JP2002172559A - バニシング加工装置およびバニシング加工方法 - Google Patents

バニシング加工装置およびバニシング加工方法

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JP2002172559A JP2000369464A JP2000369464A JP2002172559A JP 2002172559 A JP2002172559 A JP 2002172559A JP 2000369464 A JP2000369464 A JP 2000369464A JP 2000369464 A JP2000369464 A JP 2000369464A JP 2002172559 A JP2002172559 A JP 2002172559A
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burnishing roller
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で且つ小さい押圧力でバニシング加工に
よる必要十分な圧縮残留応力を付加できる構造を提供す
る。 【解決手段】 加工ヘッド5の先端部に一対の制御軸1
5,16を横架し、各制御軸15,16にバニシングロ
ーラ21,22を遊嵌的に支持させる。各バニシングロ
ーラ21,22を鼓形状のバックアップローラ7にてバ
ックアップしながらワークWの環状溝Sに押し付けて転
動させる。各制御軸15,16を回転させることにより
各バニシングローラ21,22に舵角をもたせ、その転
動方向を変えてワークWとの当接点を順次変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バニシング加工装
置とその装置を用いたバニシング加工方法に関し、特に
被加工物に形成された断面円弧状の環状溝にバニシング
ローラを押し付けながら滑らせることにより表面層に塑
性変形を与えて、その環状溝表面を平滑に仕上げるため
のバニシング加工装置とその装置を用いたバニシング加
工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】断面円弧状の溝にバニシング仕上げ加工
を施す装置としては、その溝断面形状に適合するローラ
を押し付けて相対回転させるようにしたフィレットロー
ル加工装置が一般的に知られている。特に特開平8−3
23616号公報においては、断面円弧状の溝の曲率半
径寸法の変化や溝間寸法の変化に対応するため、溝の曲
率半径よりも小さな曲率半径をもつバニシングローラを
用い、バニシングローラを回転自在に配した二つ一組の
軸受箱を被加工物の軸心と直交する軸心を回転中心とし
てそれぞれ回動可能に支持させると共に、軸受箱を相反
する回動方向に回動させる駆動手段を設け、バニシング
ローラと被加工物との接触点をワークの溝曲率形状に沿
って連続的に移動させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにバニシングローラと被加工物との接触点をワークの
溝曲率形状に沿って連続的に移動させるタイプのバニシ
ング装置にあっては、軸受箱全体を積極的に回動させる
ことによってバニシングローラの転動方向を変えるとい
う構成であるため、バニシング装置全体の大きさが大き
く小物部品の加工には適用できないという問題点があ
る。また、軸受箱の回動方向がバニシングローラの回転
方向と直角の方向となっているのに加えて、バニシング
加工のために大きな押圧力がかかっているため、軸受箱
の回動方向には大きな摩擦抵抗が生じ、これに抗して回
動させるためにはきわめて大きな駆動力が必要となると
いう問題点があった。
【0004】その一方、トロイダル型無段変速機におい
て動力の伝達及び変速を行うパワーローラ内輪や入力デ
ィスク及び出力ディスクは、ボールベアリング溝やトラ
クション面にバニシング仕上げによる圧縮残留応力を付
加することで疲労耐久性能と耐摩耗性を著しく向上させ
ることができる。しかしながら、このようなトロイダル
型無段変速機要素の加工に上記従来技術を適用しようと
すると、先に述べたように大きな押圧力がかかった状態
でバニシングローラを回動させるためにはより大きな駆
動力を要するという問題点があり、バニシング仕上げ加
工によっては必ずしも十分な圧縮残留応力を付加するこ
とができない。
【0005】また、上記バニシング仕上げ加工に代わっ
てショットピーニングによってトロイダル型無段変速機
要素に圧縮残留応力を付加する方法では、投射口から被
加工物表面に鋼球や短く切断した金属線等のショットを
高速で投射するため、被加工物の被投射範囲内では等し
い残留応力が付加され、例えば被加工物表面の近接する
領域ごとに大きさが異なる残留応力を付加することがき
わめて難しい。
【0006】本発明は以上のような課題に着目してなさ
れたもので、装置の小型化を図りながら小さい駆動力で
所期の目的であるバニシング加工を行えるようにし、併
せて被加工物のうち必要な部位のみにバニシング仕上げ
による圧縮残留応力を付加することで疲労耐久性能と耐
摩耗性を向上させることができるようにしたバニシング
加工装置とバニシング加工方法を提供しようとするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、断面円弧状の環状溝を有する被加工物についてその
環状溝にバニシングローラを押し付けてバニシング加工
を施す装置において、環状溝に押し付けられる回転可能
なバニシングローラと、上記バニシングローラを挟んで
環状溝と対向するように配置された略鼓形状のバックア
ップローラと、上記環状溝に対するバニシングローラの
当接点とこのバニシングローラに対するバックアップロ
ーラの当接点とを結ぶ軸線を回転中心としてバニシング
ローラを傾転動作させる傾転手段と、を備えたことを特
徴とする。
【0008】したがってこの請求項1の発明では、上記
のように環状溝に対するバニシングローラの当接点とこ
のバニシングローラに対するバックアップローラの当接
点とを結ぶ軸線を回転中心としてバニシングローラを傾
転動作させると、バニシングローラと被加工物及びバッ
クアップローラとの当接点においてバニシングローラが
転がる方向が変わることにより、被加工物とバニシング
ローラの当接位置が連続的に変化するようになる。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明を前提とした上で、上記傾転手段が、バニシング
ローラの回転中心を対称中心とした点対称位置に配置さ
れてそのバニシングローラの表裏両面を該バニシングロ
ーラの回転中心を傾ける方向に押圧する押圧手段を備え
ていることを特徴とする。
【0010】したがってこの請求項2に記載の発明で
は、押圧手段にてバニシングローラをわずかに押圧する
ことでそのバニシングローラの傾きが変化し、結果とし
て上記のように被加工物とバニシングローラの当接位置
が連続的に変化するようになる。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明を前提とした上で、上記傾転手段は、環状溝に対
するバニシングローラの当接点とこのバニシングローラ
に対するバックアップローラの当接点とを結ぶ軸線を回
転中心としてバックアップローラを傾転させることでバ
ニシングローラを傾転動作させるようになっていること
を特徴とする。
【0012】したがって、この請求項3に記載の発明で
は、バックアップローラを傾転させることでバニシング
ローラの傾きが変化し、結果として上記と同様に被加工
物とバニシングローラの当接位置が連続的に変化するよ
うになる。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明を前提とした上で、上記環状溝に対するバニシン
グローラの当接点の位置を検出する手段と、検出した当
接点の位置情報をもとにバニシングローラと環状溝との
当接点における面圧がどの位置でも一定となるような押
圧力を演算する演算手段と、この演算手段から指示され
た押圧力をバニシングローラに付加する押圧力付加手段
と、を備えたことを特徴とする。
【0014】したがって、この請求項4に記載の発明で
は、バニシングローラと環状溝との当接点が変化したと
しても、どの位置においてもその面圧が常に一定となる
ように、すなわち環状溝のどの部分においてもバニシン
グ仕上げに基づく圧縮残留応力の付加による疲労耐久性
能と耐摩耗性とが一定のものとなるように制御される。
【0015】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の発明における演算手段に代えて、検出した当接点の位
置情報をもとにその当接点における面圧が当該当接点固
有の所望の値となるような押圧力を演算する演算手段を
備えていることを特徴とする。
【0016】したがって、この請求項5に記載の発明で
は、請求項4に記載の発明と異なり、バニシングローラ
と環状溝との当接点が変化しつつも、要所要所において
その面圧を任意の大きさに調整することができ、その結
果として環状溝の特定の領域ごとにバニシング仕上げに
基づく圧縮残留応力の付加による疲労耐久性能と耐摩耗
性とを異ならせることができるようになる。
【0017】請求項6に記載の発明は、請求項4に記載
の装置を用いてトロイダル型無段変速機におけるパワー
ローラ内輪のボールベアリング溝の加工を行うことを特
徴とする。
【0018】請求項7に記載の発明は、請求項5に記載
の装置を用いてトロイダル型無段変速機におけるパワー
ローラ内輪のボールベアリング溝の加工を行うことを特
徴とする。
【0019】また、請求項8に記載の発明は、請求項4
に記載の装置を用いてトロイダル型無段変速機における
入力ディスク及び出力ディスクのトラクション面の加工
を行うことを特徴とする。
【0020】さらに、請求項9に記載の発明は、請求項
5に記載の装置を用いてトロイダル型無段変速機におけ
る入力ディスク及び出力ディスクのトラクション面の加
工を行うことを特徴とする。
【0021】したがって、これら請求項6〜9に記載の
発明では、トロイダル型無段変速機におけるパワーロー
ラ内輪のボールベアリング溝あるいは入力ディスク及び
出力ディスクのトラクション面の所定のバニシング加工
が施されて、圧縮残留応力の付加による疲労耐久性能と
耐摩耗性の向上を図ることができるようになる。
【0022】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、バニシ
ングローラの当接点とこのバニシングローラに対するバ
ックアップローラの当接点とを結ぶ軸線を回転中心とし
てバニシングローラを傾転動作させて、バニシングロー
ラが転がる方向を変えることで被加工物とバニシングロ
ーラの当接位置が連続的に変化するようにしたものであ
るから、被加工物に形成された断面円弧状の環状溝に対
しスムーズにバニシング加工を施すことができるととも
に、従来のようにバニシングローラを支持している軸受
箱全体全体を傾転させる場合と比べてローラ転がり方向
を変えるための機構を小型化できるほか、きわめて小さ
い操作力でバニシングローラの転がり方向を変えること
ができる効果がある。
【0023】請求項2に記載の発明によれば、上記バニ
シングローラを傾転させるにあたり、バニシングローラ
の表裏両面を傾転手段に具備させた押圧手段にて押圧す
るようにしたものであるから、ローラ転がり方向を変え
るための機構をより一層小型化しつつ、きわめて小さい
操作力でバニシングローラの転がり方向を変えることが
できるほか、上記ローラ転がり方向を変えるための機構
が加工反力を直接的には受けないのでその機構を一段と
小型化できる効果がある。
【0024】請求項3に記載の発明によれば、バックア
ップローラを傾転させることでバニシングローラの傾き
を変化させ、その結果として上記と同様に被加工物とバ
ニシングローラの当接位置を連続的に変化させるように
したものであるから、請求項2に記載の発明と全く同様
の効果が得られる。
【0025】請求項4に記載の発明によれば、バニシン
グローラと環状溝との当接点が変化したとしても、どの
位置においてもその面圧が常に一定となるように押圧力
を制御するようにしたことから、請求項1に記載の発明
と同様の効果に加えて、被加工面である環状溝全体につ
いて均一な圧縮残留応力を付加することができて、より
一層の疲労耐久性能と耐摩耗性の向上を図ることができ
る効果がある。
【0026】請求項5に記載の発明によれば、請求項4
に記載の発明と異なり、バニシングローラと環状溝との
当接点が変化しつつも、各部位ごとに必要とされる面圧
が得られるように押圧力を制御するようにしたため、上
記面圧を任意の大きさに調整して環状溝の特定の部位ご
とに所望する大きさの圧縮残留応力を付加することがで
きる。すなわち、圧縮残留応力を付加する部位を強度上
必要な部位のみに限定することができるため、圧縮残留
応力の付加による疲労耐久性能と耐摩耗性とを部位ごと
に異ならせることができるとともに、加工歪みを小さく
することができる効果がある。
【0027】請求項6に記載の発明によれば、請求項4
に記載のバニシング加工装置を用いてトロイダル型無段
変速機のパワーローラ内輪のボールベアリング溝をバニ
シング加工するものであるから、ボールベアリング溝の
表面に均一な大きさの残留応力を付加することができる
と共に、仕上げ面粗さの悪化を防ぐことができる効果が
ある。
【0028】請求項7に記載の発明によれば、請求項5
に記載のバニシング加工装置を用いてトロイダル型無段
変速機のパワーローラ内輪のボールベアリング溝を加工
するものであるから、ボールベアリング溝のうち特定の
部位すなわち強度上必要な部位のみに所望する大きさの
圧縮残留応力を付加して、加工歪みを小さくすることが
できる効果がある。
【0029】請求項8に記載の発明によれば、請求項4
に記載のバニシング加工装置を用いてトロイダル型無段
変速機の入力ディスク及び出力ディスクのトラクション
面にバニシング加工を施すものであるから、トラクショ
ン面に均一な大きさの圧縮残留応力を付加することがで
きると共に、仕上げ面粗さの悪化を防ぐことができる効
果がある。
【0030】請求項9に記載の発明によれば、請求項5
に記載のバニシング加工装置を用いてトロイダル型無段
変速機の入力ディスク及び出力ディスクのトラクション
面にバニシング加工を施すものであるから、トラクショ
ン面のうち特定の部位すなわち強度上必要な部位のみに
所望する大きさの圧縮残留応力を付加して、加工歪みを
小さくすることができる効果がある。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好ましい実施の
形態を図面に基づいて説明する。
【0032】図1〜図8は本発明に係るバニシング加工
装置の第1の実施の形態を示す図で、特に図1は被加工
物(以下、これをワークという)の一例を示しており、
また図2はバニシング加工装置の全体構成を示してい
る。なお、本実施の形態は請求項1,2に記載の発明に
対応している。
【0033】図1に示すように、バニシング加工対象と
なるワークWは中実円筒状もしくは円板状のものとして
形成されていて、その一側面に断面略半円状をなす環状
溝Sが形成されている。
【0034】バニシング加工装置は図2のほか図3,4
に示すようにNC旋盤1のヘッドストック2とテールス
トック3とを用いて構成されており、ワークWはその円
筒外周面を把持面としてヘッドストック2側のチャック
4に把持されているとともに、上記バニシング加工装置
の主体となるバニシング加工用の加工ヘッド5はテール
ストック3側のクイルスピンドル6に着脱可能に支持さ
れている。
【0035】上記加工ヘッド5の先端部には略鼓形状を
なす二つ一組のバックアップローラ7が互いに同一軸線
上に位置するように配置されていて、各バックアップロ
ーラ7の外周面にはそれと対向するワークW側の環状溝
Sと同一曲率の周溝7aが形成されている。これらのバ
ックアップローラ7は、ラジアルニードルベアリング8
を介してバックアップローラ軸9に回転可能に支持され
ていて、バックアップローラ軸9は、ボルト10をもっ
てヘッド本体11に固定された軸受ブロック12および
中央部の補助ブロック13に軸受支持されている。な
お、各バックアップローラ7の両側面と軸受ブロック1
2および補助ブロック13との間にはスラストベアリン
グ14が介装されている。
【0036】また、上記加工ヘッド5のヘッド本体11
はモールステーパ形状のシャンク部14を有していて、
このシャンク部14をもってテールストック3側のクイ
ルスピンドル6に着脱可能にテーパ結合される。
【0037】図3,4に示すように、ワークWと各バッ
クアップローラ7との間にはバックアップローラ軸9と
直交するようなかたちで互いに平行な二本の制御軸1
5,16が配置される。各制御軸15,16はヘッド本
体11に設けた一対のアーム部17の軸穴に回転可能に
支持されているととにに、各制御軸15,16の一端は
相互に独立したパルスモータ18または19の出力軸に
連結されている。そして、各制御軸15,16の長手方
向中央部にはクレビス部20を介して略偏平状のバニシ
ングローラ21または22が回転可能に装着されてい
る。
【0038】上記各バニシングローラ21,22は、図
5,6にも示すように制御軸15または16に固定され
るピン23と隙間をもって遊嵌的に装着されていて、各
バニシングローラ21,22の外周面は対応するバック
アップローラ7の周溝7aに接触している。また、各ク
レビス部20の内側面には図7にも示すようにバニシン
グローラ21または22の側面と対向するように合計4
個の摺動部材24,25,26,27または28,2
9,30,31が配置されている。制御軸15側におい
ては、図7に示すように摺動部材24〜27はクレビス
部20の各内側面においてピン23を対称中心とした点
対称位置に配置され、他方、制御軸16側においても摺
動部材28〜31はクレビス部20の各内側面において
ピン23を対称中心とした点対称位置に配置されるも、
その対称関係が制御軸15側とは逆となっている。そし
て、図5,6に示すように、バニシングローラ21また
は22を挟んで互いに対向する摺動部材の間隔がバニシ
ングローラ21または22の厚みよりわずかに大きくな
るように設定されているため、各摺動部材24〜27お
よび28〜31の摺動面の方向とバニシングローラ2
1,22の軸直角平面とが一致している時は、バニシン
グローラ21,22の側面はいずれの摺動部材とも接触
しないようになっている。
【0039】次に上記装置構成のもとでのバニシング加
工時の動作について説明する。
【0040】図2のほか図3,4に示すように、ワーク
Wをチャック4に把持させた上でチャック4ごと回転さ
せる一方、テールストック3のクイルスピンドル6を押
し出して、バニシング加工用の加工ヘッド5をワークW
側に移動させる。これにより、各バニシングローラ2
1,22はワークWの環状溝Sに合致しつつ当接し、各
バニシングローラ21,22はワークWによる回転力を
受けて同期回転する。同時に、各バニシングローラ2
1,22と各バックアップローラ7とはころがり接触し
ているため、これらバックアップローラ7も共に回転す
る。
【0041】この状態で、バニシングローラ21,22
とワークW側の環状溝Sとの接触面での面圧がバニシン
グ加工に必要な値になるように、加工ヘッド5をワーク
Wに対してさらに強く押し付ける。この時、ワークWの
回転数は例えば500〜1000rpm、ワークWに対
する加工ヘッド5の押付力は例えば1470N程度とす
る。
【0042】次に、各パルスモータ18,19に回転指
令を与えて一方の制御軸15を右回転、他方の制御軸1
6を左回転させると、第8図に示すように、一方の制御
軸15側では互いに点対称位置にある二つの摺動部材2
4,27がバニシングローラ21の側面周縁部を押し、
他方の制御軸16側では同じく互いに点対称位置にある
二つの摺動部材28,31がバニシングローラ22の端
面周縁部を押すかたちとなる。
【0043】その結果、各バニシングローラ21,22
は、ワークW側の環状溝Sとの接触点とバックアップロ
ーラ7側の接触点を結ぶ軸線を回転中心として偶力を受
けてその偶力作用方向にそれ自体の回転中心が傾くよう
に傾転する。すなわち、各バニシングローラ21,22
の軸直角平面(各バニシングローラ21,22の回転中
心に対して直交する平面)と同じく各バックアップロー
ラ7の軸直角平面(各バックアップローラ7の回転中心
に対して直交する平面)とが非平行となる。
【0044】以上の説明から明らかなように、制御軸1
5,16およびパルスモータ18,19等はバニシング
ローラ21,22を傾転動作させるための傾転手段とし
て機能し、また各摺動部材24〜27および28〜31
は上記傾転動作の際にバニシングローラ21または22
に直接接触してこれらを押圧する押圧手段として機能す
ることになる。
【0045】こうして各バニシングローラ21,22が
傾転することはローラ21,22自体の転動方向に対し
て舵角がつくことを意味し、この舵角がついた状態でバ
ニシングローラ21,22が環状溝Sの表面を転動する
ため、舵角がついた分だけバニシングローラ21,22
の転動する方向が変化して、バニシングローラ21,2
2と環状溝Sとの接触点がその環状溝Sの断面曲率形状
に沿って連続的に移動することになる。その結果、ワー
クWの環状溝Sの全面についてバニシングローラ21,
22が順次押し付けられ、環状溝Sの表面には塑性変形
による圧縮残留応力が付加されることから、それによっ
て疲労耐久性能と耐摩耗性とが高められることになる。
【0046】このように本実施の形態によれば、ワーク
W側の環状溝Sと同じ曲率の周溝7aをもつバックアッ
プローラ7を用い、バニシングローラ21,22を環状
溝Sの表面に垂直に押圧させると共に、バニシングロー
ラ21,22の側面周縁部を摺動部材で押してバニシン
グローラ21,22の転動する方向を変化させるように
したことから、バニシングローラ21,22の転動方向
を変化させるための制御軸15,16等の機構が加工反
力を直接受けることがないのでその構造を簡素化できる
ほか、小さな変位と小さな駆動力とでバニシングローラ
21,22の転動方向を変化させることができるために
加工ヘッド5全体を小型化することができる。
【0047】図9〜図14には本発明に係るバニシング
加工装置の第2の実施の形態を示す。なお、本実施の形
態は請求項1に記載の発明のほか請求項3に記載の発明
に対応している。
【0048】図9,10はバニシング加工のための加工
ヘッド33の詳細を示し、加工ヘッド33は大きく分け
てヘッド本体34とホルダ35とから構成されている一
方、後述するようにワークW側の環状溝Sと同じ曲率の
周溝36aを有する略鼓形状のバックアップローラ36
は、ニードルラジアルベアリング37を介してバックア
ップローラ軸38に回転可能に支持されている。バック
アップローラ軸38は加工ヘッド33のヘッド本体34
に設けられた一対の軸受アーム部39に両持ち支持され
ている。バックアップローラ36の端面と軸受アーム部
39との間にはスラストベアリング40が設けられてお
り、後述する制御軸47の軸中心とバックアップローラ
36の周溝36aの溝幅中心線とがともに同一軸線上に
位置するように設定されている。
【0049】加工ヘッド33のヘッド本体34は、抜け
止め用のボルト41のほかラジアルベアリング42とス
ラストベアリング43とを介してホルダ33に旋回可能
に支持されている。また、ヘッド本体34の外周にはリ
ングギヤ44が固定されている一方、ホルダ33には出
力軸46aにピニオンギヤ45が固定されたパルスモー
タ46が装着されていて、リングギヤ44とピニオンギ
ヤ45とが互いに噛み合っている。
【0050】一方、制御軸47はホルダ33に設けた一
対の軸受アーム部48に回転可能に両持ち支持されてい
る。制御軸47の長手方向中央部には第1の実施の形態
と同様にクレビス部49が形成されており、このクレビ
ス部49に略偏平状のバニシングローラ50が回転可能
に装着されている。バニシングローラ50は、図11に
示すようにクレビス部49に固定されるピン51と隙間
をもって遊嵌的に装着されていて、バニシングローラ5
0の外周面は対応するバックアップローラ36の周溝3
6aに接触している。
【0051】そして、バニシング加工対象となるワーク
Wは図11,12に示すようにNC旋盤52のヘッドス
トック53側のチャック54に把持される一方、加工ヘ
ッド33は刃物台(ツールレスト)55に固定され、こ
の状態をもってバニシング加工に供される。
【0052】次に上記装置構成のもとでのバニシング加
工時の動作について説明する。
【0053】図12,13図に示すように、ワークWを
チャック54に把持させた上でチャック54ごと回転さ
せる一方、刃物台55に送りを与えて加工ヘッド33を
ワークW側に移動させる。バニシングローラ50がワー
クWの環状溝Sに当接するとそのワークWの回転力によ
ってバニシングローラ50が回転し、同時にそのバニシ
ングローラ50に接触しているバックアップローラ36
も連れ回りによって回転する。
【0054】この状態で加工ヘッド33をワークWにさ
らに強く押し付け、バックアップローラ36を介してバ
ニシングローラ50とワークWとの接触点での面圧がバ
ニシング加工に必要な値になるように設定する。そし
て、パルスモータ46に回転指令を与えてリングギヤ4
4とピニオンギヤ45とを介してヘッド本体39のみを
回転させると、図14に示すようにワークWの溝幅中心
線の法線方向とバックアップローラ36の回転中心との
間に相対的な角度差ができ、両者に挟まれるバニシング
ローラ50とも相対的な角度差ができるため、第1の実
施の形態と同様にバニシングローラ50の転動方向に舵
角がつくことになる。この状態でバニシングローラ50
がバックアップローラ36と環状溝Sの表面を転動する
ため、それぞれの接触点が環状溝Sの断面曲率形状に沿
って舵角のついた方向に移動し、バニシングローラ50
の転動する方向が変化する。
【0055】以上の説明から明らかなように、パルスモ
ータ46やリングギヤ44、ピニオンギヤ45およびヘ
ッド本体39等は、バックアップローラ36を介してバ
ニシングローラ50を傾転動作させる傾転手段として機
能することになる。
【0056】このように本実施の形態によれば、バック
アップローラ36の回転中心を傾斜させてバニシングロ
ーラ50が転動する方向を変化させる構成としたので、
小さな駆動力でバニシングローラ50の転動する方向を
変化させることができるとともに、加工ヘッド33を小
型化することができる。
【0057】図15には本発明の第3の実施の形態とし
て先の第1の実施の形態を変形した例を示す。なお、本
実施の形態は請求項1,4に記載の発明に対応してい
る。
【0058】図15に示すように、NC旋盤61には押
圧力付加手段たる油圧シリンダ62駆動のテールストッ
ク63を配置し、そのテールストック63と図2〜4と
同様のバニシング加工用の加工ヘッド5との間には圧電
型荷重計64を配置するとともに、上記油圧シリンダ6
2とその油圧源である油圧ポンプ65とを油圧調整弁6
6および油圧ホース67を介して接続する。また、加工
ヘッド5のうち各制御軸15,16の一方の端部には図
2,3と同様にそれぞれパルスモータ18,19を接続
し、他方の端部にはロータリーエンコーダ68,69を
接続する。
【0059】なお、圧電型荷重計64およびロータリー
エンコーダ68,69の検出出力は演算手段たる制御装
置70に取り込まれるようになっている一方、NC旋盤
61の主軸モータやおよび油圧調整弁66等の各種制御
は上記制御装置70によって一括して行われるようにな
っている。
【0060】このような構成において、制御装置70か
ら油圧調整弁66に対して開弁指令を与えてその油圧調
整弁67を開くと、油圧シリンダ62が伸長動作してテ
ールストック63をヘッドストック2の主軸側に押圧す
る。そして、加工ヘッド5に配置したバニシングローラ
21,22がワークWの環状溝Sに当接し、圧電型荷重
計64が検出する荷重が予め設定した値に達すると、制
御装置70からパルスモータ18,19に対して回転指
令が与えられ、各制御軸15,16ひいてはバニシング
ローラ21,22が一定の角度範囲で傾転駆動されるこ
とにより、第1の実施の形態と同様にワークWの環状溝
Sにしてバニシングローラ21,22によるバニシング
加工が施される。
【0061】上記各制御軸15,16の傾転角度はロー
タリエンコーダ68,69でリアルタイムで個別的に検
出されて、制御装置70に取り込まれる。制御装置70
には、制御軸15,16の傾転変化すなわち環状溝Sに
対するバニシングローラ21,22の当接点の位置変化
にかかわらずワークW側の環状溝Sに対するバニシング
ローラ21,22の面圧が常に一定となるような押付力
設定値が傾転角度位置ごとに予め設定されていることか
ら、制御装置70は制御軸15,16の実測傾転角度に
応じた押付力設定値をピックアップして圧力調整弁66
に指令を与え、油圧シリンダ62に供給すべき油圧を可
変制御する。
【0062】このように本実施の形態によれば、バニシ
ングローラ21,22とワークW側の環状溝Sとの当接
点の位置を変化させながらその当接点の位置を検出し、
同当接点での面圧が常に一定となるような押圧力を制御
装置70にて演算し、その結果によりワークに対する加
工ヘッド5の押付力を制御するようにしたので、ワーク
W側の環状溝Sの表面全面に均一な圧縮残留応力を付加
することができる。
【0063】ここで、上記のようにワークW側の環状溝
Sの表面全面に均一な圧縮残留応力を付加する場合のほ
か、環状溝Sの表面のうち特定の部位ごとに圧縮残留応
力の付加による疲労耐久性能すなわちバニシング加工時
の面圧を変えたい場合がある。
【0064】このような場合には、上記制御装置70
に、制御軸15,16の傾転角位置すなわち環状溝Sに
対するバニシングローラ21,22の各当接点位置ごと
に、所望する面圧を得るのに必要な押付力設定値を個別
に設定しておき、制御軸15,16ひいてはバニシング
ローラ21,22の実測傾転角度に応じた押付力設定値
をピックアップして圧力調整弁66に指令を与えて油圧
シリンダ62に供給すべき油圧を可変制御し、もって環
状溝Sの表面のうち特定の部位ごとに所望する大きさの
圧縮残留応力を付加することができる。その結果とし
て、圧縮残留応力の付加による疲労耐久性能の向上効果
を環状溝Sのうち強度上必要な部位のみに限定すること
ができ、過剰な圧縮残留応力の付加による加工歪みを小
さくすることができる、なお、この変形例は請求項1,
2に記載の発明のほか請求項5に記載の発明に対応して
いる。
【0065】図16には本発明の第4の実施の形態を示
す。この第4の実施の形態では、加工対象ワークを第3
の実施の形態(図15参照)におけるワークWに代えて
トロイダル型無段変速機のパワーローラW1として、こ
のパワーローラW1の環状溝たるボールベアリング溝S
1にバニシング加工を施すようにしたものである。な
お、この実施の形態は請求項1,2に記載の発明のほか
請求項4,6に記載の発明に対応している。
【0066】より詳しくは、図16(ただし、図4およ
び図15を参照のこと)に示すように、トロイダル型無
段変速機のパワーローラW1をチャック4に把持させた
上、バニシングローラ21,22とパワーローラW1側
のボールベアリング溝S1との当接点の位置を変化させ
ながらその当接点の位置すなわち各制御軸15,16に
設けられたバニシングローラ21,22の傾転角度をロ
ータリーエンコーダ68,69で検出し、同当接点での
面圧が常に一定となるような押付力を制御装置70にて
演算し、その結果によりパワーローラW1に対する加工
ヘッド5の押付力を可変制御する。こうすることによ
り、トロイダル型無段変速機のパワーローラW1のボー
ルベアリング溝S1の各部全面に均一な大きさの圧縮残
留応力を付加することができるとともに、仕上げ面粗さ
の悪化を防ぐことができる。
【0067】もちろん、バニシングローラ21,22が
パワーローラW1の被加工面に及ぼす面圧が一定となる
ように制御するのに代えて、先に説明したように被加工
面のうち特定の部位ごとに面圧が異なるように積極的に
その面圧を可変制御することも可能である。この場合に
は、圧縮残留応力の付加による疲労耐久性能の向上効果
をボールベアリング溝S1のうち強度上必要な部位のみ
に限定することができ、過剰な圧縮残留応力の付加によ
る加工歪みを小さくすることができる、なお、この変形
例は請求項5に記載の発明に対応している。
【0068】図17〜図21は本発明の第5の実施の形
態を示す図で、この実施の形態では加工対象ワークをト
ロイダル型無段変速機の入力ディスク及び出力ディスク
(以下、これらを総称して単にディスクという)とし
て、そのディスクW2の環状溝たるトラクション面S3
にバニシング加工を施すようにしたものである。なお、
この実施の形態は請求項1,2に記載の発明のほか、請
求項4,8に記載の発明に対応している。
【0069】図19はワークたるディスクW2のトラク
ション面S2と対向するように配置されるバニシング加
工用の加工ヘッド71の詳細を示し、同図のほか図20
に示すように、ディスクW2はNC旋盤93のヘッドス
トック94側のチャック72に把持される一方、略鼓形
状をなすバックアップローラ73はラジアルニードルベ
アリング74とスラストベアリング75とを介して、加
工ヘッド71を構成することになるヘッド本体76とホ
ルダ77に回転可能に両持ち支持される。上記ヘッド本
体76とホルダ77とはボルト78によって締結され、
ヘッド本体76は圧電型荷重計79を介してNC旋盤の
刃物台80に支持される。なお、上記バックアップロー
ラ73にはワークたるディスクW2側のトラクション面
S2と同じ曲率の周溝73aが形成されている。
【0070】バニシング加工を司るバニシングローラ8
1は、図18に示すように制御軸82の長手方向中央部
のクレビス部83に固定されるピン84に隙間をもって
遊嵌的かつ回転可能に装着される(図11参照)。制御
軸82は、ヘッド本体76とホルダ77にボルト85に
て固定される一対のブラケット86に回転可能に両持ち
支持される。この制御軸82の一端はパルスモータ87
に接続され、他端にはロータリエンコーダ88が接続さ
れる。図19は制御軸82におけるクレビス部83の内
部に設けた摺動部材89〜92の配置を模式化したもの
で、この構造は基本的に図7に示したものと同じにして
ある。
【0071】そして、図20に示すように、上記圧電型
荷重計79およびロータリーエンコーダ88の検出出力
は演算手段たる制御装置95に取り込まれるようになっ
ている一方、NC旋盤93の主軸モータやパルスモータ
87の各種制御および刃物台80の送り制御は上記制御
装置95によって一括して行われるようになっている。
【0072】このような構成のもとでワークたるディス
W2のトラクション面S2にバニシング加工を施すに
は、図17,18のほか図20に示すように、ディスク
W2をチャック72に把持させた上でこのチャック72
ごと回転させる一方、刃物台80に送りを与えて加工ヘ
ッド71をディスクW2側に移動させる。バニシングロ
ーラ81がディスクW2のトラクション面S2に当接す
るとそのディスクW2の回転力によってバニシングロー
ラ81が回転し、同時にそのバニシングローラ81に接
触しているバックアップローラ73も連れ回りによって
回転する。
【0073】この状態で加工ヘッド71をディスクW2
にさらに強く押し付け、バックアップローラ73を介し
てバニシングローラ81とディスクW2との接触点での
面圧がバニシング加工に必要な値になるように設定す
る。なお、この初期面圧の大きさは上記圧電型荷重計7
9により管理するようにしてもよい。
【0074】そして、パルスモータ87に回転指令を与
えて制御軸82を右回転させると、図21に示すように
制御軸82側では互いに点対称位置にある二つの摺動部
材89,92がバニシングローラ81の側面周縁部を押
すかたちとなる。その結果、バニシングローラ81は、
ディスクW2側のトラクション面S2との接触点とバッ
クアップローラ73側の接触点を結ぶ軸線を回転中心と
して偶力を受けてその偶力作用方向にそれ自体の回転中
心が傾くように傾転する。すなわち、バニシングローラ
81の軸直角平面(バニシングローラ81の回転中心に
対して直交する平面)と同じくバックアップローラ73
の軸直角平面(バックアップローラ73の回転中心に対
して直交する平面)とが非平行となる。
【0075】こうしてバニシングローラ81が傾転する
ことは図21に示すようにローラ81自体の転動方向に
対して舵角がつくことを意味し、この舵角がついた状態
でバニシングローラ81がトラクション面S2の表面を
転動するため、舵角がついた分だけバニシングローラ8
1の転動する方向が変化して、バニシングローラ81と
トラクション面S2との接触点がトラクション面S2の
断面曲率形状に沿って連続的に移動することになる。そ
の結果、ディスクW2のトラクション面S2の全面につ
いてバニシングローラ81が順次押し付けられ、トラク
ション面S2の表面には塑性変形による圧縮残留応力の
付加されることから、それによって疲労耐久性能と耐摩
耗性とが高められることになる。
【0076】このようなバニシング加工の過程におい
て、バニシングローラ81の傾転角をロータリーエンコ
ーダ88によって検出するとともに、そのバニシングロ
ーラ81が被加工面に及ぼしている面圧を加工反力とし
て圧電型荷重計79によって検出して制御装置95に取
り込み、その面圧を加工反力として監視する。そして、
制御装置95には、制御軸82ひいてはバニシングロー
ラ81の傾転変化すなわちトラクション面S2に対する
バニシングローラ81の当接点の位置変化にかかわらず
ディスクW2側のトラクション面S2に対するバニシン
グローラ81の面圧が常に一定となるような圧力設定値
が傾転角度位置ごとに予め設定されていることから、制
御装置95はバニシングローラ81の実測傾転角度に応
じた圧力設定値をピックアップして刃物台80に送り指
令として与え、上記面圧が一定となるように圧電型荷重
計79で監視しながらディスクW2に対する加工ヘッド
71の押付力を可変制御する。
【0077】このように、バニシングローラ81とディ
スクW2側のトラクション面S2との当接点の位置を変
化させながらその当接点の位置を検出し、同当接点での
面圧が常に一定となるような押付力を制御装置95にて
演算し、その結果により加工ヘッド71の押圧力を制御
するようにしたので、ディスクW2側のトラクション面
S2の表面全面に均一な圧縮残留応力を付加することが
できるとともに、仕上げ面粗さの悪化を防ぐことができ
る。
【0078】ここで、バニシングローラ81が被加工面
たるディスクW2のトラクション面S2に及ぼす面圧が
一定となるように制御するのに代えて、先に説明したよ
うに被加工面のうち特定の部位ごとに面圧が異なるよう
に積極的にその面圧を可変制御することも可能である。
すなわち、上記制御装置95に、バニシングローラ81
の傾転角位置すなわちディスクW2のトラクション面S
2に対するバニシングローラ81の各当接点位置ごとに
所望する面圧を得るのに必要な加工ヘッド71の押付力
を個別に設定しておき、バニシングローラ81の実測傾
転角度に応じた設定値をピックアップした上でこれを刃
物台80の送り指令として与え、実際の加工反力を圧電
型荷重計79で監視しつつて加工ヘッド71の押付力を
可変制御する。
【0079】これにより、ディスクW2のトラクション
面S2のうち特定の部位ごとに所望する大きさの圧縮残
留応力を付加することができる。その結果として、圧縮
残留応力の付加による疲労耐久性能の向上効果を上記ト
ラクション面S2のうち強度上必要な部位のみに限定す
ることができ、過剰な圧縮残留応力の付加による加工歪
みを小さくすることができるようになる。なお、この変
形例は請求項5,9に記載の発明に対応している。
【図面の簡単な説明】
【図1】バニシング加工の対象となるワークの一例を示
す図で、(A)はその断面図、(B)は同図(A)の右
側面図。
【図2】本発明に係るバニシング加工装置の第1の実施
の形態を示す構成説明図。
【図3】図2に示したバニシング加工ヘッドを中心とす
る要部拡大説明図。
【図4】図3のA−A線に沿う断面説明図。
【図5】図4に示す一方の制御軸の構成を示す図で、
(A)はその断面図、(B)は同図(A)の右側面図。
【図6】図4に示す他方の制御軸の構成を示す図で、
(A)はその断面図、(B)は同図(A)の右側面図。
【図7】図5,6に示した制御軸における摺動部材の配
置を示す要部斜視図。
【図8】バニシングローラによる加工中の説明図で、
(A)は図4の要部拡大図、(B)は同図(A)の側面
説明図。
【図9】本発明の第2の実施の形態としてバニシング加
工ヘッド構成を示す断面説明図。
【図10】図9のB−B線に沿う断面説明図。
【図11】図10に示す制御軸の要部拡大説明図。
【図12】図9のバニシング加工ヘッドをNC旋盤に適
用した状態を示す構成説明図。
【図13】図12のC−C線に沿う断面説明図。
【図14】バニシングローラによる加工中の説明図で、
(A)は図13の要部拡大図、(B)は同図(A)の側
面説明図。
【図15】本発明の第3の実施の形態としてバニシング
加工装置の全体構成を示す説明図。
【図16】本発明の第4の実施の形態として図4のバニ
シング加工ヘッドをトロイダル型無段変速機のパワーロ
ーラの加工に適用した状態を示す要部拡大断面図。
【図17】本発明の第5の実施の形態としてトロイダル
型無段変速機の入出力ディスク加工用のバニシング加工
ヘッドの構成を示す要部拡大断面図。
【図18】図17のD−D線に沿う断面説明図。
【図19】図18に示した制御軸における摺動部材の配
置を示す要部斜視図。
【図20】図17のバニシング加工ヘッドをNC旋盤に
適用した状態を示す構成説明図。
【図21】図17のバニシングローラによる加工中の説
明図で、(A)は図17の要部拡大図、(B)は同図
(A)の側面説明図。
【符号の説明】
5…加工ヘッド 7…バックアップローラ 15,16…制御軸(傾転手段) 18,19…パルスモータ(傾転手段) 21,22…バニシングローラ 24〜27…摺動部材(押圧手段) 28〜31…摺動部材(押圧手段) 33…加工ヘッド 36…バックアップローラ 46…パルスモータ(傾転手段) 47…制御軸(傾転手段) 50…バニシングローラ 62…油圧シリンダ(押圧力付加手段) 64…圧電型荷重計 68,69…ロータリーエンコーダ(位置検出手段) 70…制御装置(演算手段) 71…加工ヘッド 73…バックアップローラ 79…圧電型荷重計 81…バニシングローラ 82…制御軸(傾転手段) 87…パルスモータ(傾転手段) 88…ロータリーエンコーダ(位置検出手段) 89〜92…摺動部材(押圧手段) 95…制御装置(演算手段) S…環状溝 S1…ボールベアリング溝(環状溝) S2…トラクション面(環状溝) W…ワーク(被加工物) W1…トロイダル型無段変速機のパワーローラ(ワー
ク) W2…トロイダル型無段変速機の入出力ディスク(ワー
ク)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面円弧状の環状溝を有する被加工物に
    ついてその環状溝にバニシングローラを押し付けてバニ
    シング加工を施す装置において、 環状溝に押し付けられる回転可能なバニシングローラ
    と、 上記バニシングローラを挟んで環状溝と対向するように
    配置された略鼓形状のバックアップローラと、 上記環状溝に対するバニシングローラの当接点とこのバ
    ニシングローラに対するバックアップローラの当接点と
    を結ぶ軸線を回転中心としてバニシングローラを傾転動
    作させる傾転手段と、 を備えたことを特徴とするバニシング加工装置。
  2. 【請求項2】 上記傾転手段は、バニシングローラの回
    転中心を対称中心とした点対称位置に配置されてそのバ
    ニシングローラの表裏両面を該バニシングローラの回転
    中心を傾ける方向に押圧する押圧手段を備えていること
    を特徴とする請求項1に記載のバニシング加工装置。
  3. 【請求項3】 上記傾転手段は、環状溝に対するバニシ
    ングローラの当接点とこのバニシングローラに対するバ
    ックアップローラの当接点とを結ぶ軸線を回転中心とし
    てバックアップローラを傾転させることでバニシングロ
    ーラを傾転動作させるようになっていることを特徴とす
    る請求項1に記載のバニシング加工装置。
  4. 【請求項4】 上記環状溝に対するバニシングローラの
    当接点の位置を検出する手段と、 検出した当接点の位置情報をもとにバニシングローラと
    環状溝との当接点における面圧がどの位置でも一定とな
    るような押圧力を演算する演算手段と、 この演算手段から指示された押圧力をバニシングローラ
    に付加する押圧力付加手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1に記載のバニシング
    加工装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の演算手段に代えて、検
    出した当接点の位置情報をもとにその当接点における面
    圧が当該当接点固有の所望の値となるような押圧力を演
    算する演算手段を備えていることを特徴とするバニシン
    グ加工装置。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の装置を用いてトロイダ
    ル型無段変速機におけるパワーローラ内輪のボールベア
    リング溝の加工を行うことを特徴とするバニシング加工
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の装置を用いてトロイダ
    ル型無段変速機におけるパワーローラ内輪のボールベア
    リング溝の加工を行うことを特徴とするバニシング加工
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項4に記載の装置を用いてトロイダ
    ル型無段変速機における入力ディスク及び出力ディスク
    のトラクション面の加工を行うことを特徴とするバニシ
    ング加工方法。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載の装置を用いてトロイダ
    ル型無段変速機における入力ディスク及び出力ディスク
    のトラクション面の加工を行うことを特徴とするバニシ
    ング加工方法。
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