JP2002117955A - スパークプラグ - Google Patents
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Abstract
温で釉焼可能であって絶縁性に優れ、しかも平滑な釉焼
面を得やすく釉薬層付き絶縁体の機械的な強度も向上で
きる釉薬層を有したスパークプラグを提供する。 【解決手段】 スパークプラグ100の釉薬層2dが、
Si成分をSiO2に酸化物換算した値にて15〜60
mol%、B成分をB2O3に酸化物換算した値にて2
2〜50mol%、Zn成分をZnOに酸化物換算した
値にて10〜30mol%、Ba及び/又はSr成分
を、BaOないしSrOに酸化物換算した値にて合計で
0.5〜35mol%含有し、F成分の含有量が1mo
l%以下であり、Al成分をAl2O3に酸化物換算し
た値にて0.1〜5mol%含有し、アルカリ金属成分
として、NaはNa2O、KはK2O、LiはLi2O
に酸化物換算した値にて、Liを必須とする1種又は2
種以上を合計で1.1〜10mol%の範囲にて含有
し、かつ、Li成分の含有量範囲がLi2Oに酸化物換
算した値にて1.1〜6mol%とされ組成を有する。
Description
する。
使用されるスパークプラグは、一般に、接地電極が取り
付けられる主体金具の内側に、アルミナ系セラミック等
で構成された絶縁体が配置され、その絶縁体の内側に中
心電極が配置された構造を有する。絶縁体は主体金具の
後方側開口部から軸方向に突出し、その突出部の内側に
端子金具が配置され、これがガラスシール工程により形
成される導電性ガラスシール層や抵抗体等を介して中心
電極と接続される。そして、その端子金具を介して高圧
を印加することにより、接地電極と中心電極との間に形
成されたギャップに火花放電が生ずることとなる。
囲の湿度が上昇したりするなどの条件が重なると、高圧
印加してもギャップに飛火せず、絶縁体突出部の表面を
回り込む形で端子金具と主体金具との間で放電する、い
わゆるフラッシュオーバ現象が生じることがある。その
ため、一般に使用されているほとんどのスパークプラグ
においては、主にこのフラッシュオーバ現象防止のため
に絶縁体表面に釉薬層が形成されている。他方、釉薬層
は、絶縁体表面を平滑化して汚染を防止したり、化学的
あるいは機械的強度を高めたりするといった役割も果た
す。
合、従来は、ケイ酸塩ガラスに比較的多量のPbOを配
合して軟化点を低下させた鉛ケイ酸塩ガラス系の釉薬を
使用してきたが、環境保護に対する関心が地球規模で高
まりつつある近年では、Pbを含有する釉薬は次第に敬
遠されるようになってきている。例えばスパークプラグ
が多量に使用される自動車業界においては、廃棄スパー
クプラグによる環境への影響を考慮して、Pb含有釉薬
を使用したスパークプラグの使用は将来全廃しようとの
検討も進められている。
代替品として検討されている硼珪酸ガラスやアルカリ硼
珪酸ガラス系の無鉛釉薬は、ガラス転移点が高かった
り、あるいは絶縁抵抗が不足したりする等の不具合が避
けがたかった。この問題を解決するために、特開平11
−43351号公報には、Zn成分の組成調整等によ
り、釉焼時の流動性を低下させることなくガラス安定化
を図った無鉛釉薬の組成が、また、特開平11−106
234号公報には、アルカリ成分の共添加効果により絶
縁抵抗の向上を図った無鉛釉薬の組成がそれぞれ開示さ
れている。
ラグ用の釉薬層は、絶縁体表面への汚れ付着等を防止し
たり、沿面放電耐電圧を向上させてフラッシュオーバを
防いだりするほか、破壊起点になりやすい絶縁体表面の
欠陥を埋めて強度向上を図る機能も果たしている。 し
かしながら、特に高出力化が著しい最近の内燃機関で
は、作動中にスパークプラグが受ける振動や衝撃もかな
り大きく、釉薬層を形成していても絶縁体の折損等が問
題になることもある。また、スパークプラグのシリンダ
ヘッドへの取り付け時(特に、インパクトレンチ等の動
力工具を用いた組み付け時)に、過剰な締め付けトルク
が付加されたりすると、やはり絶縁体が折損することが
ある。また、エンジンの高性能化に伴いスパークプラグ
への印加電圧も高くなってきていることから、釉薬に対
してもより厳しい環境に耐えうる絶縁性能が要求されて
いるが、前述の特開平11−106234号公報や特開
平11−106234号公報に開示された釉薬組成で
は、絶縁性能と機械的性質とを両立させるための釉薬組
成が必ずしも十分に検討されているとはいえない問題が
ある。
く、しかも比較的低温で釉焼可能であって絶縁性に優
れ、しかも平滑な釉焼面を得やすく釉薬層付き絶縁体の
機械的な強度も向上できる釉薬層を有したスパークプラ
グを提供することを課題とする。
題を解決するために本発明のスパークプラグは、中心電
極と主体金具との間にアルミナ系セラミックからなる絶
縁体を配したスパークプラグにおいて、その絶縁体の表
面の少なくとも一部を覆う形態で酸化物主体の釉薬層が
形成され、該釉薬層が、Pb成分の含有量がPbO換算
にて1mol%以下とされ、Si成分をSiO2に酸化
物換算した値にて15〜60mol%、B成分をB 2O
3に酸化物換算した値にて22〜50mol%、Zn成
分をZnOに酸化物換算した値にて10〜30mol
%、Ba及び/又はSr成分を、BaOないしSrOに
酸化物換算した値にて合計で0.5〜35mol%含有
し、F成分の含有量が1mol%以下であり、Al成分
をAl2O3に酸化物換算した値にて0.1〜5mol
%含有し、アルカリ金属成分として、NaはNa2O、
KはK2O、LiはLi2Oに酸化物換算した値にて、
Liを必須とする1種又は2種以上を合計で1.1〜1
0mol%の範囲にて含有し、かつ、Li成分の含有量
範囲がLi2Oに酸化物換算した値にて1.1〜6mo
l%とされたことを特徴とする。
前述の環境問題への適合性を図るため、使用する釉薬
が、Pb成分の含有量がPbO換算にて1.0mol%
以下とすることを前提とする(以下、このレベルにPb
成分含有量が低減された釉薬を無鉛釉薬と称する)。ま
た、釉薬層中にPb成分が価数の低いイオン(例えばP
b2+)の形で含有されていると、コロナ放電等により
これが価数の高いイオン(例えばPb3+)に酸化さ
れ、釉薬層の絶縁性が低下して耐フラッシュオーバ性が
損なわれる場合もあるので、Pb含有量を上記のように
削減することはこの観点においても好都合である。な
お、Pbの含有量は望ましくは0.1mol%以下、よ
り望ましくは実質的に含有しない(ただし、釉薬原料等
から不可避的に混入するものを除く)のがよい。
ろ、釉薬層中のPb成分の含有量が小さくなると、釉薬
層の機械的強度、特に耐衝撃性が相対的に低下しやすい
ことが判明した。そこで、Si成分、B成分、Zn成
分、Ba及び/又はSr成分、Al成分、さらにLi成
分を必須とするアルカリ金属成分を上記の範囲にて含有
させることにより、比較的低温で釉焼可能であって絶縁
性に優れ、かつ平滑な釉焼面を得やすく釉薬層付き絶縁
体の機械的な強度、特に耐衝撃性を大幅に向上できるこ
とを見出し、本発明を完成させるに至った。これによ
り、高出力内燃機関に取り付けられた場合においても、
作動中に振動等によりスパークプラグの絶縁体が折損し
たり、スパークプラグのシリンダヘッドへの取り付け時
(特に、インパクトレンチ等の動力工具を用いた組み付
け時)に、多少過剰な締め付けトルクが付加されても絶
縁体が折損したりしにくくなる。
釉薬層の各構成成分の、含有量範囲の臨界的意味につい
て説明する。Si成分は、ガラス質の釉薬層の骨格形成
成分であり、また、釉薬層の絶縁性確保のためにも欠か
すことのできない成分である。その含有量が15mol
%未満になると、十分な絶縁性能の確保が困難となる場
合がある。また、Si成分が60mol%を超えると、
釉焼が困難となる場合がある。なお、該Si成分含有量
は、より望ましくは25〜40mol%の範囲で設定す
るのがよい。
質の釉薬層の、骨格形成成分の主体となるものであり、
かつSi成分と組み合わされることによって釉薬軟化点
を低下させ、釉焼時の流れ性を向上させて平滑な釉焼面
を得やすくする働きもなす。ただし、B成分含有量が2
2mol%未満になると、釉薬の軟化点が上昇し、釉焼
が困難となる場合がある。他方、B成分含有量が55m
ol%を超えると、釉チヂレ等の外観不良が引き起こさ
れやすくなる。あるいは、釉薬スラリーの耐水性が損な
われる場合がある。また、他の成分の含有量によって
は、釉薬層の失透、絶縁性の低下あるいは下地との熱膨
張係数不適合といった問題についても懸念が生ずる場合
がある。なお、該B成分含有量は、望ましくは25〜3
5mol%の範囲で設定するのがよい。
焼時の流動性を高め、平滑な釉焼面を得やすくする働き
を成す。また、一定量以上に配合することで、アルミナ
系セラミックからなる絶縁体下地と釉薬層との熱膨張係
数の差を縮小し、釉薬層への欠陥発生を防止するととも
に、引張残留応力の残留レベルを抑制して、釉薬層付き絶
縁体の強度、特に耐衝撃性を高める働きをなす。ただし、
その含有量が10mol%未満になると、釉薬層の熱膨
張係数が大きくなりすぎ、釉薬層に貫入等の欠陥が生じ
やすくなる場合がある。また、Zn成分が不足すれば釉
焼が困難となる場合がある。他方、Zn成分の含有量が
30mol%を超えると、失透により釉薬層に白濁等を
生じやすくなる。Zn成分の含有量は、より望ましくは
10〜20mol%の範囲にて調整されているのがよ
い。
性向上に寄与するほか、強度の向上にも効果がある。そ
の合計含有量が0.5mol%未満になると、釉薬の絶
縁性が低下し、耐フラッシュオーバー性が損なわれるこ
とにつながる場合がある。他方、合計含有量が31mo
l%を超えると、釉薬層の熱膨張係数が高くなりすぎ、
釉薬層に貫入等の欠陥が生じやすくなるほか、高温から
の冷却時に釉薬層に引張応力が残留しやすくなり、釉薬
層付き絶縁体の強度、例えば耐衝撃性が損なわれやすく
なる。また、釉薬層が失透して白濁等も生じやすくな
る。Ba及びSr成分の合計含有量は、絶縁性向上及び
熱膨張係数調整の観点から、望ましくは0.5〜20m
ol%の範囲で設定するのがよく、特に前述のSi成分
の範囲を25〜40mol%とした場合に効果が大き
い。なお、Ba成分とSr成分とは、いずれか一方を単
独で含有させてもよいし、両者を混合して含有してもよ
い。ただし、原料コスト的な面においては、より安価な
Ba成分の使用が有利である。
によっては釉薬中にて酸化物以外の形態で存在する場合
がある。例えば、BaSO4をBa成分源として用いた
場合、S成分が釉薬層中に残留することがある。この硫
黄成分は釉焼時に釉薬層の表面近くに濃化して、溶融釉
薬の表面張力を低下させ、得られる釉薬層の平滑性を高
めることができる場合がある。
は、釉薬中に1mol%を超えるF成分(これは、例え
ばCaF2(蛍石)などのF成分を含有する媒融剤を釉
薬中に添加すると不可避的に混入することとなる)が含
有されていると、釉焼時に釉薬中に破壊起点となりやす
い気泡が生じやすくなり、釉薬層付き絶縁体の強度、例
えば耐衝撃性が損なわれることにつながるためである。
また、釉焼時にF成分を含有したガスが発生し、これが
炉壁等を構成する耐火物と反応して炉壁寿命を縮めたり
する不具合も招き易い。なお、より望ましくは、釉薬層
中にF成分はなるべく含有されていないのがよい。その
ためには、前述のCaF2など、F成分を含有した媒融
剤をなるべく使用しないほうがよい。
釉焼時の釉薬の流動性を安定化させるとともに、釉薬層
の強度を高め、釉薬層付き絶縁体の耐衝撃性を大幅に高
める働きをなす。ただし、その含有量が前述の酸化物換
算にて0.1mol%未満では効果に乏しく、5mol
%を超えると得られる釉薬層が不透明のつや消し状態
(いわゆるマット状)となり、スパークプラグの外観を
損ねるばかりでなく、下地に形成されているマーキング
が読み取れなくなるなど、失透時と同じ不具合を生ずる
結果にもつながる。Al成分の含有量は、望ましくは1
〜3mol%とするのがよい。
に釉薬層の軟化点を下げて釉焼時の流動性を高める目的
にて使用される。その合計含有量は、1.1〜10mo
l%とされる。1.1mol%未満では釉薬の軟化点が
上昇し、釉焼が不能となる場合がある。また、10mo
l%を超えると、釉薬層の絶縁性が低下し、耐フラッシ
ュオーバー性が損なわれる場合がある。アルカリ金属成
分の含有量は、望ましくは5〜8mol%とするのがよ
い。また、アルカリ金属成分に関しては1種類のアルカ
リ金属成分を単独添加するのではなく、Na、K、Li
から選ばれる2種類以上を共添加することが釉薬層の絶
縁性低下抑制にさらに有効である。その結果、絶縁性を
低下させずにアルカリ金属成分の含有量を増大させるこ
とができ、結果として釉焼時の流動性確保及び耐フラッ
シュオーバ性の確保という2つの目的を同時に達成する
ことが可能となる(いわゆる、アルカリ共添加効果)。
成分は、釉焼時の流動性改善効果が特に高く、平滑で欠
陥の少ない釉焼面を得る上で有効であるばかりでなく、
釉薬層の熱膨張係数の上昇抑制に著しい効果を有し、ひ
いては釉薬層に生ずる引張残留応力を顕著に抑制する。
これらはいずれも釉薬層付き絶縁体の強度、例えば耐衝
撃性を向上させる効果を奏する。ただし、Li成分の前
記酸化物換算した含有量が1.1mol%未満では効果
に乏しく、6mol%を超えると釉薬層の絶縁性が十分
に確保されなくなることにつながる。Li成分の含有量
は、より望ましくは2〜4mol%となっているのがよ
い。
説明する。釉薬層は、ZnO換算したZn成分の含有量
をNZnO(mol%)、BaO換算したBa成分の含有
量をNBaO(mol%)、SrO換算したSr成分の含
有量をNSrO(mol%)として、合計含有量NZnO+N
BaO+NSrOが15〜45mol%となっていることが望
ましい。これらの合計含有量が45mol%を超えると
釉薬層が失透して白濁等を生じる場合がある。例えば、
絶縁体の外面には、製造者等を特定するための文字や図
形あるいは品番などの視覚情報を、色釉等を用いて印刷
・焼付けすることが行われているが、白濁等により、印
刷された視覚情報の読み取りが困難となる場合がある。
また、15mol%未満では、釉薬の軟化点が過度に上
昇して釉焼が困難となり、また、外観不良の原因ともな
りうる。なお、該合計含有量は、望ましくは15〜25
mol%となっているのがよい。
なっているのがよい。このようにすることで、釉薬層の
熱膨張係数がさらに小さくなり、下地となるアルミナ系
セラミックとの熱膨張係数の差がさらに縮まって、釉焼
後等に釉薬層に残留する引張応力レベルを一層小さくし
たり、さらに進んでは残留応力を圧縮応力状態となした
りすることも可能となる。その結果、釉薬層付き絶縁体
の耐衝撃性をさらに高めることができる。
算したモル含有量で、0.2≦Li/(Na+K+Li)≦
0.5の範囲に設定することが好ましい。Liの割合が
0.2未満では、下地のアルミナに比べて熱膨張係数が
大きくなりすぎ、その結果、貫入(クレージング)等の
欠陥が生じやすくなり、釉焼面の仕上がり確保が不十分
となる場合がある。一方、Liの割合が0.5よりも大
きくなると、Liイオンが、アルカリ金属イオンの中で
も比較的移動度が高いことから、釉薬層の絶縁性能に悪
影響を及ぼす場合がある。Li/(Na+K+Li)の値
は、より望ましくは0.3〜0.45の範囲にて調整す
るのがよい。なお、アルカリ金属成分の共添加効果によ
る絶縁性向上効果をさらに高めるため、アルカリ金属成
分の合計含有量が過剰となって導電性が却って損なわれ
ることにならない範囲にて、K、Na等の第三成分以降
の、他のアルカリ金属成分を配合することも可能であ
り、特に望ましくは、Na、K及びLiの3つの成分を
全て含有させるのがよい。
+NSrO)が0.5〜2.0となっていることが望まし
い。該値が0.5未満では釉薬層が失透しやすくなり、
2.0を超えると釉薬層の軟化点が上昇して釉焼が困難
となる場合がある。
種又は2種以上の成分を、ZrはZrO2に、TiはT
iO2に、HfはHfO2にそれぞれ酸化物換算した値
にて合計で0.5〜5mol%の範囲で含有させること
ができる。Ti、Zr及びHfの1種又は2種以上の成
分を含有させることにより、耐水性が改善される。Zr
成分あるいはHf成分に関しては、釉薬スラリーの耐水
性改善効果がTi成分に比して一層顕著である。なお、
「耐水性が良好」とは、例えば粉末状の釉薬原料を水等
の溶媒とともに混合し、釉薬スラリーの形で長時間放置
した場合に、成分溶出による釉薬スラリーの粘性が高く
なる不具合を生じにくくなるということを意味する。そ
の結果、釉薬スラリーを絶縁体に塗布する場合に、その
塗布厚さを適正化することが容易となり、また厚さのば
らつきも小さくなる。その結果、釉焼により形成される
釉薬層の厚さの適正化とばらつき低減とを効果的に図る
ことができる。なお、上記成分の合計含有量が0.5m
ol%未満では効果に乏しく、5mol%を超えると釉
薬層が失透しやすくなる。
o、Fe及びMnの1種又は2種以上の成分(以下、流
動性改善遷移金属成分という)を、MoはMoO3、W
はWO3、NiはNi3O4、CoはCo3O4、Fe
はFe2O3、MnはMnO 2にそれぞれ酸化物換算し
た値にて合計で0.5〜5mol%の範囲にて含有させ
ることができる。Mo、W、Ni、Co、Fe及びMn
の1種又は2種以上の成分を、前述の含有量範囲にて添
加することにより、釉焼時の流動性を確保でき、ひいて
は比較的低温で釉焼可能であって絶縁性に優れ、また、
平滑な釉焼面を有する釉薬層が得られることから、釉薬
層付き絶縁体の耐衝撃性を一層高めることができる。
%未満では、釉焼時の流動性を改善して平滑な釉薬層を
得やすくする効果が必ずしも十分達成できなくなる場合
がある。他方、5mol%を超えると、釉薬の軟化点
の、過度の上昇により釉焼が困難あるいは不能となる場
合がある。
過剰となった場合の問題点として、釉薬層に意図せざる
着色を生ずる場合があることが挙げられる。例えば、絶
縁体の外面には、製造者等を特定するための文字や図形
あるいは品番などの視覚情報を、色釉を用いて印刷する
ことが行われているが、釉薬層の着色があまり強くなり
すぎると、印刷された視覚情報の読み取りが困難となる
場合がある。また、別の現実的な問題としては、釉薬組
成変更に由来する色調変化が、購買者側では「使い慣れ
た外観色の理由なき変更」に映じ、その抵抗感から必ず
しもスムーズに製品が受け入れられない、といった不具
合も生じうる。
本発明においては白色を呈するアルミナ系セラミックに
て構成されるが、着色の防止ないし抑制の観点において
は、絶縁体上に形成された状態にて観察した釉薬層の外
観色調が、彩度Csが0〜6、明度Vsが7.5〜10
となるように組成調整すること、例えば上記の遷移金属
成分の含有量を調整することが望ましい。彩度が6を超
えると、肉眼による色相識別性が顕著となり、また、明
度が7.5より小さくなると、灰色あるいは黒っぽい色
調が識別され易くなる。いずれも、外観上、「明らかに
色がついている」印象がぬぐいきれなくなる問題を生ず
る。なお、彩度Csは望ましくは0〜2、よりに望まし
くは0〜1とするのがよく、彩度Vsは望ましくは8〜
10、より望ましくは9〜10とするのがよい。本明細
書においては、明度VS及び彩度CSの測定方法について
は、JIS−Z8722「色の測定方法」において、
「4.分光測色方法」の「4.3反射物体の測定方法」
に規定された方法を用いるものとする。ただし、簡略な
方法として、JIS−Z8721に準拠して作成された
標準色票との目視比較により、明度及び彩度を知ること
もできる。
のはMo、Fe、次いでWであり、例えば必須遷移金属
成分の全てをMo、FeあるいはWとすることも可能で
ある。また、釉焼時の流動性改善効果をより高める上で
は、流動性改善遷移金属成分の50mol%以上をMo
とすることが望ましい。
た値にて1〜10mol%のCa成分、及び、及びMg
Oに酸化物換算した値にて0.1〜10mol%のMg
成分の1種又は2種以上を合計で1〜12mol%含有
させることができる。これらの成分は、釉薬層の絶縁性
向上に寄与する。特に、Ca成分は、釉薬層の絶縁性改
善を図る上で、Ba成分あるいはZn成分に次いで有効
である。添加量が上記の各下限値未満では効果に乏し
く、また、個々の成分の上限値又は合計含有量の上限値
を超えた場合には、軟化点の過度の上昇により釉焼が困
難あるいは不能となる場合がある。
P、Cu、Ce及びCrの1種又は2種以上の補助成分
を、BiはBi2O3に、SnはSnO2に、SbはS
b2O 5に、PはP2O5に、CuはCuOに、Ceは
CeO2に、CrはCr2O3にそれぞれ酸化物換算し
た値にて合計で5mol%以下の範囲で含有させること
ができる。これらの成分は、各種目的に応じて積極的に
添加することもできるし、釉薬原料(あるいは、後述す
る釉薬スラリーの調製時に配合する粘土鉱物)や、釉薬
フリット製造のための溶融工程における耐火材等からの
不純物(あるいはコンタミ)として不可避に混入する場
合もある。いずれも釉焼時の流動性を高め、釉薬層中の
気泡形成を抑制したり、あるいは釉焼面の付着物を流動
時に包み込んで、異常突起となったりすることを防ぐ効
果を有する。BiとSbは特に効果が顕著である(ただ
し、Biは将来的に制限物質に指定される可能性があ
る)。また、Ce以外の希土類元素RE(ただし、S
c、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、
Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より
選ばれるもの)も、補助成分として採用が可能であり、
Ceとともに、Bi及びSbに次いで釉焼時の流動性改
善に効果がある。この場合、PrはPr7O11、他は
RE2O3にそれぞれ酸化物換算する。
いては、釉薬中における前記各成分は多くの場合酸化物
の形で含有されることとなるが、非晶質のガラス相を形
成するなどの要因により、酸化物による存在形態を直接
は同定できないことも多い。この場合は、釉薬層中にお
ける、前記酸化物換算した値での元素成分の含有量が前
述の範囲のものとなっていれば、本発明の範囲に属する
ものとみなす。
成分の含有量は、例えばEPMA(電子プローブ微小分
析)やXPS(X線光電子分光)等の公知の微小分析方
法を用いて同定できる。例えばEPMAを用いる場合、
特性X線の測定には、波長分散方式とエネルギー分散方
式のいずれを用いてもよい。また、絶縁体から釉薬層を
剥離し、これを化学分析あるいはガス分析することによ
り組成同定する方法もある。
することにより、絶縁体の軸線方向において火花放電ギ
ャップから遠ざかる方向を後方方向として、主体金具を
試験品固定台に対し、その主体金具から突出する絶縁体
後方部が鉛直上向きとなるように固定する一方、その絶
縁体後方部のさらに上方において、絶縁体の中心軸線上
に位置する軸支点に対し、先端に1.13kgの鋼製の
ハンマーを取り付けた長さ330mmのアームを旋回可
能に取り付けるとともに、絶縁体後方部に降り下ろした
ときのハンマー位置が、絶縁体の後端面からの鉛直方向
距離にして1mmとなるように軸支点の位置を定め、前
記アームの前記中心軸線からの旋回角度が所定値となる
ようにハンマーを持ち上げて、前記絶縁体後方部に向け
て自由落下により降り下ろす操作を、角度2゜間隔で段
階的に大きくしながら繰り返したときの、絶縁体に割れ
が生ずるときの限界角度として求められる衝撃耐久角度
値を35゜以上に確保することができる。これにより、
スパークプラグを高出力内燃機関に取り付けて使用する
際に振動/衝撃を受けたり、あるいはスパークプラグの
シリンダヘッドへの取り付け時(特に、インパクトレン
チ等の動力工具を用いた組み付け時)に、多少過剰な締
め付けトルクの付加されたりした場合においても、絶縁
体が折損する不具合を効果的に防止ないし抑制できる。
その外周面に周方向の突出部を形成し、該軸線方向にお
いて中心電極の先端に向かう側を前方側として、突出部
に対し後方側に隣接する絶縁体本体部の基端部外周面が
円筒面状に形成され、その基端部外周面を覆う形で釉薬
層を膜厚7〜50μmの範囲内にて形成した構成を採用
することができる。
いてスパークプラグをエンジン電装系に取り付ける方式
が一般に広く採用されているが、耐フラッシュオーバ性
を向上させるためには、絶縁体とゴムキャップ内面との
密着性が重要である。本発明者らが鋭意検討したとこ
ろ、硼珪酸ガラス系あるいはアルカリ硼珪酸ガラス系の
無鉛釉薬においては、平滑な釉焼面を得る上で、釉薬層
の膜厚調整が重要であることがわかった。そして、上記
絶縁体本体部の基端部外周面は、特にゴムキャップとの
密着性が求められることから、膜厚調整を適切に行なわ
なければ、耐フラッシュオーバ性等を十分に確保できな
くなることが判明した。そこで、第三発明のスパークプ
ラグにおいては、上記組成の無鉛釉薬層を有する絶縁体
において、本体部の基端部外周面を覆う釉薬層の膜厚を
上記数値範囲に設定することにより、釉薬層の絶縁性を
低下させることなく釉焼面とゴムキャップとの密着性が
高められ、ひいては耐フラッシュオーバ性を向上させる
ことができる。
ることによって、釉薬層付き絶縁体の耐衝撃性をさらに
向上させることができる。絶縁体の当該部位における釉
薬層の厚さが7μm未満になると、耐フラッシュオーバ
性が不十分となる不具合のほか、釉薬層が薄くなりすぎ
てその絶対強度あるいは絶縁体表面の欠陥被覆効果が不
十分となり、耐衝撃性が不足する場合がある。他方、釉
薬層の厚さが50μmを超えると、上記組成の無鉛釉薬
層では絶縁性の確保が困難となり、同様に耐フラッシュ
オーバ性低下につながるほか、釉薬層の熱膨張率と厚さ
との兼ね合いで決まる釉焼後の残留応力量が大きくなり
すぎて、耐衝撃性が却って不足する場合がある。釉薬層
の厚さはより望ましくは10〜30μmとするのがよ
い。
クプラグは、絶縁体の貫通孔内において、中心電極と一
体に、又は導電性結合層を間に挟んで中心電極と別体に
設けられた軸状の端子金具部を備えたものとして構成で
きる。この場合、該スパークプラグ全体を約500℃に
保持し、絶縁体を介して端子金具部と主体金具との間で
通電することにより絶縁抵抗値を測定することができ
る。そして、高温での絶縁耐久性を確保するために、こ
の絶縁抵抗値は200MΩ以上が確保されていること
が、フラッシュオーバ等の発生を防止する上で望まし
い。
る。すなわち、スパークプラグ100の端子金具13側
に直流定電圧電源(例えば電源電圧1000V)を接続
するとともに主体金具1側を接地し、加熱炉中にスパー
クプラグ100を配置して500℃に加熱した状態で通
電を行なう。例えば、電流測定用抵抗(抵抗値Rm)を
用いて通電電流値Imを測定する場合を考えると、通電
電圧をVSとして、測定すべき絶縁抵抗値Rxは、(VS
/Im)−Rmにて求めることができる(図では、通電電
流値Imを、電流測定用抵抗の両端電圧差を増幅する差
動増幅器の出力により測定している)。
酸化物換算した値にて85〜98mol%含有するアル
ミナ系絶縁材料で構成することができる。また、釉薬層
は、20〜350℃の温度範囲における釉薬層の平均の
熱膨張係数が、50×10− 7/℃〜85×10−7/
℃の範囲のものとなっていることが望ましい。熱膨張係
数がこの下限値より小さくなっていると、釉薬層に亀裂
や釉飛び等の欠陥が生じやすくなる場合がある。他方、
熱膨張係数がこの上限値より大きくなっていると、釉薬
層に等の欠陥が生じやすくなる。なお、上記熱膨張係数
は、より望ましくは60×10−7/℃〜80×10
−7/℃の範囲のものとなっているのがよい。
成となるように原料を配合・溶解して得たガラス質の釉
薬バルク体から試料を切り出し、これを用いて公知のデ
ィラトメータ法等により測定した値により推定すること
ができる。また、絶縁体上の釉薬層の熱膨張係数は、例
えばレーザ干渉計や原子間力顕微鏡等を用いて測定する
ことが可能である。
下のような製造方法により製造することができる。すな
わち、該方法は、釉薬の各成分源となる成分源粉末を所
期の組成が得られるように配合して混合後、その混合物
を1000〜1500℃に加熱して溶融させ、その溶融
物を急冷・ガラス化し粉砕した釉薬粉末を調製する釉薬
粉末調製工程と、その釉薬粉末を絶縁体の表面に堆積さ
せて釉薬粉末堆積層を形成する釉薬粉末堆積工程と、そ
の絶縁体を加熱することにより、釉薬粉末堆積層を絶縁
体表面に焼き付けて釉薬層となす釉焼工程と、を含む。
ら成分の酸化物(複合酸化物でもよい)の他、水酸化
物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の各
種無機系材料粉末を使用できる。これら無機系材料粉末
は、いずれも加熱・溶融により酸化物に転化できるもの
を使用する必要がある。また、急冷は、溶融物を水中に
投じる方法の他、溶融物を冷却ロール表面に噴射してフ
レーク状の急冷凝固物を得る方法も採用できる。
とにより釉薬スラリーとして使用可能であり、例えば、
釉薬スラリーを絶縁体表面に塗布し乾燥することで、釉
薬粉末堆積層を該釉薬スラリーの塗布層として形成でき
る。なお、釉薬スラリーを絶縁体表面に塗布する方法と
しては、釉薬スラリーを噴霧ノズルから絶縁体表面に噴
霧する方法を用いると、均一な厚さの釉薬粉末堆積層を
簡単に形成でき、その塗布厚さの調整も容易である。
層の形状保持力を高める目的で、適量の粘土鉱物や有機
バインダを配合できる。粘土鉱物は、含水アルミノケイ
酸塩を主体に構成されるものを使用でき、例えばアロフ
ェン、イモゴライト、ヒシンゲライト、スメクタイト、
カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、イラ
イト、バーミキュライト、ドロマイト等(あるいはそれ
らの合成物)の1種又は2種以上を主体とするものを使
用できる。また、含有される酸化物系成分の観点におい
ては、SiO2及びAl2O3に加え、Fe2O3、T
iO2、CaO、MgO、Na2O及びK2O等の1種
又は2種以上を主に含有するものを使用することができ
る。
向に形成された貫通孔に対し、その一方の端部側に端子
金具が固定され、同じく他方の端部側に中心電極が固定
されるとともに、該貫通孔内において端子金具と中心電
極との間に、それらを電気的に接合するための、主にガ
ラスと導電性材料との混合物からなる焼結導電材料部
(例えば導電性ガラスシール層や抵抗体)が形成された
ものとして構成できる。これを製造する場合、次のよう
な工程を含む方法を採用できる。・組立体製造工程:絶
縁体の貫通孔に対し、その一方の端部側に端子金具が配
置され、同じく他方の端部側に中心電極が配置されると
ともに、該貫通孔内において端子金具と中心電極との間
に、ガラス粉末と導電性材料粉末とを主体とする焼結導
電材料原料粉末の充填層を形成した組立体を製造する。
・釉焼工程:絶縁体の表面に釉薬粉末堆積層を形成した
状態の組立体を、800〜950℃の温度範囲に加熱し
て、釉薬粉末堆積層を絶縁体表面に焼き付けて釉薬層と
なす工程と、充填層中のガラス粉末を軟化させる工程と
を同時に行なう。・プレス工程:その加熱された組立体
において、貫通孔内にて中心電極と端子金具とを相対的
に接近させることにより、充填層をそれら中心電極と端
子金具との間でプレスして焼結導電材料部となす。
と中心電極とが電気的に接合されるとともに、絶縁体貫
通孔の内面とそれら端子金具及び中心電極との間が封着
(シール)される。従って、上記釉焼工程がガラスシー
ル工程を形成することになる。該方法では、ガラスシー
ル工程と釉焼工程とが同時になされるので効率的であ
る。また、前述の釉薬を用いるため釉焼温度を800〜
950℃と低くできるので、中心電極や端子金具の酸化
による製造不良が発生しにくく、スパークプラグの製品
歩留まりが向上する。ただし、釉焼工程を先に行ってお
いて、その後にガラスシール工程を行なうようにするこ
ともできる。
℃の範囲で調整するのがよい。軟化点が700℃を超え
ると、ガラスシール工程に釉焼工程を兼用させる場合に
950℃以上の釉焼温度が必要となり、中心電極や端子
金具の酸化が進みやすくなる。他方、軟化点が520℃
未満になると、釉焼温度も800℃未満の低温に設定す
る必要が生ずる。この場合、良好なガラスシール状態が
得られるよう、焼結導電材料部に使用するガラスも軟化
点の低いものを使用しなければならなくなる。その結
果、完成したスパークプラグが比較的高温の環境下で長
時間使用された場合に、焼結導電材料部中のガラスが変
質しやすくなるため、例えば焼結導電材料部が抵抗体を
含む場合には、その負荷寿命特性などの性能の劣化につ
ながる場合がある。なお、釉薬層の軟化点は、望ましく
は600〜700℃の範囲で調整するのがよい。
絶縁体から剥離して加熱しながら示差熱分析を行い、屈
状点を表す最初の吸熱ピークの次に現われるピーク(す
なわち第2番目に発生する吸熱ピーク)の温度をもって
該軟化点とする。また、絶縁体表面に形成された釉薬層
の軟化点については、釉薬層中の各成分の含有量をそれ
ぞれ分析して酸化物換算した組成を算出し、この組成と
ほぼ等しくなるように、各被酸化元素成分の酸化物原料
を配合・溶解後、急冷してガラス試料を得、そのガラス
試料の軟化点をもって当該形成された釉薬層の軟化点を
推定することもできる。
に示すいくつかの実施例を参照して説明する。図1は、
本発明の第一の構成に係るスパークプラグの一実施例を
示す。該スパークプラグ100は、筒状の主体金具1、
先端部21が突出するようにその主体金具1の内側に嵌
め込まれた絶縁体2、先端に形成された発火部31を突
出させた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極
3、及び主体金具1に一端が溶接等により結合されると
ともに他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電
極3の先端部と対向するように配置された接地電極4等
を備えている。また、接地電極4には上記発火部31に
対向する発火部32が形成されており、それら発火部3
1と、対向する発火部32との間の隙間が火花放電ギャ
ップgとされている。
筒状に形成されており、スパークプラグ100のハウジ
ングを構成するとともに、その外周面には、プラグ10
0を図示しないエンジンブロックに取り付けるためのね
じ部7が形成されている。なお、1eは、主体金具1を
取り付ける際に、スパナやレンチ等の工具を係合させる
工具係合部であり、六角状の軸断面形状を有している。
成されており、その一方の端部側に端子金具13が固定
され、同じく他方の端部側に中心電極3が固定されてい
る。また、該貫通孔6内において端子金具13と中心電
極3との間に抵抗体15が配置されている。この抵抗体
15の両端部は、導電性ガラスシール層16,17を介
して中心電極3と端子金具13とにそれぞれ電気的に接
続されている。これら抵抗体15と導電性ガラスシール
層16,17とが焼結導電材料部を構成している。な
お、抵抗体15は、ガラス粉末と導電材料粉末(及び必
要に応じてガラス以外のセラミック粉末)との混合粉末
を原料とし、後述のガラスシール工程においてこれを加
熱・プレスすることにより得られる抵抗体組成物で構成
される。なお、抵抗体15を省略して、一層の導電性ガ
ラスシール層により端子金具13と中心電極3とを一体
化した構成としてもよい。
中心電極3を嵌め込むための貫通孔6を有し、全体が以
下の絶縁材料により構成されている。すなわち、該絶縁
材料はアルミナを主体に構成され、Al成分を、Al2
O3に換算した値にて85〜98mol%(望ましくは
90〜98mol%)含有するアルミナ系セラミック焼
結体として構成される。
記のようなものを例示できる。Si成分:SiO2換算
値で1.50〜5.00mol%;Ca成分:CaO換
算値で1.20〜4.00mol%;Mg成分:MgO
換算値で0.05〜0.17mol%;Ba成分:Ba
O換算値で0.15〜0.50mol%;B成分:B2
O3換算値で0.15〜0.50mol%。
に突出する突出部2eが例えばフランジ状に形成されて
いる。そして、絶縁体2には、中心電極3(図1)の先
端に向かう側を前方側として、該突出部2eよりも後方
側がこれよりも細径に形成された本体部2bとされてい
る。一方、突出部2eの前方側にはこれよりも細径の第
一軸部2gと、その第一軸部2gよりもさらに細径の第
二軸部2iがこの順序で形成されている。なお、本体部
2bの外周面後端部にはコルゲーション部2cが形成さ
れている。また、第一軸部2gの外周面は略円筒状とさ
れ、第二軸部2iの外周面は先端に向かうほど縮径する
略円錐面状とされている。
の軸断面径よりも小さく設定されている。そして、絶縁
体2の貫通孔6は、中心電極3を挿通させる略円筒状の
第一部分6aと、その第一部分6aの後方側(図面上方
側)においてこれよりも大径に形成される略円筒状の第
二部分6bとを有する。端子金具13と抵抗体15とは
第二部分6b内に収容され、中心電極3は第一部分6a
内に挿通される。中心電極3の後端部には、その外周面
から外向きに突出して電極固定用凸部3cが形成されて
いる。そして、上記貫通孔6の第一部分6aと第二部分
6bとは、図3(a)の第一軸部2g内において互いに
接続しており、その接続位置には、中心電極3の電極固
定用凸部3cを受けるための凸部受け面6cがテーパ面
あるいはアール面状に形成されている。
続部2hの外周面は段付面とされ、これが主体金具1の
内面に形成された主体金具側係合部としての凸条部1c
とリング状の板パッキン63を介して係合することによ
り、軸方向の抜止めがなされている。他方、主体金具1
の後方側開口部内面と、絶縁体2の外面との間には、フ
ランジ状の突出部2eの後方側周縁と係合するリング状
の線パッキン62が配置され、そのさらに後方側にはタ
ルク等の充填層61を介してリング状の線パッキン60
が配置されている。そして、絶縁体2を主体金具1に向
けて前方側に押し込み、その状態で主体金具1の開口縁
をパッキン60に向けて内側に加締めることにより加締
め部1dが形成され、主体金具1が絶縁体2に対して固
定されている。
くつかの例を示すものである。その各部の寸法を以下に
例示する。 ・全長L1:30〜75mm。 ・第一軸部2gの長さL2:0〜30mm(ただし、突
出部2eとの接続部2fを含まず、第二軸部2iとの接
続部2hを含む)。 ・第二軸部2iの長さL3:2〜27mm。 ・本体部2bの外径D1:9〜13mm。 ・突出部2eの外径D2:11〜16mm。 ・第一軸部2gの外径D3:5〜11mm。 ・第二軸部2iの基端部外径D4:3〜8mm。 ・第二軸部2iの先端部外径D5(ただし、先端面外周
縁にアールないし面取りが施される場合は、中心軸線O
を含む断面において、該アール部ないし面取部の基端位
置における外径を指す):2.5〜7mm。 ・貫通孔6の第二部分6bの内径D6:2〜5mm。 ・貫通孔6の第一部分6aの内径D7:1〜3.5m
m。 ・第一軸部2gの肉厚t1:0.5〜4.5mm。 ・第二軸部2iの基端部肉厚t2(中心軸線Oと直交す
る向きにおける値):0.3〜3.5mm。 ・第二軸部2iの先端部肉厚t3(中心軸線Oと直交す
る向きにおける値;ただし、先端面外周縁にアールない
し面取りが施される場合は、中心軸線Oを含む断面にお
いて、該アール部ないし面取部の基端位置における肉厚
を指す):0.2〜3mm。 ・第二軸部2iの平均肉厚tA(=(t2+t3)/
2):0.25〜3.25mm。
1の後方側に突出している部分2kの長さLQは、23
〜27mm(例えば25mm程度)である。さらに、絶
縁体2の中心軸線Oを含む縦断面を取ったときに、絶縁
体2の突出部分2kの外周面において、主体金具1の後
端縁に対応する位置から、コルゲーション2cを経て絶
縁体2の後端縁に至るまでの、その断面外形線に沿って
測った長さLPは26〜32mm(例えば29mm程
度)である。
上記各部寸法は、例えば以下の通りである:L1=約6
0mm、L2=約10mm、L3=約14mm、D1=約
11mm、D2=約13mm、D3=約7.3mm、D4
=5.3mm、D5=4.3mm、D6=3.9mm、D
7=2.6mm、t1=3.3mm、t2=1.4mm、
t3=0.9mm、tA=1.15mm。
軸部2g及び第二軸部2iがそれぞれ、図3(a)に示
すものと比較してやや大きい外径を有している。各部の
寸法は、例えば以下の通りである:L1=約60mm、
L2=約10mm、L3=約14mm、D1=約11m
m、D2=約13mm、D3=約9.2mm、D4=6.
9mm、D5=5.1mm、D6=3.9mm、D7=
2.7mm、t1=3.3mm、t2=2.1mm、t3
=1.2mm、tA=1.65mm。
面、具体的にはコルゲーション部2cを含む本体部2b
の外周面に釉薬層2dが形成されている。釉薬層2dの
形成厚さは7〜150μm、望ましくは10〜50μm
とされる。なお、図1に示すように、本体部2bに形成
された釉薬層2dは、その軸方向前方側が主体金具1の
内側に所定長入り込む形で形成される一方、後方側は本
体部2bの後端縁位置まで延びている。
の手段及び作用・効果の欄にて説明した本発明の少なく
ともいずれかの組成を有するものである。各成分の組成
範囲の臨界的意味については、既に詳細に説明済みであ
るからここでは繰り返さない。また、絶縁体本体部2b
の基端部(主体金具1から後方に突出している部分の、
コルゲーション部2cが付与されていない円筒状の外周
面を呈する部分)外周面における釉薬層2dの厚さt1
(平均値)は7〜50μmである。コルゲーション部2
cは省略することもでき、この場合は、主体金具1の後
端縁を基点として本体部1bの突出長さLQの50%ま
での部分の外周面における釉薬層2dの厚さ(平均値)
をt1とみなす。
3aはNi合金等で構成されている。また、中心電極3
の本体部3aの内部には、放熱促進のためにCuあるい
はCu合金等で構成された芯材3bが埋設されている。
一方、上記発火部31及び対向する発火部32は、I
r、Pt及びRhの1種又は2種以上を主成分とする貴
金属合金を主体に構成される。中心電極3の本体部3a
は先端側が縮径されるとともにその先端面が平坦に構成
され、ここに上記発火部を構成する合金組成からなる円
板状のチップを重ね合わせ、さらにその接合面外縁部に
沿ってレーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等により
溶接部Wを形成してこれを固着することにより発火部3
1が形成される。また、対向する発火部32は、発火部
31に対応する位置において接地電極4にチップを位置
合わせし、その接合面外縁部に沿って同様に溶接部Wを
形成してこれを固着することにより形成される。なお、
これらチップは、例えば表記組成となるように各合金成
分を配合・溶解することにより得られる溶解材、又は合
金粉末あるいは所定比率で配合された金属単体成分粉末
を成形・焼結することにより得られる焼結材により構成
することができる。なお、発火部31及び対向する発火
部32は少なくとも一方を省略する構成としてもよい。
のような方法で製造される。まず、絶縁体2であるが、
これは原料粉末として、アルミナ粉末と、Si成分、C
a成分、Mg成分、Ba成分及びB成分の各成分源粉末
を、焼成後に酸化物換算にて前述の組成となる所定の比
率で配合し、所定量の結合剤(例えばPVA)と水とを
添加・混合して成形用素地スラリーを作る。なお、各成
分源粉末は、例えばSi成分はSiO2粉末、Ca成分
はCaCO3粉末、Mg成分はMgO粉末、Ba成分が
BaCO3あるいはBaSO4、B成分がH3BO3粉
末の形で配合できる。なお、H3BO3は溶液の形で配
合してもよい。
等により噴霧乾燥されて成形用素地造粒物とされる。そ
して、成形用素地造粒物をラバープレス成形することに
より、絶縁体の原形となるプレス成形体を作る。成形体
は、さらに外面側をグラインダ切削等により加工して、
図1の絶縁体2に対応した外形形状に仕上げられ、次い
で温度1400〜1600℃で焼成されて絶縁体2とな
る。
して行なう。まず、Si、B、Zn、Ba、及びアルカ
リ金属成分(Na、K、Li)等の各成分源となる成分
源粉末(例えば、Si成分はSiO2粉末、B成分はH
3BO3粉末、ZnはZnO粉末、Ba成分はBaCO
3あるいはBaSO4粉末、NaはNa2CO3粉末、
KはK2CO3粉末、LiはLi2CO3粉末)を、所
定の組成が得られるように配合して混合する。次いで、
その混合物を1000〜1500℃に加熱して溶融さ
せ、その溶融物を水中に投じて急冷・ガラス化し、さら
に粉砕することにより釉薬粉末を作る。そして、この釉
薬粉末にカオリン、蛙目粘土等の粘土鉱物と有機バイン
ダとを適量配合し、さらに水を加えて混合することによ
り釉薬スラリーを得る。
リーSを噴霧ノズルNから絶縁体2の必要な表面に噴霧
・塗布することにより、釉薬粉末堆積層としての釉薬ス
ラリー塗布層2d’を形成し、これを乾燥する。
成した絶縁体2への、中心電極3と端子金具13との組
付け、及び抵抗体15と導電性ガラスシール層16,1
7との形成工程の概略は以下の通りである。まず、図6
(a)に示すように、絶縁体2の貫通孔6に対し、その
第一部分6aに中心電極3を挿入した後、(b)に示す
ように導電性ガラス粉末Hを充填する。そして、(c)
に示すように、貫通孔6内に押さえ棒28を挿入して充
填した粉末Hを予備圧縮し、第一の導電性ガラス粉末層
26を形成する。次いで抵抗体組成物の原料粉末を充填
して同様に予備圧縮し、さらに導電性ガラス粉末を充填
して予備圧縮を行なうことにより、図6(d)に示すよ
うに、中心電極3側(下側)から貫通孔6内には、第一
の導電性ガラス粉末層26、抵抗体組成物粉末層25及
び第二の導電性ガラス粉末層27が積層された状態とな
る。
6に端子金具13を上方から配置した組立体PAを形成
する。この状態で加熱炉に挿入してガラス軟化点以上で
ある800〜950℃の所定温度に加熱し、その後、端
子金具13を貫通孔6内へ中心電極3と反対側から軸方
向に圧入して積層状態の各層25〜27を軸方向にプレ
スする。これにより、同図(b)に示すように、各層は
圧縮・焼結されてそれぞれ導電性ガラスシール層16、
抵抗体15及び導電性ガラスシール層17となる(以
上、ガラスシール工程)。
れる釉薬粉末の軟化点を600〜700℃としておけ
ば、図7に示すように、釉薬スラリー塗布層2d’を、
上記ガラスシール工程における加熱により同時に釉焼し
て釉薬層2dとすることができる。また、ガラスシール
工程の加熱温度として800〜950℃の比較的低い温
度を採用することで、中心電極3や端子金具13の表面
への酸化も生じにくくなる。
ーナー式のガス炉を用いると、加熱雰囲気には燃焼生成
物である水蒸気が比較的多く含まれる。このとき、釉薬
組成としてB成分の含有量を40mol%以下に留めた
ものを使用することにより、そのような水蒸気が多く存
在する雰囲気下においても、釉焼時の流動性が確保でき
て、しかも平滑で均質であり、かつ絶縁性も良好な釉薬
層形成が可能となる。
体PAには、主体金具1や接地電極4等が組み付けられ
て、図1に示すスパークプラグ100が完成する。スパ
ークプラグ100は、そのねじ部7においてエンジンブ
ロックに取り付けられ、燃焼室に供給される混合気への
着火源として使用される。ここで、スパークプラグ10
0への高圧ケーブルあるいはイグニッションコイルの装
着は、図1に仮想線で示すように、絶縁体2の本体部2
bの外周面を覆うゴムキャップ(例えばシリコンゴム等
で構成される)RCを用いて行われる。このゴムキャッ
プRCの孔径は、本体部2bの外径D1(図3)よりも
0.5〜1.0mm程度小さいものが使用される。本体
部2bは孔を弾性的に拡径しつつその基端部まで覆われ
るようにこれに押し込まれる。その結果、ゴムキャップ
RCは、孔内面において本体部2bの基端部外周面に密
着し、フラッシュオーバ等を防止するための絶縁被覆と
して機能する。
すタイプのものに限らず、接地電極の先端を中心電極の
側面と対向させてそれらの間に火花ギャップを形成した
ものであってもよい。また、スパークプラグを、絶縁体
の先端部を中心電極の側面と接地電極の先端面との間に
進入させたセミ沿面放電型スパークプラグとして構成し
てもよい。
を行なった。絶縁体2を次のようにして作製した。ま
ず、原料粉末として、アルミナ粉末(アルミナ95mo
l%、Na含有量(Na2O換算値)0.1mol%、
平均粒径3.0μm)に対し、SiO2(純度99.5
%、平均粒径1.5μm)、CaCO3(純度99.9
%、平均粒径2.0μm)、MgO(純度99.5%、
平均粒径2μm)、BaCO3(純度99.5%、平均
粒径1.5μm)、H3BO3(純度99.0%、平均
粒径1.5μm)、ZnO(純度99.5%、平均粒径
2.0μm)を所定比率にて配合するとともに、この配
合した粉末総量を100質量部として、親水性バインダ
としてのPVAを3質量部と、水103質量部とを加え
て湿式混合することにより、成形用素地スラリーを作製
した。
れぞれスプレードライ法により乾燥して、球状の成形用
素地造粒物を調製した。なお、造粒物は、ふるいにより
粒径50〜100μmに整粒している。そして、この造
粒物を、公知のラバープレス法により圧力50MPaに
て成形し、その成形体の外周面にグラインダ研削を施し
て所定の絶縁体形状に加工するとともに、温度1550
℃で焼成することにより絶縁体2を得た。なお、蛍光X
線分析により、絶縁体2は下記の組成を有していること
がわかった:Al成分:Al2O3換算値で94.9m
ol%;Si成分:SiO2換算値で2.4mol%;
Ca成分:CaO換算値で1.9mol%;Mg成分:
MgOに換算値で0.1mol%;Ba成分:BaOに
換算値で0.4mol%;B成分:B2O3換算値で
0.3mol%。
の各部寸法は以下の通りである:L1=約60mm、L2
=約8mm、L3=約14mm、D1=約10mm、D2
=約13mm、D3=約7mm、D4=5.5mm、D5
=4.5mm、D6=4mm、D7=2.6mm、t1=
1.5mm、t2=1.45mm、t3=1.25mm、
tA=1.35mm。さらに、図1を援用して示すと、
絶縁体2の主体金具1の後方側に突出している部分2k
の長さLQは25mmであり、絶縁体2の中心軸線Oを
含む縦断面を取ったときに、絶縁体2の突出部分2kの
外周面において、主体金具1の後端縁に対応する位置か
ら、コルゲーション2cを経て絶縁体2の後端縁に至る
までの、その段面外形線に沿って測った長さLPは29
mmである。
した。まず、原料としてSiO2(純度99.5%)、
Al2O3粉末(純度99.5%)、H3BO3粉末
(純度98.5%)、Na2CO3粉末(純度99.5
%)、K2CO3粉末(純度99%)、Li2CO3粉
末(純度99%)、SrCO3粉末(純度99%)、B
aSO4粉末(純度99.5%)、ZnO粉末(純度9
9.5%)、MoО3粉末(純度99%)、Fe2O3
粉末(純度99%)、WО3粉末(純度99%)、Ni
3O4粉末(純度99%)、MnO2粉末(純度99
%)、CaO粉末(純度99.5%)、ZrO2粉末
(純度99.5%)、TiO2粉末(純度99.5
%)、HfO2粉末(純度99%)、MgO粉末(純度
99.5%)、Bi 2O3粉末(純度99%)、SnO
2粉末(純度99.5%)、Sb2O5粉末(純度99
%)、P2O5粉末(純度99%)、CuO粉末(純度
99%)、CeO2粉末(純度99%)、Cr2O3粉
末(純度99.5%)、Sb2O5粉末(純度99%)
を各種比率で配合し、その混合物を1000〜1500
℃に加熱して溶融させ、その溶融物を水中に投じて急冷
・ガラス化し、さらにアルミナ製ポットミルにより粒径
50μm以下に粉砕することにより釉薬粉末を作製し
た。そして、この釉薬粉末100質量部に対し粘土鉱物
としてのニュージーランドカオリンを3質量部、及び有
機バインダとしてのPVAを2質量部配合し、さらに水
を100質量部加えて混合することにより釉薬スラリー
を得た。
ズルより絶縁体2の表面に噴霧後、乾燥して釉薬スラリ
ー塗布層2d’を形成した。なお、乾燥後の釉薬の塗布
厚さは100μm程度である。この絶縁体2を用いて、
図1に示すスパークプラグ100を各種作成した。ただ
し、ねじ部7の外径は14mmとした。また、抵抗体1
5の原料粉末としてはB2O3−SiO2−BaO−L
i2O系ガラス、ZrO2粉末、カーボンブラック粉
末、TiO2粉末、金属Al粉末を、導電性ガラスシー
ル層16,17の原料粉末としてはB2O3−SiO2
−Na2O系ガラス、Cu粉末、Fe粉末、Fe−B粉
末をそれぞれ用い、ガラスシール時の加熱温度、すなわ
ち釉焼温度は900℃にて行った。
料も作製した。なお、この塊状の釉薬試料は、X線回折
によりガラス化(非晶質化)したものであることを確認
した。これを用いて下記の実験を行った。 化学組成分析:蛍光X線分析による。各試料の分析値
(酸化物換算した値による)を表1〜表5に示してい
る。なお、絶縁体2の表面に形成された釉薬層2dの各
組成をEPMA法により測定したが、該塊状試料を用い
て測定した分析値とほぼ一致していることが確認でき
た。 熱膨張係数:塊状試料から寸法5mm×5mm×10
mmの測定試料を切り出し、公知のディラトメータ法に
より20℃から350℃までの平均値として測定してい
る。また、絶縁体2からも上記寸法の測定試料を切り出
し、同様の測定を行ったところ、その値は73×10
−7/℃であった。 軟化点:粉末試料50mgを加熱しながら示差熱分析
を行い、室温より測定開始し、第2番目の吸熱ピークと
なった温度を軟化点として測定した。なお、この温度
は、釉薬の粘度が4.5×107ポアズに到達する温度
に相当する。
0℃での絶縁抵抗測定を、図4を用いて既に説明した方
法により通電電圧1000Vにて行った。また、絶縁体
2に対する釉薬層2dの形成状態を目視にて観察すると
ともに、絶縁体の基端部外周面位置における釉薬層の膜
厚を断面のSEM観察により測定した。
撃試験を行った。すなわち、図8に示すように、各スパ
ークプラグ100の取付ねじ部7を試験品固定台203
のねじ孔203aにねじ込み、絶縁体2の本体部2bが
上向きに突出するように固定する。そして、その本体部
2bのさらに上方において、絶縁体2の中心軸線O上に
位置する軸支点202に対し、先端に鋼製のハンマー2
00を取り付けたアーム201を旋回可能に取り付け
る。なお、アーム201の長さは330mm、ハンマー
200の重量は1.13kgであり、絶縁体2の後方側
本体部2bに降り下ろしたときのハンマー位置が、絶縁
体2の後端面からの鉛直方向距離にして1mm(コルゲ
ーション2cの第一山位置に対応しているとなるよう
に)、軸支点202の位置が定められている。そして、
アーム201の中心軸線Oからの旋回角度が所定値とな
るようにハンマー200を持ち上げて、後方側本体部2
bに向けて自由落下により降り下ろす操作を、角度間隔
2゜にて徐々に大きくしながら繰り返し、絶縁体に割れ
が生ずる衝撃耐久角度値θを求めた。以上の結果を表1
〜表5に示す。
釉薬組成を選択することにより、Pbをほとんど含有し
ないにもかかわらず、比較的低温で釉焼可能であり、ま
た、十分な絶縁性能が確保されていることがわかる。ま
た、釉焼面の外観もおおむね良好である。さらに、衝撃
耐久角度値も35゜以上の良好な値に確保でき、釉薬層
付き絶縁体の耐衝撃性を向上できていることがわかる。
断面図。
説明図。
Claims (14)
- 【請求項1】 中心電極と主体金具との間にアルミナ系
セラミックからなる絶縁体を配したスパークプラグにお
いて、その絶縁体の表面の少なくとも一部を覆う形態で
酸化物主体の釉薬層が形成され、該釉薬層が、 Pb成分の含有量がPbO換算にて1mol%以下とさ
れ、 Si成分をSiO2に酸化物換算した値にて15〜60
mol%、B成分をB 2O3に酸化物換算した値にて2
2〜50mol%、Zn成分をZnOに酸化物換算した
値にて10〜30mol%、Ba及び/又はSr成分
を、BaOないしSrOに酸化物換算した値にて合計で
0.5〜35mol%含有し、 F成分の含有量が1mol%以下であり、 Al成分をAl2O3に酸化物換算した値にて0.1〜
5mol%含有し、 アルカリ金属成分として、NaはNa2O、KはK
2O、LiはLi2Oに酸化物換算した値にて、Liを
必須とする1種又は2種以上を合計で1.1〜10mo
l%の範囲にて含有し、 かつ、Li成分の含有量範囲がLi2Oに酸化物換算し
た値にて1.1〜6mol%とされたことを特徴とする
スパークプラグ。 - 【請求項2】 前記釉薬層は、Si成分をSiO2に酸
化物換算した値にて25〜40mol%含有し、Ba及
び/又はSr成分を、BaOないしSrOに酸化物換算
した値にて合計で0.5〜20mol%含有する請求項
1記載のスパークプラグ。 - 【請求項3】 前記釉薬層は、ZnO換算したZn成分
の含有量をNZnO(mol%)、BaO換算したBa成
分の含有量をNBaO(mol%)、SrO換算したSr
成分の含有量をNSrO(mol%)として、NZnO+NBa
O+NSrOが15〜45mol%である請求項1又は2に
記載のスパークプラグ。 - 【請求項4】 前記釉薬層は、ZnO換算したZn成分
の含有量をNZnO(mol%)、BaO換算したBa成
分の含有量をNBaO(mol%)、SrO換算したSr
成分の含有量をNSrO(mol%)として、NZnO>NBa
O+NSrOである請求項1ないし3のいずれか1項に記載
のスパークプラグ。 - 【請求項5】 前記釉薬層は、B2O3換算したB成分
の含有量をNB2O3(mol%)、ZnO換算したZn成
分の含有量をNZnO(mol%)、BaO換算したBa
成分の含有量をNBaO(mol%)、SrO換算したS
r成分の含有量をNSrO(mol%)として、NB2O3/
(NZnO+NBaO+NSrO)が0.5〜2.0である請求
項1ないし4のいずれか1項に記載のスパークプラグ。 - 【請求項6】 前記釉薬層は、Ti、Zr及びHfの1
種又は2種以上の成分を、ZrはZrO2に、TiはT
iO2に、HfはHfO2にそれぞれ酸化物換算した値
にて合計で0.5〜5mol%の範囲で含有する請求項
1ないし5のいずれか1項に記載のスパークプラグ。 - 【請求項7】 前記釉薬層は、Mo、Fe、W、Ni、
Co及びMnの1種又は2種以上の成分を、MoはMo
O3、FeはFe2O3、WはWO3、NiはNi3O
4、CoはCo3O4、MnはMnO2にそれぞれ酸化
物換算した値にて合計で0.5〜5mol%の範囲にて
含有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のスパ
ークプラグ。 - 【請求項8】 前記釉薬層は、CaOに酸化物換算した
値にて0.5〜10mol%のCa成分、及びMgOに
酸化物換算した値にて0.5〜10mol%のMg成分
の1種又は2種以上を合計で0.5〜12mol%含有
する請求項1ないし7のいずれか1項に記載のスパーク
プラグ。 - 【請求項9】 前記釉薬層は、Bi、Sn、Sb、P、
Cu、Ce及びCrの1種又は2種以上の成分を、Bi
はBi2O3に、SnはSnO2に、SbはSb2O5
に、PはP2O5に、CuはCuOに、CeはCeO2
に、CrはCr2O3にそれぞれ酸化物換算した値にて
合計で5mol%以下の範囲で含有する請求項1ないし
8のいずれか1項に記載のスパークプラグ。 - 【請求項10】 前記絶縁体には、軸線方向中間位置に
おいてその外周面に周方向の突出部が形成され、 該軸線方向において前記中心電極の先端に向かう側を前
方側として、前記突出部に対し後方側に隣接する絶縁体
本体部の基端部外周面が円筒面状に形成され、 その基端部外周面を覆う形で前記釉薬層が膜厚7〜50
μmの範囲内にて形成されている請求項1ないし9のい
ずれか1項に記載のスパークプラグ。 - 【請求項11】 前記絶縁体の軸線方向において火花放
電ギャップから遠ざかる方向を後方方向として、前記主
体金具を試験品固定台に対し、その主体金具から突出す
る絶縁体後方部が鉛直上向きとなるように固定する一
方、その絶縁体後方部のさらに上方において、絶縁体の
中心軸線上に位置する軸支点に対し、先端に1.13k
gの鋼製のハンマーを取り付けた長さ330mmのアー
ムを旋回可能に取り付けるとともに、前記絶縁体後方部
に降り下ろしたときのハンマー位置が、前記絶縁体の後
端面からの鉛直方向距離にして1mmとなるように前記
軸支点の位置を定め、 前記アームの前記中心軸線からの旋回角度が所定値とな
るようにハンマーを持ち上げて、前記絶縁体後方部に向
けて自由落下により降り下ろす操作を、角度2゜間隔で
段階的に大きくしながら繰り返したときの、絶縁体に割
れが生ずるときの限界角度として求められる衝撃耐久角
度値が35゜以上である請求項1ないし10のいずれか
1項に記載のスパークプラグ。 - 【請求項12】 前記スパークプラグは、前記絶縁体の
貫通孔内において、前記中心電極と一体に、又は導電性
結合層を間に挟んで前記中心電極と別体に設けられた軸
状の端子金具部を備え、 かつ該スパークプラグ全体を約500℃に保持し、前記
絶縁体を介して前記端子金具部と前記主体金具との間で
通電することにより測定される絶縁抵抗値が200MΩ
以上である請求項1ないし11のいずれか1項に記載の
スパークプラグ。 - 【請求項13】 前記絶縁体は、Al成分をAl2O3
に酸化物換算した重量にて85〜98mol%含有する
アルミナ系絶縁材料で構成されており、 前記釉薬層は、20〜350℃の温度範囲における前記
釉薬層の平均の熱膨張係数が、50×10−7/℃〜8
5×10−7/℃である請求項1ないし12のいずれか
1項に記載のスパークプラグ。 - 【請求項14】 前記釉薬層の軟化点が600〜700
℃である請求項1ないし13のいずれか1項に記載のス
パークプラグ。
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-
2001
- 2001-06-29 JP JP2001197669A patent/JP2002117955A/ja active Pending
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