JP2002160268A - タンデム走査光学系用レンズの製造方法、およびタンデム走査光学系用レンズ - Google Patents
タンデム走査光学系用レンズの製造方法、およびタンデム走査光学系用レンズInfo
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Abstract
成形により形成する場合に、各レンズ面間の相対的な位
置誤差の発生を防ぐこと。 【解決手段】 射出成形装置の第1、第2型板2、3
は、対向する面に凹所を備えており、それぞれの凹所に
は入射側、射出側のそれぞれ一体の鏡面コア4,5が取
り付けられている。キャビティ6は、突き合わされた第
1、第2型板2、3及び鏡面コア4,5により囲まれた
空間として形成される。成形時には、ランナーからキャ
ビティ6内に溶融樹脂を射出し、冷却後に第1、第2型
板2、3を離反させてレンズとして取り出される。モー
ルド成形されるタンデム走査光学系用レンズ20は、4
つの独立したレンズ部を積み重ねたのと等価な一体構造
であり、入射側レンズ面21が4面、射出側レンズ面2
2が4面形成される。
Description
プリンタ等に利用されるタンデム方式の走査光学系のレ
ンズに関し、特に、同一の偏向器により偏向された複数
の光束を収束させる走査レンズ、およびその製造方法に
関する。
タンデム方式の走査光学系は、Y,M,C,Kの各色に
対応する4つの半導体レーザーと4本の感光体ドラムと
を備える。また、装置の小型化のためには光学系の少な
くとも一部を共用することが望ましく、ポリゴンミラー
を共用する構成も提案されている。
には、4本の光束を副走査方向(ここではポリゴンミラ
ーの回転軸の方向)に並列させてポリゴンミラーに入射
させ、ポリゴンミラーにより同時に偏向された4本の光
束をそれぞれfθレンズによって集束させ、ミラーを用
いて光路を分離して各感光体ドラム上に走査線を形成す
る。また、fθレンズのうちポリゴンミラーに近接して
配置されるレンズは、近接して進む複数の光束を透過さ
せるレンズ面を備える必要がある。ここで複数の光束に
ついて共通のレンズ面を用いると、各光束についてそれ
ぞれ最適な性能が得られないため、複数の光束のそれぞ
れを透過させる複数の独立したレンズ部を積み重ねたの
と等価な一体構造のレンズを採用することが望ましい。
ように複数のレンズ部を積み重ねた形状を射出成形によ
り形成する場合、金型のうちレンズ面部分を形成する鏡
面仕上げされたコア(本明細書では、「鏡面コア」とい
う)が、各レンズ面毎に独立していると、これらの鏡面
コアの間に相対的な位置誤差が生じやすいという問題が
ある。鏡面コアの間に位置誤差が生じれば、成形された
各レンズ面の間にも相対的な位置誤差が発生し、描画性
能を悪化させる。
鑑みてなされたものであり、複数のレンズ部を積み重ね
たのと等価な一体構造をモールド成形により形成する場
合に、各レンズ面間の相対的な位置誤差の発生を防ぐこ
とができるタンデム走査光学系用レンズの製造方法、お
よびこの方法で製造されたレンズを提供することを目的
とする。
ム走査光学系用レンズの製造方法は、上記の目的を達成
させるため、複数の光束のそれぞれを透過させる複数の
独立したレンズ部を積み重ねたのと等価な一体構造をモ
ールド成形により形成する際に、複数のレンズ部のレン
ズ面を、入射側、射出側のそれぞれ一体の鏡面コアによ
り成形することを特徴とする。
系用レンズは、複数の光束のそれぞれを透過させる複数
の独立したレンズ部を積み重ねたのと等価な一体構造を
有し、モールド成形による成形の際に、複数のレンズ部
のレンズ面を、入射側、射出側のそれぞれ一体の鏡面コ
アにより成形したことを特徴とする。
を、入射側、射出側のそれぞれにおいて一体の鏡面コア
により形成することにより、成形時の各レンズ面の間の
相対的な位置誤差の発生を避けることができる。
形する鏡面部は、光束が偏向される方向とは直交する方
向の断面が凹面であることが望ましい。すなわち、製造
されるレンズ側から見れば、複数のレンズ部の入射側、
射出側のレンズ面は、光束が偏向される方向とは直交す
る方向の断面が凸面であることが望ましい。
鏡面部と隣接する鏡面部との境界が谷間となるため、バ
イト等の工具による加工上の限界から、隣接する鏡面部
の境界部分を鋭角的に仕上げることができず、成形され
たレンズにおいてはレンズ面の境界部分にレンズ面とし
て利用できない部分が生じる。これに対して鏡面部が凹
面であると、境界部分が山となるため加工が容易であ
り、レンズ面の境界部分にレンズ面として利用できない
部分を生じさせることなく仕上げることができる。
ずれか一方側の鏡面部は、それぞれの光軸に対して回転
対称な凹面、例えば凹の球面とすることができる。この
場合、製造されるレンズは、複数のレンズ部の入射側、
射出側の少なくともいずれか一方側のレンズ面が、それ
ぞれの光軸に対して回転対称な凸面となる。
走査光学系用レンズの製造方法の実施形態を図1〜図3
に基づいて説明する。図1(A)は、実施形態のタンデム
走査光学系用レンズを製造するための射出成形装置のキ
ャビティ周辺部を示す断面図、図1(B)は製造されたレ
ンズの断面図、図2は鏡面コアの斜視図、図3は図1
(A)に示した射出成形装置の断面図である。
を説明する。この装置は、図中の左右両側に配置された
シリンダ1a,1b内で左右方向に相対的にスライド可
能な第1、第2型板2、3を備えている。これらの第
1、第2型板2、3は、対向する面に凹所を備えてお
り、かつ、それぞれの凹所には鏡面コア4,5が取り付
けられている。キャビティ6は、第1、第2型板2、3
を突き合わせた際に、第1、第2型板2、3及び鏡面コ
ア4,5により囲まれた空間として形成される。なお、
第1、第2型板2、3は、それぞれ駆動ロッド7,8に
連結されており、これらのロッドを図中左右に移動させ
ることにより、第1,第2型板2,3を相対的に接近/
離反させることができる。
第2型板2、3を突き合わせ、図示せぬランナーからキ
ャビティ6内に溶融樹脂を射出する。射出後、所定の冷
却時間が経過するのを待ち、しかる後に第1、第2型板
2、3を相対的に離反させ、成形されたレンズを金型外
へ取り出す。
レンズ20は、図1(B)に示すように、4本の光束のそ
れぞれを透過させる4つの独立したレンズ部を積み重ね
たのと等価な一体構造を有し、入射側レンズ面21が4
面、射出側レンズ面22が4面形成される。なお、図1
(B)中のx方向は、レンズ20のそれぞれのレンズ部の
光軸と平行な方向、y方向は、ポリゴンミラー等の偏向
器によって光束が偏向される方向(以下、「主走査方
向」という)、z方向は、x方向に垂直な面内でy方向
に直交する方向(以下、「副走査方向」という)である。
入射側レンズ面21、射出側レンズ面22は、いずれも
副走査方向の断面形状が凸面である。なお、図1(B)で
は、形状の特徴を説明するため、各レンズ面の凸面形状
を誇張して示している。
射出側のそれぞれ一体の鏡面コア4,5により成形され
る。すなわち、一方の鏡面コア4は、図1(A)及び図2
に示すように、4つのレンズ面を形成するための独立し
た4つの鏡面部4aが形成された一体の部材であり、各
鏡面部4aは主走査、副走査両方向について断面が凹面
である。他方の鏡面コア5も、同様に4つの独立した鏡
面部5aが形成された一体の部材であり、各鏡面部5a
は少なくとも副走査方向について断面が凹面である。
れぞれ一体の鏡面コア4,5により形成することによ
り、成形時の各レンズ面の間の相対的な位置誤差の発生
を避けることができる。また、鏡面部4a,5aの副走
査方向の断面が凹面であるため、各鏡面部の境界部分が
山となり、鏡面コア4,5の加工が容易であると共に、
成形されるレンズ20においては各レンズ面21,22
の境界部分にレンズ面として利用できない部分を生じさ
せることなく、レンズ面21,22の副走査方向のサイ
ズが必要以上に大きくなるのを避けることができる。
デム走査光学系用レンズを利用したタンデム走査光学系
を示す主走査方向に垂直な面内での説明図である。この
タンデム走査光学系は、図示せぬ光源部から発した独立
して変調された4本の光束を偏向器であるポリゴンミラ
ー30により同時に偏向し、偏向された4本の光束をそ
れぞれ異なる感光体ドラム41,42,43,44上に
収束させ、ポリゴンミラー30を回転軸30a回りに回
転させることにより、複数の走査線を同時に形成するこ
とができる。
ミラー30の近傍で4本の光束が透過する位置に配置さ
れた第1レンズ51及び第2レンズ52と、ミラー71
〜78により分離されたそれぞれの光路中に配置された
4つの第3レンズ53a〜53dとから構成されてい
る。第1,第2レンズ51,52は、図1(B)に示した
4つの独立したレンズ部を積み重ねて構成されるタンデ
ム走査光学系用レンズである。なお、図4では、各レン
ズ面がほぼ平面として示されているが、実際にはそれぞ
れ入射側と射出側に4面ずつのレンズ面が形成されてい
る。
30により反射された光束は、第1レンズ51,第2レ
ンズ52の最も上側のレンズ部を透過した後、ミラー7
1により一旦上側に反射され、ミラー72により再度下
向きに反射され、第3レンズ53aを介して第1の感光
体ドラム41上に収束する。同様にして、上から2番
目、3番目、4番目の光束は、第1レンズ51,第2レ
ンズ52の上から2番目、3番目、4番目のレンズ部を
それぞれ透過した後、ミラー73,75,77によりそ
れぞれ一旦上側に反射され、ミラー74,76,78に
より再度下向きに反射され、第3レンズ53b,53
c,53dを介して第2,3,4の感光体ドラム42,
43,44上に収束する。
具体的な実施例を2例説明する。なお、以下の実施例で
は、図4で示した4つの光束のうち、最も上側でポリゴ
ンミラー30により反射された光束が透過する光学系の
みを取り出し、ミラー71,72を省略し、光路を展開
して説明する。
す主走査方向、副走査方向の説明図であり、図5ではポ
リゴンミラー30に入射する光束が透過するシリンドリ
カルレンズ31から感光体ドラム41までを示してお
り、図6ではポリゴンミラー30から感光体ドラム41
までを示している。表1は、実施例1の走査光学系にお
けるシリンドリカルレンズ31より感光体ドラム41側
の構成を示す。表中の記号fはfθレンズの主走査方向
の焦点距離、ryは主走査方向の曲率半径(単位:mm)、r
zは副走査方向の曲率半径(回転対称面の場合には省略、
単位:mm)、dは面間の光軸上の距離(単位:mm)、nは設
計波長780nmでの屈折率である。
レンズ31、第3面がポリゴンミラー30のミラー面、
第4面及び第5面がfθレンズの第1レンズ51、第6
面及び第7面が第2レンズ52、第8面及び第9面がf
θレンズの第3レンズ53aを示す。
リンドリカル面、第2面、第3面、第4面は平面、第5
面、第6面、第7面、第8面、第10面は回転対称非球
面、第9面は光軸から離れた位置での副走査方向の曲率
半径が主走査方向の断面形状とは無関係に設定された回
転軸を持たない非球面(以下、「累進トーリック非球
面」という)である。
なる非球面上の座標点の非球面の光軸上での接平面から
の距離(サグ量)をX(h)、非球面の光軸上での曲率(1/r)
をC、円錐係数をκ、4次、6次、8次、10次の非球
面係数をA4,A6,A8として、以下の式で表される。 X(h)=Ch2/(1+√(1-(1+κ)C2h2))+A4h4+A6h6+
A8h8 表1における回転対称非球面の曲率半径は、光軸上の曲
率半径であり、円錐係数、非球面係数は表2に示され
る。
る主走査方向の曲線を想定した際に、光軸からの主走査
方向の距離がYとなる上記曲線上の座標点での光軸上の
接線からの距離(サグ量)をX(Y)、当該座標点でこの曲
線に接する副走査方向の円弧の曲率半径をrz(Y)とし
て、以下の式で定義される。 X(Y)=CY2/(1+√(1−(1+κ)C2Y2))+A4Y4+A6Y6+
A8h8+A10h10 1/rz(Y)=(1/rz0)+B1・Y1+B2・Y2+B4・Y4+B6・Y6 式中、C、κ、A4、A6,A8,A10の定義は回転対称
非球面と同様であり、rz0は光軸上での副走査方向の曲
率半径(表1のrz)、B1,B2,B4,B6はそれぞれ副走
査方向の曲率半径を決定する係数である。第9面におけ
る各数値は、表3に示されている。
図7のグラフに示される。図7(A)は、fθ誤差(スポッ
ト位置の理想位置からのズレ)を示し、図7(B)は、像面
湾曲(焦点位置の仮想像面からの光軸方向のズレ)を示
し、破線が主走査方向、実線が副走査方向の像面湾曲を
示す。
す主走査方向、副走査方向の説明図であり。表4は、実
施例2の走査光学系におけるシリンドリカルレンズ31
より感光体ドラム41側の構成を示す。各面番号と光学
素子との対応は実施例1と同一である。
リンドリカル面、第2面、第3面、第4面、第7面は平
面、第5面、第6面は、主走査方向に延びる非円弧曲線
を主走査方向の回転軸周りに回転させた軌跡として定義
される面(以下、「トーリック非球面」という)、第8面
は主走査方向にのみパワーを持つシリンドリカル面、第
9面は累進トーリック非球面、第10面は回転対称非球
面である。トーリック非球面の光軸を含む主走査方向の
断面形状を示す非円弧曲線は、累進トーリック非球面の
断面曲線と同一の式で定義される。トーリック非球面
は、この非円弧曲線を副走査方向の曲率半径分だけ面と
光軸との交点から離れた位置で光軸と交差する主走査方
向の直線を回転軸として回転させた軌跡として定義され
る。
係数、非球面係数は表5に、累進トーリック面の各係数
は表6に示される。
図10のグラフに示される。図10(A)は、fθ誤差を示
し、図10(B)は、像面湾曲を示す。
示したタンデム走査光学系に適用する際には、第1レン
ズ51,第2レンズ52については、データに示される
面を副走査方向に4面積み重ねたタンデム走査光学系用
レンズとして構成し、第3レンズ53aについてはこれ
と同一のレンズを4枚用意すればよい。
形によりレンズを形成する場合についてのみ説明した
が、この発明の製造方法は、型を利用するモールド成形
であれば、ガラスモールドレンズ、あるいはガラスレン
ズの上に樹脂層を形成するハイブリッドレンズの製造に
も適用することができる。
ば、複数のレンズ部を積み重ねた形状をモールド成形に
より形成する場合に、複数のレンズ部のレンズ面を、入
射側、射出側のそれぞれ一体の鏡面コアにより成形する
ことにより、各レンズ面間の相対的な位置誤差の発生を
防ぐことができる。
面を成形する鏡面部の副走査方向の断面を凹面とした場
合には、鏡面コアの加工が容易であり、かつ、成形され
るレンズにおいては各レンズ面の境界部分にレンズ面と
して利用できない部分を生じさせることなく、レンズ面
の副走査方向のサイズが必要以上に大きくなるのを避け
ることができる。
ズを製造するための射出成形装置のキャビティ周辺部を
示す断面図、(B)は製造されたレンズを示す断面図。
斜視図。
造するための射出成形装置を示す断面図。
いられた走査光学系を示す副走査方向の説明図。
明図。
明図。
グラフ、(B)は実施例1の走査光学系の像面湾曲を示す
グラフ。
明図。
明図。
すグラフ、(B)は実施例2の走査光学系の像面湾曲を示
すグラフ。
Claims (6)
- 【請求項1】 独立して変調され同一の偏向器により偏
向された複数の光束を走査対象面上に収束させて複数の
走査線を同時に形成するタンデム走査光学系用レンズの
製造方法において、 前記複数の光束のそれぞれを透過させる複数の独立した
レンズ部を積み重ねたのと等価な一体構造をモールド成
形により形成する際に、前記複数のレンズ部のレンズ面
を、入射側、射出側のそれぞれ一体の鏡面コアにより成
形することを特徴とするタンデム走査光学系用レンズの
製造方法。 - 【請求項2】 前記入射側、射出側のレンズ面を成形す
る前記鏡面コアの鏡面部は、前記光束が偏向される方向
とは直交する方向の断面が凹面であることを特徴とする
請求項1に記載のタンデム走査光学系用レンズの製造方
法。 - 【請求項3】 前記入射側、射出側の少なくともいずれ
か一方側のレンズ面を成形する前記鏡面コアの鏡面部
は、それぞれの光軸に対して回転対称な凹面であること
を特徴とする請求項1に記載のタンデム走査光学系用レ
ンズの製造方法。 - 【請求項4】 独立して変調され同一の偏向器により偏
向された複数の光束を走査対象面上に収束させて複数の
走査線を同時に形成するタンデム走査光学系用レンズに
おいて、 前記複数の光束のそれぞれを透過させる複数の独立した
レンズ部を積み重ねたのと等価な一体構造を有し、モー
ルド成形による成形の際に、前記複数のレンズ部のレン
ズ面が、入射側、射出側のそれぞれ一体の鏡面コアによ
り成形されたことを特徴とするタンデム走査光学系用レ
ンズ。 - 【請求項5】 前記複数のレンズ部の入射側、射出側の
レンズ面は、前記光束が偏向される方向とは直交する方
向の断面が凸面であることを特徴とする請求項4に記載
のタンデム走査光学系用レンズ。 - 【請求項6】 前記複数のレンズ部の入射側、射出側の
少なくともいずれか一方側のレンズ面は、それぞれの光
軸に対して回転対称な凸面であることを特徴とする請求
項4に記載のタンデム走査光学系用レンズ。
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