JP2015180719A - 紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤 - Google Patents

紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 液体品の利便性、及び粉末品の保存安定性を兼ね備える、紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤を提供する。具体的には、水性溶媒への分散性、溶解性に優れつつも、製剤保存時の色調変化が顕著に抑制され、長期保存が可能な非乳化色素製剤を提供する。
【解決手段】
粉末状の紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を、グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合し、非乳化色素製剤とする。粉末状の紅麹色素及び/又は紅麹黄色素は、増粘多糖類によってコーティングされていることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤に関する。
紅麹色素及び紅麹黄色素は熱に比較的安定な天然色素であり、タンパク質への染着性が非常に優れていることから、水産加工品、畜肉加工品、農産加工品、菓子及び冷菓等をはじめとした各種用途で幅広く使用されている。現在、市場に流通している紅麹色素及び紅麹黄色素製剤は、主に液体品及び粉末品の2種類が存在し、目的や用途に応じて適宜使い分けられている。
紅麹色素製剤に関する技術として、ベニコウジ色素、疎水性蛋白質およびポリフェノールをアルコール/水混合液に分散し、得られた分散液を乾燥することを特徴とするベニコウジ色素製剤の製造方法(特許文献1参照;粉末品)、ベニコウジ色素をトリプトファン、ヒスチジン、チロシン又はメチオニンを0.1重量%以上含有する溶液に溶解してなる製剤(特許文献2参照;液体品)、紅麹色素抽出液、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル及び食用油脂を混合する油溶性色素(特許文献3参照)等が知られている。
特開2008−115233号公報 特開2003−191号公報 特開昭60−75256号公報
粉末品(粉末色素製剤)は、保存時における色素製剤の色調変化が少なく、長期保存(例えば、6ヶ月〜12ヶ月程度)に適しているという利点を有する。しかしその一方で、着色時に粉立ちやダマが生じるため、利便性に欠ける。例えば、対象組成物(被着色組成物)を均一に着色することが難しいという欠点や、色素製剤を使用する際に水などの溶媒に一次溶解する必要があるため、作業効率の大幅な低下を招く等の欠点を有しており、使用者に敬遠されやすい。一方、液体品(液体色素製剤)は被着色組成物、特に水性組成物中で容易に分散、溶解するため、被着色組成物を均一に着色でき、利便性が高いという利点を有する。しかし、液体品は経時的に色素成分が分解しやすいため、製剤保存時の色調変化が大きく、長期保存に適さない。一般的に、液体品の色調変化が許容される範囲内に収まる期間は長くても約3ヶ月と、非常に短期である。
特許文献1及び2に開示された技術はいずれも対象組成物を着色した後の色素が耐光性に劣る点に着目した技術であり、色素製剤自身の安定性(色調変化の抑制)に着目した技術ではない。また、いずれの技術も上述の粉末品及び液体品が有する性質の域を出ないものである。例えば、特許文献1に開示された粉末品は依然として、着色時に粉立ちやダマが生じて利便性に欠ける、対象組成物を均一に着色することが難しい、着色時に水などの溶媒に一次溶解させる必要がある等の欠点を有している。同様にして、特許文献2に開示された液体品も、製剤保存時の色調変化が大きく、色調を安定に保持できる期間が非常に短期間であるといった問題を有している。
特許文献3に開示された技術は、紅麹色素を油溶化する技術(乳化色素製剤に関する技術)であるため、水性組成物の着色には利用できない。例えば、当該紅麹色素製剤を水性溶媒に添加しても、色素製剤が水性溶媒に馴染まないため、色素製剤中の油溶化した色素成分及び油脂が分離し、水性組成物への十分な着色ができないばかりか、被着色組成物の商品価値を著しく低下させる。
上記従来技術に鑑み、本発明では液体品の利便性、及び粉末品の保存安定性を兼ね備える、非乳化タイプの紅麹色素及び/又は紅麹黄色素製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記のごとき課題を解決すべく鋭意研究した結果、非乳化色素製剤の溶媒として、グリセリン及び/又はプロピレングリコールを選択し、グリセリン及び/又はプロピレングリコールと、粉末状の紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を混合することで、液体品特有の水性溶媒への分散性、溶解性に優れるという利点を有しつつも、粉末品と遜色ない長期保存が可能な色素製剤を提供できることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成したものである。
本発明は以下の態様を有する非乳化色素製剤に関する;
項1.粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素が、
グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合されていることを特徴とする、
非乳化色素製剤。
項2.前記色素製剤の水分含量が8質量%以下である、項1に記載の非乳化色素製剤。
項3.前記粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素が、増粘多糖類によってコーティングされている、項1又は2に記載の非乳化色素製剤。
項4.前記増粘多糖類が、ガティガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、キサンタンガム、寒天、大豆多糖類及びゼラチンからなる群から選択される一種以上である、項3に記載の非乳化色素製剤。
項5.水性組成物着色用の色素製剤である、項1〜4のいずれかに記載の非乳化色素製剤。
本発明はまた、以下の態様を有する非乳化色素製剤の製造方法にも関する;
項6.粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素を、
グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合する工程を有することを特徴とする、非乳化色素製剤の製造方法。
項7.紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤の製造方法であって、
増粘多糖類を用いて、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素をコーティングする工程、
前記工程で得られるコーティングされた粉末状色素を、グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合する工程、
を有する、非乳化色素製剤の製造方法。
本発明により、紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を含有し、液体品及び粉末品の利点を兼ね備える非乳化色素製剤を提供できる。本発明の色素製剤は、液体品と同様に水性溶媒への分散性及び溶解性に優れるため、被着色組成物、特には水性組成物を簡便に着色できる。また、従来、色素製剤の色調変化を十分に抑制できる保存期間は、液体品では長くても3ヶ月程度が限界であったが、本発明の色素製剤は保存時における色調変化が顕著に抑制されているため、粉末品と同様に6ヶ月以上の長期保存が可能である。
(I)非乳化色素製剤
本発明の非乳化色素製剤は、紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を含有する。
本発明が対象とする紅麹色素は、子のう菌類ベニコウジカビ(Monascus pilosus又はMonascuspurpureus)の培養液から得られる、アンカフラビン類及びモナスコルブリン類を主成分とする天然赤色系色素である。紅麹色素は、例えば、子のう菌類ベニコウジカビの菌体を含水エタノール又は含水プロピレングリコールで抽出することで得ることができる。紅麹黄色素は、子のう菌類ベニコウジカビ(Monascus pilosus又はMonascus purpureus)の培養液から得られる、キサントモナシン類を主成分とする天然黄色系色素である。紅麹黄色素は、例えば、子のう菌類ベニコウジカビの培養液を乾燥し、粉砕したものより、微温時弱塩酸酸性エタノールで抽出後、中和して得ることができる。
本発明の非乳化色素製剤は、溶媒として、グリセリン及び/又はプロピレングリコールを用いる。
グリセリンは代表的な3価アルコールであり、グリセロールとも呼ばれる。グリセリンは水及びアルコールに可溶であり、水性溶媒に容易に分散、溶解させることが可能である。本発明ではグリセリンとして市販されているものを用いることができ、用いるグリセリンの純度は制限されないが、好ましい純度は95%以上である。
プロピレングリコールは、1,2−プロパンジオールともいう。プロピレングリコールはグリセリンと同様に水及びアルコールに可溶であり、水性溶媒に容易に分散、溶解させることが可能である。本発明ではプロピレングリコールとして市販されているものを用いることができ、プロピレングリコールの純度は制限されないが、好ましい純度は98%以上である。また、本発明で用いるプロピレングリコールは、水分含量が0.2%以下であることが望ましい。水分含量が0.2%を上回ると、溶媒中の水分により紅麹色素及び/又は紅麹黄色素の分解が進行し、色素製剤の色調変化を十分に抑制できない場合がある。
上記グリセリン及びプロピレングリコールは、いずれも水性溶媒に容易に分散可能であるため、本発明が目的とする非乳化色素製剤の溶媒として好適であるが、特に好ましい溶媒はグリセリンである。本発明の非乳化色素製剤におけるグリセリン及び/又はプロピレングリコールの含量は特に制限されないが、好ましい含量は20質量%以上であり、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上である。上限は特に制限されないが、例えば99質量%が挙げられ、好ましい上限は98質量%である。
本発明の非乳化色素製剤は、前記紅麹色素及び/又は紅麹黄色素が粉末状態で、グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合されていることを特徴とする。
粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素は、流通している粉末品の色素原料を用いても良く、液体品の色素原料を粉末化したものを用いても良い。粉末化手段としては、公知の乾燥方法を使用できる。例えば、噴霧乾燥法、フリーズドライ法、造粒法などである。
なお、本発明において「粉末状紅麹色素、粉末状紅麹黄色素」とは、乾燥状態の紅麹色素、紅麹黄色素を意味し、形態は特に問わない。例えば、色素が顆粒状に成形されていても良い。
本発明の色素製剤は、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素が、グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合された分散製剤であり、従来品である油溶性製剤(乳化製剤)とは異なる。かかる点、本発明の色素製剤は非乳化製剤である。そのため、本発明の非乳化色素製剤における好ましい油脂含量は1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下、更には油脂を含有しないことが好ましい。
本発明の非乳化色素製剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、グリセリン及び/又はプロピレングリコール以外の溶媒を添加しても良い。例えば、グリセリン及び/又はプロピレングリコール以外の溶媒として、糖液や、HLBが6以上のグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
本発明の非乳化色素製剤は、紅麹色素、及び/又は紅麹黄色素が粉末状態で保持されることにより、長期間に渡り、極めて優れた色調安定性を示す。そのため、本発明では、非乳化色素製剤に用いる溶媒の水分含量が5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
同様に、原料に用いる粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素に含まれる水分量も考慮すると、本発明の非乳化色素製剤における好ましい水分含量は8質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
また、従来の紅麹色素及び/又は紅麹黄色素の液体色素製剤は、溶媒として水やエタノールを用いるのが通常であるが、本発明の非乳化色素製剤はエタノール含量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の非乳化色素製剤は、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素が、増粘多糖類によってコーティングされていることが好ましい。粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素を増粘多糖類によってコーティングすることで、上記溶媒(グリセリン及び/又はプロピレングリコール)と相まって、溶媒中に存在する粉末状色素の安定性が格段に向上し、結果として、非乳化色素製剤の優れた保存安定性を導き出すことができる。
本発明において「コーティング」とは、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素の表面の一部又は全体に、増粘多糖類が付着した状態をいう。コーティング方法は特に問わず、各種方法を使用できる。例えば、紅麹色素及び/又は紅麹黄色素と、増粘多糖類を含有する混合溶液を調製後、粉末化(乾燥)する方法;粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素に対して、増粘多糖類を含有する溶液を噴霧する方法等が挙げられる。粉末化(乾燥)手段は、各種公知の乾燥方法を使用できる。例えば、噴霧乾燥法、フリーズドライ法、造粒法等が挙げられる。なお、効率的に粉末状色素をコーティングする観点からは、紅麹色素及び/又は紅麹黄色素と増粘多糖類を含有する混合溶液や、増粘多糖類を含有する溶液の溶媒は、水であることが望ましい。
本発明で用いる増粘多糖類の種類は特に制限されない。例えば、ガティガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、キサンタンガム、寒天、大豆多糖類及びゼラチン等が挙げられる。増粘多糖類は、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素をコーティングし、溶媒となるグリセリン及び/又はプロピレングリコール中で粉末色素が溶解することを抑制する効果が期待される。そのため、グリセリン及び/又はプロピレングリコールに難溶又は不溶である増粘多糖類を用いることが好ましい。また、本発明の非乳化色素製剤は、水性溶媒に容易に溶解することが期待されるため、水性溶媒に可溶な増粘多糖類を用いることが好ましい。本観点を考慮し、上記に記載した増粘多糖類以外にも、種々の増粘多糖類を選択することが可能である。
本発明で用いる好ましい増粘多糖類は、ガティガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム及びキサンタンガムからなる群から選択される一種以上であり、より好ましくはガティガム及び/又はアラビアガムである。
ガティガムは、ガティノキ(Anogeissus latifolia Wallich)の樹液(分泌液)から得られる多糖類であり、通常、常温〜加温条件下で、30質量%程度まで水に溶解する水溶性多糖類である。本発明で用いるガティガムの種類は特に制限されないが、例えば、商業的に入手可能なガティガム製品として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「ガティガムSD」が挙げられる。
本発明で用いるアラビアガムは、マメ科アカシア属の植物の樹液から得られる多糖類である。アラビアガムの分子構造は明らかにされてはいないが、ガラクトース、アラビノース、ラムノース及びグルクロン酸を構成糖とすることが知られている。本発明で用いるアラビアガムの種類は特に制限されないが、例えば、商業的に入手可能なアラビアガム製品として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「ガムアラビックSD」が挙げられる。
紅麹色素及び/又は紅麹黄色素に対する、増粘多糖類の添加量は特に制限されないが、好ましい増粘多糖類の添加量は、紅麹色素及び/又は紅麹黄色素の固形分(可溶性固形分)1質量部に対して0.001〜100質量部であり、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.02〜5質量部である。なお、後述するように、粉末状紅麹色素及び粉末状紅麹黄色素の色価を調整するために賦形剤を用いる場合があるが、賦形剤を用いる場合は、紅麹色素及び/又は紅麹黄色素、並びに賦形剤の固形分(合計固形分)1質量部に対して、上記添加量の増粘多糖類を用いることが好ましい。
また、コーティング方法の観点からは、コーティング時に、増粘多糖類を含有する溶液の粘度が7,000mPa・s以下となるように、増粘多糖類の種類、添加量などを調整することが望ましい。例えば、紅麹色素及び/又は紅麹黄色素と、増粘多糖類を含有する混合溶液を調製後、粉末化(乾燥)する方法であれば、粉末化工程の際に、前記混合溶液の粘度が7,000mPa・s以下となるように、増粘多糖類の種類や添加量が調整されていることが好ましい。同様に、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素に対して、増粘多糖類を含有する溶液を噴霧する方法であれば、噴霧時における、増粘多糖類を含有する溶液の粘度が7,000mPa・s以下となるように調整されていることが好ましい。
なお、上記粘度は、粉末化工程時及び噴霧時の温度条件で、B型粘度計を用いて12rpm、1分間測定した場合の粘度の値である。粘度の下限値は特に制限されないが、例えば5mPa・sを例示できる。
また、本発明では、非乳化色素製剤の水性溶媒への分散性や溶解性の観点から、増粘多糖類を用いる場合は、非乳化色素製剤における増粘多糖類含量が45質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、8質量%以下であることが更により好ましい。非乳化色素製剤における増粘多糖類含量の下限は特に制限されないが、好ましい含量として例えば、0.01質量%以上が挙げられ、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。
以下、本明細書において、「粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素」と記載する場合には、増粘多糖類によってコーティングされた粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素を含む。
粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素の色価は適宜調整することができる。色価は特に制限されないが、好ましい色価は5〜3000であり、より好ましくは20〜1000である。
色価は、賦形剤を用いて調整することができる。例えば、賦形剤の添加量を増加させることで、得られる粉末状紅麹色素及び/又は紅麹黄色素の色価を下げることができる。賦形剤の種類は制限されず、色素製剤に利用可能な素材を使用できる。例えば、デキストリン、乳糖、でんぷん、加工でんぷん、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
なお、賦形剤は、色価の調整目的で使用することが可能であるが、非乳化色素製剤の安定性に大きな影響を与えるものではない。
グリセリン及び/又はプロピレングリコールと、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素の混合割合は特に制限されず、最終製品である非乳化色素製剤の色価に応じて適宜調整できる。好ましい混合割合は、非乳化色素製剤中のグリセリン及び/又はプロピレングリコール100質量部に対して、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素が100質量部以下であり、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、更により好ましくは25質量部以下である。グリセリン及び/又はプロピレングリコール100質量部に対する粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素の混合割合が100質量部を大きく上回ると、非乳化色素製剤の流動性が減少し、作業性が低下する場合がある。
グリセリン及び/又はプロピレングリコール100質量部に対する、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素の混合割合の下限は特に制限されないが、例えば、0.01質量部が挙げられ、好ましい下限値は0.1質量部である。グリセリン及び/又はプロピレングリコールに対する粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素の混合割合は、色素の濃さを示す色価を指標に適宜調整できる。例えば、同じ色価を有する色素製剤を調製する場合において、原料に用いる粉末状紅麹色素及び/又は紅麹黄色素の色価が高いほど、非乳化色素製剤における粉末状色素の含量は少なくて済むため、グリセリン及び/又はプロピレングリコールに対する粉末状色素の混合割合は少なくてすむ。一例として、色価1500の粉末状色素を1質量%用いた非乳化色素製剤の場合を挙げると、得られる非乳化色素製剤の色価は、現在、市場に流通している通常品(紅麹色素及び/又は紅麹黄色素製剤)と同等である。
また、市場で流通している色素製剤の中には、色価1以下のものも存在するため、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素の添加量は、目的に応じて適宜調整できる。
以上に示したように、添加する粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素の色価、並びに添加量を適宜調整することで、様々な色価を有する非乳化色素製剤の設計が可能となる。本発明の非乳化色素製剤はまた、本発明の効果を損なわない範囲内において、酸化防止剤等の色素製剤に使用される素材を含有しても良い。
かくして得られる本発明の非乳化色素製剤は、グリセリン及び/又はプロピレングリコールを溶媒とするため、水性溶媒に容易に分散、溶解させることができる。よって、色素製剤の剤形は特に制限されず、固体状、ペースト状、液状等の各種形態をとることが可能である。利便性の観点からは、流動性を有する色素製剤(例えば、ペースト状又は液状)であることが望ましい。
本発明の非乳化色素製剤(紅麹色素製剤、紅麹黄色素製剤)の色価は特に制限されないが、好ましい色価は5〜1000であり、より好ましくは10〜500、更に好ましくは20〜200である。
本発明の非乳化色素製剤は、長期保存時における、製剤の色調変化が顕著に抑制されているという特徴を有する。色調変化の有無、程度は、分光照射機(日本分光 V−560)を用いた「色価」の測定、並びに「L,a,b値」、色相(Hue)及び彩度(Chroma)を用いた色調の測定により評価できる。
色価は、非乳化色素製剤を含有する溶液の可視部での極大吸収波長における吸光度を測定し、10w/v%溶液の吸光度に換算した数値(E10% 1cm)で表すことができる。本発明において非乳化色素製剤の色価は、「第8版 食品添加物公定書」に記載の方法に従って測定し、算出することができる。
極大吸収波長は、使用する紅麹色素及び/又は紅麹黄色素原料に由来するため、調製直後の非乳化色素製剤の極大吸収波長を測定し、当該極大吸収波長における吸光度を算出する。目安として、紅麹色素の極大吸収波長は480〜520nm(50v/v%エタノール)であり、紅麹黄色素の極大吸収波長は458〜468nm(50v/v%エタノール)である。
実際の吸光度の測定の対照は、吸光度が0.3〜0.7の範囲内に入るように調整された検液である。本発明では、検液は次のようにして用意する。試料の量を精密に量り、メスフラスコに入れ、50v/v%エタノール水溶液約10mlを加えて溶かし(又は希釈し)、更に50v/v%エタノール水溶液を加えて正確に100mlとし、必要があれば遠心分離又はろ過し、試料溶液とする。この試料溶液を吸光度測定用の検液(希釈倍率=1)として用いる。但し、試料溶液の吸光度が0.3〜0.7の範囲内に入らない場合は、50v/v%エタノール水溶液で希釈した液を検液として用いる。
なお、このときの希釈倍率は(試料溶液(ml)+50v/v%エタノール水溶液(ml))/試料溶液(ml)である。
吸光度は、具体的には光路長10mmで、分光光度計(V−560(日本分光社)、又はその同等品)によって測定される。
極大吸収波長における色価は、下記に従って算出される。
色価=((10×A×F)/試料の採取量(g))
[Aは極大吸収波長での検液の吸光度である。Fは、測定吸光度が0.3〜0.7の範囲に入るように調整した希釈倍率である。]
例えば、本発明では、非乳化色素製剤を50v/v%エタノール水溶液を用いて、極大吸収波長における吸光度が0.3〜0.7の範囲に入るよう希釈して検液を調製し、当該検液の吸光度を測定することで、非乳化色素製剤の色価を算出できる。調製直後の非乳化色素製剤の色価と、保存時の非乳化色素製剤の色価を各々算出した場合に、両者の数値(色価)の変化が少ないほど、色素の退色が抑制されていることを示し、保存安定性の高い色素製剤であると評価できる。
色素製剤の安定性の観点からは、本発明の非乳化色素製剤は、調製後、冷蔵(5±3℃)で5ヶ月経過時の色価残存率が95%以上である製剤であることが好ましい。より好ましくは6ヵ月経過時の色価残存率、更には、12ヶ月経過時の色素残存率が95%以上であることが望ましい。
(色価残存率)=(経過(保存)時の色価/調製直後の色価)×100(%)
色調は、「L,a,b値」、色相(Hue)及び彩度(Chroma)を求めることで確認できる。具体的には、色素製剤をイオン交換水に溶解し、1cmのセルに充填し、分光光度計(V−560(日本分光社)、又はその同等品)にてHunterLab表色系(Lab系)の3刺激値を求め、反射光で色相(Hue)及び彩度(Chroma)を測定する。色調の測定は、極大吸収波長における吸光度が0.3〜0.8の範囲に入るように非乳化色素製剤をイオン交換水に添加することで実施できる。
Hunter Lab表色系(Lab系)とは、色度を示すa,b軸よりなる直交座標と、これに垂直なL軸とから構成される色立体を成す表色系であり、aが正側で増加すると赤味、負側で増加すると緑味が増し、またbが正側で増加すると黄味、負側で増大すると青味が増していることを意味する。L値は明度に対応し、L=100のときは白、L=0のときは黒となり、L値が大きくなるほど色調が明るくなる傾向にある。
色相(Hue)は、前記aとbの角度をマンセル色標に変換したものであり、0〜90度のとき、値が大きいほど黄味を、小さいほど赤味を帯びていること表す。270〜360度のとき、値が大きいほど赤味を、小さいほど紫味を帯びていることを表す。
彩度(Chroma)は、Hunter Lab表色系における原点からの長さであり、値が大きいほど鮮やかであることを示す。具体的には、彩度(Chroma)は以下(式1)に従って測定できる。
式1


本発明では、色調変化を評価するために、ΔE(色差)を用いる。ΔEは下記(式2)に従って求められ、比較対照となる2つの色調差が大きくなるに従い、ΔEの数値は大きくなり、色調が異なってくることを表す。一般的に、ΔE(色差)が3.0以下では、肉眼で実用上問題となるような差ではないと認識されている。
本発明では、冷蔵(5±3℃)で12ヶ月経過時の非乳化色素製剤について、下記(式2)に従って測定したΔE(色差)が5以下であることが好ましい。より好ましくは3以下であり、更に好ましくは2未満である。
式2


式中、L1,a1及びb1は、非乳化色素製剤を調製後、冷蔵(5±3℃)で保存後のL,a,b値を示し、L2,a2及びb2は、調製直後の非乳化色素製剤のL,a,b値を示す。
従来、紅麹色素又は紅麹黄色素の液体品の色調変化が、許容される範囲内に収まる期間は長くても約3ヶ月と、非常に短期であったが、本発明によれば6ヶ月以上、更には12ヶ月〜24ヶ月と、長期に渡って色調変化が顕著に抑制された非乳化色素製剤を提供することが可能である。
本発明の非乳化色素製剤は、冷蔵保存又は冷凍保存により保管されることが好ましい。冷凍保存は、冷蔵保存に比較して色調変化を抑制しやすいという利点を有するが、冷凍庫の設置費用や管理費用がかかる、使用量のみ解凍することが難しい、冷凍解凍を繰り返すことにより色調変化が促進されてしまう等の問題を有している。一方、冷蔵保存は、使用量を都度取り出すことができ、解凍工程が不要であるなど利便性が高いが、従来品(液体品の色素製剤)を冷蔵保存すると、色調変化が抑制できず長期保存できない、冷蔵庫の開閉によりヒートショックを受け、保存期間が更に短縮される等の問題を有していた。かかるところ本発明の非乳化色素製剤は、冷蔵保存であっても長期間に渡り色調変化が顕著に抑制された色素製剤であるため、非常に有用性が高い。
本発明の非乳化色素製剤は、水性溶媒への分散性及び溶解性に優れるため、水性組成物への着色に適している。例えば、水を原料の一つとして調製される飲食品、化粧品、医薬品、医薬部外品及び飼料などといった水性組成物の着色料として有用に使用できる。かかる点、本発明の非乳化色素製剤は、水性色素製剤に関する発明でもある。特には、飲料(例えば、牛乳、ドリンクヨーグルト等)、菓子(例えば、焼菓子、揚げ菓子等)、水産加工品(例えば、練り製品、魚肉漬物等)、畜肉加工品(例えば、焼き豚、テリーヌ等)、農産加工品(例えば、漬物、ジャム等)、冷菓、ベイカリー食品等に好適に使用できる。
(II)非乳化色素製剤の製造方法
本発明はまた、液体品及び粉末品の利点を兼ね備える、紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤の製造方法にも関する。
本発明の非乳化色素製剤の製造方法は、以下の工程を有する;
粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素を、
グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合する工程。
本発明で用いる粉末状紅麹色素、紅麹黄色素、グリセリン、プロピレングリコール等について、詳細は前記「(I)非乳化色素製剤」を参照できる。
本発明の非乳化色素製剤の製造方法は、好ましくは、以下の製造工程を有する;
(工程1)
増粘多糖類を用いて、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素をコーティングし、コーティング色素粉末を製造する工程;
(工程2)前記工程によって得られたコーティング色素粉末を、グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合する工程。
(工程1)は、増粘多糖類を用いて、粉末状紅麹色素又は粉末状紅麹黄色素をコーティングし、コーティング色素粉末を製造する工程である。本工程は、従来公知のコーティング方法を使用できる。例えば、以下の方法(工程1−1)及び(工程1−2)が挙げられる。製造工程の簡便化の観点からは、好ましいコーティング方法は(工程1−1)である。
(工程1−1)
紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を、増粘多糖類と溶液中(好ましくは水溶液中)で混合し、色素混合溶液を調製する工程、及び
前記色素混合溶液を粉末化する工程。
(工程1−2)
粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素に対して、増粘多糖類を含有する溶液を噴霧する工程。
なお、(工程1−1)で得られる色素混合溶液、及び(工程1−2)で用いる増粘多糖類を含有する溶液は、粘度が7,000mPa・s以下であることが好ましく、5,000mPa・s以下であることがより好ましく、3,000mPa・s以下であることが更に好ましい。溶液の粘度の下限は特に制限されないが、例えば5mPa・sが挙げられる。
(工程2)は、工程1で得られるコーティング色素粉末をグリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合することで達成し得る。混合方法は特に制限されず、従来公知の混合手段を用いることができる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実験例1 紅麹色素製剤及び紅麹黄色素製剤
表1及び2に示す処方に従って紅麹色素又は紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤を製造した。表1の数値は、質量%を示す。
(粉末状紅麹色素、粉末状紅麹黄色素)
色素(紅麹色素、紅麹黄色素)、賦形剤(デキストリン)、及び、必要に応じて増粘多糖類(ガティガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、キサンタンガム)を水に溶解し、色素混合溶液を調製した。次いで、調製した色素混合溶液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、粉末状紅麹色素及び粉末状紅麹黄色素を各々30g得た(実施例1−1〜実施例1−11)。噴霧乾燥後の色素粉末の色価は、粉末状紅麹色素が720、粉末状紅麹黄色素が310であった。
注1)噴霧乾燥時の色素混合溶液の粘度はいずれも7,000mPa・s以下であった。
(非乳化色素製剤)
表2に従い、前記工程1で得られた粉末状色素(実施例1−1〜実施例1−11)を、最終色素製剤の色価が60となるように、グリセリン又はプロピレングリコールと混合することで、紅麹色素又は紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤を調製した。
具体的には、紅麹色素製剤は、粉末状紅麹色素8.4質量%と91.6質量%のグリセリン又はプロピレングリコールを混合して調製し、紅麹黄色素製剤は、粉末状紅麹黄色素19.4質量%と80.6質量%のグリセリン又はプロピレングリコールを混合して調製した。
得られた非乳化色素製剤の水分含量はいずれも1%以下であった。
注5)純度95%以上のグリセリンを使用。
注6)純度98%以上、水分含量が0.2%以下のプロピレングリコールを使用。
(色価及び色調変化の評価1)
実施例1−1−A及び実施例1−3−Aについて、得られた非乳化色素製剤(紅麹色素製剤)を8℃の冷蔵庫で18ヶ月冷蔵保存し、色価及び色調変化について評価した。
一方、比較対照のため、現在市場で流通している紅麹色素製剤(従来品1)を、同様に8℃の冷蔵庫で5ヶ月冷蔵保存し、色価及び色調変化を測定した。従来品1として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンレッド[登録商標]MR」を用いた。「サンレッドMR」は、アルコールを50v/v%含有する紅麹色素の水溶液製剤(液体製剤)である。なお、「サンレッドMR」は5ヶ月経過時での色調変化が大きかったため、5ヶ月までの保存データとなっている。
(色価)
各色素製剤を50v/v%エタノール水溶液で1000倍希釈し、1cmセルに充填し、極大吸収波長における吸光度を分光光度計(V−560(日本分光社))で測定した(紅麹色素:508nm付近、紅麹黄色素:460nm付近)。
(色調)
各色素製剤0.53gを、イオン交換水100mLに添加し、1cmセルに充填した。分光光度計(V−560(日本分光社))にて、HunterLab表色系(Lab系)の3刺激値を求め、反射光で色相(Hue)及び彩度(Chroma)を測定した。さらに、(式3)に従ってΔE(色差)を算出した。結果を表3に示す。
注7)保存後の色素製剤のLab値をL1,a1及びb1、調製直後の色素製剤のLab値をL2,a2及びb2として、下記式3に従って算出した。
式3


(結果)
色調変化が許容される範囲の目安(保証目安)は、色価残存率95%以上、ΔE(色差)5以内である。
現在、市場で流通している従来品1は、5ヶ月経過時に色価が90%まで低下し、色調はΔE7.5まで離れていた。更に、Hueの差については、0.8と大きく変化した。一般的に、Hue(色相)の差が0.5以下であると、肉眼で実用上問題とならないとされている。従って、従来品1は、5ヶ月経過時に既に大きな色調変化が起きていることが分かる。
一方、実施例例1−1−Aの非乳化色素製剤(紅麹色素製剤)は、8ヶ月経過後の色価残存率が99%、ΔEが4.0、Hue(色相)の差は0.6と、従来品1に比較して、明らかな改善が見られた。さらに、粉末状紅麹色素をガティガムによりコーティングした実施例1−3−Aの非乳化色素製剤は、18ヶ月経過後も、色価残存率99%、ΔEが1.3と、保存安定性に格段に優れた色素製剤であった。
また、実施例1−1−A及び1−3−Aの非乳化色素製剤を各々、水性溶媒(水)に溶解させたところ、ダマが生じることなく容易に分散、溶解し、水性溶媒(水)を澄明な赤色に着色することができた。
(色価及び色調変化の評価2)
紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤についても同様に、実施例1−2−A、実施例1−4−A、並びに、現在、市場で流通している紅麹黄色素製剤(従来品2、「サンエロー[登録商標]NO.1244」)を8℃の冷蔵庫で18ヶ月保管し、色価及び色調変化について評価した。結果を表4に示す。
なお、「サンエロー[登録商標]NO.1244」は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の紅麹黄色素製剤であり、アルコールを20v/v%含有する水溶液製剤である。「サンエローNO.1244」は、5ヶ月経過時での色調変化が大きかったため、表4に示すデータは、5ヶ月までの保存データとなっている。
(結果)
現在、市場で流通している従来品2(紅麹黄色素製剤、液体品)は、3ヶ月経過時までは良好な保存安定性を示したものの、4ヶ月経過後から色調が大きく変化し、5ヶ月経過後のΔE(色差)は10以上であった。
一方、実施例例1−2−Aの非乳化色素製剤(紅麹黄色素製剤)は、6ヶ月、及び12ヶ月経過後の色素残存率及びΔEが共に良好な数値を示し、従来品2に比較して大幅な改善が見られた。しかし、18ヶ月経過後にはΔEが10まで大きくなり、濃度感の薄い黄色の色調となった。
粉末状紅麹黄色素をガティガムによりコーティングした、実施例1−4−Aの非乳化色素製剤は、実施例1−2−Aと比較して更に保存安定性が格段に向上し、18ヶ月経過後も顕著に色調変化が抑制されていた
また、実施例1−2−A及び1−4−Aの非乳化色素製剤を各々、水性溶媒(水)に溶解させたところ、ダマが生じることなく容易に分散、溶解し、水性溶媒(水)を澄明な黄色に着色することができた。
(色価及び色調変化の評価3)
色価及び色調変化の評価2と同様に、実施例1−3−A〜実施例1−11−Bで得られた非乳化色素製剤を8℃の冷蔵庫で18ヶ月保管し、色価及び色調変化について評価した。結果を表5に示す。表5中、上段は色素残存率(%)を、下段はΔE(色差)を示す。
(結果)
色調変化が許容される範囲の目安(保証目安)は、色価残存率95%以上、ΔE(色差)5以内である。
表5から明らかなように、増粘多糖類によってコーティングされた非乳化色素製剤(実施例1−3−A〜実施例1−11−B)はいずれも、15ヶ月経過時まで上記条件を満たす、保存安定性に極めて優れた色素製剤であった。従来、色調変化が許容される保存期間は3ヶ月程度と短期間であったところ、従来品に比べて実に5倍以上も保存期間が延び、保存安定性が著しく向上したことが分かる。
特に、溶媒として、グリセリンを用いた非乳化色素製剤(実施例1−3−A〜実施例1−11−A)は、18ヶ月経過時のΔE(色差)がいずれも3.0以下であった。Δ3.0以下は、一般的に、肉眼で実用上問題となるような差(色調変化)ではないと認識されている値であり、極めて保存安定性に優れた色素製剤であることが見て取れる。
さらに、実施例1−3−A〜実施例1−11−Bの全ての非乳化色素製剤を水性溶媒(水)に添加し、分散性及び溶解性を確認した。いずれの非乳化色素製剤もダマが生じることなく、水性溶媒(水)に容易に分散、溶解し、本発明の非乳化色素製剤は、液体品の利便性及び粉末品の保存安定性を兼ね備える製剤であった。

Claims (7)

  1. 粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素が、
    グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合されていることを特徴とする、
    非乳化色素製剤。
  2. 前記色素製剤の水分含量が8質量%以下である、請求項1に記載の非乳化色素製剤。
  3. 前記粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素が、増粘多糖類によってコーティングされている、請求項1又は2に記載の非乳化色素製剤。
  4. 前記増粘多糖類が、ガティガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、キサンタンガム、寒天、大豆多糖類及びゼラチンからなる群から選択される一種以上である、請求項3に記載の非乳化色素製剤。
  5. 水性組成物着色用の色素製剤である、請求項1〜4のいずれかに記載の非乳化色素製剤。
  6. 粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素を、
    グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合する工程を有することを特徴とする、非乳化色素製剤の製造方法。
  7. 紅麹色素及び/又は紅麹黄色素を含有する非乳化色素製剤の製造方法であって、
    増粘多糖類を用いて、粉末状紅麹色素及び/又は粉末状紅麹黄色素をコーティングする工程、
    前記工程で得られるコーティングされた粉末状色素を、グリセリン及び/又はプロピレングリコールと混合する工程、
    を有する、非乳化色素製剤の製造方法。
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