JP2016072196A - 2芯平行電線 - Google Patents

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正道 庭田
達則 林下
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【課題】芯の信号線の対内スキューを低減させ、信号伝送特性が安定して得られる2芯平行電線を提供する。【解決手段】2芯平行電線は、平行に並列した2本の信号導体1と、2本の信号導体1の間に信号導体1に平行に配置された線状の絶縁体(樹脂紐3)と、2本の信号導体1および線状の絶縁体(樹脂紐3)を一括被覆した被覆用の絶縁体2と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、2芯平行電線に関し、より具体的には、平行に並列した2本の導体と、2本の導体を被覆した被覆用絶縁体を有する2芯平行電線に関する。
情報機器の相互接続用に差動伝送ケーブルが用いられる。差動伝送ケーブルに、2本の絶縁電線を並行に並列させ、これら絶縁電線を一括シールドしたツイナックス構造の2芯平行電線が適用される。
2芯平行電線は、例えば、中心導体(信号導体)を絶縁体で絶縁した2本の絶縁電線を、例えばポリエステルテープにアルミ箔を貼り付けたシールド導体で覆った構成を有する。そして、このシールド導体と絶縁電線との間に、シールド導体の導電面と接触するようにドレインワイヤを縦添して、グランドに接続するようにしている。シールド導体の外面は、樹脂材料の押出成形または樹脂テープの巻き付けによる外被で被覆される。
上記のような2本の絶縁電線を一括シールドし、その周囲を外被で被覆した構成の場合、各絶縁電線はそれぞれ別々の工程で製造されるため、絶縁電線の絶縁体の誘電率差が原因となって、2本の絶縁電線間で信号の伝播時間差である対内スキューが発生する。対内スキューが大きくなると、信号波形が崩れて信号品質の確保が難しくなる。
このような問題に対して、2芯一括被覆構造のケーブルが知られている。このケーブルは、2芯の信号導体を並行に並べ、この2芯の信号導体を絶縁体により一括して被覆する構成を有する。2芯の信号導体を一括被覆する構成により、2芯間の誘電率差が生じにくくなる。
例えば特許文献1には、並列に並べられた1対の内部導体を、発泡性の樹脂材料により一括押出被覆成形した作動伝送ケーブルが開示されている。
特開2013−214499号公報
特許文献1のように2芯の信号線を絶縁体により一括して被覆成形する場合、絶縁体の厚さや信号線の間隔を管理することは容易ではない。絶縁体を押出被覆成形するためのダイス内で、2芯の信号線の位置を確実に位置決めして安定させることが難しいためである。ケーブルの長さ方向にそって信号線の間隔が変化すると、心線同士の電磁結合の度合いが変化し、対内スキューが変化したり、あるいは信号減衰特性が変化して、2芯平行電線の長手方向で均一な信号伝送特性が得られなくなる。
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、2芯の信号線の対内スキューを低減させ、信号伝送特性が安定して得られる2芯平行電線を提供することを目的とする。
本発明による2芯平行電線は、平行に並列した2本の導体と、該2本の導体の間に前記導体に平行に配置された線状の絶縁体と、前記2本の導体および前記線状の絶縁体を一括被覆した被覆用絶縁体と、を有する2芯平行電線である。
本発明によれば、2芯の信号線の対内スキューを低減させ、信号伝送特性が安定して得られる2芯平行電線を提供することができる。
本発明による2芯平行電線の構成例を説明するための図である。 本発明による2芯平行電線の他の構成例を説明するための図である。 本発明による2芯平行電線のさらに他の構成例を説明するための図である。 本発明の実施形態によるシールドケーブルの絶縁体の被覆工程を説明するための図である。
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本願の2芯平行電線は、平行に並列した2本の導体と、該2本の導体の間に前記導体に平行に配置された線状の絶縁体と、前記2本の導体および前記線状の絶縁体を一括被覆した被覆用絶縁体と、を有する2芯平行電線である。これにより、2芯の信号線の対内スキューを低減させ、信号伝送特性が安定して得られる2芯平行電線を提供することができる。
(2)前記被覆用絶縁体の周囲に、導体によるシールド層を備え、該シールドの層の周囲に外被が形成されていることが好ましい。これにより、2芯平行電線をシールド層によるシールド機能と外被による保護機能とを付与したシールドケーブルとして構成することができる。
(3)前記被覆用絶縁体は、フッ素樹脂により形成されていることが好ましい。フッ素樹脂を用いることにより、耐熱性、絶縁性、耐薬品性等を向上させることができ、また充実押出被覆による細径化に好適となる。
(4)前記線状の絶縁体は、フッ素樹脂により形成されていることが好ましい。フッ素樹脂により、耐熱性、絶縁性、耐薬品性等を向上させることができる。また、被覆用絶縁体と同種の樹脂材料とすることで、被覆用絶縁体との接着一体性を向上させることができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明に係る2芯平行電線および2芯平行電線の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
図1は、本発明による2芯平行電線の構成例を説明するための図で、図1(A)は2芯平行電線として構成されたシールドケーブルの端面をその長さ方向正面から見たときの積層構成を示す図、図1(B)はそのシールドケーブルの構成を示す斜視概略図である。図1において、1は信号導体、2は絶縁体、3は樹脂紐、4はシールド層(外部導体)、5は外被、10はシールドケーブルである。
2芯平行電線として構成されたシールドケーブル10は、撚線からなる信号導体1を2本(2芯)平行に並べた構成を有する。各信号導体1の撚り線は、銅やアルミ等の電気良導体、またはこれらの電気良導体に錫メッキ等を施した素線を撚って形成され、例えば0.05mm径の線材を7本撚り合わせて作成したもの(番手でいうとAWG36)である。また、2本の信号導体1は、それぞれ単線の線材からなるものであってもよい。
信号導体1を電気的に絶縁するために信号導体1を被覆する絶縁体(被覆用絶縁体)2としては、フッ素樹脂が好適に用いられる。フッ素樹脂としては、例えばパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー (ETFE)を用いることができる。フッ素樹脂は、耐熱性、絶縁性、耐薬品性等を向上させることができ、また押出し成形時の引き落とし性がよく、細径化に好適となる。また、絶縁体2として、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等を用いてもよい。絶縁体2のサイズは、例えば長径が0.61mmで短径が0.50mmの楕円型の形状とされる。
絶縁体2の周囲には、シールド層(外部導体)4が設けられる。シールド層4は、例えば金属素線を編組、もしくは横巻きしたものを用いることができ、例えば0.05mm径の金属素線を用いることができる。シールド層4としてはこの他、アルミまたは銅などの金属箔をポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック基材(樹脂テープ)にラミネートした金属箔樹脂テープを巻き付けて構成してもよい。シールド層4により、2芯の信号導体1とその周囲の絶縁体2は、一括してシールドされる。
シールド層4の周囲には、導電体との電気的接触を防ぎ機械的強度を持たせるために外被5が被覆される。外被5は、例えばポリエステルテープを巻き付けて形成することができる。また外被5を、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等を用いて成形することができる。また、シールド層4の接地をとるために、図示しないドレイン線を配置してもよい。
本発明に係る実施形態では、2芯の信号導体1の間に線状の絶縁体からなる樹脂紐3を配置して、これら信号導体1と樹脂紐3とを絶縁体2により一体成形する。樹脂紐3は、2芯の信号導体1間の介在として設置するもので、平行に並列した信号導体1間で、信号導体1に接触して平行に配置される。これにより、信号導体1同士の間隔を一定にすることができる。樹脂紐と3としては、絶縁体2と同じ樹脂が好ましい。径が0.1mm径程度のモノフィラメントを用いることができる。樹脂紐3の外径は、信号導体1の外径と同じにすることが好ましい。両者を厳密に同寸法としなくても±15%(導体外径基準)程度の外径差とするのがよい。
絶縁体2と樹脂紐3は、均一な誘電率とする点で同材料とするのが好ましい。絶縁体2がフッ素樹脂(例えばPFA)であれば、樹脂紐3にもフッ素樹脂(例えばPFA)を使用するのが好ましい。樹脂紐3がモノフィラメントであると長さ方向にそって外径が安定し、信号導体1で挟んだ場合に導体間隔を樹脂紐3の外径として安定させることができて好ましい。フッ素樹脂により、耐熱性、絶縁性、耐薬品性等を向上させることができる。また、絶縁体2と同種の樹脂材料とすることで、絶縁体2との接着一体性を向上させることができる。
絶縁体2がフッ素樹脂であり、導体がAWG36番(断面積が0.013mm2)より細い場合は、絶縁体2がチューブ状となるので、信号導体1と樹脂紐3との境目近傍には隙間ができる。絶縁体2の引き落とし率を制御することにより、この隙間の大きさを制御して、ケーブルの絶縁体2の誘電率を長さ方向に一定にする。
図1(A)の断面でみて、絶縁体2の内面は、信号導体1を挟んで信号導体1の上下に平行線となるのではなく、信号導体1と樹脂紐3の境目の近傍の隙間に絶縁体2が落ち込んで、当該隙間が小さくなる形状とするのが好ましい。図1で見て、並列する信号導体1のそれぞれの上端を結ぶ線、並列する信号導体1のそれぞれの下端を結ぶ線よりも絶縁体2の内面が内側に落ち込んでいるのが好ましい。
図2および図3は、それぞれ本発明による2芯平行電線の他の構成例を示す図である。信号導体1と樹脂紐3との間の隙間を極力少なくするために、図2に示すように、樹脂紐3の断面を信号導体1の断面の径と同じ長さの辺を有する矩形とすることができる。あるいは、図3に示すように、樹脂紐3の信号導体1に接する側を信号導体1に添わせた曲線とすることで、信号導体1と樹脂紐3との間の隙間を極力小さくすることができる。
図4は、本発明の実施形態による2芯平行電線の絶縁体の被覆工程を説明するための図である。2芯平行電線として構成するシールドケーブル10の製造に際しては、2本の信号導体1を並列させ、その間に線状の樹脂紐3を介在させて一列に整列させ、これらを整列した状態で押出機に取り付けられたダイス20内に導入する。そしてダイス20の内部で、整列した信号導体1と樹脂紐3との周囲に絶縁体2の溶融樹脂材料を被覆して一体化する。ダイス20から出た絶縁体2は、引き落とし作用によって縮径する。
ここではダイス20の出口直後の径a1から引き落としによって径a2まで縮径させる。引き落としは、ダイス出口からの絶縁体の樹脂材料の吐出速度よりも信号導体1と樹脂紐3の線速を速くすることで発現する。例えばフッ素樹脂は、細径の充実押出被覆が難しいが、上記のように引き落としによって縮径させることで細径化が可能となる。このときに、2芯の信号導体1は、その間に樹脂紐3が介在して配置されているので、信号導体1の間隔が一定となった状態で絶縁体2が被覆され、一体化される。信号導体1と樹脂紐3とを被覆した絶縁体2は、その後冷却固化され、さらにその周囲に順にシールド層4、および外被5が形成されて、シールドケーブル10となる。
上記のような2芯の信号導体1を絶縁体2で一括被覆した構成により、絶縁体2自体の誘電率差が生じにくくなる。また、2芯の信号導体1の間に樹脂紐3を介在させることで2芯の信号導体1の間隔を一定とした状態で成形することができる。これにより、信号線同士の電磁結合の度合いの変化による対内スキューの変化が抑えられ、長手方向に均一な信号伝送特性を得ることができる。
(実施例)
外径0.05mmの錫メッキ軟銅線7本を撚った導体2本を平行に並べ、その間に外径0.14mmのモノフィラメントのPFAの樹脂紐(断面は円形)を入れ、導体と樹脂紐が接するようにそれらの周囲を絶縁体(PFA)で被覆した。
絶縁体の短径(厚さ)は0.5mm、長径(幅)は0.61mmとした。厚さ方向には導体の上下に0.175mmの厚さの絶縁体があり、幅方向に導体の横に0.08mmの厚さの絶縁体がある。この外に外径0.05mmの錫メッキ錫銅合金を33本を並列して螺旋に巻いて外部導体とした。その外にポリエステルテープを巻いて外被とした。このシールドケーブルの二つの導体の間隔は0.14mmであり、長さ方向に安定した間隔となった。
比較例として、樹脂紐を無くして、他は同材料、同寸法でシールドケーブルを製造した。この二つの導体の間隔は長さ方向に安定しなかった。
1…信号導体、2…絶縁体、3…樹脂紐、4…シールド層、5…外被、10…シールドケーブル、20…ダイス。

Claims (4)

  1. 平行に並列した2本の導体と、該2本の導体の間に前記導体に平行に配置された線状の絶縁体と、前記2本の導体および前記線状の絶縁体を一括被覆した被覆用絶縁体と、を有する2芯平行電線。
  2. 前記被覆用絶縁体の周囲に、導体によるシールド層を備え、該シールドの層の周囲に外被が形成されている、請求項1に記載の2芯平行電線。
  3. 前記被覆用絶縁体は、フッ素樹脂により形成されている、請求項1または2に記載の2芯平行電線。
  4. 前記線状の絶縁体は、フッ素樹脂により形成されている、請求項1〜4のいずれか1に記載の2芯平行電線。
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