごき加工(最終サイジング成形)である第4工程を省略することができるとともに、前記しごき加工を行う前の低温焼鈍処理等の各種の処理をも省略して製造工程を簡素化することができる。この結果、本実施の形態では、従来において第4工程で使用していた高価な第4鍛造用金型(図示せず)が不要となり製造コストを大幅に削減することができる。
【0053】
これに対して従来技術に係る鍛造用金型では、図8に示されるように、湾曲部2の終端近傍を上部ダイス3と下部ダイス4との合わせ面としているため、鍛造品のエッジ部において未加工部分5が発生し、前記未加工部分5のエッジ形状の外径寸法精度をだすために、さらに最終的な製品形状に仕上げるしごき加工が必要となる。
【0054】
また、本実施の形態では、上部ダイス22に形成された環状凹部27によって鍛造成形された鍛造品を抱きつかせることができるため、パンチ26側に鍛造品を付着させることがなく、キャビティが形成されたダイス側に鍛造品を残留させることができる。
【0055】
さらに、本実施の形態では、完成品としてトリポートタイプの等速ジョイントに基づいて説明しているが、カップ内にボール転動溝が形成された図示しないバーフィールドタイプの等速ジョイントにも適用することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、等速ジョイントを構成する外輪部材を鍛造用素材として用いているがこれに限定されるものではなく、例えば、図示しない段付き部品、段付き歯車等のように内形精度および外形精度が共に必要とされる種々の鍛造成形品に適用することができることは、勿論である。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0058】
すなわち、第1型部材と第2型部材との合わせ面を強固に結合することによりクリアランスによるバリの発生を防止し、しかも、鍛造成形された成形品をキャビティが形成された型部材側に残留させることができる。
【0059】
従って、鍛造品のコーナー部の外形寸法精度を向上させ完成製品精度とすることができるため、従来において最終的な製品形状に仕上げるためのしごき加工(最終サイジング成形)を省略することができるとともに、前記しごき加工を行う前の低温焼鈍等の各種の処理をも省略して製造工程を簡素化することができる。
【0060】
この結果、従来において仕上げ加工で使用していた他の鍛造用金型が不要となり製造コストを大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る鍛造金型構造が適用された鍛造用金型装置の一部省略縦断面図である。
【図2】前記鍛造用金型装置を構成する上部ダイスおよび下部ダイスの縦断面図である。
【図3】図2に示すA部の拡大縦断面図である。
【図4】変形例に係る上部ダイスおよび下部ダイスの縦断面図である。
【図5】パンチが降下して鍛造成形が終了した状態を示す動作説明図である。
【図6】鍛造成形された鍛造品のコーナー部分の説明に供される一部省略縦断面図である。
【図7】従来技術に係る鍛造用金型装置を構成する上部ダイスおよび下部ダイスの合わせ面の断面形状を示す一部省略縦断面図である。
【図8】図7に示される上部ダイスおよび下部ダイスによって鍛造成形された鍛造品のコーナー部分の説明に供される一部省略縦断面図である。
【図9】図9A乃至図9Dは、それぞれ鍛造用素材に対する鍛造成形の工程を示す説明図である。
【符号の説明】
10…鍛造用金型装置 12、14…ダイプレート
18…圧入リング 20…インサート部材
22…上部ダイス 24…下部ダイス
25…テーパ部 26…パンチ
27…環状凹部 29…合わせ平面部
30、32、34…リング体 31…湾曲面
33…段差部 78…鍛造用素材
Claims (4)
- キャビティに装填された鍛造用素材に対して加圧力を付与することにより、段付円筒形状の鍛造品を成形する金型の構造において、
積層して構成される第1型部材および第2型部材を備え、
前記鍛造品のコーナー部分に対応する前記第1型部材と前記第2型部材との結合部分で、前記第1型部材には、前記第2型部材の側に向かって拡径するテーパ部と、前記テーパ部に連続し直径が均一な内周面からなる環状凹部とが設けられ、
前記結合部分の前記第2型部材には、前記環状凹部に連続し且つ略直交する平坦な合わせ平面部と、前記合わせ平面部に連続する湾曲面とが設けられ、
前記環状凹部の軸線方向に沿った長さは、鍛造成形される鍛造品の底部の肉厚以下であることを特徴とする鍛造金型構造。 - 請求項1記載の鍛造金型構造において、
前記第2型部材には、前記合わせ平面部に連続し、鍛造用素材に対する鍛造成形時における第1型部材の伸張量を見込んだ段差部が形成されることを特徴とする鍛造金型構造。 - 請求項1または2記載の鍛造金型構造において、
前記鍛造品は、カップ部と軸部とを有する等速ジョイントの外輪部材からなり、コーナー部分は、カップ部から軸部に繋がる部分であることを特徴とする鍛造金型構造。 - 請求項1記載の鍛造金型構造において、
前記合わせ平面部は、キャビティを構成する部分と、前記第1型部材が当接する部分とが、連続の同一面を構成することを特徴とする鍛造金型構造。
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