JP2002166819A - エアバッグ - Google Patents

エアバッグ

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JP2002166819A
JP2002166819A JP2000366004A JP2000366004A JP2002166819A JP 2002166819 A JP2002166819 A JP 2002166819A JP 2000366004 A JP2000366004 A JP 2000366004A JP 2000366004 A JP2000366004 A JP 2000366004A JP 2002166819 A JP2002166819 A JP 2002166819A
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airbag
base cloth
base
gas
exhaust port
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Katsumi Ishikawa
克巳 石川
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Nihon Plast Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアバッグの展開特性を向上する。 【解決手段】 外殻を構成する第1の基布21と第2の基
布22との間に、第1及び第2の基布21,22より小さい第
3の基布23を配置する。第3の基布23は、第1の基布21
に形成したガス導入口28を覆い、4カ所の円環状の接合
部33で第1の基布21に縫い付け、これら接合部33同士の
間をガスが流れる流通路34とする。2カ所の接合部33に
囲まれた部分に、エアバッグ1の外側に開口する排気口
35を形成する。第3の基布23と第2の基布22とを、吊り
紐41で連結する。吊り紐41の基点43aは、接合部33同士
の間の流通路34に臨んだ部分に配置する。吊り紐41は、
エアバッグ1の突出寸法を規制するとともに、流通路34
を拡開させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、車両のス
テアリングホイールに備えられるエアバッグに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、自動車のステアリングホ
イールのボス部に備えられ、ガスの流入により袋状のエ
アバッグを膨出させ、乗員に加わる衝突の衝撃を緩和す
る運転席用のエアバッグ装置が用いられている。そし
て、このエアバッグ装置に用いられるエアバッグは、2
枚の円形のナイロン製の織布である基布の外周同士を縫
い合わせ、偏平な袋状に形成されている。また、このエ
アバッグは、車体側の基布にガス導入孔を形成し、この
ガス導入孔からガスが導入されるとともに、このガス導
入孔の周囲がステアリングホイール本体に固定され、小
さく折り畳まれて収納されている。そして、インフレー
タの作動時には、このインフレータから噴射されたガス
の圧力により乗員側へ膨出し、前方に投げ出された乗員
を受け止めて拘束し、衝撃を緩和するようになってい
る。
【0003】そして、このようなエアバッグは、例え
ば、乗員が、ステアリングホイールに上体が近接するよ
うな極端な前傾姿勢をとった状態(Out of position 、
OOPと略記)で着座したときにエアバッグ装置が作動
した場合を想定したときの、被保護物に加わる圧力を緩
和して、偏平に広く展開することが求められ、例えば、
特開平7−149199号公報に記載されているよう
に、袋の内側に、ガスの流れを外周側に向かって制御す
る布を設けた構成が知られている。すなわち、この構成
では、反乗員側、すなわち車体側でありインフレータ側
である基布と乗員側の基布とで形成した外殻の内側に、
ガス導入孔を覆って円形状の内側布を配置し、この内側
布の外周部に沿った複数カ所で車体側の基布に縫製し、
この縫製部分の間から、ガスをエアバッグ内に流入させ
ている。また、この構成では、エアバッグ内のガスを排
気する通孔であるベントホールは、内側布の外周側に位
置して、車体側の基布に形成されている。
【0004】しかしながら、この特開平7−14919
9号公報記載の構成では、内側布を設けたため、ベント
ホールの位置は制限され、すなわち、インフレータの直
近にベントホールを配置すると、大量のガスが展開に寄
与せずにエアバッグ外に排気され、インフレータの大容
量化、展開速度の低下を招くため、ベントホールは、内
側布の外周側で、支持点となる取付部から離れた位置に
配置することになる。そして、このように内側布の外周
側にベントホールを配置する構成では、ステアリングホ
イールのボス部に装着したエアバッグ装置が展開する過
程において、ベントホールが環状のリム部(把持部)に
重なり、あるいはリム部より外周側に位置することにな
る。そして、このようにベントホールが外周側に位置す
ると、ベントホールから排気されるガスの乗員への影響
が考えられ、インフレータから供給されるガスの冷却手
段、あるいは比較的低温のガスを発生するインフレータ
の採用を考慮する必要が生じ、製造コストの低減が困難
になる。また、ベントホールが外周側に位置する構成で
は、エアバッグの展開の際にベントホールが反乗員側に
確実に向いて乗員への緩衝と所定の調圧作用を確保でき
るようにエアバッグの折り畳み方法を考慮する必要があ
る。この点、エアバッグは柔らかいため、支持点となる
取付部から離れた外周部に設けたベントホールの位置の
安定は困難となる。
【0005】さらに、内側布は、所定以上の寸法を有さ
ないとガスの流れを変える作用が得られないが、内側布
は、外周部が反乗員側の基布に縫製され、ガスの流入時
には中央部が乗員側に膨出するため、所定以上の寸法と
なると、中央部が乗員側に大きく膨出し、乗員に対する
圧力の問題を生じる問題を有している。
【0006】また、例えば、特開平10−152009
号公報に記載されたエアバッグが知られている。そし
て、この公報記載の構成では、内側布により、インフレ
ータが直接にガスを吹き込む分室と、この分室に連結さ
れエアバッグ内部空間の主要部を構成する分室とが形成
され、さらに、つり紐により、エアバッグの乗員側への
展開寸法を規制している。
【0007】しかしながら、この特開平10−1520
09号公報記載の構成では、エアバッグ内のガスを排気
するベントホールは図示も言及もされておらず、上記特
開平7−149199号公報記載の構成と同様の問題を
有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、エアバ
ッグの外殻内に基布を設けた構成において、展開特性を
容易に向上できる構成が求められている。
【0009】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、製造コストを低減でき、展開特性を容易に向上で
きるエアバッグ及びエアバッグの折畳方法を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のエアバッ
グは、支持部材に取り付けられる取付部及びガスが導入
されるガス導入部を設けた第1の基布と、この第1の基
布の被保護物側に重ねられ外周部が接合されて前記第1
の基布とともに袋体の外殻を構成する第2の基布と、前
記第1及び第2の基布間に配置され、前記ガス導入部の
被保護物側を覆って配置され、接合部により第1の基布
に接合された第3の基布と、前記第1及び第3の基布同
士の間に位置し、前記ガス導入部側から外周側に連通す
る流通路と、前記接合部に囲まれ、前記第3の基布の被
保護物側から前記第1の基布の反被保護物側に連通する
排気口と、前記接合部から離間し、前記流通路に臨む基
点にて一端が前記第3の基布に連結され、他端が前記第
2の基布に連結されて、これら第2及び第3の基布同士
の間の離間距離を規制する連結手段とを具備したもので
ある。
【0011】そして、この構成では、ガス導入部からガ
スが導入されると、このガスは、第3の基布に案内さ
れ、流通路を通ってエアバッグの外周側に供給され、偏
平に展開して被保護物側に向かって加わる圧力が抑制さ
れ、展開特性が良好になり、例えば、エアバッグに極め
て近接した被保護物に対する圧力の緩和が容易になる。
この間、ガスは排気口を越えて流れず、ガスが有効に利
用される。さらに、エアバッグの外周側に供給されたガ
スは、エアバッグの中心側に供給され、排気口から反保
護物側に排気される。そして、この排気口は、接合部に
囲まれて形成したので、第3の基布の被保護物側から第
1の基布の反被保護物側に連通し、かつ、ガス導入部に
近接して配置する構成が容易に可能になる。そこで、排
気口の位置を反被保護物側に向けて安定して保持するこ
とが可能になる。さらに、この構成では、乗員側の基布
と他の基布とを連結する連結手段を備えたため、エアバ
ッグの乗員側に向かう突出量を規制し、好適な展開形状
が容易かつ安定して得られる。また、展開初期には、第
3の基布のガスの案内によりエアバッグの外周部を膨張
させ、連結手段の作用を伴わずに偏平な中間形状を得、
この中間形状の後、連結手段が張力を生じて突出量を規
制することにより、良好な展開特性が容易に得られる。
さらに、連結手段は、接合部から隔離し流通路に臨む基
点にて一端が第3の基布に連結され、他端が第2の基布
に連結されてエアバッグの膨張高さを規制するので、折
り畳んだエアバッグにガスを導入して展開させる際に、
連結手段が展張された状態で、この連結手段が流通路を
拡開させるとともに、第3の基布を介して第1の基布と
第2の基布とを連結しているため、張力を分散し、応力
集中を緩和して、基布が保護される。さらに、このよう
に連結手段が展張された状態では、基点が第2の基布側
に移動するため、所定のエアバッグの突出寸法を確保す
るための連結手段の長さ寸法を短くすることが可能にな
り、エアバッグの外殻内に配置される基布部品の嵩が低
減され、エアバッグを小さく折り畳み収納可能になる。
【0012】請求項2記載のエアバッグは、請求項1記
載のエアバッグにおいて、連結手段は、少なくとも一部
が流通路を挿通して配置されるものである。
【0013】そして、この構成では、連結手段が展張さ
れた状態で、連結手段が第3の基布に摺接などしながら
流通路内を適当な位置に移動して応力の集中が抑制さ
れ、基布が保護される。
【0014】請求項3記載のエアバッグは、請求項1ま
たは2記載のエアバッグにおいて、連結手段は、排気口
を実質的に閉塞可能な幅寸法のベルト部を備え、このベ
ルト部は、前記各基布を折り畳む際に、前記排気口の少
なくとも一部を覆うように折り畳まれたものである。
【0015】そして、この構成では、折り畳んだエアバ
ッグにガスを導入して展開させる際には、展開初期に
は、この連結手段が排気口の一部あるいは全部を覆って
ガスが排気口から流出することを実質的に抑制し、膨張
用のガスをエアバッグの膨張に有効に利用して好適な展
開特性を容易に実現できる。また、連結手段が張り伸ば
された状態では、連結手段が排気口から離れて排気能力
を発揮させるとの排気特性の調整が可能になり、エアバ
ッグが効率良く膨張展開する。また、このような排気口
の調圧作用を複雑な制御装置を用いずに実現可能にな
り、製造コストが低減される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明のエアバッグ及びエ
アバッグの折畳方法の一実施の形態を図面を参照して説
明する。
【0017】図1ないし図4において、1はエアバッグ
で、このエアバッグ1は、図2及び図3に一部を示すエ
アバッグ装置2を構成している。そして、このエアバッ
グ装置2は、図2に示す車両としての自動車のステアリ
ングホイール3の被取付部材としてのステアリングホイ
ール本体4に装着され、図3に示す被保護物である乗員
Aを衝突の衝撃から保護するようになっている。なお、
ステアリングホイール本体4は、通常、傾斜したステア
リングシャフトに取り付けられ、傾斜した状態で用いら
れるものであるが、以下、エアバッグ装置2が取り付け
られた被保護物側を乗員側、上側、あるいは表側とし、
反被保護物側すなわち乗員側の反対側を車体側、下側、
あるいは裏側とし、車両の前側上方すなわちフロントガ
ラス側を前側とし、車両の後側下方を後側として説明す
る。
【0018】そして、ステアリングホイール本体4は、
グリップ部あるいはリング部とも呼ばれる把持部として
の円環状をなすリム部5と、このリム部5の内側に位置
するボス部6と、これらリム部5とボス部6とを連結す
る複数本、例えば3本あるいは4本のスポーク部7とを
備えており、ボス部6に備えたボス6aに、図示しないス
テアリングシャフトが嵌着して固定される。
【0019】また、エアバッグ装置2は、支持部材を構
成するベースプレート11と、このベースプレート11に取
り付けられるエアバッグ1、インフレータ12、リテーナ
14、およびカバー体15となどから構成されている。
【0020】そして、ベースプレート11は、金属板をプ
レス成形などして形成され、平面略矩形状をなす基板部
と、この基板部の外周部から下方に折曲された周板部と
が一体に形成されている。そして、基板部には、略中央
部に位置して、円孔状のインフレータ取付孔が形成され
ているとともに、このインフレータ取付孔の周囲に位置
して、複数、例えば4カ所にボルト取付孔が形成されて
いる。また、周板部には、取付片部が形成され、この取
付片部が、ステアリングホイール本体4のボス部6の芯
金などに取り付けられている。
【0021】また、インフレータ12は、図2などに示す
ように、略円柱状をなす本体部12aを備え、この本体部1
2aの外周部からフランジ部12bが突設されているととも
に、このフランジ部12bの上側に位置して、ガスを噴射
するガス噴射口12cが外周側に向かって複数放射状に配
置されている。また、フランジ部12bには、ベースプレ
ート11のボルト取付孔に連通するボルト取付孔が形成さ
れている。
【0022】また、リテーナ14は、環状などをなすリテ
ーナ本体を備え、このリテーナ本体には、各ボルト取付
孔に挿入される取付ボルトが下方に向かって一体に固着
されている。
【0023】また、カバー体15は、合成樹脂により一体
に形成され、ステアリングホイール本体4のボス部6お
よびスポーク部7の一部を覆う曲面状の被覆部15aと、
この被覆部15aの下面から下方に突設された角筒状の取
付壁部15bとを備えている。そして、これら被覆部15aの
下側と取付壁部15bとの内側とに囲まれた部分がエアバ
ッグ1の収納空間になっている。また、取付壁部15b
は、ベースプレート11の周板部の外周部に嵌合し、係合
するとともに、ベルトを締め付けあるいは複数のリベッ
トを用いるなどして固着されている。さらに、エアバッ
グ1の収納空間に面して、被覆部15aの下面に平面略H
字状などをなして脆弱なテアラインが形成され、エアバ
ッグ1の展開時にこのテアラインが破断して、回動して
開く扉部20が形成されるようになっている。
【0024】また、エアバッグ1は、図1ないし図4に
示すように、それぞれ円形状をなす車体側の第1の基布
21及び乗員側に対向する第2の基布22と、これら基布2
1,22が構成する外殻内に配置される小径の円形状をな
した第3の基布23とを備えている。そして、これら基布
21,22,23は、プレート(下プレート部、上プレート
部、中プレート部)あるいはパネル(裏パネル、表パネ
ル、中央パネル)などとも呼ばれるもので、例えばナイ
ロン製の織布で、本実施の形態では、それぞれ66ナイ
ロン繊維の織布、350dtexの糸を用い、打ち込み本数
は縦横(経方向・緯方向)とも1cmあたり24.4本(6
2本/インチ)で、樹脂などによる被覆がなされていない
いわゆるノンコートタイプの基布を用いている。
【0025】そして、ベースプレート11に固定される第
1の基布21と乗員に対向する第2の基布22とは、重ねら
れた状態で外周部の周縁部24の全周を二重環縫の2列の
ステッチで外周縫製部24aに沿って一体的に縫い合わさ
れ、内外を反転して縫い代である耳を内側に向けた状態
で、第1の基布21と第2の基布22とにより、偏平な袋状
の外殻が形成されている。なお、本実施の形態では、外
周縫製部24aに使用する縫糸は、ナイロン66製の糸
で、上糸は、1395dtex(1260デニール)下糸は、
930dtex(840デニール)であり、運針数は、3.5
針/cmとなっている。
【0026】そして、下側に位置しベースプレート11に
固定される第1の基布21には、中央部に位置して、イン
フレータ12の本体部12aが挿入されるガス導入部として
のインフレータ挿入口であるガス導入口28が開口形成さ
れているとともに、このガス導入口28の周囲に位置し、
リテーナ14の取付ボルトが挿入されるバッグ固定用孔で
ある円孔状のボルト取付孔29が形成され、これらボルト
取付孔29を含み、ガス導入口28を囲む円環状の取付部30
が構成されている。
【0027】また、第3の基布23は、ガス規制パネルと
も呼び得るもので、第1及び第2の基布21,22より径寸
法が小さい円形状のパネル部23aを備え、このパネル部2
3aは、例えば、第1及び第2の基布21,22の半径寸法の
1/2より若干大きい半径寸法を有し、第1及び第2の
基布21,22と同心状をなし、ガス導入口28及びこのガス
導入口28の周辺部を覆うように配置されている。さら
に、この第3の基布23は、この第3の基布23の外周部近
傍の複数カ所、本実施の形態では円周上に等間隔で配置
された4カ所で、接合部33のみにより第1の基布21に縫
合などして接合されている。そして、本実施の形態で
は、各接合部33は、円形状をなす2列のステッチすなわ
ち二重の縫い線によりほぼ気密に構成され、ガス導入口
28を囲むようにして、ほぼ等間隔でいわば放射状に配置
されている。なお、外周縫製部24a以外の縫いパターン
は、本縫いを用いている。その他の縫い条件、すなわち
使用糸及び運針数については、上記の外周縫製部24aの
縫い条件と共通である。
【0028】そして、これら接合部33同士の間の部分で
ある、第3の基布23の外周部と第1の基布21との間が、
ガス導入口28から導入されたガスが外周側に通過可能な
流通路34となり、この流通路34の上流側となる第1の基
布21と第3の基布23との間が第1の分室B1となり、この
流通路34の下流側となる第1の基布21及び第3の基布23
と第2の基布22との間が第2の分室B2となる。
【0029】さらに、これら接合部33の少なくとも1カ
所、すなわち1カ所あるいは複数カ所には、本実施の形
態では互いに隣り合う2カ所で、接合部33内に位置し
て、排気部としての排気口(ベントホール)35が開口し
て形成されている。すなわち、この排気口35は、第3の
基布23の下面すなわち第1の分室B1ではエアバッグ1内
外を連通せず、第3の基布23の上面である乗員側すなわ
ち第2の分室B2と、エアバッグ1外の下面すなわち反乗
員側とを連通させている。
【0030】さらに、このエアバッグ1には、複数ある
いは単数の、本実施の形態では2本の連結手段としての
テザーベルトとも呼ばれる吊り紐41が設けられ、この吊
り紐41により、第3の基布23と第2の基布22とが連結さ
れている。そして、この吊り紐41は、所定の幅寸法のベ
ルト状すなわち帯状のベルト部42を備え、このベルト部
42は、第3の基布23の複数カ所例えば2カ所から直径方
向に一体に延設された下ベルト部43と、上ベルト部材45
の取付部であるパッチ部46の複数カ所例えば2カ所から
直径方向に一体に延設された上ベルト部47とを接合して
構成されている。そして、各下ベルト部43の基端である
基点43aは、それぞれ流通路34の略中央部から外周側に
延設される位置に設けられ、すなわち、接合部33同士の
間に位置して設けられ、さらに、本実施の形態では、排
気口35を設けた接合部33と排気口35を設けていない接合
部33との間に位置して設けられている。
【0031】また、上ベルト部材45は、例えば他の基布
と同一の材質で、パッチ部46は、平面円形状をなし、第
2の基布22の円形の中心部分に縫着されている。また、
下ベルト部43と上ベルト部47とは、先端部の端末を互い
に重ねて縫い合わせて接合されている。
【0032】そして、このエアバッグ装置2の組み立て
の際は、ガス導入口28からエアバッグ1の内側にリテー
ナ14を挿入し、取付ボルトをエアバッグ1およびベース
プレート11のボルト取付孔29から引き出す。そして、エ
アバッグ1を花弁状など所定の形状に折り畳み、上側か
らカバー体15を被せて嵌合する。さらに、ベースプレー
ト11のインフレータ取付孔およびエアバッグ1のガス導
入口28を介して、インフレータ12の上側部をエアバッグ
1の内側に下側から挿入するとともに、取付ボルトをフ
ランジ部12bのボルト取付孔に挿入し、下側からナット
で締め付ける。この状態で、リテーナ14とインフレータ
12との間にエアバッグ1の第1の基布21とベースプレー
ト11とが共締めされ、すなわち、これら部材12,14,2
1,11が一括してナットにより固定され、エアバッグ装
置2が組み立てられる。
【0033】そして、このエアバッグ装置2は、ベース
プレート11に設けた取付片部を、ボルトなどを用いてス
テアリングホイール本体4のボス部6の芯金に固定し、
ステアリングホイール3に装着される。
【0034】そして、このエアバッグ装置2を備えた自
動車に衝突の衝撃が加わると、図示しない制御ユニット
により、インフレータ12が起動され、インフレータ12の
ガス噴射口12cからエアバッグ1内に急速にガスが噴射
される。すると、エアバッグ1は、カバー体15をテアラ
インに沿って破断して扉部20を回動させて突出口を形成
し、この突出口を介して膨出し、乗員Aの前方に所定の
形状に膨出して、前方に投げ出されてくる乗員Aを受け
止めて拘束し、乗員Aに加わる衝撃を緩和するようにな
っている。
【0035】次に、エアバッグ1の折り畳み状態及びエ
アバッグ1が膨出する際の動作(展開プロセス)を詳細に
説明する。なお、図3では、エアバッグ1、インフレー
タ12、リテーナ14、ベースプレート11、及びカバー体15
のみが図示されている。
【0036】まず、エアバッグ1を折り畳む際は、全体
が平板状になるように、第1及び第2の基布21,22と第
3の基布23のパネル部23aとを重ね合わせる。そして、
エアバッグ1を外周部から中心部に押圧して波状に集積
し、また、エアバッグ1を回転させて集積した部分の周
囲に巻き付けるなどして、カバー体15に収納可能な形状
とする。
【0037】次に、エアバッグ1の展開過程を図3など
を参照して説明する。なお、図3において、白抜きの矢
印はガスの流れを模式的に示している。また矢印Cは上
下方向、矢印Dはこの上下方向と直交する水平方向を示
している。
【0038】図3(a)は、エアバッグ1がカバー体15の
所定の弱部であるテアラインを破断し扉部20を開いた直
後の状態を示している。まず、インフレータ12から噴射
されたガスは、エアバッグ1内の第3の基布23により、
この第3の基布23の下側に放射方向に向かって導入され
る。このとき、第3の基布23は、ガス導入口28を囲んで
配置された複数の接合部33で第1の基布21に連結され、
第1の基布21はベースプレート11に固定されているた
め、第3の基布23は若干乗員側に膨出する状態で保持さ
れ、すなわち、高さが低く保持され、流通路34を介し
て、エアバッグ1の外周部にガスが導入され、水平方向
に偏平に展開する。すなわち、この状態では、吊り紐41
には、全く張力が作用せず、専ら第3の基布23により水
平方向のフローが生じるため、エアバッグ1の中央の部
分は正面側に向かって高さをほとんど増加しない。
【0039】次いで、図3(b)は、さらに展開が進んだ
状態であり、ガスは周縁部24近傍で立体的に反転し、エ
アバッグ1の外周部は上方に膨張するものの、中央部分
はあまり高さを増加しない。そして、この状態において
も、吊り紐41は延びておらず、吊り紐41の長さ寸法に対
して、エアバッグ1の中央部の高さは低い状態となって
いる。
【0040】次いで、図3(c)及び図2はさらに展開が
進んだ状態であり、いわばフル展開の状態を示してい
る。エアバッグ1の特に第2の基布22を外周部から膨出
させたガスは、さらに、第2の分室B2の中央部に導入さ
れて、エアバッグ1全体を所定の形状に膨出させる。そ
して、この状態の直前で、吊り紐41が正面側に引っ張ら
れ、下ベルト部43の付け根である基点43aから、この基
点43a付近のパネル部23aを正面側に持ち上げ、接合部33
間の第3の基布23が放射方向に開かれ、流通路34すなわ
ちガスの通路が拡大する。すなわち、吊り紐41が接合部
33間の流通路34を拡開させる。そして、図3(c)に示す
ように、この後に吊り紐41に張力が作用して張った状態
となり、エアバッグ1の中央部の高さを規制する。
【0041】また、このようにエアバッグ1が展開した
状態でも、インフレータ12から供給されるガスが各接合
部33のインフレータ12側の面に当たるが、吊り紐41が接
合部33から離れた場所にあるため、第3の基布23の変形
で引っ張られる際の衝撃を緩和し、複数の接合部33で衝
撃を分担して強度を得ている。
【0042】さらに、このようにエアバッグ1が展開し
た状態では、吊り紐41が取り付けられている第3の基布
23のカ所と下ベルト部43の付け根である基点43aは正面
側に移動しており、従って、比較的短い吊り紐41であっ
ても、被保護物である乗員Aに対するエアバッグ1の突
出高さを所定の寸法にでき、高さ寸法の過剰や不足を防
止できる。なお、この吊り紐41が規制する突出寸法は、
例えば、米国の車両衝突安全基準であるFMVSS20
8の規定を考慮して設定することができる。
【0043】図3(d)は、図3(c)の直後の状態であり、
乗員Aがエアバッグ1により受け止められ、反乗員側に
連通した排気口35を介してガスが排出される。すなわ
ち、エアバッグ1の第1の分室B1は外部には直結せず、
展開過程で第1の分室B1から外部にガスが洩れることは
なく、第2の分室B2を経由したガスはエアバッグ1のほ
ぼ全体を膨張させるように作用した後、乗員Aの当接に
伴ってエアバッグ1の外部に直結する排気口35からガス
を放出し、乗員Aの受ける衝撃を緩和するように拘束す
る。
【0044】このように、本実施の形態のエアバッグ及
びエアバッグの折畳方法によれば、外殻を構成する第1
及び第2の基布21,22の内側にこれら基布21,22より小
さい第3の基布23を配置して第1の分室B1と第2の分室
B2とを区画したいわゆる2.5層タイプのエアバッグ1
において、ガス導入部28からガスが導入されると、この
ガスは、第3の基布23に案内され、流通路34を通ってエ
アバッグ1の外周側に供給され、偏平に展開して乗員A
側に向かって加わる圧力を抑制し、展開特性を良好にで
き、例えば、エアバッグ1に極めて近接した乗員Aに対
する圧力を容易に緩和できる。この間、ガスは排気口35
を越えて流れず、ガスを有効に利用できる。さらに、エ
アバッグ1の外周側に供給されたガスは、エアバッグ1
の中心側に供給され、排気口35から反乗員A側に排気で
きる。そして、この排気口35は、接合部33に囲まれて形
成したため、第3の基布23の乗員A側から第1の基布21
の反乗員A側に連通し、かつ、ガス導入部28に近接して
配置する構成を容易に実現できる。そこで、排気口35の
位置を反乗員A側に向けて安定して保持できる。
【0045】さらに、本実施の形態では、乗員A側の基
布と他の基布とを連結する吊り紐41を備えたため、エア
バッグ1の乗員A側に向かう突出量を規制し、好適な展
開形状を容易かつ安定して実現できる。また、展開初期
には、第3の基布23のガスの案内によりエアバッグ1の
外周部を膨張させ、吊り紐41の作用を伴わずに偏平な中
間形状を得、この中間形状の後、吊り紐41が張力を生じ
て突出量を規制することにより、良好な展開特性を容易
に実現できる。
【0046】このように、いわゆる2.5層タイプのエ
アバッグにおいて、外殻内に配置した第3の基布23及び
吊り紐41により、所望の展開特性、すなわち、エアバッ
グ1を外周側に迅速に展開させてこの後に中央部を膨出
させるとの展開動作を容易に実現できる。そこで、例え
ば、ステアリングホイール3すなわちエアバッグ1に極
めて近接した乗員Aに対する圧力を容易に緩和でき、い
わゆるOOP対策として有効である。
【0047】さらに、吊り紐41は、接合部33から隔離し
流通路34に臨む基点43aにて一端が第3の基布23に連結
され、他端が第2の基布22に連結されてエアバッグ1の
膨張高さを規制するため、折り畳んだエアバッグ1にガ
スを導入して展開させる際に、吊り紐41が展張された状
態で、この吊り紐41が流通路34を拡開させるとともに、
第3の基布23を介して第1の基布21と第2の基布22とを
連結しているため、張力を分散し、応力集中を緩和し
て、基布を保護できる。さらに、このように吊り紐41が
展張された状態では、基点43aが第2の基布22側に移動
するため、エアバッグ1の所定の突出寸法を確保するた
めの吊り紐41の長さ寸法を短くすることが可能になり、
エアバッグ1の外殻内に配置される基布部品の嵩を低減
して、エアバッグ1を小さく折り畳み収納できる。
【0048】また、第3の基布23は、第1及び第2の基
布21,22より外形を小さくし、すなわち本実施の形態の
ように各基布が円形の場合には径寸法を小さくしたた
め、第3の基布23の周縁部とエアバッグ1の外殻形状に
おける周縁部24との間で容易にガス通路である流通路34
を容易に形成できる。さらに、本実施の形態の2.5層
のエアバッグ1では、さらに、外殻を構成する基布と同
じ大きさの基布を用いて複数の分室を区画形成する構成
に比べて、例えば、3枚の基布を用いたいわゆる3層バ
ックの場合は、3枚の基布を一括して縫合する必要が有
り、位置合せが煩雑であってミシン縫いが難しくなる、
縫合部が粗硬になる、袋の反転が困難になるなどの問題
があるのに対し、第1の基布21と第3の基布23とを縫い
合わせ、また、第1の基布21と第2の基布22とを縫い合
わせることにより、第1の基布21と第2の基布22とを縫
い合わせた縫いしろ(外周の耳)を反転して外殻の内側に
向ける作業も容易にでき、エアバッグ1を容易に製造で
きる。
【0049】さらに、第3の基布23が小さくなること
で、基布使用量が減ってコストが下がり、折り畳んだと
きの嵩を小さくでき、また、3枚重ねよりも、2枚重ね
の方がしなやかな動きをするので折り畳み易く、自動折
りの波形の形成も容易にできる。さらに、第3の基布23
が小さくなることで、軽量化及び小さな折り畳み形状を
実現でき、さらにエアバッグ1の製造あるいは製造した
エアバッグ1のエアバッグ装置2への組み込み作業が容
易になり、エアバッグ装置2の製造コストを低減でき
る。
【0050】そして、インフレータ12から噴射されたガ
スは、エアバッグ1内で長い距離を流れ冷却された状態
で、反乗員側に向かって、第3の基布23に引っ張られて
くぼんだ状態の排気口35からエアバッグ1外に排出され
るため、初期温度が比較的高温のガスを噴射するインフ
レータ12をも使用でき、インフレータタイプの選択範囲
が拡大し低コストのインフレータの適用可能性と、排気
口35周辺部などに厳重な熱対策を施すことを要しないた
めに、製造コストを低減できる。
【0051】また、吊り紐41の少なくとも一部を第3の
基布23に一体に形成したため、部品点数を削減し、コス
トを低減できる。
【0052】また、接合部33は、縫製により環状に形成
したため、この接合部33の内側に孔を位置させるのみ
で、第3の基布23の乗員側から反乗員側に連通する排気
口35を容易に形成でき、構成を簡略化して、製造コスト
を低減できる。
【0053】さらに、接合部33は、円環状に形成し、す
なわち、少なくともガス導入口28に向かう縁辺を凸形の
滑らかな曲線としたため、例えばガス導入口28に向かう
凹形とした構成などに比べて、ガスを対流させずに流通
路34に円滑に案内でき、ガスの圧力を効率よく利用で
き、また、滑らかな曲線としたため、エアバッグ1の展
開時の応力の集中を防ぎ、接合部33を構成するステッチ
の機械的、熱的強度を必要以上に高める必要がなく、製
造コストを低減できる。
【0054】なお、上記の実施の形態では、連結手段で
ある吊り紐41は、第3の基布23のパネル部23aの外周部
から一部を一体に延設し、吊り紐41の基点43aは接合部3
3の外周側に位置して設けたが、この構成に限られず、
連結手段を第3の基布とは別体に形成し、また、基点の
位置も適宜設定することができる。
【0055】例えば、図5に示すように、第3の基布23
とは別体に形成した下ベルト部材53を用い、この下ベル
ト部材53を第3の基布23のパネル部23aの接合部33の内
周側に位置して縫い付け、この下ベルト部材53と上ベル
ト部材45とで吊り紐41を構成することができる。そし
て、このこように接合部33の内周側に吊り紐41を取り付
け、すなわち、基点53aを設定することにより、吊り紐4
1に加わる張力を第3の基布23の広い面積で緩衝し、容
易に基布を保護することができる。
【0056】なお、吊り紐41を、下ベルト部材53と上ベ
ルト部材45との2部材で構成し、中間点55で連結してい
るのは、この中間点55で吊り紐41を分割した状態で、エ
アバッグ1の他の部分を縫合し、エアバッグ1の内外を
反転させた後に中間点55を縫い合わせることにより、第
1の基布21と第2の基布22とを縫い合わせた縫いしろ
(外周の耳)を反転して外殻の内側に向ける作業も容易に
でき、エアバッグ1の外観を良好にできるためである。
【0057】また、連結手段である吊り紐41は、第3の
基布23に縫合などして相対的に移動しないように固着す
る他、第3の基布23に対して相対的に移動可能に配置す
ることもできる。
【0058】例えば、図6に示すように、他端を第2の
基布22に縫合などして取り付けた吊り紐41を、接合部33
間の流通路34を挿通させた上で、一端である基点61を第
1の基布21あるいは第3の基布23の中央部近傍に縫合な
どして固定することもできる。
【0059】また、例えば、図7に示すように、他端を
第2の基布22に縫合などして取り付けた吊り紐41の一方
を、対向する流通路34,34を挿通させた上で、他方の先
端部63に連結し、第3の基布23に対して固定されていな
い環状とすることもできる。
【0060】そして、これらの構成によれば、吊り紐41
を、エアバッグ1の展開時に張力が加わった際に、接合
部33間の流通路34で適当な位置に自在に移動させ、自ら
位置決めさせることが可能になり、応力の集中を抑制し
て、基布を保護できる。また、逢着作業を簡略化あるい
は省略して、作業性を向上することもできる。
【0061】また、上記の各実施の形態において、エア
バッグ1の折り畳み時に、吊り紐41により排気口35を覆
わせることもできる。そして、この構成では、展開の前
半の状態では、排気口35を吊り紐41で覆ってガスを有効
に利用できるとともに、エアバッグ1が十分に展開した
状態で、吊り紐41が排気口35から離反して、開放された
排気口35を介して第2の分室B2からエアバッグ1外へガ
スを放出可能とし、乗員Aの受ける衝撃を適切に緩和す
るように拘束できる。さらに、吊り紐41は、ベルト部42
の幅寸法を、排気口35を実質的に覆う幅寸法に設定する
ことにより、吊り紐41が展開前半では閉じ展開後半では
開く弁として機能し、高価で複雑な開閉弁及び電子的制
御装置システムやセンサを用いたシステムによることな
く、ガスの有効利用と円滑な排気との効果を両立でき
る。
【0062】なお、排気口35の径寸法と吊り紐41のベル
ト部42との寸法関係は、例えば、排気口35の開口部分の
直径寸法が50mmとするのに対して、ベルト部42の幅寸
法は70mmであり、ベルト部42の幅寸法が排気口35の開
口部分の直径寸法より大きく、すなわち、ベルト部42が
排気口35を実質的に覆い得るようになっている。なお、
ここで、実質的に覆うとは、微細な隙間もなく気密に覆
うもののに限られず、布同士が密着して重なった程度の
状態、あるいはしわなどにより若干の隙間がある程度の
状態、あるいは排気口35の開口面積の大半を遮るように
位置する程度の状態を含むものである。
【0063】なお、上記の各実施の形態においては、第
3の基布23が第1及び第2の基布21,22よりも小さいい
わゆる2.5層のエアバッグ1を用いたが、外殻を構成
する基布の内側に複数の基布を配置させることもでき、
また、外殻を構成する基布の内側に配置する基布の外径
すなわち径寸法を、外殻を構成する基布と同様にして、
外周部を一括で縫着することもできる。
【0064】また、上記の実施の形態では、4カ所に接
合部33を設け、これら接合部33のうちの2カ所に排気口
35を設けたが、接合部33すなわち接合部33間に構成され
る流通路34の構成や排気口35の数は適宜変更することが
可能である。
【0065】そして、排気口35は、2カ所に限られず1
カ所あるいは3カ所以上の複数カ所に設けることもでき
るほか、排気口35は、円孔状以外の他の多角形状などに
形成することもでき、さらには、基布の通気性を部分的
に大きくして形成することもできる。さらに、接合部33
も、円環状の他、多角形状や異形に形成することができ
る。
【0066】また、上記の各実施の形態において、吊り
紐41は2本に限られず、例えば4本配置することもでき
る。
【0067】また、エアバッグ装置は、ステアリングホ
イール本体に取り付けられる運転者用のほか、インスト
ルメントパネルに設けられる助手席乗員用や、座席の側
部に設けられる側部保護用、あるいは座席の後部に備え
られる後部座席用のエアバッグ装置のエアバッグに適用
でき、さらには、被保護物の衝撃を吸収するエアバッグ
装置のエアバッグに広く適用できる。
【0068】
【発明の効果】請求項1記載のエアバッグによれば、ガ
ス導入部からガスが導入されると、このガスは、第3の
基布に案内され、流通路を通ってエアバッグの外周側に
供給され、偏平に展開して被保護物側に向かって加わる
圧力を抑制し、展開特性を良好にでき、例えば、エアバ
ッグに極めて近接した被保護物に対する圧力を容易に緩
和できる。この間、ガスは排気口を越えて流れず、ガス
を有効に利用できる。さらに、エアバッグの外周側に供
給されたガスは、エアバッグの中心側に供給され、排気
口から反保護物側に排気できる。そして、この排気口
は、接合部に囲まれて形成したため、第3の基布の被保
護物側から第1の基布の反被保護物側に連通し、かつ、
ガス導入部に近接して配置する構成を容易に実現でき
る。そこで、排気口の位置を反被保護物側に向けて安定
して保持できる。さらに、この構成では、乗員側の基布
と他の基布とを連結する連結手段を備えたため、エアバ
ッグの乗員側に向かう突出量を規制し、好適な展開形状
を容易かつ安定して実現できる。また、展開初期には、
第3の基布のガスの案内によりエアバッグの外周部を膨
張させ、連結手段の作用を伴わずに偏平な中間形状を
得、この中間形状の後、連結手段が張力を生じて突出量
を規制することにより、良好な展開特性を容易に実現で
きる。さらに、連結手段は、接合部から隔離し流通路に
臨む基点にて一端が第3の基布に連結され、他端が第2
の基布に連結されてエアバッグの膨張高さを規制するた
め、折り畳んだエアバッグにガスを導入して展開させる
際に、連結手段が展張された状態で、この連結手段が流
通路を拡開させるとともに、第3の基布を介して第1の
基布と第2の基布とを連結しているため、張力を分散
し、応力集中を緩和して、基布を保護できる。さらに、
このように連結手段が展張された状態では、基点が第2
の基布側に移動するため、所定のエアバッグの突出寸法
を確保するための連結手段の長さ寸法を短くすることが
可能になり、エアバッグの外殻内に配置される基布部品
の嵩を低減して、エアバッグを小さく折り畳み収納でき
る。
【0069】請求項2記載のエアバッグによれば、請求
項1記載の効果に加え、連結手段は、少なくとも一部が
流通路を挿通して配置したため、連結手段が展張された
状態で、連結手段が第3の基布に摺接などしながら流通
路内を適当な位置に移動して応力の集中を抑制し、基布
を保護できる。
【0070】請求項3記載のエアバッグによれば、請求
項1または2記載の効果を加え、連結手段は、排気口を
実質的に閉塞可能な幅寸法のベルト部を備え、このベル
ト部は、各基布を折り畳む際に、排気口の少なくとも一
部を覆うように折り畳んだため、折り畳んだエアバッグ
にガスを導入して展開させる際には、展開初期には、こ
の連結手段が排気口の一部あるいは全部を覆ってガスが
排気口から流出することを実質的に抑制し、膨張用のガ
スをエアバッグの膨張に有効に利用して好適な展開特性
を容易に実現できる。また、連結手段が張り伸ばされた
状態では、連結手段が排気口から離れて排気能力を発揮
させるとの排気特性の調整が可能になり、エアバッグを
効率良く膨張展開できる。また、このような排気口の調
圧作用を複雑な制御装置を用いずに実現可能になり、製
造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエアバッグの展開状態を示す一部を切
り欠いた斜視図である。
【図2】同上エアバッグを備えたエアバッグ装置の展開
状態を示す図4のI−I相当位置の断面図である。
【図3】同上エアバッグを備えたエアバッグ装置を示す
展開動作の説明図である。 (a)は展開初期の状態を示す図4のI−O−II相当位置
の断面図 (b)は(a)に続く状態を示す図4のI−O−II相当位置の
断面図 (c)は(b)に続く状態を示す図4のI−O−II相当位置の
断面図 (d)は(c)に続く状態を示す図4のI−O−II相当位置の
断面図
【図4】同上エアバッグを平面上に広げた状態を示す底
面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示すエアバッグの展
開状態を示す図4のI−I相当位置の断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態のエアバッグを
示す一部を切り欠いた一部の斜視図である。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態のエアバッグを
示す一部を切り欠いた一部の斜視図である。
【符号の説明】
1 エアバッグ 11 支持部材を構成するベースプレート 21 第1の基布 22 第2の基布 23 第3の基布 28 ガス導入部としてのガス導入口 30 取付部 33 接合部 34 流通路 35 排気口 41 連結手段としての吊り紐 42 ベルト部 A 被保護物としての乗員

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持部材に取り付けられる取付部及びガ
    スが導入されるガス導入部を設けた第1の基布と、 この第1の基布の被保護物側に重ねられ外周部が接合さ
    れて前記第1の基布とともに袋体の外殻を構成する第2
    の基布と、 前記第1及び第2の基布間に配置され、前記ガス導入部
    の被保護物側を覆って配置され、接合部により第1の基
    布に接合された第3の基布と、 前記第1及び第3の基布同士の間に位置し、前記ガス導
    入部側から外周側に連通する流通路と、 前記接合部に囲まれ、前記第3の基布の被保護物側から
    前記第1の基布の反被保護物側に連通する排気口と、 前記接合部から離間し、前記流通路に臨む基点にて一端
    が前記第3の基布に連結され、他端が前記第2の基布に
    連結されて、これら第2及び第3の基布同士の間の離間
    距離を規制する連結手段とを具備したことを特徴とする
    エアバッグ。
  2. 【請求項2】 連結手段は、少なくとも一部が流通路を
    挿通して配置されることを特徴とする請求項1記載のエ
    アバッグ。
  3. 【請求項3】 連結手段は、排気口を実質的に閉塞可能
    な幅寸法のベルト部を備え、このベルト部は、前記各基
    布を折り畳む際に、前記排気口の少なくとも一部を覆う
    ように折り畳まれたことを特徴とする請求項1または2
    記載のエアバッグ。
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