JP2002175779A5 - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、車両用前照灯等の光源として用いられる放電バルブのアークチューブおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アークチューブは高輝度照射が可能なことから、近年では車両用前照灯等の光源としても多く用いられるようになってきている。
【0003】
車両用前照灯等に用いられるアークチューブは、一般に、図12に示すように、放電空間102を形成する発光管部104aの両側に各々ピンチシール部104bが形成されてなる石英ガラス製のアークチューブ本体104と、タングステン電極108およびリード線110がモリブデン箔112を介して連結固定されてなる1対の電極アッシー106とからなり、各電極アッシー106は、そのタングステン電極108の先端部を放電空間102へ突出させるようにして、各ピンチシール部104bにおいてアークチューブ本体104にピンチシールされている。そして、このアークチューブの放電空間102には、点灯時の演色性を高めるため、不活性ガスおよび水銀に加えて金属ハロゲン化物が封入されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記アークチューブ本体104は、石英ガラス管に熱加工を施すことにより形成されているので、放電空間102の軸線方向両端部における各タングステン電極108の周囲には、略楔状のスリット102aが不可避的に形成されることとなる。これら各スリット102aは、アークチューブの点灯時における温度が放電空間102の他の部位に比して低いので、該スリット102aには金属ハロゲン化物が堆積しやすい。そして、同図に示すように、各スリット102aに堆積した金属ハロゲン化物114はアークチューブの点灯時の発光に寄与しないので、アークチューブの発光色が所期の色とは異なった色に変化してしまうという問題がある。また、各スリット102aへの金属ハロゲン化物114の堆積量がある程度以上になると、アークチューブの点灯に有効利用可能な金属ハロゲン化物が不足するため、点灯不良を引き起こしてしまうという問題もある。
【0005】
本願発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、スリットへの金属ハロゲン化物の堆積による発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができるアークチューブおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、アークチューブ本体の構成に工夫を施すことにより、スリットの容積を縮小させて金属ハロゲン化物の堆積量の削減を図るようにし、もって上記目的達成を図るようにしたものである。
【0007】
すなわち、本願第1の発明に係るアークチューブは、
放電空間を形成する発光管部の両側に各々ピンチシール部が形成されるとともに、上記発光管部と上記各ピンチシール部との間に各々ネック部が形成されてなる石英ガラス製のアークチューブ本体と、上記放電空間へ先端部を突出させるようにして上記各ピンチシール部において上記アークチューブ本体にピンチシールされた1対のタングステン電極と、を備えてなるアークチューブにおいて、
上記ピンチシール部の、互いに対向する1対のピンチシール面の各々が、一般部とこの一般部に対して段下がりで略平面状に形成された段下がり平面部とからなり、
上記ネック部から上記ピンチシール部における各ピンチシール面の段下がり平面部までの軸線方向距離が、いずれも1mm以下の値に設定されている、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本願第2の発明に係るアークチューブは、
放電空間を形成する発光管部の両側に各々ピンチシール部が形成されるとともに、上記発光管部と上記各ピンチシール部との間に各々ネック部が形成されてなる石英ガラス製のアークチューブ本体と、上記放電空間へ先端部を突出させるようにして上記各ピンチシール部において上記アークチューブ本体にピンチシールされた1対のタングステン電極と、を備えてなるアークチューブにおいて、
上記ネック部から上記放電空間の軸線方向両端部におけるタングステン電極の周囲に形成される略楔状のスリットの先端までの、上記発光管部から離れる向きでの軸線方向距離が、0.5mm以下の値に設定されている、ことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本願発明に係るアークチューブの製造方法は、
放電空間を形成する発光管部の両側に各々ピンチシール部が形成されるとともに、上記発光管部と上記各ピンチシール部との間に各々ネック部が形成されてなる石英ガラス製のアークチューブ本体と、上記放電空間へ先端部を突出させるようにして上記各ピンチシール部において上記アークチューブ本体にピンチシールされた1対のタングステン電極と、を備えてなるアークチューブを製造する方法であって、
上記ピンチシールを、上記ピンチシール部に段下がり平面部を形成するための段上がり平面部を有する1対のピンチャを用い、これら各ピンチャの段上がり平面部における上記発光管部側の端縁を上記ネック部の形成予定位置から1mm以下の軸線方向距離の位置で上記アークチューブ本体に当接させるようにして行う、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「タングステン電極」は、タングステンを主成分とするものであれば、純粋なタングステン製の電極であってもよいし、その他の成分が添加された電極であってもよい。
【0011】
上記「軸線方向距離」とは、アークチューブの軸線方向に沿った距離を意味する物である。
【0012】
上記「ネック部」は、発光管部とピンチシール部との間のくびれた部分を意味するものであり、そのアークチューブの軸線方向の位置は最もくびれた位置として特定される。
【0013】
上記「段下がり平面部」は、一般部に対して段下がりで略平面状に形成されたものであれば、その輪郭形状や一般部に対する段下がり量等の具体的構成は特に限定されるものではない。
【0014】
本願各発明における「軸線方向距離」の範囲設定は、発光管部の両側のピンチシール部の双方に適用されるものであってもよいし、そのいずれか一方にのみ適用されるものであってもよい。
【0015】
【発明の作用効果】
上記構成に示すように、本願第1の発明に係るアークチューブは、そのアークチューブ本体に形成されたピンチシール部の、互いに対向する1対のピンチシール面の各々が、一般部とこの一般部に対して段下がりで略平面状に形成された段下がり平面部とからなり、ネック部からピンチシール部における各ピンチシール面の段下がり平面部までの軸線方向距離が、いずれも1mm以下の値に設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0016】
すなわち、ネック部からピンチシール部における各ピンチシール面の段下がり平面部までの軸線方向距離が非常に短いので、ピンチシールの際、タングステン電極に対してその先端部寄りの部位まで十分なピンチング圧力を作用させることができる。そしてこれにより放電空間の軸線方向両端部に形成される略楔状のスリットの容積を縮小させることができるので、該スリットへの金属ハロゲン化物の堆積量削減を図ることができ、これによりアークチューブの発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0017】
また、本願第2の発明に係るアークチューブは、アークチューブ本体のネック部から放電空間の軸線方向両端部に形成される略楔状のスリットの先端までの発光管部から離れる向きでの軸線方向距離が0.5mm以下の値に設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0018】
すなわち、ネック部からスリットの先端までの軸線方向距離が非常に短いので、スリットの容積を縮小させることができ、これにより該スリットへの金属ハロゲン化物の堆積量削減を図ることができるので、アークチューブの発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0019】
さらに、本願発明に係るアークチューブの製造方法は、
アークチューブ本体のピンチシール部においてタングステン電極をピンチシールする際、該ピンチシール部に段下がり平面部を形成するための段上がり平面部を有する1対のピンチャを用い、これら各ピンチャの段上がり平面部における発光管部側の端縁をネック部の形成予定位置から1mm以下の軸線方向距離の位置でアークチューブ本体に当接させるようにしてピンチシールを行うようになっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0020】
すなわち、ピンチシールの際、ピンチャの段上がり平面部における発光管部側の端縁がネック部の形成予定位置から極めて近い位置でアークチューブ本体に当接するので、タングステン電極に対してその先端部寄りの部位まで十分なピンチング圧力を作用させることができる。そしてこれにより放電空間の軸線方向両端部に形成される略楔状のスリットの容積を縮小させることができるので、該スリットへの金属ハロゲン化物の堆積量削減を図ることができ、これによりアークチューブの発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本願発明の一実施形態に係るアークチューブが組み込まれた放電バルブ10を示す側断面図であり、図2は、そのII部拡大図である。また、図3は、図2のIII-III 線断面図である。
【0023】
これらの図に示すように、この放電バルブ10は車両用前照灯に装着される光源バルブであって、前後方向に延びるアークチューブユニット12と、このアークチューブユニット12の後端部を固定支持する絶縁プラグユニット14とを備えてなっている。
【0024】
アークチューブユニット12は、アークチューブ16と、このアークチューブ16を囲むシュラウドチューブ18とが一体的に形成されてなっている。
【0025】
アークチューブ16は、石英ガラス管を加工してなるアークチューブ本体20と、このアークチューブ本体20内に埋設された前後1対の電極アッシー22とからなっている。
【0026】
アークチューブ本体20は、中央に略楕円球状の発光管部20Aが形成されるとともにその前後両側にピンチシール部20Bが形成されてなっている。発光管部20Aの内部には前後方向に延びる略楕円球状の放電空間24が形成されており、この放電空間24には水銀とキセノンガスと金属ハロゲン化物(例えば金属ヨウ化物)とが封入されている。
【0027】
各電極アッシー22は、棒状のタングステン電極26とリード線28とがモリブデン箔30を介して各々溶接により連結固定されてなり、各ピンチシール部20Bにおいてアークチューブ本体20にピンチシールされている。その際、各タングステン電極26は、その先端部が前後両側から互いに対向するようにして放電空間24内に突出した状態で、その先端部以外の部分がピンチシール部20B内に埋設されており、各モリブデン箔30は、その全体がピンチシール部20B内に埋設されている。
【0028】
図4は、図2のIV-IV 方向矢視図であり、図5および6は、図4のV-V 線断面図およびVI-VI 線断面図である。
【0029】
これらの図に示すように、前方側のピンチシール部20Bは、平面視において発光管部20Aから前方へ延びる略矩形形状を有しており、モリブデン箔30よりもある程度大きいサイズで形成されている。そして、このピンチシール部20Bと発光管部20Aとの間には、左右1対のネック部20Cが形成されている。なお、後方側のピンチシール部20Bについてもこれと同様の構成であるので、以下、前方側のピンチシール部20Bについて説明する。
【0030】
ピンチシール部20Bは、その断面形状が略横長矩形形状に設定されており、その上下両面20Baは、いずれも一般部20Ba1と段下がり平面部20Ba2とからなっている。
【0031】
一般部20Ba1は、上下各面20Baにおける左右両端部領域および後端部領域と、モリブデン箔30とタングステン電極26との接合部を含むようにして前後方向に延びるU字形領域と、モリブデン箔30とリード線28との接合部を含むようにして前後方向に延びる長円形領域とからなり、これら各領域が同一平面上に位置するようにして形成されている。一方、段下がり平面部20Ba2は、一般部20Ba1以外の全領域であって、一般部20Ba1に対して段下がりで平面状に形成されている。
【0032】
ピンチシール部20Bは、その幅AがA=3.8〜4.6mmに設定されており、その厚さBがB=1.8〜2.2mmに設定されている。ここで、幅Aは、左右方向の幅寸法であり、厚さBは、上下両面20Baの段下がり平面部20Ba2相互間の上下寸法である。
【0033】
図7および8は、前方側のピンチシール部20Bを形成するピンチシール工程を示す斜視図および平断面図である。
【0034】
これらの図に示すように、このピンチシール工程においては、すでに後方側のピンチシール部20Bが形成されたアークチューブ本体20を、その前端部が上を向くように配置した状態で、その発光管部20Aの上方に位置するピンチシール予定部20B´に対して1対のピンチャ2を左右両側から押し当てることにより、ピンチシール部20Bを形成するようになっている。
【0035】
両ピンチャ2は、平面視において点対称構造となっている。そして各ピンチャ2は、ピンチシール部20Bの上下各面20Baを形成するための正面部2aと、ピンチシール部20Bの両側面を形成するための側面部2bと、ピンチシールの際に相手側ピンチャに当接するストッパ部2cと、相手側ピンチャのストッパ部2cを受けるストッパ受け部2dとが形成されてなっている。各ピンチャ2の正面部2aには、ピンチシール部20Bの上下各面20Baにおける一般部20Ba1および段下がり平面部20Ba2に対応する一般部2a1および段上がり平面部2a2が形成されている。そして両ピンチャ2のストッパ部2cとストッパ受け部2dとの当接によりピンチシール時の成形空間が形成されるが、このとき両ピンチャ2の正面部2aの段上がり平面部2a2相互間の間隔D(B)によってピンチシール部20Bの厚さBが決定される。
【0036】
ところで、ピンチシール部20Bの上下各面20Baに、その一般部20Ba1としてU字形領域および長円形領域が設定されているのは、モリブデン箔30とタングステン電極26およびリード線28との各接合部において石英ガラスの肉厚が薄くなり割れが発生するのを未然に防止するためである。なお、これらU字形領域および長円形領域を一般部20Ba1として設定しておくことにより、電極アッシー22(特にタングステン電極26の先端部)の向きが前後方向軸線に対して左右方向に大きくずれないようにすることができる。
【0037】
ピンチシール予定部20B´は、アークチューブ本体20における一般の管状中空部に比して小径の中実構造となっており、その内部に電極アッシー22が位置決めされた状態で埋設されている。このピンチシール予定部20B´は、図9に示すように、ピンチシール工程の前工程であるシュリンクシール工程において、電極アッシー22が挿入されたアークチューブ本体20を左右両側から1対のバーナ4で加熱して該アークチューブ本体20を所定長にわたって熱収縮させることにより形成されるようになっている。
【0038】
図3および4に示すように、上記ピンチシールにより形成されたアークチューブ本体20には、その放電空間24の軸線方向両端部におけるタングステン電極26の左右両側に略楔状のスリット24aが形成される。一方、図2に示すように、放電空間24の軸線方向両端部におけるタングステン電極26の上下両側には、ピンチシール時にピンチャ2の押圧力が直接作用するため、このようなスリット24aはほとんど形成されない。
【0039】
図10は、図3の要部詳細図である。
【0040】
同図において、ネック部20Cからピンチシール部20Bにおける各ピンチシール面20Baの段下がり平面部20Ba2までの軸線方向距離L1は、いずれも1mm(より好ましくは0.75mm)以下の値(例えばL1=0.5〜0.7mm程度)に設定されている。これを実現するため、上記ピンチシール工程においては、各ピンチャ2の正面部2aにおける段上がり平面部2a2の下端縁がネック部20Cの形成予定位置から上方1mm以下の位置でアークチューブ本体20に当接させることによりピンチシールを行うようになっている。
【0041】
このようにネック部20Cからピンチシール部20Bにおける各ピンチシール面20Baの段下がり平面部20Ba2までの軸線方向距離L1を非常に短い値に設定することにより、ピンチシールの際、タングステン電極26に対してその先端部寄りの部位まで十分なピンチング圧力を作用させることができる。その結果、図10に示すように、タングステン電極26の左右両側に形成されるスリット24aは、いずれもその先端がネック部20Cよりも前方(発光管部20Aから離れる側)まで延びているが、ネック部20Cからスリット24aの先端までの軸線方向距離L2は0.5mm(より好ましくは0.25mm)以下の値(例えばL2=0.1〜0.2mm)となっている。そしてこれによりスリット24aの容積を縮小させることができるので、該スリット24aへの金属ハロゲン化物の堆積量削減を図ることができ、これによりアークチューブ16の発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0042】
なお、従来のアークチューブにおいては、ネック部20Cからピンチシール部20Bにおける各ピンチシール面20Baの段下がり平面部20Ba2までの軸線方向距離L1はL1=1.5〜2.5mm程度であり、その結果、ネック部20Cからスリット24aの先端まで軸線方向距離L2はL2=0.75〜2.0mm程度となっている。
【0043】
図11は、本実施形態に係るアークチューブ16の性能を確認するために行った実験の結果を示す色度図である。
【0044】
この実験は、アークチューブを連続点灯させたときの発光色の変化を調べるために、その色度を経時的に測定した実験である。供試サンプルは、スリット無しのアークチューブ(L2<0.25mmのもの)とスリットありのアークチューブ(L2>0.75mmのもの)とを各々10個ずつ準備した。そして、色度測定は、点灯を開始してから0時間、500時間、1000時間、1500時間の各時点で行った。
【0045】
同図において、(a)がスリット無しのアークチューブの実験結果であり、(b)がスリットありのアークチューブの実験結果である。図中の「+」印は10個のサンプルの平均値である。また、同図において矩形枠で示す色度範囲(0.360<x<0.410、0.375<y<0.405)が、車両用前照灯に装着される光源バルブ用のアークチューブとして好ましい色度範囲である。
【0046】
実験の結果は、図示のように、点灯開始直後は、スリット無しのアークチューブもスリットありのアークチューブも略同じ色度であったが、点灯時間が長くなると、スリットありのアークチューブは、スリット無しのアークチューブに比して色度が大きく変化した。そして、スリットありのアークチューブの色度は、点灯開始後1000時間で略すべてのサンプルが上記矩形枠の左下に外れてしまった。
【0047】
このようにスリットありのアークチューブの色度が大きく変化したのは、スリットへの金属ハロゲン化物の堆積によるものであると考察されるが、このような色度変化があると、アークチューブの発光色は青白くなりすぎてしまう。この点、スリット無しのアークチューブの色度はさほど変化しておらず、アークチューブの発光色が青白くなりすぎてしまうことはない。
【0048】
以上詳述したように、本実施形態に係るアークチューブ16は、ネック部20Cからピンチシール部20Bにおける各ピンチシール面20Baの段下がり平面部20Ba2までの軸線方向距離L1が1mm以下の値に設定されているので、ピンチシールの際、タングステン電極26に対してその先端部寄りの部位まで十分なピンチング圧力を作用させることができる。その結果、ネック部20Cからタングステン電極26の左右両側に形成されるスリット24aの先端までの軸線方向距離L2を0.5mm以下の値とすることができる。そしてこれによりスリット24aの容積を縮小させることができるので、該スリット24aへの金属ハロゲン化物の堆積量削減を図ることができる。
【0049】
したがって本実施形態によれば、アークチューブ16の発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0050】
本実施形態においては、車両用前照灯に装着される放電バルブ10のアークチューブ16について説明したが、これ以外の用途に用いられるアークチューブにおいても、本実施形態と同様の構成を採用することにより本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、車両用前照灯等の光源として用いられる放電バルブのアークチューブおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アークチューブは高輝度照射が可能なことから、近年では車両用前照灯等の光源としても多く用いられるようになってきている。
【0003】
車両用前照灯等に用いられるアークチューブは、一般に、図12に示すように、放電空間102を形成する発光管部104aの両側に各々ピンチシール部104bが形成されてなる石英ガラス製のアークチューブ本体104と、タングステン電極108およびリード線110がモリブデン箔112を介して連結固定されてなる1対の電極アッシー106とからなり、各電極アッシー106は、そのタングステン電極108の先端部を放電空間102へ突出させるようにして、各ピンチシール部104bにおいてアークチューブ本体104にピンチシールされている。そして、このアークチューブの放電空間102には、点灯時の演色性を高めるため、不活性ガスおよび水銀に加えて金属ハロゲン化物が封入されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記アークチューブ本体104は、石英ガラス管に熱加工を施すことにより形成されているので、放電空間102の軸線方向両端部における各タングステン電極108の周囲には、略楔状のスリット102aが不可避的に形成されることとなる。これら各スリット102aは、アークチューブの点灯時における温度が放電空間102の他の部位に比して低いので、該スリット102aには金属ハロゲン化物が堆積しやすい。そして、同図に示すように、各スリット102aに堆積した金属ハロゲン化物114はアークチューブの点灯時の発光に寄与しないので、アークチューブの発光色が所期の色とは異なった色に変化してしまうという問題がある。また、各スリット102aへの金属ハロゲン化物114の堆積量がある程度以上になると、アークチューブの点灯に有効利用可能な金属ハロゲン化物が不足するため、点灯不良を引き起こしてしまうという問題もある。
【0005】
本願発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、スリットへの金属ハロゲン化物の堆積による発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができるアークチューブおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、アークチューブ本体の構成に工夫を施すことにより、スリットの容積を縮小させて金属ハロゲン化物の堆積量の削減を図るようにし、もって上記目的達成を図るようにしたものである。
【0007】
すなわち、本願第1の発明に係るアークチューブは、
放電空間を形成する発光管部の両側に各々ピンチシール部が形成されるとともに、上記発光管部と上記各ピンチシール部との間に各々ネック部が形成されてなる石英ガラス製のアークチューブ本体と、上記放電空間へ先端部を突出させるようにして上記各ピンチシール部において上記アークチューブ本体にピンチシールされた1対のタングステン電極と、を備えてなるアークチューブにおいて、
上記ピンチシール部の、互いに対向する1対のピンチシール面の各々が、一般部とこの一般部に対して段下がりで略平面状に形成された段下がり平面部とからなり、
上記ネック部から上記ピンチシール部における各ピンチシール面の段下がり平面部までの軸線方向距離が、いずれも1mm以下の値に設定されている、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本願第2の発明に係るアークチューブは、
放電空間を形成する発光管部の両側に各々ピンチシール部が形成されるとともに、上記発光管部と上記各ピンチシール部との間に各々ネック部が形成されてなる石英ガラス製のアークチューブ本体と、上記放電空間へ先端部を突出させるようにして上記各ピンチシール部において上記アークチューブ本体にピンチシールされた1対のタングステン電極と、を備えてなるアークチューブにおいて、
上記ネック部から上記放電空間の軸線方向両端部におけるタングステン電極の周囲に形成される略楔状のスリットの先端までの、上記発光管部から離れる向きでの軸線方向距離が、0.5mm以下の値に設定されている、ことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本願発明に係るアークチューブの製造方法は、
放電空間を形成する発光管部の両側に各々ピンチシール部が形成されるとともに、上記発光管部と上記各ピンチシール部との間に各々ネック部が形成されてなる石英ガラス製のアークチューブ本体と、上記放電空間へ先端部を突出させるようにして上記各ピンチシール部において上記アークチューブ本体にピンチシールされた1対のタングステン電極と、を備えてなるアークチューブを製造する方法であって、
上記ピンチシールを、上記ピンチシール部に段下がり平面部を形成するための段上がり平面部を有する1対のピンチャを用い、これら各ピンチャの段上がり平面部における上記発光管部側の端縁を上記ネック部の形成予定位置から1mm以下の軸線方向距離の位置で上記アークチューブ本体に当接させるようにして行う、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「タングステン電極」は、タングステンを主成分とするものであれば、純粋なタングステン製の電極であってもよいし、その他の成分が添加された電極であってもよい。
【0011】
上記「軸線方向距離」とは、アークチューブの軸線方向に沿った距離を意味する物である。
【0012】
上記「ネック部」は、発光管部とピンチシール部との間のくびれた部分を意味するものであり、そのアークチューブの軸線方向の位置は最もくびれた位置として特定される。
【0013】
上記「段下がり平面部」は、一般部に対して段下がりで略平面状に形成されたものであれば、その輪郭形状や一般部に対する段下がり量等の具体的構成は特に限定されるものではない。
【0014】
本願各発明における「軸線方向距離」の範囲設定は、発光管部の両側のピンチシール部の双方に適用されるものであってもよいし、そのいずれか一方にのみ適用されるものであってもよい。
【0015】
【発明の作用効果】
上記構成に示すように、本願第1の発明に係るアークチューブは、そのアークチューブ本体に形成されたピンチシール部の、互いに対向する1対のピンチシール面の各々が、一般部とこの一般部に対して段下がりで略平面状に形成された段下がり平面部とからなり、ネック部からピンチシール部における各ピンチシール面の段下がり平面部までの軸線方向距離が、いずれも1mm以下の値に設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0016】
すなわち、ネック部からピンチシール部における各ピンチシール面の段下がり平面部までの軸線方向距離が非常に短いので、ピンチシールの際、タングステン電極に対してその先端部寄りの部位まで十分なピンチング圧力を作用させることができる。そしてこれにより放電空間の軸線方向両端部に形成される略楔状のスリットの容積を縮小させることができるので、該スリットへの金属ハロゲン化物の堆積量削減を図ることができ、これによりアークチューブの発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0017】
また、本願第2の発明に係るアークチューブは、アークチューブ本体のネック部から放電空間の軸線方向両端部に形成される略楔状のスリットの先端までの発光管部から離れる向きでの軸線方向距離が0.5mm以下の値に設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0018】
すなわち、ネック部からスリットの先端までの軸線方向距離が非常に短いので、スリットの容積を縮小させることができ、これにより該スリットへの金属ハロゲン化物の堆積量削減を図ることができるので、アークチューブの発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0019】
さらに、本願発明に係るアークチューブの製造方法は、
アークチューブ本体のピンチシール部においてタングステン電極をピンチシールする際、該ピンチシール部に段下がり平面部を形成するための段上がり平面部を有する1対のピンチャを用い、これら各ピンチャの段上がり平面部における発光管部側の端縁をネック部の形成予定位置から1mm以下の軸線方向距離の位置でアークチューブ本体に当接させるようにしてピンチシールを行うようになっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0020】
すなわち、ピンチシールの際、ピンチャの段上がり平面部における発光管部側の端縁がネック部の形成予定位置から極めて近い位置でアークチューブ本体に当接するので、タングステン電極に対してその先端部寄りの部位まで十分なピンチング圧力を作用させることができる。そしてこれにより放電空間の軸線方向両端部に形成される略楔状のスリットの容積を縮小させることができるので、該スリットへの金属ハロゲン化物の堆積量削減を図ることができ、これによりアークチューブの発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本願発明の一実施形態に係るアークチューブが組み込まれた放電バルブ10を示す側断面図であり、図2は、そのII部拡大図である。また、図3は、図2のIII-III 線断面図である。
【0023】
これらの図に示すように、この放電バルブ10は車両用前照灯に装着される光源バルブであって、前後方向に延びるアークチューブユニット12と、このアークチューブユニット12の後端部を固定支持する絶縁プラグユニット14とを備えてなっている。
【0024】
アークチューブユニット12は、アークチューブ16と、このアークチューブ16を囲むシュラウドチューブ18とが一体的に形成されてなっている。
【0025】
アークチューブ16は、石英ガラス管を加工してなるアークチューブ本体20と、このアークチューブ本体20内に埋設された前後1対の電極アッシー22とからなっている。
【0026】
アークチューブ本体20は、中央に略楕円球状の発光管部20Aが形成されるとともにその前後両側にピンチシール部20Bが形成されてなっている。発光管部20Aの内部には前後方向に延びる略楕円球状の放電空間24が形成されており、この放電空間24には水銀とキセノンガスと金属ハロゲン化物(例えば金属ヨウ化物)とが封入されている。
【0027】
各電極アッシー22は、棒状のタングステン電極26とリード線28とがモリブデン箔30を介して各々溶接により連結固定されてなり、各ピンチシール部20Bにおいてアークチューブ本体20にピンチシールされている。その際、各タングステン電極26は、その先端部が前後両側から互いに対向するようにして放電空間24内に突出した状態で、その先端部以外の部分がピンチシール部20B内に埋設されており、各モリブデン箔30は、その全体がピンチシール部20B内に埋設されている。
【0028】
図4は、図2のIV-IV 方向矢視図であり、図5および6は、図4のV-V 線断面図およびVI-VI 線断面図である。
【0029】
これらの図に示すように、前方側のピンチシール部20Bは、平面視において発光管部20Aから前方へ延びる略矩形形状を有しており、モリブデン箔30よりもある程度大きいサイズで形成されている。そして、このピンチシール部20Bと発光管部20Aとの間には、左右1対のネック部20Cが形成されている。なお、後方側のピンチシール部20Bについてもこれと同様の構成であるので、以下、前方側のピンチシール部20Bについて説明する。
【0030】
ピンチシール部20Bは、その断面形状が略横長矩形形状に設定されており、その上下両面20Baは、いずれも一般部20Ba1と段下がり平面部20Ba2とからなっている。
【0031】
一般部20Ba1は、上下各面20Baにおける左右両端部領域および後端部領域と、モリブデン箔30とタングステン電極26との接合部を含むようにして前後方向に延びるU字形領域と、モリブデン箔30とリード線28との接合部を含むようにして前後方向に延びる長円形領域とからなり、これら各領域が同一平面上に位置するようにして形成されている。一方、段下がり平面部20Ba2は、一般部20Ba1以外の全領域であって、一般部20Ba1に対して段下がりで平面状に形成されている。
【0032】
ピンチシール部20Bは、その幅AがA=3.8〜4.6mmに設定されており、その厚さBがB=1.8〜2.2mmに設定されている。ここで、幅Aは、左右方向の幅寸法であり、厚さBは、上下両面20Baの段下がり平面部20Ba2相互間の上下寸法である。
【0033】
図7および8は、前方側のピンチシール部20Bを形成するピンチシール工程を示す斜視図および平断面図である。
【0034】
これらの図に示すように、このピンチシール工程においては、すでに後方側のピンチシール部20Bが形成されたアークチューブ本体20を、その前端部が上を向くように配置した状態で、その発光管部20Aの上方に位置するピンチシール予定部20B´に対して1対のピンチャ2を左右両側から押し当てることにより、ピンチシール部20Bを形成するようになっている。
【0035】
両ピンチャ2は、平面視において点対称構造となっている。そして各ピンチャ2は、ピンチシール部20Bの上下各面20Baを形成するための正面部2aと、ピンチシール部20Bの両側面を形成するための側面部2bと、ピンチシールの際に相手側ピンチャに当接するストッパ部2cと、相手側ピンチャのストッパ部2cを受けるストッパ受け部2dとが形成されてなっている。各ピンチャ2の正面部2aには、ピンチシール部20Bの上下各面20Baにおける一般部20Ba1および段下がり平面部20Ba2に対応する一般部2a1および段上がり平面部2a2が形成されている。そして両ピンチャ2のストッパ部2cとストッパ受け部2dとの当接によりピンチシール時の成形空間が形成されるが、このとき両ピンチャ2の正面部2aの段上がり平面部2a2相互間の間隔D(B)によってピンチシール部20Bの厚さBが決定される。
【0036】
ところで、ピンチシール部20Bの上下各面20Baに、その一般部20Ba1としてU字形領域および長円形領域が設定されているのは、モリブデン箔30とタングステン電極26およびリード線28との各接合部において石英ガラスの肉厚が薄くなり割れが発生するのを未然に防止するためである。なお、これらU字形領域および長円形領域を一般部20Ba1として設定しておくことにより、電極アッシー22(特にタングステン電極26の先端部)の向きが前後方向軸線に対して左右方向に大きくずれないようにすることができる。
【0037】
ピンチシール予定部20B´は、アークチューブ本体20における一般の管状中空部に比して小径の中実構造となっており、その内部に電極アッシー22が位置決めされた状態で埋設されている。このピンチシール予定部20B´は、図9に示すように、ピンチシール工程の前工程であるシュリンクシール工程において、電極アッシー22が挿入されたアークチューブ本体20を左右両側から1対のバーナ4で加熱して該アークチューブ本体20を所定長にわたって熱収縮させることにより形成されるようになっている。
【0038】
図3および4に示すように、上記ピンチシールにより形成されたアークチューブ本体20には、その放電空間24の軸線方向両端部におけるタングステン電極26の左右両側に略楔状のスリット24aが形成される。一方、図2に示すように、放電空間24の軸線方向両端部におけるタングステン電極26の上下両側には、ピンチシール時にピンチャ2の押圧力が直接作用するため、このようなスリット24aはほとんど形成されない。
【0039】
図10は、図3の要部詳細図である。
【0040】
同図において、ネック部20Cからピンチシール部20Bにおける各ピンチシール面20Baの段下がり平面部20Ba2までの軸線方向距離L1は、いずれも1mm(より好ましくは0.75mm)以下の値(例えばL1=0.5〜0.7mm程度)に設定されている。これを実現するため、上記ピンチシール工程においては、各ピンチャ2の正面部2aにおける段上がり平面部2a2の下端縁がネック部20Cの形成予定位置から上方1mm以下の位置でアークチューブ本体20に当接させることによりピンチシールを行うようになっている。
【0041】
このようにネック部20Cからピンチシール部20Bにおける各ピンチシール面20Baの段下がり平面部20Ba2までの軸線方向距離L1を非常に短い値に設定することにより、ピンチシールの際、タングステン電極26に対してその先端部寄りの部位まで十分なピンチング圧力を作用させることができる。その結果、図10に示すように、タングステン電極26の左右両側に形成されるスリット24aは、いずれもその先端がネック部20Cよりも前方(発光管部20Aから離れる側)まで延びているが、ネック部20Cからスリット24aの先端までの軸線方向距離L2は0.5mm(より好ましくは0.25mm)以下の値(例えばL2=0.1〜0.2mm)となっている。そしてこれによりスリット24aの容積を縮小させることができるので、該スリット24aへの金属ハロゲン化物の堆積量削減を図ることができ、これによりアークチューブ16の発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0042】
なお、従来のアークチューブにおいては、ネック部20Cからピンチシール部20Bにおける各ピンチシール面20Baの段下がり平面部20Ba2までの軸線方向距離L1はL1=1.5〜2.5mm程度であり、その結果、ネック部20Cからスリット24aの先端まで軸線方向距離L2はL2=0.75〜2.0mm程度となっている。
【0043】
図11は、本実施形態に係るアークチューブ16の性能を確認するために行った実験の結果を示す色度図である。
【0044】
この実験は、アークチューブを連続点灯させたときの発光色の変化を調べるために、その色度を経時的に測定した実験である。供試サンプルは、スリット無しのアークチューブ(L2<0.25mmのもの)とスリットありのアークチューブ(L2>0.75mmのもの)とを各々10個ずつ準備した。そして、色度測定は、点灯を開始してから0時間、500時間、1000時間、1500時間の各時点で行った。
【0045】
同図において、(a)がスリット無しのアークチューブの実験結果であり、(b)がスリットありのアークチューブの実験結果である。図中の「+」印は10個のサンプルの平均値である。また、同図において矩形枠で示す色度範囲(0.360<x<0.410、0.375<y<0.405)が、車両用前照灯に装着される光源バルブ用のアークチューブとして好ましい色度範囲である。
【0046】
実験の結果は、図示のように、点灯開始直後は、スリット無しのアークチューブもスリットありのアークチューブも略同じ色度であったが、点灯時間が長くなると、スリットありのアークチューブは、スリット無しのアークチューブに比して色度が大きく変化した。そして、スリットありのアークチューブの色度は、点灯開始後1000時間で略すべてのサンプルが上記矩形枠の左下に外れてしまった。
【0047】
このようにスリットありのアークチューブの色度が大きく変化したのは、スリットへの金属ハロゲン化物の堆積によるものであると考察されるが、このような色度変化があると、アークチューブの発光色は青白くなりすぎてしまう。この点、スリット無しのアークチューブの色度はさほど変化しておらず、アークチューブの発光色が青白くなりすぎてしまうことはない。
【0048】
以上詳述したように、本実施形態に係るアークチューブ16は、ネック部20Cからピンチシール部20Bにおける各ピンチシール面20Baの段下がり平面部20Ba2までの軸線方向距離L1が1mm以下の値に設定されているので、ピンチシールの際、タングステン電極26に対してその先端部寄りの部位まで十分なピンチング圧力を作用させることができる。その結果、ネック部20Cからタングステン電極26の左右両側に形成されるスリット24aの先端までの軸線方向距離L2を0.5mm以下の値とすることができる。そしてこれによりスリット24aの容積を縮小させることができるので、該スリット24aへの金属ハロゲン化物の堆積量削減を図ることができる。
【0049】
したがって本実施形態によれば、アークチューブ16の発光色の変化や点灯不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0050】
本実施形態においては、車両用前照灯に装着される放電バルブ10のアークチューブ16について説明したが、これ以外の用途に用いられるアークチューブにおいても、本実施形態と同様の構成を採用することにより本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
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