JP2002160483A - ボールペンチップ用ボール及びボールペンチップ - Google Patents

ボールペンチップ用ボール及びボールペンチップ

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JP2002160483A
JP2002160483A JP2000360421A JP2000360421A JP2002160483A JP 2002160483 A JP2002160483 A JP 2002160483A JP 2000360421 A JP2000360421 A JP 2000360421A JP 2000360421 A JP2000360421 A JP 2000360421A JP 2002160483 A JP2002160483 A JP 2002160483A
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ball
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ink
diameter
ballpoint pen
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JP2000360421A
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Masao Hashi
雅夫 橋
Shigeru Okumura
茂 奥村
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 「ボテ」の発生を抑え、また、「かすれ」の
発生も抑え、しかも、「書き味」がなめらかなボールペ
ンチップ用ボール20を提供する。 【解決手段】 ボールペンチップ用ボール20の表面に多
数の凹部90を形成する。また、各凹部90を、それぞれ半
球状又はほぼ半球状に形成する。更に、各凹部90を、ボ
ールペンチップ用ボール20の表面にほぼ均一に形成す
る。そして、各凹部90の最大直径をA、各凹部90の最小
直径をB、各凹部90の最大深さをC、ボールペンチップ
用ボール20の直径をDとしたときに、0.01≦(A+
B)/2D≦0.30(式1)、及び0.01≦C/D
≦0.15(式2)を満たすように形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールペンチップ
用ボール、及びボールペンチップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のボールペンチップの一例を、図3
とともに説明する。図3に示すボールペンチップ10は、
ボール20とホルダー30とを備えている。前記ボール20
は、筆記面にインクを塗布するためのものである。この
ボール20は、超硬合金、ステンレス、焼入鋼、又はセラ
ミックなどを用いて形成されている。
【0003】また、このボール20は、表面がなめらかな
球状に形成されている。また、前記ホルダー30は、ボー
ル20を回転自在に保持するためのものである。このホル
ダー30は、ステンレス製の線材などを用いて形成されて
いる。また、このホルダー30は、ボールハウス40、イン
ク誘導孔50、インク溝60、及びカシメ部70などを有して
いる。
【0004】前記ボールハウス40は、ボール20を収納す
るためのものである。このボールハウス40は、ホルダー
30の一方側の端部近辺に設けられ、ボール20の直径より
も内径がわずかに大きい円筒状の側面部と、インク誘導
孔50側へ向けて内径を次第に小さくする円錐状の底面部
とを有している。また、このボールハウス40は、線材の
一方側から他方側へ向けて、線材の軸心に回転軸を一致
させたドリルで切削することによって形成されている。
【0005】また、前記インク誘導孔50は、ボールハウ
ス40に収納されたボール20にインクを供給するためのも
のである。このインク誘導孔50は、ホルダー30の反ボー
ルハウス40側の端部からボールハウス40まで貫通してい
る。また、このインク誘導孔50は、線材の反ボールハウ
ス40側の端部からボールハウス40側へ向けて、線材の軸
心に回転軸を一致させたドリルで切削することによって
形成されている。
【0006】また、前記インク溝60は、ボールハウス40
に収納されたボール20にインクが十分に供給されるよう
にするためのものである。このインク溝60は、インク誘
導孔50のボールハウス40側の内周面に、インク誘導孔50
の中心からみて放射状に設けられている。また、このイ
ンク溝60は、線材のボールハウス40側からインク誘導孔
50側へ向けて、ブローチ加工を施すことによって形成さ
れている。
【0007】また、前記カシメ部70は、ボールハウス40
に収納したボール20が外部に飛び出さないようにするた
めのものである。このカシメ部70は、ホルダー30のボー
ルハウス40側の端部に設けられている。また、このカシ
メ部70は、ボールハウス40にボール20を収納した後に、
線材のボールハウス40側の端部に圧延加工を施すことに
よって形成されている。
【0008】そして、このカシメ部70により、ボール20
は、その一部をボールハウス40から突出させつつ、ホル
ダー30の先端に回転自在に保持されることとなってい
る。更に、ボール20とカシメ部70との間には、クリアラ
ンス80と呼ばれる微小な間隙が設けられ、ボール20の回
転に伴って、このクリアランス80からインクが流出する
こととなっている。
【0009】そして、ボール20の表面に付着したイン
ク、及びボール20の回転に伴ってクリアランス80から流
出したインクが、筆記面に転写されることにより、筆記
面に描線が描かれるのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のボー
ルペンチップは、筆記面やホルダーをインクの塊で汚し
てしまう現象(以下「ボテ」という)や、描線が薄くな
ったり途切れたりしてしまう現象(以下「かすれ」とい
う)を起こしやすいという欠点を有していた。ここで、
「ボテ」の発生要因の一つとして、クリアランスが広す
ぎるということが考えられる。
【0011】しかし、クリアランスを狭くすると、「ボ
テ」の発生を抑えることはできるものの、一方で、クリ
アランスから流出するインクの量が減少することによ
り、「かすれ」を起こしやすくなってしまうのである。
また、「かすれ」の発生要因の一つとして、クリアラン
スが狭すぎるということが考えられる。
【0012】しかし、クリアランスを広くすると、「か
すれ」の発生を抑えることはできるものの、一方で、ク
リアランスから流出するインクの量が増大することによ
り、「ボテ」を起こしやすくなってしまうのである。す
なわち、クリアランスの調整だけで、「ボテ」の発生を
抑えつつ、「かすれ」の発生も抑えることは、極めて困
難なのである。
【0013】更に、従来のボールペンチップ用ボール
は、その表面がなめらかに形成されていたため、筆記面
上で滑りやすく、このことも、「かすれ」の発生要因の
一つと考えられる。そこで、本発明のうち請求項1に記
載した発明は、表面に多数の凹部を設けることにより、
「ボテ」の発生を抑え、しかも、「かすれ」の発生も抑
えられるようにしたボールペンチップ用ボールを提供す
ることを目的とする。
【0014】また、本発明のうち請求項2に記載した発
明は、請求項1に記載した発明の目的に加えて、各凹部
の形状を半球状又はほぼ半球状とすることにより、「ボ
テ」の発生をより確実に抑え、しかも、「かすれ」の発
生もより確実に抑えられるようにしたボールペンチップ
用ボールを提供することを目的とする。また、本発明の
うち請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載
した発明の目的に加えて、各凹部を表面にほぼ均一に設
けることにより、「書き味」のなめらかさが損なわれな
いようにしたボールペンチップ用ボールを提供すること
を目的とする。
【0015】また、本発明のうち請求項4に記載した発
明は、請求項1ないし3に記載した発明の目的に加え
て、各凹部の大きさを、所定の範囲内に限定することに
より、「書き味」のなめらかさが損なわれないようにし
つつ、「ボテ」の発生をより確実に抑え、しかも、「か
すれ」の発生もより確実に抑えられるようにしたボール
ペンチップ用ボールを提供することを目的とする。
【0016】更に、本発明のうち請求項5に記載した発
明は、ボールの表面に多数の凹部を設けることにより、
「ボテ」の発生を抑え、しかも、「かすれ」の発生も抑
えられるようにしたボールペンチップを提供することを
目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】(請求項1)上記目的を
達成するために、本発明のうち請求項1に記載した発明
は、ボールペンチップ用ボール(20)の表面に多数の凹
部(90)を形成したことを特徴とする。
【0018】ここで、「ボールペンチップ用ボール(2
0)」とは、ボールペンチップ(10)の先端に回転自在
に保持される、筆記面にインクを塗布するためのものを
いう。このボールペンチップ用ボール(20)は、例え
ば、超硬合金、ステンレス、焼入鋼、又はセラミックな
どを用いて形成することができる。また、「凹部(9
0)」とは、ボールペンチップ用ボール(20)の表面に
形成した凹状の部分をいう。
【0019】この凹部(90)は、ボールペンチップ用ボ
ール(20)の表面に多数設けられる。また、この凹部
(90)は、例えば、ボールペンチップ用ボール(20)の
表面に、微小な研磨剤を吹き付けたり、あるいは微小な
突起を多数設けた金型に、ボールペンチップ用ボール
(20)を圧着させたりすることによって形成することが
できる。
【0020】そして、このように、ボールペンチップ用
ボール(20)の表面に多数の凹部(90)を形成すること
により、「ボテ」の発生を抑え、しかも、「かすれ」の
発生も抑えることができるのである。すなわち、ボール
ペンチップ用ボール(20)の表面に多数の凹部(90)を
形成することにより、ボールペンチップ用ボール(20)
の表面積を大きくすることができ、これにより、ボール
ペンチップ用ボール(20)の表面に付着するインクの量
を増大させることができる。そして、ボールペンチップ
用ボール(20)の表面に付着するインクの量を増大させ
ることにより、クリアランス(80)を狭めて、クリアラ
ンス(80)から流出するインクの量を減少させても、
「かすれ」を起こしにくくすることができるのである。
また、クリアランス(80)を狭めて、クリアランス(8
0)から流出するインクの量を減少させれば、「ボテ」
を起こしにくくすることができるのである。
【0021】また、ボールペンチップ用ボール(20)の
表面に多数の凹部(90)を形成することにより、筆記面
に転写されなかった余分なインクを、凹部(90)に収納
してボールハウス(40)内に回収することができる。そ
して、このように余分なインクを凹部(90)に収納して
回収することにより、「ボテ」を起こしにくくすること
ができるのである。
【0022】また、ボールペンチップ用ボール(20)の
表面に多数の凹部(90)を形成することにより、ボール
ペンチップ用ボール(20)と筆記面との間の摩擦抵抗を
大きくすることができ、これにより、筆記面上でのボー
ルペンチップ用ボール(20)の滑りを低減させることが
できる。そして、筆記面上でのボールペンチップ用ボー
ル(20)の滑りを低減させることにより、「かすれ」を
起こしにくくすることができるのである。 (請求項2)また、本発明のうち請求項2に記載した発
明は、請求項1に記載した発明の構成に加えて、各凹部
(90)は、それぞれ半球状又はほぼ半球状に形成されて
いることを特徴とする。
【0023】このように、各凹部(90)の形状を半球状
又はほぼ半球状とすることにより、「ボテ」の発生をよ
り確実に抑え、しかも、「かすれ」の発生もより確実に
抑えることができるのである。 (請求項3)また、本発明のうち請求項3に記載した発
明は、請求項1又は2に記載した発明の構成に加えて、
各凹部(90)は、他の凹部(90)と重なり合うことな
く、ボールペンチップ用ボール(20)の表面にほぼ均一
に形成されていることを特徴とする。
【0024】このように、各凹部(90)を表面にほぼ均
一に設けることにより、「書き味」のなめらかさが損な
われないようにすることができるのである。 (請求項4)ここで、ボールペンチップ用ボール(20)
の表面に設ける各凹部(90)の大きさが小さすぎると、
「ボテ」や「かすれ」の発生を十分に抑えることができ
なくなってしまうおそれがある。一方、ボールペンチッ
プ用ボール(20)の表面に設ける各凹部(90)の大きさ
が大きすぎると、「書き味」のなめらかさが損なわれて
しまうおそれがある。
【0025】そこで、本発明者は、上記問題を解決する
ために鋭意研究を重ねた結果、各凹部(90)の大きさを
所定の範囲内に限定することにより、「書き味」のなめ
らかさが損なわれないようにしつつ、「ボテ」の発生を
より確実に抑え、しかも、「かすれ」の発生もより確実
に抑えられることを見い出し、以下に示す発明を完成す
るに至った。
【0026】すなわち、本発明のうち請求項4に記載し
た発明は、請求項1ないし3に記載した発明の構成に加
えて、各凹部(90)の最大直径をA、各凹部(90)の最
小直径をB、各凹部(90)の最大深さをC、ボールペン
チップ用ボール(20)の直径をDとしたときに、下記の
(式1)及び(式2)を満たすことを特徴とする。 (式1) 0.01≦(A+B)/2D≦0.30 (式2) 0.01≦C/D≦0.15 ここで、「各凹部(90)の最大直径A」とは、ボールペ
ンチップ用ボール(20)の表面に設けた各凹部(90)の
開口部の直径のうち最大のものをいう。
【0027】また、「各凹部(90)の最小直径B」と
は、ボールペンチップ用ボール(20)の表面に設けた各
凹部(90)の開口部の直径のうち最小のものをいう。ま
た、「各凹部(90)の最大深さC」とは、ボールペンチ
ップ用ボール20の表面から各凹部(90)の最深部までの
深さをいう。そして、上記(式1)及び(式2)を満た
すように形成することにより、すなわち、各凹部(90)
の最大直径Aと最小直径Bとの平均値を、ボールペンチ
ップ用ボール(20)の直径Dの1%以上30%以下と
し、かつ、各凹部(90)の最大深さCを、ボールペンチ
ップ用ボール(20)の直径Dの1%以上15%以下とす
ることにより、「書き味」のなめらかさが損なわれない
ようにしつつ、「ボテ」の発生をより確実に抑え、しか
も、「かすれ」の発生もより確実に抑えることができる
のである。
【0028】なお、0.01>(A+B)/2Dにする
と、すなわち、各凹部(90)の最大直径Aと最小直径B
との平均値を、ボールペンチップ用ボール(20)の直径
Dの1%未満にすると、各凹部(90)の大きさが小さす
ぎて、「ボテ」や「かすれ」の発生を十分に抑えること
ができなくなってしまうのである。また、(A+B)/
2D>0.30にすると、すなわち、各凹部(90)の最
大直径Aと最小直径Bとの平均値を、ボールペンチップ
用ボール(20)の直径Dの30%超にすると、各凹部
(90)の大きさが大きすぎて、「書き味」のなめらかさ
が損なわれてしまうのである。
【0029】また、0.01>C/Dにすると、すなわ
ち、各凹部(90)の最大深さCを、ボールペンチップ用
ボール(20)の直径Dの1%未満にすると、各凹部(9
0)の大きさが小さすぎて、「ボテ」や「かすれ」の発
生を十分に抑えることができなくなってしまうのであ
る。また、C/D>0.30にすると、すなわち、各凹
部(90)の最大深さCを、ボールペンチップ用ボール
(20)の直径Dの30%超にすると、各凹部(90)の大
きさが大きすぎて、「書き味」のなめらかさが損なわれ
てしまうのである。 (請求項5)また、本発明のうち請求項5に記載した発
明は、ボール(20)と、このボール(20)を保持するた
めのホルダー(30)とを備え、前記ホルダー(30)は、
その一方側の端部近辺に設けた、ボール(20)を収納す
るためのボールハウス(40)と、その反ボールハウス
(40)側の端部からボールハウス(40)まで貫通する、
ボール(20)にインクを供給するためのインク誘導孔
(50)と、インク誘導孔(50)の少なくともボールハウ
ス(40)側の内周面に、インク誘導孔(50)の中心から
みて放射状に設けた、ボール(20)にインクを供給する
ための複数本のインク溝(60)とを有するボールペンチ
ップ(10)であって、前記ボール(20)の表面に多数の
凹部(90)が形成されていることを特徴とする。
【0030】ここで、「ボール(20)」とは、筆記面に
インクを塗布するためのものをいう。このボール(20)
は、例えば、超硬合金、ステンレス、焼入鋼、又はセラ
ミックなどを用いて形成することができる。また、「ホ
ルダー(30)」とは、ボール(20)を回転自在に保持す
るためのものをいう。
【0031】このホルダー(30)は、例えば、ステンレ
ス、洋白、真鍮、又は黄銅などの金属製の線材を用いて
形成することができる。また、このホルダー(30)は、
例えば、ステンレス製のパイプ材を用いて形成すること
もできる。また、「ボールハウス(40)」とは、ボール
(20)を収納するためのものをいう。
【0032】このボールハウス(40)は、ホルダー(3
0)の一方側の端部近辺に設けられる。また、このボー
ルハウス(40)は、ホルダー(30)が線材を用いて形成
される場合には、例えば、線材の一方側から他方側へ向
けて、線材の軸心に回転軸を一致させたドリルで切削す
ることによって形成することができる。
【0033】また、このボールハウス(40)は、ホルダ
ー(30)がパイプ材を用いて形成される場合にも、例え
ば、パイプ材の一方側から他方側へ向けて、パイプ材の
軸心に回転軸を一致させたドリルで切削することによっ
て形成することができる。また、「インク誘導孔(5
0)」とは、ボールハウス(40)に収納されたボール(2
0)にインクを供給するためのものをいう。
【0034】このインク誘導孔(50)は、ホルダー(3
0)の反ボールハウス(40)側の端部からボールハウス
(40)まで貫通するように設けられる。また、このイン
ク誘導孔(50)は、ホルダー(30)が線材を用いて形成
される場合には、例えば、線材の反ボールハウス(40)
側の端部からボールハウス(40)側へ向けて、線材の軸
心に回転軸を一致させたドリルで切削することによって
形成することができる。
【0035】また、ホルダー(30)がパイプ材を用いて
形成される場合には、例えば、パイプ材の内腔をそのま
まインク誘導孔(50)とすることができる。また、「イ
ンク溝(60)」とは、ボールハウス(40)に収納された
ボール(20)にインクが十分に供給されるようにするた
めのものをいう。このインク溝(60)は、インク誘導孔
(50)の少なくともボールハウス(40)側の内周面に、
インク誘導孔(50)の中心からみて放射状に設けられ
る。
【0036】従って、このインク溝(60)は、インク誘
導孔(50)の内周面のボールハウス(40)側にのみ設け
てもよく、また、インク誘導孔(50)の内周面のボール
ハウス(40)側から反ボールハウス(40)側まで貫通す
るように設けてもよい。また、このインク溝(60)は、
例えば、線材又はパイプ材のボールハウス(40)側から
インク誘導孔(50)側へ向けて、ブローチ加工を施すこ
とによって形成することができる。
【0037】そして、このように、ボール(20)の表面
に多数の凹部(90)を設けることにより、「ボテ」の発
生を抑え、しかも、「かすれ」の発生も抑えることがで
きるのである。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るボールペンチ
ップの実施の形態を、図示例と共に説明する。図1は、
ボールペンチップ10の要部断面図、図2は、ボール20の
表面に形成した凹部90の拡大図である。
【0039】本実施の形態に係るボールペンチップ10
は、ボール20と、このボール20を保持するためのホルダ
ー30とを備えている。前記ホルダー30は、ボール20を収
納するためのボールハウス40と、ボールハウス40に収納
されたボール20にインクを供給するためのインク誘導孔
50と、ボールハウス40に収納されたボール20にインクが
十分に供給されるようにするためのインク溝60と、ボー
ルハウス40に収納したボール20が外部に飛び出さないよ
うにするためのカシメ部70とを有している。
【0040】また、前記ボール20は、球状に形成され、
その表面には、多数の凹部90が形成されている。また、
前記各凹部90は、それぞれ半球状又はほぼ半球状に形成
されている。更に、前記各凹部90は、他の凹部90と重な
り合うことなく、ボール20の表面にほぼ均一に形成され
ている。
【0041】そして、本実施の形態に係るボールペンチ
ップ10は、各凹部90の最大直径をA、各凹部90の最小直
径をB、各凹部90の最大深さをC、ボール20の直径をD
としたときに(図1及び図2参照)、 0.01≦(A+B)/2D≦0.30(式1) 0.01≦C/D≦0.15(式2) を満たすように形成され、これにより、「書き味」のな
めらかさが損なわれないようにしつつ、「ボテ」の発生
をより確実に抑え、しかも、「かすれ」の発生もより確
実に抑えているのである。
【0042】以下、更に、本実施の形態に係るボールペ
ンチップ10について詳述する。 (ホルダー30)前記ホルダー30は、ボール20を回転自在
に保持するためのものである。このホルダー30は、ステ
ンレス製の線材を用いて形成されている。また、このホ
ルダー30は、ボール20を収納するためのボールハウス40
と、ボールハウス40に収納されたボール20にインクを供
給するためのインク誘導孔50と、ボールハウス40に収納
されたボール20にインクが十分に供給されるようにする
ためのインク溝60と、ボールハウス40に収納したボール
20が外部に飛び出さないようにするためのカシメ部70と
を有している。
【0043】前記ボールハウス40は、ホルダー30の一方
側の端部近辺に設けられている。このボールハウス40
は、ボール20の直径よりも内径がわずかに大きい円筒状
の側面部と、そのインク誘導孔50側に位置し、インク誘
導孔50側へ向けて内径を次第に小さくする円錐状の底面
部とを有している。また、このボールハウス40は、線材
の一方側から他方側へ向けて、線材の軸心に回転軸を一
致させたドリルで切削することによって形成されてい
る。
【0044】また、前記インク誘導孔50は、ホルダー30
の反ボールハウス40側の端部からボールハウス40まで貫
通している。また、このインク誘導孔50は、線材の反ボ
ールハウス40側の端部からボールハウス40側へ向けて、
線材の軸心に回転軸を一致させたドリルで切削すること
によって形成されている。
【0045】また、前記インク溝60は、インク誘導孔50
のボールハウス40側の内周面に、インク誘導孔50の中心
からみて放射状に設けられている。また、このインク誘
導孔50は、線材のボールハウス40側から反ボールハウス
40側へ向けて、ブローチ加工を施すことによって形成さ
れている。また、前記カシメ部70は、ホルダー30のボー
ルハウス40側の端部に設けられている。
【0046】このカシメ部70は、円錐状に形成され、そ
の最小径部分の内径を、ボール20の直径よりも小さく形
成されている。また、このカシメ部70は、ボールハウス
40にボール20を収納した後に、線材のボールハウス40側
の端部に圧延加工を施すことによって形成されている。
そして、このカシメ部70により、ボール20は、その一部
をボールハウス40から突出させつつ、ホルダー30の先端
に回転自在に保持されることとなっている。
【0047】更に、ボール20とカシメ部70との間には、
クリアランス80と呼ばれる微小な間隙が設けられ、ボー
ル20の回転に伴って、このクリアランス80からインクが
流出することとなっている。そして、ボール20の表面に
付着したインク、及びボール20の回転に伴ってクリアラ
ンス80から流出したインクが、筆記面に転写されること
により、筆記面に描線が描かれるのである。 (ボール20)前記ボール20は、筆記面にインクを塗布す
るためのものである。
【0048】このボール20は、超硬合金、ステンレス、
焼入鋼、又はセラミックなどを用いて形成されている。
また、このボール20は、球状に形成され、その表面に
は、多数の凹部90が形成されている。また、前記各凹部
90は、それぞれ半球状又はほぼ半球状に形成されてい
る。
【0049】また、前記各凹部90は、他の凹部90と重な
り合うことなく、ボール20の表面にほぼ均一に形成され
ている。また、前記各凹部90は、微小な研磨剤を吹き付
けることによって形成されている。なお、前記各凹部90
は、例えば、微小な小突起を多数設けた金型に、ボール
20を圧着させることによって形成することもできる。
【0050】そして、本実施の形態に係るボールペンチ
ップ10は、各凹部90の最大直径をA、各凹部90の最小直
径をB、各凹部90の最大深さをC、ボール20の直径をD
としたときに(図1及び図2参照)、 0.01≦(A+B)/2D≦0.30(式1) 0.01≦C/D≦0.15(式2) を満たすように形成されている。
【0051】すなわち、各凹部90の最大直径Aと最小直
径Bとの平均値は、ボール20の直径Dの1%以上30%
以下とされ、かつ、各凹部90の最大深さCは、ボール20
の直径Dの1%以上15%以下とされているのである。
そして、本実施の形態に係るボールペンチップ10は、ボ
ール20の表面に多数の凹部90を形成することにより、
「ボテ」の発生を抑え、しかも、「かすれ」の発生も抑
えているのである。
【0052】すなわち、ボール20の表面に多数の凹部90
を形成することにより、ボール20の表面積を大きくする
ことができ、これにより、ボール20の表面に付着するイ
ンクの量を増大させることができる。そして、ボール20
の表面に付着するインクの量を増大させることにより、
クリアランス80を狭めて、クリアランス80から流出する
インクの量を減少させても、「かすれ」を起こしにくく
することができるのである。また、クリアランス80を狭
めて、クリアランス80から流出するインクの量を減少さ
せれば、「ボテ」を起こしにくくすることができるので
ある。
【0053】また、ボール20の表面に多数の凹部90を形
成することにより、筆記面に転写されなかった余分なイ
ンクを、凹部90に収納してボールハウス40内に回収する
ことができる。そして、このように余分なインクを凹部
90に収納して回収することにより、「ボテ」を起こしに
くくすることができるのである。また、ボール20の表面
に多数の凹部90を形成することにより、ボール20と筆記
面との間の摩擦抵抗を大きくすることができ、これによ
り、筆記面上でのボール20の滑りを低減させることがで
きる。そして、筆記面上でのボール20の滑りを低減させ
ることにより、「かすれ」を起こしにくくすることがで
きるのである。
【0054】また、本実施の形態に係るボールペンチッ
プ10は、各凹部90の形状をそれぞれ半球状又はほぼ半球
状とすることにより、「ボテ」の発生をより確実に抑
え、しかも、「かすれ」の発生もより確実に抑えられる
ようにしているのである。また、本実施の形態に係るボ
ールペンチップ10は、各凹部90をボール20の表面にほぼ
均一に形成することにより、「書き味」のなめらかさが
損なわれないようにしているのである。
【0055】更に、本実施の形態に係るボールペンチッ
プ10は、各凹部90の大きさを、上記(式1)及び(式
2)を満たす範囲内とすることにより、すなわち、各凹
部90の最大直径Aと最小直径Bとの平均値を、ボール20
の直径Dの1%以上30%以下とし、かつ、各凹部90の
最大深さCを、ボール20の直径Dの1%以上15%以下
とすることにより、「書き味」のなめらかさが損なわれ
ないようにしつつ、「ボテ」の発生をより確実に抑え、
しかも、「かすれ」の発生もより確実に抑えられるよう
にしているのである。
【0056】なお、0.01>(A+B)/2Dにする
と、すなわち、各凹部90の最大直径Aと最小直径Bとの
平均値を、ボール20の直径Dの1%未満にすると、各凹
部90の大きさが小さすぎて、「ボテ」や「かすれ」の発
生を十分に抑えることができなくなってしまうのであ
る。また、(A+B)/2D>0.30にすると、すな
わち、各凹部90の最大直径Aと最小直径Bとの平均値
を、ボール20の直径Dの30%超にすると、各凹部90の
大きさが大きすぎて、「書き味」のなめらかさが損なわ
れてしまうのである。
【0057】また、0.01>C/Dにすると、すなわ
ち、各凹部90の最大深さCを、ボール20の直径Dの1%
未満にすると、各凹部90の大きさが小さすぎて、「ボ
テ」や「かすれ」の発生を十分に抑えることができなく
なってしまうのである。また、C/D>0.30にする
と、すなわち、各凹部90の最大深さCを、ボール20の直
径Dの30%超にすると、各凹部90の大きさが大きすぎ
て、「書き味」のなめらかさが損なわれてしまうのであ
る。
【0058】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明を更
に詳しく説明する。下記の表1に、実施例1、比較例
1、比較例2、比較例3、及び比較例4の各ボールペン
チップ用ボール20をそれぞれ示す。なお、すべての実施
例及び比較例について、ボール20の材質は超硬合金と
し、ボール20の直径は0.7mmとした。
【0059】また、表1中、「A」は「各凹部90の最大
直径」を、「B」は「各凹部90の最小直径」を、「C」
は「各凹部90の最大深さ」を、「D」は「ボール20の直
径」を、それぞれ示す。
【0060】
【表1】
【0061】すなわち、実施例1のボールペンチップ用
ボール20は、各凹部90の最大直径Aと最小直径Bとの平
均値を、ボール20の直径Dの1%以上30%以下に(具
体的には、7μm以上210μm以下に)、かつ、各凹
部90の最大深さCを、ボール20の直径Dの1%以上15
%以下に(具体的には、7μm以上105μm以下に)
形成されている。
【0062】また、比較例1のボールペンチップ用ボー
ル20は、各凹部90の最大直径Aと最小直径Bとの平均値
を、ボール20の直径Dの1%未満に(具体的には、7μ
m未満に)、かつ、各凹部90の最大深さCを、ボール20
の直径Dの1%以上15%以下に(具体的には、7μm
以上105μm以下に)形成されている。また、比較例
2のボールペンチップ用ボール20は、各凹部90の最大直
径Aと最小直径Bとの平均値を、ボール20の直径Dの3
0%超に(具体的には、210μm超に)、かつ、各凹
部90の最大深さCを、ボール20の直径Dの1%以上15
%以下に(具体的には、7μm以上105μm以下に)
形成されている。
【0063】また、比較例3のボールペンチップ用ボー
ル20は、各凹部90の最大直径Aと最小直径Bとの平均値
を、ボール20の直径Dの1%以上30%以下に(具体的
には、7μm以上210μm以下に)、かつ、各凹部90
の最大深さCを、ボール20の直径Dの1%未満に(具体
的には、7μm未満に)形成されている。また、比較例
4のボールペンチップ用ボール20は、各凹部90の最大直
径Aと最小直径Bとの平均値を、ボール20の直径Dの1
%以上30%以下に(具体的には、7μm以上210μ
m以下に)、かつ、各凹部90の最大深さCを、ボール20
の直径Dの15%超に(具体的には、105μm超に)
形成されている。 (ボールペンチップ用ボール20の評価1)上記実施例
1、比較例1、比較例2、比較例3、及び比較例4の各
ボールペンチップ用ボール20を用いて、油性ボールペン
を製造した。
【0064】そして、各油性ボールペンについて筆記試
験を行うことにより、「ボテ」、「かすれ」及び「書き
味」の評価を行った。具体的には、実施例1に示された
範囲内にあるボールペンチップ用ボール20を用いて、実
施例1Aの油性ボールペンを10本製造した。そして、
これらの油性ボールペンについて筆記試験を行うことに
より、「ボテ」、「かすれ」及び「書き味」の評価を行
った。
【0065】同様に、比較例1ないし4のそれぞれに示
された範囲内にあるボールペンチップ用ボール20を用い
て、比較例1Aないし4Aの油性ボールペンをそれぞれ
10本ずつ製造した。そして、これらの油性ボールペン
について筆記試験を行うことにより、「ボテ」、「かす
れ」及び「書き味」の評価を行った。
【0066】筆記試験は、JIS規格S6039に準拠
した筆記試験機(具体的には、三菱鉛筆株式会社製のミ
ニテック筆記試験機)を用い、 筆記速度:4m/分 筆記角度:70° 筆記荷重:200g重 筆記距離:100m の条件で、「らせん筆記」することにより行った。
【0067】また、筆記試験紙は、JIS規格P320
1に準拠したものを用いた。ここで、「かすれ」につい
ては、筆記試験開始時に、「描線の記録が円滑に行われ
るまでの距離(mm)」を計測し、この距離を評価の指
標とした。また、「ボテ」については、筆記試験終了時
に、「ホルダー30に付着したインクの塊の量」を0から
4までの5段階で示すとともに(0:なし〜4:多
い)、「筆記面に付着したインクの塊の量」を0から4
までの5段階で示し(0:なし〜4:多い)、これらの
数値の平均値を評価の指標とした。
【0068】また、「書き味」については、手書きにて
「らせん筆記」を行い、その結果を下記の基準で判断す
ることにより、「○」「△」「×」の3段階で評価し
た。 (イ)紙への引っかかり感がなく、なめらかな書き味で
あった。→評価「○」 (ロ)やや紙への引っかかり感があるものの、概ねなめ
らかな書き味であった。→評価「△」 (ハ)紙への引っかかり感があり、なめらかな書き味で
はなかった。→評価「×」 下記の表2に、上記実施例1A、比較例1A、比較例2
A、比較例3A、及び比較例4Aの各油性ボールペンに
ついての「ボテ」、「かすれ」及び「書き味」の評価を
それぞれ示す。
【0069】なお、下記の表2に示す評価は、10本の
油性ボールペンについて行った筆記試験の結果の平均値
を採ったものである。
【0070】
【表2】
【0071】このように、実施例1Aの油性ボールペン
は、「ボテ」を比較的起こしにくく、また、「かすれ」
も起こしにくく、しかも、「書き味」がなめからであっ
た。すなわち、実施例1に示すようにボールペンチップ
用ボール20を形成すれば、「書き味」のなめらかさが損
なわれないようにしつつ、「ボテ」の発生をより確実に
抑え、しかも、「かすれ」の発生もより確実に抑えるこ
とができるのである。
【0072】一方、比較例1Aないし4Aの油性ボール
ペンは、何らかの欠点を有していた。具体的には、比較
例1Aの油性ボールペンは、「書き味」はなめらかであ
るものの、「ボテ」を比較的起こしやすく、また、「か
すれ」も起こしやすかった。また、比較例2Aの油性ボ
ールペンは、「ボテ」は比較的起こしにくいものの、
「かすれ」を起こしやすく、また、「書き味」もなめら
かではなかった。
【0073】また、比較例3Aの油性ボールペンは、
「かすれ」を起こしにくく、また、「書き味」もなめら
かであるものの、「ボテ」を比較的起こしやすかった。
また、比較例4Aの油性ボールペンは、「ボテ」は比較
的起こしにくいものの、「かすれ」を起こしやすく、ま
た、「書き味」もなめらかではなかった。すなわち、比
較例1ないし4に示すようにボールペンチップ用ボール
20を形成すると、「ボテ」の発生を十分に抑えることが
できないか、「かすれ」の発生を十分に抑えることがで
きないか、又は「書き味」のなめらかさが損なわれてし
まうかのいずれか1以上の欠点を有することとなってし
まうのである。 (ボールペンチップ用ボール20の評価2)上記実施例
1、比較例1、比較例2、比較例3、及び比較例4の各
ボールペンチップ用ボール20を用いて、水性ゲルインク
ボールペンを製造した。
【0074】そして、各水性ゲルインクボールペンにつ
いて筆記試験を行うことにより、「ボテ」、「かすれ」
及び「書き味」の評価を行った。具体的には、実施例1
に示された範囲内にあるボールペンチップ用ボール20を
用いて、実施例1Bの水性ゲルインクボールペンを10
本製造した。そして、これらの水性ゲルインクボールペ
ンについて筆記試験を行うことにより、「ボテ」、「か
すれ」及び「書き味」の評価を行った。
【0075】同様に、比較例1ないし4のそれぞれに示
された範囲内にあるボールペンチップ用ボール20を用い
て、比較例1Bないし4Bの水性ゲルインクボールペン
をそれぞれ10本ずつ製造した。そして、これらの水性
ゲルインクボールペンについて筆記試験を行うことによ
り、「ボテ」、「かすれ」及び「書き味」の評価を行っ
た。
【0076】筆記試験は、筆記荷重を100g重とした
他は、油性ボールペンの場合と同様である。また、筆記
試験紙も、油性ボールペンの場合と同様である。また、
「ボテ」、「かすれ」及び「書き味」の評価について
も、油性ボールペンの場合と同様である。
【0077】下記の表3に、上記実施例1B、比較例1
B、比較例2B、比較例3B、及び比較例4Bの各水性
ゲルインクボールペンについての「ボテ」、「かすれ」
及び「書き味」の評価をそれぞれ示す。なお、下記の表
3に示す評価は、10本の水性ゲルインクボールペンに
ついて行った筆記試験の結果の平均値を採ったものであ
る。
【0078】
【表3】
【0079】このように、実施例1Bの水性ゲルインク
ボールペンは、「ボテ」を比較的起こしにくく、また、
「かすれ」も起こしにくく、しかも、「書き味」がなめ
からであった。すなわち、実施例1に示すようにボール
ペンチップ用ボール20を形成すれば、「書き味」のなめ
らかさが損なわれないようにしつつ、「ボテ」の発生を
より確実に抑え、しかも、「かすれ」の発生もより確実
に抑えることができるのである。
【0080】一方、比較例1Bないし4Bの水性ゲルイ
ンクボールペンは、何らかの欠点を有していた。具体的
には、比較例1Bの水性ゲルインクボールペンは、「か
すれ」を起こしにくく、また、「書き味」もなめらかで
あるものの、「ボテ」を比較的起こしやすかった。
【0081】また、比較例2Bの水性ゲルインクボール
ペンは、「ボテ」は比較的起こしにくいものの、「かす
れ」を起こしやすく、また、「書き味」もなめらかでは
なかった。また、比較例3Bの水性ゲルインクボールペ
ンは、「かすれ」を起こしにくく、また、「書き味」も
なめらかであるものの、「ボテ」を比較的起こしやすか
った。
【0082】また、比較例4Bの水性ゲルインクボール
ペンは、「ボテ」は比較的起こしにくいものの、「かす
れ」を起こしやすく、また、「書き味」もなめらかでは
なかった。すなわち、比較例1ないし4に示すようにボ
ールペンチップ用ボール20を形成すると、「ボテ」の発
生を十分に抑えることができないか、「かすれ」の発生
を十分に抑えることができないか、又は「書き味」のな
めらかさが損なわれてしまうかのいずれか1以上の欠点
を有することとなってしまうのである。
【0083】更に、「(A+B)/2D」及び「C/
D」の限界数値についての実験を行ったところ、少なく
とも「(A+B)/2D」の値を0.01以上0.30
以下とし、かつ、「C/D」の値を0.01以上0.1
5以下とすれば、「書き味」のなめらかさが損なわれな
いようにしつつ、「ボテ」の発生をより確実に抑え、し
かも、「かすれ」の発生もより確実に抑えられることが
確認された。
【0084】また、「(A+B)/2D」の値を0.0
1未満にすると、「ボテ」や「かすれ」の発生を十分に
抑えられなくなってしまうことが確認された。また、
「(A+B)/2D」の値を0.30超にすると、「書
き味」のなめらかさが損なわれてしまうことが確認され
た。また、「C/D」の値を0.01未満にすると、
「ボテ」や「かすれ」の発生を十分に抑えられなくなっ
てしまうことが確認された。
【0085】また、「C/D」の値を0.30超にする
と、「書き味」のなめらかさが損なわれてしまうことが
確認された。なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではない。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載し
た発明によれば、「ボテ」の発生を抑え、しかも、「か
すれ」の発生も抑えられるボールペンチップ用ボールを
提供することができるのである。また、請求項2に記載
した発明によれば、「ボテ」の発生をより確実に抑え、
しかも、「かすれ」の発生もより確実に抑えられるボー
ルペンチップ用ボールを提供することができるのであ
る。
【0087】また、請求項3に記載した発明によれば、
「書き味」のなめらかさが損なわれないボールペンチッ
プ用ボールを提供することができるのである。また、請
求項4に記載した発明によれば、「書き味」のなめらか
さが損なわれないようにしつつ、「ボテ」の発生をより
確実に抑え、しかも、「かすれ」の発生もより確実に抑
えられるボールペンチップ用ボールを提供することがで
きるのである。
【0088】更に、請求項5に記載した発明によれば、
「ボテ」の発生を抑え、しかも、「かすれ」の発生も抑
えられるボールペンチップを提供することができるので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るボールペンチップの要部断面図。
【図2】本発明に係るボールペンチップ用ボールの表面
に形成した凹部の拡大図。
【図3】従来のボールペンチップの要部断面図。
【符号の説明】
10 ボールペンチップ 20 ボール 30 ホルダー 40 ボールハウス 50 インク誘導孔 60 インク溝 70 カシメ部 80 クリアランス 90 凹部 A 各凹部の最大直径 B 各凹部の最小直径 C 各凹部の最大深さ D ボールの直径
フロントページの続き Fターム(参考) 2C350 HA09 HA10 HA13 NC01 NC11 NC14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に多数の凹部を形成したことを特徴
    とするボールペンチップ用ボール。
  2. 【請求項2】 各凹部は、それぞれ半球状又はほぼ半球
    状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のボ
    ールペンチップ用ボール。
  3. 【請求項3】 各凹部は、他の凹部と重なり合うことな
    く、表面にほぼ均一に形成されていることを特徴とする
    請求項1又は2記載のボールペンチップ用ボール。
  4. 【請求項4】 各凹部の最大直径をA、各凹部の最小直
    径をB、各凹部の最大深さをC、ボールペンチップ用ボ
    ールの直径をDとしたときに、下記の(式1)及び(式
    2)を満たすことを特徴とする請求項1、2又は3記載
    のボールペンチップ用ボール。 (式1) 0.01≦(A+B)/2D≦0.30 (式2) 0.01≦C/D≦0.15
  5. 【請求項5】 ボールと、このボールを保持するための
    ホルダーとを備え、 前記ホルダーは、その一方側の端部近辺に設けた、ボー
    ルを収納するためのボールハウスと、その反ボールハウ
    ス側の端部からボールハウスまで貫通する、ボールにイ
    ンクを供給するためのインク誘導孔と、インク誘導孔の
    少なくともボールハウス側の内周面に、インク誘導孔の
    中心からみて放射状に設けた、ボールにインクを供給す
    るための複数本のインク溝とを有するボールペンチップ
    であって、 前記ボールの表面に多数の凹部が形成されていることを
    特徴とするボールペンチップ。
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