JP2002156288A - 溶解炉用熱電対及びそれを用いた温度測定方法 - Google Patents
溶解炉用熱電対及びそれを用いた温度測定方法Info
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Abstract
で、かつ、その交換に伴う着脱が容易な溶解炉用熱電
対、及び金属溶湯の溶解完了時期を略正確に検知可能な
溶解炉用熱電対を用いた温度測定方法を提供することに
ある。 【解決手段】 本発明に係る溶解炉用熱電対1は、耐熱
性材料で形成され、一端が閉じたシース6の閉端内部に
熱電対素線の測温点を臨ませて配置すると共に、シース
6の開端にシース6を閉じる熱電対コネクタ7を設けて
なる熱電対交換部2と、熱電対保持部3で構成され、そ
の熱電対交換部2のシース閉端部を溶解炉71内の金属
溶湯74に浸漬して温度測定を行なう溶解炉用熱電対に
おいて、上記熱電対交換部2のシース開端側に、上記熱
電対保持部3として内管11と外管12の二重構造の金
属保護管13を着脱自在に接続し、その金属保護管13
の他端に冷却空気供給手段21を接続し、温度測定の
際、冷却空気22を金属保護管13の内管11を通して
熱電対交換部2側に供給すると共に、内管11と外管1
2の間を通して排出するようにしたものである。
Description
びそれを用いた温度測定方法に係り、特に、バーナ式溶
解炉、電気炉内の金属溶湯の温度測定を行なう熱電対及
びそれを用いた温度測定方法に関するものである。
と示す)するための手段として、電気炉やバーナ炉が用
いられている。バーナ炉の一つとして、円筒状の炉体内
に金属塊(金属溶湯原料)を投入した後、炉体内に挿入
したガスバーナを燃焼させると共に、炉体を周方向に回
転させて金属溶湯を溶製するバーナ式回転炉が挙げられ
る。
湯が完全に溶解しているかどうかを判断すべく、金属溶
湯の温度測定を行っており、金属溶湯の温度が所定の温
度以上に達していたら溶解完了とみなしている。この温
度測定には、一般に、熱電対が用いられている。
温度測定は、ガスバーナの燃焼を一時停止した後、熱電
対の先端部を金属溶湯に浸漬することで行っている。こ
の時、金属溶湯の測定温度が所定温度に達していたら金
属溶湯の出湯を行い、金属溶湯の測定温度が所定温度未
満であったら再びガスバーナを燃焼させて溶解を続行し
ている。
式回転炉における従来の金属溶湯の温度測定は、温度測
定の際に、ガスバーナの燃焼を一時停止しなければなら
ないため、一時停止中に、炉体および金属溶湯の温度低
下を招いてしまう。すなわち、金属溶湯の温度測定に伴
って熱損失が生じることから、その分だけ、ガスバーナ
の燃料が無駄になってしまうという問題があった。
かどうかは、熱電対を、実際に金属溶湯に浸漬してみな
いと分からないため、場合によっては、出湯前に何度も
温度測定を行う羽目になる。ここで、一般的には、使い
捨てタイプの熱電対を使用しているため、金属溶湯の溶
製を1回行うのに、温度測定を何度も行うと、その分、
熱電対の使用本数が多くなることから、溶製コストの上
昇を招いてしまう。
際、熱電対全体を取り替えると、損傷がない部分も交換
することになるため、非効率である。
度測定を行うとはいえ、熱電対は高温に晒されるため、
熱電対の本体ケーシングには、高価で、かつ、成形性が
困難な複合セラミックス(例えば、窒化ケイ素系複合セ
ラミックス)を用いていた。
目的は、熱電対の先端部のみを交換することが可能で、
かつ、その交換に伴う着脱が容易な溶解炉用熱電対を提
供することにある。
解完了時期を略正確に検知可能な溶解炉用熱電対を用い
た温度測定方法を提供することにある。
発明に係る溶解炉用熱電対は、耐熱性材料で形成され、
一端が閉じたシースの閉端内部に熱電対素線の測温点を
臨ませて配置すると共に、シースの開端にシースを閉じ
る熱電対コネクタを設けてなる熱電対交換部と、熱電対
保持部で構成され、その熱電対交換部のシース閉端部を
溶解炉内の金属溶湯に浸漬して温度測定を行なう溶解炉
用熱電対において、上記熱電対交換部のシース開端側
に、上記熱電対保持部として内管と外管の二重構造の金
属保護管を着脱自在に接続し、その金属保護管の他端に
冷却空気供給手段を接続し、温度測定の際、冷却空気を
金属保護管の内管を通して熱電対交換部側に供給すると
共に、内管と外管の間を通して排出するようにしたもの
である。
に浸漬される熱電対交換部と熱電対保持部で構成すると
共に、それらを着脱自在に接続することで、温度測定の
経過に伴って熱電対交換部が劣化した際、熱電対交換部
のみを交換することが可能となる。
ーメットの単体、窒化ケイ素系セラミックスの単体、又
は窒化ケイ素系セラミックスからなる内部シースとMo
−ZrO2 系サーメットからなる外部シースの複合体で
形成してもよい。
の空隙を、窒化ケイ素系セラミックスで充填してもよ
い。
に、酸化物系セラミックスの耐酸化被覆層を設けてもよ
い。
金属保護管の接続部近傍に、アルミナ系セラミックスの
断熱体を配してもよい。
熱電対交換部を機械的に固定する固定手段と上記熱電対
コネクタと接続する第1コネクタを設けてもよい。
た温度測定方法は、耐熱性材料で形成され、一端が閉じ
たシースの閉端内部に熱電対素線の測温点を臨ませて配
置すると共に、シースの開端にシースを閉じる熱電対コ
ネクタを設けてなる熱電対交換部と熱電対保持部で構成
され、その熱電対交換部のシース閉端部を溶解炉内の金
属溶湯に浸漬して温度測定を行なう溶解炉用熱電対を用
いた温度測定方法において、上記溶解炉用熱電対のシー
ス先端部を、バーナ式回転炉の排煙・火炎出口近傍に配
置すると共に、金属溶湯原料の溶解中、排煙・火炎出口
近傍の火炎の温度を測定し、その測定温度から上記金属
溶湯の溶解完了時期を検知し、その後、金属溶湯の温度
測定を行うものである。
対を用いた温度測定方法は、耐熱性材料で形成され、一
端が閉じたシースの閉端内部に熱電対素線の測温点を臨
ませて配置すると共に、シースの開端にシースを閉じる
熱電対コネクタを設けてなる熱電対交換部と熱電対保持
部で構成され、その熱電対交換部のシース閉端部を溶解
炉内の金属溶湯に浸漬して温度測定を行なう溶解炉用熱
電対を用いた温度測定方法において、上記溶解炉用熱電
対のシース先端部を、電気炉の溶湯上方に配置すると共
に、金属溶湯原料の溶解中、溶湯上方の雰囲気温度を測
定し、その測定温度から上記金属溶湯の溶解完了時期を
検知し、その後、金属溶湯の温度測定を行うものであ
る。
中、熱電対で、火炎温度又は溶湯上方の雰囲気温度を測
定することで、金属溶湯の溶解完了時期を略正確に検知
することができ、金属溶湯の温度測定回数を最小限に抑
えることができる。
度上昇曲線の接線の傾きの微分値から、温度上昇が飽和
に達する時の温度を予測し、その予測温度を測定温度と
して、温度上昇が飽和に達する前に表示するのが好まし
い。
を添付図面に基いて説明する。
を図1に、図1の要部Aの拡大図を図2に、図2のA−
A線、B−B線、およびC−C線断面図をそれぞれ図4
(a),(b),(c)に、図1の要部Bの拡大図を図
5に、熱電対と動力部の係合状態を示す平面図を図6に
示す。
炉用熱電対1は、熱電対素線(図示せず)を収容し、一
定回数の温度測定毎に交換を行う熱電対交換部2と、そ
の熱電対交換部2と接続されると共に熱電対交換部2を
保持し、一定のスパン毎(例えば、定期点検時)に交換
を行う熱電対保持部3で構成される。
つ、セラミックスからなる内側シース4とサーメットか
らなる外側シース5の二重構造のシース6の閉端内部
に、熱電対素線の測温点を臨ませて配置し、シース6の
開端には、シース6を閉じる熱電対コネクタ7を設けて
なるものである。シース6と熱電対素線との間の空隙S
は、窒化ケイ素系セラミックス(図示せず)で密封充填
されている。シース6の開端側(図1,2中では右側)
における周面の、後述するフック部18の先端18aと
向かい合う位置には、凹部6aが形成されている。シー
ス6表面の溶湯に浸漬されない部分(溶湯非浸漬部分)
には、酸化物系セラミックスからなる耐酸化被覆層32
が形成されている。
には、熱電対保持部3が着脱自在に接続されている。熱
電対保持部3は、内管11と外管12の二重構造の金属
保護管13と、金属保護管13の外管12に嵌合される
保持部31と、少なくとも熱電対交換部2と金属保護管
13の接続部近傍を覆うアルミナ系セラミックスの断熱
体14とで構成される。ここで、図4(c)に示すよう
に、内管11の先端部の両側(図4(c)中では左右
側)には、切欠き部11a,11bが形成されている。
また、内管11の長さは外管12よりも十分に長いた
め、内管11の後端部は外管12より突出している。さ
らに、図5に示すように、外管12の後端と内管11と
の間隙は、リング部材54により塞がれているが、この
リング部材54のリング穴内周面54aと内管11の外
周面とは、内管11の長手軸方向(図5中では左右方
向)に摺動自在である。
は左側)の端部(以下、先端部と示す)には、熱電対交
換部2を機械的に固定する固定手段15と、熱電対コネ
クタ7と接続する第1コネクタ16が設けられている。
また、第1コネクタ16には、補償導線20と接続され
た第2コネクタ19が接続されており、この補償導線2
0は、内管11の内部および内管11の後端近傍に設け
た導線挿通管23を介して、熱電対1の外部の測定機器
(図示せず)と接続されている。さらに、第2コネクタ
19は、図4(b)に示すように、コネクタ支持ケース
19aとコネクタ本体19bとで構成されており、ケー
ス19aは、内管11の先端部側から前述した切欠き部
11a,11bに嵌め込んで設けられ、このケース19
aに本体19bが載置して設けられる。また、金属保護
管13の内管11の後端には冷却空気供給手段21が接
続されている。
部17と、固定部17とバネ部材30を介して係合さ
れ、熱電対固定部2を固定するフック部18で構成され
る。このフック部18の先端18aが、シース6の凹部
6aに噛み合わされる。
ング部材35と、外管嵌合部材37で構成されている。
円筒状のシース保持部材33は、一端側(図2中では左
側)にシース6の耐酸化被覆層32の外径よりやや大径
の小径部34aが、他端側(図2中では右側)に大径部
34bが形成されており、小径部34aと大径部34a
の段差部34bに、小径部34aと同径の穴35aを有
するリング部材35が着座されている。リング部材35
の周縁に形成された段差部36には、円筒状の外管嵌合
部材37が嵌合されている。外管嵌合部材37の内周部
は、リング部材35に嵌合する一端側(図2中では左
側)が大径に、他端側(図2中では右側)が小径に形成
されている。この小径部が前述したフック部18を拘束
する拘束部38となり、大径部と小径部はテーパ部39
で接続されている。また、外管嵌合部材37の他端側外
周部は、段差部40を介して縮径されており、この縮径
部41に前述した外管12が嵌合される。
クスからなる多孔質体14aと、多孔質体14aの表面
に被覆形成され、セメント状のアルミナ系セラミックス
からなるコーティング被膜14bとで構成される。コー
ティング被膜14bは、多孔質体14aの飛散防止のた
めに形成するものであって、多孔質体14aの種類によ
ってはコーティング被膜14bを被覆形成しなくてもよ
い。
部近傍には、図5に示すように、円筒状の被把持部材5
1が嵌め込まれており、この被把持部材51に、図6に
示す動力部61の把持部材62が接続される。被把持部
材51は、前方側(図5中では左側)に外管12と嵌合
する大径部51aを、後方側(図5中では右側)に内管
11と略同径の小径部51bを有しており、小径部51
bには拡径部51cが形成されている。この拡径部51
cと内管11の外周面の間隙にスプリング52が挿入し
て配置されており、スプリング52の挿入側端(図5中
では左端)は小径部51bと拡径部51cの段差部51
dに着座されている。また、内管11の外周面における
スプリング52の他端(図5中では右端)近傍には、ス
プリング52を圧縮する押えリング53が設けられてい
る。
1を収容する収容部64と、熱電対1の被把持部材51
を把持する把持部材62と、把持部材62と係合し、か
つ、熱電対1の長手方向に沿って設けられたレール部材
63と、把持部材62をレール部材63に沿ってスライ
ドさせる駆動手段(例えば、空気圧(エア)シリンダ、
油圧シリンダなど(図示せず))で構成される。収容部
64の熱電対先端部側(図6中では左側)には開口65
が形成されている。
φ2mm)4を構成するセラミックスとしては、例え
ば、窒化ケイ素などが挙げられる。また、外側シース
(例えば、外径φ13mm、内径φ7mm)5を構成す
るサーメットとしては、例えば、Mo−ZrO2 系サー
メットなどが挙げられる。
合金線又はPt−Rh系合金線などが挙げられ、例え
ば、W−5Re合金線とW−26Re合金線を用いた熱
電対素線が挙げられる。
ミックスとしては、特に限定するものではなく、例え
ば、Al2 O3 、MgO、SiO2 等が挙げられる。
と熱電対保持部を接続する際の断面拡大図を図3に示
す。なお、図1,2と同様の部材には同じ符号を付して
いる。
対保持部3を接続する際は、先ず、フック部18全体が
内管11の拘束部38よりも前方側(図3中では左側)
に位置するまで、内管11を先端部側に押し込む。この
時、バネ部材30の付勢により、フック部18が外側
(図3中では上下側)に開く。また、内管11を先端部
側に押し込むことで、図5に示した押さえリング53で
スプリング52が圧縮される。すなわち、内管11に対
しては、先端部側への押し込み力と、スプリング52に
よる後端部側への反発力が作用している。なお、内管1
1の先端部側への押し込みは、内管11の後端部に接続
した油圧シリンダなどの押込み手段、或いは内管11を
手で持ち、作業員の手作業(人力)により行う。
開端側を、保持部31のシース保持部材33の小径部3
4aに挿入し、熱電対交換部2の熱電対コネクタ7を、
内管11の第1コネクタ16と接続させる。この時、シ
ース6の凹部6aが、内管11の固定手段15における
フック部18の先端18aと向かい合うように、凹部6
aの形成位置を予め調整しておく。
ると、スプリング52による後端部側への反発力で、内
管11が後端部側へ引っ張られる。この時、内管11の
後端部側への移動に伴い、保持部31における外管嵌合
部材37の拘束部38でフック部18が拘束されること
によってフック部18が徐々に内側に閉じ、図4(a)
に示すように、フック部18の先端18aが凹部6aに
噛み合う。その後、スプリング52が完全に伸長するこ
とで、内管11は所定の位置に戻り、第1コネクタ16
と第2コネクタ19が接続される。また、熱電対交換部
2が外管12の内部まで引き込まれると共に、シース6
の耐酸化被覆層32の一部が保持部31におけるシース
保持部材33の小径部34a内に収まって保持される。
接続を外す際は、上述した手順と逆の手順により行う。
その結果、熱電対交換部2と熱電対保持部3を着脱自在
に接続することが可能となり、熱電対交換部2が寿命に
より使用不可能となった場合、熱電対交換部2のみを容
易に取り替えることができる。
接続してなる熱電対1を用いて温度測定を行う。
に示すように、収容部64内に収容されている。よっ
て、動力部61の駆動手段を駆動させて、把持部材62
をレール部材63に沿ってスライド移動(図6中では左
側にスライド移動)させ、図6(b)に示すように、熱
電対1の大部分(図6(b)中では先端から断熱体14
の後端部)を収容部64の開口65から露出させる。
空気供給手段21を介して、冷却空気22を内管11の
内部を通して先端部側(図2,5中では左側)に供給す
る。内管11内に供給された冷却空気22の一部は、図
4(b)に示すように、内管11の先端部側の切欠き部
11a,11bを抜けて内管11と外管12の間に抜け
る。また、冷却空気22の残部は、図4(c)に示すよ
うに、固定部17と第1コネクタ16との間の隙間を抜
けて、内管11と外管12の間に抜ける。
冷却空気22は、内管11と外管12の間を通って後端
部側に案内され、外管12の円周部(図5中では断熱体
14と被把持部材51の間における外管12の円周部)
に貫通形成した排出穴(図5中では2個のみ図示)55
a,55bから排出される。
通して先端部側に供給すると共に、内管11と外管12
の間を通して後端部側に排出することで、温度測定中、
補償導線20、熱電対コネクタ7、第1コネクタ16、
第2コネクタ19、および外管12を冷却することがで
きるため、安定して、かつ、正確に温度測定を行うこと
ができる。
2と金属保護管13の接続部近傍を断熱体14で覆うこ
とで、熱電対保持部3の先端部側が、直接、高温雰囲気
(例えば、火炎や高温ガス)に晒されるのを防ぐことが
できる。その結果、本発明に係る熱電対1を用いてバー
ナ式回転炉の金属溶湯の温度測定を行う際、ガスバーナ
を燃焼させたままであっても、金属溶湯の温度測定を行
うことができる。
り、外管12(従来の熱電対の本体ケーシングに相当)
の形成材として、従来のように、高価で、成形性が困難
な複合セラミックスではなく、通常の耐熱鋼又は耐熱合
金(例えば、inconel(登録商標)等)を使用す
ることが可能となり、従来より、安価に、かつ、成形性
よく外管12を形成することができる。また、冷却空気
22による冷却効果により、補償導線20、コネクタ
7,16,19および外管12の寿命延長を図ることが
できる。
を添付図面に基いて説明する。
り付けた時の側面図を図7に、本発明に係る熱電対を用
いて鋳鉄塊を溶解する際の、溶解開始からの経過時間と
火炎温度との関係を図8に示す。なお、図1〜6と同様
の部材には同じ符号を付している。
は、円筒状の炉体72の排煙・火炎出口73側(図7中
では右側)にダクト75を接続したものであり、炉体7
2は回転自在となっている。また、ダクト75における
炉体接続口75aの近傍には、熱電対1を挿通させるた
めの挿通部材76が設けられている。さらに、熱電対1
をその内部に収容する動力部61が、固定部材77によ
り、炉体72の回転軸81の軸方向に対して傾いた状態
で、ダクト75に固定されており、動力部61における
収容部64の開口65に、挿通部材76が嵌合されてい
る。
(例えば、鋳鉄塊(図示せず))を投入した後、ガスバ
ーナ(図示せず)の先端を炉体72の内部に挿入すると
共に、ガスバーナを燃焼(燃焼温度は、例えば約170
0℃)させ、炉体72を周方向に回転させながら金属塊
の溶解を行う。ここで、ガスバーナの燃焼に先立って、
動力部61の駆動手段を駆動させて、熱電対1を収容部
64の開口65から露出させると共に、熱電対1の熱電
対交換部の先端を排煙・火炎出口73の略中心に予め位
置させておき、排煙・火炎出口73から排出される排煙
・火炎80の温度を熱電対1で測定する。
8中では0〜約30分)においては、金属塊を加熱する
ためにガスバーナの火炎の熱量が奪われるため、排煙・
火炎出口73における火炎温度は比較的低い温度を示
す。その後、溶解が進行するにつれて火炎温度は徐々に
上昇していき、溶解後期(図8中では温度測定開始から
約75〜80分後)には、飽和量以上に添加されたCの
燃焼により、火炎温度が最高温度T1 に達する。
溶解を続けると、火炎温度が急激に低下するのが検知さ
れる(図8中では温度測定開始から約80分以降)。こ
の火炎温度の急激な低下時期は、溶解完了時期と略一致
することから、この低下時期の検知をもって、出湯前の
金属溶湯74の温度測定を開始する。この火炎温度の急
激な低下の理由を調べた結果、溶解完了に伴って金属溶
湯中の余剰なCの燃焼が無くなることから起こること、
及び火炎温度の急激な低下時期と溶解完了時期とは略一
致していることが判明した。すなわち、金属塊溶解中の
排煙・火炎80の温度を測定し、火炎温度が急激に低下
する時期を検知することで、金属溶湯の溶解完了時期を
略正確に知ることができる。
駆動手段を再び駆動させて、熱電対1を収容部64の開
口65から露出させると共に、熱電対1の熱電対交換部
の先端部(耐酸化被覆層32よりも先の部分(例えば、
先端からの長さが600mmの部分))を炉体72の内
部の金属溶湯74に浸漬することによって開始する。
は、温度測定中における一定時間内の温度上昇の勾配
(又は温度上昇曲線の接線の傾きの微分値)から、温度
上昇が飽和に達する時の温度を予測し、その予測温度を
測定温度として確定し、温度上昇が飽和に達する前に測
定機器の表示手段(図示せず)に表示するようにしてい
る。
所定温度に達していたら、ガスバーナによる溶解を停止
し、金属溶湯74を出湯する。また、この表示された温
度が、予め決めておいた所定温度未満であったら、表示
温度が所定温度に達するまでガスバーナによる溶解を続
行する。
図9に示すように、浸漬開始から約100秒の間におい
ては温度が徐々に上昇していく。その後、浸漬開始から
約100〜120秒で温度上昇は略飽和(図9中では約
1500℃弱)に達すると共に、浸漬開始から約120
秒で温度上昇は完全に飽和し、この飽和温度T2 (図9
中では約1500℃)を測定温度として確定する。この
飽和温度T2 が、前述の“予め決めておいた所定温度”
に達していたら(図9中では浸漬開始から約120〜1
50秒後)、熱電対1を金属溶湯74から引き上げる。
この引上げによって熱電対1の温度は徐々に下がり始
め、引上げ後約30秒(図9中では浸漬開始から約18
0秒後)で表示温度は約1000℃となる。ここで、熱
電対1を引上げた後、熱電対1の表示温度が予め決めて
おいた所定温度(例えば、1000℃)に下がった時点
で1回の温度測定の終了とし、この温度測定の終了をも
って測定回数がカウントされる。
においては、熱電対1をバーナ式回転炉71に取り付け
た場合について説明を行ったが、温度測定可能な炉はバ
ーナ式回転炉71に限定されるものではなく、電気炉で
あってもよい。この場合、熱電対1における熱電対交換
部2の先端部を電気炉の金属溶湯上方に位置させる以外
は、バーナ式回転炉71の場合と同様に、金属溶湯上方
の雰囲気温度が急激に低下する時期から金属溶湯の溶解
完了時期を検知し、その後、金属溶湯74の温度測定を
行い、金属溶湯74の温度の確定・表示を行う。
いては、熱電対保持部3の金属保護管13を冷却空気2
2で冷却しながら金属溶湯74の温度測定を行っている
ため、温度測定を繰り返し行っても正確な温度測定がで
き、金属溶湯74中に浸漬される熱電対交換部2のシー
ス6が破損するまで数百回(実験では300回)以上の
測定が可能であった。
いるものの冷却空気22による冷却を行わなかった場合
の温度測定結果は、最初の測定から数回の間は正確な温
度測定を行うことができたが、温度測定回数を重ねるご
とに測定誤差が拡大し、inconel(登録商標)製
の外管12が曲がってしまうという不具合が生じた。こ
れは、温度測定を繰り返し行うことで、外管12内部の
温度が上昇し、補償導線20およびコネクタ7,16,
19が補償温度以上に晒されて異常値を示すために生じ
ると共に、外管12が高温になることで高温強度が低下
し、外管12の自重に耐えられなくなったために生じる
ものである。
共に、熱電対交換部2と金属保護管13の接続部近傍を
断熱体14で覆うことで、熱電対保持部3の先端部側が
高温になるのを防ぐことができ、ガスバーナを燃焼させ
たまま、金属溶湯の温度測定を行うことができる。その
結果、ガスバーナの燃料コストの低減を図ることができ
る。
温度を測定し、火炎温度の急激な低下時期の検知をもっ
て、金属溶湯の溶解完了時期とすることで、出湯前の金
属溶湯74の温度を何度も測定する必要がなくなる(又
は出湯前の金属溶湯74の温度測定回数が1回で済む)
ため、熱電対1の寿命延長を図ることができる。
施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のもの
が想定されることは言うまでもない。
な優れた効果を発揮する。 (1) 本発明に係る溶解炉用熱電対によれば、熱電対
の先端部が交換可能であり、また、その交換に伴う先端
部の着脱が容易である。 (2) 本発明に係る溶解炉用熱電対の温度測定方法に
よれば、金属溶湯原料を溶解中の溶解炉における火炎温
度又は金属溶湯近傍の雰囲気温度を測定し、その温度を
モニタリングすることで、金属溶湯の溶解完了時期を略
正確に検知することができる。
る。
電対保持部を接続する際の断面拡大図である。
各断面図である。
である。
けた時の側面図である。
火炎温度を測温する際の、鋳鉄塊の溶解開始からの経過
時間と熱電対モニター温度との関係を示す図である。
る際の、熱電対を金属溶湯に浸漬してから測温が完了し
て熱電対を引き上げるまでの経過時間と熱電対測定温度
との関係を示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 耐熱性材料で形成され、一端が閉じたシ
ースの閉端内部に熱電対素線の測温点を臨ませて配置す
ると共に、シースの開端にシースを閉じる熱電対コネク
タを設けてなる熱電対交換部と、熱電対保持部で構成さ
れ、その熱電対交換部のシース閉端部を溶解炉内の金属
溶湯に浸漬して温度測定を行なう溶解炉用熱電対におい
て、上記熱電対交換部のシース開端側に、上記熱電対保
持部として内管と外管の二重構造の金属保護管を着脱自
在に接続し、その金属保護管の他端に冷却空気供給手段
を接続し、温度測定の際、冷却空気を金属保護管の内管
を通して熱電対交換部側に供給すると共に、内管と外管
の間を通して排出するようにしたことを特徴とする溶解
炉用熱電対。 - 【請求項2】 上記シースを、Mo−ZrO2 系サーメ
ットの単体、窒化ケイ素系セラミックスの単体、又は窒
化ケイ素系セラミックスからなる内部シースとMo−Z
rO2 系サーメットからなる外部シースの複合体で形成
した請求項1記載の溶解炉用熱電対。 - 【請求項3】 上記シースと上記熱電対素線との間の空
隙を、窒化ケイ素系セラミックスで充填した請求項1又
は2に記載の溶解炉用熱電対。 - 【請求項4】 上記シース表面の溶湯非浸漬部分に、酸
化物系セラミックスの耐酸化被覆層を設けた請求項1か
ら3いずれかに記載の溶解炉用熱電対。 - 【請求項5】 少なくとも上記熱電対交換部と上記金属
保護管の接続部近傍に、アルミナ系セラミックスの断熱
体を配した請求項1から4いずれかに記載の溶解炉用熱
電対。 - 【請求項6】 上記内管の熱電対交換部側端部に、熱電
対交換部を機械的に固定する固定手段と上記熱電対コネ
クタと接続する第1コネクタを設けた請求項1から5い
ずれかに記載の溶解炉用熱電対。 - 【請求項7】 耐熱性材料で形成され、一端が閉じたシ
ースの閉端内部に熱電対素線の測温点を臨ませて配置す
ると共に、シースの開端にシースを閉じる熱電対コネク
タを設けてなる熱電対交換部と熱電対保持部で構成さ
れ、その熱電対交換部のシース閉端部を溶解炉内の金属
溶湯に浸漬して温度測定を行なう溶解炉用熱電対を用い
た温度測定方法において、上記溶解炉用熱電対のシース
先端部を、バーナ式回転炉の排煙・火炎出口近傍に配置
すると共に、金属溶湯原料の溶解中、排煙・火炎出口近
傍の火炎の温度を測定し、その測定温度から上記金属溶
湯の溶解完了時期を検知し、その後、金属溶湯の温度測
定を行うことを特徴とする溶解炉用熱電対を用いた温度
測定方法。 - 【請求項8】 耐熱性材料で形成され、一端が閉じたシ
ースの閉端内部に熱電対素線の測温点を臨ませて配置す
ると共に、シースの開端にシースを閉じる熱電対コネク
タを設けてなる熱電対交換部と熱電対保持部で構成さ
れ、その熱電対交換部のシース閉端部を溶解炉内の金属
溶湯に浸漬して温度測定を行なう溶解炉用熱電対を用い
た温度測定方法において、上記溶解炉用熱電対のシース
先端部を、電気炉の溶湯上方に配置すると共に、金属溶
湯原料の溶解中、溶湯上方の雰囲気温度を測定し、その
測定温度から上記金属溶湯の溶解完了時期を検知し、そ
の後、金属溶湯の温度測定を行うことを特徴とする溶解
炉用熱電対を用いた温度測定方法。 - 【請求項9】 一定時間内の温度上昇の勾配又は温度上
昇曲線の接線の傾きの微分値から、温度上昇が飽和に達
する時の温度を予測し、その予測温度を測定温度とし
て、温度上昇が飽和に達する前に表示する請求項7又は
8記載の溶解炉用熱電対を用いた温度測定方法。
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