JP2004291638A - 画像の消去方法、それに用いる装置及び記録媒体の再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 印刷物に形成した画像(文字を含む)を、低コストで、容易かつ迅速に消去する方法、並びにそれに用いる装置を提供すること。
【解決手段】 無機顔料含む表面に画像が形成された印刷物を、一対の対向する電極間に電圧を印加して沿面放電又はコロナ放電を生じさせて得た反応性ガスに暴露して画像を消去する。
【選択図】 図1
【解決手段】 無機顔料含む表面に画像が形成された印刷物を、一対の対向する電極間に電圧を印加して沿面放電又はコロナ放電を生じさせて得た反応性ガスに暴露して画像を消去する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、印刷物の画像を消去する方法、それに用いる装置及び記録媒体の再生方法に関する。
コンピューター、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の普及に伴い、紙への出力の要求はますます増加している。紙ほど視認性及び携帯性に優れた媒体は現在のところ他になく、「情報の電子化」、「ペーパーレス化」には思うような進展が得られていない。
そのため紙の再生・再利用のための技術開発が重要性を増している。従来の紙の再生方法は、回収紙を水で再解膠した後、脱墨工程においてインク部分を浮遊分離し、更に漂白を行い、「再生紙」として再利用するものである。しかしこの方法では、紙力が低下し、しかも新規に製紙する場合に比べて工程経費が高いという問題がある。よって脱墨工程を経ることなしに、紙を再利用或いは再生することが可能な方法が望まれる。
このような背景から、近年、発色状態の呈色性化合物を消色状態へ変えることのできる可消色性色素組成物を含む画像形成材料により、紙を印刷する方法について種々検討が行われている。そのような画像形成材料として、特許文献1には印加する熱エネルギーの制御による記録層の可逆的な透明度変化を利用する方法が提案されており、特許文献2、特許文献3及び特許文献4には、電子供与性をもつ発色剤と、電子受容性をもつ顕色剤との分子間相互作用を利用する方法が提案されている。また、特許文献5は電子線照射により消色する色素を含むインクを提案しており、特許文献6は光照射により着色剤を消色させうる作用を持つ添加剤を含有するインクを提案している。特許文献7は、紅麹色素を用いることにより、光を照射することで消色可能であるインクジェット用インク及び記録方法を提案している。
一方、特許文献8には、活性化ガスにより普通紙上の画像を分解、消去する方法が提案されている。
特開昭63−39377号公報
特開昭61−237684公報
特開平5−124360号公報
特開2001−105741号公報
特開平11−116864号公報
特開2001−49157号公報
国際公開第02/088265号パンフレット
特開平7−253736号公報
特開昭62−177882号公報
T. Ma, K. Inoue, H. Noma, K. Yao, E. Abe、「Ionization potential studiesof organic dye adsorbed onto TiO2 electrode」、Journal of Materials Science Letters、2002年、第21巻、p.1013-1014
Pigment microbiology, P. Z. Margalith著,Chapman & Hall, London(1992)
J. Ferment. Technol., Vol. 51, p. 407 (1973)
Journal of Industrial Microbiology, Vol. 16,pp. 163-170(1996)
しかしながら、特許文献1〜4に記載の方法では、記録媒体、書込−消去装置などの初期コスト及びランニングコストがいずれも高価であり、実用的でない。また、特許文献5に記載の方法では、電子線照射を行うため、程度が少ないとはいえ基材が劣化したり、2次X線が発生したりする恐れがある。また、特許文献6に記載の方法では、用いる添加剤は具体的には色素系増感剤であり、添加剤を着色剤の含有量に対して重量比で1/10〜10/10と多く添加するため、インクのコストが高いといった欠点がある。また、特許文献7及び8に記載の方法よりも更に容易かつ迅速に画像を消去する方法が検討されている。
従って、本発明の目的は、印刷物に形成した画像(文字を含む)を、低コストで、容易かつ迅速に消去する方法、並びにそれに用いる装置を提供する点にある、また、本発明の他の目的は、記録済の記録媒体を、低コストでブランクの記録媒体として再生させる方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、基材上に無機顔料コート層を有する記録媒体にインクジェットインクによる画像が形成された印刷物を、酸化性ガスに暴露することにより、低コストで、容易かつ迅速に当該画像を消去できることを見出し、本発明を為すに至った。なお、本発明における「画像の消去」とは、記録媒体に記録された画像が目視にて全く認識できなくする場合(以降「消色」と略)だけでなく、初期の画像に対して所定の光学濃度にまで薄くする(例えば初期画像に対し80%にまで画像の光学濃度を減じる)場合(以降「減色」と略)をも包含するものである。
本発明の一態様は、無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を有している印刷物の該画像を消去する方法であって、
(i) 放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下で、沿面放電用の面を有する誘電体により隔てられた第一の電極と第二の電極の間に電圧を印加することにより、前記沿面放電用の面から沿面放電を発生させて前記気体から酸化性ガスを生成させる工程と、
(ii) 前記酸化性ガスに該印刷物の有する画像を暴露する工程と、
を有することを特徴とする画像を消去する方法を提供する。
(i) 放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下で、沿面放電用の面を有する誘電体により隔てられた第一の電極と第二の電極の間に電圧を印加することにより、前記沿面放電用の面から沿面放電を発生させて前記気体から酸化性ガスを生成させる工程と、
(ii) 前記酸化性ガスに該印刷物の有する画像を暴露する工程と、
を有することを特徴とする画像を消去する方法を提供する。
本発明の他の態様は、無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を有している印刷物の該画像を消去する方法であって、
(a) 放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下で、接地された第一の電極に対してマイナスの電圧を第二の電極に印加し、これらの電極間でコロナ放電させて酸化性ガスを発生させる工程と、
(b) 前記印刷物を、該酸化性ガスに暴露する工程と、
を有することを特徴とする画像を消去する方法を提供する。
(a) 放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下で、接地された第一の電極に対してマイナスの電圧を第二の電極に印加し、これらの電極間でコロナ放電させて酸化性ガスを発生させる工程と、
(b) 前記印刷物を、該酸化性ガスに暴露する工程と、
を有することを特徴とする画像を消去する方法を提供する。
本発明の他の態様は、無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を具備している印刷物の画像を消去する装置であって、
(A) 第一の電極と、第二の電極と、これらの電極を隔てる誘電体とを有し、該誘電体には、これらの電極間への電圧の印加により沿面放電を発生する面が設けられており、かつ該沿面放電を発生する面を放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下に配置可能とした酸化性ガスの発生手段と、
(B) 該印刷物の載置部と、
を具備し、
前記(A)及び(B)は、該印刷物が該酸化性ガスに暴露可能なように互いに配置されている
ことを特徴とする印刷物の画像の消去装置を提供する。
(A) 第一の電極と、第二の電極と、これらの電極を隔てる誘電体とを有し、該誘電体には、これらの電極間への電圧の印加により沿面放電を発生する面が設けられており、かつ該沿面放電を発生する面を放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下に配置可能とした酸化性ガスの発生手段と、
(B) 該印刷物の載置部と、
を具備し、
前記(A)及び(B)は、該印刷物が該酸化性ガスに暴露可能なように互いに配置されている
ことを特徴とする印刷物の画像の消去装置を提供する。
本発明の他の態様は、無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を具備している印刷物の画像を消去する装置であって、
(1) 第一の電極と第二の電極とを有し、接地された該第一の電極に対してマイナスの電圧を該第二の電極に印加することで、放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下でコロナ放電を発生させて、該気体から酸化性のガスが発生可能にこれらの電極を配置可能とした酸化性ガスを発生させる手段と、
(2) 該印刷物の載置部と、を具備し、
前記(1)及び(2)は、該印刷物が該酸化性ガスに暴露可能なように互いに配置されていることを特徴とする印刷物の画像の消去装置を提供する。
(1) 第一の電極と第二の電極とを有し、接地された該第一の電極に対してマイナスの電圧を該第二の電極に印加することで、放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下でコロナ放電を発生させて、該気体から酸化性のガスが発生可能にこれらの電極を配置可能とした酸化性ガスを発生させる手段と、
(2) 該印刷物の載置部と、を具備し、
前記(1)及び(2)は、該印刷物が該酸化性ガスに暴露可能なように互いに配置されていることを特徴とする印刷物の画像の消去装置を提供する。
本発明の更に他の態様は、無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を有している印刷物の該画像を、上記の画像消去方法により消去する工程を有することを特徴とする記録媒体の再生方法を提供する。
本発明によれば、無機顔料を含む表面を有する記録媒体上に画像が形成された印刷物を、沿面放電又はコロナ放電により発生した酸化性ガスに暴露するので、脱墨工程を経ず、しかも装置をコンパクト化できる。そのため低コストで、容易かつ迅速に画像を消色又は減色することができる。加えてインクに用いる色素と記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルが特定の条件を満たす場合には、より容易かつ迅速に消色又は減色することができ、更に記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルが前記条件を満たすための好ましい記録媒体の表面状態を得ることができた。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
[1] 画像消去方法及び装置
本発明に係る画像の消去方法は、無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を有している印刷物を酸化性ガスに暴露せしめる工程を有している。
[1] 画像消去方法及び装置
本発明に係る画像の消去方法は、無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を有している印刷物を酸化性ガスに暴露せしめる工程を有している。
係る酸化性ガスは電離/解離ガス及びその二次生成物であるのが好ましい。前記二次生成物はオゾン、ヒドロキシルラジカル、炭酸イオン及び窒素酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一種であるのが好ましい。
これらの酸化性ガスは、沿面放電やコロナ放電により生成される。
以下に酸化性ガスの発生手段ごとに、本発明を図面を参照して詳細に説明する。なお、放電により酸化性ガスを発生し得る気体としては、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気などを挙げることができる。必要に応じてこれらの気体の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
以下、空気を用いる場合を例として説明する。
(1) 沿面放電
沿面放電の場合は、誘電体により隔てられた一対の電極間に交流電圧を印加することにより、誘電体に沿って放電を発生させ、酸化性ガスを発生させる。この場合の画像の消色/減色方法は、沿面放電の放電領域の内部又は近傍に、印刷物を走行させるか静置するのが好ましい。また、印刷物を走行させるためには、エンドレスベルト搬送、ロール搬送及びドラム搬送からなる群から選ばれた少なくとも一種の搬送手段を用いるのが好ましい。また、走行は、一定方向への走行、往復走行、更にはこれらの組合せを用いることができる。
沿面放電の場合は、誘電体により隔てられた一対の電極間に交流電圧を印加することにより、誘電体に沿って放電を発生させ、酸化性ガスを発生させる。この場合の画像の消色/減色方法は、沿面放電の放電領域の内部又は近傍に、印刷物を走行させるか静置するのが好ましい。また、印刷物を走行させるためには、エンドレスベルト搬送、ロール搬送及びドラム搬送からなる群から選ばれた少なくとも一種の搬送手段を用いるのが好ましい。また、走行は、一定方向への走行、往復走行、更にはこれらの組合せを用いることができる。
図1は、印刷物、例えばインクジェット記録により記録媒体上に画像(文字を含む)を形成した印刷物(以下特段の断りがない限り「印刷物」と呼ぶ。)の画像消去のための本発明に係る装置の一実施例を示す概略側面図である。図1は沿面放電電極に交流電圧を印加することにより、酸化性ガスを発生させる例を示す。
空気中で沿面放電を行うことにより発生する酸化性ガスは、電離/解離ガス及びその二次生成物であり、例えばオゾン、炭酸イオン、窒素酸化物等である。後述するコロナ放電でも同様な酸化性ガスが発生するが、沿面放電を採用することにより酸化性ガスの発生効率が一層向上する。
図1において、沿面放電の為の電極3は、誘電体33により隔てられ、かつ互いに対向した一対の電極31及び32を含む。図1に示すように、一方の電極31が誘電体33に埋設されており、他方の電極32は誘電体33の底面に設けられている。酸化性ガスは誘電体33底面下の電極32の近傍である放電領域34で発生する。なお、図1において、2は交流電源を示す。
電極31、32のそれぞれの形状に特に限定はなく、例えば誘電体33に埋設された電極31を板状とし、誘電体33底面下の電極32をワイヤー状としたものが挙げられる。電極31、32のそれぞれを構成する材料としては、Al、Cr、Au、Ni、Ti、W、Te、Mo、Fe、Co及びPt等の金属が挙げられる。これらは更に合金であってもよく、酸化物であってもよい。電極31、32同士の距離は1μm以上であるのが好ましく、3〜200μmであるのがより好ましい。沿面放電電極3に印加する交流電圧(Vpp)は、1〜20kVであるのが好ましく、周波数は100Hz〜5MHzであるのが好ましく、特には、Vppを1〜10kV、周波数を1kHz〜2MHzとすることにより、画像の消去を一層効率的に行うことができるので好ましい。この場合、電極32と印刷物との間の距離は、100mm以下(印刷物と電極が接触する場合である間隔0mmを含む)とすることが好ましい。
誘電体33は、沿面放電を生じさせることのできる面を構成できる材料からなる。その例には、セラミックやガラスが含まれる。誘電体33を構成するセラミックやガラスの具体例としては、シリカ、マグネシア、アルミナ等の金属酸化物や、窒化シリコーン、窒化アルミニウム等の窒化物が挙げられる。
印刷物1を酸化性ガスに暴露する際に、印刷物1を放電領域34に対して静止させるか又は相対的に移動させるかは、目的に応じて選択することができる。図1は、沿面放電の放電領域34の近傍で、ロール53により回転する導電性エンドレスベルト5により印刷物1を搬送する例を示す。導電性エンドレスベルト5が放電領域34の近傍又は内部を通過するように設置することにより、放電領域34が導電性エンドレスベルト5との間に広がり、印刷物1と酸化性ガスとの接触効率が向上する。このため図1に示すように導電性エンドレスベルト5を接地する、または正又は負の電圧を印加するのが好ましい。搬送スピードは、Vpp、周波数、更には電極32と印刷物1との間の距離にもよるが、例えば前記したようなVpp、周波数、及び距離の範囲であれば、2000cm/min以下とするのが好ましく、特には500cm/min以下とすることにより、画像の消去を一層効率よく行うことができるので好ましい。
印刷物1を搬送するための搬送手段は特に限定されるものではなく、公知の手段を利用することができる。エンドレスベルト搬送の他に、例えばロール搬送、ドラム搬送等が挙げられる。上述のように搬送手段を導電性物質で構成するのが好ましいが、これに限定する趣旨ではなく、必要に応じて非導電性物質で構成することができる。搬送手段を構成する導電性物質としては、電極31、32について述べたものと同じものが挙げられる。
印刷物1の酸化性ガスへの暴露は、密閉系で行っても又は開放系で行っても構わず、目的に応じて選択することができる。但し、酸化性ガスが減色/消色装置から漏出しないよう密閉系で行うのが好ましい。減色/消色装置には酸化性ガス漏出防止のための吸着フィルター等を設けるのが好ましい。
図2は、沿面放電により画像を消去するための装置の別の実施例を示す概略側面図である。なお、図1に示す装置と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。図2に示す沿面放電用の電極3は、特許文献9に記載の除・帯電装置の構成を、本発明に係る装置に適用したものであり、互いに対向する一対の電極31、32の両方を誘電体33に埋設した例を示す。この場合、酸化性ガスは、誘電体33の底面における電極32の端部に対応する部分(図2において放電領域34として示す部分)で発生する。
図2に示す例では、特許文献9に記載のように、誘電体33底面に第1のバイアス電極6と、第1のバイアス電極6に直流バイアス電圧を印加する電源21を設けている。第1のバイアス電極6と、第2のバイアス電極を兼ねる導電性エンドレスベルト51との間にバイアス電圧を印加することにより、酸化性ガスが発生部位から印刷物1の方へ移動するので、印刷物1と酸化性ガスとの接触効率が向上する。バイアス電圧は、通常0.2〜4.0kVとするのが好ましい。第1のバイアス電極6を構成する材料としては、電極31、32について述べたものと同じものが挙げられる。
図3は、沿面放電により画像を消去するための装置の別の実施例を示す概略側面図である。なお、図2に示す装置と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。図3に示す沿面放電電極も、特許文献9に記載の除・帯電装置の構成を、本発明の減色/消色装置に適用したものであり、一対の電極31、32が、誘電体33の底面と平行な平面上で並ぶように埋設した例を示す。この場合、酸化性ガスは誘電体底面下における電極31、32間の近傍(図3において放電領域34として示す部分)を中心として発生する。なお必要に応じて、特許文献9に記載のように、3つの電極が誘電体33の底面と平行な平面上で並ぶように埋設した構成としてもよい(図示せず)。
図6は、沿面放電により画像を消去するための装置の別の実施例を示す概略側面図である。なお、図1に示す装置と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。電極31及び32のいずれか一方、あるいは両方には誘電体層33を設ける。図6に示す例では、電極31、32ともにプレート状に形成され、電極31に誘電体33が形成されているが、印刷物1は電極31と対向する電極32との間に置かれず、電極31、誘電体33及びプレート状の対向電極32を覆う密閉容器42中に静置される。誘電体33は、先に図1の沿面放電を利用する場合に挙げた材料から構成することができる。
2) コロナ放電
コロナ放電の場合は、放電電極と、前記放電電極に対向する対向電極との間に電圧を印加することにより放電を発生させる発生させ、酸化性ガスを発生させる。放電電極に印加する電圧は、交流電圧又は直流電圧のいずれでもよい。直流電圧を印加する場合の極性はマイナスであるのが好ましい。また、直流電圧に交流電圧を重畳してもよい。放電は前記対向電極を接地した状態で、放電を発生させるのが好ましい。放電電極は、ワイヤー状、ロール状、ブレード状、プレート状、ブラシ状、針状又はバー状の形状のいずれでも構わない。また、対向電極と印刷物の少なくとも一部とを接触させるのが好ましい。この場合の画像の減色/消色方法は、放電電極と対向電極との間の放電空間に、印刷物を走行させるか静置するのが好ましい。また、印刷物を走行させるために、エンドレスベルト搬送、ロール搬送及びドラム搬送からなる群から選ばれた少なくとも一種の搬送手段を用いるのが好ましい。更に、搬送手段は導電性を有し、もって対向電極としても機能させるのが好ましい。また、走行は、一定方向への走行、往復走行、更にはこれらの組合せを用いることができる。
コロナ放電の場合は、放電電極と、前記放電電極に対向する対向電極との間に電圧を印加することにより放電を発生させる発生させ、酸化性ガスを発生させる。放電電極に印加する電圧は、交流電圧又は直流電圧のいずれでもよい。直流電圧を印加する場合の極性はマイナスであるのが好ましい。また、直流電圧に交流電圧を重畳してもよい。放電は前記対向電極を接地した状態で、放電を発生させるのが好ましい。放電電極は、ワイヤー状、ロール状、ブレード状、プレート状、ブラシ状、針状又はバー状の形状のいずれでも構わない。また、対向電極と印刷物の少なくとも一部とを接触させるのが好ましい。この場合の画像の減色/消色方法は、放電電極と対向電極との間の放電空間に、印刷物を走行させるか静置するのが好ましい。また、印刷物を走行させるために、エンドレスベルト搬送、ロール搬送及びドラム搬送からなる群から選ばれた少なくとも一種の搬送手段を用いるのが好ましい。更に、搬送手段は導電性を有し、もって対向電極としても機能させるのが好ましい。また、走行は、一定方向への走行、往復走行、更にはこれらの組合せを用いることができる。
図4は、コロナ放電により印刷物、例えばインクジェット記録により記録媒体上に画像(文字を含む)を形成した印刷物の画像消去のための本発明に係る装置の一例を示す概略側面図である。なお、図1に示す装置と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。一般的にコロナ放電は、放電電極と、それに対向する位置に対向電極とを設け、放電電極に電圧を印加することによって発生させる。図4に示す装置では、放電電極4がワイヤー状に形成してあり、導電性エンドレスベルト52が対向電極として機能する。図4に示すように、コロナ放電により電離・解離ガス及びその二次生成物を効率的に発生させるためには、導電性エンドレスベルト52を接地するのが好ましい。なお、図4において、22は直流電圧印加手段を示し、41は放電電極4を覆うカバーを示す。
印加電圧は直流、あるいは直流に交流を重畳してもよい。放電電極4にマイナス極性の直流電圧を印加した場合、特に画像の消去を良好に行うことができる。放電電極4にマイナス極性の直流電圧を印加した場合は、特に酸化性ガスよりなる電離・解離ガス及びその二次生成物が効率的に発生するため、これらガス組成が例えばインクジェットインクに含まれる色素の発色性低下に効果的であると考えられる。
放電電極4及び対向電極52を構成する材料としては、上記(1)で沿面放電電極の電極31、32について述べたものと同じものから、これらの電極の形状や構造に適したものを選択して用いることができる。後述する図5、7〜9に示す構成における電極も同様である。
コロナ放電は所定の閾値電圧(放電開始電圧)以上の電圧を印加することによって開始される。本発明において放電電極に印加する直流電圧は、−0.5kV〜−20.0kVとするのが好ましく、特には−0.5kV〜−10.0kV、更にはー0.1kVとし、放電電極と印刷物との間の距離を30mm以下(これらが接触している場合についての0mmを含む)とすることが好ましい。このようにすることにより一層効率よく印刷物の画像を消去することができる。
放電電極4の形状は特に限定されるものではなく、ワイヤー状の他に、ロール状ブレード状、プレート状、ブラシ状、針状、バー状等公知のものを使用することができる。特にコロナ放電を行う場合には、ワイヤー状の導電性物質を放電電極に用いたコロナ帯電器を用いることにより、色素に対する高い減色性/消色性を広い面で均一に得ることができる。
印刷物1は対向電極52に接触しているのが好ましいが、必ずしも接触している必要はない。放電領域(放電電極4と対向電極52との間を中心とする領域)に印刷物1を存在せしめる場合、印刷物1を放電領域に対して静止させるか又は相対的に移動させるかは、目的に応じて選択することができる。ここで、印刷物を移動させながら、酸化性ガスへの暴露を行う場合、印刷物の移動速度は、酸化性ガスの濃度や放電電極と印刷物との間の距離によっても異なるが、例えば上記した電圧並びに距離の場合、2000cm/min以下とするのが好ましく、特には500cm/min以下とすることで、より一層効率的に画像を消去することができる。
上記(1)で沿面放電について述べたように、印刷物1の酸化性ガスへの暴露は、密閉系で行っても又は開放系で行っても構わず、目的に応じて選択することができるが、密閉系で行うのが好ましい。密閉系で行う場合、放電領域(放電電極4と対向電極52との間を中心とする領域)以外に印刷物1を静置することができる。
図5は、コロナ放電により記録媒体上の画像を消去するための装置の別の実施例を示す概略側面図である。なお、図4に示す装置と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。図5に示す例では、印刷物1はロール54、54により導電性プレート52’の上を搬送される。
図7は、コロナ放電により記録媒体上の画像を消去するための装置の別の実施例を示す概略側面図である。なお、図4に示す装置と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。図7は、ロール状の放電電極4を備えた例を示す。ロール状放電電極4は、導電性エンドレスベルト52と接触しており、導電性エンドレスベルト52の回転に伴い回転しながら電圧が印加される。印刷物1は、ロール状放電電極4と導電性エンドレスベルト52の両者に接触しながら放電領域を通過するので、酸化性ガスとの接触効率が向上する。
図8は、コロナ放電により記録媒体上の画像を消去するための装置の別の実施例を示す概略側面図である。なお、図4に示す装置と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。図8は、搬送手段として導電性ドラム52を用いた例を示す。
図9は、コロナ放電により記録媒体上の画像を減色又は消色するための装置の別の実施例を示す概略側面図である。なお図4に示す装置と同じ部材又は部分には同じ参照番号を付してある。図9は、ロール状放電電極4と、導電性ドラム52を用いた例を示す。
以上図1〜9に示す装置のように沿面放電またはコロナ放電により発生させた反応性ガスを印刷物の画像に作用させて画像を消去したものは、記録媒体として再利用することができる。
[2] 無機顔料を表面に有する記録媒体
本発明に係る画像の消去において、画像は、無機顔料を含む表面を有する記録媒体の、該表面に形成されているものである。従って、本発明においては、無機顔料を含む表面を有するもの、好ましくは、無機顔料を含む層を基材上に具備している記録媒体が好適に用いられる。
[2] 無機顔料を表面に有する記録媒体
本発明に係る画像の消去において、画像は、無機顔料を含む表面を有する記録媒体の、該表面に形成されているものである。従って、本発明においては、無機顔料を含む表面を有するもの、好ましくは、無機顔料を含む層を基材上に具備している記録媒体が好適に用いられる。
後述するように、本発明においては、記録媒体上の画像をより一層容易かつ迅速に消色するために、色素を用いて調製したインクにより記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルを、色素粉末のイオン化ポテンシャルよりも0.1[eV]以上低くすることが好ましく、特には0.15[eV]以上低くすることが好ましい。このためには、無機顔料の細孔容積が0.2[cc/g]以上又は分散粒子径が0.5[μm]以下であることが好ましい。
本発明における顔料の細孔容積及び分散粒子径は、以下のようにして求めることができる。
本発明における無機顔料の細孔容積は、水銀圧入法による水銀ポロシメーターを用いて測定することができる。一般に、基材と無機顔料の細孔径は異なるので、水銀ポロシメーターにより細孔径に対する細孔容積の分布を調べれば、無機顔料のみの細孔容積を算出することができる。
また、分散粒子径は、走査電子顕微鏡観察により測定することができる。
本発明に用いられる無機顔料は、多孔質体であることが好ましく、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、クレイ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、サチンホワイト、ケイソウ土及び酸性白土からなる群から選ばれた少なくとも一種が挙げられる。中でもアルミナ又はシリカを用いるのが好ましく、特にはアルミナを用いるのが好ましい。
無機顔料の粒子形状に特に制限はなく、球状、破砕状等の粒子形状を適宜選択することができるが、上述のように、細孔容積が0.2[cc/g]以上又は分散粒子径が0.5[μm]以下のものを用いることが好ましい。より好ましくは、細孔容積は2.0[cc/g]以下であり、分散粒子径は、0.01[μm]以上である。このような無機顔料を含む表面を有する記録媒体に印字された画像は、それ以外の無機顔料を含む表面を有する記録媒体よりも著しく優れた消色性を示す。
記録媒体に用いられる基材は特に限定されるものではなく、例えば、紙、フィルム、印画紙、シール、ラベル、コンパクトディスク、金属、ガラス、各種プラスチック製品、宅配便の伝票等など、あらゆるものが利用でき、また、これらの複合物であっても構わない。部材が紙の場合は、再利用可能な紙であれば特に制限はなく、酸性紙、中性紙又はアルカリ性紙のいずれでもよい。原紙は、LBKP、NBKP等に代表される化学パルプ及び填料を主体とし、その他内面サイズ剤や抄紙助剤を必要に応じて用い、常法により抄紙する。使用するパルプ材には、機械パルプや古紙再生パルプを併用しても良く、またこれらを主体とするものであってもよい。填料としては炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン等が挙げられる。原紙は更に、親水性バインダー、マット剤、硬膜剤、界面活性剤、ポリマーラテックス、ポリマー媒染剤等を含有するか、又は塗布されていてもよい。原紙の坪量は40〜700g/m2であるのが好ましい。
無機顔料は、これに水性バインダーを添加した水性塗工液を調製した上で原紙にコート(塗工)することができる。水性バインダーとして、下記式(I)及び(II)で表されるモノマー単位の少なくとも1種を含む水溶性ポリマー及び下記式(III)で表されるモノマー単位の少なくとも1種を含む水溶性ポリマーの少なくとも一方を使用した場合、汎用の水溶性ポリマーを使用した場合に比べて、画像の消色性/減色性が著しく向上することが確認された。
(式(I)及び(II)中、m1及びm2はそれぞれ独立して4〜460の整数を、n1及びn2はそれぞれ独立して3〜80の整数を、R1−及びR2−はそれぞれ独立してH−、CH3−又はC2H5−を示し、−U1−〜−U3−はそれぞれ独立して−OCNHR’−NHCOO−を示し、−R’−は−(CH2)6−又は下記式(IV)又は(V):
で示される基を示す。)。
(式(III)中、R3−は、H−又はCH3−を、−Y−は−O−又は−NH−を、R4−は−H又は炭素数1〜4の炭化水素基をそれぞれ示し、n3は1〜25の整数である)。
なお、上記式(I)及び(II)で示されるモノマー単位から選択された少なくとも1種を含む水溶性ポリマーの数平均分子量は5,000〜200,000の範囲にあることが好ましい。また、この水溶性ポリマー中に含まれる上記式(I)及び(II)で示されるモノマー単位から選択された少なくとも1種の割合は全モノマー単位に対し10質量%以上であることが好ましい。
また、上記式(III)で示されるモノマー単位から選択された少なくとも1種を含む水溶性ポリマーの数平均分子量は5,000〜300,000の範囲にあることが好ましい。また、この水溶性ポリマー中に含まれる上記式(III)で示されるモノマー単位から選択された少なくとも1種の割合は全モノマー単位に対し10質量%以上であることが好ましい。
上記式(I)〜(III)で示されるモノマー単位から選択される少なくとも1種を含む化合物以外にも、汎用の水溶性ポリマーを水性バインダーとして使用することができる。水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、カゼイン、スチレンブタジエンラバー、でんぷん、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキサイド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらの水溶性ポリマーもその1種を、あるいは必要に応じてその2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機顔料と水性バインダーの質量比(無機顔料/水性バインダー)は、好ましくは0.1〜100、より好ましくは1〜20である。無機顔料と水性バインダーの質量比(無機顔料/水性バインダー)が100を超える場合は粉落ちがしやすく、また、0.1を下回る場合は画像の消色性又は減色性が充分得られにくい。
水性塗工液は、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、スプレーコート法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、コンマコーター法等により原紙表面に塗工する。塗工後、例えば熱風乾燥炉、熱ドラム等を用いて乾燥し、無機顔料含有表面層が得られる。熱ドラムを用いる場合、加熱した仕上げ面に表面層を圧着し、乾燥仕上げすることができる。なお乾燥前の湿潤状態の塗工層に対して、水性バインダーを凝固させる為に、亜鉛、カルシウム、バリウム、マグネシウム又はアルミニウムの硝酸塩、硫酸塩、蟻酸塩又は酢酸塩を含む水溶液で表面層を処理してもよい。
塗工量としては固形分として0.1〜50g/m2の範囲内で塗工することが好ましい。塗工量が0.1g/m2未満では、インクジェット印字/画像の消色性又は減色性が充分得られにくい。一方、50g/m2を越える量を塗工しても印字品質や画像の消色性又は減色性に改善は見られにくい。水性塗工液には、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、離型剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤等を適宜配合することができる。
[3] 色材
(1) 色素
酸化性ガスに暴露することにより、記録媒体上の画像が消色するメカニズムは、酸化による色素分子における化学結合の開裂反応によるものであると考えられる。そして、本発明者らの鋭意検討の結果、色素の消色が効率良く進むためには、色素のイオン化ポテンシャルが6.0[eV]以下であることが好ましいことを見出した。より好ましくは、4.2[eV]以上である。
[3] 色材
(1) 色素
酸化性ガスに暴露することにより、記録媒体上の画像が消色するメカニズムは、酸化による色素分子における化学結合の開裂反応によるものであると考えられる。そして、本発明者らの鋭意検討の結果、色素の消色が効率良く進むためには、色素のイオン化ポテンシャルが6.0[eV]以下であることが好ましいことを見出した。より好ましくは、4.2[eV]以上である。
加えて色素を用いて調製したインクにより記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルを、色素粉末のイオン化ポテンシャルよりも0.1[eV]以上、より好ましくは0.15[eV]以上低くすることで、記録媒体上の画像をより一層容易かつ迅速に消色できることが、本発明者等の検討結果より明らかとなった。好ましくは、0.7[eV]以下である。
このメカニズムの詳細までは明らかではないが、以下のように推測する。
一般に、色素のイオン化ポテンシャルの値は色素分子の凝集状態と密接に関係することが知られている(例えば非特許文献1)。
一方、多孔質無機顔料を含有した記録媒体表面上に、色素を用いて調製したインクを印字/印刷すると、多孔質無機顔料の表面の細孔に色素分子が個々に吸着し、色素分子同士の凝集等の弊害が生じないため、記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルが、色素粉末のイオン化ポテンシャルに比べて低下する傾向になると考えられる。これに対し、多孔質無機顔料の細孔容積や分散粒子径が不充分なものであった場合、本発明の条件を満足する記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルの低下が生じにくい。
本発明において、色素のイオン化ポテンシャル及び色素を用いて調製したインクにより記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルの値は、大気中光電子分光装置(理研計器製、AC−1)を用い、ファウラー則に従う光電子放出電流と光子エネルギーの接点から求めることができる。
本発明にかかる画像の消去方法において、画像を形成する色材としては、天然色素又は合成色素を含むのが好ましく、特には天然色素が好ましい。また、色素はポリエン構造を有していることがより好ましい。
(a)天然色素
天然色素としては、微生物により生産される微生物色素、動物/植物等から抽出される抽出色素等が挙げられるが、微生物色素が好ましい。
(a−1)微生物色素
微生物の培養により生産される微生物色素は、抽出色素に比べて生産管理が容易なので、安定的かつ大量の生産が可能であるという利点を有する。
(a)天然色素
天然色素としては、微生物により生産される微生物色素、動物/植物等から抽出される抽出色素等が挙げられるが、微生物色素が好ましい。
(a−1)微生物色素
微生物の培養により生産される微生物色素は、抽出色素に比べて生産管理が容易なので、安定的かつ大量の生産が可能であるという利点を有する。
微生物色素としては、例えば、紅麹色素、バイオラセイン、メラニン、カロチノイド、クロロフィル、フィコビリン、フラビン、フェナジン、プロディギオシン、バイオラセイン、インジゴ系色素、ベンゾキノン、ナフトキノン、アンスラキノン等が挙げられる(非特許文献2)。これらのうち放電処理による消色性に特に優れているのは、紅麹色素又はバイオラセイン又はインジゴ系色素であり、特には、紅麹色素である。
培養する微生物は、上記各微生物色素を産出する菌株であればいずれでもよく、培養方法も特に限定されず公知の培養法が利用できる。上記各微生物色素は、通常これらを産出する微生物の培養液から抽出されるが、インク特性が保持できるのであれば、特に抽出・精製をせず、培養液をそのまま濃縮したものであってもかまわない。
以下、本発明において特に好ましく用いられる紅麹色素について詳述する。
紅麹色素はモナスカス属の糸状菌(紅麹菌)が生産する色素であり、古くから中国、台湾等で紅酒、食肉等の着色剤として用いられており、その安全性が確認されている。紅麹色素は一般に、オレンジ色系のモナスコルブリン(Monascorubrin、)、黄色系のアンカフラビン(Ankaflavin)、黄色系のモナスシン(Monascin)、赤色系のモナスコルブラミン(Monascorubramin)、ルブロパンクタチン(rubropunctatin)、ルブロパンクタミン(rubropunctamine)のように構造が類似し、置換基が異なる化合物からなる組成物である(非特許文献3)。これらの化合物は水に不溶であるが、モナスコルブリンとルブロパンクタチンは培養液中の水溶性アミノ化合物と反応して水溶性の複合体を形成して赤色系水溶性紅麹色素となることが知られているので好ましい(非特許文献4)。水溶性アミノ化合物としては、アミノ酸、水溶性蛋白質、ペプチド及び核酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種であるのが好ましい。すなわち、紅麹色素は、(a)紅麹の菌株を培養した培養液から溶媒抽出したモナスコルブリン及び/又はルブロパンクタチンと、(b)アミノ酸、水溶性蛋白質、ペプチド及び核酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の水溶性アミノ化合物とを反応させることにより生成した水溶性色素を含むものとして調製することができる。
紅麹色素を産出する紅麹の菌株はモナスカス属の糸状菌であればよく、例えばモナスカス・パープレウス[Monascus purpureus;例えば独立行政法人製品評価技術基盤機構・生物遺伝資源センター(NBRC)のカタログ番号NBRC 4478]、モナスカス・ピロサス(Monascus pilosus;例えば同カタログ番号NBRC 4480)、モナスカス・ルバー(Monascus ruber;例えば同カタログ番号NBRC 9203)等が挙げられ、更にこれらの変種及び変異株が挙げられる。
紅麹の菌株の培養方法は特に限定されず、固体培地を使用する固体培養法、液体培地を使用する液体培養法のいずれも利用できる。例えば固体培養法からは粉末紅麹色素が得られ、液体培養法からは液体紅麹色素又はその有機溶媒抽出液が得られる。培地は炭素源、窒素源、無機塩類及び微量栄養素を含む公知のものでよく、例えば炭素源としてグルコース、シュークロース等の糖類や酢酸、澱粉の加水分解物を含み、窒素源及び微量栄養素としてペプトン、酵母エキス、麦芽エキス等を含み、無機塩類として硫酸塩、リン酸塩等を適宜含有する培地が利用される。
紅麹菌をこれら培地に接種し、20〜40℃の温度で、好気的に2〜14日間培養する。通気攪拌培養を行う場合、pHを特にコントロールする必要はない。但し酸性条件下で培養した場合、上述のモナスコルブリン及びルブロパンクタチンと水溶性アミノ化合物との反応が阻害され、モナスコルブリン及びルブロパンクタチンを多く含む色素を調製することができる(非特許文献4)。
紅麹色素は、培養液及び菌体画分から有機溶媒により抽出してもよいが、培養上清成分をそのまま乾固したものでもよい。抽出溶媒としては、n−プロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、ジオキサン、クロロホルム等を使用することができる。抽出物の精製は、通常の単離方法、例えばシリカゲルクロマトグラフィー及び逆相の高速液体クロマトグラフィー等により単離すれば、所望の純度の紅麹色素が得られる。かくして得られる紅麹色素は、モナスコルブリン、ルブロパンクタチン、アンカフラビン、モナスシン、モナスコルブラミン及びルブロパンクタミン等の水不溶成分と、培養中にモナスコルブリン及びルプブロパンクタチンと水溶性アミノ化合物とが結合した水溶性成分との混合物である。
紅麹色素は、水溶性成分を含むことにより消色性/減色性が向上する。よって培養により得られた紅麹色素に対して、更に水溶性アミノ化合物を添加し、モナスコルブリン及びルプブロパンクタチンと水溶性アミノ化合物との複合体の割合を増加させるのが好ましい。添加する水溶性アミノ化合物としては、アミノ酸、水溶性蛋白質、ペプチド及び核酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。これら特定の水溶性アミノ化合物との複合体は、一層消色性/減色性に優れる。
例えば、酸性条件下で培養した場合、モナスコルブリン及びルブロパンクタチンと水溶性アミノ化合物との反応が抑制され、主に水に不溶な色素が生成する。pH調整剤として酢酸を用い、フィードしつつ培養すると特に多くのモナスコルブリン及びルブロパンクタチンが得られる。この培養液に水溶性アミノ化合物を過剰に添加し、pHを中性に調整した後、遠心分離及びろ過等により菌体を除去し、水溶性色素を得ることができる。すなわち、また酸性条件下で培養し、培養液から色素をモナスコルブリン、ルブロパンクタチンを含む色素を有機溶媒で抽出してから水溶性アミノ化合物と反応させれば、色素以外の不純物をへらし、しかも色素は限定された色素の混合物となり、より消色性が向上する。このとき用いる抽出溶媒は、酢酸エチル、アセトン、ブタノール、エタノール、メタノール等が挙げられる。特に酢酸エチルで抽出した後、水で抽出液を洗浄するとよりいっそう効果的である。抽出色素と水溶性アミノ化合物との反応には、50質量%エタノール水溶液、50質量%メタノール水溶液、50質量%アセトニトリル水溶液を用いるのが好ましいが特に限定されない。
(a−2)抽出色素
抽出色素としては、例えば、ウコン色素、クチナシ色素、カロチン、ベニバナ色素、アナトー色素、トウガラシ色素、シソ色素、ブドウ果汁色素、赤大根色素、アカキャベツ色素、ムラサキいも色素、クロロフィル色素、カカオ色素、インジゴ系色素などの植物から抽出した色素や、ラック色素、コチニール色素、イカ墨色素など動物性色素などが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。また、前記抽出色素の中でもは、特にクチナシ色素又はトウガラシ色素であるのが好ましい。
(b)合成色素
合成色素としては、例えばアントラキノン系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ポリエン系、インジゴ系等が挙げられる。但しこれらに限定する趣旨ではない。
(a−2)抽出色素
抽出色素としては、例えば、ウコン色素、クチナシ色素、カロチン、ベニバナ色素、アナトー色素、トウガラシ色素、シソ色素、ブドウ果汁色素、赤大根色素、アカキャベツ色素、ムラサキいも色素、クロロフィル色素、カカオ色素、インジゴ系色素などの植物から抽出した色素や、ラック色素、コチニール色素、イカ墨色素など動物性色素などが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。また、前記抽出色素の中でもは、特にクチナシ色素又はトウガラシ色素であるのが好ましい。
(b)合成色素
合成色素としては、例えばアントラキノン系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ポリエン系、インジゴ系等が挙げられる。但しこれらに限定する趣旨ではない。
[4]インクジェット用インク
本発明に係る画像は、例えば上記したような種々の色材を含むインクジェット用インクを用いてインクジェット記録方法により前記した記録媒体に形成されたものである。そして、このようなインクジェット用インクは、上記したような種々の色材を水や有機溶媒に溶解、分散、或いは溶解及び分散させることにより調製することができる。
(1) 溶媒
有機溶媒としてはインクジェットインクに使用される公知のものを使用することができる。具体的にはアルコール、グリコール、グリコールエーテル、脂肪酸エステル、ケトン、エーテル、炭化水素系溶媒、極性溶媒等が挙げられる。有機溶媒が水溶性のものであれば水を添加してもよい。その場合のインク中の水の含有量は、インク全質量に対し30〜95質量%の範囲とすることが好ましい。
本発明に係る画像は、例えば上記したような種々の色材を含むインクジェット用インクを用いてインクジェット記録方法により前記した記録媒体に形成されたものである。そして、このようなインクジェット用インクは、上記したような種々の色材を水や有機溶媒に溶解、分散、或いは溶解及び分散させることにより調製することができる。
(1) 溶媒
有機溶媒としてはインクジェットインクに使用される公知のものを使用することができる。具体的にはアルコール、グリコール、グリコールエーテル、脂肪酸エステル、ケトン、エーテル、炭化水素系溶媒、極性溶媒等が挙げられる。有機溶媒が水溶性のものであれば水を添加してもよい。その場合のインク中の水の含有量は、インク全質量に対し30〜95質量%の範囲とすることが好ましい。
有機溶媒としてはアルコール及びグリコールが好ましい。アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール及びt−ブチルアルコールを挙げることができる。
グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール及びチオジグリコールを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いても二種以上を適宜組み合わせて用いても良い。例えばアルコール及び/又はグリコールと極性溶媒との組合せが挙げられる。極性溶媒としては、2−ピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル及びアセトンを挙げることができる。
上記各色素は水や有機溶媒に溶解してもよいし、必要に応じて種々の分散機(例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、ジェットミル、オングミル等)を用いて微粒子化し、適当な分散剤(界面活性剤)を用いて分散してもよい。界面活性剤は陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれでもよい。
インクジェットインクには必要に応じて結合剤、pH調整剤、粘度調整剤、浸透材、表面張力調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防かび剤等を添加することができる。
上記各色素の含有量は消色性インク(組成物)全質量に対して0.01〜90質量%であるのが好ましく、0.5〜15質量%であるのがより好ましい。これにより良好な印字特性を有することができる。
また、前記インクを用いて、記録媒体上へ印字/印刷する方法としてはインクジェットによるプリント方式でもペンなどの形状を有する文具を用いても構わない。
[5]消色に必要な時間
前記したような種々の色材により構成される画像は、酸化性ガスへの暴露により褪色(減色)させ、最終的には目視によって認識できないレベルにまで消去させることができる。すなわち、印刷物の酸化性ガスへの暴露により、画像は淡くなり、ついには視認できなくなる。画像消去に対しては放電電圧の影響が大きいが、酸化性ガスとの接触効率、酸化性ガスの組成、色素の種類、色素の濃度、色素の組成、印刷材料等の条件によって消色に必要な時間が異なる。これらの条件を適宜選択することにより消色時間を調整できる。
[5]消色に必要な時間
前記したような種々の色材により構成される画像は、酸化性ガスへの暴露により褪色(減色)させ、最終的には目視によって認識できないレベルにまで消去させることができる。すなわち、印刷物の酸化性ガスへの暴露により、画像は淡くなり、ついには視認できなくなる。画像消去に対しては放電電圧の影響が大きいが、酸化性ガスとの接触効率、酸化性ガスの組成、色素の種類、色素の濃度、色素の組成、印刷材料等の条件によって消色に必要な時間が異なる。これらの条件を適宜選択することにより消色時間を調整できる。
また、本発明の画像消去方法は、単に印刷物の画像を消去して記録媒体として再利用する場合のみならず、画像を消去したものを再生紙の製造原料として利用する場合にも利用できる。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(記録媒体の作製例1)
アルミナ微粉末(商品名:「カタロイド AP−3」、触媒化成工業(株)製)とポリビニルアルコール(商品名「SMR−10HH」、信越化学工業(株)製)を質量比で90/10となるように混合し、固形分比が20質量%となるように水を加えて撹拌した。これをPETフィルムに乾燥後の質量が30g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥した。これを記録媒体1とした。
(記録媒体の作成例2)
2リットル撹拌機付きフラスコにポリエチレングリコール(平均分子量2000)800g、およびヘキサメチレンジイソシアネート65g、およびジブチルチンジラウレート2g、およびエチレングリコールジメチルエーテル900gを加えて室温で30分間撹拌し、均一に混合した後、80℃に加熱、撹拌を2時間行った後、冷却し、高粘度の透明液状液体(バインダーA)を得た。得られた液体は25℃において30,000mPa・sの粘性を示し、エチレングリコールジメチルエーテル溶媒中に含まれるポリマーの数平均分子量は85,000であった。次に、ポリビニルアルコールを上記の操作で得たバインダーAとした以外は作製例1と同様にして記録媒体2を得た。
(記録媒体の作成例3)
2リットル撹拌機付きフラスコに、ヒドロキシエチルメタクリレート300g、水350g、メタノール350gおよびアゾビスイソブチロニトリル1.5gをそれぞれとり、室温で60分撹拌した後、窒素ガスを吹き込んでフラスコ内を十分窒素ガスで置換した後、更に窒素ガスを徐々に通じながら昇温し、65℃とした。次いで、このまま3時間重合せしめた後、冷却して高粘度の透明液状物(バインダーB)を得た。得られた液体は25℃において1,800mPa・sの粘性を示し、水/メタノール混合溶媒中に含まれるポリマーの数平均分子量は150,000であった。次に、ポリビニルアルコールを上記の操作で得たバインダーBとした以外は作製例1と同様にして記録媒体3を得た。
(記録媒体の作成例4)
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックス C、日産化学(株)製)とポリビニルアルコール(商品名「SMR−10HH」、信越化学工業(株)製)を、固形分質量比で90/10となるように混合し、固形分比が20質量%となるように水を加えて撹拌した。これをPETフィルムに乾燥後の重量が30g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥した。これを記録媒体4とした。
(インクの作製例1〜5)
下記表1に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インク1〜5を得た。なお、銅フタロシアニン四スルホン酸四ナトリウムはキシダ化学(株)製のものを用いた。クチナシ黄色素、トウガラシ色素及びクロロフィルはキリヤ化学(株)製のものを用いた。また、インジゴカーミンはナカライテスク(株)製のものを用いた。
(記録媒体の作製例1)
アルミナ微粉末(商品名:「カタロイド AP−3」、触媒化成工業(株)製)とポリビニルアルコール(商品名「SMR−10HH」、信越化学工業(株)製)を質量比で90/10となるように混合し、固形分比が20質量%となるように水を加えて撹拌した。これをPETフィルムに乾燥後の質量が30g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥した。これを記録媒体1とした。
(記録媒体の作成例2)
2リットル撹拌機付きフラスコにポリエチレングリコール(平均分子量2000)800g、およびヘキサメチレンジイソシアネート65g、およびジブチルチンジラウレート2g、およびエチレングリコールジメチルエーテル900gを加えて室温で30分間撹拌し、均一に混合した後、80℃に加熱、撹拌を2時間行った後、冷却し、高粘度の透明液状液体(バインダーA)を得た。得られた液体は25℃において30,000mPa・sの粘性を示し、エチレングリコールジメチルエーテル溶媒中に含まれるポリマーの数平均分子量は85,000であった。次に、ポリビニルアルコールを上記の操作で得たバインダーAとした以外は作製例1と同様にして記録媒体2を得た。
(記録媒体の作成例3)
2リットル撹拌機付きフラスコに、ヒドロキシエチルメタクリレート300g、水350g、メタノール350gおよびアゾビスイソブチロニトリル1.5gをそれぞれとり、室温で60分撹拌した後、窒素ガスを吹き込んでフラスコ内を十分窒素ガスで置換した後、更に窒素ガスを徐々に通じながら昇温し、65℃とした。次いで、このまま3時間重合せしめた後、冷却して高粘度の透明液状物(バインダーB)を得た。得られた液体は25℃において1,800mPa・sの粘性を示し、水/メタノール混合溶媒中に含まれるポリマーの数平均分子量は150,000であった。次に、ポリビニルアルコールを上記の操作で得たバインダーBとした以外は作製例1と同様にして記録媒体3を得た。
(記録媒体の作成例4)
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックス C、日産化学(株)製)とポリビニルアルコール(商品名「SMR−10HH」、信越化学工業(株)製)を、固形分質量比で90/10となるように混合し、固形分比が20質量%となるように水を加えて撹拌した。これをPETフィルムに乾燥後の重量が30g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥した。これを記録媒体4とした。
(インクの作製例1〜5)
下記表1に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インク1〜5を得た。なお、銅フタロシアニン四スルホン酸四ナトリウムはキシダ化学(株)製のものを用いた。クチナシ黄色素、トウガラシ色素及びクロロフィルはキリヤ化学(株)製のものを用いた。また、インジゴカーミンはナカライテスク(株)製のものを用いた。
(インクの作製例6)
500mlの坂口フラスコに、100mlの麦芽酵母エキス(Yeast-Malt(YM))培地[グルコース1質量%、酵母エキス(Difco Laboratories, Inc.製)0.3質量%、麦芽エキス(Difco Laboratories, Inc.製)0.3質量%、バクトペプトン(Difco Laboratories, Inc.製)0.5質量%及び残部純水からなる培地]を入れ、pH6.5に調節した後、120℃で20分間加圧滅菌を行った。冷却後、YM寒天培地で斜面培養した紅麹菌[モナスカス・パープレウス(NBRC4478)]を一白金耳接種し、30℃で2日間振盪培養を行い、種菌液を得た。得られた種菌液のうち5mlを、上記と同様に滅菌したYM培地100mlに接種し、30℃で3日間振盪することにより本培養した。本培養終了後、培養液を遠心分離機にかけて(9000rpm、10min)、上澄み液と菌体に分離した。得られた上澄み液は、蒸留水への100分の1希釈時に波長500nmでの吸光度が0.2であった。上澄み液に等量のエタノールを添加し、攪拌後、更に遠心分離機にかけて(9000rpm、10min)、非水溶性の色素を除去した。得られた上澄み液を濃縮乾固して水溶性の赤色色素を得た。この色素を用い、色素/エタノール=10.0/90.0となるように混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インク6を調製した。
(培養例1〜4)
5リットルの坂口フラスコに、インクの作製例6と同じYM培地1リットルを入れ、pH6.5に調節した後、120℃で20分間加圧滅菌を行った。冷却後、YM寒天培地で斜面培養した紅麹菌[モナスカス・パープレウス(NBRC4478)]を一白金耳接種し、30℃で2日間振盪培養を行い、種菌液を得た。
500mlの坂口フラスコに、100mlの麦芽酵母エキス(Yeast-Malt(YM))培地[グルコース1質量%、酵母エキス(Difco Laboratories, Inc.製)0.3質量%、麦芽エキス(Difco Laboratories, Inc.製)0.3質量%、バクトペプトン(Difco Laboratories, Inc.製)0.5質量%及び残部純水からなる培地]を入れ、pH6.5に調節した後、120℃で20分間加圧滅菌を行った。冷却後、YM寒天培地で斜面培養した紅麹菌[モナスカス・パープレウス(NBRC4478)]を一白金耳接種し、30℃で2日間振盪培養を行い、種菌液を得た。得られた種菌液のうち5mlを、上記と同様に滅菌したYM培地100mlに接種し、30℃で3日間振盪することにより本培養した。本培養終了後、培養液を遠心分離機にかけて(9000rpm、10min)、上澄み液と菌体に分離した。得られた上澄み液は、蒸留水への100分の1希釈時に波長500nmでの吸光度が0.2であった。上澄み液に等量のエタノールを添加し、攪拌後、更に遠心分離機にかけて(9000rpm、10min)、非水溶性の色素を除去した。得られた上澄み液を濃縮乾固して水溶性の赤色色素を得た。この色素を用い、色素/エタノール=10.0/90.0となるように混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インク6を調製した。
(培養例1〜4)
5リットルの坂口フラスコに、インクの作製例6と同じYM培地1リットルを入れ、pH6.5に調節した後、120℃で20分間加圧滅菌を行った。冷却後、YM寒天培地で斜面培養した紅麹菌[モナスカス・パープレウス(NBRC4478)]を一白金耳接種し、30℃で2日間振盪培養を行い、種菌液を得た。
一方、1リットルガラスジャーに、上記と同じYM培地450mlを入れ、120℃で20分間加圧滅菌を行い、冷却後、上記種菌液を10%(v/v)植菌した。pH調整剤として培養例1では硫酸、培養例2では燐酸、培養例3では酢酸のいずれかを使用し、培養開始時から培養液のpHを4.0に保ちながら、30℃で7日間通気攪拌培養を行った。培養例4では、培養開始時のpHを6.5に調整し、その後pHは無調整で培養を行った。培養例1〜4で得られた培養液中のモナスコルブリン生産量をHPLCで測定した。HPLC分析条件は特許文献7に示される方法で行った。その結果を表2に示す。
表2に示すように、酸性条件で培養するとモナスコルブリン量が顕著に増加し、pH調整剤として酢酸を使用することにより、硫酸や燐酸などの鉱酸に比較して、更に増加した。この方法で培養することにより得られるルブロパンクタチンとモナスコルブリンを用いて、アミノ化合物との付加反応を行うことにより、より効率的に水溶性色素を得ることができる。
(インクの作製例7)
培養例3で得られた培養液を遠心分離機にかけて(9000rpm、10min)、上澄み液と菌体に分離した。得られた色素含有湿菌体を凍結乾燥して水分量を求めたところ75.6質量%であった。
(インクの作製例7)
培養例3で得られた培養液を遠心分離機にかけて(9000rpm、10min)、上澄み液と菌体に分離した。得られた色素含有湿菌体を凍結乾燥して水分量を求めたところ75.6質量%であった。
得られた湿菌体400gに酢酸エチル10リットルを加え、1時間攪拌した後ろ紙でろ過してろ液と菌体に分離した。ろ液から水層を除去して酢酸エチル層を得た。得られた酢酸エチル抽出液に等量の水を加え、2回洗浄した。洗浄後の酢酸エチル抽出液を濃縮乾固し、モナスコルブリン及びルブロパンクタチンを含有する赤橙色色素を得た。
得られた赤橙色色素10.8gにアセトニトリルを添加し、2095mlの赤橙色色素含有アセトニトリル溶液を得た。これに等量のグルタミン酸1ナトリウム水溶液(30mg/ml)を添加して攪拌しながら室温で3日間反応させた後、濃縮乾固して水溶性色素を得た。この色素を用い、色素/グリセリン/ジエチレングリコール/アセチレノールEH(川研ファインケミカル製、アセチレングリコールEO付加物)/水=2.5/7.5/7.5/0.1/82.4(質量比)となるように混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インク7を調製した。
グルタミン酸1ナトリウム添加による水溶性色素生成反応の後、逆相HPLCで反応液中のモナスコルブリン及びルブロパンクタチンの分析を行ったが、モナスコルブリン及びルブロパンクタチンは検出されなかった。また反応液を蒸留水で100分の1に希釈した液について500nmでの吸光度を測定したところ0.68であった。
(印刷物の作製例1〜10)
得られたインク1〜7を用い、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用したオンデマンド型インクジェットプリンター(商品名「Wonder BJ F-660」、キヤノン(株)製)を用いて、記録媒体1〜4にベタ印字を行い、印刷物1〜10を得た。各印刷物の内容を表3に示した。
得られたインク1〜7を用い、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用したオンデマンド型インクジェットプリンター(商品名「Wonder BJ F-660」、キヤノン(株)製)を用いて、記録媒体1〜4にベタ印字を行い、印刷物1〜10を得た。各印刷物の内容を表3に示した。
(消色性/減色性の評価)
実施例1〜10
先に記載した項目[1]の(1)で述べた図1に示す装置(誘電体:アルミナセラミック、誘電体に埋設された電極:クロム、誘電体の底面に設けられた電極:クロム)を用い、放電電極に周波数5kHz、印加電圧Vpp4.5kVの交流電圧を印加した状態で、印刷物1〜10を120mm/分のスピードで搬送した。また、誘電体の底面のクロム電極と印刷物との距離は1.0mmとなるように沿面放電電極3とエンドレスベルト5を配置した。なお、実施例1〜10で用いた印刷物は、この順に印刷物1〜10とそれぞれ対応している。
実施例11
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図4に示す装置[放電電極(ワイヤー):タングステン、対向電極(導電性エンドレスベルト):カーボン含有ポリカーボネート]を用い、放電電極に−1.5kVの直流電圧を印加した状態で、印刷物10を10mm/分のスピードで搬送した。
実施例12
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図5に示す装置[放電電極(ワイヤー):タングステン、対向電極(導電性プレート):アルミニウム]を用い、放電電極に−1.5kVの直流電圧を印加した状態で、印刷物10を10mm/分のスピードで搬送した。
実地例13
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図6に示す装置(誘電体:アルミナセラミック、放電電極:アルミニウム、対向電極:アルミニウム)を用い、放電電極に周波数10kHz、印加電圧Vpp:10kVの交流電圧を印加した。この装置内に印刷物10を2時間放置した。
実施例1〜10
先に記載した項目[1]の(1)で述べた図1に示す装置(誘電体:アルミナセラミック、誘電体に埋設された電極:クロム、誘電体の底面に設けられた電極:クロム)を用い、放電電極に周波数5kHz、印加電圧Vpp4.5kVの交流電圧を印加した状態で、印刷物1〜10を120mm/分のスピードで搬送した。また、誘電体の底面のクロム電極と印刷物との距離は1.0mmとなるように沿面放電電極3とエンドレスベルト5を配置した。なお、実施例1〜10で用いた印刷物は、この順に印刷物1〜10とそれぞれ対応している。
実施例11
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図4に示す装置[放電電極(ワイヤー):タングステン、対向電極(導電性エンドレスベルト):カーボン含有ポリカーボネート]を用い、放電電極に−1.5kVの直流電圧を印加した状態で、印刷物10を10mm/分のスピードで搬送した。
実施例12
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図5に示す装置[放電電極(ワイヤー):タングステン、対向電極(導電性プレート):アルミニウム]を用い、放電電極に−1.5kVの直流電圧を印加した状態で、印刷物10を10mm/分のスピードで搬送した。
実地例13
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図6に示す装置(誘電体:アルミナセラミック、放電電極:アルミニウム、対向電極:アルミニウム)を用い、放電電極に周波数10kHz、印加電圧Vpp:10kVの交流電圧を印加した。この装置内に印刷物10を2時間放置した。
実施例14〜16
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図7に示す装置[放電電極(導電性ロール):カーボン含有シリコーンゴム、対向電極(導電性ドラム):カーボン含有シリコーンゴム]を用い、放電電極に下記表4に記載の電圧を印加した状態で、印刷物10を10mm/分のスピードで搬送した。
実施例17
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図8に示す装置[放電電極(ワイヤー):タングステン、対向電極(導電性ドラム):アルミニウム]を用い、放電電極に−1.5kVの直流電圧を印加した状態で、印刷物10を10mm/分のスピードで搬送した。
実施例18
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図9に示す装置[放電電極(導電性ロール):カーボン含有シリコーンゴム、対向電極(導電性ドラム):カーボン含有シリコーンゴム]を用い、−1.5kVの直流電圧に、周波数1kHz・印加電圧1.5kVの交流電圧を重畳した電圧を放電電極にかけた状態で、印刷物10を10mm/分のスピードで搬送した。
比較例1
インク7を用い、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用したオンデマンド型インクジェットプリンター(商品名「Wonder BJ F-660」、キヤノン(株)製)を用いて、ブライトリサイクル紙(富士ゼロックス(株)製)にベタ印字を行い、印刷物12を得た。先に記載した項目[1](1)で述べた図1に示す装置(誘電体:アルミナセラミック、誘電体に埋設された電極:クロム、誘電体の底面下に設けられた電極:クロム)を用い、放電電極に周波数5kHz、印加電圧Vpp:4.5kVの交流電圧を印加した状態で、得られた印刷物12を120mm/分のスピードで搬送した。
比較例2
印刷物10を、昼色蛍光灯下25cmの位置(2000ルクス)に20時間静置した。
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図7に示す装置[放電電極(導電性ロール):カーボン含有シリコーンゴム、対向電極(導電性ドラム):カーボン含有シリコーンゴム]を用い、放電電極に下記表4に記載の電圧を印加した状態で、印刷物10を10mm/分のスピードで搬送した。
実施例17
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図8に示す装置[放電電極(ワイヤー):タングステン、対向電極(導電性ドラム):アルミニウム]を用い、放電電極に−1.5kVの直流電圧を印加した状態で、印刷物10を10mm/分のスピードで搬送した。
実施例18
先に記載した項目[1]の(2)で述べた図9に示す装置[放電電極(導電性ロール):カーボン含有シリコーンゴム、対向電極(導電性ドラム):カーボン含有シリコーンゴム]を用い、−1.5kVの直流電圧に、周波数1kHz・印加電圧1.5kVの交流電圧を重畳した電圧を放電電極にかけた状態で、印刷物10を10mm/分のスピードで搬送した。
比較例1
インク7を用い、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用したオンデマンド型インクジェットプリンター(商品名「Wonder BJ F-660」、キヤノン(株)製)を用いて、ブライトリサイクル紙(富士ゼロックス(株)製)にベタ印字を行い、印刷物12を得た。先に記載した項目[1](1)で述べた図1に示す装置(誘電体:アルミナセラミック、誘電体に埋設された電極:クロム、誘電体の底面下に設けられた電極:クロム)を用い、放電電極に周波数5kHz、印加電圧Vpp:4.5kVの交流電圧を印加した状態で、得られた印刷物12を120mm/分のスピードで搬送した。
比較例2
印刷物10を、昼色蛍光灯下25cmの位置(2000ルクス)に20時間静置した。
実施例1〜18、比較例1、2で放電処理した印刷物について、放電処理前後(比較例2は光照射前後)での印字の光学濃度をカラー透過・反射濃度計(商品名「X-Rite 310TR」、X-Rite,Inc.製)により測定し、放電処理前の光学濃度に対する放電処理後の光学濃度(光学濃度残率=放電処理後の光学濃度/放電処理前の光学濃度×100)を調べた。結果を表4(表4(1)〜(4))に示す。
表4から明らかなように、実施例1〜18は、無機顔料コート部材にインクジェットインクにより印字された印刷物を、沿面放電又はコロナ放電により発生した酸化性ガスに暴露しているので、光学濃度残率が低く、消色性/減色性に優れる。特に色素として天然色素を用いた場合に消色性/減色性に優れ、中でも紅麹色素又はインジゴ系色素を用いた場合に一層優れることが分かる。また、コロナ放電において直流電圧を印加する場合、極性をマイナスすると消色/減色効果が向上することが分かる。無機顔料コート部材の無機顔料としてアルミナを用いた場合に、特に消色性/減色性に優れることが分かる。
(記録媒体の作製例5〜8)
各種コロイダルシリカ微粉末とポリビニルアルコール(商品名「SMR-10HH」、信越化学工業(株)製)を重量比で90/10となるように混合し、固形分比が20%となるように水を加えて攪拌した。これをA4普通紙上に、乾燥後の質量が30g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥して、記録媒体5〜8を作製した。得られた記録媒体の無機顔料粒子の細孔容積及び分散粒子径を上記の方法により測定した。結果を表5に示す。
(記録媒体の作製例5〜8)
各種コロイダルシリカ微粉末とポリビニルアルコール(商品名「SMR-10HH」、信越化学工業(株)製)を重量比で90/10となるように混合し、固形分比が20%となるように水を加えて攪拌した。これをA4普通紙上に、乾燥後の質量が30g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥して、記録媒体5〜8を作製した。得られた記録媒体の無機顔料粒子の細孔容積及び分散粒子径を上記の方法により測定した。結果を表5に示す。
(記録媒体の作製例9〜13)
各種アルミナ微粉末とポリビニルアルコール(商品名「SMR-10HH」、信越化学工業(株)製)を重量比で90/10となるように混合し、固形分比が20%となるように水を加えて攪拌した。これをA4普通紙上に、乾燥後の質量が30g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥して、記録媒体9〜13を作製した。得られた記録媒体の無機顔料粒子の細孔容積及び分散粒子径を上記の方法により測定した。結果を表6に示す。
各種アルミナ微粉末とポリビニルアルコール(商品名「SMR-10HH」、信越化学工業(株)製)を重量比で90/10となるように混合し、固形分比が20%となるように水を加えて攪拌した。これをA4普通紙上に、乾燥後の質量が30g/m2となるように塗工し、110℃で10分間乾燥して、記録媒体9〜13を作製した。得られた記録媒体の無機顔料粒子の細孔容積及び分散粒子径を上記の方法により測定した。結果を表6に示す。
(インクの作製例8〜10)
下記表7に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インクを調製し、インクを得た。なお、クチナシ青色素及びトウガラシ色素はキリヤ化学(株)製のものを、また、銅フタロシアニン四スルホン酸四ナトリウムはキシダ化学(株)製のものを用いた。
下記表7に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解した後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター[商品名:住友電工(株)製]により加圧ろ過し、インクを調製し、インクを得た。なお、クチナシ青色素及びトウガラシ色素はキリヤ化学(株)製のものを、また、銅フタロシアニン四スルホン酸四ナトリウムはキシダ化学(株)製のものを用いた。
*)アセチレノールEH(川研ファインケミカル製、アセチレングリコールEO付加物)
(印刷物の作製例13〜24)
得られたインク8〜10を用い、印刷物の作製例1〜10と同様にして記録媒体5〜8にベタ印字を行い、印刷物を作製した。なお、前記色素のイオン化ポテンシャル及び前記色素を用いて調製したインクにより記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルの値は、大気中光電子分光装置(理研計器製、AC−1)を用いて測定した。結果を表8に示す。
(印刷物の作製例25〜34)
得られたインク5及び6を用い、印刷物の作製例1〜10と同様にして記録媒体9〜13にベタ印字を行い、印刷物を作製した。なお、前記色素のイオン化ポテンシャル及び前記色素を用いて調製したインクにより記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルの値は、大気中光電子分光装置(理研計器製、AC−1)を用いて測定した。結果を表9に示す。
(減色性/消色性の評価)
実施例19〜31
実施例1と同様の装置を用い、放電電極に周波数15kHz、印加電圧Vp-p8kVの交流電圧を印加した状態で、印刷物13〜25を180mm/分のスピードで搬送した。また、誘電体底面のクロム電極と印刷物との距離は0.8mmとなるように沿面放電電極3とエンドレスベルト5を配置した。
実施例32〜40
実施例11と同様の装置を用い、放電電極に−7.5kVの直流電圧を印加した状態で、印刷物26〜36を60mm/分のスピードで搬送した。また、放電電極(タングステン)と印刷物との距離は1.0mmとなるように帯電器41とエンドレスベルト52を配置した。
(印刷物の作製例13〜24)
得られたインク8〜10を用い、印刷物の作製例1〜10と同様にして記録媒体5〜8にベタ印字を行い、印刷物を作製した。なお、前記色素のイオン化ポテンシャル及び前記色素を用いて調製したインクにより記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルの値は、大気中光電子分光装置(理研計器製、AC−1)を用いて測定した。結果を表8に示す。
(印刷物の作製例25〜34)
得られたインク5及び6を用い、印刷物の作製例1〜10と同様にして記録媒体9〜13にベタ印字を行い、印刷物を作製した。なお、前記色素のイオン化ポテンシャル及び前記色素を用いて調製したインクにより記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルの値は、大気中光電子分光装置(理研計器製、AC−1)を用いて測定した。結果を表9に示す。
(減色性/消色性の評価)
実施例19〜31
実施例1と同様の装置を用い、放電電極に周波数15kHz、印加電圧Vp-p8kVの交流電圧を印加した状態で、印刷物13〜25を180mm/分のスピードで搬送した。また、誘電体底面のクロム電極と印刷物との距離は0.8mmとなるように沿面放電電極3とエンドレスベルト5を配置した。
実施例32〜40
実施例11と同様の装置を用い、放電電極に−7.5kVの直流電圧を印加した状態で、印刷物26〜36を60mm/分のスピードで搬送した。また、放電電極(タングステン)と印刷物との距離は1.0mmとなるように帯電器41とエンドレスベルト52を配置した。
実施例19〜40で放電処理した印刷物について、放電処理前後での印字の光学濃度をカラー透過・反射濃度計(商品名「X-Rite 310TR」、X-Rite,Inc.製)により測定し、放電処理前の光学濃度に対する放電処理後の光学濃度(光学濃度残率)を調べた。結果を表8及び表9に示す。
なお、印刷物13〜34をそれぞれ実施例19〜41とした。また、表8及び9においてインク中の色素がクチナシ青のものがインク8、トウガラシ色素のものがインク9、銅フタル酸四スルホン酸四ナトリウムのものがインク10、インジゴカーミンのものがインク5、紅麹色素のものがインク7である。
表8及び表9から明らかなように、色素のイオン化ポテンシャルが6.0eV以下であり、且つ前記色素を用いて調製したインクにより記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルが前記色素粉末のイオン化ポテンシャルよりも0.1eV以上、特に0.15eV以上低い印刷物が消色性/減色性により優れる。特に色素として紅麹色素又はトウガラシ色素又はインジコカーミン色素を用いた場合に消色性/減色性に優れることが分かる。
1・・・インクジェット印刷物
2・・・交流電源
21・・・直流バイアス電源
22・・・直流/交流電源
3・・・沿面放電電極
31・・・電極
32・・・電極
33・・・誘電体
34・・・放電領域
4・・・放電電極
41・・・カバー
42・・・密閉容器
5・・・搬送手段
51・・・搬送手段兼第2のバイアス電極
52・・・搬送手段兼対向電極
52’・・・プレート状対向電極
53,54・・・ロール
55・・・誘電体
6・・・第1のバイアス電極
2・・・交流電源
21・・・直流バイアス電源
22・・・直流/交流電源
3・・・沿面放電電極
31・・・電極
32・・・電極
33・・・誘電体
34・・・放電領域
4・・・放電電極
41・・・カバー
42・・・密閉容器
5・・・搬送手段
51・・・搬送手段兼第2のバイアス電極
52・・・搬送手段兼対向電極
52’・・・プレート状対向電極
53,54・・・ロール
55・・・誘電体
6・・・第1のバイアス電極
Claims (28)
- 無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を有している印刷物の該画像を消去する方法であって、
(i) 放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下で、沿面放電用の面を有する誘電体により隔てられた第一の電極と第二の電極の間に電圧を印加することにより、前記沿面放電用の面から沿面放電を発生させて前記気体から酸化性ガスを生成させる工程と、
(ii) 前記酸化性ガスに該印刷物の有する画像を暴露する工程と、
を有することを特徴とする画像を消去する方法。 - 前記沿面放電用の面に前記第二の電極を保持し、前記第一の電極と前記第二の電極の間に、電圧(Vpp)が1〜20kVであり、周波数が100Hz〜5MHzである交流電圧を印加し、かつ、前記印刷物の画像を有する表面と前記第二の電極との間の距離を0〜100mmとする請求項1記載の方法。
- 前記印刷物の酸化性ガスへの暴露を、前記印刷物を静置した状態、若しくは2000cm/min以下の速度で前記沿面放電用の面に対して相対的に移動させつつ行う請求項1又は2に記載の方法。
- 無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を有している印刷物の該画像を消去する方法であって、
(a) 放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下で、接地された第一の電極に対してマイナスの電圧を第二の電極に印加し、これらの電極間でコロナ放電させて酸化性ガスを発生させる工程と、
(b) 前記印刷物を、該酸化性ガスに暴露する工程と、
を有することを特徴とする画像を消去する方法。 - 前記第一の電極と前記印刷物の少なくとも一部とを接触させる請求項4記載の方法。
- 前記第二の電極に印加する電圧が−0.5kV〜−20.0kVであり、かつ、前記印刷物は前記第二の電極との距離が0〜100mmの位置において前記酸化性ガスに暴露させる請求項4又は5に記載の方法。
- 前記工程(b)において、印刷物を、第一及び第二の電極の間の放電空間に静置した状態、若しくは該放電空間に対して2000cm/min以下の速度で相対的に移動させる請求項4〜6の何れかに記載の方法。
- 前記無機顔料が、アルミナ又はシリカである請求項1〜7の何れかに記載の方法。
- 前記無機顔料の細孔容積が0.2[cc/g]以上又は分散粒子径が0.5[μm]以下である請求項1〜8の何れかに記載の方法。
- 前記画像が、天然色素又は合成色素を含む請求項1〜11の何れかに記載の方法。
- 前記色素のイオン化ポテンシャルが6.0[eV]以下であり、かつ、前記色素を用いて調製したインクにより記録媒体上に形成した画像のイオン化ポテンシャルが前記色素のイオン化ポテンシャルよりも0.1[eV]以上低い請求項12記載の方法。
- 前記色素がポリエン構造を有していることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
- 前記天然色素は、微生物により生産される微生物色素、又は動物もしくは植物から抽出される抽出色素である請求項12〜14の何れかに記載の方法。
- 前記微生物色素が、紅麹色素又はインジゴ系色素である請求項12〜15の何れかに記載の方法。
- 前記紅麹色素は水溶性色素を含む請求項16記載の方法。
- 前記水溶性色素はモナスコルブリン又はルブロパンクタチンが水溶性アミノ化合物と結合した複合体である請求項17に記載の方法。
- 前記水溶性アミノ化合物は、アミノ酸、水溶性蛋白質、ペプチド及び核酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項18に記載の方法。
- 前記紅麹色素は、(a)紅麹の菌株を培養した培養液から溶媒抽出したモナスコルブリン及び/又はルブロパンクタチンと、(b)アミノ酸、水溶性蛋白質、ペプチド及び核酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の水溶性アミノ化合物とを反応させることにより生成した水溶性色素を含む請求項17〜19の何れかに記載の方法。
- 前記紅麹の菌体を培養した培養液から溶媒抽出したモナスコルブリン及びルブロパンクタチンが、酸性条件下で培養した培養液から抽出したものである請求項20記載の方法。
- 前記紅麹の菌体を培養した培養液から溶媒抽出したモナスコルブリン及びルブロパンクタチンが、酢酸をフィードしながら酸性条件下で培養した培養液から抽出したものである請求項21記載の方法。
- 前記画像が、インクジェット記録により形成された画像である請求項1〜22の何れかに記載の方法。
- 無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を具備している印刷物の画像を消去する装置であって、
(A) 第一の電極と、第二の電極と、これらの電極を隔てる誘電体とを有し、該誘電体には、これらの電極間への電圧の印加により沿面放電を発生する面が設けられており、かつ該沿面放電を発生する面を放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下に配置可能とした酸化性ガスの発生手段と、
(B) 該印刷物の載置部と、
を具備し、
前記(A)及び(B)は、該印刷物が該酸化性ガスに暴露可能なように互いに配置されている
ことを特徴とする印刷物の画像の消去装置。 - 前記第二の電極が、前記沿面放電を発生する面に保持されており、該第二の電極と前記印刷物との距離が0〜100mmの位置にあるように前記(A)と(B)とが配置されている請求項24記載の装置。
- 無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を具備している印刷物の画像を消去する装置であって、
(1) 第一の電極と第二の電極とを有し、接地された該第一の電極に対してマイナスの電圧を該第二の電極に印加することで、放電により酸化性ガスを発生し得る気体の雰囲気下でコロナ放電を発生させて、該気体から酸化性のガスが発生可能にこれらの電極を配置可能とした酸化性ガスを発生させる手段と、
(2) 該印刷物の載置部と、を具備し、
前記(1)及び(2)は、該印刷物が該酸化性ガスに暴露可能なように互いに配置されていることを特徴とする印刷物の画像の消去装置。 - 前記第二の電極と前記印刷物との距離が0〜100mmの位置にあるように前記(1)と(2)とが配置されている請求項26記載の装置。
- 無機顔料を含む表面を有している記録媒体の該表面に画像を有している印刷物の該画像を、請求項1〜23の何れかに記載の画像消去方法により消去する工程を含むことを特徴とする記録媒体の再生方法。
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