JP2002168944A - 不要波抑圧方法 - Google Patents

不要波抑圧方法

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JP2002168944A
JP2002168944A JP2000366575A JP2000366575A JP2002168944A JP 2002168944 A JP2002168944 A JP 2002168944A JP 2000366575 A JP2000366575 A JP 2000366575A JP 2000366575 A JP2000366575 A JP 2000366575A JP 2002168944 A JP2002168944 A JP 2002168944A
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wave
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JP2000366575A
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Yoshiaki Nakajima
喜明 中島
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Japan Radio Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 DC的不要波や、高レベル不要波をも抑圧可
能な不要波抑圧方法を提供する。 【解決手段】 互いにその符号が逆のマザーウェーブレ
ット係数を用いて並列的に展開係数縮退処理を実行し、
その結果のうち一方に送信パルス幅相当のシフトを残し
た上で両者の差に係る偶関数展開係数抑圧後波形データ
を求める。この偶関数展開係数抑圧後波形データのう
ち、展開係数縮退後の波形データとの差が所定値以上で
ある要素については強制的に0に置換し、高レベル不要
波抑圧後波形データを発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無線信号の送信及
び反射波の受信により周囲における物体の存否、位置、
挙動等を探知するレーダ装置等の探知装置に関し、特
に、その受信信号をA/D変換して得られる受信波形デ
ータから不要波に相当する部分を除去し又は抑圧する不
要波抑圧方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レーダ装置等を用いた遠隔探知の分野に
おいては、従来から、CFAR(Constant False Alarm
Rate)等に代表される不要波抑圧方法が開発されてき
た。CFARは不要波抑圧に効果があるとは言うもの
の、移動物標(移動する探知対象物体)を示す信号のレ
ベルが低下する等の問題があるため、これに代わる手法
として、積和演算或いはウェーブレット変換を用いた手
法が開発されている(特願平8−182781号等を参
照)。
【0003】ウェーブレット変換は音声分析、画像処理
等の分野で利用・応用されている処理手法であり、例え
ば、「ウェーブレットによる信号処理と画像処理」(中
野他、共立出版刊)等の書物において詳しく解説されて
いる。従来から頒布されているウェーブレット変換関係
の出版物のうちいくつかには、展開係数縮退法なる技術
が示されている。本願発明の発明者は、これらの出版物
に記載されている展開係数縮退法をレーダ装置等におけ
る不要波抑圧に応用できるか否か、また応用した場合に
どのような効果が得られるかに関し、既に検討を行って
いる。
【0004】図1〜図3に、レーダ装置の受信信号処理
向けに展開係数縮退法を応用した場合の装置構成例及び
その場合における展開係数縮退法の効果を示す。図1に
示したシステムは、レーダシステム10とパーソナルコ
ンピュータ(PC)20とを接続し、ウェーブレット変
換或いは展開係数縮退法に関する処理を専らPC20に
て実行しその結果を通常のレーダ映像とは別途表示させ
るようにしたシステムである。
【0005】図中、レーダシステム10は、レーダ空中
線12、レーダ装置(送受信機)14及びレーダ指示器
16を有している。レーダ装置14は、所定繰返し周期
で送信パルスを発生させ、この送信パルスにより変調さ
れた探知信号即ちレーダ信号をレーダ空中線12から無
線送信する。レーダ空中線12は、図示しないモータに
よる回転駆動等の手法で、レーダ信号の送信方向(レー
ダ空中線12の指向方向)を逐次変化させる空中線であ
る。例えば水上の物標を探知するためのレーダであれば
レーダ空中線12の指向方向を水平面内で所定速度で回
転させる。
【0006】レーダ空中線12の指向方向に何らかの物
標が存在しているときには、その物標により反射された
レーダ信号即ち反射エコーがレーダ空中線12により受
信され、その受信信号がレーダ装置14に供給される。
レーダ装置14はこの受信信号に基づき映像信号(レー
ダビデオ)を発生させ、レーダ指示器16の画面上に表
示させる。従って、使用者は、レーダ指示器16の画面
から、周囲における物標の存否、位置、挙動等を知るこ
とができる。
【0007】しかし、レーダ指示器16の画面上に表示
される映像には、各種の不要波や受信機ノイズの影響も
現れている。例えば、水上の物標を探知するためのレー
ダ装置14は、海面による反射に起因する不要波(シー
クラッタ)、雨雪に起因する不要波(ウエザークラッ
タ)等、様々な不要波を受信するだけでなく、当該レー
ダ装置14の内部でも雑音が発生する。これらは、レー
ダ指示器16におけるレーダ映像の画質に劣化をもたら
す。そのため、レーダ指示器16の画面から物標に関す
る情報を正確に読み取るには、従来から、使用者がそれ
相応の熟練を積むことが期待されていた。
【0008】レーダの分野で開発されている不要波抑圧
方法は、物標に関する情報が読み取りやすい映像で表示
されるよう、従って使用者に対し従来要求されていた熟
練或いは修練を省略或いは軽減できるよう、レーダビデ
オの品質を改善することを目的とした処理である。従っ
て、この種の不要波抑圧方法は、本質的にはレーダ装置
14にて実行すべき処理手法である。即ち、図1に示し
たシステムでは、展開係数縮退法による処理を施してい
ない信号に基づくレーダ映像と施した信号に基づくレー
ダ映像との対比等の目的で、展開係数縮退法をレーダシ
ステム10ではなくPC20で実行するようにしている
が、本来であれば、レーダシステム10内例えばレーダ
装置14内で展開係数縮退法を実行し、通常のレーダ映
像に代えて又はこれと共に展開係数縮退法による処理の
実行結果を表示等に供するようにするのが望ましい。こ
の点に関しては、後に述べる本発明の好適な実施形態に
おいても同様である。
【0009】図1に示したシステムにおけるレーダ装置
14は、受信信号をA/D変換する手段を有しており、
その結果得られた受信波形データはPC20に供給され
そのメモリ22に格納される。格納に際しては、例え
ば、一方の軸をレンジ、他方の軸を方位とする二次元座
標系をアドレス空間に係る座標系として用いる。これに
よって、メモリ22上には、受信信号の時間又は空間波
形を示す受信波形データが格納される。不要波抑圧回路
24は、例えばPC20内のプロセッサ及びそれにより
実行されるソフトウエアによって、実現される回路であ
り、受信波形データに不要波抑圧のための処理を施す。
出力部26は、PC20の情報出力用周辺機器(例えば
表示器)又はそれに対して不要波抑圧処理後の波形デー
タを出力するための部材(即ちインタフェース)であ
る。
【0010】図2に示したのは、従来における不要波抑
圧回路24の一例である展開係数縮退回路30の機能構
成である。展開係数縮退回路30は、メモリ22に格納
されている受信波形データを読みだしウェーブレット変
換するウェーブレット変換回路32、このウェーブレッ
ト変換により得られるウェーブレット展開係数のうち一
部を縮退させる縮退処理回路34、及びその一部が縮退
したウェーブレット展開係数を逆ウェーブレット変換す
る逆ウェーブレット変換回路36を有している。ウェー
ブレット変換回路32及び逆ウェーブレット変換回路3
6では、基底関数として、同一のマザーウェーブレット
係数を使用している。また、ここでは、直交基底をなす
マザーウェーブレット係数を使用することとしているた
め、逆ウェーブレット変換回路36から得られるデータ
は(展開係数縮退の影響を除けば)ウェーブレット変換
前の受信波形データと同一の波形データに復元される。
【0011】縮退処理回路34は、ウェーブレット変換
回路32によるウェーブレット変換によって得られたウ
ェーブレット展開係数のうち、そのレベル値が所定のし
きい値以下の要素のレベル値を、0に強制置換する。即
ち、そのレベル値がしきい値以下の要素についてはその
レベル値が無視或いは切り捨てされる。図3に示すよう
に、この処理即ち展開係数縮退処理の効果は、希望波に
対して低レベルの不要波の抑圧、という形で現れる。
【0012】即ち、ウェーブレット変換前の受信波形デ
ータは、例えば図3(A)に示すように希望波たる「船
影」の他に、ノイズフロア乃至バックグラウンドを形成
するDC的な不要波や、そのレベルが「船影」に近く従
って「船影」と誤認しやすい比較的高レベルの不要波
や、この種の不要波及び「船影」よりは低レベルである
が画質の劣化をもたらしうる比較的低レベルの不要波等
を、含んでいる。このような受信波形データに展開係数
縮退処理を施すと、図3(B)に示すように、不要波の
うち比較的低レベルの不要波が切り捨て或いは平滑され
る結果となる。展開係数縮退処理が施されていない受信
波形データに基づく表示や、CFAR等が施されただけ
の受信波形データに基づく表示に比べると、展開係数縮
退処理後の波形データに基づく表示の方が、「船影」等
を正しく認識しやすい表示となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、展開係
数縮退処理のみでは、ノイズフロア乃至バックグラウン
ドを形成するDC的な不要波や、そのレベルが「船影」
に近く従って「船影」と誤認しやすい比較的高レベルの
不要波は、さほど抑圧されない。本発明の目的の一つ
は、展開係数縮退法を用いた不要波抑圧方法に更に手順
を追加し、DC的な不要波や比較的高レベルの不要波を
含め、不要波をより好適に抑圧或いは除去できる不要波
抑圧方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明に係る不要波抑圧方法は、その要素の
符号が互いに逆である二種類のマザーウェーブレット係
数を用いて二通りの展開係数縮退後波形データを生成す
ることと、それら二通りの展開係数縮退後波形データの
差を求めることによりDC的及び偶関数的不要波が抑圧
された波形を示す偶関数展開係数抑圧後波形データを発
生させることとを、特徴としている。また、本発明に係
る不要波抑圧方法は、希望波に対して不要波がいずれも
同程度のレベルか或いは低レベルである状況と、逆に希
望波に対して明らかに高レベルの不要波が存在する状況
とで、その好ましい実施形態が異なる。即ち、実施状況
下で発生することが見込まれる不要波の性質、特にその
レベルに応じて、本発明の実施形態を選択或いは変更す
るのが望ましい。
【0015】ここでは、最初に、希望波に対して不要波
が比較的低レベルであり高々希望波と同程度のレベルに
とどまる状況を考える。この状況下において本発明を実
施するのであれば、まず、入力信号の時間又は空間波形
を示すベクトルである共通の入力波形データ(レーダ装
置では受信波形データと呼ぶべきデータ)に、第1マザ
ーウェーブレット係数を用いた展開係数縮退処理と、第
2マザーウェーブレット係数を用いた展開係数縮退処理
とを個々別々に施し、それによって二種類の展開係数縮
退後波形データを生成する。ここで用いる第1及び第2
マザーウェーブレット係数は、いずれも直交基底をなす
マザーウェーブレット係数である。また、第1マザーウ
ェーブレット係数の各要素の符号と第2マザーウェーブ
レット係数の対応する要素の符号とが逆となるよう、こ
れら第1及び第2マザーウェーブレット係数を定めてお
き、又は第1マザーウェーブレット係数の符号反転によ
り第2マザーウェーブレット係数を発生させる。
【0016】更に、これらの展開係数縮退処理により得
られる二種類の展開係数縮退後波形データは、従来技術
における展開係数縮退処理の結果と同様、入力波形デー
タに含まれていた不要波のうち比較的低レベルの不要波
が抑圧・平滑されてはいるが、DC的な不要波がなお残
存している波形を示すデータとなる。そこで、この実施
形態では、これら二種類の展開係数縮退後波形データの
要素同士のレベル差を減算により求める。第1及び第2
マザーウェーブレット係数の各要素の符号が互いに逆で
あるため、不要波のうち奇関数的な不要波はこの減算で
は消去されずに残るものの、DC的な不要波を含め偶関
数的な不要波は消去或いは少なくとも抑圧される。従っ
て、二種類の展開係数縮退後波形データの要素同士のレ
ベル差を求めることにより、DC的な不要波を含めて偶
関数的な不要波が抑圧された波形を示す偶関数展開係数
抑圧後波形データが、得られる。
【0017】次に、希望波に対して明らかに高レベルの
不要波が存在する状況を考える。この状況下において本
発明を実施するのであれば、まず、先に述べた状況と同
様、共通の入力波形データに、第1マザーウェーブレッ
ト係数を用いた展開係数縮退処理と、第2マザーウェー
ブレット係数を用いた展開係数縮退処理とを個々別々に
施す。希望波よりも高レベルの不要波が存在しているた
め、これらの展開係数縮退処理によって得られるのは、
希望波(及び低レベルの不要波)が抑圧・平滑され高レ
ベルの不要波が残存した波形を示す二種類の波形データ
である。これら二種類の展開係数縮退後不要波波形デー
タを用いて希望波の波形を得るため、この実施形態で
は、これら展開係数縮退後不要波波形データ各々と入力
波形データとの要素同士のレベル差を求める。この処理
により、希望波に対して高レベルの不要波(及び低レベ
ルの不要波)が抑圧された波形を示す二種類の展開係数
縮退後波形データが得られる。更に、これら二種類の展
開係数縮退後波形データの要素同士のレベル差を求める
ことにより、DC的不要波(より一般には偶関数的不要
波)が抑圧された波形を示す偶関数展開係数抑圧後波形
データが得られる。
【0018】また、無線信号を繰り返し送信し探知対象
からの反射エコーを受信するレーダ等の装置からのディ
ジタル受信出力に本発明を適用するに際しては、次のよ
うな処理を行うことで比較的高レベルの不要波をより好
適に抑圧できる。
【0019】即ち、ここで取り扱っている受信波形デー
タ中の希望波は探知対象(物標)からの反射エコーを示
している波形であるから、展開係数縮退処理後波形デー
タにおける希望波の現れ方と、偶関数展開係数抑圧後波
形データにおける希望波の現れ方とには、本質的な差は
ない。これに対して、水面反射等により生じ従って一般
に時間的空間的な変動を呈する不要波の現れ方は、展開
係数縮退処理後波形データ中と、偶関数展開係数抑圧後
波形データ中とで、一般に異なる。このことから、展開
係数縮退処理後波形データの任意の要素と偶関数展開係
数抑圧後波形データ中のこれに対応する要素とを比較
し、そのレベル差が所定下限値以上であるならその要素
については(それ以前の処理で抑圧しきれなかった)不
要波と見なす、という取扱が可能であることがわかる。
【0020】そこで、本発明の好ましい実施形態におい
ては、偶関数展開係数抑圧後波形データの要素のうち、
上掲の二種類の展開係数縮退処理後波形データ又はこれ
らのうちいずれかと同じ方法により発生させた第3の展
開係数縮退処理後波形データの対応する要素とのレベル
差が所定値以上である要素については、希望波に対して
又は他の不要波と比較して高レベルの不要波を示すもの
と見なして、その値を0又は実質的に0と見なせる値に
強制的に置換する。これによって、比較的高レベルの不
要波をより好適に抑圧できる。
【0021】更に、上記探知をパルス変調された無線信
号を用いて行う装置からのディジタル受信出力に本発明
を適用するに際しては、二種類の展開係数縮退後波形デ
ータの要素同士のレベル差を求めるのに先立ち、それら
のうち一方を送信パルス幅相当分の要素数だけシフトさ
せるのが望ましい。ここに、送信パルス幅は時間或いは
空間における最小探知限界(分解能)を制約する要因で
ある。従って、二種類の展開係数縮退後波形データの要
素同士のレベル差を求めるための減算によって送信パル
ス幅によるデータの時間的又は空間的広がり乃至にじみ
が減るよう、この減算に先立ちデータをシフトさせるこ
とにより、送信パルス幅による分解能の面での制約を緩
和することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
関し図面に基づき説明する。なお、本発明は図1に示す
環境下で実施することができるため、以下の説明では図
1に示す実施環境を前提とするが、本発明の実施環境は
図1に示した環境に限定されるものではなく、既に述べ
た通りレーダ装置14内で展開係数縮退法による処理を
実行する形態によっても本発明を実施することができる
し、可能であるならばそのようにするのが望ましい。ま
た、本発明は展開係数縮退法による不要波抑圧を必須構
成要件としているため、以下の説明では、図2に示す回
路を前提として説明する。
【0023】図4及び図5に、本発明の第1実施形態に
係る不要波抑圧回路の機能構成を示す。まず、図4に示
すように、本実施形態に係る不要波抑圧回路は、偶関数
抑圧回路40を有している。偶関数抑圧回路40は、図
5に示すように、並列的に設けた2個の展開係数縮退回
路42及び44各々により、受信波形データのウェーブ
レット展開係数のうち一部を縮退させることにより展開
係数縮退後波形データを二種類発生させ、両者の対応要
素毎のレベル差を減算回路46にて求め、その結果得ら
れた偶関数展開係数抑圧後波形データを出力する機能を
有している。また、展開係数縮退回路42及び44の内
部構成及び動作原理は、図2に示した展開係数縮退回路
30と同様である。
【0024】本実施形態では、このように展開係数縮退
法を用いているため、希望波(物標からのエコー)に対
して低レベルの不要波(低レベルのクラッタ)を除去抑
圧できる。更に、展開係数縮退回路42においてウェー
ブレット変換及び逆ウェーブレット変換に用いられ直交
基底をなすマザーウェーブレット係数と、展開係数縮退
回路44においてウェーブレット変換及び逆ウェーブレ
ット変換に用いられ直交基底をなすマザーウェーブレッ
ト係数とを、互いにその各要素の符号が逆のマザーウェ
ーブレット係数としているため、本実施形態では、減算
回路46において両者の差を求めることにより受信波形
データ中の不要波のうち更に偶関数的な波形が抑圧され
た波形データを得ることができる。更に、展開係数縮退
回路44の後段に設けたシフト回路48により、送信パ
ルス幅相当の要素数(サンプル数)分だけ波形データを
巡回シフトさせるようにしているため、送信パルス幅に
よる最小検知幅の制限を緩和し物標の位置等をより正確
に検知できる。
【0025】また、図4に示すように、偶関数抑圧回路
40と並列に第3の展開係数縮退回路50が設けられて
いる。この回路は、偶関数抑圧回路40特にその展開係
数縮退回路42において用いているマザーウェーブレッ
ト係数と同一のマザーウェーブレット係数を用いて受信
波形データをウェーブレット変換、展開係数縮退及び逆
ウェーブレット変換し、その結果得られた波形データを
比較回路60に供給する回路であって、図2に示した展
開係数縮退回路30と同様の動作原理に基づく回路であ
る。更に、偶関数抑圧回路40により得られた波形デー
タは、比較回路60及びスイッチ70に供給される。比
較回路60における比較結果はスイッチ70を制御する
ための信号として使用されており、スイッチ70は比較
回路60による制御の下に偶関数抑圧回路40の出力か
ら高レベル不要波抑圧後波形データを生成して出力す
る。
【0026】より詳細には、比較回路60は、偶関数抑
圧回路40から供給される波形データの各要素のレベル
値と、展開係数縮退回路50から与えられる波形データ
の対応する要素のレベル値とを比較する。両者の差の絶
対値が所定値例えば0.65未満である場合、比較回路
60は、スイッチ70に対して、偶関数抑圧回路40に
よって得られた偶関数展開係数抑圧後波形データを高レ
ベル不要波抑圧後波形データとして出力するよう、指令
する。逆に、偶関数抑圧回路40によって得られる波形
データと展開係数縮退回路50によって得られる波形デ
ータとの対応要素間のレベル差が上記所定値以上である
要素については、当該レベル差が高レベル不要波による
ものであると見なせるため、比較回路60は、偶関数抑
圧回路40によって得られるレベル値に代えて0を出力
すべき旨、スイッチ70に指令する。従って、本実施形
態においては、高レベル不要波をも抑圧できる。
【0027】図6に、本実施形態にて顕著な効果、特に
不要波を抑圧する効果を示す。図6中、(A)に示され
ているのは、ある方位に関する受信波形データの例であ
る。この波形データには、物標の映像(「船影」)を示
すピークに加え、ノイズフロアすなわちDC的不要波、
それに重畳した比較的低レベルの不要波、「船影」と誤
認するおそれもある比較的高レベルの不要波、受信機に
て発生したノイズ等が、含まれている。このような波形
を示す受信波形データを展開係数縮退処理に供すると、
図6(B)に示すように低レベル不要波が平滑された波
形を示す波形データが得られる。しかしながら、この段
階ではなお、DC的不要波や高レベル不要波は残存して
いる。
【0028】図5に示した展開係数縮退回路42及び4
4によって得られる波形データは、図6(B)に示す如
き波形を示すデータである。但し、ウェーブレット変換
及び逆ウェーブレット変換に際して回路42と回路44
では各要素の符号が互いに逆のマザーウェーブレット係
数を用いているため、展開係数縮退回路42及び44に
よって得られる波形データを減算回路46において相互
に減算すると、時間軸又は空間軸上でDC的不要波に代
表されるところの偶関数的な現れ方をする波形が除去抑
圧されることとなる。すなわち、DC的不要波を含め偶
関数的な不要波が抑圧されるため、減算回路46から偶
関数展開係数抑圧後波形データとして得られる波形デー
タは、図6(C)に示すように、DC的不要波等の偶関
数的不要波が抑圧された波形を示すデータとなる。
【0029】また、図6(C)に示す波形に係る波形デ
ータは、図4に示したように、展開係数縮退回路50の
出力に基づきその一部が0に置換される。すなわち、偶
関数抑圧回路40から出力される波形データのうち、展
開係数縮退回路50によって得られる波形データ中の対
応する要素とのレベル差が所定値以上である要素につい
ては、物標あるいは固定障害物からの反射波を示すもの
ではなく、高レベル不要波であるものとみなせるため、
比較回路60及びスイッチ70ではこれを0に置換す
る。これによって、図6(D)に示すように高レベル不
要波も抑圧された波形を示す波形データが生成される。
【0030】なお、図6(D)には、固定的な障害物例
えば「岩礁」による波形はなお残存しているが、これは
移動の有無等により「船影」とは容易に視認分別するこ
とができる。本実施形態を変形し、移動物標を他の物標
とは区別して抽出表示する機能を付加してもよい。ま
た、レーダ装置14内で発生する雑音すなわち受信機ノ
イズについてはなお残存しているが、これは「船影」等
に比べ顕著に低レベルであるため、「船影」の視認に際
して格別支障とはならない。更に、図6では任意のスイ
ープ(方位)についての波形を示したが、本発明に係る
処理は、任意のレンジ(距離)についての波形の処理に
も有効である。また、出力部26による出力の形態とし
て、図6同様の表示形態をとることも可能であるが、3
本の軸のうち1本をスイープ、1本をレンジ、1本をレ
ベルとした三次元表示を行うのがより好ましい。また、
本実施形態により島等の大きな物標からの受信波形デー
タを処理した場合、減算回路46ひいては偶関数抑圧回
路40の出力に海岸線を示すラインが残る。しかしなが
ら、このラインは、その連続性により一般の高レベル不
要波と区別できる。従って、この点に着目して海岸線に
関する情報を得ることもできる。
【0031】図7に、本発明の第2実施形態における偶
関数抑圧回路40の構成を示す。先に図5に示した回路
は「船影」等の希望波に対して顕著に高レベルの不要波
が存在していない場合に好適に使用できる回路であった
が、図7に示す本実施形態の回路は、希望波に対して顕
著に高レベルの不要波が存在する場合に好適に使用でき
る回路である。例えば、同一レンジに属する相隣接した
複数の方位(スイープ)のデータを並べ、不要波を抑圧
しようとする場合には、かかる回路構成が有効となる。
【0032】図7に示す回路においては、展開係数縮退
回路42及び44の後段にそれぞれ減算回路43及び4
5が設けられている。減算回路43及び45は、それぞ
れ、対応する展開係数縮退回路42及び44から得られ
る波形データをそれぞれ受信波形データから減算し、直
接又はシフト回路48を介して減算回路46に供給す
る。すなわち、ここで想定している希望波は一部の不要
波に対して顕著に低レベルであるから、展開係数縮退回
路42又は44による処理を経ると先に示した例におけ
る低レベル不要波と同様に抑圧されてしまうこととなる
ため、本実施形態では、展開係数縮退回路42又は44
の出力を受信波形データから減算することによって、減
算回路46に供給される波形データ中に希望波に係る波
形を残している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施環境の一例を示すブロック図で
ある。
【図2】 展開係数縮退回路の機能構成を示すブロック
図である。
【図3】 展開係数縮退法による不要波抑圧処理の効果
を示す図であり、特に(A)は未処理の受信波形データ
を、(B)は展開係数縮退法による不要波抑圧後の波形
を示す図である。
【図4】 本発明の第1実施形態に係る不要波抑圧回路
の構成を示すブロック図である。
【図5】 本実施形態における偶関数抑圧回路の構成を
示すブロック図である。
【図6】 本実施形態による不要波抑圧効果を示す図で
あり、特に(A)は未処理の受信波形データに係る波形
を、(B)は展開係数縮退法による不要波抑圧後の波形
を、(C)はその符号が互いに逆のマザーウェーブレッ
ト係数を用いた展開係数縮退法による不要波抑圧処理結
果の差に係る波形を、(D)は比較結果に基づく高レベ
ル不要波抑圧後の波形を、それぞれ示す図である。
【図7】 本発明の第2実施形態における偶関数抑圧回
路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 レーダシステム、14 レーダ装置、20 パー
ソナルコンピュータ(PC)、22 メモリ、24 不
要波抑圧回路、26 出力部、30,42,44,50
展開係数縮退回路、32 ウェーブレット変換回路、
34 縮退処理回路、36 逆ウェーブレット変換回
路、43,45,46減算回路、48 シフト回路、6
0 比較回路、70 スイッチ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直交基底をなす第1マザーウェーブレッ
    ト係数を用いたウェーブレット変換により入力信号の時
    間又は空間波形を示すベクトルである入力波形データを
    第1ウェーブレット展開係数へと変換し、第1ウェーブ
    レット展開係数のうち所定レベル以下のものを縮退さ
    せ、しかる後、上記第1ウェーブレット係数を用いた逆
    ウェーブレット変換により第1ウェーブレット展開係数
    を第1展開係数縮退後波形データへと変換するステップ
    と、 上記第1マザーウェーブレット係数に対して要素同士の
    符号が逆の係数である第2マザーウェーブレット係数を
    用いたウェーブレット変換により上記入力波形データを
    第2ウェーブレット展開係数へと変換し、第2ウェーブ
    レット展開係数のうち所定レベル以下のものを縮退さ
    せ、しかる後、上記第2ウェーブレット係数を用いた逆
    ウェーブレット変換により第2ウェーブレット展開係数
    を第2展開係数縮退後波形データへと変換するステップ
    と、 それぞれ希望波に対して低レベルの不要波が抑圧された
    波形を示す上記第1及び第2展開係数縮退後波形データ
    の要素同士のレベル差を求めることにより、DC的及び
    偶関数的不要波が抑圧された波形を示す偶関数展開係数
    抑圧後波形データを発生させるステップと、 を有することを特徴とする不要波抑圧方法。
  2. 【請求項2】 直交基底をなす第1マザーウェーブレッ
    ト係数を用いたウェーブレット変換により入力信号の時
    間又は空間波形を示すベクトルである入力波形データを
    第1ウェーブレット展開係数へと変換し、第1ウェーブ
    レット展開係数のうち所定レベル以下のものを縮退さ
    せ、しかる後、上記第1ウェーブレット係数を用いた逆
    ウェーブレット変換により第1ウェーブレット展開係数
    を第1展開係数縮退後不要波波形データへと変換するス
    テップと、 上記第1マザーウェーブレット係数に対して要素同士の
    符号が逆の係数である第2マザーウェーブレット係数を
    用いたウェーブレット変換により上記入力波形データを
    第2ウェーブレット展開係数へと変換し、第2ウェーブ
    レット展開係数のうち所定レベル以下のものを縮退さ
    せ、しかる後、上記第2ウェーブレット係数を用いた逆
    ウェーブレット変換により第2ウェーブレット展開係数
    を第2展開係数縮退後不要波波形データへと変換するス
    テップと、 それぞれ不要波に対して低レベルの希望波が抑圧された
    波形を示す上記第1及び第2展開係数縮退後不要波波形
    データ各々と上記入力波形データとの要素同士のレベル
    差を求めることにより、希望波に対して高レベルの不要
    波が抑圧された波形を示す第1及び第2展開係数縮退後
    波形データを発生させるステップと、 上記第1及び第2展開係数縮退後波形データの要素同士
    のレベル差を求めることにより、DC的及び偶関数的不
    要波が抑圧された波形を示す偶関数展開係数抑圧後波形
    データを発生させるステップと、 を有することを特徴とする不要波抑圧方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の不要波抑圧方法で
    あって、無線信号を繰り返し送信し探知対象からの反射
    エコーを受信する装置からのディジタル受信出力を、上
    記入力波形データとして処理に供する不要波抑圧方法に
    おいて、 上記偶関数展開係数抑圧後波形データの要素のうち、上
    記第1若しくは第2展開係数縮退処理後波形データ又は
    これらのうちいずれかと同じ方法により発生させた第3
    展開係数縮退処理後波形データの対応する要素とのレベ
    ル差が所定値以上である要素については、希望波に対し
    て又は他の不要波と比較して高レベルの不要波を示すも
    のと見なして、その値を0又は実質的に0と見なせる値
    に強制的に置換することを特徴とする不要波抑圧方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか記載の不要波
    抑圧方法であって、パルス変調された無線信号を繰り返
    し送信し探知対象からの反射エコーを受信する装置から
    のディジタル受信出力を、上記入力波形データとして処
    理に供する不要波抑圧方法において、 上記第1及び第2展開係数縮退後波形データの要素同士
    のレベル差を求めるのに先立ち、それら第1及び第2展
    開係数縮退後波形データのうち一方を送信パルス幅相当
    分の要素数だけシフトさせることを特徴とする不要波抑
    圧方法。
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