JP2002173474A - 新規なテトラキスアミノフェニル(ジ)フェニレンジアミン骨格を有する化合物 - Google Patents

新規なテトラキスアミノフェニル(ジ)フェニレンジアミン骨格を有する化合物

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JP2002173474A
JP2002173474A JP2000368571A JP2000368571A JP2002173474A JP 2002173474 A JP2002173474 A JP 2002173474A JP 2000368571 A JP2000368571 A JP 2000368571A JP 2000368571 A JP2000368571 A JP 2000368571A JP 2002173474 A JP2002173474 A JP 2002173474A
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Masayuki Kitagawa
正行 北川
Masaharu Hiratsuka
正治 平塚
Yasuyuki Kitayama
靖之 北山
Yuichiro Ichikawa
裕一郎 市川
Hisao Yokumoto
久雄 浴本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水溶性に優れ且つ組織親和性の高い光化学療法
剤に適する新規化合物の提供 【解決手段】一般式(1) (環A及び環Bは置換基を有していても良く、R1から
R8の少なくとも1つは一般式(2) (Eは置換基を有していても良い2価の炭化水素鎖であ
り、Dは置換基を有していても良いアミノ基又は置換基
を有していても良いアルコキシル基であり、Xはカルボ
ニル基又はスルホニル基である。)で示される置換基で
あり、残りは水素原子又はカルボキシル基若しくはスル
ホン酸基で置換された炭化水素基であり、mは1又は2
の整数である。)で示されるテトラキスアミノフェニル
フェニレンジアミン骨格若しくはテトラキスアミノフェ
ニルジフェニレンジアミン骨格を有する化合物、又はそ
の許容しうる塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なテトラキスア
ミノフェニル(ジ)フェニレンジアミン骨格を有する化
合物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、癌等の腫瘍に対する治療法の一つ
として光化学療法がある。光化学療法に関しては比較的
早くから研究が行われており、既に、1976年には臨
床での応用が為されている。又、文献、特許も数多く出
されており、例えば、Michael J.Manya
らの総説(J.C1in.Onco1ogy,6,38
0,(1988))がある。これらの文献や特許によれ
ば、これまで光化学療法剤として研究され、又、臨床応
用されてきたのはポルフィリン系化合物がほとんどで、
現在日本では、日本レダリーがジヘマトポルフィリンを
商品名フォトフリンで販売している。
【0003】これらポルフィリン系化合物を用いた光化
学療法について説明する。癌患者(外科的手法を伴わな
い場合、原理的に皮膚癌等、体表面近傍の癌に限られ
る)に薬剤を投与し、数日経ると正常細胞においては薬
剤は大部分代謝されるのに対して、癌細胞に取り込まれ
た薬剤はそのまま癌細胞内に残留したままとなる。この
際、残留量の差は数倍から数十倍である。次に、600
〜700nmの光を癌細胞に照射すると、薬剤が残留し
ている癌細胞だけが特異的に死滅し、正常細胞は影響を
受けない。これらの薬剤が癌細胞にのみ残留する理由は
十分に明らかではないが、癌細胞と正常細胞との血流状
態の差、あるいは、リンパ細胞等の免疫系の活性の差に
よるものと考えられている。又、光照射によって薬剤が
残留している癌細胞が死滅する理由についても十分に明
らかではないが、光照射によって活性化された薬剤から
のエネルギー移動により周辺の酸素が細胞毒性の強い一
重項酸素に変化する為と考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たポルフィリン系化合物を用いた光化学療法はいくつか
の問題点を有する。問題点の一つとして、化合物自身の
吸収波長と治療に用いる光の波長との関係である。即
ち、治療に用いる光の波長としては、生体内の物質によ
る散乱・吸収を示さないこと、赤血球のヘモグロビンに
影響を及ぼさないこと等から、600nm以上の波長が
望ましいが、上記従来技術にあげた、例えば、フォトフ
リンの600nm以上の波長領域における光の吸収量
は、該化合物の最大吸収波長363nmにおける光の吸
収量のわずか2〜3%にすぎない。従って、現実には非
常に効率の悪い光化学療法を行う事になり、その分薬剤
の投与量を増やしたり、光の照射量を増やす必要が生
じ、結果として副作用が増加したり、装置のコストが上
がったりすることになる。
【0005】又、問題点の二つ目として、ポルフィリン
系化合物の皮膚等における光毒性が上げられ、投与され
た患者はおよそ6〜8週間は日光等の光を避ける生活が
必要である。更に、問題点の三つ目として、630nm
付近の波長の組織侵達度が僅か数mmしかなく、治療範
囲の狭いことが挙げられ、これが臨床応用への壁となっ
ている。本発明者らは、これら従来技術の持つ課題を解
決するため、テトラキスアミノフェニル(ジ)フェニレ
ンジアミン骨格を有する化合物に注目し、疎水性化合物
を利用した発明(国際公開WO 00/16806
号)、この目的に適合した水溶性の高い新規化合物及び
これを利用した光化学治療剤の発明(特願平11−37
2059号及び特願平11−372139号)を先に完
成させている。本発明の目的はこれら従来技術の持つ課
題を解決するため、赤外線領域の光を効率よく利用で
き、水溶性に優れ且つ組織親和性の高い光化学療法剤に
適する新規化合物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記したよ
うな課題を解決すべく鋭意努力した結果、本発明を完成
した。すなわち本発明は、
【0007】1)一般式(1)
【化3】 (環A及び環Bは置換基を有していても良く、R1から
R8の少なくとも1つは一般式(2)
【化4】 (Eは置換基を有していても良い2価の炭化水素鎖であ
り、Dは置換基を有していても良いアミノ基又は置換基
を有していても良いアルコキシル基であり、Xはカルボ
ニル基又はスルホニル基である。)で示される置換基で
あり、残りは水素原子又はカルボキシル基若しくはスル
ホン酸基で置換された炭化水素基であり、mは1又は2
の整数である。)で示されるテトラキスアミノフェニル
フェニレンジアミン骨格若しくはテトラキスアミノフェ
ニルジフェニレンジアミン骨格を有する化合物、又はそ
の許容しうる塩。
【0008】2)一般式(1)の環A及び環Bが置換基
を有しない化合物である上記1)に記載の化合物、又は
その許容しうる塩。 3)一般式(2)のEが炭素数1乃至10のポリメチレ
ンである上記1)又は2)に記載の化合物、又はその許
容しうる塩。 4)一般式(2)のDがモルホリノ基、アルコキシカル
ボニル(水酸基を有する)アルキルアミノ基、水酸基を
有するアルキルアミノ基、水酸基を有していても良いピ
ペリジノ基、水酸基を有していても良いアルコキシアル
キルアミノ基、スルホン酸基を有するアルキルアミノ
基、ジアルキルアミノ基を有するアルキルアミノ基、フ
ェニル基及び水酸基を有するアルキルアミノ基、水酸基
を有するアルキルアミノカルボニル(フェニル基及び水
酸基を有する)アルキルアミノ基、(水酸基及びアルコ
キシカルボニル基を有する)アルキルアミノカルボニル
(フェニル基及び水酸基を有する)アルキルアミノ基、
グルコサミノ基、(アルコキシカルボニル基、フェニル
基及び水酸基を有する)アルキルアミノ基、アルキル基
を有していても良いピペラジノ基、アミノ基を有する抗
生物質残基、アルコキシル基、アルコキシポリアルキレ
ングリコールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキル
アミノ基である上記1)乃至3)のいずれか1項に記載
の化合物、又はその許容しうる塩。
【0009】5)一般式(2)のXがカルボニル基であ
る上記1)乃至4)のいずれか1項に記載の化合物、又
はその許容しうる塩。 6)一般式(2)のEが、炭素数1乃至6のポリメチレ
ンであり,Xがカルボニル基であり,一般式(1)のm
が1である上記1)乃至5)のいずれか1項に記載の化
合物、又はその許容しうる塩。 7)一般式(2)のDがモルホリノ基である上記6)記
載の化合物、又はその許容しうる塩。 8)N,N,N'N'-テトラキス{p-ジ(モルフォリノカルボキ
シアルキル)アミノフェニル}-p-フェニレンジアミン又
はその許容しうる塩。 9)上記8)の化合物が、N,N,N'N'-テトラキス{p-ジ
(モルフォリノカルボキシプロピル)アミノフェニル}-p-
フェニレンジアミンである化合物、又はその許容しうる
塩。 10)上記1)乃至9)のいずれか1項に記載の化合物
のモノ又はジカチオン化合物。 11)上記1)乃至10)のいずれか1項に記載の化合
物の溶解液。 12)水溶液である上記11)に記載の溶解液。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の化合物又はその許容しう
る塩は、mが1であるテトラキスアミノフェニルフェニ
レンジアミン骨格若しくは、mが2であるテトラキスア
ミノフェニルジフェニレンジアミン骨格を有し、上記式
(1)で示される。上記式(1)において環A及び環B
は、該置換基以外の置換基を有していても良く、R1か
らR8の少なくとも1つは上記式(2)で示す置換基で
ある。
【0011】環A及び環Bの置換基としては、例えばハ
ロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、シアノ
基、低級アルキル基が挙げられる。ハロゲン原子として
は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原
子等が挙げられる。アルコキシル基としては、例えばメ
トキシ基、エトキシ基等のC1〜C5のアルコキシル基が
挙げられ、低級アルキル基としては、例えばメチル基、
エチル基等のC1〜C5のアルキル基が挙げられる。環Aが
無置換か、ハロゲン原子(特に塩素原子又は臭素原
子)、メチル基又はシアノ基で置換されていて、環Bが
無置換が好ましく、環A、環B共に無置換が特に好まし
い。又、mは1又は2の整数を表し、m=1が特に好ま
しい。
【0012】上記式(2)のEにおける置換基とは、例
えば低級アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル
基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的には
上記環A及び環Bの置換基が例示される。上記式(2)
のEにおける置換基を有していても良い2価の炭化水素
鎖は、好ましくは置換基を有していても良いC1〜C10の
ポリメチレンであり、更に好ましくは無置換のC1〜C6の
ポリメチレン、例えば、メチレン基、ジメチレン基、ト
リメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、さらに
特に好ましくは、トリメチレン基が挙げられる。
【0013】上記式(2)におけるDは、置換基を有し
ていても良いアミノ基であり、好ましくはモルホリノ
基、アルコキシカルボニル(水酸基を有する)アルキル
アミノ基、水酸基を有するアルキルアミノ基、水酸基を
有していても良いピペリジノ基、水酸基を有していても
良いアルコキシアルキルアミノ基、スルホン酸基を有す
るアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基を有するアル
キルアミノ基、フェニル基及び水酸基を有するアルキル
アミノ基、水酸基を有するアルキルアミノカルボニル
(フェニル基及び水酸基を有する)アルキルアミノ基、
(水酸基及びアルコキシカルボニル基を有する)アルキ
ルアミノカルボニル(フェニル基及び水酸基を有する)
アルキルアミノ基、グルコサミノ基、(アルコキシカル
ボニル基、フェニル基及び水酸基を有する)アルキルア
ミノ基、アルキル基を有していても良いピペラジノ基、
アミノ基を有する抗生物質残基、アルコキシル基、アル
コキシポリアルキレングリコールアミノ基、アルキルア
ミノ基、ジアルキルアミノ基である。
【0014】アルコキシカルボニル(水酸基を有する)
アルキルアミノ基としては、例えば(C1-C4)アルコキ
シカルボニル(水酸基を有する)(C1-C4)アルキルア
ミノ基が挙げられ、具体的には例えば2−ヒドロキシ−
1−メトキシカルボニルエチルアミノ基、1−エトキシ
カルボニル−2−ヒドロキシエチルアミノ基、2−ヒド
ロキシ−1−メトキシカルボニル−プロピルアミノ基等
が挙げられる。水酸基を有するアルキルアミノ基として
は、例えば水酸基を有する(C1-C6)アルキルアミノ基
が挙げられ、具体的には例えば、2−ヒドロキシエチル
アミノ基、3−ヒドロキシプロピルアミノ基、4−ヒド
ロキシブチルアミノ基、2−ヒドロキシプロピルアミノ
基、1−イソブチル−2−ヒドロキシエチルアミノ基、
1−エチル−2−ヒドロキシエチルアミノ基、2,3−
ジヒドロキシエチルアミノ基等が挙げられる。水酸基を
有していても良いピペリジノ基としては例えば、3−ヒ
ドロキシピペリジノ基、4−ヒドロキシピペリジノ基等
が挙げられる。
【0015】水酸基を有していても良いアルコキシアル
キルアミノ基としては、例えば水酸基を有していても良
い(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキルアミノ基が挙
げられ、具体的には例えば2−(2−ヒドロキシエトキ
シ)エチルアミノ基、3−(3−ヒドロキシプロポキ
シ)プロピルアミノ基等が挙げられる。スルホン酸基を
有するアルキルアミノ基としては、例えばスルホン酸基
を有する(C1-C4)アルキルアミノ基が挙げられ、具体
的には例えばスルホメチルアミノ基、スルホエチルアミ
ノ基等が挙げられる。ジアルキルアミノ基を有するアル
キルアミノ基としては、例えばジ(C1-C4)アルキルア
ミノ基を有する(C1-C4)アルキルアミノ基が挙げら
れ、具体的には例えば、2−ジメチルアミノエチルアミ
ノ基、2−ジエチルアミノエチルアミノ基、3−ジメチ
ルアミノプロピルアミノ基、3−ジエチルアミノプロピ
ルアミノ基等が挙げられる。
【0016】フェニル基及び水酸基を有するアルキルア
ミノ基としては、例えばフェニル基及び水酸基を有する
(C1-C4)アルキルアミノ基が挙げられ、具体的には例
えば1−ヒドロキシ−2,3−ジフェニルプロピルアミ
ノ基等が挙げられる。水酸基を有するアルキルアミノカ
ルボニル(フェニル基及び水酸基を有する)アルキルア
ミノ基としては、水酸基を有する(C1-C4)アルキルア
ミノカルボニル(フェニル基及び水酸基を有する)(C1
-C4)アルキルアミノ基が挙げられ、具体的には例えば
1−ベンジル−2−(2,3−ジヒドロキシプロピルア
ミノカルボニル)−2−ヒドロキシエチルアミノ基等が
挙げられる。(水酸基及びアルコキシカルボニル基を有
する)アルキルアミノカルボニル(フェニル基及び水酸
基を有する)アルキルアミノ基としては、例えば(水酸
基及び(C1-C4)アルコキシカルボニル基を有する)(C
1-C4)アルキルアミノカルボニル(フェニル基及び水酸
基を有する)(C1-C4)アルキルアミノ基が挙げられ、
具体的には例えば1−ベンジル−2−ヒドロキシ−2−
(2−ヒドロキシ−1−メトキシカルボニル)エチルア
ミノ基等が挙げられる。
【0017】(アルコキシカルボニル基、フェニル基及
び水酸基を有する)アルキルアミノ基としては、例えば
((C1-C4)アルコキシカルボニル基、フェニル基及び
水酸基を有する)(C1-C4)アルキルアミノ基が挙げら
れ、具体的には例えば1―ベンジル−2−ヒドロキシ−
2−メトキシカルボニルエチルアミノ基等が挙げられ
る。アルキル基を有していても良いピペラジノ基として
は、例えば(C1-C4)アルキル基を有していても良いピ
ペラジノ基が挙げられ、具体的には例えば、2−メチル
ピペラジノ基、2−エチルピペラジノ基、4−メチルピ
ペラジノ基、4−エチルピペラジノ基、4−プロピルピ
ペラジノ基、4−ブチルピペラジノ基等が挙げられる。
アミノ基を有する抗生物質残基としては、例えば抗菌抗
生物質残基、制癌抗生物質残基等が挙げられるが,制癌
抗生物質残基が好ましく、具体的には例えば,アドリア
マイシン残基、ブレオマイシン残基、マイトマイシン残
基等が挙げられる。アルコキシル基としては、例えばC1
〜C4のアルコキシル基が挙げられ,具体的には例えば、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等
が挙げられる。
【0018】アルコキシポリアルキレングリコールアミ
ノ基としては、例えば片末端(C1-C4)アルコキシ片末
端アミノポリアルキレングリコール等が挙げられ、平均
分子量1000〜50000が好ましく、具体的には例
えば平均分子量5000のメトキシポリエチレングリコ
ールアミノ基が挙げられる。アルキルアミノ基として
は、例えば(C1-C4)アルキルアミノ基が挙げられ、具
体的には例えば,メチルアミノ基、エチルアミノ基、n
−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチ
ルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基
等が挙げられる。ジアルキルアミノ基としては、例えば
ジ(C1-C4)アルキルアミノ基が挙げられ、具体的には
例えば,ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n
−プロピル)アミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ
(n−ブチル)アミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ
(t−ブチル)アミノ基等が挙げられる。
【0019】上記式(2)のXは、カルボニル基又はス
ルホニル基であり、カルボニル基が好ましい。上記式
(2)のE、X、Dの好ましい組み合わせとしては、例
えばEがC1〜C10のポリメチレンであり、Xがカルボニ
ル基であり、Dがモルホリノ基、(C1-C4)アルコキシ
カルボニル(水酸基を有する)(C1-C4)アルキルアミ
ノ基、水酸基を有する(C1-C4)アルキルアミノ基、水
酸基を有していても良いピペリジノ基、水酸基を有して
いても良い(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキルアミ
ノ基、スルホン酸基を有する(C1-C4)アルキルアミノ
基、ジ(C1-C4)アルキルアミノ基を有する(C1-C4)ア
ルキルアミノ基等が挙げられる。上記式(2)のE、
X、Dのより好ましい組み合わせとしては、例えばEが
C1〜C6のポリメチレンであり、Xがカルボニル基であ
り、Dがモルホリノ基、(C1-C4)アルコキシカルボニ
ル(水酸基を有する)(C1-C4)アルキルアミノ基、水
酸基を有していても良いピペリジノ基、水酸基を有して
いても良い(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキルアミ
ノ基、スルホン酸基を有する(C1-C4)アルキルアミノ
基等が挙げられる。
【0020】上記式(2)のE、X、Dのさらに好まし
い組み合わせとしては、例えばEが炭素数3のポリメチ
レンであり、Xがカルボニル基であり、Dがモルホリノ
基である。
【0021】本発明の化合物において、その許容しうる
塩とは分子内の電荷を中和するのに必要なアニオン又は
カチオンである。カチオンの例には、アルカリ金属イオ
ン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウム
イオン)、無機又は有機アンモニウムイオン(例、トリ
エチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウム
イオン)、及びピリジニウムイオン等が挙げられる。
又、アルキルアミン(例、メチルアミン)、アミノアルコ
ール(例、エタノールアミン)及びアミノ酸類(例、グリ
シンメチルエステル、セリンエチルエステル)等のアミ
ン類のアンモニウムイオンも挙げることができる。アニ
オンの場合、アニオンは1価、2価どちらでも良い。1
価のアニオンとしては、例えば有機酸1価アニオン、無
機1価アニオン等が挙げられる。有機酸1価アニオンと
しては、例えば酢酸イオン、乳酸イオン、トリフルオロ
酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シ
ュウ酸イオン、コハク酸イオン、ステアリン酸イオン等
の有機カルボン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ト
ルエンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イ
オン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼ
ンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオ
ン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオ
ン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の有機スル
ホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ブチルト
リフェニルホウ酸イオン等の有機ホウ酸イオン等が挙げ
られる。無機1価アニオンとしては、例えば水酸化物イ
オン、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素
イオン等のハロゲンイオン、チオシアン酸イオン、ヘキ
サフルオロアンチモン酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝
酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオ
ロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸
イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イ
オン、ホウ酸イオン等が挙げられる。
【0022】2価のアニオンとしては、例えばナフタレ
ン−1、5−ジスルホン酸、R酸、G酸、H酸、ベンゾ
イルH酸、p−クロルベンゾイルH酸、p−トルエンス
ルホニルH酸、カルボニルJ酸、4,4'−ジアミノス
チルベン−2,2'ージスルホン酸、ジJ酸、ナフタル
酸、ナフタリン−2,3−ジカルボン酸、ジフェン酸、
スチルベン−4,4'−ジカルボン酸、6−スルホ−2
−オキシ−3−ナフトエ酸、アントラキノン−1,8−
ジスルホン酸、1,6−ジアミノアントラキノン−2,
7−ジスルホン酸等の2価の有機酸のイオンが挙げられ
る。
【0023】これらのカチオンあるいはアニオンとの塩
のうち好ましいものとしては、薬学的に許容しうるカチ
オンあるいはアニオンとの塩であって、例えば塩酸塩、
硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン
酸塩等の塩や、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属
塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、メチルアミ
ン、エチレンジアミン等の有機塩基との塩及びグリシン
メチルエステル、セリンエチルエステル等のアミノ酸類
との塩が挙げられる。
【0024】次に、本発明の一般式(1)で示される化
合物の具体例を、表1に示す。これらの化合物は、フリ
ーの形で記載している。表1中環A、環Bは該置換基以
外は無置換であり、mは1であり、「Ph」はフェニル
基、「NHGlc」はグルコサミノ基、「Morpho.」はモルフ
ォリノ基、「Pipera−Me」はN−メチルピペラジノ基、
「Piperi−OH」は4−ヒドロキシピペリジノ基、「NH−
ADR」はアドリアマイシン残基、「PEG―M」は平均分子
量5000のモノメトキシポリエチレングリコールを表す。
又、例えばR1〜R8が全て3−[N−(2−ヒドロキ
シエチル)カルバモイル]プロピル基である場合には
「8(n-C3H6CONHCH2CH2OH)」と表し、R1〜R8のう
ち、例えば一つが3−[N−(2−ヒドロキシエチル)
カルバモイル]プロピル基で残りが3−カルボキシルプ
ロピル基である場合には「7(n-C3H6CO2H) (n-C3H6C
ONHCH2CH2OH)」等と略して表記する。
【0025】 表1 NO. R1〜R8 1 8(n-C3H6CO−Morpho.) 2 8(n-C3H6CONHCH(CH2OH)COOCH3) 3 8(n-C3H6CONHCH2CH2OH) 4 8(n-C3H6CONHCH2CH(OH)CH2OH) 5 8(n-C3H6CO−Piperi.−OH) 6 8(n-C3H6CONHCH2CH2CH2CH2OH) 7 8(n-C3H6CONHCH2CH2OCH2CH2OH) 8 8(n-C3H6CONHCH2SO3H) 9 8(n-C3H6CONHCH2CH2N(C2H5)2) 10 8(n-C3H6CONHCH2CH(OH)CH3) 11 8(n-C3H6CONHCH(C2H5)CH2OH) 12 8(n-C3H6CONHCH(OH)CH(CH2Ph)Ph) 13 8(n-C3H6CONHCH(CH2Ph)CH(OH)CONHCH2CH(OH)CH2OH) 14 8(n-C3H6CONHCH(CH2CH(CH3)2)CH2OH) 15 8(n-C3H6CONHCH(CH2Ph)CH(OH)CONHCH(CH2OH)COOCH3) 16 8(n-C3H6CONHGlc) 17 8(n-C3H6CONHCH(CH2Ph)CH(OH)COOCH3) 18 8(n-C3H6CO−Pipera.―Me)
【0026】 19 8(n-C3H6CONH−ADR) 20 8(CH2CO−Morpho.) 21 8(C2H4CO−Morpho.) 22 8(n-C4H8CO−Morpho.) 23 8(n-C6H12CO−Morpho.) 24 8(CH2CONHCH(CH2OH)COOCH3) 25 8(C2H4CONHCH(CH2OH)COOCH3) 26 8(n-C4H8CONHCH(CH2OH)COOCH3) 27 8(n-C6H12CONHCH(CH2OH)COOCH3) 28 8(CH2CONHCH2CH2CH2CH2OH) 29 8(n-C6H12CONHCH2CH2CH2CH2OH) 30 8(C2H4CONHCH2CH2OCH2CH2OH) 31 8(n-C4H8CONHCH2CH2OCH2CH2OH) 32 8(CH2CONHCH(CH2Ph)CH(OH)CONHCH2CH(OH)CH2OH) 33 8(n-C4H8CONHCH(CH2Ph)CH(OH)CONHCH2CH(OH)CH2OH) 34 7(n-C3H6CO2H) (n-C3H6CO−Morpho.) 35 6(n-C3H6CO2H) 2(n-C3H6CO−Morpho.) 36 4(n-C3H6CO2H) 4(n-C3H6CO−Morpho.)
【0027】 37 7(CH2CO2H) (CH2CO−Morpho.) 38 4(n-C4H8CO2H) 4(n-C4H8CO−Morpho.) 39 7(n-C3H6CO2H) (n-C3H6CONHCH(CH2OH)COOCH3) 40 6(n-C3H6CO2H) 2(n-C3H6CONHCH(CH2OH)COOCH3) 41 4(n-C3H6CO2H) 4(n-C3H6CONHCH(CH2OH)COOCH3) 42 7(CH2CO2H) (CH2CO NHCH(CH2OH)COOCH3) 43 4(n-C4H8CO2H) 4(n-C4H8CONHCH(CH2OH)COOCH3) 44 7(n-C3H6CO2H) (n-C3H6CO2C2H5) 45 6(n-C3H6CO2H) 2(n-C3H6CO2C2H5) 46 4(n-C3H6CO2H) 4(n-C3H6CO2C2H5) 47 7(CH2CO2H) (CH2CO2C2H5) 48 4(n-C4H8CO2H) 4(n-C4H8CO2C2H5) 49 8(CH2CONHCH2CH2CH2CH2OH) 50 7(n-C3H6CO2H) (n-C3H6CONH−PEG−M) 51 6(n-C3H6CO2H) 2(n-C3H6CONH−PEG−M) 52 8(C2H5SO2NHC2H5) 53 8(n-C3H6SO2N(C2H5)2) 54 8(C2H5SO3C2H5) 55 4(C2H5SO3H) 4(C2H5SO2NHC2H5) 56 4(C2H5SO3H) 4(C2H5SO3C2H5)
【0028】本発明の化合物のうち、上記式(2)のX
がカルボニル基である化合物は、例えば特願平11−3
72139号に記載の方法、即ちテトラキス(p-ジ(シ
アノアルキル)アミノフェニル)-p-フェニレンジアミ
ンを酸又は塩基にて加水分解すること、により調製され
るテトラキス(p-ジ(カルボキシアルキル)アミノフェ
ニル)-p-フェニレンジアミン類と、アミノ基や水酸基
等を有する化合物を有機溶媒中、好ましくはN,N−ジ
メチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノン(DMI)、N−メチルピロリドン
(NMP)等の水溶性極性溶媒中、0〜180℃、好ま
しくは5〜50℃で、ジシクロヘキシルカルボジイミド
(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCA)、1
―エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジ
イミド塩酸塩(WSC)等の脱水縮合剤と、1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール(HOBT)、N−ヒドロキシスクシ
ニルイミド(HOSu)、4−ジメチルアミノピリジン等の反
応助剤を用いて縮合する事によって得ることができる。
なお、原料のテトラキス(p-ジ(シアノアルキル)アミ
ノフェニル)-p-フェニレンジアミンは特開2000−
80071号公報に記載の方法により得ることができ
る。又、上記式(2)のXがスルホニル基である化合物
は、同じく上記特許出願に記載の方法にて調整されたテ
トラキス(p-ジ(スルホアルキル)アミノフェニル)-
p-フェニレンジアミン類をDMF等の溶媒中チオニルクロ
リド、5塩化リン等を用いて塩素化した後、アミノ基や
水酸基を有する化合物と反応させることによって合成が
可能である。本発明の化合物の塩は、例えば水等の溶媒
に溶かし、前記記載の所望のアニオンの酸もしくは塩を
添加するか、所望のカチオンのアルカリを添加して塩交
換を行う方法を用い、続いて凍結乾燥することにより得
られる。
【0029】本発明の化合物は全量又はその1部分量
を、合成、精製過程あるいは適切な酸化剤による酸化工
程に供することによりモノカチオン化合物又はジカチオ
ン化合物へと導くことができる。生成するカチオン化合
物の全体量に占める割合は1〜100%であり、好ましく
は30〜100%である。このカチオン化合物は、赤外線領
域、特に700〜1600nmに吸収極大波長を有す
る。この骨格構造がカチオン化された化合物は、合成段
階あるいはその後の精製段階において単一体あるいは混
合物として得ることができる。又、置換基の種類によっ
ては上記方法のみではカチオン体の存在比率が低い誘導
体も存在する。その場合、銀塩、塩化第二銅、二酸化マ
ンガン等の酸化剤で酸化した後に、塩を得ることもでき
る。又、例えば特公昭43−25335号公報記載の方
法でも合成することが可能である。
【0030】本発明の溶解液は、上記の本発明の化合物
を溶媒に溶解したものである。溶媒としては、例えば
水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−
プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−
ブタノール等が挙げられ、水が好ましい。本発明の溶解
液における本発明の化合物の濃度は、0.05mg/m
l〜1g/ml程度が好ましい。この溶解液は、時間の
経過とともに着色してくる。これは、本発明の化合物
は、溶媒中の酸素の影響により、酸化されてその一部又
は全部がカチオン化されるためと思われる。本発明の溶
解液は、例えば750nm以上に吸収極大波長を持ち、
光化学療法の際に次の特徴を有する。 (a)吸収極大波長が750nm以上にある為、生体組
織のより深部までの治療にも対応できる。 (b)光を照射した場合に優れた活性を示し、例えば固
型癌を消滅させることができる。 (c)標的細胞例えば癌細胞に親和性を有するため、極
めて効率的な治療が可能である。 (d)光にさらされない状態では生体に対しほとんど不
活性であるため、副作用が軽減される。 (e)水にも有機溶媒にも溶解可能であるため、注射剤
等に製剤化が可能である。
【0031】本発明の光化学療法剤の作用機序は十分に
解明されていないが、化合物の熱発散による温熱効果が
考えられ、又、分子内に含まれる遊離基(ラジカル)又
は類似の分子種を生成することによって、腫瘍血管に作
用して腫瘍壊死作用を引き起こし、治療効果を発揮する
とも考えられる。
【0032】本発明の化合物、その溶解液は血栓症、動
脈硬化、循環器系疾患等に対して治療効果を示すが、癌
等の腫瘍の治療剤として特に有用であり、深部の腫瘍に
対しても光化学療法を使用できる。本発明の化合物又は
その溶解液を光化学療法剤として使用する際は、注射
剤、錠剤、散剤など通常使用されている剤型に製剤化す
ることにより使用され得る。製剤化に当っては、通常使
用されている薬学的に許容される担体、例えば結合剤、
滑沢剤、崩壊剤、溶剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安
定化剤、懸濁化剤、保存剤、無痛化剤、色素、香料等が
使用できる。注射剤の場合は、通常溶剤を使用する。溶
剤としては、例えば水、生理食塩水、5%ブドウ糖又は
マンニトール液、水溶性有機溶媒、例えばグリセロー
ル、エタノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピ
ロリドン、ポリエチレングリコール、クレモフォア等及
びそれらの混合液、並びに水と該水溶性有機溶媒の混合
液等が挙げられる。
【0033】本発明の化合物、その溶解液を光化学療法
剤として使用する場合、その投与量は年齢、体重、病
態、治療効果、投与方法、投与時期、投与日数、投与期
間により異なるが、通常1回10〜1000mgを2な
いし4週間毎に、3〜6回、好ましくは、100〜50
0mgを4週間毎に5回投与する。本発明の化合物、そ
の溶解液を腫瘍の光化学治療法に適用する場合は、上記
の光化学療法剤を投与した後、700〜1600nmの
波長を有する光線を照射することを特徴とする。腫瘍と
しては、固形腫瘍が挙げられ、例えば良性腫瘍と悪性腫
瘍に分類される。良性腫瘍としては、例えば乳頭腫、線
腫(ポリープ)、脂肪腫、血管腫、リンパ管腫、繊維
腫、黒子等が挙げられる。悪性腫瘍としては、癌腫例え
ば、皮膚癌、胃癌、大腸癌、膀胱癌、子宮癌、食道癌、
肺癌等、及び肉腫等が挙げられる。
【0034】投与は、経口、非経口のいずれでも良い
が、好ましくは非経口的に投与する。注射による投与
は、静脈、動脈、皮下、患部(腫瘍部)等に行うことが
できる。又、軟膏等の塗布製剤として腫瘍表面に塗布す
るか、又は注射剤としては直接腫瘍内に注入することが
より好ましい。
【0035】光化学療法に用いる光は、治療剤に含まれ
る化合物の吸収極大波長とほぼ同じ波長のもの、又は該
化合物の吸収波長を含む波長帯のものであればいずれも
使用でき、通常700〜1600nm、更に好ましくは
750〜1300nmの波長を有する光線が使用され、
好ましくはレーザー光が用いられる。光の照射量は、治
療標的の種類、状態、患者の状態、年齢、性別、体重、
体質及び用いた化合物の種類等により異なるが、通常1
0〜500J/cm、好ましくは100〜300J/
cmの範囲で用いられる。又、照射光は、単一の波長
又は波長帯のもの1種のみ用いてもよいが、異なる波長
又は異なる波長帯の2種以上を用いてもよい。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明が、これらの実施例に限定されるもの
ではない。Msは質量分析値を表す。
【0037】実施例1 No.1の化合物の合成 DMF(30ml)に溶解したN,N,N',N'−テトラ
キス{p−ジ(カルボキシプロピル)アミノフェニル}
−p−フェニレンジアミン(1.00g)にモルフォリン
(0.78ml)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.2
0g)及びジイソプロピルカルボジイミド(1.4ml)を
加え、室温にて24時間反応する。反応液に酢酸エチル
(30ml)及びジイソプロピルエーテル(120ml)を
加え、室温にて30分攪拌した後、傾斜法にて上清を除去
し沈澱を残渣として得る。残渣を水(50ml)と水で飽
和した1−ブタノール(250ml)にて抽出する。ブタ
ノール層を分液し,水(25ml)で洗浄後、水(100m
l)とヘキサン(250ml)を加え再度分液操作を行
う。得られた水層をDEAE−toyopearl(5
ml)に通塔し、溶出画分を凍結乾燥することによっ
て、表1中のNo.1の化合物(860mg)を得た(Ms
(ESI)m/z;1714[M+H]+,858[M+2
H]2+)。このNo.1の化合物1mgを蒸留水10ml
に溶解し、本発明の溶解液(水溶液)を得た。λma
x;984nm(水)
【0038】実施例2 No.2の化合物の合成 実施例1の方法に従って、N,N,N',N'−テトラキ
ス{p−ジ(カルボキシプロピル)アミノフェニル}−
p−フェニレンジアミンと、モルフォリンに替えてセリ
ンメチルエステルを用い、表1中のNo.2の化合物を得
た(Ms(ESI)m/z;1714[M+H]+,858[M+2
H]2+)。このNo.2の化合物1mgを蒸留水10ml
に溶解し、本発明の溶解液(水溶液)を得た。
【0039】実施例3 No.3の化合物の合成 実施例1の方法に従って、N,N,N',N'−テトラキ
ス{p−ジ(カルボキシプロピル)アミノフェニル}−
p−フェニレンジアミンと、モルフォリンに替えて2−
アミノエタノールを用い、表1中のNo.3の化合物を得
た(Ms(ESI)m/z;1506[M+H]+)。このNo.
3の化合物1mgを蒸留水10mlに溶解し、本発明の
溶解液(水溶液)を得た。λmax;966nm(水)
【0040】実施例4 No.4の化合物の合成 実施例1の方法に従って、N,N,N',N'−テトラキ
ス{p−ジ(カルボキシプロピル)アミノフェニル}−
p−フェニレンジアミンと、モルフォリンに替えて3−
アミノ−1,2−プロパンジオールを用い、表1中のN
o.4の化合物を得た(Ms(ESI)m/z;1746[M+
H]+)。このNo.4の化合物1mgを蒸留水10mlに
溶解し、本発明の溶解液(水溶液)を得た。λmax;
976nm(水)
【0041】実施例5 No.5の化合物の合成成 実施例1の方法に従って、N,N,N',N'−テトラキ
ス{p−ジ(カルボキシプロピル)アミノフェニル}−
p−フェニレンジアミンと、モルフォリンに替えて4−
ヒドロキシピペリジンを用い、表1中のNo.5の化合物
を得た(Ms(ESI)m/z;1826[M+H]+, 913
[M+2H]2+)。このNo.5の化合物1mgを蒸留水1
0mlに溶解し、本発明の溶解液(水溶液)を得た。
【0042】実施例6 No.6の化合物の合成 実施例1の方法に従って、N,N,N',N'−テトラキ
ス{p−ジ(カルボキシプロピル)アミノフェニル}−
p−フェニレンジアミンと、モルフォリンに替えて4−
アミノ−1−ブタノールを用い、表1中のNo.6の化合
物を得た(Ms(ESI)m/z;1730[M+H]+,866
[M+2H]2+)。このNo.6の化合物1mgを蒸留水1
0mlに溶解し、本発明の溶解液(水溶液)を得た。
【0043】実施例7 No.7の化合物の合成 実施例1の方法に従って、N,N,N',N'−テトラキ
ス{p−ジ(カルボキシプロピル)アミノフェニル}−
p−フェニレンジアミンと、モルフォリンに替えてジグ
リコールアミンを用い、表1中のNo.7の化合物を得た
(Ms(ESI)m/z;1858[M+H]+,930[M+2
H]2+)。このNo.7の化合物1mgを蒸留水10ml
に溶解し、本発明の溶解液(水溶液)を得た。
【0044】実施例8 No.8の化合物の合成 実施例1の方法に従って、N,N,N',N'−テトラキ
ス{p−ジ(カルボキシプロピル)アミノフェニル}−
p−フェニレンジアミンと、モルフォリンに替えてアミ
ノメチルスルホン酸を用い、表1中のNo.8の化合物を
得た(Ms(ESI)m/z;951[M−2H]2-,634
[M−3H]3-,475[M−4H]4-)。このNo.8の化合
物1mgを蒸留水10mlに溶解し、本発明の溶解液
(水溶液)を得た。
【0045】実施例9 No.9の化合物の合成 実施例1の方法に従って、N,N,N',N'−テトラキ
ス{p−ジ(カルボキシプロピル)アミノフェニル}−
p−フェニレンジアミンと、モルフォリンに替えてN,
N−ジエチルアミノエチルアミンを用い、表1中のNo.
9の化合物を得た(Ms(ESI)m/z;974[M+2
H]2+,650[M+3H]3+,488[M+4H] 4+)。このN
o.9の化合物1mgを蒸留水10mlに溶解し、本発明
の溶解液(水溶液)を得た。
【0046】次に、癌の光化学療法における本発明の化
合物の使用例を示すが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0047】試験例 ヒト大腸癌DLD−1に対する抗
腫瘍効果 ヒト大腸癌DLD−1を2mm角の腫瘍片にし、BAL
B/c(雌性)ヌードマウスの背側部皮下に套管針にて
移植し、腫瘍体積が40mm以上になった時点で治療
実験に用いた。表1中のNo.1、8、6、7、5の各化
合物(6mg)又はNo.2の化合物(10mg)を5%
ブドウ糖液(1ml)に溶解し、麻酔下、腫瘍内局所に
100μl(No.1、8、6、7、5の各化合物は30
mg/kg、No.2の化合物は50mg/kg)投与
し、直後に波長980nmの半導体レーザーを腫瘍部位
に200J/cm照射して光化学療法を行った。5%
ブドウ糖液のみを投与し、レーザー光照射したマウスを
対照として比較した。
【0048】結果 前記化合物No.1、8、6、7、5又は2を用いて光線
力学的療法を行ったマウスにおいては、レーザー照射翌
日より腫瘍部が黒色を呈し痂皮を形成し、腫瘍の壊死が
誘導され、腫瘍の完全消失も認められた。しかしなが
ら、5%ブドウ糖液のみの場合には腫瘍の壊死が誘導さ
れず、増殖が認められた。即ち、化合物No.1、8、6
と7では、照射後28日ですべてのマウスで腫瘍縮小が
認められ、特に化合物No.1では9匹中5匹のマウスが
完全治癒し、高い有効性を示した。結果を表2に示す。
【0049】表2 試験例1の化合物の腫瘍壊死作用
【0050】
【発明の効果】本発明の化合物は、水又は水溶性極性溶
媒に溶解可能で生体への投与が容易となり、更に癌組織
に滞留し、効率良い光化学療法を可能とする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浴本 久雄 東京都北区志茂2−4−5 Fターム(参考) 4H006 AA01 AB28 BJ50 BN10 BP10 BT12 BU48 BV22

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (環A及び環Bは置換基を有していても良く、R1から
    R8の少なくとも1つは一般式(2) 【化2】 (Eは置換基を有していても良い2価の炭化水素鎖であ
    り、Dは置換基を有していても良いアミノ基又は置換基
    を有していても良いアルコキシル基であり、Xはカルボ
    ニル基又はスルホニル基である。)で示される置換基で
    あり、残りは水素原子又はカルボキシル基若しくはスル
    ホン酸基で置換された炭化水素基であり、mは1又は2
    の整数である。)で示されるテトラキスアミノフェニル
    フェニレンジアミン骨格若しくはテトラキスアミノフェ
    ニルジフェニレンジアミン骨格を有する化合物、又はそ
    の許容しうる塩。
  2. 【請求項2】一般式(1)の環A及び環Bが置換基を有
    しない化合物である請求項1に記載の化合物、又はその
    許容しうる塩。
  3. 【請求項3】一般式(2)のEが炭素数1乃至10のポ
    リメチレンである請求項1又は2に記載の化合物、又は
    その許容しうる塩。
  4. 【請求項4】一般式(2)のDがモルホリノ基、アルコ
    キシカルボニル(水酸基を有する)アルキルアミノ基、
    水酸基を有するアルキルアミノ基、水酸基を有していて
    も良いピペリジノ基、水酸基を有していても良いアルコ
    キシアルキルアミノ基、スルホン酸基を有するアルキル
    アミノ基、ジアルキルアミノ基を有するアルキルアミノ
    基、フェニル基及び水酸基を有するアルキルアミノ基、
    水酸基を有するアルキルアミノカルボニル(フェニル基
    及び水酸基を有する)アルキルアミノ基、(水酸基及び
    アルコキシカルボニル基を有する)アルキルアミノカル
    ボニル(フェニル基及び水酸基を有する)アルキルアミ
    ノ基、グルコサミノ基、(アルコキシカルボニル基、フ
    ェニル基及び水酸基を有する)アルキルアミノ基、アル
    キル基を有していても良いピペラジノ基、アミノ基を有
    する抗生物質残基、アルコキシル基、アルコキシポリア
    ルキレングリコールアミノ基、アルキルアミノ基、ジア
    ルキルアミノ基である請求項1乃至3のいずれか1項に
    記載の化合物、又はその許容しうる塩。
  5. 【請求項5】一般式(2)のXがカルボニル基である請
    求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物、又はその
    許容しうる塩。
  6. 【請求項6】一般式(2)のEが、炭素数1乃至6のポ
    リメチレンであり,Xがカルボニル基であり,一般式
    (1)のmが1である請求項1乃至5のいずれか1項に
    記載の化合物、又はその許容しうる塩。
  7. 【請求項7】一般式(2)のDがモルホリノ基である請
    求項6記載の化合物、又はその許容しうる塩。
  8. 【請求項8】N,N,N'N'-テトラキス{p-ジ(モルフォリノ
    カルボキシアルキル)アミノフェニル}-p-フェニレンジ
    アミン又はその許容しうる塩。
  9. 【請求項9】請求項8の化合物が、N,N,N'N'-テトラキ
    ス{p-ジ(モルフォリノカルボキシプロピル)アミノフェ
    ニル}-p-フェニレンジアミンである化合物、又はその許
    容しうる塩。
  10. 【請求項10】請求項1乃至9のいずれか1項に記載の
    化合物のモノ又はジカチオン化合物。
  11. 【請求項11】請求項1乃至10のいずれか1項に記載
    の化合物の溶解液。
  12. 【請求項12】水溶液である請求項11に記載の溶解
    液。
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JPH11268438A (ja) * 1998-03-23 1999-10-05 Fuji Photo Film Co Ltd 画像形成材料
WO2000016806A1 (fr) * 1998-09-17 2000-03-30 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Remedes pour photochimioterapie

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