JP2002173609A - 光安定性に優れた紅麹色素 - Google Patents
光安定性に優れた紅麹色素Info
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Abstract
蔵ショーケース等で蛍光灯や日光による光照射を受けた
状態で保存される場合において光照射による褪色を抑制
安定化する方法を開発すること及び光照射に対する安定
性が改善された紅麹色素製剤を開発することを課題とす
る。 【解決手段】 紅麹色素にタンニン酸あるいはカテキン
等の植物ポリフェノール、又は植物ポリフェノールと多
価アルコールとの併用物を配合するか、若しくは、それ
らに更にトコフェロールを併用添加することにより課題
が解決される。
Description
色素の褪色を抑制安定化する方法、及び光照射による褪
色から安定化された加工食品用紅麹色素組成物に関す
る。
酵により生産される赤色ないし橙色素で、タンパク質と
の結合性が極めて強いことからカニ風味かまぼこを代表
とする水産練り製品や味付けタコ等タンパク食品を中心
に加工食品の着色料として古来より広く使用されている
色素である。しかしながら、紅麹色素は光に対する安定
性が弱いため、紅麹色素を添加して着色した加工食品が
ショーケース等で日光あるいは蛍光灯で照射される条件
で保存されると極く短時間の間に褪色が進み商品性を損
なうという欠点があり応用の幅が限られたものとなって
いた。
トコフェロールやアスコルビン酸等の酸化防止剤を添加
するなど種々の方法が試みられているが未だ満足のいく
方法が見出されておらず、光線をカットするために赤色
や橙赤色の着色包装資材による包装が行われているのが
実情である。しかしながら、これら着色包装資材を使用
して包装する場合は光線カットのためにその食品の全体
を包み込む必要があり、食品そのものの姿が外からは見
えなくなる欠点がある。
ら安定化された紅麹色素の開発が望まれていた。
添加して着色された加工食品が冷蔵ショーケース等で光
照射を受け保存される場合において光照射による褪色を
抑制安定化する方法を開発すること及び光照射に対する
安定性が改善された紅麹色素製剤を開発することを課題
とする。
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、醗酵生産物よ
り抽出した紅麹色素に植物ポリフェノール若しくは植物
ポリフェノールとトコフェロールとを併用添加すること
により課題が解決されること、更に好ましくはそれらと
多価アルコールとを併用添加することにより効果が向上
されることを見出し本発明を完成させたものである。
知の方法により紅麹カビにより醗酵されて得られた水溶
性の赤色色素が用いられる。
醗酵生産物より水抽出、含水エタノール抽出あるいは含
水プロピレングリコール溶液等により抽出されるが、水
抽出物、含水エタノール抽出物、含水エタノールで抽出
した後エタノールを除去したもの、またはそれらの乾燥
物、あるいは含水プロピレングリコール抽出物等が用い
られる。
しては、タンニン酸、緑茶抽出物、ウーロン茶抽出物、
赤ワインポリフェノール、ブドウ種子抽出物、リンゴ抽
出物、ブルーベリー抽出物、柑橘果皮抽出物、カカオポ
リフェノール、シソ種子ポリフェノール、ユーカリポリ
フェノール、月見草ポリフェノール、ルチン、グァバ抽
出物あるいはローズマリー抽出物等が挙げられ、これら
の1種又は2種以上の混合物で使用できるが、本発明の
目的に対しては、それらの中でもタンニン酸及び緑茶抽
出物がより有効である。
タマリンドの種皮、タラ末、没食子又はミモザの皮等の
植物体より水、エタノール、または有機溶剤で抽出して
得られる多種のポリフェノールを成分とするものであ
る。これらタンニン酸はタンパク質との結合性が強く、
ビール、清酒等醸造におけるおりさげ剤(除タンパク
剤)として使用される他、野菜のくずれ防止剤、菓子類
のフレーバー剤等として使用されているものである。
セリン、プロピレングリコール等に可溶であり本発明に
おいてはこれらの溶液として使用される。
ラバノールの単量体を主体とする低分子ポリフェノール
を主成分とするものであり、通常緑茶のカテキンとして
は、カテキン、エピカテキン、エピカテキンガレート、
エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート及びガロ
カテキンが知られている。緑茶抽出物は、茶の葉より、
水、酸性水溶液、含水エタノール、エタノール、含水メ
タノール、メタノール、アセトン、酢酸エトル又はグリ
セリン水溶液で抽出したものより得られ、含水エタノー
ル、含水グリセリンあるいは含水プロピレングリコール
等の溶液又は乾燥した粉末として使用される。
植物を原料とする植物油脂から得られるミックストコフ
ェロール、それから分別されたd−α−トコフェロー
ル、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロー
ル、d−δ−トコフェロールあるいは合成で得られるd
l−α−トコフェロール若しくはそれらの1種以上の混
合物として使用される。これらトコフェロール類は水に
不溶であるため本発明の目的のためには水中油型乳化物
又は水可溶化処理物あるいはそれらの乾燥物として使用
される。
ピレングリコール、グリセロール、グルコース、フラク
トース等の単糖類、マルトース等の二糖類、水あめ等の
デンプン加水分解物、ソルビット、マルチトール、キシ
リトール、エリスリトール、トレハロース等の糖アルコ
ール等が単独又は2種以上の混合物として使用できる。
コール類を併用することにより紅麹色素の光照射による
褪色からの安定性がより良く改善される。また、これら
の多価アルコール類は微生物の生育抑制効果をも有して
おり液体状の紅麹色素製剤を調製する場合においてもそ
の腐敗を防止し保存安定性を高めることができることか
らも有用である。
ノール及びトコフェロールは加工食品製造時に別々に添
加することも可能であるが、紅麹色素と植物ポリフェノ
ールとは予め混合した製剤として用いることがより効果
的である。かかる本発明の紅麹色素組成物は上記の如き
処理により抽出又は抽出濃縮された紅麹色素に必要な多
価アルコールを添加し、これに水、エタノール、プロピ
レングリコール、グリセロールあるいは多価アルコール
水溶液に溶かした植物ポリフェノールを配合することに
より得られる。このようにして得られた植物ポリフェノ
ール処理された紅麹色素組成物は噴霧乾燥、流動相造粒
乾燥、凍結乾燥等の方法による乾燥物とすることも可能
である。このような乾燥物を得る場合にはコーンスター
チ,小麦デンプン等のデンプン類、カゼイン、大豆タン
パク等の蛋白質類、その他の粉末化のための賦型剤ある
いは固結防止剤や流動化剤等を併用することが可能であ
る。
物として調製されたトコフェロールは上記植物ポリフェ
ノールと多価アルコールとの混合製剤中に混合するか、
加工食品製造時に、植物ポリフェノールと多価アルコー
ルとの混合製剤とは別々に添加して使用することができ
る。
色素組成物は、パン・焼き菓子類、キャンディー類、味
付けタコ、カニ風味かまぼこ、茹でエビ、珍味類等の水
産加工品、タレ・つゆ類、焼き豚,ハム・ソーセージ、
煮豆、ジャム、冷菓等水溶性の赤色色素が使用される各
種の加工食品に応用が可能であり、例えば橙色素を得る
ためにクチナシ色素と併用する等、色調調製のために必
要であれば他の色素と併用することも可能である。
する。
液に紅麹色素を溶解した製品(リケカラーR−30:理
研ビタミン社)に各種植物ポリフェールを0.5質量%
添加溶解した液を調製し、更に、それぞれの液をクエン
酸緩衝液に溶解して、吸光度1.0の希釈液(pH=
7)を調製した。それぞれの希釈液を100ml容共栓
付マイエルフラスコに100g採取し密栓したものを、
温度10℃、5,000ルクスの蛍光灯下に静置保存し
て経時的に色価を測定し、試験開始時(100%)と比
較した色価残存率(%)の変化を求めた。結果を表1に
示した。植物ポリフェノールの添加により安定性が改善
され、それらの中でもタンニン酸及び緑茶抽出物の改善
効果が特に優れることが認められる。
ール水溶液に紅麹色素を溶解した製品(リケカラー紅麹
PG−90:理研ビタミン社製)に加水分解型タンニン
酸(F―タンニン:大日本製薬製)の添加量0(比較例
1)、0.5質量%(実施例1)及び1.0質量%(実
施例2)を溶解した液を調製し、更に、それぞれの液を
クエン酸緩衝液に溶解して、吸光度1.0の希釈液を調
製した。それぞれの希釈液を100ml容共栓付マイエ
ルフラスコに100g採取し密栓したものを5,000
ルクスの蛍光灯の下に静置保存し経時的な色価を測定
し、試験開始時(100%)と比較した色素残存率
(%)の変化を求めた。結果を表2に示した。タンニン
酸の添加により安定性が改善されることが認められる。
び実施例の色素液それぞれを、円盤状に成形した調味ス
ケトウすり身に塗布し、ラップフィルムで覆い加熱蒸煮
した。冷却後、10℃に保温したショーケース中で着色
した表面を5000ルクスの蛍光灯で照射しながら保存
した。経時的な表面色の変化を観察した。但し、結果は
以下の記号で示した。 ◎ 殆ど褪色が見られない。 ○ やや褪色が見られるが十分な色が残っている。 △ 褪色が見られ色調も橙が強くなる × 褪色が大きく色調は黄色味が強くなる。 結果を表3に示した。タンニン酸添加区での改善効果が
認められる。
エタノール水溶液で抽出した紅麹色素を減圧濃縮し、色
価420の濃縮液を得た。これに、タンニン酸、多価ア
ルコール類を加え表4に示す色素液組成物を調製した。
それぞれの液について試験例2と同様に試験し、試験開
始時(100%)に比較した経時的な色素の残存率
(%)を試験した。結果を表5に示した。実施例の試料
の効果が良好であることが認められる。
ーR−30にタンニン酸(F−タンニン)を0.7質量
%加えたものを、クエン酸緩衝液に溶解して吸光度1.
0の希釈液(pH=7)を調製した。これに水可溶化ミ
ックストコフェロール液(E乳剤20:理研ビタミン
社)をミックストコフェロール添加量として、0、0.
1及び0.5質量%となる量を加えた液を調製し、それ
ぞれの液を100ml共栓付マイエルフラスコに100
g採取し密栓したものを温度10℃で5,000ルクス
の蛍光灯下に静置保存して経時的に色価を測定し、試験
開始時(100%)と比較した色価残存率(%)を求め
た。結果を表6に示した。トコフェロールの添加により
安定性がより改善されることが認められる。
いはカテキン等の植物ポリフェノール及び/又は多価ア
ルコールとを併用添加するか、若しくはそれらにトコフ
ェロールを併用添加することにより、紅麹色素の光照射
による劣化が安定化され、又、それらの成分から構成さ
れた組成物を使用することにより、従来より長い期間店
頭に陳列することが可能な加工食品が得られ、商品性を
高めることが可能になる。
Claims (6)
- 【請求項1】 紅麹色素に植物ポリフェノール単独若し
くは植物ポリフェノールとトコフェロールとを併用添加
することを特徴とする光照射による紅麹色素の褪色から
の安定化方法。 - 【請求項2】 紅麹色素に植物ポリフェノールと多価ア
ルコールとを併用若しくは植物ポリフェノール、トコフ
ェロール及び多価アルコールとを併用添加することを特
徴とする光照射による紅麹色素の褪色からの安定化方
法。 - 【請求項3】 紅麹色素に植物ポリフェノール単独若し
くは植物ポリフェノールとトコフェロールとを併用添加
することにより光照射による褪色から安定化された食品
用紅麹色素組成物。 - 【請求項4】 紅麹色素に植物ポリフェノールと多価ア
ルコールの併用若しくは植物ポリフェノール、トコフェ
ロール及び多価アルコールとを併用添加することにより
光照射による褪色から安定化された加工食品用紅麹色素
組成物。 - 【請求項5】 植物ポリフェノールがタンニン酸及び/
又茶抽出物であることを特徴とする請求項1又は請求項
2記載の光照射による紅麹色素の褪色からの安定化方
法。 - 【請求項6】 植物ポリフェノールがタンニン酸及び/
又は茶抽出物であることを特徴とする請求項3又は請求
項4記載の光照射による褪色から安定化された加工食品
用紅麹色素組成物。
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JP2009108291A (ja) * | 2007-10-10 | 2009-05-21 | Yaegaki Hakko Giken Kk | 茶色系着色液 |
JP2011200195A (ja) * | 2010-03-26 | 2011-10-13 | Gunze Ltd | 紅麹色素組成物、紅麹色素の退色防止方法、紅麹製造方法、紅麹又はその抽出物、それらを含む食品及び化粧品 |
JP2012075340A (ja) * | 2010-09-30 | 2012-04-19 | Riken Vitamin Co Ltd | アントシアニン色素の退色防止剤 |
JP2014150726A (ja) * | 2013-02-04 | 2014-08-25 | Okuno Chem Ind Co Ltd | 抗菌用製剤 |
JP2015180719A (ja) * | 2014-03-04 | 2015-10-15 | 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 | 紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤 |
JP2016065158A (ja) * | 2014-09-25 | 2016-04-28 | グンゼ株式会社 | 紅麹色素製剤、及びその製造方法 |
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- 2001-04-04 JP JP2001105990A patent/JP4159074B2/ja not_active Expired - Fee Related
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