JP2002175865A - スパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ

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JP2002175865A
JP2002175865A JP2001244462A JP2001244462A JP2002175865A JP 2002175865 A JP2002175865 A JP 2002175865A JP 2001244462 A JP2001244462 A JP 2001244462A JP 2001244462 A JP2001244462 A JP 2001244462A JP 2002175865 A JP2002175865 A JP 2002175865A
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倹一 西川
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01TSPARK GAPS; OVERVOLTAGE ARRESTERS USING SPARK GAPS; SPARKING PLUGS; CORONA DEVICES; GENERATING IONS TO BE INTRODUCED INTO NON-ENCLOSED GASES
    • H01T13/00Sparking plugs
    • H01T13/20Sparking plugs characterised by features of the electrodes or insulation
    • H01T13/38Selection of materials for insulation

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Pb成分の含有量が少なく、しかも機械的な
強度、特に耐衝撃性に優れた釉薬層を有したスパークプ
ラグを提供する。 【解決手段】 抵抗体入りスパークプラグ100は、ア
ルミナ系の絶縁体2の表面に形成された釉薬層2dが、
Pb成分の含有量がPbO換算にて1mol%以下とさ
れ、Si成分、B成分、Zn成分、Al成分、Ba及び
/又はSr成分を含有し、F成分の含有量が1mol%
以下である。また、Liを必須とするアルカリ金属成分
の1種又は2種以上を含有し、リン酸イオン、硫酸イオ
ン、弗化物イオン及び塩化物イオンの1種又は2種以上
のイオンを0.5〜10mol%の範囲にて含有し、か
つビッカース硬さHvが100以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスパークプラグに関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジン等の内燃機関の点火用に
使用されるスパークプラグは、一般に、接地電極が取り
付けられる主体金具の内側に、アルミナ系セラミック等
で構成された絶縁体が配置され、その絶縁体の内側に中
心電極が配置された構造を有する。絶縁体は主体金具の
後方側開口部から軸方向に突出し、その突出部の内側に
端子金具が配置され、これがガラスシール工程により形
成される導電性ガラスシール層や抵抗体等を介して中心
電極と接続される。そして、その端子金具を介して高圧
を印加することにより、接地電極と中心電極との間に形
成されたギャップに火花放電が生ずることとなる。
【0003】ところが、プラグ温度が高くなったり、周
囲の湿度が上昇したりするなどの条件が重なると、高圧
印加してもギャップに飛火せず、絶縁体突出部の表面を
回り込む形で端子金具と主体金具との間で放電する、い
わゆるフラッシュオーバ現象が生じることがある。その
ため、一般に使用されているほとんどのスパークプラグ
においては、主にこのフラッシュオーバ現象防止のため
に絶縁体表面に釉薬層が形成されている。他方、釉薬層
は、絶縁体表面を平滑化して汚染を防止したり、化学的
あるいは機械的強度を高めたりするといった役割も果た
す。
【0004】スパークプラグ用のアルミナ系絶縁体の場
合、従来は、ケイ酸塩ガラスに比較的多量のPbOを配
合して屈伏点を低下させた鉛ケイ酸塩ガラス系の釉薬を
使用してきたが、環境保護に対する関心が地球規模で高
まりつつある近年では、Pbを含有する釉薬は次第に敬
遠されるようになってきている。例えばスパークプラグ
が多量に使用される自動車業界においては、廃棄スパー
クプラグによる環境への影響を考慮して、Pb含有釉薬
を使用したスパークプラグの使用は将来全廃しようとの
検討も進められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うなPb含有釉薬の代替品として検討されている硼珪酸
ガラス系あるいはアルカリ硼珪酸ガラス系の無鉛釉薬
は、機械的強度が不足しやすい傾向にあり、例えば、ス
パークプラグの製造工程において、釉薬層を形成後の絶
縁体を金網に並べて搬送する際等に、そのハンドリング
に伴い生ずる衝撃等により、釉薬層にチッピングや剥離
が生じやすい問題がある。
【0006】本発明の課題は、Pb成分の含有量が少な
く、しかも機械的な強度、特に耐衝撃性に優れた釉薬層
を有したスパークプラグを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために本発明のスパークプラグは、中心電
極と主体金具との間にアルミナ系セラミックからなる絶
縁体を配したスパークプラグにおいて、その絶縁体の表
面の少なくとも一部を覆う形態で釉薬層が形成され、該
釉薬層が、Pb成分の含有量がPbO換算にて1mol
%以下とされ、かつビッカース硬さHvが100以上で
あることを特徴とする。
【0008】上記本発明のスパークプラグにおいては、
前述の環境問題への適合性を図るため、使用する釉薬
が、Pb成分の含有量がPbO換算にて1.0mol%
以下とすることを前提とする(以下、このレベルにPb
成分含有量が低減された釉薬を無鉛釉薬と称する)。ま
た、釉薬層中にPb成分が価数の低いイオン(例えばP
2+)の形で含有されていると、コロナ放電等により
これが価数の高いイオン(例えばPb3+)に酸化さ
れ、釉薬層の絶縁性が低下して耐フラッシュオーバ性が
損なわれる場合もあるので、Pb含有量を上記のように
削減することはこの観点においても好都合である。な
お、Pbの含有量は望ましくは0.1mol%以下、よ
り望ましくは実質的に含有しない(ただし、釉薬原料等
から不可避的に混入するものを除く)のがよい。
【0009】また、本発明のスパークプラグにおいて
は、釉薬層のビッカース硬さHvが100以上とされて
いる。本発明者らが検討したところ、釉薬層のビッカー
ス硬さHvが上記範囲であると、機械的強度、特に耐衝
撃性が向上することが判明した。これにより、金網に並
べたりシントロン等で搬送したりする際、ハンドリング
時にスパークプラグが受ける振動や衝撃により、釉薬層
が欠けてしまったり、剥離してしまったりする、いわゆ
るチッピングの不具合を効果的に防止ないし抑制でき
る。このため、搬送時に外観不良が生じたり、汚れたり
しにくくなる。より好ましくは、ビッカース硬さHvは
150以上である。なお、本明細書においては、ビッカ
ース硬さHvの試験方法については、JIS:Z224
4に規定された方法を用いるものとする。ここで、ビッ
カース硬さ試験に用いる試験機は、JIS:B7725
に適合するものとし、試験荷重は2Nとする。
【0010】特に、前記釉薬層は、Si成分をSiO
に酸化物換算した値にて15〜60mol%、B成分を
に酸化物換算した値にて22〜50mol%、
Zn成分をZnOに酸化物換算した値にて10〜30m
ol%、Ba及び/又はSr成分を、BaOないしSr
Oに酸化物換算した値にて合計で0.5〜35mol%
含有し、F成分の含有量が1mol%以下であり、Al
成分をAlに酸化物換算した値にて0.1〜5m
ol%含有し、アルカリ金属成分として、NaはNa
O、KはKO、LiはLiOに酸化物換算した値に
て、Liを必須とする1種又は2種以上を合計で1.1
〜10mol%の範囲にて含有し、かつ、Li成分の含
有量範囲がLiOに酸化物換算した値にて1.1〜6
mol%とされていることが好ましい。
【0011】本発明者らが検討したところ、釉薬層中の
Pb成分の含有量が小さくなると、釉薬層の機械的強度、
特に耐衝撃性が相対的に低下しやすいことが判明した。
そこで、Si成分、B成分、Zn成分、Ba及び/又は
Sr成分、Al成分、さらにLi成分を必須とするアル
カリ金属成分を上記の範囲にて含有させることにより、
比較的低温で釉焼可能であって絶縁性に優れ、かつ平滑
な釉焼面を得やすく釉薬層付き絶縁体の機械的な強度、
特に耐衝撃性を大幅に向上できることを見出した。これ
により、金網に並べたりシントロン等で搬送したりする
際、ハンドリング時にスパークプラグが受ける振動や衝
撃により、釉薬層が欠けてしまったり、剥離してしまっ
たり、いわゆるチッピングの不具合を効果的に防止ない
し抑制できる。このため、搬送時に外観不良が生じた
り、汚れたりしにくくなる。
【0012】本発明における釉薬層は酸化物を主体に構
成できる。以下、釉薬層の各構成成分の、含有量範囲の
臨界的意味について説明する。Si成分は、ガラス質の
釉薬層の骨格形成成分であり、また、釉薬層の絶縁性確
保のためにも欠かすことのできない成分である。その含
有量が15mol%未満になると、十分な絶縁性能の確
保が困難となる場合がある。また、Si成分が60mo
l%を超えると、釉焼が困難となる場合がある。なお、
該Si成分含有量は、より望ましくは25〜40mol
%の範囲で設定するのがよい。
【0013】また、B成分も、Si成分とともにガラス
質の釉薬層の、骨格形成成分の主体となるものであり、
かつSi成分と組み合わされることによって釉薬屈伏点
を低下させ、釉焼時の流れ性を向上させて平滑な釉焼面
を得やすくする働きもなす。ただし、B成分含有量が2
2mol%未満になると、釉薬の屈伏点が上昇し、釉焼
が困難となる場合がある。他方、B成分含有量が50m
ol%を超えると、釉チヂレ等の外観不良が引き起こさ
れやすくなる。あるいは、釉薬スラリーの耐水性が損な
われる場合がある。また、他の成分の含有量によって
は、釉薬層の失透、絶縁性の低下あるいは下地との熱膨
張係数不適合といった問題についても懸念が生ずる場合
がある。なお、該B成分含有量は、望ましくは25〜3
5mol%の範囲で設定するのがよい。
【0014】Zn成分含有量は、Pb成分に代わって釉
焼時の流動性を高め、平滑な釉焼面を得やすくする働き
を成す。また、一定量以上に配合することで、アルミナ
系セラミックからなる絶縁体下地と釉薬層との熱膨張係
数の差を縮小し、釉薬層への欠陥発生を防止するととも
に、引張残留応力の残留レベルを抑制して、釉薬層付き絶
縁体の強度、特に耐衝撃性を高める働きをなす。ただし、
その含有量が10mol%未満になると、釉薬層の熱膨
張係数が大きくなりすぎ、釉薬層に貫入等の欠陥が生じ
やすくなる場合がある。また、Zn成分が不足すれば釉
焼が困難となる場合がある。他方、Zn成分の含有量が
30mol%を超えると、失透により釉薬層に白濁等を
生じやすくなる。Zn成分の含有量は、より望ましくは
10〜20mol%の範囲にて調整されているのがよ
い。
【0015】Ba成分ないしSr成分は、釉薬層の絶縁
性向上に寄与するほか、強度の向上にも効果がある。そ
の合計含有量が0.5mol%未満になると、釉薬の絶
縁性が低下し、耐フラッシュオーバー性が損なわれるこ
とにつながる場合がある。他方、合計含有量が35mo
l%を超えると、釉薬層の熱膨張係数が高くなりすぎ、
釉薬層に貫入等の欠陥が生じやすくなるほか、高温から
の冷却時に釉薬層に引張応力が残留しやすくなり、釉薬
層付き絶縁体の強度、例えば耐衝撃性が損なわれやすく
なる。また、釉薬層が失透して白濁等も生じやすくな
る。Ba及びSr成分の合計含有量は、絶縁性向上及び
熱膨張係数調整の観点から、望ましくは0.5〜20m
ol%の範囲で設定するのがよく、特に前述のSi成分
の範囲を25〜40mol%とした場合に効果が大き
い。なお、Ba成分とSr成分とは、いずれか一方を単
独で含有させてもよいし、両者を混合して含有してもよ
い。ただし、原料コスト的な面においては、より安価な
Ba成分の使用が有利である。
【0016】次に、Al成分は釉焼可能温度域を広げ、
釉焼時の釉薬の流動性を安定化させるとともに、釉薬層
の強度を高め、釉薬層付き絶縁体の耐衝撃性を大幅に高
める働きをなす。ただし、その含有量が前述の酸化物換
算にて0.1mol%未満では効果に乏しく、5mol
%を超えると得られる釉薬層が不透明のつや消し状態
(いわゆるマット状)となり、スパークプラグの外観を
損ねるばかりでなく、下地に形成されているマーキング
が読み取れなくなるなど、失透時と同じ不具合を生ずる
結果にもつながる。Al成分の含有量は、望ましくは1
〜3mol%とするのがよい。
【0017】次に、釉薬層中のアルカリ金属成分は、主
に釉薬層の屈伏点を下げて釉焼時の流動性を高める目的
にて使用される。その合計含有量は、1.1〜10mo
l%とされる。1.1mol%未満では釉薬の屈伏点が
上昇し、釉焼が不能となる場合がある。また、10mo
l%を超えると、釉薬層の絶縁性が低下し、耐フラッシ
ュオーバー性が損なわれる場合がある。アルカリ金属成
分の含有量は、望ましくは5〜8mol%とするのがよ
い。また、アルカリ金属成分に関しては1種類のアルカ
リ金属成分を単独添加するのではなく、Na、K、Li
から選ばれる2種類以上を共添加することが釉薬層の絶
縁性低下抑制にさらに有効である。その結果、絶縁性を
低下させずにアルカリ金属成分の含有量を増大させるこ
とができ、結果として釉焼時の流動性確保及び耐フラッ
シュオーバ性の確保という2つの目的を同時に達成する
ことが可能となる(いわゆる、アルカリ共添加効果)。
なお、アルカリ金属成分の共添加効果による絶縁性向上
効果をさらに高めるため、アルカリ金属成分の合計含有
量が過剰となって導電性が却って損なわれることになら
ない範囲にて、K、Na等の第三成分以降の、他のアル
カリ金属成分を配合することも可能であり、特に望まし
くは、Na、K及びLiの3つの成分を全て含有させる
のがよい
【0018】また、上記アルカリ金属成分のうち、Li
成分は、釉焼時の流動性改善効果が特に高く、平滑で欠
陥の少ない釉焼面を得る上で有効であるばかりでなく、
釉薬層の熱膨張係数の上昇抑制に著しい効果を有し、ひ
いては釉薬層の強度、例えば耐衝撃性を向上させる効果
を奏する。ただし、Li成分の前記酸化物換算した含有
量が1.1mol%未満では効果に乏しく、6mol%
を超えると釉薬層の絶縁性が十分に確保されなくなる恐
れがある。Li成分の含有量は、より望ましくは1.5
〜4mol%となっているのがよい。
【0019】特に、前記釉薬層は、リン酸イオン、硫酸
イオン、弗化物イオン及び塩化物イオンの1種又は2種
以上のイオンを含有することが好ましい。これらのイオ
ンは、例えば、釉薬層を構成する金属カチオン成分との
塩の形態で配合することにより添加することができ、釉
薬層の強度、例えば耐衝撃性のさらなる向上に寄与す
る。さらに、硫酸イオンは、釉薬層中の泡残り抑制にも
効果があり、これも釉薬層の強度向上に寄与している。
すなわち、釉薬中に気泡が生じると、破壊起点となりや
すく、釉薬層の強度、例えば耐衝撃性が損なわれること
につながりやすいのである。
【0020】より好ましくは、リン酸イオン、硫酸イオ
ン、弗化物イオン及び塩化物イオンの1種又は2種以上
のイオン(アニオン)を0.5〜10mol%の範囲に
て含有するものとする。上記イオンが0.5mol%よ
りも少ないと、強度向上効果に乏しい。また上記イオン
が10mol%よりも多くても、逆に強度が低下する恐
れがある。特に、上記イオンは、0.5〜5mol%の
範囲で含有されていると、より著しい効果を示す。
【0021】特に、硫酸イオンは、上記イオンのうち
で、最も強度向上効果が高く、硫酸イオンを0.5〜1
0mol%の範囲にて含有することが最も好ましい。硫
酸イオンは、釉焼時に釉薬層の表面近くに濃化しやす
く、少量でも破壊の起点を与えやすい釉薬層表層部分を
優先的に強化する性質を有しているのではないかと考え
ている。
【0022】なお、上記のアニオンは、釉薬層の各カチ
オン成分源の少なくとも一部を、そのカチオンの当該ア
ニオンとの化合物(あるいは塩)の形で配合することに
より添加が可能である。例えばSi、アリカリ金属、ア
ルカリ土類金属あるいは希土類金属のリン酸塩、硫酸
塩、弗化物及び塩化物の形で添加することができる。た
だし、本発明においては各カチオンの含有率は、一律に
酸化物に換算して表示するものとする。
【0023】なお、弗化物イオンを使用する場合、釉焼
時にF成分を含有したガスが発生し、気泡残留が多少起
こりやすくなる場合があること、また、発生したガスが
釉焼炉の炉壁等を構成する耐火物と反応する場合がある
ことから、こうした不具合が生じないように添加量を調
整すべきである。他方、F成分は、アリカリ金属成分と
の共添加を図ることで、アルカリ金属成分の含有率を低
く抑えつつも、釉薬の屈伏点を低下させ釉焼時の流動性
を改善できる場合がある。
【0024】また、釉薬原料粉末として炭酸塩や硝酸塩
を使用することもできる。これらの塩を使用することに
より、得られる釉薬スラリーの粘性が高められ、スラリ
ー中に懸濁されている釉薬粉末の沈降が防止ないし抑制
されるので、スラリーの安定性を高めて釉薬の塗布を容
易にすることができる。
【0025】なお、前記した釉薬層のビッカース硬さ
は、Hv250以下とすることがより望ましい。釉薬層
のビッカース硬さがHv250を超えると、釉薬を構成
するガラスが過度に硬くなりすぎ、釉薬層が脆弱化して
チッピング等を却って生じやすくなる場合がある。ま
た、過度に硬質の釉薬層は、釉焼時の泡抜けも悪く、気
泡寸法が大きくなりやすい傾向にある。このような寸法
の大きい気泡の形成は、スパークプラグの絶縁体外観を
損ねるばかりでなく、下地に形成されているマーキング
が読み取れなくなるなどの不具合にもつながる。また、
気泡の形成部分は、釉薬層厚さも小さくならざるを得な
いから、該部分でのチッピング等が一層生じやすくな
る。
【0026】なお、本明細書において、釉薬層に含まれ
る金属カチオン成分は、上記イオンの存在如何にかかわ
らず、全て酸化物にて存在するものと仮定して、その含
有量を算出するものとする。
【0027】以下、釉薬層のより望ましい組成について
説明する。釉薬層には、Ti、Zr及びHfの1種又は
2種以上の成分を、ZrはZrO に、TiはTiO
に、HfはHfOにそれぞれ酸化物換算した値にて合
計で0.5〜5mol%の範囲で含有させることができ
る。Ti、Zr及びHfの1種又は2種以上の成分を含
有させることにより、耐水性が改善される。Zr成分あ
るいはHf成分に関しては、釉薬スラリーの耐水性改善
効果がTi成分に比して一層顕著である。なお、「耐水
性が良好」とは、例えば粉末状の釉薬原料を水等の溶媒
とともに混合し、釉薬スラリーの形で長時間放置した場
合に、成分溶出による釉薬スラリーの粘性が高くなる不
具合を生じにくくなるということを意味する。その結
果、釉薬スラリーを絶縁体に塗布する場合に、その塗布
厚さを適正化することが容易となり、また厚さのばらつ
きも小さくなる。その結果、釉焼により形成される釉薬
層の厚さの適正化とばらつき低減とを効果的に図ること
ができる。なお、上記成分の合計含有量が0.5mol
%未満では効果に乏しく、5mol%を超えると釉薬層
が失透しやすくなる。
【0028】さらに、釉薬層には、Mo、W、Ni、C
o、Fe及びMnの1種又は2種以上の成分(以下、流
動性改善遷移金属成分という)を、MoはMoO、W
はWO、NiはNi、CoはCo、Fe
はFe、MnはMnO にそれぞれ酸化物換算し
た値にて合計で0.5〜5mol%の範囲にて含有させ
ることができる。Mo、W、Ni、Co、Fe及びMn
の1種又は2種以上の成分を、前述の含有量範囲にて添
加することにより、釉焼時の流動性を確保でき、ひいて
は比較的低温で釉焼可能であって絶縁性に優れ、また、
平滑な釉焼面を有する釉薬層が得られることから、釉薬
層付き絶縁体の耐衝撃性を一層高めることができる。
【0029】酸化物換算した合計含有量が0.5mol
%未満では、釉焼時の流動性を改善して平滑な釉薬層を
得やすくする効果が必ずしも十分達成できなくなる場合
がある。他方、5mol%を超えると、釉薬の屈伏点
の、過度の上昇により釉焼が困難あるいは不能となる場
合がある。
【0030】また、流動性改善遷移金属成分の含有量が
過剰となった場合の問題点として、釉薬層に意図せざる
着色を生ずる場合があることが挙げられる。例えば、絶
縁体の外面には、製造者等を特定するための文字や図形
あるいは品番などの視覚情報を、色釉を用いて印刷する
ことが行われているが、釉薬層の着色があまり強くなり
すぎると、印刷された視覚情報の読み取りが困難となる
場合がある。また、別の現実的な問題としては、釉薬組
成変更に由来する色調変化が、購買者側では「使い慣れ
た外観色の理由なき変更」に映じ、その抵抗感から必ず
しもスムーズに製品が受け入れられない、といった不具
合も生じうる。
【0031】なお、釉薬層の下地を形成する絶縁体は、
本発明においては白色を呈するアルミナ系セラミックに
て構成されるが、着色の防止ないし抑制の観点において
は、絶縁体上に形成された状態にて観察した釉薬層の外
観色調が、彩度Csが0〜6、明度Vsが7.5〜10
となるように組成調整すること、例えば上記の遷移金属
成分の含有量を調整することが望ましい。彩度が6を超
えると、肉眼による色相識別性が顕著となり、また、明
度が7.5より小さくなると、灰色あるいは黒っぽい色
調が識別され易くなる。いずれも、外観上、「明らかに
色がついている」印象がぬぐいきれなくなる問題を生ず
る。なお、彩度Csは望ましくは0〜2、よりに望まし
くは0〜1とするのがよく、彩度Vsは望ましくは8〜
10、より望ましくは9〜10とするのがよい。本明細
書においては、明度VS及び彩度CSの測定方法について
は、JIS−Z8722「色の測定方法」において、
「4.分光測色方法」の「4.3反射物体の測定方法」
に規定された方法を用いるものとする。ただし、簡略な
方法として、JIS−Z8721に準拠して作成された
標準色票との目視比較により、明度及び彩度を知ること
もできる。
【0032】釉焼時の流動性改善効果が特に顕著である
のはMo、Fe、次いでWであり、例えば必須遷移金属
成分の全てをMo、FeあるいはWとすることも可能で
ある。また、釉焼時の流動性改善効果をより高める上で
は、流動性改善遷移金属成分の50mol%以上をMo
とすることが望ましい。
【0033】また、釉薬層には、CaOに酸化物換算し
た値にて1〜10mol%のCa成分、及び、及びMg
Oに酸化物換算した値にて0.1〜10mol%のMg
成分の1種又は2種以上を合計で1〜12mol%含有
させることができる。これらの成分は、釉薬層の絶縁性
向上に寄与する。特に、Ca成分は、釉薬層の絶縁性改
善を図る上で、Ba成分あるいはZn成分に次いで有効
である。添加量が上記の各下限値未満では効果に乏し
く、また、個々の成分の上限値又は合計含有量の上限値
を超えた場合には、屈伏点の過度の上昇により釉焼が困
難あるいは不能となる場合がある。
【0034】また、釉薬層には、Bi、Sn、Sb、
P、Cu、Ce及びCrの1種又は2種以上の補助成分
を、BiはBiに、SnはSnOに、SbはS
に、PはPに、CuはCuOに、Ceは
CeOに、CrはCrにそれぞれ酸化物換算し
た値にて合計で5mol%以下の範囲で含有させること
ができる。これらの成分は、各種目的に応じて積極的に
添加することもできるし、釉薬原料(あるいは、後述す
る釉薬スラリーの調製時に配合する粘土鉱物)や、釉薬
フリット製造のための溶融工程における耐火材等からの
不純物(あるいはコンタミ)として不可避に混入する場
合もある。いずれも釉焼時の流動性を高め、釉薬層中の
気泡形成を抑制したり、あるいは釉焼面の付着物を流動
時に包み込んで、異常突起となったりすることを防ぐ効
果を有する。BiとSbは特に効果が顕著である。
【0035】なお、本発明のスパークプラグの構成にお
いては、釉薬中における前記各成分(リン酸イオン、硫
酸イオン、弗化物イオン及び塩化物イオンを除く)は多
くの場合酸化物の形で含有されることとなるが、非晶質
のガラス相を形成するなどの要因により、酸化物による
存在形態を直接は同定できないことも多い。この場合
は、釉薬層中における、前記酸化物換算した値での元素
成分の含有量が前述の範囲のものとなっていれば、前述
の範囲に属するものとみなす。
【0036】ここで、絶縁体上に形成された釉薬層の各
成分の含有量は、例えばEPMA(電子プローブ微小分
析)やXPS(X線光電子分光)等の公知の微小分析方
法を用いて同定できる。例えばEPMAを用いる場合、
特性X線の測定には、波長分散方式とエネルギー分散方
式のいずれを用いてもよい。また、絶縁体から釉薬層を
剥離し、これを化学分析あるいはガス分析することによ
り組成同定する方法もある。
【0037】さらに、絶縁体に軸線方向中間位置におい
てその外周面に周方向の突出部を形成し、該軸線方向に
おいて中心電極の先端に向かう側を前方側として、突出
部に対し後方側に隣接する絶縁体本体部の基端部外周面
が円筒面状に形成され、その基端部外周面を覆う形で釉
薬層を膜厚10〜50μmの範囲内にて形成した構成を
採用することができる。
【0038】釉薬層の厚さを上記のように調整すること
によって、釉薬層付き絶縁体の耐衝撃性をさらに向上さ
せることができる。絶縁体の当該部位における釉薬層の
厚さが10μm未満になると、耐フラッシュオーバ性が
不十分となる不具合のほか、釉薬層が薄くなりすぎてそ
の絶対強度あるいは絶縁体表面の欠陥被覆効果が不十分
となり、耐衝撃性が不足する場合がある。他方、釉薬層
の厚さが50μmを超えると、上記構成の無鉛釉薬層で
は絶縁性の確保が困難となり、同様に耐フラッシュオー
バ性低下につながるほか、釉薬層の熱膨張率と厚さとの
兼ね合いで決まる釉焼後の残留応力量が大きくなりすぎ
て、耐衝撃性が却って不足する場合がある。釉薬層の厚
さはより望ましくは10〜30μmとするのがよい。
【0039】また、自動車エンジン等では、ゴムキャッ
プを用いてスパークプラグをエンジン電装系に取り付け
る方式が一般に広く採用されているが、耐フラッシュオ
ーバ性を向上させるためには、絶縁体とゴムキャップ内
面との密着性が重要である。本発明者らが鋭意検討した
ところ、硼珪酸ガラス系あるいはアルカリ硼珪酸ガラス
系の無鉛釉薬においては、平滑な釉焼面を得る上で、釉
薬層の膜厚調整が重要であることがわかった。そして、
上記絶縁体本体部の基端部外周面は、特にゴムキャップ
との密着性が求められることから、膜厚調整を適切に行
なわなければ、耐フラッシュオーバ性等を十分に確保で
きなくなることが判明した。そこで、本発明のスパーク
プラグにおいては、上記構成の無鉛釉薬層を有する絶縁
体において、本体部の基端部外周面を覆う釉薬層の膜厚
を上記数値範囲に設定することにより、釉薬層の絶縁性
を低下させることなく釉焼面とゴムキャップとの密着性
が高められ、ひいては耐フラッシュオーバ性を向上させ
ることができる。
【0040】また、上記釉薬層を有する本発明のスパー
クプラグは、絶縁体の貫通孔内において、中心電極と一
体に、又は導電性結合層を間に挟んで中心電極と別体に
設けられた軸状の端子金具部を備えたものとして構成で
きる。この場合、該スパークプラグ全体を約500℃に
保持し、絶縁体を介して端子金具部と主体金具との間で
通電することにより絶縁抵抗値を測定することができ
る。そして、高温での絶縁耐久性を確保するために、こ
の絶縁抵抗値は200MΩ以上が確保されていること
が、フラッシュオーバ等の発生を防止する上で望まし
い。
【0041】絶縁抵抗値は具体的には、スパークプラグ
100の端子金具13側に直流定電圧電源(例えば電源
電圧1000V)を接続するとともに主体金具1側を接
地し、加熱炉中にスパークプラグ100を配置して50
0℃に加熱した状態で通電を行なう。例えば、電流測定
用抵抗(抵抗値Rm)を用いて通電電流値Imを測定する
場合を考えると、通電電圧をVSとして、測定すべき絶
縁抵抗値Rxは、(VS/Im)−Rmにて求めることがで
きる。通電電流値Imは、例えば電流測定用抵抗の両端
電圧差を増幅する差動増幅器の出力により測定可能であ
る。
【0042】また、絶縁体は、Al成分をAl
酸化物換算した値にて85〜98mol%含有するアル
ミナ系絶縁材料で構成することができる。また、釉薬層
は、20〜350℃の温度範囲における釉薬層の平均の
熱膨張係数が、50×10 /℃〜85×10−7
℃の範囲のものとなっていることが望ましい。熱膨張係
数がこの下限値より小さくなっていると、釉薬層に亀裂
や釉飛び等の欠陥が生じやすくなる場合がある。他方、
熱膨張係数がこの上限値より大きくなっていると、釉薬
層に等の欠陥が生じやすくなる。なお、上記熱膨張係数
は、より望ましくは60×10−7/℃〜80×10
−7/℃の範囲のものとなっているのがよい。
【0043】釉薬層の熱膨張係数は、釉薬層と略同一組
成となるように原料を配合・溶解して得たガラス質の釉
薬バルク体から試料を切り出し、これを用いて公知のデ
ィラトメータ法等により測定した値により推定すること
ができる。また、絶縁体上の釉薬層の熱膨張係数は、例
えばレーザ干渉計や原子間力顕微鏡等を用いて測定する
ことが可能である。
【0044】次に、上記本発明のスパークプラグは、以
下のような製造方法により製造することができる。すな
わち、該方法は、釉薬の各成分源となる成分源粉末を所
期の組成が得られるように配合して混合後、その混合物
を1000〜1500℃に加熱して溶融させ、その溶融
物を急冷・ガラス化し粉砕した釉薬粉末を調製する釉薬
粉末調製工程と、その釉薬粉末を絶縁体の表面に堆積さ
せて釉薬粉末堆積層を形成する釉薬粉末堆積工程と、そ
の絶縁体を加熱することにより、釉薬粉末堆積層を絶縁
体表面に焼き付けて釉薬層となす釉焼工程と、を含む。
【0045】なお、リン酸イオン、硫酸イオン、弗化物
イオン、塩化物イオンを除く各成分の成分源粉末として
は、それら成分の酸化物(複合酸化物でもよい)の他、
水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の各種無機系材料粉末を使
用できる。これら無機系材料粉末は、いずれも加熱・溶
融により酸化物に転化できるものを使用する必要があ
る。ここで炭酸塩及び硝酸塩を使用すると、沈降防止効
果により釉薬スラリーを安定化し、釉薬の塗布を容易に
することができる。また、リン酸イオン、硫酸イオン、
弗化物イオン及び塩化物イオンの成分源粉末としては、
それぞれリン酸塩、硫酸塩、弗化物及び塩化物を使用す
る。急冷は、溶融物を水中に投じる方法の他、溶融物を
冷却ロール表面に噴射してフレーク状の急冷凝固物を得
る方法も採用できる。
【0046】釉薬粉末は、水又は溶媒中に分散させるこ
とにより釉薬スラリーとして使用可能であり、例えば、
釉薬スラリーを絶縁体表面に塗布し乾燥することで、釉
薬粉末堆積層を該釉薬スラリーの塗布層として形成でき
る。なお、釉薬スラリーを絶縁体表面に塗布する方法と
しては、釉薬スラリーを噴霧ノズルから絶縁体表面に噴
霧する方法を用いると、均一な厚さの釉薬粉末堆積層を
簡単に形成でき、その塗布厚さの調整も容易である。
【0047】釉薬スラリーには、形成した釉薬粉末堆積
層の形状保持力を高める目的で、適量の粘土鉱物や有機
バインダを配合できる。粘土鉱物は、含水アルミノケイ
酸塩を主体に構成されるものを使用でき、例えばアロフ
ェン、イモゴライト、ヒシンゲライト、スメクタイト、
カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、イラ
イト、バーミキュライト、ドロマイト等(あるいはそれ
らの合成物)の1種又は2種以上を主体とするものを使
用できる。また、含有される酸化物系成分の観点におい
ては、SiO及びAlに加え、Fe、T
iO、CaO、MgO、NaO及びKO等の1種
又は2種以上を主に含有するものを使用することができ
る。
【0048】本発明のスパークプラグは、絶縁体の軸方
向に形成された貫通孔に対し、その一方の端部側に端子
金具が固定され、同じく他方の端部側に中心電極が固定
されるとともに、該貫通孔内において端子金具と中心電
極との間に、それらを電気的に接合するための、主にガ
ラスと導電性材料との混合物からなる焼結導電材料部
(例えば導電性ガラスシール層や抵抗体)が形成された
ものとして構成できる。これを製造する場合、次のよう
な工程を含む方法を採用できる。 ・組立体製造工程:絶縁体の貫通孔に対し、その一方の
端部側に端子金具が配置され、同じく他方の端部側に中
心電極が配置されるとともに、該貫通孔内において端子
金具と中心電極との間に、ガラス粉末と導電性材料粉末
とを主体とする焼結導電材料原料粉末の充填層を形成し
た組立体を製造する。 ・釉焼工程:絶縁体の表面に釉薬粉末堆積層を形成した
状態の組立体を、800〜950℃の温度範囲に加熱し
て、釉薬粉末堆積層を絶縁体表面に焼き付けて釉薬層と
なす工程と、充填層中のガラス粉末を軟化させる工程と
を同時に行なう。 ・プレス工程:その加熱された組立体において、貫通孔
内にて中心電極と端子金具とを相対的に接近させること
により、充填層をそれら中心電極と端子金具との間でプ
レスして焼結導電材料部となす。
【0049】この場合、焼結導電材料部により端子金具
と中心電極とが電気的に接合されるとともに、絶縁体貫
通孔の内面とそれら端子金具及び中心電極との間が封着
(シール)される。従って、上記釉焼工程がガラスシー
ル工程を形成することになる。該方法では、ガラスシー
ル工程と釉焼工程とが同時になされるので効率的であ
る。また、前述の釉薬を用いるため釉焼温度を800〜
950℃と低くできるので、中心電極や端子金具の酸化
による製造不良が発生しにくく、スパークプラグの製品
歩留まりが向上する。ただし、釉焼工程を先に行ってお
いて、その後にガラスシール工程を行なうようにするこ
ともできる。
【0050】釉薬層の屈伏点は、例えば520〜700
℃の範囲で調整するのがよい。屈伏点が700℃を超え
ると、ガラスシール工程に釉焼工程を兼用させる場合に
950℃以上の釉焼温度が必要となり、中心電極や端子
金具の酸化が進みやすくなる。他方、屈伏点が520℃
未満になると、釉焼温度も800℃未満の低温に設定す
る必要が生ずる。この場合、良好なガラスシール状態が
得られるよう、焼結導電材料部に使用するガラスも屈伏
点の低いものを使用しなければならなくなる。その結
果、完成したスパークプラグが比較的高温の環境下で長
時間使用された場合に、焼結導電材料部中のガラスが変
質しやすくなるため、例えば焼結導電材料部が抵抗体を
含む場合には、その負荷寿命特性などの性能の劣化につ
ながる場合がある。なお、釉薬層の屈伏点は、望ましく
は520〜620℃の範囲で調整するのがよい。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に示すいくつかの実施例を参照して説明する。図1は、
本発明の第一の構成に係るスパークプラグの一実施例を
示す。該スパークプラグ100は、筒状の主体金具1、
先端部21が突出するようにその主体金具1の内側に嵌
め込まれた絶縁体2、先端に形成された発火部31を突
出させた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極
3、及び主体金具1に一端が溶接等により結合されると
ともに他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電
極3の先端部と対向するように配置された接地電極4等
を備えている。また、接地電極4には上記発火部31に
対向する発火部32が形成されており、それら発火部3
1と、対向する発火部32との間の隙間が火花放電ギャ
ップgとされている。
【0052】主体金具1は、低炭素鋼等の金属により円
筒状に形成されており、スパークプラグ100のハウジ
ングを構成するとともに、その外周面には、プラグ10
0を図示しないエンジンブロックに取り付けるためのね
じ部7が形成されている。なお、1eは、主体金具1を
取り付ける際に、スパナやレンチ等の工具を係合させる
工具係合部であり、六角状の軸断面形状を有している。
【0053】また、絶縁体2の軸方向には貫通孔6が形
成されており、その一方の端部側に端子金具13が固定
され、同じく他方の端部側に中心電極3が固定されてい
る。また、該貫通孔6内において端子金具13と中心電
極3との間に抵抗体15が配置されている。この抵抗体
15の両端部は、導電性ガラスシール層16,17を介
して中心電極3と端子金具13とにそれぞれ電気的に接
続されている。これら抵抗体15と導電性ガラスシール
層16,17とが焼結導電材料部を構成している。な
お、抵抗体15は、ガラス粉末と導電材料粉末(及び必
要に応じてガラス以外のセラミック粉末)との混合粉末
を原料とし、後述のガラスシール工程においてこれを加
熱・プレスすることにより得られる抵抗体組成物で構成
される。なお、抵抗体15を省略して、一層の導電性ガ
ラスシール層により端子金具13と中心電極3とを一体
化した構成としてもよい。
【0054】絶縁体2は、内部に自身の軸方向に沿って
中心電極3を嵌め込むための貫通孔6を有し、全体が以
下の絶縁材料により構成されている。すなわち、該絶縁
材料はアルミナを主体に構成され、Al成分を、Al
に換算した値にて85〜98mol%(望ましくは
90〜98mol%)含有するアルミナ系セラミック焼
結体として構成される。
【0055】Al以外の成分の具体的な組成としては下
記のようなものを例示できる。 Si成分:SiO換算値で1.50〜5.00mol
%; Ca成分:CaO換算値で1.20〜4.00mol
%; Mg成分:MgO換算値で0.05〜0.17mol
%; Ba成分:BaO換算値で0.15〜0.50mol
%; B成分:B換算値で0.15〜0.50mol
%。
【0056】絶縁体2の軸方向中間には、周方向外向き
に突出する突出部2eが例えばフランジ状に形成されて
いる。そして、絶縁体2には、中心電極3(図1)の先
端に向かう側を前方側として、該突出部2eよりも後方
側がこれよりも細径に形成された本体部2bとされてい
る。一方、突出部2eの前方側にはこれよりも細径の第
一軸部2gと、その第一軸部2gよりもさらに細径の第
二軸部2iがこの順序で形成されている。なお、本体部
2bの外周面後端部にはコルゲーション部2cが形成さ
れている。また、第一軸部2gの外周面は略円筒状とさ
れ、第二軸部2iの外周面は先端に向かうほど縮径する
略円錐面状とされている。
【0057】他方、中心電極3の軸断面径は抵抗体15
の軸断面径よりも小さく設定されている。そして、絶縁
体2の貫通孔6は、中心電極3を挿通させる略円筒状の
第一部分6aと、その第一部分6aの後方側(図面上方
側)においてこれよりも大径に形成される略円筒状の第
二部分6bとを有する。端子金具13と抵抗体15とは
第二部分6b内に収容され、中心電極3は第一部分6a
内に挿通される。中心電極3の後端部には、その外周面
から外向きに突出して電極固定用凸部3cが形成されて
いる。そして、上記貫通孔6の第一部分6aと第二部分
6bとは、図2(a)の第一軸部2g内において互いに
接続しており、その接続位置には、中心電極3の電極固
定用凸部3cを受けるための凸部受け面6cがテーパ面
あるいはアール面状に形成されている。
【0058】また、第一軸部2gと第二軸部2iとの接
続部2hの外周面は段付面とされ、これが主体金具1の
内面に形成された主体金具側係合部としての凸条部1c
とリング状の板パッキン63を介して係合することによ
り、軸方向の抜止めがなされている。他方、主体金具1
の後方側開口部内面と、絶縁体2の外面との間には、フ
ランジ状の突出部2eの後方側周縁と係合するリング状
の線パッキン62が配置され、そのさらに後方側にはタ
ルク等の充填層61を介してリング状の線パッキン60
が配置されている。そして、絶縁体2を主体金具1に向
けて前方側に押し込み、その状態で主体金具1の開口縁
をパッキン60に向けて内側に加締めることにより加締
め部1dが形成され、主体金具1が絶縁体2に対して固
定されている。
【0059】図2(a)及び図2(b)は絶縁体2のい
くつかの例を示すものである。その各部の寸法を以下に
例示する。 ・全長L1:30〜75mm。 ・第一軸部2gの長さL2:0〜30mm(ただし、突
出部2eとの接続部2fを含まず、第二軸部2iとの接
続部2hを含む)。 ・第二軸部2iの長さL3:2〜27mm。 ・本体部2bの外径D1:9〜13mm。 ・突出部2eの外径D2:11〜16mm。 ・第一軸部2gの外径D3:5〜11mm。 ・第二軸部2iの基端部外径D4:3〜8mm。 ・第二軸部2iの先端部外径D5(ただし、先端面外周
縁にアールないし面取りが施される場合は、中心軸線O
を含む断面において、該アール部ないし面取部の基端位
置における外径を指す):2.5〜7mm。 ・貫通孔6の第二部分6bの内径D6:2〜5mm。 ・貫通孔6の第一部分6aの内径D7:1〜3.5m
m。 ・第一軸部2gの肉厚t1:0.5〜4.5mm。 ・第二軸部2iの基端部肉厚t2(中心軸線Oと直交す
る向きにおける値):0.3〜3.5mm。 ・第二軸部2iの先端部肉厚t3(中心軸線Oと直交す
る向きにおける値;ただし、先端面外周縁にアールない
し面取りが施される場合は、中心軸線Oを含む断面にお
いて、該アール部ないし面取部の基端位置における肉厚
を指す):0.2〜3mm。 ・第二軸部2iの平均肉厚tA(=(t2+t3)/
2):0.25〜3.25mm。
【0060】また、図1において、絶縁体2の主体金具
1の後方側に突出している部分2kの長さLQは、23
〜27mm(例えば25mm程度)である。さらに、絶
縁体2の中心軸線Oを含む縦断面を取ったときに、絶縁
体2の突出部分2kの外周面において、主体金具1の後
端縁に対応する位置から、コルゲーション2cを経て絶
縁体2の後端縁に至るまでの、その断面外形線に沿って
測った長さLPは26〜32mm(例えば29mm程
度)である。
【0061】次に、図2に一点鎖線にて示すように、絶
縁体2の表面、具体的にはコルゲーション部2cを含む
本体部2bの外周面に釉薬層2dが形成されている。釉
薬層2dの形成厚さは10〜150μm、望ましくは1
0〜50μmとされる。なお、図1に示すように、本体
部2bに形成された釉薬層2dは、その軸方向前方側が
主体金具1の内側に所定長入り込む形で形成される一
方、後方側は本体部2bの後端縁位置まで延びている。
【0062】次に、釉薬層2dは、課題を解決するため
の手段及び作用・効果の欄にて説明した本発明の少なく
ともいずれかの組成を有するものである。各成分の組成
範囲の臨界的意味については、既に詳細に説明済みであ
るからここでは繰り返さない。また、絶縁体本体部2b
の基端部(主体金具1から後方に突出している部分の、
コルゲーション部2cが付与されていない円筒状の外周
面を呈する部分)外周面における釉薬層2dの厚さt1
(平均値)は10〜50μmである。コルゲーション部
2cは省略することもでき、この場合は、主体金具1の
後端縁を基点として本体部1bの突出長さLQの50%
までの部分の外周面における釉薬層2dの厚さ(平均
値)をt1とみなす。
【0063】次に、接地電極4及び中心電極3の本体部
3aはNi合金等で構成されている。また、中心電極3
の本体部3aの内部には、放熱促進のためにCuあるい
はCu合金等で構成された芯材3bが埋設されている。
一方、上記発火部31及び対向する発火部32は、I
r、Pt及びRhの1種又は2種以上を主成分とする貴
金属合金を主体に構成される。中心電極3の本体部3a
は先端側が縮径されるとともにその先端面が平坦に構成
され、ここに上記発火部を構成する合金組成からなる円
板状のチップを重ね合わせ、さらにその接合面外縁部に
沿ってレーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等により
溶接部Wを形成してこれを固着することにより発火部3
1が形成される。また、対向する発火部32は、発火部
31に対応する位置において接地電極4にチップを位置
合わせし、その接合面外縁部に沿って同様に溶接部Wを
形成してこれを固着することにより形成される。なお、
これらチップは、例えば表記組成となるように各合金成
分を配合・溶解することにより得られる溶解材、又は合
金粉末あるいは所定比率で配合された金属単体成分粉末
を成形・焼結することにより得られる焼結材により構成
することができる。なお、発火部31及び対向する発火
部32は少なくとも一方を省略する構成としてもよい。
【0064】上記スパークプラグ100は、例えば下記
のような方法で製造される。まず、絶縁体2であるが、
これは原料粉末として、アルミナ粉末と、Si成分、C
a成分、Mg成分、Ba成分及びB成分の各成分源粉末
を、焼成後に酸化物換算にて前述の組成となる所定の比
率で配合し、所定量の結合剤(例えばPVA)と水とを
添加・混合して成形用素地スラリーを作る。なお、各成
分源粉末は、例えばSi成分はSiO粉末、Ca成分
はCaCO粉末、Mg成分はMgO粉末、Ba成分が
BaCOあるいはBaSO、B成分がHBO
末の形で配合できる。なお、HBOは溶液の形で配
合してもよい。
【0065】成形用素地スラリーは、スプレードライ法
等により噴霧乾燥されて成形用素地造粒物とされる。そ
して、成形用素地造粒物をラバープレス成形することに
より、絶縁体の原形となるプレス成形体を作る。成形体
は、さらに外面側をグラインダ切削等により加工して、
図1の絶縁体2に対応した外形形状に仕上げられ、次い
で温度1400〜1600℃で焼成されて絶縁体2とな
る。
【0066】他方、釉薬スラリーの調製を以下のように
して行なう。まず、Si、B、Zn、Ba、及びアルカ
リ金属成分(Na、K、Li)、並びにリン酸イオン、硫
酸イオン、弗化物イオン、塩化物イオン等の各成分源と
なる成分源粉末(例えば、Si成分はSiO粉末、B
成分はHBO粉末、ZnはZnO粉末、Ba成分は
BaCO、NaはNaCO粉末、KはKCO
粉末、LiはLiCO粉末、あるいはリン酸イオン
はKPO粉末、硫酸イオンはBaSO粉末、弗化
物イオンはCaF粉末または塩化物イオンはKCl粉
末)を、所定の組成が得られるように配合して混合す
る。次いで、その混合物を1000〜1500℃に加熱
して溶融させ、その溶融物を水中に投じて急冷・ガラス
化し、さらに粉砕することにより釉薬粉末を作る。そし
て、この釉薬粉末にカオリン、蛙目粘土等の粘土鉱物と
有機バインダとを適量配合し、さらに水を加えて混合す
ることにより釉薬スラリーを得る。
【0067】そして、この釉薬スラリーを噴霧ノズルか
ら絶縁体の必要な表面に噴霧・塗布することにより、釉
薬粉末堆積層としての釉薬スラリー塗布層を形成し、こ
れを乾燥する。
【0068】次に、この釉薬スラリー塗布層を形成した
絶縁体2への、中心電極と端子金具13との組付け、及
び抵抗体15と導電性ガラスシール層16,17との形
成工程の概略は以下の通りである。まず、絶縁体2の貫
通孔6に対し、その第一部分6aに中心電極3を挿入し
た後、導電性ガラス粉末を充填する。そして、貫通孔6
内に押さえ棒を挿入して充填した粉末を予備圧縮し、第
一の導電性ガラス粉末層を形成する。次いで抵抗体組成
物の原料粉末を充填して同様に予備圧縮し、さらに導電
性ガラス粉末を充填して予備圧縮を行なうことにより、
中心電極3側(下側)から貫通孔6内には、第一の導電
性ガラス粉末層、抵抗体組成物粉末層及び第二の導電性
ガラス粉末層が積層された状態となる。
【0069】そして、貫通孔6に端子金具13を上方か
ら配置した組立体を形成する。この状態で加熱炉に挿入
して800〜950℃の所定温度に加熱し、その後、端
子金具13を貫通孔6内へ中心電極3と反対側から軸方
向に圧入して積層状態の各層を軸方向にプレスする。こ
れにより、各層は圧縮・焼結されてそれぞれ導電性ガラ
スシール層16、抵抗体15及び導電性ガラスシール層
17となる(以上、ガラスシール工程)。
【0070】ここで、釉薬スラリー塗布層2d’に含ま
れる釉薬粉末の屈伏点を520〜700℃としておけ
ば、釉薬スラリー塗布層2d’を、上記ガラスシール工
程における加熱により同時に釉焼して釉薬層2dとする
ことができる。また、ガラスシール工程の加熱温度とし
て800〜950℃の比較的低い温度を採用すること
で、中心電極3や端子金具13の表面への酸化も生じに
くくなる。
【0071】なお、加熱炉(釉焼炉も兼ねる)としてバ
ーナー式のガス炉を用いると、加熱雰囲気には燃焼生成
物である水蒸気が比較的多く含まれる。このとき、釉薬
組成としてB成分の含有量を40mol%以下に留めた
ものを使用することにより、そのような水蒸気が多く存
在する雰囲気下においても、釉焼時の流動性が確保でき
て、しかも平滑で均質であり、かつ絶縁性も良好な釉薬
層形成が可能となる。
【0072】こうしてガラスシール工程が完了した組立
体には、主体金具1や接地電極4等が組み付けられて、
図1に示すスパークプラグ100が完成する。スパーク
プラグ100は、そのねじ部7においてエンジンブロッ
クに取り付けられ、燃焼室に供給される混合気への着火
源として使用される。ここで、スパークプラグ100へ
の高圧ケーブルあるいはイグニッションコイルの装着
は、図1に一点鎖線で示すように、絶縁体2の本体部2
bの外周面を覆うゴムキャップ(例えばシリコンゴム等
で構成される)RCを用いて行われる。このゴムキャッ
プRCの孔径は、本体部2bの外径D1(図2)よりも
0.5〜1.0mm程度小さいものが使用される。本体
部2bは孔を弾性的に拡径しつつその基端部まで覆われ
るようにこれに押し込まれる。その結果、ゴムキャップ
RCは、孔内面において本体部2bの基端部外周面に密
着し、フラッシュオーバ等を防止するための絶縁被覆と
して機能する。
【0073】なお、本発明のスパークプラグは図1に示
すタイプのものに限らず、接地電極の先端を中心電極の
側面と対向させてそれらの間に火花ギャップを形成した
ものであってもよい。また、スパークプラグを、絶縁体
の先端部を中心電極の側面と接地電極の先端面との間に
進入させたセミ沿面放電型スパークプラグとして構成し
てもよい。
【0074】
【実験例】本発明の効果を確認するために、以下の実験
を行なった。絶縁体2を次のようにして作製した。ま
ず、原料粉末として、アルミナ粉末(アルミナ95mo
l%、Na含有量(NaO換算値)0.1mol%、
平均粒径3.0μm)に対し、SiO(純度99.5
%、平均粒径1.5μm)、CaCO(純度99.9
%、平均粒径2.0μm)、MgO(純度99.5%、
平均粒径2μm)、BaCO(純度99.5%、平均
粒径1.5μm)、HBO(純度99.0%、平均
粒径1.5μm)、ZnO(純度99.5%、平均粒径
2.0μm)を所定比率にて配合するとともに、この配
合した粉末総量を100質量部として、親水性バインダ
としてのPVAを3質量部と、水103質量部とを加え
て湿式混合することにより、成形用素地スラリーを作製
した。
【0075】次いで、これら組成の異なるスラリーをそ
れぞれスプレードライ法により乾燥して、球状の成形用
素地造粒物を調製した。なお、造粒物は、ふるいにより
粒径50〜100μmに整粒している。そして、この造
粒物を、公知のラバープレス法により圧力50MPaに
て成形し、その成形体の外周面にグラインダ研削を施し
て所定の絶縁体形状に加工するとともに、温度1550
℃で焼成することにより絶縁体2を得た。なお、蛍光X
線分析により、絶縁体2は下記の組成を有していること
がわかった: Al成分:Al換算値で94.9mol%; Si成分:SiO換算値で2.4mol%; Ca成分:CaO換算値で1.9mol%; Mg成分:MgOに換算値で0.1mol%; Ba成分:BaOに換算値で0.4mol%; B成分:B換算値で0.3mol%。
【0076】また、図2(a)を援用して示す絶縁体2
の各部寸法は以下の通りである:L1=約60mm、L2
=約8mm、L3=約14mm、D1=約10mm、D2
=約13mm、D3=約7mm、D4=5.5mm、D5
=4.5mm、D6=4mm、D7=2.6mm、t1=
1.5mm、t2=1.45mm、t3=1.25mm、
tA=1.35mm。さらに、図1を援用して示すと、
絶縁体2の主体金具1の後方側に突出している部分2k
の長さLQは25mmであり、絶縁体2の中心軸線Oを
含む縦断面を取ったときに、絶縁体2の突出部分2kの
外周面において、主体金具1の後端縁に対応する位置か
ら、コルゲーション2cを経て絶縁体2の後端縁に至る
までの、その断面外形線に沿って測った長さLPは29
mmである。
【0077】次に、釉薬スラリーを次のようにして調製
した。まず、原料としてSiO(純度99.5%)、
Al粉末(純度99.5%)、HBO粉末
(純度98.5%)、NaCO粉末(純度99.5
%)、KCO粉末(純度99%)、LiCO
末(純度99%)、BaCO粉末(純度99.5
%)、ZnO粉末(純度99.5%)、MoO粉末
(純度99%)、CaO粉末(純度99.5%)、Ti
粉末(純度99.5%)、ZrO粉末(純度9
9.5%)、MgO粉末(純度99.5%)、Sb
粉末(純度99%)、WO粉末(純度99%)、K
PO粉末(純度99%)、BaSO粉末(純度9
9.5%)、CaF粉末(純度99%)及びKCl粉末
(純度99.5%)を各種比率で配合し、その混合物を
1000〜1500℃に加熱して溶融させ、その溶融物
を水中に投じて急冷・ガラス化し、さらにアルミナ製ポ
ットミルにより粒径50μm以下に粉砕することにより
釉薬粉末を作製した。そして、この釉薬粉末100質量
部に対し粘土鉱物としてのニュージーランドカオリンを
3質量部、及び有機バインダとしてのPVAを2質量部
配合し、さらに水を100質量部加えて混合することに
より釉薬スラリーを得た。
【0078】この釉薬スラリーを、噴霧ノズルより絶縁
体2の表面に噴霧後、乾燥して釉薬スラリー塗布層2
d’を形成した。なお、乾燥後の釉薬の塗布厚さは10
0μm程度である。この絶縁体2を用いて、図1に示す
スパークプラグ100を各種作成した。ただし、ねじ部
7の外径は14mmとした。また、抵抗体15の原料粉
末としてはB−SiO−BaO−LiO系ガ
ラス、ZrO粉末、カーボンブラック粉末、TiO
粉末、金属Al粉末を、導電性ガラスシール層16,1
7の原料粉末としてはB−SiO−NaO系
ガラス、Cu粉末、Fe粉末、Fe−B粉末をそれぞれ
用い、ガラスシール時の加熱温度、すなわち釉焼温度は
900℃にて行った。
【0079】他方、粉砕せずに塊状に凝固させた釉薬試
料も作製した。なお、この塊状の釉薬試料は、X線回折
によりガラス化(非晶質化)したものであることを確認
した。これを用いて化学組成分析を蛍光X線分析によっ
て行った。各試料の分析値(リン酸イオン、硫酸イオ
ン、弗化物イオン及び塩化物イオン以外は酸化物換算し
た値による)を表1に示している。なお、絶縁体2の表
面に形成された釉薬層2dの各組成をEPMA法により
測定したが、該塊状試料を用いて測定した分析値とほぼ
一致していることが確認できた。
【0080】また、ビッカース硬さHvの試験方法につ
いては、JIS:Z2244に規定された方法に従い行
った。ビッカース硬さ試験に用いる試験機は、(株)明
石製作所製の微小硬度計(MVK−E)(JIS:B7
725に適合するものである)を用い、試験荷重は2N
とした。
【0081】さらに、各スパークプラグについては、絶
縁体の基端部外周面位置における釉薬層の膜厚を断面の
SEM観察により測定した。
【0082】また、各試験品に対して以下のような衝撃
試験を行った。すなわち、各スパークプラグ100の取
付ねじ部7を試験品固定台のねじ孔にねじ込み、絶縁体
2の本体部2bが上向きに突出するように固定する。そ
して、その本体部2bのさらに上方において、絶縁体2
の中心軸線O上に位置する軸支点に対し、アームを旋回
可能に取り付ける。なお、アームの長さは330mmで
あり、絶縁体2の後方側本体部2bに降り下ろしたとき
のアームの先端位置が、絶縁体2の後端面からの鉛直方
向距離にして10mm(後方側本体部2bの表面に形成
されたマーク部の位置に対応している)となるように、
軸支点の位置が定められている。そして、アームの中心
軸線Oからの旋回角度が所定値となるようにアームの先
端を持ち上げて、後方側本体部2bに向けて自由落下に
より降り下ろす操作を、角度間隔2゜にて徐々に大きく
しながら繰り返し、釉薬層に欠けや剥離が生じる耐衝撃
角度値θを求めた。なお、耐衝撃角度値θが、40°以
上のものを優良(○)、30°〜40°のものを良好
(△)、30°未満のものを不良(×)として評価し
た。以上の結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】この結果によると、ビッカース硬度Hvが
100以上である釉薬層では、衝撃耐久性が良好な値に
確保でき、釉薬層の耐衝撃性を向上できていることがわ
かる。また、前記した釉薬組成を選択し、リン酸イオ
ン、硫酸イオン、弗化物イオン及び塩化物イオンを0.
5〜10mol%含有することにより、ビッカース硬さ
Hvが向上し、衝撃耐久性も向上していることがわか
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一例を示す全体正面
断面図。
【図2】絶縁体のいくつかの実施例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 主体金具 2 絶縁体 2d 釉薬層 3 中心電極 4 接地電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心電極と主体金具との間にアルミナ系
    セラミックからなる絶縁体を配したスパークプラグにお
    いて、その絶縁体の表面の少なくとも一部を覆う釉薬層
    が形成され、該釉薬層が、Pb成分の含有量がPbO換
    算にて1mol%以下であり、かつビッカース硬さHv
    が100以上であることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 【請求項2】 前記釉薬層は、Si成分をSiOに酸
    化物換算した値にて15〜60mol%、B成分をB
    に酸化物換算した値にて22〜50mol%、Zn
    成分をZnOに酸化物換算した値にて10〜30mol
    %、Ba及び/又はSr成分を、BaOないしSrOに
    酸化物換算した値にて合計で0.5〜35mol%含有
    し、 F成分の含有量が1mol%以下であり、 Al成分をAlに酸化物換算した値にて0.1〜
    5mol%含有し、 アルカリ金属成分として、NaはNaO、KはK
    O、LiはLiOに酸化物換算した値にて、Liを
    必須とする1種又は2種以上を合計で1.1〜10mo
    l%の範囲にて含有し、 かつ、Li成分の含有量範囲がLiOに酸化物換算し
    た値にて1.1〜6mol%とされた請求項1記載のス
    パークプラグ。
  3. 【請求項3】 前記釉薬層は、リン酸イオン、硫酸イオ
    ン、弗化物イオン及び塩化物イオンの1種又は2種以上
    のイオンを含有する請求項1又は2に記載のスパークプ
    ラグ。
  4. 【請求項4】 前記釉薬層は、リン酸イオン、硫酸イオ
    ン、弗化物イオン及び塩化物イオンの1種又は2種以上
    のイオンを0.5〜10mol%の範囲にて含有する請
    求項3記載のスパークプラグ。
  5. 【請求項5】 前記釉薬層は、硫酸イオンを0.5〜1
    0mol%の範囲にて含有する請求項4記載のスパーク
    プラグ。
  6. 【請求項6】 前記絶縁体には、軸線方向中間位置にお
    いてその外周面に周方向の突出部が形成され、 該軸線方向において前記中心電極の先端に向かう側を前
    方側として、前記突出部に対し後方側に隣接する絶縁体
    本体部の基端部外周面が円筒面状に形成され、 その基端部外周面を覆う形で前記釉薬層が膜厚10〜5
    0μmの範囲内にて形成されている請求項1ないし5の
    いずれか1項に記載のスパークプラグ。
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