JP5875153B2 - 線心束及び該線心束を用いた通信ケーブル - Google Patents

線心束及び該線心束を用いた通信ケーブル Download PDF

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Description

本発明は、線心束及び該線心束を用いた通信ケーブルに関するものである。
例えば、電話回線等の広域ネットワークや、屋内に敷設されるローカルエリアネットワーク(LAN)、車両内に敷設される車両内ネットワークなどの通信回線に用いられる通信ケーブルは、導体と該導体を覆う絶縁被覆とが設けられた複数の絶縁線心を互いに撚り合わせて束ねた線心束としての撚り線を有する通信ケーブルが用いられる。
従来の通信ケーブルは、線心束として、丸形の絶縁線心4本を正方形に位置するように構成されたカッド撚り線を用いたものがある。図9(a)に示すように、この通信ケーブル500は、導体521及び絶縁被覆522を有する断面円形の絶縁線心520が4本撚り合わされたカッド撚り線510と、押さえ巻きテープ530と、シース540を備えている。
ところが、通信ケーブル500の製造時や敷設時等における外力、又は、車両の振動などが加わると、図9(b)に示すように、カッドが崩れ、それぞれの絶縁線心520間の距離が変動して、各絶縁線心520の漏話特性が低下してしまうことがあるという問題があった。
そこで、出願人は、図10(a)に示すように、通信ケーブル600におけるカッド撚り線610において、導体621及び絶縁被覆622を有する絶縁線心620の絶縁被覆622の形状を扇型にすることにより、絶縁線心間の距離の変動を防止した線心束を提案している(特許文献1参照)。
ところが、この構成のカッド撚り線610においても、図10(b)に示すように、連結されている直線部分で絶縁線心620がずれ、カッドが崩れて、漏話特性が悪化してしまう場合があった。
そこで、出願人は、図11(a)(b)に示すように、通信ケーブル700におけるカッド撚り線710において、導体721及び絶縁被覆722を有する絶縁線心720の絶縁被覆722の形状を、図10における絶縁被覆の扇型を形成する半径部を非直線とすることによりカッドの崩れを無くして、絶縁線心間の距離の変動を防止し、漏話特性を良好に保つことができる線心束を提案している(非特許文献1参照)。
特開2012−79436号公報
公開技報2011−502521
しかしながら、図10及び図11に示す構造の通信ケーブルでは、図9の通信ケーブルより漏話特性が良好であるが、カッド撚り線の中心部まで各絶縁線心の絶縁被覆が隙間なく密着している構造のため、図9に示す構造の通信ケーブルと比べて絶縁線心の導体間の実効静電容量が増加し、伝送信号の減衰量が増大し、伝送特性が悪化するという問題がある。
そこで、本発明は、従来よりも伝送特性が良好な線心束及び該線心束を用いた通信ケーブルを提供することを目的としている。
前記課題を解決するためになされた本発明の請求項1に係る発明は、導体11と該導体11を被覆する絶縁被覆12とからなると共に同一形状を有する以上の偶数本の絶縁線心10が束ねられた線心束1であって、前記絶縁被覆12の横断面形状が、隣り合う前記絶縁線心と密着することにより当該絶縁線心と連結される第1及び第2の辺12a,12bと、前記第1の辺12aの一端部と前記第2の辺12bの一端部との間に形成された第3の辺12cと、前記第1の辺12aの他端部と前記第2の辺12bの他端部との間に形成された第4の辺12dとを含み、前記第3の辺12cが、直線をなして、他の前記絶縁線心の第3の辺と共に前記線心束の中心に偶数角形の空気層を形成し、前記第4の辺12dが、他の前記絶縁線心の前記第4の辺と共に前記線心束1の外形を構成することを特徴とする。
前記課題を解決するためになされた本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の線心束において、前記第1及び第2の辺は非直線であることを特徴とする。
前記課題を解決するためになされた本発明の請求項3に係る発明は、1又は複数の線心束を有する通信ケーブルであって、前記線心束が、請求項1又は2に記載の線心束であることを特徴とする。
なお、上述の課題を解決するための手段の説明における参照符号は、以下の、発明を実施するための形態の説明における構成要素の参照符号に対応しているが、これらは、特許請求の範囲の解釈を限定するものではない。
請求項1に記載された発明によれば、導体と該導体を被覆する絶縁被覆とからなると共に同一形状を有する以上の偶数本の絶縁線心が束ねられた線心束であって、絶縁被覆の横断面形状が、隣り合う絶縁線心と密着することにより当該絶縁線心と連結される第1及び第2の辺と、第1の辺の一端部と第2の辺の一端部との間に形成された第3の辺と、第1の辺の他端部と第2の辺の他端部との間に形成された第4の辺とを含み、第3の辺が、直線をなして、他の絶縁線心の第3の辺と共に線心束1の中心に偶数角形の空気層を形成し、第4の辺が、他の絶縁線心の第4の辺と共に線心束1の外形を構成するので、空気層の存在により従来よりも伝送特性の良い線心束が得られる。
請求項2に記載された発明によれば、第1及び第2の辺は非直線であるので、外力や振動等があっても絶縁線心の崩れが発生しないため、従来よりも漏話特性が良好でかつ伝送特性が良い線心束が得られる。
請求項3に記載された発明によれば、線心束として請求項1又は2に記載の線心束を用いているので、従来よりも伝送特性や漏話特性の良い通信ケーブルが得られる。
本発明に係る線心束の第1の実施形態を示し、(a)は、線心束の横断面図、(b)は、線心束を構成する絶縁線心の横断面図である。(第1の実施形態) 線心束の製造方法を説明する図であって、(a)は、複数の絶縁線心を撚り合わせている様子を示す図であり、(b)は、分線板の正面図である。(第1の実施形態) 線心束の絶縁線心間に形成される空気層を説明する図であって、(a)は従来の線心束の説明図、(b)は本発明の線心束の説明図、(c)は従来の線心束における絶縁線心間の誘電率の説明図、(d)は、本発明の線心束における絶縁線心間の誘電率の説明図である。(第1の実施形態) 静電容量を説明する図であり、(a)は一般的なコンデンサをモデルとした場合の静電容量の説明図、(b)は、電極間に誘電体及び空気層がある場合の静電容量の説明図、(c)は電極間に誘電体がある場合の静電容量の説明図である。 本発明に係る通信ケーブルの一実施形態を示す横断面図である。 従来及び本発明の通信ケーブルにおける伝送信号の減衰量を表すグラフである。 本発明に係る線心束の第2の実施形態を示し、(a)は、線心束の横断面図、(b)は、線心束を構成する絶縁線心の横断面図である。(第2の実施形態) 本発明に係る線心束の第3の実施形態を示し、(a)は、線心束の横断面図、(b)は、線心束を構成する絶縁線心の横断面図である。(第3の実施形態) 従来の通信ケーブルの構成例を示し、(a)は、正常時の横断面図、(b)は、異常時の横断面図である。(従来例) 従来の通信ケーブルの他の構成例を示し、(a)は、正常時の横断面図、(b)は、異常時の横断面図である。(従来例) (a)及び(b)は、それぞれ、従来の通信ケーブルのさらに他の構成例を示す横断面図である。(従来例)
以下、本発明の線心束及び通信ケーブルの実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。
(第1の実施形態)図1は、本発明に係る線心束の第1の実施形態を示す横断面図である。図1に示すように、線心束1は、互いに連結された同一形状の4本の絶縁線心10と、押さえ巻きテープ20と、を備えている撚り線である。
絶縁線心10は、銅や、銅合金、アルミニウム合金などの導電性金属を細径化した横断面円形の導体11と、この導体11を被覆する誘電体からなる絶縁被覆12と、で構成されている。
絶縁被覆12は、ポリエチレン(PE)等の熱可塑性樹脂を材料として、押し出し成形によって、導体11の全長にわたってその周囲を囲むように設けられている。この絶縁被覆12の横断面形状は、それぞれ隣り合う絶縁線心10と密着することにより当該絶縁線心10と連結される第1の辺12a及び第2の辺12bと、第1の辺12aの一端部と第2の辺12bの一端部との間に形成された第3の辺12cと、第1の辺12aの他端部と第2の辺12bの他端部との間に形成された第4の辺12dとを含む。
第1の辺12aは、直線であるがその一部に非直線部12a1を含み全体としては非直線である。非直線部12a1は、例えば凹部形状を有する。第2の辺12bは、直線であるが、その一部に非直線部12b1を含む。非直線部12b1は、例えば、凹部状の非直線部12a1に嵌め合わすことができる凸部形状を有する。第3の辺12cは、その両端部を結ぶ直線(仮想直線)から外側方向に曲がる曲線をなしており、他の絶縁線心10の第3の辺12cと共に、線心束1の中心に空気層30を形成する。第4の辺12dは、他の絶縁線心10の第4の辺12dと共に線心束1の外形を構成する。この第1の実施形態では、空気層30及び線心束1の外形は共に、円形をなしているので、第3の辺12c及び第4の辺12dは共に、円弧状に形成されている。
押さえ巻きテープ20は、例えば、ポリエステルなどからなる不織布テープであって、円柱形状に束ねられた4本の絶縁線心10の外周面にらせん状に巻き付けられて、これら絶縁線心10を束ねられた状態で固定する。
線心束1は、絶縁線心10を4本以上の偶数本備えていてもよく、線心束1の中心に向かって対向する絶縁線心同士10をぺアにして使用される。図1に示すように、各導体11が正方形の位置になるように撚り合わせられる4本の絶縁線心10を備えている場合は、線心束1は、カッド撚り線と呼ばれる。
次に、線心束1の製造方法について、図2を参照して以下に説明する。
まず、線心束1に用いられる絶縁線心10は、例えば、クロスヘッドダイなどを備えた押出成形機を用いて、予熱した導体11を引き出しつつその周囲に溶融した熱可塑性樹脂を重ねて絶縁被覆12を形成して作製する。このとき、絶縁被覆12の横断面形状(即ち、絶縁線心10の横断面形状)が上述した第1〜第4の辺を有するほぼ扇形の形状になるように、ダイの形状が予め設定されている。
次に、作製した絶縁線心10を、それぞれ別個の4つのボビン(図示なし)に巻き付けて、図2(a)に示すように、各ボビンに巻き付けた絶縁線心の一端を、それぞれ分線板Pに設けられた4つの貫通孔P1〜P4に挿通したのち、さらに、それぞれ共にリング部材Qに挿通する。
分線板Pは、図2(b)に示すように、円板状に形成されており、4つの貫通孔P1〜P4が分線板Pの中心Oについて対称に設けられている。これら4つの貫通孔P1〜P4は、それぞれ絶縁線心10の横断面形状に応じたほぼ扇形状に形成されており、それぞれの第3及び第4の辺の中心を通る線分が分線板Pの中心Oを向くようにして配置されている。これにより、各絶縁線心10がリング部材Qを挿通されたときに、各絶縁線心10の第3の辺12cが互いに向き合うように配置される。なお、必要であれば、分線板Pの他に、絶縁線心10の向きを決めるための治具を設置してもよい。
それから、リング部材Qを挿通された各絶縁線心10を、各ボビンから引き出す方向Wに向けて引っ張りつつ、各絶縁線心10の第1の辺12a及び第2の辺12bが、それぞれ、隣接する他の絶縁線心10の第2の辺12b又は第1の辺12aに密着すると共に、各絶縁線心10における第3の辺12cがそれぞれ互いに接して円形の空気層30を形成し、かつ各絶縁線心10における第3の辺12cがそれぞれ互いに接して円形の空気層30を形成するように連結して、各絶縁線心10を互いに束ねて撚り合わせていく。なお、連結時には、各絶縁線心10の第1の辺12aの凹部形状の非直線部12a1が隣接する絶縁線心10の第2の辺12bの凸部形状の非直線部12b1と嵌め合わされる。そして、このように撚り合わされた複数の絶縁線心10は、各絶縁線心10における第4の辺12dがそれぞれ互いに連接されて円柱形状となり、この円柱形状の外周面に押さえ巻きテープ20をらせん状に巻き付ける。このようにして、線心束1をカッド撚り線として作製する。
以上のように作製された線心束1は、互いに連結された4本の絶縁線心10における絶縁被覆12の第1の辺12aの非直線部12a1と、第2の辺12bの非直線部12b1が、それぞれ、隣接する絶縁線心10における絶縁被覆12の第2の辺12bの非直線部12b1と、第1の辺12aの非直線部12a1に嵌め合わされている。そのため、外力や振動が加わっても、カッドが崩れることは無く、絶縁線心間の距離の変動を防止することができる。したがって、絶縁線心間の距離の変動に伴う漏話特性の低下がなく、漏話特性を良好に保つことができる。
次に、以上のように作製された線心束1における実効静電容量について考察する。
まず、一般的なコンデンサをモデルとした場合の静電容量Cは、図4(a)に示すように、電極の面積をS、電極間距離をd、電極間にある空気の比誘電率をε、真空中の誘電率をε0 (=8.85418781762×10-12 )とすると、
C=ε×ε0 ×S/d・・・(1)
で表される。
そこで、通信ケーブルにおける線心束に上記の関係を当てはめた場合、図9(a)に示す従来の通信ケーブル500における線心束510では、図3(a)に示すように、距離d0で対向するペアとなる絶縁線心520,520の導体521,521の間に、絶縁被覆522(厚さt0とし、以下同様とする。)と、絶縁被覆522,522間の隙間に存在する空気と、絶縁被覆522(厚さt0)とが存在することになる。従来の線心束510の絶縁被覆522の厚さt0は、使用用途により異なり、0.4mmや0.8mmや1.0mmなど様々である。
また、図1に示す本発明の線心束1では、図3(b)に示すように、距離d1で対向するペアとなる絶縁線心10,10の導体11,11の間に、絶縁被覆12(厚さt1とし、以下同様とする。)と、空気層30と、絶縁被覆12(厚さt1)とが存在することになる。
導体間の誘電体を考えると、図3(a)の従来例では、図3(c)の点線枠に示すように、導体521,521の間に、絶縁被覆522の誘電体:PE(比誘電率εPE=2.3)、絶縁被覆522,522間の隙間の空気(ε空気=1.0)、絶縁被覆522の誘電体:PE(比誘電率εPE=2.3)が存在することになる。また、図3(b)の本発明では、図3(d)の点線枠に示すように、絶縁被覆12の誘電体:PE(比誘電率εPE=2.3)、空気層30の空気(比誘電率ε空気=1.0)、絶縁被覆12の誘電体:PE(比誘電率εPE=2.3)が存在することになる。
図3(c)の点線枠における実効比誘電率ε1 は、
ε1 =(絶縁被覆522の誘電体:PE面積×εPE+絶縁被覆522,522間の隙間の空気面積×ε空気)÷(絶縁被覆522の誘電体:PE面積+絶縁被覆522,522間の隙間の空気面積)・・・(2)
で表される。
また、図3(d)の点線枠における実効比誘電率ε2 は、
ε2 =(絶縁被覆12の誘電体:PE面積×εPE+空気層30の空気面積×ε空気)÷(絶縁被覆12の誘電体:PE面積+空気層30の空気面積)・・・(3)
で表される。
そして、上記(1)〜(3)式から、図3(c)及び(d)の点線枠の静電容量C1及びC2は、それぞれ、以下の通り表される。
C1=ε×ε1 ×S/d0・・・(4)
C2=ε×ε2 ×S/d1・・・(5)
上記静電容量C1及びC2は、導体521及び導体11の径が同一で、導体521を電極とした場合の電極面積をS0、導体11を電極とした場合の電極面積をS1とし、S0=S1、d0=d1、t0>t1とした場合、C1>C2が成立する。すなわち、本発明の線心束1におけるペア絶縁線心10,10間の実効静電容量C2は、従来の線心束510におけるペア絶縁線心520,520間の実効静電容量C1よりも小さくなる。
図3(d)における実効静電容量C2を、図4(b)に示す一般的なコンデンサモデル構造とした場合について考えると、
ε=S×(d1×εPE+d2×ε空気+d3×εPE)/(S×d)・・・(6)
と表すこともできる。そこで、電極面積S=0.0001m2 、電極間距離d=0.003m、PE厚さd1(d3)=0.001m、空気層30の厚さd2=0.001m、電極間の実効誘電率をεとした場合は、実効誘電率ε及び実効静電容量C2は、以下の通り求められる。
ε=S×(d1×εPE+d2×ε空気+d3×εPE)/(S×d)
=0.0001(0.001×2.3+0.001×1.0+0.001×2.3)/(0.0001×0.003)
=1.867
C2=ε×ε0 ×S/d
=8.85×10-12 ×1.867×0.0001/0.003
=5.51×10-13 [F]
となる。
これと比較すべく、図11の従来の通信ケーブルにおける線心束710における実効静電容量C3を、一般的なコンデンサ構造(図4(c))をモデルとした場合について計算してみると、電極面積S=0.0001m2 、電極間距離d=0.003m、PE厚さd1(d3)=0.001m、空気層の厚さd2=0.001m、電極間の実効誘電率をεとした場合は、
ε=εPE
=2.3
C3=ε×ε0 ×S/d
=8.85×10-12 ×2.3×0.0001/0.003
=6.79×10-13 [F]
となる。
したがって、空気層30を設けた本発明の線心束1では、ペア絶縁線心10,10間の実効静電容量C2は、従来の線心束710におけるペア絶縁線心720,720間の実効静電容量C3よりも低減されることが分かる。また、例えば、t0≧t1として空気層30の大きさを設定することにより、導体1111間の実効静電容量を、図3に示す従来構造の線心束における導体521521間の実効静電容量よりも同等以下に低減することができる。
このように本発明の線心束によれば、ペアとなる絶縁線心間の実効静電容量が従来よりも同等以下に低減されるので、伝送信号の減衰量を従来構造の線心束よりも同等以上に少なくなり、信号の伝送特性を同等以上に良好なものにすることができる。
次に、上述の線心束1を用いた本発明の通信ケーブルについて説明する。
図5は、本発明に係る通信ケーブルの実施形態を示す横断面図である。図5に示すように、本発明の通信ケーブル50は、複数の線心束としての線心束1と、介在部材60と、押さえ巻きテープ70と、シース80と、を備えている。この通信ケーブル50は、線路に沿って敷設されて、ATC(自動列車制御装置)等の配線材として用いられる。本実施形態において、通信ケーブル50は、3本の線心束1を備えているが、用途などに応じて線心束1の数は適宜定められる。
介在部材60は、例えば、ポリプロピレン(PP)などからなる柔らかい解織紙が用いられている。この介在部材6は、通信ケーブル50の取り回しなどに応じて、通信ケーブル5を自在に曲げることが可能なように、柔軟性(可撓性)を有する材料を用いることが好ましい。介在部材60は、複数の線心束1の間の隙間を、通信ケーブル50の断面方向(即ち、図1における紙面方向)に埋めるようにして、通信ケーブル50の全長にわたって設けられている。
押さえ巻きテープ70は、例えば、上述した押さえ巻きテープ20と同様のポリエステルなどからなる不織布テープであって、介在部材60の周囲に、隙間なく且つ横断面が円形状になるように、通信ケーブル50の全長にわたってらせん状に巻き付けられている。
シース80は、例えば、ポリエチレンなどの合成樹脂からなる、周知の可撓性チューブ状の絶縁被覆である。シース80は、線心束1と同一の長さに形成されており、その内側に、複数(この実施形態では3本)の線心束1、介在部材60、及び、押さえ巻きテープ70を収容する。また、シース80は、その内周面が押さえ巻きテープ70に密に重なるようにして配置されている。
次に、通信ケーブル10の製造方法について以下に説明する。
まず、図2に示すように作製された線心束1を3本束ねるとともに、それら間に介在部材60を充填して、これらを断面円形状になるように押さえ巻きテープ70を巻き付けて固定し、押出成形などによって、押さえ巻きテープ70の周囲にシース80を形成する。このようにして、通信ケーブル50を製造する。
以上説明した本発明の通信ケーブルによれば、ペアとなる絶縁線心間の実効静電容量が従来と同等以下に低減された線心束を用いているので、伝送信号の減衰量が従来より同等以上に低減され、信号の伝送特性を従来の通信ケーブルより同等以上に良好なものにすることができる。
(第2の実施形態)次に、本発明に係る線心束の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態においては、絶縁被覆の横断面形状を構成する第1及び第2の辺の形状が、上述の第1の実施形態と異なっている。
図7は、本発明に係る線心束の第2の実施形態を示す横断面図である。図7に示すように、第2の実施形態における絶縁被覆12の第1の辺12a及び第2の辺12bは、全体が非直線すなわち曲線になっているものである。第1の辺12aの曲線と第2の辺12bの曲線は、両者を合わせた時に密着する形状とされている。
このように、第2の実施形態の線心束1は、互いに連結された4本の絶縁線心10における絶縁被覆12の非直線な第1の辺12aと非直線な第2の辺12bが、それぞれ、隣接する絶縁線心10における絶縁被覆12の非直線な第2の辺12bと非直線な第1の辺12aに密着する。そのため、外力や振動が加わっても、カッドが崩れることは無く、絶縁線心間の距離の変動を防止することができる。したがって、絶縁線心間の距離の変動に伴う漏話特性の低下がなく、漏話特性を良好に保つことができる。
(第3の実施形態)次に、本発明に係る線心束の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態においては、絶縁被覆の横断面形状を構成する第3の辺の形状が、上述の第1の実施形態と異なっている。
図8は、本発明に係る線心束の第3の実施形態を示す横断面図である。図8に示すように、第2の実施形態における絶縁被覆12の第3の辺12cが直線になっているものである。このように、第3の辺12cが直線になっているので、空気層30の外形は四角形をなす。
このように、第3の実施形態の線心束1は、互いに連結された4本の絶縁線心10における第3の辺12cがそれぞれ互いに接して四角形の空気層30を形成するように連結されているが、四角形の空気層30の存在により、ペアとなる絶縁線心間の実効静電容量が従来よりも同等以下に低減されるので、伝送信号の減衰量を従来構造の線心束よりも同等以上に少なくなり、信号の伝送特性を同等以上に良好なものにすることができる。
次に、具体的な実施例を以下の表1に示す。
Figure 0005875153
表1では、ペアとなる絶縁線心間の距離を同一とした従来品(図3(a))及び発明品(図8)との比較表であり、発明品の実効静電容量が従来品よりも低減されていることが分かる。
次に、表1の従来品の線心束を用いた図9の従来の通信ケーブル及び表1の発明品の線心束を用いた本発明の通信ケーブルの、それぞれにおける伝送信号の周波数に対する減衰量[dB/km]を表2に示す。
Figure 0005875153
また、表2の周波数対減衰量を図6のグラフで示す。図6のグラフから、表1の発明品を用いた本発明の通信ケーブルは、従来の通信ケーブルに比して伝送信号の減衰量が低減され、信号の伝送特性が良好になっていることが分かる。
以上の通り、本発明の実施形態について説明したが、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態では、本発明の線心束は4本の絶縁線心を束ねているが、これに限らず、本以上の偶数本の絶縁線心を束ねたものとしてもよい。
また、上述の実施形態では、絶縁線心の外形は円形になっているが、これに限らず,他の形状としてもよい。
また、上述の実施形態では、空気層30の外形が円形または四角形となっているが、他の形状としてもよい。
また、本発明の通信ケーブルは3本の線心束を有しているが、これに限らず、1本または2本以上の複数本の線心束を束ねたものとしてもよい。
1 線心束
10 絶縁線心
11 導体
12 絶縁被覆
12a 第1の辺
12b 第2の辺
12c 第3の辺
12d 第4の辺
20 押さえ巻きテープ
30 空気層
50 通信ケーブル
60 介在部材
70 押さえ巻きテープ
80 シース

Claims (3)

  1. 導体と該導体を被覆する絶縁被覆とからなると共に同一形状を有する以上の偶数本の絶縁線心が束ねられた線心束であって、
    前記絶縁被覆の横断面形状が、隣り合う前記絶縁線心と密着することにより当該絶縁線心と連結される第1及び第2の辺と、前記第1の辺の一端部と前記第2の辺の一端部との間に形成された第3の辺と、前記第1の辺の他端部と前記第2の辺の他端部との間に形成された第4の辺とを含み、
    前記第3の辺が、直線をなして、他の前記絶縁線心の第3の辺と共に前記線心束の中心に偶数角形の空気層を形成し、
    前記第4の辺が、他の前記絶縁線心の前記第4の辺と共に前記線心束の外形を構成する
    ことを特徴とする線心束。
  2. 請求項1記載の線心束において、前記第1及び第2の辺は非直線であることを特徴とする線心束。
  3. 1又は複数の線心束を有する通信ケーブルであって、
    前記線心束が、請求項1又は2に記載の線心束であることを特徴とする通信ケーブル。
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