JP2002163942A - Ｕｔｐケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 中心部が肉厚となっている介在隔壁が挿入さ
れていても可撓性が良好なＵＴＰケーブルを提供する。 【解決手段】 複数の対撚り線心２を、中心部８が肉厚
となっている介在隔壁３を前記対撚り線心２間に挿入さ
せて撚り合わせ、撚り合わせた該対撚り線心２の上から
外皮４を被覆してなるＵＴＰケーブル１であって、前記
介在隔壁３の肉厚の中心部８に軸方向に沿って中空部９
を設けたことを特徴とするＵＴＰケーブル１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電話線やＬＡＮ配
線などの情報通信線に用いられるＵＴＰ（Ｕｎｓｈｉｅ
ｌｄｅｄ Ｔｗｉｓｔｅｄ−Ｐａｉｒ：非シールド対撚
り線）ケーブルにに関する。

【０００２】

【従来の技術】ＬＡＮシステムの配線として用いられる
ＵＴＰケーブルの中で、ケーブルとハードウェアについ
て規格化されているカテゴリのうちの超高速ＬＡＮに対
応するカテゴリ６に属するＵＴＰケーブルの一例を図５
に示す。

【０００３】このＵＴＰケーブル３０は以下のような構
成となっている。すなわち、導体３１をポリエチレン製
の絶縁体３２で被覆して絶縁線心３３が形成され、この
絶縁線心３３の２本を撚り合わせて対撚り線心３４が形
成されている。このようにして形成された複数の対撚り
線心３４は、中心部が肉厚となっている十字形の介在隔
壁３５を対撚り線心３４間に挿入させてさらに撚り合わ
されている。そして、そのようにして撚り合わされた対
撚り線心３４の上から外皮３６が被覆されている。

【０００４】このようなＵＴＰケーブル３０は、対撚り
線心３４間に挿入されている介在隔壁３５によって、対
撚り線心３４間の距離が一定以上に保たれるので、対間
の漏話特性が向上するとともに、対撚り線心３４の位置
が固定されるため、特性インピーダンス、反射減衰量特
性が向上する。また、介在隔壁３５の中心部３７が肉厚
となっているため、中心部が肉厚となっていない介在隔
壁よりも、介在隔壁自体に腰があり、捻れ、介在隔壁自
体の変形に強いという特徴がある。そのため、ケーブル
製造時に４本の対撚り線心３４が所定の位置に入りやす
い。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな介在隔壁が挿入されている場合、上記のようなメリ
ットがある反面、介在隔壁の中心部の肉厚が厚いため、
ケーブルが硬くなってしまい、適度な可撓性が失われて
しまう。したがって、ケーブルが実用に供されて配線作
業などを行う場合の取り扱い性に欠ける。

【０００６】また、今後情報化社会の進展により、情報
通信線として大容量伝送が可能なものが要求されるよう
になると、現在情報通信線として用いられているＵＴＰ
ケーブルに代わり、大容量電送が可能な光ファイバが情
報通信線として用いられるようになることが予想され
る。この場合、ＵＴＰケーブルから光ファイバへ張り替
える工事を行わなければならず、張り替えに伴う手間や
経費が必要となってしまう。

【０００７】本発明の目的は、中心部が肉厚となってい
る介在隔壁が対撚り線心間に挿入されていても可撓性が
良好なＵＴＰケーブルを提供することにある。

【０００８】本発明の他の目的は、すでに敷設されてい
るＵＴＰケーブルを張り替えることなく光ファイバの敷
設を可能にすべく、光ファイバを挿通することができる
ＵＴＰケーブルを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１に記載のＵＴＰケーブルは、複数の対撚り
線心を、中心部が肉厚となっている介在隔壁を前記対撚
り線心間に挿入させて撚り合わせ、撚り合わせた該対撚
り線心の上から外皮を被覆してなるＵＴＰケーブルであ
って、前記介在隔壁の中心部に軸方向に沿って中空部を
設けたことを特徴とする。このような請求項１に記載の
ＵＴＰケーブルによると、中心部が肉厚となっている介
在隔壁に中空部を設けたので、ケーブルとしての可撓性
が良好である。また、該中空部を設けることにより、介
在隔壁が軽量化するので、ＵＴＰケーブルの持ち運び等
が容易となる。さらに、中空部の分だけ、介在隔壁の材
料が不要となるため、介在隔壁を製造する際のコストを
下げることができる。さらに、対撚り線心が介在隔壁に
よって離間させられているので、特性インピーダンス、
反射減衰量特性等の電気的特性を満足させることができ
る。また、介在隔壁の中心部が肉厚となっているので、
介在隔壁の変形を防止することができる。

【００１０】上記目的を達成するために、請求項２に記
載のＵＴＰケーブルは、請求項１に記載のＵＴＰケーブ
ルであって、前記中空部の直径を、０．２〜１．０ｍｍ
としたことを特徴とする。このような請求項２に記載の
ＵＴＰケーブルによると、中空部の直径を０．２〜１．
０ｍｍとしたので、ケーブルとしての適度な可撓性を得
られるとともに、介在隔壁の変形を防止することができ
る。

【００１１】上記他の目的を達成するために、請求項３
に記載のＵＴＰケーブルは、請求項１に記載のＵＴＰケ
ーブルであって、前記中空部は、光ファイバ２９を挿通
することが可能であることを特徴とする。このような請
求項３に記載のＵＴＰケーブルによると、中空部に光フ
ァイバを挿通することができるので、ＵＴＰケーブルを
敷設した後に、光ファイバを情報通信線として用いよう
とする場合であっても、ケーブルを張り替える必要がな
い。これにより、張替えに伴う手間や経費を省くことが
できる。また、中空部が管の役割をするので、ＵＶ被覆
線心のようにアラミド樹脂などの緩衝材の上にナイロン
等の被覆を施さない線心のままでも光ファイバが外的影
響を受けることはない。

【００１２】上記他の目的を達成するために、請求項４
に記載のＵＴＰケーブルは、請求項３に記載のＵＴＰケ
ーブルであって、前記中空部の直径を、少なくとも０．
５ｍｍとしたことを特徴とする。このような構成の請求
項４に記載のＵＴＰケーブルによると、中空部の直径を
少なくとも０．５ｍｍとしたので、中空部に光ファイバ
を挿通する場合に挿通しやすい。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るＵＴＰケーブ
ルの実施の形態について図面を参照して説明する。図１
には、本発明に係るＵＴＰケーブルの第１の実施の形態
が示されている。このＵＴＰケーブル１は、４本の対撚
り線心２を、介在隔壁３を前記対撚り線心２間に挿入し
て撚り合わせ、この撚り合わせた対撚り線心２の上か
ら、ビニル、ポリエチレン等で形成された外皮４で被覆
して形成されている。

【００１４】対撚り線心２は、導体５をポリエチレン製
の絶縁体６で被覆してなる絶縁線心７の２本を撚り合わ
せて形成されている。

【００１５】介在隔壁３は、各対撚り線心２を一定の距
離に離間する役割を有するものである。その形状は十字
形をしており、中心部８が肉厚となっていて、捻れ、変
形に強い形状となっている。そして、その肉厚の中心部
８には、軸方向に沿って、断面円形状の中空部９が設け
られている。介在隔壁３の材質は、例えばビニル樹脂の
ように誘電率の大きな樹脂の場合、ケーブルの伝送特性
が低下するため、誘電率の小さい、例えばポリエチレン
樹脂等であることが望ましい。ただし、誘電率の小さい
樹脂であればポリエチレン樹脂には限られず、ポリスチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂等で
あってもよい。

【００１６】中空部９の直径は、０．２ｍｍ〜１．０ｍ
ｍであり、中空部９の内周面から介在隔壁３の外周面ま
での最小の厚さは、０．５ｍｍ〜１．０ｍｍとなってい
る。

【００１７】このようにして構成される本実施の形態に
かかるＵＴＰケーブル１と、従来のＵＴＰケーブル３０
の可撓性について、図２に示すような方法で比較した。
なお、介在隔壁３に設けられた中空部９の直径は０．５
ｍｍ、中空部９の内周面１０から介在隔壁３の外周面１
１までの最小の厚さは０．５ｍｍとした。

【００１８】具体的に比較の方法について説明する。Ｕ
ＴＰケーブルは、２００ｍｍのものを用い、そのうちの
１００ｍｍを台１２に固定し、他端側の先端に２００ｇ
のおもり１３をつるした。そして、そのときの台１２の
延長線上とおもり１３をつるしたＵＴＰケーブルの先端
との間の距離をたわみ量Ｗとした。

【００１９】その結果、従来のＵＴＰケーブル３０は、
たわみ量Ｗが７５ｍｍであったのに対し、介在隔壁３に
中空部９を設けたＵＴＰケーブル１のたわみ量Ｗは、９
０ｍｍであった。

【００２０】このように、介在隔壁に中空部が形成され
ていない従来のＵＴＰケーブル３０よりも、介在隔壁に
中空部９が設けられているＵＴＰケーブル１の方が、１
５ｍｍ多くたわむことが確認された。

【００２１】したがって、本実施の形態に係るＵＴＰケ
ーブル１は、介在隔壁３に中空部９を設けたので、可撓
性が良好である。また、中空部９が設けられた分、介在
隔壁３が軽量化するので、ＵＴＰケーブル１の持ち運び
等が容易となる。さらに、中空部９の分だけ、介在隔壁
３の材料が不要となるため、介在隔壁３を製造する際の
コストを下げることができる。しかも、本実施の形態の
ＵＴＰケーブル１は、介在隔壁３により、各対撚り線心
２が離間されているので、対間の漏話特性や特性インピ
ーダンスなどといった電気的特性を満足させることがで
きる。また、介在隔壁３の形状は中心部が肉厚となって
いるので、介在自体に腰があり、捻れ、変形に強く、ケ
ーブルの製造時に対撚り線心２の４本が所定の場所に入
りやすい。

【００２２】また、介在隔壁の材質がポリエチレンの場
合、中空部９の直径が０．２ｍｍ未満であると、可撓性
の効果が小さくなり、１．０ｍｍよりも大きいと、介在
隔壁３の強度が低下し、介在隔壁３の変形を招く恐れが
ある。したがって、本実施の形態では、中空部９の直径
を０．２〜１．０ｍｍとしたので、介在隔壁３の変形を
招かない程度の介在隔壁３の強度とケーブルとしての適
度な可撓性を得ることができる。また、中空部９の内周
面１０から介在隔壁３の外周面１１までの最小の厚さが
０．５ｍｍ未満であると、可撓性の効果が小さくなり、
１．０ｍｍよりも大きくなると介在隔壁３の強度が低下
して介在隔壁３の変形を招く恐れがある。したがって、
本実施の形態では、中空部９の内周面１０から介在隔壁
３の外周面１１までの最小の厚さが０．５ｍｍ〜１．０
ｍｍとなっているので、このことからも介在隔壁３の変
形を招かない程度の介在隔壁３の強度とケーブルとして
の適度な可撓性を得ることができる。

【００２３】図３、図４は、本発明にかかるＵＴＰケー
ブルの第２の実施の形態に光ファイバを挿通した状態を
示す図である。この第２の実施の形態にかかるＵＴＰケ
ーブル２０は、第１の実施の形態同様、４本の対撚り線
心２１を、介在隔壁２２を前記対撚り線心２１間に挿入
して撚り合わせ、この撚り合わせた対撚り線心２１の上
から、ビニル、ポリエチレン等で形成された外皮２３で
被覆して形成されている。

【００２４】対撚り線心２１は、導体２４をポリエチレ
ン製の絶縁体２５で被覆してなる絶縁線心２６の２本を
撚り合わせて形成されている。

【００２５】介在隔壁２２は、各対撚り線心２１を一定
の距離に離間する役割を有するものである。その形状は
十字形をしており、中心部２７が肉厚となっていて、捻
れ、変形に強い形状となっている。そして、その肉厚の
中心部２７には、軸方向に沿って、断面円形状の中空部
２８が設けられている。介在隔壁２２の材質は、例えば
ビニル樹脂のように誘電率の大きな樹脂の場合、ケーブ
ルの伝送特性が低下するため、誘電率の小さい、例えば
ポリエチレン樹脂等であることが望ましい。ただし、誘
電率の小さい樹脂であればポリエチレン樹脂には限られ
ず、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエス
テル樹脂等であってもよい。

【００２６】中空部２８の直径は、０．５ｍｍであり、
直径０．２５ｍｍの光ファイバ２９を挿入することがで
きるようになっている。なお、この光ファイバ２９は、
本実施の形態では、光ファイバ心線の保護被覆層が紫外
線硬化型樹脂で形成されているＵＶ被覆線心である。

【００２７】以上のように構成された本実施の形態に係
るＵＴＰケーブル２０は、介在隔壁２２に直径０．５ｍ
ｍの中空部２８を設けたので、この中空部２８に直径が
０．２５ｍｍである光ファイバ２９を挿入することがで
きる。

【００２８】また、ケーブル敷設時には光ファイバが情
報通信線として用いられていなくても、ケーブルの敷設
後に伝送容量の増大により大容量伝送が可能な光ファイ
バを情報通信線として用いようとした場合、圧縮した空
気を中空部２８に送り、その風圧で光ファイバ２９を中
空部２８内に圧送して挿通するエアブロン工法により、
中空部２８に光ファイバ２９を挿通することができるの
で、ケーブルを張り替える必要がない。したがって、ケ
ーブルの張り替え工事にかかる経費や手間を省くことが
できる。

【００２９】また、中空部２８は、断面円形状となって
いるので、中空部２８への光ファイバの挿通をスムーズ
に行うことができる。

【００３０】なお、本実施の形態では、中空部２８の直
径が０．５ｍｍよりも小さい場合は、直径０．２５ｍｍ
の光ファイバを挿入しづらくなるため、中空部２８の直
径を０．５ｍｍとしたが、必ずしも０．５ｍｍには限ら
れず、直径０．２５ｍｍの光ファイバを挿入しやすい、
０．５ｍｍ以上の直径であればよい。

【００３１】また、本実施形態にかかるＵＴＰケーブル
２０は、光ファイバ２９を挿通するための中空部２８が
管の役割をするため、ＵＶ被覆線心のように、緩衝材の
上に被覆を施さない線心のままでも、外的影響を受け
ず、光ファイバ伝送路として十分役割を果たす。

【００３２】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００３３】請求項１に記載の発明によれば、介在隔壁
に中空部を設けたので、ケーブルとしての可撓性が良好
である。また、該中空部を設けることにより、介在隔壁
が軽量化するので、このような介在隔壁が挿入されたＵ
ＴＰケーブルの持ち運び等が容易となる。さらに、中空
部の分だけ、介在隔壁の材料が不要となるため、介在隔
壁を製造する際のコストを下げることができる。さら
に、対撚り線心が介在隔壁によって離間させられている
ので、特性インピーダンス、反射減衰量特性等の電気的
特性を満足させることができる。また、介在隔壁の中心
部が肉厚となっているので、介在隔壁の変形を防止する
ことができる。

【００３４】請求項２に記載の発明によれば、介在隔壁
に設けた中空部の直径を０．２ｍｍ〜１．０ｍｍとした
ので、ケーブルとしての適度な可撓性を得られるととも
に、介在隔壁の変形を防止することができる。

【００３５】請求項３に記載の発明によれば、中空部に
光ファイバを挿通することができるので、ＵＴＰケーブ
ルを敷設した後に、光ファイバを情報通信線として用い
ようとする場合であっても、ケーブルを張り替える必要
がない。これにより、張替えに伴う手間や経費を省くこ
とができる。また、中空部が管の役割をするので、光フ
ァイバ心線の保護被覆層が紫外線硬化型樹脂で形成され
ているＵＶ被覆線心のようにアラミド樹脂などの緩衝材
の上にナイロン等の被覆を施さない線心のままでも光フ
ァイバが外的影響を受けることはない。

【００３６】請求項４に記載の発明によれば、中空部の
直径を少なくとも０．５ｍｍとしたので、中空部に光フ
ァイバを挿通する場合、挿通しやすい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るＵＴＰケーブルの第１の実施の形
態を示す図である。

【図２】ＵＴＰケーブルのたわみ量の比較方法を示した
図である。

【図３】本発明に係るＵＴＰケーブルの第２の実施の形
態を示す図である。

【図４】図３における介在隔壁の中心部を拡大した図で
ある。

【図５】従来のＵＴＰケーブルを示す図である。

【符号の説明】

１、２０…………………ＵＴＰケーブル ２、２１…………………対撚り線心 ３、２２…………………介在隔壁 ４、２３…………………外皮 ８、２７…………………中心部 ９、２８…………………中空部 ２９………………………光ファイバ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の対撚り線心を、中心部が肉厚とな
   っている介在隔壁を前記対撚り線心間に挿入させて撚り
   合わせ、撚り合わせた該対撚り線心の上から外皮を被覆
   してなるＵＴＰケーブルであって、 前記介在隔壁の肉厚の中心部に軸方向に沿って中空部を
   設けたことを特徴とするＵＴＰケーブル。
2. 【請求項２】 前記中空部の直径は、０．２〜１．０ｍ
   ｍであることを特徴とする請求項１に記載のＵＴＰケー
   ブル。
3. 【請求項３】 前記中空部は、光ファイバを挿通するこ
   とが可能であることを特徴とする請求項１に記載のＵＴ
   Ｐケーブル。
4. 【請求項４】 前記光ファイバを挿通することが可能な
   中空部の直径は、少なくとも０．５ｍｍであることを特
   徴とする請求項３に記載のＵＴＰケーブル。