JP2002162481A - 時計用文字板の製造方法 - Google Patents

時計用文字板の製造方法

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JP2002162481A JP2000360444A JP2000360444A JP2002162481A JP 2002162481 A JP2002162481 A JP 2002162481A JP 2000360444 A JP2000360444 A JP 2000360444A JP 2000360444 A JP2000360444 A JP 2000360444A JP 2002162481 A JP2002162481 A JP 2002162481A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来電鋳メッキ法で形成していた時計用文字
板を安いコストで同等の品質精度が得られる製造方法を
見いだす。 【解決手段】 プラスチック基板11の片面に模様11
aが形成されたブランク11Aを形成する工程と、ブラ
ンク11Aの模様11a形成面に金属蒸着膜12を形成
する工程と、金属蒸着膜12上に金属メッキ膜13を形
成する工程と、金属メッキ膜13上に透過性保護膜14
を形成する工程と、透過性保護膜14が形成されたブラ
ンク11Aを文字板形状に成形する工程とを有する。プ
ラスチック基板に形成した模様面に蒸着、メッキを施し
て、それを直接文字板として使用することにより、従来
プラスチック基板の模様を電鋳メッキ法によって転写し
て形成した電鋳の文字板より非常に安く製造することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属感が現れて複雑
な模様を有する時計用文字板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】時計用文字板に各種の模様を施して装飾
性を高めたり、或いは模様の種類を変えてバリエーショ
ンを増やしたりすることが行われている。また、それら
の模様を金属板に施して金属感を出現させ、高級感を持
たせることも行われている。そして、これら各種の模様
としては旭光模様,梨地模様,ストライプ模様,サーク
ル模様などの比較的単純模様から格子模様,編み目模
様,幾何学模様などの複雑な模様まで各種幅広く選択使
用されている。
【0003】従来時計用文字板に、これらの模様を形成
する方法としては色々な方法が取られている。特に複雑
な形状の模様を形成する場合の一つの方法としては図9
及び図10に示す製造方法が取られている。図9及び図
10は模様を有する文字板の製造方法を説明する工程図
であり、要部断面の拡大図を示している。
【0004】先ず図9(a)は上面に模様101aを有
するプラスチック板101を射出成形方法で形成した図
を示している。これは、射出成形装置と金型を使って形
成するが、模様101aは金型に形成した模様を転写す
ることによって得られる。
【0005】次に、図9(b)はプラスチック板101
の模様101a上に蒸着方法によって金属蒸着膜102
を形成した図を示している。これは、蒸着装置を使って
金属、例えばニッケル金属などを1000Å位の厚みに
蒸着を施して金属蒸着膜102を形成する。
【0006】次に、図9(c)は、前記図9(b)にお
いて形成した金属蒸着膜102の上に離型剤103を塗
布した図を示している。この離型剤103は離型剤液に
浸漬することによって形成される。
【0007】次に、図9(d)は離型剤103を塗布し
た金属蒸着膜102の上に厚メッキを施して電鋳層10
4を形成した図を示している。この電鋳層104はニッ
ケルメッキや銅メッキなどの金属メッキを長時間施する
ことによって得られ、概ね400〜500μm位の厚み
に形成する。
【0008】次に、図9(e)は、前記図9(d)で形
成した電鋳層104の上面を切削し、上面を平坦面10
4aに仕上げた図を示している。切削工具を使って上面
を切削し平坦な面に仕上げる。切削方法以外の方法とし
ては研削方法で平坦な面に仕上げることも行われてい
る。
【0009】次に、図9(f)は電鋳層104をプラス
チック板101から剥離して、上記図9(e)で切削し
て形成した平坦面104aを下面側に向けた状態を示し
た図である。電鋳層104は離型剤103によって容易
に剥離することができる。また、図9(f)に示した電
鋳層104の剥離した面、即ち上面側にはプラスチック
板101に形成した模様101aの転写模様104bが
転写によつて形成される。
【0010】次に、図10(g)はプレス方法によって
文字板の中心孔104cや植字用小孔104e、文字板
の外形104dなどの文字板形状を形成した図を示して
いる。この中心孔104cや植字用小孔104e、外形
形状104dは電鋳層104をプレスすることで形成す
る。
【0011】次に、図10(h)は電鋳層104の下
面、即ち、平坦面104aの所定の2箇所に足105を
溶接固定した図を示している。この足105は文字板を
時計のムーブメントに固定するために設けるもので、電
気溶接方法などで足105を溶接する。
【0012】次に、図10(i)は前記図10(h)に
おいて、足105を固定した電鋳層104にメッキ10
6を施したものである。このメッキ106は防錆目的や
装飾目的に施すもので、ニッケルメッキやパラジウムメ
ッキ、金メッキなどの各種のメッキが選択され、0.数
μ〜数μの厚みに施される。
【0013】次に、図10(j)は電鋳層104の模様
104bを形成した上面側、メッキ106の上に透明或
いは着色を施した透過性の有る塗料膜107を形成し、
更に、この塗料膜107の上面を研磨して光沢のある平
滑面に仕上げた図を示している。この塗料膜107は印
刷方法や塗装方法などで形成する。また、上面の平滑面
は研磨装置を用いて研磨することによって得られる。
【0014】次に、図10(k)は塗料膜107の平滑
な上面に時字やマークなどの指標108を形成した図を
示している。この指標108は印刷方法や金属から出来
た指標を接着或いは植字方法などで形成する。
【0015】以上のような方法で形成された時計用文字
板100は図10(k)に示すように電鋳層104の上
面に模様104bが転写によって形成され、更にその上
に装飾目的のメッキ106や透過性塗料膜107を形成
していることから模様に金属感が現れる。また、その模
様も金型からの転写方法によって形成しているため非常
に綺麗な模様が形成され、さらに複雑で微細な形状の模
様であっても正確に精度良く転写形成される。この方法
は、金型に形成した模様から転写する方法を取っている
ことから、金型に精度の良い模様を1個形成するだけで
良く、その金型から非常に多くの生産量を得ることがて
きるので量産性に適した製造方法である。
【0016】次に、図11に示す時計用文字板200
は、上記とは異なる方法によって形成した従来の文字板
の構成を示すものである。この時計用文字板200は、
上記図9及び図10(g)における工程で形成した平坦
な下面104aと上面に模様104bを有する電鋳層1
04に更に図10(i)、(j)におけるメッキ106
と塗料膜107を形成し、これを足205が取付けられ
た金属基板201に接着固定し、最後に指標108を印
刷方法や接着方法、或いは植字方法などによって形成し
たものである。この方法によって形成する電鋳層104
は薄くて良く、100〜200μmの厚みがあれば良い
ものである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた方法で形成
する時計用文字板の模様は金属感を有しており、非常に
複雑な形状の模様や非常に微細な模様も精度良く、しか
も量産性をもって形成することができる。しかしなが
ら、上記で述べたごとく非常に工程数も多く、また、長
時間の電鋳メッキを行うので文字板の製作手番が非常に
長くなる。当然ながら、このことはコスト的にも高いも
のとなっていた。
【0018】また、離型剤の塗布が不十分な場合などは
電鋳層がうまく剥離されずに不良になることも多く、歩
留まりの面でも問題を有していた。
【0019】また、電鋳メッキ液の管理も大変で、電鋳
層の硬度がHv200以上になってしまうと、プレス作
業において植字用小孔明けにプレスの矢などが折れると
云う問題も発生するものであった。
【0020】また、足を溶接固定するのにスポット溶接
方法を取る。これは、電鋳メッキで形成した文字板の光
沢性をそのまま保持するためであるが、このスポット溶
接法では溶接強度を高めようとすると溶接部分の文字板
の表面側に凸部が発生し、外観上良くないと云う問題も
有していた。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
することを目的にして成されたものである。そして、そ
の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る時計
用文字板の製造方法は、プラスチック基板の片面に模様
が形成されたブランクを形成する工程と、前記ブランク
の模様形成面に金属蒸着膜を形成する工程と、前記金属
蒸着膜上に金属メッキ膜を形成する工程と、前記金属メ
ッキ膜上に透過性保護膜を形成する工程と、前記透過性
保護膜が形成されたブランクを時計用文字板に形成する
工程とを有することを特徴とするものである。
【0022】また、本発明の請求項2に係る時計用文字
板の製造方法は、プラスチック基板の片面に模様が形成
されたブランクを形成する工程と、前記ブランクの模様
形成面に金属蒸着膜を形成する工程と、前記金属蒸着膜
上に金属メッキ膜を形成する工程と、前記金属メッキ膜
上に透過性保護膜を形成する工程と、前記透過性保護膜
が形成されたブランクを時計用文字板に形成する工程
と、前記時計用文字板を金属基板に貼合わせる工程とを
有することを特徴とするものである。
【0023】また、本発明の請求項3に係る時計用文字
板の製造方法は、プラスチック基板の片面に模様が形成
されたブランクを形成する工程と、前記ブランクの模様
形成面に金属蒸着膜を形成する工程と、前記金属蒸着膜
上に透過性保護膜を形成する工程と、前記透過性保護膜
が形成されたブランクを時計用文字板に形成する工程と
を有することを特徴とするものである。
【0024】また、本発明の請求項4に係る時計用文字
板の製造方法は、プラスチック基板の片面に模様が形成
されたブランクを形成する工程と、前記ブランクの模様
形成面に金属蒸着膜を形成する工程と、前記金属蒸着膜
上に透過性保護膜を形成する工程と、前記透過性保護膜
が形成されたブランクを時計用文字板に形成する工程
と、前記時計用文字板を金属基板に貼合わせる工程とを
有することを特徴とするものである。
【0025】また、本発明の請求項5に係る時計用文字
板の製造方法は、前記透過性保護膜の上面は研磨されて
平滑面に仕上げられていることを特徴とするものであ
る。
【0026】また、本発明の請求項6に係る時計用文字
板の製造方法は、前記プラスチック基板のブランクが外
周部の対向した2箇所に突出部を形成しており、この2
箇所の突出部にも前記金属蒸着膜が形成されることを特
徴とするものである。
【0027】また、本発明の請求項6に係る時計用文字
板の製造方法は、前記金属メッキ膜が前記2箇所の突出
部に形成された金属蒸着膜を電気接点とした電気メッキ
法によって形成されることを特徴とするものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係
る時計用文字板の要部断面図である。図2及び図3は図
1における時計用文字板の製造方法を説明する工程説明
図で、要部断面図を示している。
【0029】上記図1において、この時計用文字板10
は、2本の足11bが付いて上面に模様11aが設けら
れたプラスチック基板11と、上面の模様11a面に施
した金属蒸着膜12と、この金属蒸着膜12の上に施し
た金属メッキ膜13と、この金属メッキ膜13上に形成
した上面平滑な透過性保護膜14と、この透過性保護膜
14の上面に設けた時字,マークなどから成る指標15
とで構成される。
【0030】上記プラスチック基板11はポリカーボネ
イト樹脂などからできており、射出成形方法で上面の模
様11aと2本の足11bを一体に成形した状態で形成
する。このプラスチック基板11は上記以外の材料とし
てガラスファイバー入りのエポキシ樹脂,アクリル樹
脂,ABS樹脂,ナイロンなど各種の材料を選択するこ
とができる。また、上面の模様11aは金型に形成した
模様から転写されて形成される。この模様11aは梨地
模様,旭光模様,格子模様,編み目模様,幾何学模様な
ど各種の模様を選択することができる。上記2本の足1
1bは文字板を時計用ムーブメントブロックに取付固定
するためのものである。また、プラスチック基板11の
中心部に小孔11cを形成するが、これは時計指針を取
り付けるための小孔である。
【0031】プラスチック基板11の模様11a上に施
す金属蒸着膜12は、主として後述する金属メッキを施
すために設けるもので、電気メッキを行う導通の役目を
成す。この金属蒸着膜12は導電性の良い銀,銅などの
金属材料を使用するのが好ましいが、ニッケル,錫,金
などの各種の金属材料を選択することもでき、略100
0Å位の厚みに施される。1000Å位の厚みの金属蒸
着膜12は光沢感が現れる。
【0032】金属蒸着膜12の上に施す金属メッキ膜1
3は、耐蝕目的や装飾目的、及び金属感を出す目的など
のために施すもので、これもニッケルメッキや銀メッ
キ,クロムメッキ,パラジウムメッキ,金メッキなど各
種のメッキを選択することができる。この金属メッキ膜
厚は厚くても2μm有れば十分である。このように、金
属蒸着膜12の上に金属メッキ13を形成したもとでは
光沢感を持った金属感が現れる。
【0033】金属メッキ膜13の上に施す透過性保護膜
14は、模様11aを傷などから保護する目的と金属メ
ッキ膜13の耐蝕性を良くする目的で設ける。この透過
性保護膜14は透明或いは僅かに着色された透過性の保
護膜で、ポリウレタン樹脂やアクリル樹脂などの樹脂が
選択される。また、この透過性保護膜14の上面は研磨
されて光沢のある平滑面に仕上げられる。
【0034】時字やマークを成す指標15は印刷方法や
金属指標を接着方法或いは植字方法などで形成する。
【0035】以上の構成を成す時計用文字板10は、金
属蒸着膜12と金属メッキ膜13によって光沢感のある
金属感を十分に出現させる。また、形成されたその模様
によって装飾性を非常に高める。また、その模様も金型
からの転写方法によって形成されることから複雑な形状
や微小な形状であっても精度良い形状が得られる。ま
た、各種のメッキを施すことができるので貴金属感色な
ども出すことも容易である。模様の種類やメッキ金属色
調も色々選択することができるので、そのバリエーショ
ンも非常に増やすことができる。そして、従来の電鋳メ
ッキ方法で形成した時計用文字板と何ら遜色のない同等
の外観品質を得ることができる。
【0036】次に、上記構成の時計用文字板10の製造
方法を図2及び図3によって説明する。図2(a)は、
金型と射出成形装置を用い、射出成形方法によって下面
に2本の足11bと上面に模様11aを一体に成形した
プラスチック基板11のブランク11Aの断面図を示し
ており、図2(b)はその正面図を示している。模様1
1aは金型に施した模様から転写方法によって成形する
が、上面一定の範囲の内周部に形成している。また、こ
のブランク11Aは外周部の対向する位置2箇所に突出
部11m、11nを形成している。この2箇所の突出部
11m、11nは後述するメッキ工程において電気メッ
キするための引掛け金具に引掛けるために形成するもの
である。
【0037】次に、図2(c)は蒸着方法によってブラ
ンク11Aの模様11a面側に金属蒸着を施し、金属蒸
着膜12を形成した図を示している。金属蒸着膜12は
突出部11m、11nの範囲をも含んで形成する。
【0038】次に、図2(d)は、電気メッキ方法によ
って金属蒸着膜12の上に金属メッキを施し、金属メッ
キ膜13を形成した図を示している。ここでのメッキ厚
は前述したように厚くても2μm位で良い。ブランク1
1Aの金属蒸着膜12を形成した2箇所の突出部11
m、11n部分をメッキ用引掛け金具に引掛けてメッキ
浴液層に浸漬し、引掛け金具を介して金属蒸着膜12に
電流を導通させることによって金属蒸着膜12上に金属
メッキを施す。従って、2箇所の突出部11m、11n
に形成された金属蒸着膜12は金属メッキ膜13を形成
するための電気接点の役目をなす。
【0039】次に、図3(e)は、金属メッキ膜13を
形成した面側に透過性保護膜14を印刷方法または塗装
方法によって形成した図を示している。金属メッキ膜1
3を形成した後、金属メッキ膜13の耐蝕性などを良く
するために透過性保護膜14を印刷方法または塗装方法
によって形成する。
【0040】次に、図3(f)は、金型とプレス装置を
用い、プレス方法によって中心孔11c及び外形11d
をプレスして文字板形状のプラスチック基板11を形成
した図を示している。この時、指標の植字用の小孔(図
中略)も必要とする場合はプレスして成形する。透過性
保護膜14を形成した後プレスして文字板の所定形状に
形成する。
【0041】次に、図3(g)は、研磨装置を用いて前
記透過性保護膜14の上面14aを研磨し、平滑面に仕
上げた図を示している。プレスした後研磨して平滑な上
面に仕上げるので傷などのない綺麗な文字板表面が得ら
れる。
【0042】次に、図3(h)は、透過性保護膜14の
平滑な上面14aに印刷方法または接着方法、或いは植
字方法などで時字やマークなどの指標15を形成した図
を示している。最後に指標などを形成して文字板を完成
させる。
【0043】以上説明した製造方法を取ることによっ
て、図1に示した構成の時計用文字板10を得ることが
出来る。このような製造方法では、従来行っていた数1
00μにも及ぶ電鋳メッキを行う必要もなく、従来と全
く同じ外観品質の文字板が得られる。当然ながら工程数
も少なくて製作コストも安いものが得られる。また、メ
ッキ厚も薄いのでプレス作業においてプレスの矢が破損
する心配もない。
【0044】また、プラスチック基板に形成する模様も
成形金型から転写して形成しているので、複雑な形状も
微細な形状も全く同じ精度で転写形成することができ、
従来の電鋳メッキで形成した模様と全く変わらぬ形状精
度を得ることができる。
【0045】また、メッキも各種のメッキや模様も各種
の模様が選択できるので、それらを組み合わせたりして
装飾性を高めたり、デザインバリエーションを増やすこ
とができる。
【0046】また、本実施の形態においては、透過性保
護膜の上面を光沢のある平滑面に仕上げているが、単に
透過性保護膜を形成した状態のままで使用することもで
きる。平滑面に仕上げると模様に深みを帯びて高級感を
感じさせる。
【0047】また、本実施の形態においては、プラスチ
ック基板のブランクの外周部の対向した2箇所に突出部
を設け、その突出部にも金属蒸着膜を形成して、この2
箇所の突出部を利用してメッキ工程における引掛け金具
への取付と電流の導通接点に利用している。このように
突出部を設けると引掛け金具への取付易さが生まれて作
業性を良くすることができる。
【0048】また、プラスチック基板にはムーブメント
との取付け用の2本の足を射出成形時に一体的に形成し
ている。このように2本の足まで一体的に設けたプラス
チック基板そのものを使用することによって、従来のよ
うにスポット溶接で接着固定する必要もなくなるので溶
接による品質問題も発生せず、しかも安く足を形成する
ことができる。
【0049】以上説明した製造方法は、射出成形方法に
よってプラスチック基板11の模様11aを金型から転
写した場合の製造方法を述べたものであるが、模様11
aを形成する他の製造方法として図4に示した方法を取
ることができる。即ち、プラスチック基板の模様をホッ
トプレス方法によって形成する形成方法である。図4に
おいて、外周部の対向する2箇所に突出部を有するプラ
スチック基板のブランク21Aを平坦な下型30上に載
置し、一定の加熱の下で、その下面に模様31aが形成
された上型31を上方から一定の加圧力でブランク21
A上に押し付けると、ブランク21Aの上面に上型31
の模様31aが転写される。例えば、ポリカーボネイト
樹脂で形成したプラスチック基板のブランク21を約1
60°〜180°C位に加熱した下型、上型で所定の圧
力の基で所定時間プレスすることによってブランク21
Aに模様が転写される。このホットプレス方法で形成し
たプラスチック基板のブランク21Aは、上記図2
(a)及び(b)で説明したプラスチック基板11のブ
ランク11Aと全く変わらぬ形状のものが得られる。
【0050】図5は本発明の第2の実施形態に係わる時
計用文字板の要部断面図である。また、図6及び図7は
その製造方法を説明する工程図で、要部断面図を示して
いる。
【0051】図5において、この時計用文字板50は、
2本の足56bを設けた金属基板56と、金属基板56
に接着固定されてその上面に模様51aを形成したプラ
スチック基板51と、プラスチック基板51の模様51
a上に施した金属蒸着膜52と、この金属蒸着膜52上
に施した金属メッキ膜53と、この金属メッキ膜53上
に形成した平滑面を有する透過性保護膜54と、この透
過性保護膜54の平滑な上面に形成した時字やマークな
どから成る指標55とで構成される。
【0052】ここで、金属基板56は真鍮などの金属板
をプレス方法によって所定の文字板形状に形成したもの
で、その下面2箇所に足を電気溶接法で溶接固定してあ
る。
【0053】プラスチック基板51は、射出成形方法に
よって形成し、その上面には金型から転写した模様51
aが形成される。尚、模様51aは前記図4において説
明したホットプレス方法によって形成することもでき
る。
【0054】金属蒸着膜52、金属メッキ膜53、透過
性保護膜54、及び指標55は、前記第1の実施形態で
説明したものと全く同じであるので、ここではその説明
を省略する。
【0055】次に、上記構成の時計用文字板50の製造
方法を図6及び図7に基づいて説明する。図6(a)は
射出成形方法によって模様51aを有するプラスチック
基板のブランク51Aを形成した図を示しており、図6
(b)はその正面図を示している。外周部の対向する2
箇所に突出部51m、51nも形成している。
【0056】次に、図6(c)は、ブランク51Aの模
様51a面側に蒸着方法によって金属蒸着膜52を形成
した図を示している。射出成形方法によって形成したブ
ランク51Aに蒸着装置で金属蒸着を施し、金属蒸着膜
52を形成する。
【0057】次に、図6(d)は、金属蒸着膜52上に
金属メッキ膜53を形成した図を示している。金属蒸着
膜52を形成したブランク51Aをメッキ用引掛け金具
に引掛け、メッキ浴液漕に浸漬して電気メッキすること
によって金属メッキ膜53が形成される。
【0058】次に、図7(e)は、金属メッキ膜53を
形成したブランク51Aに透過性保護膜54を形成した
図を示している。透過性塗料を印刷または塗装すること
によって形成する。
【0059】次に、図7(f)は、プレス方法によって
ブランク51Aを文字板形状のプラスチック基板51に
仕上げた図を示している。プレス装置を使って中心孔5
1cや外形51dをプレスして文字板形状に仕上げる。
【0060】次に、図7(g)は、文字板形状に仕上げ
たプラスチック基板51を金属基板56に接着固定した
図を示している。金属基板56は金属板をプレスして文
字板形状に仕上げ、2本の足を溶接固定して得られる。
【0061】次に、図7(h)は、金属基板56に固定
したプラスチック基板51の透過性保護膜54の上面5
4aを、研磨方法によって光沢のある平滑面に仕上げた
図を示している。研磨装置を使って研磨することで平滑
な上面54aが得られる。
【0062】次に、図7(i)は、透過性保護膜54の
平滑な上面54aに時字やマークの指標55を形成した
図を示している。印刷方法や接着方法、或いは植字方法
で指標55を形成することができる。
【0063】以上説明した製造方法を取ることによっ
て、金属板を備えた強固な時計用文字板50を得ること
ができる。このような製造方法では、従来行っていた数
100μにも及ぶ電鋳メッキを行う必要もなく、従来と
全く同じ外観品質の文字板が得られる。当然ながら工程
数も少なくて製作コストも安いものが得られる。また、
メッキ厚も薄いのでプレス作業においてプレスの矢が破
損する心配もない。
【0064】また、プラスチック基板に形成する模様も
成形金型或いはホットプレス上型から転写して形成して
いるので、複雑な形状も微細な形状も全く同じ精度で転
写形成することができ、従来の電鋳メッキで形成した模
様と全く変わらぬ形状精度を得ることができる。
【0065】また、メッキも各種のメッキや模様も各種
の模様が選択できるので、それらを組み合わせたりして
装飾性を高めたり、デザインバリエーションを増やすこ
とができる。
【0066】図8は本発明の第3の実施形態に係わる時
計用文字板を示したものである。図8において、この時
計用文字板60は、下面に2本の足61bと上面に模様
61aを形成したプラスチック基板61と、模様61a
面上に形成した金属蒸着膜62と、金属蒸着膜62上に
形成した透過性保護膜64と、時字などの指標65とで
構成されている。
【0067】前記時計用文字板60は、前述した第1の
実施形態や第2の実施形態で説明した金属メッキ膜を設
けていない。ここでは、金属メッキ膜に代わって金属蒸
着膜62がその役割を果たしている。例えば、銀蒸着膜
或いは金蒸着膜などはそれ自体に貴金属感が現れるの
で、あえてその上に銀メッキや金メッキを施して貴金属
感を出す必要はないからである。
【0068】上記構成の時計用文字板60の製造方法
は、前述の第1の実施形態において、図2(d)で説明
したメッキ工程を省いたものである。
【0069】同様に、前述の第2の実施形態において
も、金属蒸着膜等の仕様によってはメッキ工程を省くこ
ともできるものである。
【0070】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、成形金型或
いはホットプレス金型から転写して模様を形成したプラ
スチック基板そのものを文字板形状に形成し、その模様
上に金属蒸着膜や金属メッキ膜を形成して文字板を形成
する製造方法を取れば、従来行っていた数100μにも
及ぶ電鋳メッキを行う必要もなく、非常に安いコストで
従来と全く同じ外観品質の文字板が得られる。また、メ
ッキ厚も薄いのでプレス作業においてプレスの矢が破損
する心配もない。
【0071】また、プラスチック基板に形成する模様も
成形金型或いはホットプレス金型から転写して形成する
ので、複雑な形状も微細な形状も全く同じ精度で転写形
成することができ、従来の電鋳メッキで形成した模様と
全く変わらぬ形状精度を得ることができる。
【0072】また、メッキや模様を各種の中から選択
し、またそれらを組み合わせることで装飾性が高められ
ると共に、デザインバリエーションを増やすことができ
る。
【0073】また、金属蒸着膜や金属メッキ膜の仕様に
よっては金属メッキを省くこともできるので更にコスト
を安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る時計用文字板の
要部断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る時計用文字板の製造方法
の前半部分を示す工程説明図である。
【図3】第1の実施形態に係る時計用文字板の製造方法
の後半部分を示す工程説明図である。
【図4】プラスチック基板に模様を形成する他の製造方
法を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る時計用文字板の
要部断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る時計用文字板の製造方法
の前半部分を示す工程説明図である。
【図7】第2の実施形態に係る時計用文字板の製造方法
の後半部分を示す工程説明図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る時計用文字板の
要部断面図である。
【図9】従来における時計用文字板の製造方法の前半部
分を示す工程説明図である。
【図10】従来における時計用文字板の製造方法の後半
部分を示す工程説明図である。
【図11】他の製造方法によって形成した従来の時計用
文字板の構成図である。
【符号の説明】
10、50、60 時計用文字板 11、51、61 プラスチック基板 11A、51A ブランク 11a、51a、61a 模様 11b、56b、61b 足 11m、11n、51m、51n 突出部 12、52、62 金属蒸着膜 13、53 金属メッキ膜 14、54、64 透過性保護膜 14a、54a 上面 15、55、65 指標 56 金属基板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基板の片面に模様が形成さ
    れたブランクを形成する工程と、前記ブランクの模様形
    成面に金属蒸着膜を形成する工程と、前記金属蒸着膜上
    に金属メッキ膜を形成する工程と、前記金属メッキ膜上
    に透過性保護膜を形成する工程と、前記透過性保護膜が
    形成されたブランクを時計用文字板に形成する工程とを
    有していることを特徴とする時計用文字板の製造方法。
  2. 【請求項2】 プラスチック基板の片面に模様が形成さ
    れたブランクを形成する工程と、前記ブランクの模様形
    成面に金属蒸着膜を形成する工程と、前記金属蒸着膜上
    に金属メッキ膜を形成する工程と、前記金属メッキ膜上
    に透過性保護膜を形成する工程と、前記透過性保護膜が
    形成されたブランクを時計用文字板に形成する工程と、
    前記時計用文字板を金属基板に貼合わせる工程とを有し
    ていることを特徴とする時計用文字板の製造方法。
  3. 【請求項3】 プラスチック基板の片面に模様が形成さ
    れたブランクを形成する工程と、前記ブランクの模様形
    成面に金属蒸着膜を形成する工程と、前記金属蒸着膜上
    に透過性保護膜を形成する工程と、前記透過性保護膜が
    形成されたブランクを時計用文字板に形成する工程とを
    有していることを特徴とする時計用文字板の製造方法。
  4. 【請求項4】 プラスチック基板の片面に模様が形成さ
    れたブランクを形成する工程と、前記ブランクの模様形
    成面に金属蒸着膜を形成する工程と、前記金属蒸着膜上
    に透過性保護膜を形成する工程と、前記透過性保護膜が
    形成されたブランクを時計用文字板に形成する工程と、
    前記時計用文字板を金属基板に貼合わせる工程とを有し
    ていることを特徴とする時計用文字板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記透過性保護膜の上面は研磨されて平
    滑面に仕上げられていることを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれかに記載の時計用文字板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記プラスチック基板のブランクは、外
    周部の対向した2箇所に突出部を形成しており、この2
    箇所の突出部にも前記金属蒸着膜が形成されることを特
    徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の時計用文字
    板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金属メッキ膜は、前記2箇所の突出
    部に形成された金属蒸着膜を電気接点とした電気メッキ
    法によって形成されることを特徴とする請求項1又は2
    及び請求項6記載の時計用文字板の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008102018A (ja) * 2006-10-19 2008-05-01 Seiko Epson Corp 時計用文字板の製造方法、時計用文字板及び時計
JP2011080963A (ja) * 2009-10-09 2011-04-21 Nippon Steel Corp 最表層観察に適した断面研磨方法
JP2013040773A (ja) * 2011-08-11 2013-02-28 Yazaki Corp 金属調文字板及び当該金属調文字板の製造方法

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