JP2000052244A

JP2000052244A - ローラバニシング工具

Info

Publication number: JP2000052244A
Application number: JP22566298A
Authority: JP
Inventors: Hideaki Okajima; 英昭岡島; Masahide Ohashi; 正英大橋
Original assignee: Sugino Machine Ltd
Current assignee: Sugino Machine Ltd
Priority date: 1998-08-10
Filing date: 1998-08-10
Publication date: 2000-02-22

Abstract

(57)【要約】【課題】ねじ表面の粗さを向上させ、加工硬化やバリ
の除去により雄ねじのかじり発生を防止することができ
るローラバニシング工具を提供する。【解決手段】シャンク１に、このシャンク１の軸線方
向に移動可能に取り付けられた駆動軸２と、シャンク１
に設けられて駆動軸２の押圧力の調整を行う押圧力調整
手段Ｂと、駆動軸２の先部に、この駆動軸２の軸線回り
に回転可能に取り付けられたホルダー３と、このホルダ
ー３に回転可能に且つ駆動軸２の軸線方向に対して垂直
方向に移動可能に保持され且つ加工するねじ表面形状に
合致させたバニシ加工部４を有するロール５と、ホルダ
ー３に設けられてロール５を駆動軸２の軸線方向に対し
て垂直方向に移動可能に保持するフローティング手段Ｆ
とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、雄ねじのねじ表面
（表面）のバニシ加工を行うローラバニシング工具に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】切削工具で切削加工した表面にロールを
転がして表面を平滑にするバニシ仕上げ加工がある。加
工原理は、切削加工で生じた表面の小さな凹凸をロール
で押し潰して平滑にする加工法であり、加工後の加工面
は鏡面に近い表面粗度と塑生加工による硬度上昇並に摩
擦が無いため摺動面として優れた特長を持つ等の利点を
備えており、機械加工後の仕上げ加工として多用されて
いる。

【０００３】このローラバニシ加工は、主として円柱外
周や円筒内面などの円形周面加工に多用されていた。一
部において管端等の平坦面、あるいは、テーパ面や球面
の加工に使用されていた。

【０００４】また、ねじの面部にバリの発生や表面粗さ
の低下があると、雄ねじにかじりが発生するために、ね
じは転造盤による転造ねじ加工、またはペーパ仕上げ等
により仕上げられ、また、旋削加工されたねじは仕上げ
加工を経ることなく、そのままの状態で使用されてい
た。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たようにローラバニシ加工は、主として円柱外周や円筒
内面などの円形周面加工に使用されており、雄ねじのね
じ表面の仕上げ加工には使用されていないのが現状であ
り、また、転造盤で加工する場合、専用の装置が必要で
あり、加工圧力が高いことから加工物、すなわち雄ねじ
の伸びや変形が発生したり、専用装置の調整に熟練を要
するといった問題点があった。

【０００６】本発明は、上記の問題点に着目して成され
たものであって、その目的とするところは、ねじ表面の
粗さを向上させ、加工硬化やバリの除去により雄ねじの
かじり発生を防止することに寄与するローラバニシング
工具を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１の発明に係るローラバニシング工具は、
加工するねじ表面形状に合致させたバニシ加工部を有
し、このバニシ加工部をねじ表面に押付けてねじピッチ
に相当する送りを与えて、ねじ表面をバニシ加工するロ
ールを備えたことを特徴とする。

【０００８】かかる構成により、ロールの、加工するね
じ表面形状に合致させたバニシ加工部をねじ表面に押付
けて、ワーク（雄ねじ）を回転させて、さらに工具にね
じピッチに相当する送りを与えて、ねじ表面をバニシ加
工することができる。このために、ねじ表面の粗さを向
上させ、加工硬化やバリの除去により雄ねじのかじり発
生を防止することができる。また、耐久性、耐摩耗性の
向上も可能になる。

【０００９】また、上記の目的を達成するために、請求
項２の発明に係るローラバニシング工具は、加工機に保
持されるシャンクと、このシャンクの軸線方向に移動可
能に取付けられた駆動軸と、この駆動軸の先部に取り付
けられたホルダと、このホルダに回転可能に保持され且
つ加工するねじ表面形状に合致させたバニシ加工部を有
するロールとからなり、前記シャンクに設けられて前記
駆動軸の押圧力の調整を行う押圧力調整手段を備え、且
つ、前記ロールと前記ホルダとは被加工物のねじピッチ
とねじリード角に合わせて補正するフローティング機構
を備えて構成したことを特徴とする。

【００１０】かかる構成により、ロールのバニシ加工部
をねじ表面に押付け、この状態で、雄ねじを回転させて
ロールにねじピッチに相当する送りを与えて、ねじ表面
をバニシ加工する。

【００１１】この場合、押圧力調整手段によってロール
には押圧力の調整が行われているために、ロールにはプ
リロードが加わっているし、また、ロールは、フローテ
ィング手段により、雄ねじのリード角の誤差に対応する
ことができると共に、雄ねじのピッチ誤差に対応するこ
とができる。したがって、ねじ表面の粗さを向上させ、
加工硬化やバリの除去により雄ねじのかじり発生を防止
することができる。また、耐久性、耐摩耗性の向上も可
能になる。

【００１２】また、上記の目的を達成するために、請求
項３の発明に係るローラバニシング工具は、請求項２に
記載のローラバニシング工具において、前記押圧力調整
手段を、前記シャンクと前記駆動軸との間に介装した弾
性部材と、この弾性部材の圧縮力の調整を行う調整手段
とにより構成した。

【００１３】かかる構成により、上記した請求項２の発
明の作用効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、調
整手段により弾性部材の圧縮力の調整を行うことで、ロ
ールに加わるプリロードを調整することができる。

【００１４】また、上記の目的を達成するために、請求
項４の発明に係るローラバニシング工具は、請求項２又
は請求項３に記載のローラバニシング工具において、前
記フローティング機構が、前記ロールを前記駆動軸の軸
線方向に対して垂直方向に移動可能に保持し、且つ前記
ホルダを前記駆動軸の軸線回りに回転可能としたことを
特徴とする。

【００１５】かかる構成により、上記した請求項２の発
明の作用効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、加
工中のピッチ誤差やリード角を補正することができる。

【００１６】ここで、以上に記載したローラバニシング
工具では、前記ロールを前記雄ねじのねじ山間に挿入さ
れるＶ形状のバニシ加工部を有する形状とすることがで
きる。前記ロールを前記雄ねじのねじ山間に挿入される
Ｖ形状のバニシ加工部を有する形状とすることにより、
雄ねじのねじ山間の底部を確実にバニシ加工することが
できる。

【００１７】また、以上に記載したローラバニシング工
具では、前記ロールを前記雄ねじのねじ山を覆うＷ形状
のバニシ加工部を有する形状とすることができる。前記
ロールを前記雄ねじのねじ山を覆うＷ形状のバニシ加工
部を有する形状とすることにより、雄ねじのねじ山の頂
点部を確実にバニシ加工することができる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【００１９】図１の（ａ）は本発明に係るローラバニシ
ング工具の正面図、図１の（ｂ）は同ローラバニシング
工具の側面図、図２の（ａ）は同ローラバニシング工具
の分解状態の斜視図、図２の（ｂ）は同ローラバニシン
グ工具の斜視図、図３は図１の（ａ）のＸ方向からの矢
視図である。

【００２０】本発明に係るローラバニシング工具は、加
工機に保持されるシャンク１と、このシャンク１の軸線
方向に移動可能に取付けられた駆動軸２と、この駆動軸
２の先部に取り付けられたホルダー３と、このホルダー
３に回転可能に保持され且つ加工するねじ表面形状に合
致させたバニシ加工部４を有するロール５と、シャンク
１に設けられて駆動軸２の押圧力の調整を行う押圧力調
整手段である押圧力調整機構Ｂと、ロール５を被加工物
のねじピッチとねじリード角に合わせて補正するフロー
ティング機構Ｆとを備えている。

【００２１】前記シャンク１には円筒状の中空部６が形
成してあり、シャンク１の周部には、中空部６に抜ける
孔部７が形成してある。また、このシャンク１の後端部
の中央には中空部６に抜けるねじ孔１Ａが設けてある。

【００２２】また、前記駆動軸２は、シャンク１の中空
部６に挿入される円筒部８の先側にこの円筒部８より大
径の鍔部９を形成して構成してあり、この駆動軸２の先
端面部２ａには、その中心部に中空部１０が形成してあ
る。また、円筒部８の略中央には、駆動軸２の軸線方向
に長い長孔１１が形成してある。また、鍔部９の周面部
には、中空部１０に抜けるねじ孔部９Ａが形成してあ
る。

【００２３】また、前記ホルダー３は、軸部１２の前端
部に二股状の保持プレート部１３を形成して構成してあ
る。そして、この軸部１２の周面部には、この周方向に
長い溝部１４が形成してある。

【００２４】また、前記ロール５は、その周部にバニシ
加工部４を、その左、右側面に平坦部５Ｌ、５Ｒをそれ
ぞれ有しており、バニシ加工部４は、図４の（ａ）に示
すように雄ねじ４０のねじ山４１間に挿入されるＶ形状
をしており、略６０度の角度を有している。

【００２５】そして、シャンク１の中空部６の後端側に
は、Ｔ字形状のばね受け部材１５が配設してあり、この
ばね受け部材１５は、ばね受け部１６の前面部中央にガ
イド軸部１７を設けて構成してあり、また、シャンク１
の後端部のねじ孔１Ａにはセットスクリュー１８が螺挿
してある。

【００２６】また、シャンク１には、その円筒部８を中
空部６に挿入して駆動軸２が、シャンク１の軸線方向に
移動可能に設けてあり、シャンク１の孔部７と駆動軸２
の長孔１１とにピン１９が貫通状態で挿入してあり、駆
動軸２は長孔１１の範囲内で移動が可能にしてある。

【００２７】そして、駆動軸２の後端部２ｂとばね受け
部材１５との間がばね収容室２０になっており、このば
ね収容室２０には、弾性部材である複数枚の皿ばね２１
が重ね合わせた状態で収容してあり、これらの皿ばね２
１のうちの後側に位置するものは、ばね受け部材１５の
ガイド軸部１７に保持されていて、最後位の皿ばね２１
はばね受け部１６の前面部に当接しており、これらの皿
ばね２１とばね受け部材１５とセットスクリュー１８と
で押圧力調整機構Ｂを構成している。

【００２８】そして、押圧力調整機構Ｂにあっては、セ
ットスクリュー１８を回転させることにより、ばね受け
部材１５を送って複数枚の皿ばね２１を圧縮状態にして
押圧力（プリロード）の調整を行う。

【００２９】また、駆動軸２には、ホルダー３の軸部１
２を中空部１０に挿入してホルダー３が駆動軸２の軸線
回りに回転可能に設けてあり、駆動軸２の鍔部９に設け
たねじ孔部９Ａにはねじ部材２２が螺挿してあり、この
ねじ部材２２の先端部が、軸部１２の周面部の溝部１４
に摺動可能に挿入していて、ホルダー３は溝部１４の範
囲内で回転が可能にしてある。そして、ホルダー３の軸
部１２にはカラー２３が嵌めてある。

【００３０】そして、ホルダー３の二股状の保持プレー
ト部１３はロールピン２４を介してロール５を回転可能
に且つロールピン２４の軸線方向に移動可能に保持して
いる。すなわち、保持プレート部１３にはピン孔１３Ａ
が形成してあって、これらのピン孔１３Ａにロールピン
２４が挿入してあり、ロールピン２４にロール５が回転
可能に且つロールピン２４の軸線方向に移動可能に保持
していて、これらでフローティング機構Ｆを構成してい
る。

【００３１】次に、上記のように構成されたローラバニ
シング工具を用いての雄ねじ４０のねじ表面のバニシ仕
上げ加工を説明する。

【００３２】ローラバニシング工具のシャンク１を旋盤
等加工機のバイトホルダー（工具保持部）に装着してロ
ーラバニシング工具を前後左右に移動可能とする。この
ローラバニシング工具のロール５のバニシ加工部４をワ
ークである雄ねじ４０のねじ山４１間のねじ表面に圧接
する。この状態で、雄ねじ４０を回転させてローラバニ
シング工具にねじピッチに相当する送りを与えて、雄ね
じ４０のねじ表面をバニシ加工部４でバニシ加工する。

【００３３】この場合、押圧力調整機構Ｂによってロー
ル５には押圧力の調整が行われているために、ロール５
にはプリロードが加わっている。また、ホルダー３が、
その基端部の軸部１２で駆動軸２の軸線回りに回転でき
るために、このホルダー３が保持するロール５の駆動軸
２の軸線回りの回転により、雄ねじ４０のリード角の誤
差に対応することができるし、また、ロール５はフロー
ティング機構Ｆにより、その左右方向のいずれにも移動
することができるために、この移動により雄ねじ４０の
ピッチ誤差に対応することができる。

【００３４】（実施例）図４の（ａ）に示すロール（Ｓ
ＳＲ−３８Ｄ×Ｓ２５）を用いて雄ねじＭ２０×２（ピ
ッチ：２ｍｍ）の加工を行った。加工条件は、送り：２ｍｍ／ｒｅｖ．周速度：５ｍ／ｍｉｎ．押付け力（推力）：１００ｋｇｆ（１ｍｍ程度の皿ばね
のたわみ）である。その結果、雄ねじ４０表面の粗さを向上させ、
加工硬化やバリの除去により雄ねじ４０のかじり発生を
防止することができた。

【００３５】また、上記した実施の形態で、ロール５に
おいては、その周部がバニシ加工部４であって、このバ
ニシ加工部４が雄ねじ４０のねじ山４１間に挿入される
Ｖ形状をしており、略６０度の角度を有しているものを
用いて、雄ねじ４０のねじ山４１とねじ山４１との間の
底部を確実に加工するようにしたが、ロール５の形状は
加工目的に応じて変えてもよい。例えば、図４の（ｂ）
に示すように、ねじ山４１の頂部を確実に加工するよう
に、雄ねじ４０のねじ山４１を覆うＷ形状のバニシ加工
部４を有するロール５を用いてもよい。

【００３６】上記した実施の形態によれば、加工するね
じ面形状に合致させたロール５をねじ表面に押付けてね
じピッチに相当する送りを与えて、ねじ表面の粗さを向
上させ、加工硬化やバリの除去により雄ねじのかじり発
生を防止することができる。また、耐久性、耐摩耗性の
向上も可能になる。

【００３７】なお、本発明にあっては、押圧力調整機構
Ｂ、フローティング機構Ｆは上記した構成に限定される
ものではなく、押圧力調整機構Ｂとしてはロール５には
プリロードを加える機構であればよいし、また、フロー
ティング機構Ｆとしては、ロール５を駆動軸２の軸線方
向に対して垂直方向に移動可能に保持するものであれば
よい。

【００３８】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明に
係るローラバニシング工具によれば、ロールの、加工す
るねじ表面形状に合致させたバニシ加工部を有するロー
ルをねじ表面に押付けて、ワーク（雄ねじ）を回転させ
て、さらに工具にねじピッチに相当する送りを与えて、
ねじ表面をバニシ加工することができる。このために、
ねじ表面の粗さを向上させ、加工硬化やバリの除去によ
り雄ねじのかじり発生を防止することができる。また、
ロールによる転圧効果により耐久性、耐摩耗性の向上も
可能になる。

【００３９】また、請求項２の発明に係るローラバニシ
ング工具によれば、ロールのバニシ加工部をねじ表面に
押付け、この状態で、雄ねじを回転させてロールにねじ
ピッチに相当する送りを与えて、ねじ表面をバニシ加工
する。この場合、押圧力調整手段によってロールには押
圧力の調整が行われているために、ロールにはプリロー
ドが加わっているし、また、ロールは、フローティング
手段により、雄ねじのリード角の誤差に対応することが
できると共に、雄ねじのピッチ誤差に対応することがで
きる。したがって、ねじ表面の粗さを向上させ、加工硬
化やバリの除去により雄ねじのかじり発生を防止するこ
とができる。また、耐久性、耐摩耗性の向上も可能にな
る。

【００４０】また、請求項３の発明に係るローラバニシ
ング工具によれば、上記した請求項２の発明の作用効果
と同様な作用効果を奏し得るばかりか、調整手段により
弾性部材の圧縮力の調整を行うことで、ロールに加わる
プリロードを調整することができる。

【００４１】また、請求項４の発明に係るローラバニシ
ング工具によれば、上記した請求項２の発明の作用効果
と同様な作用効果を奏し得るばかりか、加工中のピッチ
誤差やリード角を補正することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本発明に係るローラバニシング工具の
正面図である。（ｂ）は同ローラバニシング工具の側面
図である。

【図２】（ａ）は同ローラバニシング工具の分解状態の
斜視図である。（ｂ）は同ローラバニシング工具の斜視
図である。

【図３】図１の（ａ）のＸ方向からの矢視図である。

【図４】（ａ）は同ローラバニシング工具のロールのバ
ニシ加工部の説明図である。（ｂ）は同ローラバニシン
グ工具のロールの他のバニシ加工部の説明図である。

【符号の説明】

１シャンク２駆動軸３ホルダー４バニシ加工部５ロールＢ押圧力調整機構（押圧力調整手段）Ｆフローティング機構

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】加工するねじ表面形状に合致させたバニ
シ加工部を有し、このバニシ加工部をねじ表面に押付け
てねじピッチに相当する送りを与えて、ねじ表面をバニ
シ加工するロールを備えたことを特徴とするローラバニ
シング工具。
【請求項２】加工機に保持されるシャンクと、このシ
ャンクの軸線方向に移動可能に取付けられた駆動軸と、
この駆動軸の先部に取り付けられたホルダと、このホル
ダに回転可能に保持され且つ加工するねじ表面形状に合
致させたバニシ加工部を有するロールとからなり、前記
シャンクに設けられて前記駆動軸の押圧力の調整を行う
押圧力調整手段を備え、且つ、前記ロールと前記ホルダ
とは被加工物のねじピッチとねじリード角に合わせて補
正するフローティング機構を備えて構成したことを特徴
とするローラバニシング工具。
【請求項３】前記押圧力調整手段を、前記シャンクと
前記駆動軸との間に介装した弾性部材と、この弾性部材
の圧縮力の調整を行う調整手段とにより構成した請求項
２に記載のローラバニシング工具。
【請求項４】前記フローティング機構が、前記ロール
を前記駆動軸の軸線方向に対して垂直方向に移動可能に
保持し、且つ前記ホルダを前記駆動軸の軸線回りに回転
可能としたことを特徴とする請求項２又は請求項３に記
載のローラバニシング工具。