JP2002155353A - 薄膜形成方法およびその装置 - Google Patents

薄膜形成方法およびその装置

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JP2002155353A JP2000346886A JP2000346886A JP2002155353A JP 2002155353 A JP2002155353 A JP 2002155353A JP 2000346886 A JP2000346886 A JP 2000346886A JP 2000346886 A JP2000346886 A JP 2000346886A JP 2002155353 A JP2002155353 A JP 2002155353A
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肇 神谷
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博国 世田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、ドライプロセスのみによる
単純化された工程で、真空を破ることなく、有機物ハー
ドコート膜と光学薄膜とを連続して堆積することが可能
な薄膜形成方法およびその装置を提供することにある。 【解決手段】 本発明は、プラスチック基板6a上に、
基板6aよりも硬度の高い有機物ハードコート膜を形成
する薄膜形成方法であって、基板6aを、真空槽S2内
に導入する基板真空槽導入工程と、真空槽S2内におい
て、真空中で蒸着することにより、基板6a上に、有機
物を堆積させて、ハードコート膜を形成する真空蒸着工
程と、該真空蒸着工程と同時にまたは前記真空蒸着工程
に連続して、ハードコート膜を硬化させる硬化工程と基
板6aを、前記真空槽S2から大気中に取り出す基板取
出工程と、を順次行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜形成方法およ
びその装置に係り、特に、プラスチック基板と、誘電体
光学薄膜または吸収膜を含む光学薄膜との密着強度向
上、およびプラスチック基板の擦傷防止のための薄膜
を、形成可能な薄膜形成方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック基板の表面に誘電体・金属
・透明導電体等の薄膜を形成して種々の機能を付与する
処理が、一般的に行われている。例えば、カメラ等のレ
ンズ、眼鏡やサングラスのレンズ、CRTパネル等で
は、プラスチック基板の表面に反射防止膜等の薄膜を蒸
着法、スパッタ法等で形成することが行われている。
【0003】このとき、プラスチック基板上に、そのま
ま光学薄膜を蒸着法、スパッタ法等で成膜した場合、プ
ラスチック基板と光学薄膜との間で、十分な密着強度が
得られない。そこで、密着強度を向上させるため、予
め、プラスチック基板に、真空チャンバー内でプラズマ
処理を施しておき、その後光学薄膜を同じ真空チャンバ
ー中で成膜することにより、基板と光学薄膜との密着強
度を向上させる技術が一般的に行われている。
【0004】しかし、プラズマ処理を行うこの技術を、
代表的なプラスチック基板の一つであるポリメタアクリ
レートに適用すると、基板が劣化してしまうという問題
点がある。ポリメタアクリレートは、「崩壊型ポリマ
ー」、すなわち荷電粒子の照射によって劣化する性質を
有するポリマーだからである。また、上記技術をスパッ
タリング法で光学薄膜を形成して行った場合、基板と光
学薄膜との間の密着強度がきわめて弱くなるという問題
点がある。
【0005】一方、プラスチック基板と光学薄膜との密
着強度を向上させる技術として、基板上にハードコート
膜を設け、その上に光学膜を蒸着法、スパッタ法等によ
って成膜する技術も、一般的に行われている。ここで、
ハードコート膜とは、一般的に、基板の擦傷防止機能お
よび基板と光学薄膜との密着強度向上機能を有する膜を
いい、酸化ケイ素(SiO、SiO)等の無機物から
なるものと有機物からなるものとに分類される。通常、
硬度が低く柔らかいプラスチック基板の擦傷防止のた
め、基板の硬度よりも高い硬度を有するように形成され
ている。
【0006】上記基板上にハードコート膜を設ける技術
としては、酸化ケイ素(SiO、SiO)等の無機物
が、有機物であるプラスチック基板及び光学薄膜の両者
との相性がよいことから、従来、基板上に無機物からな
るハードコート膜を、蒸着等のドライプロセスで形成す
る技術が多用されてきた。しかし、この無機物からなる
ハードコート膜は、膜厚を厚くするとクラックが生じ易
いという問題点があった。
【0007】そこで、ハードコート膜として有機物を形
成する次のような技術が行われるようになった。すなわ
ち、まず、大気中或いは常圧下で、ディッピング、スピ
ンコート、はけぬり、散霧、印刷等の手段により、ハー
ドコートの原料液を基板上に塗布する塗布工程、溶媒等
を蒸発させて固体上又は半固体上にし、予備的に膜の形
を決めるセッティング工程、熱硬化、UV(紫外線)硬
化、EB(電子ビーム)硬化等の硬化工程を順次行い、
プラスチック基板上に有機物ハードコート膜を形成す
る。その後、得られたハードコート付基板を真空チャン
バー内に入れ、ハードコートの上に、蒸着またはスパッ
タリング等により、光学薄膜を形成し、目的とする光学
薄膜で被覆されたプラスチック物品を得る。
【0008】しかし、この有機物ハードコート膜を形成
する技術によると、大気中におけるハードコート膜形成
と真空中における光学薄膜形成とを行う必要があり、ウ
ェットプロセスとドライプロセスという2段階のプロセ
スが必要となるため、工程が複雑で、且つ設備費が大き
くなるという問題点があった。
【0009】また、ハードコート膜の成膜条件を安定に
維持管理することが難しいという問題点があった。例え
ば、塗布工程、特にその中でもディッピング法による場
合、液の濃度、温度、粘度、基板の昇降速度等のコート
条件を一定の値に維持することが難しく、その結果、ハ
ードコート膜の膜厚、硬度が安定しにくいという問題点
があった。さらに、ハードコート膜が安定しにくいた
め、ひいては、光学薄膜について、所望の膜厚精度を得
られないという問題点も生じていた。また、UV硬化法
を採用する場合は、UV硬化を大気中で行っているため
に、酸素を避けるために置換ガスを導入しなければなら
ず、工程が煩雑になる等の問題点があった。一方、プラ
スチック基板等の表面にハードコート膜を形成して、表
面に傷がつき難い眼鏡用レンズ等の製品を製造すること
が一般的に行われている。この場合にも、ハードコート
膜の形成は、通常ディッピング法等により行われてお
り、ハードコート膜の膜厚、硬度が安定しにくいという
問題点があった。また、ディッピング法等のウェットプ
ロセスでは、作業の効率があまりよくないという問題点
もあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決するものであり、本発明の目的は、ドライプロセス
のみによる単純化された工程で、真空を破ることなく、
有機物ハードコート膜と光学薄膜とを連続して堆積する
ことが可能な薄膜形成方法およびその装置を提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、従来よりも設備が小型
かつ安価で、構造が単純なハードコート膜および光学薄
膜の薄膜形成装置を提供することにある。本発明の更に
他の目的は、安定したコート条件を維持可能で、所望の
膜厚精度を維持可能で、膜の硬度の安定化可能なハード
コート膜および光学薄膜の薄膜形成方法およびその装置
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題は、請求項1に
係る発明によれば、真空槽内で、プラスチック基板上
に、該プラスチック基板よりも硬度の高い有機物ハード
コート膜を形成する方法であって、前記基板を、前記真
空槽内に導入する基板真空槽導入工程と、前記真空槽内
において、真空中で蒸着することにより、前記基板上
に、有機物を堆積させて、前記ハードコート膜を形成す
る真空蒸着工程と、該真空蒸着工程と同時にまたは前記
真空蒸着工程に連続して、前記ハードコート膜を硬化さ
せる硬化工程と、該硬化工程で得られたハードコート膜
が形成された基板を、前記真空槽から大気中に取り出す
基板取出工程と、を備えることにより解決される。この
ように、真空蒸着により、プラスチック基板よりも硬度
の高いハードコート膜を形成しているので、プラスチッ
ク基板の擦傷防止効果を有するハードコートを、ドライ
プロセスによるシンプルかつクリーンな方法で、形成す
ることが可能となる。また、真空蒸着により、有機物ハ
ードコート膜を形成しているので、クラックが発生し難
い有機物ハードコートを、ドライプロセスによるシンプ
ルかつクリーンな方法で、形成することが可能となる。
同じ真空槽内で、真空蒸着工程と同時にまたは前記真空
蒸着工程に連続して、ハードコート膜の真空蒸着工程と
硬化工程とを行うように構成しているので、ドライプロ
セスによるシンプルな工程で、プラスチック基板上に、
基板の擦傷防止のためのハードコート膜を形成すること
が可能となる。また、真空蒸着によりハードコート膜を
形成しているため、膜厚・硬度の安定したハードコート
膜を得ることが可能となる。さらに、プラスチック基板
に、有機物ハードコート膜を形成しているので、光学薄
膜形成前の半製品として、光学薄膜の密着性のよいハー
ドコート膜付き基板を製造することが可能となる。
【0012】また、上記課題は、請求項2に係る発明に
よれば、真空槽内で、プラスチック基板上にハードコー
ト膜と光学薄膜とを順次形成する方法であって、前記基
板を、前記真空槽内に導入する基板真空槽導入工程と、
前記真空槽内において、真空中で蒸着することにより前
記基板上に、有機物を堆積させて前記ハードコート膜を
形成する真空蒸着工程と、該真空蒸着工程で得られたハ
ードコート膜上に、前記真空槽内において、真空中で光
学薄膜を堆積させる光学薄膜形成工程と、該光学薄膜形
成工程で得られたハードコート膜および光学薄膜が形成
された基板を、前記真空槽から大気中に取り出す基板取
出工程と、を備えることにより解決される。このよう
に、同じ真空槽内で、ハードコート膜の真空蒸着工程と
光学薄膜形成工程とを行うように構成することにより、
ドライプロセスのみによる単純化された工程で、真空を
破ることなく、ハードコート膜と光学薄膜とを連続して
堆積することが可能となる。また、真空蒸着によりハー
ドコート膜を形成しているため、膜厚・硬度の安定した
ハードコート膜を得ることが可能となる。さらに、プラ
スチック基板と光学薄膜との間に、ハードコート膜を形
成するので、表面が傷つきにくく、プラスチック基板と
光学薄膜との密着強度の高い光学薄膜付基板を得ること
が可能となる。
【0013】このとき、前記真空蒸着工程の後で、該真
空蒸着工程で得られたハードコート膜を、真空中で硬化
させる硬化工程を行うと好適である。また、前記光学薄
膜形成工程の後で、前記光学薄膜形成工程で得られた光
学薄膜上に、表面処理膜を堆積させる表面処理膜形成工
程を行うと好適である。これにより、光学薄膜形成工程
で得られた光学薄膜の表面がポーラスで、表面についた
汚れが取れ難いものになった場合でも、光学薄膜の上に
表面処理膜を形成することにより、薄膜表面についた汚
れが取れ易いものとすることが可能となる。
【0014】上記課題は、請求項5に係る発明によれ
ば、プラスチック基板上に有機物からなるハードコート
膜を形成する装置であって、真空槽と、該真空槽内に配
設された前記基板を支持可能な基板ホルダと、前記基板
上に有機物を真空蒸着により堆積させる該真空槽内に配
設されたハードコート膜蒸発源と、前記基板上に真空蒸
着された有機物を硬化可能な硬化手段と、を備え、前記
硬化手段は、前記基板ホルダに支持された基板に対向す
るように配設されていることにより解決される。このよ
うに、ハードコート膜蒸発源を真空槽内に備え、硬化手
段が基板ホルダに支持された基板に対向するように配設
されていることにより、ハードコート膜の蒸着と硬化と
を真空槽内で連続して行うことが可能となる。また、プ
ラスチック基板上にハードコート膜を形成する装置を、
ドライプロセス装置として構成できるため、シンプルで
クリーンなものとすることが可能となる。
【0015】上記課題は、請求項6に係る発明によれ
ば、プラスチック基板上にハードコート膜と光学薄膜と
を形成する装置であって、真空槽と、該真空槽内に配設
された前記基板を支持可能な基板ホルダと、前記基板上
に有機物を真空蒸着により堆積させるハードコート膜蒸
着手段と、前記基板上に光学薄膜を堆積させる光学薄膜
堆積手段と、を備え、前記ハードコート膜蒸着手段およ
び前記光学薄膜堆積手段は、前記真空槽内に、前記基板
に対向するように配設されていることにより解決され
る。このように構成することにより、ドライプロセスの
みによる単純化された工程で、真空を破ることなく、ハ
ードコート膜と光学薄膜とを連続して堆積させる装置と
することが可能となる。また、連続式のハードコート膜
および光学薄膜形成装置を、シンプルな構成とすること
が可能となる。このとき、前記ハードコート膜蒸着手段
により前記基板上に堆積した有機物を硬化させる硬化手
段を備えていると好適である。
【0016】また、前記真空槽内に、前記基板上に表面
処理膜を堆積させる表面処理膜形成手段が配設されてい
ると好適である。これにより、光学薄膜堆積手段により
前記基板上に堆積した光学薄膜の表面がポーラスで、表
面についた汚れが取れ難いものになった場合でも、光学
薄膜の表面に表面処理膜を形成することにより、薄膜表
面についた汚れが取れ易いものを製造することが可能と
なる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、プラスチック基板6a
上に、プラスチック基板6aよりも硬度の高い有機物ハ
ードコート膜を形成する薄膜形成方法である。この方法
は、基板6aを、真空槽S2内に導入する基板真空槽導
入工程と、真空槽S2内において、真空中で蒸着するこ
とにより、前記基板6a上に、有機物を堆積させて、ハ
ードコート膜を形成する真空蒸着工程と、該真空蒸着工
程と同時にまたは前記真空蒸着工程に連続して、前記真
空蒸着工程で得られたハードコート膜を硬化させる硬化
工程と、該硬化工程で得られたハードコート膜が形成さ
れた基板6aを、前記真空槽S2から大気中に取り出す
基板取出工程と、を順次行う。
【0018】この薄膜形成方法は、図6乃至図8に示す
次の薄膜形成装置により実施可能である。すなわち、本
発明の薄膜形成装置S2は、真空槽S2と、該真空槽S
2内に配設された基板6aを支持可能な基板ホルダ6
と、基板6a上に有機物を真空蒸着により堆積させる真
空槽S2内に配設されたハードコート膜蒸着手段7と、
基板6a上に真空蒸着された有機物を硬化可能な硬化手
段25と、を備える。硬化手段25は、基板ホルダ6に
支持された基板6aに対向するように配設されている。
【0019】また、本発明は、プラスチック基板上にハ
ードコート膜と光学薄膜とを順次形成する方法である。
この方法は、プラスチック基板6aを真空槽S内に導入
する基板真空槽導入工程と、前記真空槽S内において、
真空中で蒸着することにより前記基板6a上に、有機物
を堆積させて前記ハードコート膜を形成する真空蒸着工
程と、該真空蒸着工程で得られたハードコート膜上に、
前記真空槽S内において、真空中で光学薄膜を堆積させ
る光学薄膜形成工程と、該光学薄膜形成工程で得られた
ハードコート膜および光学薄膜が形成された基板6a
を、前記真空槽Sから大気中に取り出す基板取出工程
と、を順次行う。
【0020】光学薄膜形成工程は、広義の真空蒸着法、
広義のスパッタ法、広義のCVD法(化学気相成長法)
を用いて行うことができる。広義の真空蒸着法として
は、抵抗加熱法、電子ビーム蒸着法、二元蒸着法、フラ
ッシュ蒸着法、三温度法、分子線エピタキシ法、イオン
プレーティング法、レーザ蒸着法、レーザアブレーショ
ン法、反応性蒸着法等が挙げられる。また、広義のスパ
ッタリング法としては、2極スパッタ法、マグネトロン
スパッタ法、反応性スパッタ法等が挙げられる。広義の
CVD法としては、プラズマCVD法、高密度プラズマ
CVD法、光CVD法等が挙げられる。なお、条件を選
定することによって、熱CVD法、常圧CVD法等を用
いることも可能である。
【0021】このハードコート膜および光学薄膜を形成
する薄膜形成方法は、図1に示す次のハードコート膜お
よび光学薄膜形成装置により実施可能である。すなわ
ち、このハードコート膜および光学薄膜形成装置Sは、
真空槽Sと、該真空槽S内に配設された基板6aを支持
可能な基板ホルダ6と、前記基板6a上に有機物を真空
蒸着により堆積させるハードコート膜蒸着手段7と、前
記基板6a上に光学薄膜を堆積させる光学薄膜堆積手段
9、10と、ハードコート膜蒸着手段7により基板6a
上に堆積したハードコート膜材料を硬化させる硬化手段
25と、を備える。そして、ハードコート膜蒸着手段7
および光学薄膜堆積手段9、10は、真空槽S内に、基
板6aに対向するように配設されている。
【0022】また、このとき、図4に示すように前記真
空槽S内に、基板6a上に表面処理膜を堆積させる表面
処理膜形成手段26が配設されるように構成してもよ
い。
【0023】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の一実施例を図面
に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材、配置
等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲
内で種々改変することができるものである。本明細書に
おいて、ハードコート膜とは、基板の擦傷防止機能を有
する膜、または、基板の擦傷防止機能および基板と光学
薄膜との密着強度向上機能を有する膜をいう。硬度が低
く柔らかいプラスチック基板の擦傷防止のため、基板の
硬度よりも高い硬度を有するように形成されている。本
例は、請求項2、3、6、7に係る発明の一実施例であ
る。本例の真空槽としての薄膜形成装置Sは、図1に示
すように、3槽式の真空蒸着装置からなる。なお、真空
槽は、図1のような複数の槽を備えたものに限らず、1
槽式のものであってもよい。
【0024】薄膜形成装置Sは、図1に示すように、各
槽ごとにポンプ15、17、19を備えた真空装置であ
り、大気中から基板ホルダ6を導入し、排気および基板
6a上へのハードコート膜真空蒸着を行うハードコート
膜蒸着室1A、基板6a上に光学薄膜を真空蒸着する光
学薄膜蒸着室2A、リークおよび基板ホルダ6の大気中
への取り出しを行う取出室3を備えている。ハードコー
ト膜蒸着室1Aと光学薄膜蒸着室2Aとの間、光学薄膜
蒸着室2Aと取出室3との間は、開閉可能なゲートバル
ブ4、5により、相互に気密にできるように構成されて
いる。ここで、ハードコート膜蒸着室1Aと、光学薄膜
蒸着室2Aと、取出室3とを含む光学薄膜形成装置S
が、請求項6の真空槽を形成している。また、光学薄膜
形成装置S外とハードコート膜蒸着室1Aとの間、ハー
ドコート膜蒸着室1A、光学薄膜蒸着室2A、取出室3
における基板ホルダ6の各固定位置の間、取出室3と薄
膜形成装置S外との間で、基板ホルダ6を搬送可能な不
図示の搬送機構が設けられている。
【0025】ハードコート膜蒸着室1Aは、鋼製の略直
方体からなり、光学薄膜蒸着室2A側の側面には、基板
ホルダ6を搬送するためのゲートバルブ4を、ゲートバ
ルブ4と反対側の側面には、基板ホルダ6を装置外から
供給するためのゲートバルブ12を備えている。また、
ハードコート膜蒸着室1Aには、バルブ14を介してポ
ンプ15が接続され、また、リークバルブ20が接続さ
れている。また、ハードコート膜蒸着室1A内には、基
板ホルダ6上の基板6aに対向する位置に、ハードコー
ト膜蒸着手段としてのハードコート膜蒸発源であるボー
ト7が配置されている。
【0026】ボートとは、蒸発材料を貯留可能なボート
状に成型された容器をいう。ボートに電流を流すことに
より、発生した熱で加熱された蒸発材料が蒸発し、蒸着
が行われる。この蒸着方式は、直接加熱方式と呼ばれて
いる。本例のボート7としては、モリブデン(Mo)か
らなり、ボート状に成型されたものを用いる。なお、M
oの代わりに、タンタル(Ta)またはタングステン
(W)からなるボートを用いてもよい。また、Moまた
はTaまたはWからなるものの表面にアルミナ(Al
)等のセラミックスコートしてあるもの、あるいは
窒化ホウ素(BN)からなるもの、あるいはBNコンポ
ジットからなるものを用いてもよい。また、ボート7
は、図示しない電源と接続され、電流が流れるように構
成されている。
【0027】なお、本例では、ハードコート膜蒸着手段
としてボート7を用いているが、これに限定されるもの
でなく、ボート7の代わりにアルミナ(Al)、
ベリリア(BeO)等の高融点酸化物るつぼの周囲にヒ
ータを巻いたものなどの外熱式容器を配設し、外熱法に
より加熱蒸発可能に構成してもよい。また、高周波誘導
加熱により加熱蒸発可能に構成してもよい。電子ビーム
蒸着法、フラッシュ蒸着法、イオンプレーティング法等
によりハードコート膜を堆積するように構成してもよ
い。
【0028】また、ハードコート膜蒸着室1Aは、図1
に示すように、側面の所定箇所に、窓孔23が設けら
れ、この窓孔23には、石英製の板状体が嵌装されて、
石英窓24が形成されている。この石英窓24の外側に
は、硬化手段としてのUV(紫外線)照射装置25が、
石英窓24を介して、基板ホルダ6上の基板6aを紫外
線照射可能な位置に、配置されている。基板6a上に、
ボート7からハードコート膜を蒸着した後、このUV照
射装置25でUV照射することにより、基板6aのハー
ドコート膜を硬化可能に構成されている。なお、本例で
は、UV照射装置25をハードコート膜蒸着室1Aの外
に配設しているが、ハードコート膜蒸着室1A内に配設
してもよい。また、本例では、硬化手段としてUV照射
装置25を用いているが、これに限定されず、加熱装置
またはEB(電子ビーム)照射装置を用いてもよい。ま
た、特に硬化手段による硬化工程を行わなくても、条件
を選定することにより、結果的にハードコート膜を硬化
させることができる場合には、硬化手段としての硬化装
置を設けずに、請求項6に係る薄膜形成装置としてもよ
い。
【0029】光学薄膜蒸着室2Aは、鋼性の略直方体か
らなり、基板ホルダ6上の基板6aに対向する位置に、
光学薄膜堆積手段としての光学薄膜蒸発源であるるつぼ
9と、るつぼ9に対して電子線を照射するための電子銃
10と、が配置されている。
【0030】光学薄膜堆積手段としてのるつぼ9は、光
学薄膜材料を貯留可能な容器である。るつぼ9に隣接す
る位置には、電子銃10が配置されている。本例では、
光学薄膜として、単層からなる反射防止膜を形成するた
め、るつぼ9として、単一の槽からなるるつぼを用いる
が、多層からなる光学薄膜を形成する場合には、複数の
槽を有するるつぼを用いるとよい。この場合には、複数
の槽のそれぞれに、異なる材料を貯留しておき、電子銃
10により、各槽内の材料に、所定の順序で電子線を照
射することにより、多層膜を形成する。電子銃10は、
電子ビーム蒸着法で一般的に用いられる電子銃からな
る。また、光学薄膜蒸着室2Aの外側には、基板6a上
に堆積された薄膜の厚さを監視するためのモニタ機構1
1が配設されている。光学薄膜蒸着室2Aには、バルブ
16を介してポンプ17が接続され、また、リークバル
ブ21が接続されている。
【0031】取出室3は、鋼製の略直方体からなり、光
学薄膜蒸着室2A側の側面には、基板ホルダ6を搬送す
るためのゲートバルブ5を、ゲートバルブ5と反対側の
側面には、基板ホルダ6を装置外へ取り出すためのゲー
トバルブ13を備えている。また、取出室3には、バル
ブ18を介してポンプ19が接続され、また、リークバ
ルブ22が接続されている。
【0032】次に、本例の薄膜形成方法で用いる材料に
ついて説明する。基板6aには、プラスチック基板を用
いる。具体的には、ポリカーボネート、ジエチレングリ
コールジアリルカーボネート(商品名:CR−39)、
ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート
コポリマー、セルロースアセテート、ポリエチレンテレ
フタレート等を用いるが、特に限定されるものではな
く、他の光学製品等に用いられる一般的なプラスチック
材料を用いることができる。
【0033】ハードコート膜の蒸着材料有機物として
は、次のオリゴマーおよびポリマー、モノマー、光開始
剤、溶剤を適当な割合で混合したものを用いる。オリゴ
マーおよびポリマーとしては、例えば、エポキシアクリ
レート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレ
ート、ポリエーテルアクリレート、ポリメチルメタアク
リレート−co−グリシジルメタアクリレート、酸変性ア
クリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコンア
クリレート、アミノプラスト型アクリレート、ビニルエ
ーテル等を用いるが、特に限定されるものではなく、他
のオリゴマーおよびポリマーを用いることもできる。
【0034】モノマーとしては、例えば、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレ
ート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレー
ト、イソプロピルメタアクリレート、n−ブチルメタア
クリレート、イソブチルメタアクリレート、n−ヘキシ
ルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アクリル
酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキ
シプローピルアクリレート、マレイン酸、イタコン酸、
アクリルアミド、N−メチロールアクリアミド、ジアセ
トンアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、スチ
レン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリ
ル、1、4−ブタンジオールジアクリレート、エチレング
リコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘ
キサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸
エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート、ジメチルアミノエチルマタクリレー
ト、テトラヒドロフルフリールメタクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート等を用いるが、特
に限定されるものではなく、他のモノマーを用いること
もできる。
【0035】光開始剤としては、例えば、ベンゾインエ
チルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾイン
イソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテ
ル、メチルベンゾイルフォメート、ベンゾインアルキル
エーテル、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチ
ルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、ベン
ゾイン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、
2、2−ジメトキシ―2―フェニルアセトフェノン、1−ヒ
ドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−エチルア
ンスラキノン、ジベンゾスバロン、ベンゾフェノンアク
リレート、ベンジル、チオキサントン、三級アミン、ア
ゾビスイソブチロニトリル、tert−ジブチルペルオキシ
ド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、テトラメチルチ
ウラムジスルフィドを用いるが、特に限定されるもので
はなく、他の光開始剤を用いることもできる。なお、本
例では、後に説明するように、ハードコート膜の硬化工
程をUV硬化法により行うため、蒸着材料有機物に光開
始剤を添加しているが、硬化工程を熱硬化法、EB硬化
法により行う場合には、光開始剤を添加する必要はな
い。
【0036】溶剤としては、例えば、キシレン、酢酸エ
チル、n−ブタノール、プロパノール、メチルイソブチ
ルケトン、トルエン、酢酸n−ブチル等を用いている
が、特に限定されるものではなく、他の一般的な有機溶
剤を用いることもできる。溶剤は、蒸着材料の製造、保
存、粘性の調整等における取り扱いを容易にするために
添加するが、物性、蒸着条件によっては、添加しなくて
もよい。なお、ハードコート膜の蒸着材料有機物として
は、上に挙げたようなアクリル系以外に、アミノ系、メ
ラニン系、シリコン系等のものも使用可能である。
【0037】なお、蒸着材料有機物に含まれる各成分の
蒸発速度が大きく異なると、最終的に基板上に形成され
たハードコート膜の組成比が、蒸着前の蒸着材料有機物
の組成比と、大きく異なってしまう場合がある。このよ
うな場合には、オリゴマーおよびポリマー、モノマー、
光開始剤等の各成分を別個のボートに入れ、別々に蒸着
条件を制御しながら、同時に蒸着してもよい。
【0038】本例では、光学薄膜の材料としては、アル
ミニウム(Al)、クロミウム、ITO(透明導電
層)、ZrO(酸化ジルコニウム)、SiO(二酸
化けい素)、Y(酸化イットリウム)、Nb
(五酸化二ニオブ)、MgF(フッ化マグネシウ
ム)、CeO(酸化セリウム)、Ta(五酸化
二タンタル)、TiN(窒化チタン)、TiO(酸化チ
タン)、TiO(二酸化チタン)、Yb(酸化
イッテルビウム)、MgO(酸化マグネシウム)、Hf
(二酸化ハフニウム)、ZnS(硫化亜鉛)等を用
いる。但し、これに限定されず、光学薄膜形成の分野に
おいて、一般的に用いられる材料を用いることができ
る。本例によれば、アルミニウム、クロミウムなどの金
属、ITO等の導電性膜、TiN等の吸収膜、Ti
、ZrO、Ta、SiO等の誘電体膜等
の光学薄膜が形成される。
【0039】次に、本例の薄膜形成装置Sを用いた薄膜
形成方法の手順について図1に基づき説明する。本例の
薄膜形成方法は、ハードコート膜及び光学薄膜を形成す
る請求項2、3に係る方法であり、基板真空導入工程
と、有機物を堆積させる真空蒸着工程と、硬化工程と、
光学薄膜形成工程と、基板取出工程と、を備えている。
【0040】まず、ゲートバルブ4およびゲートバルブ
13を閉め、ポンプ17、19により、光学薄膜蒸着室
2Aおよび取出室3内を排気し、所定の真空度にする。
基板ホルダ6に、プラスチック基板6aをセットする。
この基板ホルダ6を、基板搬送機構により、ゲートバル
ブ12からハードコート膜蒸着室1A内に供給する。そ
の後、基板真空導入工程を行う。すなわち、ゲートバル
ブ12を閉め、ハードコート膜蒸着室1A内をポンプ1
5により排気し、所定の真空度にする。
【0041】ハードコート膜蒸着室1A内が所定の真空
度になったら、基板上に、ハードコート膜材料有機物を
蒸着する真空蒸着工程を行う。有機物の真空蒸着工程
は、次のように行う。まず、基板ホルダ6とボート7と
の間に、不図示のシャッタを配置しておく。ボート7に
電流を通電し、ボート7に貯留した有機物の蒸発を開始
する。有機物の蒸発速度が安定したら、シャッタを開
け、基板上に有機物膜を蒸着する。
【0042】不図示の水晶膜厚計により、有機物膜が目
標とする厚みまで堆積したことが確認されたら、シャッ
タを閉め、有機物の蒸着を終了する。なお、ハードコー
ト膜の膜厚は、光学式膜厚計、蒸着時間方式膜厚計によ
り確認してもよい。その後、堆積された有機物膜を硬化
する硬化工程を行う。本例では、硬化工程は、UV硬化
法により行う。UV照射装置25を作動させ、有機物膜
が形成された基板上に、所定時間紫外線を照射する。な
お、本例では、有機物膜を蒸着する真空蒸着工程を終え
た後に、紫外線照射による硬化工程を行っているが、こ
れに限定されず、真空蒸着工程と硬化工程とを同時に行
ってもよい。また、条件を選定することにより、真空蒸
着後放置によって自然に有機物膜を硬化させることがで
きる場合には、硬化工程として放置工程を行ってもよ
い。さらに、真空蒸着中に、自然に硬化が進行する場合
には、真空蒸着工程と同時に進行する自然硬化が、硬化
工程に該当する。
【0043】なお、硬化工程として、加熱装置により、
基板6a薄膜側の面を加熱する熱硬化工程を行ってもよ
い。ただし、本例で用いるプラスチック基板は、一般に
耐熱性が低いので、それぞれのプラスチックの耐熱温度
を超えない程度に加熱する。例えば、基板としてポリメ
チルメタクリレール基板を用いる場合には、基板の温度
が70℃〜80℃を超えないように加熱する。熱硬化工
程は、有機物膜の真空蒸着工程と同時、または、有機物
膜の真空蒸着工程を終了した後に行う。
【0044】また、硬化工程として、EB照射装置によ
り、有機物薄膜に電子ビームを照射するEB(電子ビー
ム)硬化工程を行ってもよい。EB硬化工程は、有機物
膜の真空蒸着工程と同時、または、有機物膜の真空蒸着
工程を終了した後に行う。
【0045】その後、ゲートバルブ4を開け、基板搬送
機構により、基板ホルダ6を、ハードコート膜蒸着室1
Aと同じ真空度に保たれた光学薄膜蒸着室2A内に搬送
する。次いで、ゲートバルブ4、5を閉め、光学薄膜形
成工程を行う。光学薄膜の蒸着は、次のように行う。電
子銃10を作動させ、電子線eをるつぼ9内の光学薄膜
材料に照射し、光学薄膜材料の蒸発を開始する。光学薄
膜材料の蒸発速度が安定したら、シャッタを開け、基板
上に光学薄膜を蒸着する。モニタ機構11により、光学
薄膜が目標とする厚みまで堆積したことが確認された
ら、シャッタを閉め、光学薄膜の蒸着を終了し、光学薄
膜形成工程を完了する。
【0046】次に、ゲートバルブ5を開け、基板搬送機
構により、基板ホルダ6を取出室3に搬送する。その
後、基板取出工程を行う。すなわち、ゲートバルブ5を
閉め、取出室3のリークバルブ22を開け、取出室3内
に大気を導入し、取出室3内の圧力を大気圧に戻す。取
出室3内の圧力が略大気圧となったら、ゲート13を開
け、基板搬送機構により、基板ホルダ6を薄膜形成装置
Sの外に取り出す。以上で、ハードコート膜および光学
薄膜の形成を完了する。基板ホルダ6を供給した後蒸着
を行い、基板ホルダ6を取り出すという上記手順を繰り
返し、プラスチック基板上への真空蒸着工程、光学薄膜
形成工程を、連続的に行う。なお、光学薄膜形成工程
を、擦傷防止のためのハードコート膜を形成する真空蒸
着工程の後に行うのは、擦傷防止効果のある膜を、光学
薄膜の外側に形成すると、反射防止膜等の光学薄膜が、
光学薄膜としての機能を果たさなくなるからである。
【0047】また、レンズ等の製品として使用中に表面
に傷が付いた場合、傷がプラスチック基板まで到達しな
ければ、あまり目立たないため、プラスチック基板への
擦傷さえ防止すれば、製品の外観に大きな影響はないか
らである。つまり、柔らかく厚みのあるプラスチック基
板は、傷が付くと目立つが、厚みの薄い光学薄膜に入っ
た傷は、外観的にあまり目立たないので、プラスチック
基板のみ擦傷防止のためのハードコート膜で被覆すれば
足りるからである。ハードコート膜は、プラスチック基
板およびハードコートの材料によっても異なるが、プラ
スチック基板の擦傷防止可能な硬度、例えば、鉛筆硬度
が、2H以上、4H以上、6H以上等の硬度になるよう
に形成する。
【0048】以上の本例の薄膜形成方法およびその装置
によれば、有機物ハードコート膜を形成する真空蒸着工
程と光学薄膜形成工程との双方を乾式法(ドライプロセ
ス)で行うことができるので、単純でクリーンな製造工
程により、プラスチック基板上に、有機物からなるハー
ドコート膜と光学薄膜とを形成することが可能となる。
また、本例の薄膜形成方法およびその装置によれば、一
つの連続式真空蒸着装置内で、有機物ハードコート膜を
形成する真空蒸着工程と光学薄膜形成工程とを連続的に
行うことができるので、プラスチック基板上に、有機物
ハードコート膜と光学薄膜とを形成する処理を、短時間
で大量に行うことが可能となる。真空蒸着によりハード
コート膜を形成しているため、膜厚・硬度の安定したハ
ードコート膜を得ることが可能となる。ひいては、ハー
ドコート膜の上に堆積させた光学薄膜をも膜厚の安定し
たものとすることが可能となる。
【0049】また、真空蒸着により、プラスチック基板
よりも硬度の高いハードコート膜を形成しているので、
プラスチック基板の擦傷防止効果を有するハードコート
を、ドライプロセスによるシンプルかつクリーンな方法
で、形成することが可能となる。さらに、真空蒸着によ
り、有機物ハードコート膜を形成しているので、クラッ
クが発生し難い有機物ハードコートを、ドライプロセス
によるシンプルかつクリーンな方法で、形成することが
可能となる。
【0050】また、ハードコート膜蒸着室1Aの他の例
を、図2に示す。本例の薄膜形成方法およびその装置
は、図2に示すハードコート膜蒸着室1Aを備えた装置
によっても実施可能である。図2は、図1のボート7の
代わりに、ハードコート膜蒸着手段としての原料貯蔵用
容器31と開口33を配置したものである。図2に示す
ハードコート膜蒸着手段は、原料貯蔵容器31と、配管
32と、開口33とを主要構成要素としている。原料貯
蔵用容器31は、ハードコート膜材料有機物を貯蔵可能
な密閉容器であり、薄膜形成装置Sの外に配置されてい
る。原料貯蔵用容器31は、不図示のヒータを備えてお
り、このヒータによって、原料貯蔵容器31内に貯蔵さ
れた有機物が、加熱可能に構成されている。また、原料
貯蔵用容器31には、不図示のポンプが接続されてお
り、容器内を真空・減圧可能に構成されている。この不
図示のヒータとポンプとで減圧加熱することによって、
液体材料有機物を、原料貯蔵用容器31内で蒸発させる
ことが可能となる。蒸発した気体有機物は、原料貯蔵用
容器31から吹き出し、基板6a上に蒸着する。このと
き、原料貯蔵用容器31内の有機物は、容器内下方(斜
線部分)では液体として、容器内上方では気体として存
在することとなる。
【0051】なお、原料貯蔵用容器31を複数備えるよ
うに構成してもよい。これにより、複数の原料貯蔵容器
31のそれぞれに異なる材料有機物を入れることができ
る。この場合、複数の原料貯蔵容器31から、異なる材
料を同時に蒸着させて単層複合膜を形成してもよいし、
異なる材料を異なるタイミングで蒸着させて、多層膜を
形成してもよい。
【0052】配管32は、ハードコート膜蒸着室1Aの
壁面を貫通して、原料貯蔵用容器31と、ハードコート
膜蒸着室1A内とを接続する配管である。配管32の先
端は、広がった開口33として形成され、開口33は、
基板6aに対向するように広がっている。開口33の形
状は、漏斗状、皿状、筒状等、いかなる形状であっても
よい。また、配管32には、バルブ34が設けられてい
る。原料貯蔵容器31内が減圧加熱され、容器内上方に
有機物気体が充満するとき、この配管32のバルブ34
までの部分にも、有機物気体が充満することとなる。
【0053】図2に示すハードコート膜蒸着手段を用い
た真空蒸着工程は、図1の薄膜形成方法において、真空
蒸着工程の代わりに行うことができる。図2のハードコ
ート膜蒸着手段を用いた有機物の真空蒸着工程は、次の
ように行う。
【0054】原料貯蔵用容器31には、予め、ハードコ
ート膜の液体材料有機物を貯蔵しておく。その後、不図
示のポンプによって、原料貯蔵用容器31内を真空排気
する。これにより、原料貯蔵用容器31内の液体材料有
機物の脱ガスを行うことが可能となる。なお、この脱ガ
スは、バルブ34を開けておき、ハードコート膜蒸着室
1A内をポンプ15で真空することによって行うことも
可能である。次いで、基板ホルダ6と開口33との間
に、不図示のシャッタを配置しておく。原料貯蔵用容器
31の不図示のヒータを作動させ、内部に貯蔵されたハ
ードコート膜材料有機物を加熱する。これにより、減圧
された原料貯蔵容器31内温度が上昇して有機物が蒸発
し、原料貯蔵容器31内と、バルブ34までの配管32
が、有機物気体で充満する。その後、原料貯蔵用容器3
1内の温度が、所定の温度に達したら、バルブ34を開
く。高温・減圧下の雰囲気により気化した有機物は、配
管32を通って、開口33から噴出する。
【0055】開口33からの噴出速度が略一定になった
ら、不図示のシャッタを開け、基板6a上に、ハードコ
ート膜材料有機物の蒸着を行う。不図示の水晶膜厚計に
より、有機物が、所定の厚みに堆積したことを確認した
ら、不図示のシャッタおよびバルブ34を閉め、蒸着を
完了する。なお、有機物ハードコート膜の膜厚は、光学
式膜厚計、蒸着時間方式膜厚計により確認してもよい。
【0056】図2のハードコート膜蒸着室1Aを備えた
装置によって実施される薄膜形成方法およびその装置の
その他の構成は、本例の図1で説明した構成と同様であ
る。
【0057】また、ハードコート膜蒸着室1Aのさらに
他の例を、図3に示す。薄膜形成方法およびその装置
は、図3に示すハードコート膜蒸着室1Aを備えた装置
によっても実施可能である。図3は、図1のボート7の
代わりに、ハードコート膜蒸着手段としての蒸発気化器
39等を配置したものである。図3に示すハードコート
膜蒸着手段は、原料貯蔵容器31と、導管35と、液送
ポンプ36と、ノズル38と、蒸発気化器39とを主要
構成要素としている。
【0058】原料貯蔵用容器31は、ハードコート膜の
液体材料有機物を貯蔵可能な密閉容器であり、薄膜形成
装置Sの外に配置されている。導管35は、ハードコー
ト膜蒸着室1Aの壁面を貫通して、原料貯蔵用容器31
とノズル38とを接続する配管である。導管35の途中
には、液送ポンプ36とバルブ37とが設けられてい
る。液送ポンプ36は、原料貯蔵用容器31に貯蔵され
た液体有機物を加圧して液体のままノズル38に搬送す
る役割を果たす。
【0059】ノズル38は、液送ポンプ36によって搬
送された液体有機物を、蒸発気化器39に少量ずつ定量
的に連続供給する極細い内径の噴出口である。蒸発気化
器39は、上面に気体噴出口41が設けられた容器体で
あり、その底面に、高温加熱可能な蒸発気化部40が形
成されている。また、その側面を貫通して、ノズル38
が固定されている。蒸発気化部40は、ノズル38から
滴下した液体有機物を急激に加熱して気化させる役割を
果たす。気体噴出口41は、基板ホルダ6に対向するよ
うに設けられており、蒸発気化部40で気化した有機物
が基板6a側へ進むための開口としての役割を果たす。
【0060】図3に示すハードコート膜蒸着手段を用い
た真空蒸着工程は、図1の薄膜形成装置Sを用いた薄膜
形成方法において、真空蒸着工程の代わりに行うことが
できる。図3のハードコート膜蒸着手段を用いた有機物
の真空蒸着工程は、次のように行う。
【0061】原料貯蔵用容器31には、予め、ハードコ
ート膜材料の有機物を貯蔵しておく。また、バルブ37
は閉めておく。まず、基板ホルダ6と気体噴出口41と
の間に、不図示のシャッタを配置しておく。蒸発気化部
40を加熱して、所定の温度に保持する。バルブ37を
開け、液送ポンプ36を作動させ、原料貯蔵用容器31
内の有機物を導管35を通してノズル38に導く。有機
物液体がノズル38から蒸発気化部40に滴下すると、
蒸発気化部40で有機物が気化し、気体噴出口41を通
ってハードコート膜蒸着室1A内に噴出する。噴出スピ
ードが安定したら、不図示のシャッタを開け、気体噴出
口41から噴出した有機物を基板6a上に堆積させ、有
機物の蒸着を行う。
【0062】不図示の水晶膜厚計により、有機物が、所
定の厚みに堆積したことを確認したら、不図示のシャッ
タおよびバルブ37を閉め、液送ポンプ36を止めて、
蒸着を完了する。なお、有機物ハードコート膜の膜厚
は、光学式膜厚計、蒸着時間方式膜厚計により確認して
もよい。図3のハードコート膜蒸着室1Aを備えた装置
によって実施される薄膜形成方法およびその装置のその
他の構成は、本例の図1の構成と同様であるので省略す
る。
【0063】なお、図1の取出室3の代わりに、図4で
示すように、請求項8に係る表面処理膜形成手段として
のボート26を配置した取出室3としてもよい。このボ
ート26は、モリブデン製からなり、図示しない電源と
接続され、電流による直接加熱方式で、ボート26内に
貯蔵した表面処理剤を蒸着可能に形成されている。表面
処理膜は、この表面処理剤が基板6a上に堆積されるこ
とにより形成される。本例では、表面処理剤として、液
状の防汚剤を使用する。防汚剤27としては、光学薄膜
表面処理に一般的に用いられるパーフルオロアルキルシ
ラン等の防汚剤が用いられる。この液状の防汚剤は、多
孔性タブレット27に含浸され、この多孔性タブレット
27が、ボート26上に載置される。
【0064】なお、表面処理剤として、他の防汚剤、撥
水剤、撥油剤を用いてもよい。また、液状のものに限ら
ず、固体のものを用いてもよい。多孔性タブレット27
に含浸させずに、液状の防汚剤、撥水剤、撥油剤等を直
接ボート26に貯留してもよい。表面処理膜形成手段と
しては、通電式のボート26を用いた蒸着装置に限定さ
れず、外熱法蒸着装置、高周波誘導加熱による蒸着装
置、電子ビーム蒸着装置、フラッシュ蒸着装置、イオン
プレーティング装置等を用いてもよい。また、図2の原
料貯蔵用容器を用いた方式、図3の蒸発気化器39を用
いた方式で蒸着してもよい。
【0065】図4に示す薄膜形成装置Sを用いてハード
コート膜、光学薄膜、表面処理膜を形成する方法につい
て説明する。まず、図1に係る薄膜形成装置Sを用いた
薄膜形成方法と同様に、基板真空導入工程と、有機物を
堆積させる真空蒸着工程と、硬化工程と、光学薄膜形成
工程を行う。その後、ゲートバルブ5を開け、基板搬送
機構により、基板ホルダ6を取出室3に搬送し、基板上
に、表面処理剤である防汚剤を蒸着する表面処理膜形成
工程を行う。表面処理膜形成工程は、次のように行う。
ボート26の上に、予め、液状の防汚剤を含浸させた多
孔性タブレット27を載せておく。基板ホルダ6とボー
ト26との間に、不図示のシャッタを配置しておく。ボ
ート26に電流を通電し、ボート26上に載せた防汚剤
の蒸発を開始する。防汚剤の蒸発速度が安定したら、シ
ャッタを開け、基板6a上に表面処理膜としての防汚膜
を蒸着する。
【0066】不図示の水晶膜厚計により、防汚膜が目標
とする厚みに堆積したことが確認されたら、シャッタを
閉め、防汚膜の蒸着を終了する。なお、防汚膜の膜厚
は、光学式膜厚計、蒸着時間方式膜厚計により確認して
もよい。その後、ゲートバルブ5を閉め、リークバルブ
22を開けて取出室3内を大気圧に戻した後、ゲート1
3から基板ホルダ6を薄膜形成装置Sの外に取り出す。
以上で、薄膜形成方法の各工程を完了する。基板ホルダ
6を供給した後蒸着を行い、基板ホルダ6を取り出すと
いう上記手順を繰り返し、プラスチック基板上へのハー
ドコート膜、光学薄膜、表面処理膜形成工程を、連続的
に行う。
【0067】以上の図4に示す薄膜形成装置Sを用いた
薄膜形成方法によれば、防汚膜、撥水膜、撥油膜等を形
成する表面処理膜形成工程を行っているので、光学薄膜
形成工程で得られた光学薄膜の表面がポーラスになった
場合でも、薄膜表面についた汚れが取れ易いものとする
ことが可能となる。すなわち、本例の薄膜形成方法で
は、プラスチック基板を用いているため、光学薄膜工程
では、基板温度を高くすることができず、光学薄膜の緻
密さが充分得られない場合がある。この場合には、得ら
れた薄膜付き基板は、薄膜表面がポーラスになって、汚
れがつくと取れ難い製品となってしまう。本例では、ド
ライプロセスによる光学薄膜形成工程後に、撥水、撥
油、防汚効果のある表面処理膜形成工程を行っているた
め、表面に汚れがつき難い製品を供給することができ、
ついた汚れが取れ難いという問題点を解決することが可
能となるのである。
【0068】(実施例2)次に、本発明の他の実施例に
ついて説明する。本例では、上記実施例1と同様の構成
には、同じ符号を付している。上記実施例1と同様の構
成については、説明を省略する。本例は、請求項2、
3、6、7に係る発明の一実施例であり、プラスチック
基板上にハードコート膜、光学薄膜を堆積する薄膜形成
方法及びその装置の他の例である。本例の薄膜形成装置
を、図5に示す。図5に示す薄膜形成装置Sは、蒸着室
2Bに、ハードコート膜蒸着手段としてのボート7と、
光学薄膜堆積手段としてのるつぼ9、電子銃10とを備
えている。以下、図5に示す薄膜形成装置Sと、薄膜形
成装置Sを用いた薄膜形成方法について説明する。
【0069】図5の薄膜形成装置Sは、各槽ごとにポン
プ15、17、19を備えた真空装置であり、大気中か
ら基板ホルダ6を導入し、排気・前処理を行う供給室1
B、基板ホルダ6に支持された基板6a上に薄膜を真空
蒸着する蒸着室2B、後処理・リーク・基板ホルダ6の
大気中への取り出しを行う取出室3を備えている。供給
室1Bと蒸着室2Bとの間、蒸着室2Bと取出室3との
間は、開閉可能なゲートバルブ4、5により、それぞれ
相互に気密にできるように構成されている。また、基板
ホルダ6を搬送可能な不図示の搬送機構が設けられてい
る点は、実施例1に係る図1の薄膜形成装置Sと同様で
ある。
【0070】供給室1Bは、ハードコート膜蒸着手段お
よび硬化手段を備えない点を除いては、実施例1に係る
図1のハードコート膜蒸着室1Aと同様の構成である。
【0071】蒸着室2Bには、ハードコート膜蒸着手段
としてのボート7と、光学薄膜堆積手段としてのるつぼ
9と、るつぼ9に対して電子線を照射するための電子銃
10と、が配置されている。
【0072】また、蒸着室2Bは、図5に示すように、
側面所定箇所の窓孔23に、石英製板状体の石英窓24
が嵌装されている。この石英窓24の外側には、硬化手
段としてのUV(紫外線)照射装置25が、石英窓24
を介して、基板ホルダ6上の基板6aを紫外線照射可能
な位置に、配置されている。なお、本例では、UV照射
装置25を蒸着室2Bの外に配設しているが、蒸着室2
B内に配設してもよい。また、本例では、硬化手段とし
てUV照射装置25を用いているが、これに限定され
ず、加熱装置またはEB(電子ビーム)照射装置を用い
てもよい。ボート7、るつぼ9、電子銃10、UV照射
装置25の構成は、実施例1に係る図1のそれぞれの構
成と同様である。また、蒸着室2Bのその他の構成は、
実施例1に係る図1の光学薄膜蒸着室2Aの構成と同様
である。
【0073】また、取出室3の構成は、実施例1に係る
図1の取出室3の構成と同様である。
【0074】次に、本例の薄膜形成方法の手順について
図5に基づき説明する。本例の薄膜形成方法は、請求項
2、3に係る方法であり、基板真空導入工程と、有機物
を堆積させる真空蒸着工程と、硬化工程と、光学薄膜形
成工程と、基板取出工程と、を備えている。
【0075】まず、ゲートバルブ4、ゲートバルブ13
を閉め、ポンプ17、19により、蒸着室2B、取出室
3内を排気し、所定真空度にする。プラスチック基板6
aをセットした基板ホルダ6を、基板搬送機構で、ゲー
トバルブ12から供給室1B内に供給する。ゲートバル
ブ12を閉め、供給室1B内をポンプ15で排気し、所
定真空度にする。所定真空度に達したら、基板真空導入
工程を行う。すなわち、ゲートバルブ4を開け、基板搬
送機構で、基板ホルダ6を所定真空度に保たれた蒸着室
2B内に搬送する。
【0076】その後、ゲートバルブ4、5を閉め、基板
上に、ハードコート膜材料有機物を蒸着する真空蒸着工
程を行う。有機物の真空蒸着工程は、上記実施例1と同
様の手順で行う。その後、この真空蒸着工程で形成され
た有機物ハードコート膜を硬化する硬化工程を、上記実
施例1と同様の手順で行う。引き続いて、光学薄膜形成
工程を行う。光学薄膜形成工程は、上記実施例1と同様
の手順で行う。
【0077】次に、基板取出工程を行う。すなわち、ゲ
ートバルブ5を開け、基板搬送機構により、基板ホルダ
6を取出室3に搬送する。ゲートバルブ5を閉め、リー
クバルブ22を開けて、取出室3内の圧力を大気圧に戻
す。取出室3内が略大気圧となったら、ゲート13を開
け、基板ホルダ6を薄膜形成装置Sの外に取り出し、ハ
ードコート膜および光学薄膜の形成を完了する。基板ホ
ルダ6を供給した後蒸着を行い、基板ホルダ6を取り出
すという上記手順を繰り返し、プラスチック基板上への
真空蒸着工程および光学薄膜形成工程を、連続的に行
う。
【0078】なお、本例では、薄膜形成装置Sを、3槽
式の連続式真空蒸着装置から構成しているが、これに限
定されるものでなく、図5の蒸着室2Bのみからなる1
槽式のバッチ式真空蒸着装置から構成してもよい。この
場合には、バッチ式蒸着装置内に基板ホルダ6を供給
し、ポンプ17により装置内を減圧する基板真空導入工
程を行い、その後真空蒸着工程および光学薄膜形成工程
を行う。その後、リークバルブ21を開けて、装置内を
大気圧に戻し、基板ホルダ6を取り出す基板取出工程を
行う。
【0079】(実施例3)次に、本発明のさらに他の実
施例について説明する。本例では、上記実施例1、2と
同様の構成には、同じ符号を付している。上記実施例
1、2と同様の構成については、説明を省略する。本例
は、請求項1、5に係る発明の一実施例であり、プラス
チック基板上にハードコート膜を堆積する場合の薄膜形
成方法およびその装置の例である。本例の真空槽として
の薄膜形成装置S2は、図6に示すように、バッチ式の
真空蒸着装置からなる。なお、真空槽は、図6のような
1槽式のものに限られず、複数のチャンバを備えたもの
であってもよい。薄膜形成装置S2は、図6に示すよう
に、基板ホルダ6、ボート7、ポンプ17を備えた真空
槽である。るつぼ9、電子銃10、ゲートバルブ4、5
を備えない点を除いては、図5に示す上記実施例2の蒸
着室2Bと同様の構成である。
【0080】本例の薄膜形成方法で用いる材料について
説明する。基板6aには、プラスチック基板を用いる。
具体的には、上記実施例1で具体的に列挙したものを用
いる。また、ハードコート膜蒸着材料の有機物として
は、上記実施例1で説明したと同様に、オリゴマーおよ
びポリマー、モノマー、光開始剤、溶剤を適当な割合で
混合したものを用いる。
【0081】次に、本例の薄膜形成装置S2を用いた薄
膜形成方法の手順について図6に基づき説明する。薄膜
形成方法は、請求項1に係る方法であり、蒸着材料導入
工程と、基板真空槽導入工程と、減圧工程と、有機物を
堆積させる真空蒸着工程と、硬化工程と、基板取出工程
と、を備えている。
【0082】まず、蒸着材料導入工程を行う。るつぼ6
に、有機物からなる蒸着材料を入れる。ついで、基板真
空槽導入工程を行う。この工程では、まず基板ホルダ6
に、プラスチック基板6aをセットする。薄膜形成装置
S2の不図示の蓋を開け、装置S2内に、基板ホルダ6
をセットする。次に、減圧工程を行う。この工程では、
不図示の蓋を閉め、ポンプ17により、装置S2内を排
気し、所定の真空度にする。
【0083】装置S2内が所定の真空度になったら、基
板6a上に、ハードコート膜材料である有機物を蒸着す
る真空蒸着工程を行う。有機物の真空蒸着工程は、上記
実施例1と同様の手順により行う。ハードコート膜の蒸
着を終了した後、形成されたハードコート膜を硬化する
硬化工程を行う。硬化工程は、上記実施例1と同様の手
順により行う。なお、条件を選定することにより、真空
蒸着後放置によって自然に有機物膜を硬化させることが
できる場合には、硬化工程として放置工程を行ってもよ
い。さらに、真空蒸着中に、自然に硬化が進行する場合
には、真空蒸着工程と同時に進行する自然硬化が、硬化
工程に該当する。
【0084】次に、リークバルブ16を開け、装置S2
内に大気を導入し、装置S2内の圧力を大気圧に戻す。
装置S2内の圧力が略大気圧となったら、不図示の蓋を
開け、基板ホルダ6を装置S2の外に取り出す基板取出
工程を行う。以上で、ハードコート膜の形成を完了す
る。ハードコート膜は、プラスチック基板およびハード
コートの材料によっても異なるが、プラスチック基板の
擦傷防止可能な硬度、例えば、鉛筆硬度が、2H以上、
4H以上、6H以上等の硬度になるように形成する。
【0085】以上の本例の薄膜形成方法およびその装置
によれば、有機物ハードコート膜を乾式法で形成するこ
とができるので、単純でクリーンな製造工程により、プ
ラスチック基板上に、有機物からなるハードコート膜を
形成することが可能となる。また、真空蒸着によりハー
ドコート膜を形成しているため、膜厚・硬度の安定した
ハードコート膜を得ることが可能となる。したがって、
表面の擦傷防止効果のあるハードコート膜付の眼鏡等
を、高品質なものとすることが可能となる。また、真空
蒸着により、プラスチック基板よりも硬度の高いハード
コート膜を形成しているので、プラスチック基板の擦傷
防止効果を有するハードコートを、ドライプロセスによ
るシンプルかつクリーンな方法で、形成することが可能
となる。さらに、真空蒸着により、有機物ハードコート
膜を形成しているので、クラックが発生し難い有機物ハ
ードコートを、ドライプロセスによるシンプルかつクリ
ーンな方法で、形成することが可能となる。
【0086】なお、本例では、薄膜形成装置S2を、1
槽式のバッチ式真空蒸着装置から構成しているが、これ
に限定されるものでなく、図6の薄膜形成装置S2の両
側に、基板ホルダ供給室と基板ホルダ取出室を備えた図
5に示すような3槽式の連続式真空蒸着装置から構成し
てもよい。すなわち、図5において、るつぼ9と電子銃
10とを備えないように構成するとよい。
【0087】また、薄膜形成装置S2の他の例を、図7
に示す。薄膜形成方法および装置は、図7に示す薄膜形
成装置S2によっても実施可能である。図7は、図6の
ボート7の代わりに、ハードコート膜蒸着手段としての
原料貯蔵用容器31に接続された開口33を配置したも
のである。図7のハードコート膜蒸着手段である原料貯
蔵容器31、配管32、開口33、バルブ34の構成お
よびこれらの構成を用いた有機物の真空蒸着工程につい
ては、上記実施例1における図2の説明と同様であるの
で、省略する。
【0088】また、薄膜形成装置S2のさらに他の例
を、図8に示す。薄膜形成方法および装置は、図8に示
す薄膜形成装置S2によっても実施可能である。図8
は、図6のボート7の代わりに、ハードコート膜蒸着手
段としての蒸発気化器39を配置したものである。図8
のハードコート膜蒸着手段である原料貯蔵容器31、導
管35、液送ポンプ36、ノズル38、蒸発気化器39
等の構成およびこれらの構成を用いた有機物の真空蒸着
工程については、上記実施例1における図3の説明と同
様であるので、省略する。
【0089】(具体的実施例1)以下、請求項2、7に
係る発明の具体的実施例について説明する。本例では、
図1に示す薄膜形成装置Sを用いて、プラスチック基板
上にハードコート膜および光学薄膜の一例としての反射
防止膜を形成した。本例の薄膜形成装置Sとしては、ス
テンレス(SUS304)製からなるものを用いた。ま
た、ボート7として、モリブデン製ボートを用いた。プ
ラスチック基板6aとしては、ポリメチルメタクリレー
ト基板(三菱レイヨン株式会社製)アクリペットVH
(以降PMMAと表記する)を用いた。
【0090】基板6aを基板ホルダ6にセットし、ハー
ドコート剤をボート7に入れ、反射防止膜原料であるS
iOとZrOとを別々のるつぼ9に入れた。その
後、上記実施例1と同様の手順により、基板真空導入工
程と、有機物を堆積させる真空蒸着工程を行った。な
お、このときボート7は、約400℃まで昇温させた。
その後、薄膜形成装置Sの外に設置されたUV照射装置
25としての高圧水銀ランプ(HL400DL/H/S
−1、400W:ウシオ電機株式会社社製)から、石英
窓24を通して、ハードコート原料が蒸着された基板6
aに、光を4秒照射し、硬化工程を行った。
【0091】その後、SiOを貯留するるつぼ9とZ
rOを貯留するるつぼ9とに、電子銃10から交互に
電子線eを照射し、SiOとZrOの5層の交互層
からなる反射防止膜を形成し、光学薄膜形成工程を行っ
た。以上のようにして、ハードコート膜と、光学薄膜と
しての反射防止膜とが形成された基板6aを得た。
【0092】得られたハードコート膜と反射防止膜とが
形成された基板6aについて、薄膜の密着性テストを行
った。この密着性テストは、試料となる基板の表面を、
1mm間隔で100目クロスカットし、その上に、セロ
ハン粘着テープ(商品名:セロテープ、ニチバン株式会
社製)を貼り、その後、そのセロハン粘着テープを剥離
した。セロハン粘着テープ貼りと剥離との動作を1セッ
トとして行い、その都度、100目のうちセロハン粘着
テープにより剥がれなかった目の数(残数)を数えた。
前記1セットの動作と、残数を数える動作とを3回行っ
たところ、結果は3回とも100/100であり、すべ
ての目が剥がれずに残っていた。以上のように、本例の
ハードコート膜および光学薄膜形成方法によれば、密着
性の良好なハードコート膜および光学薄膜が得られるこ
とが分かった。
【0093】また、得られたハードコート膜と反射防止
膜とが形成された基板6a上の各層の屈折率(Refr
active Index)および各層の膜厚(Opt
ical Thickness)を表1
【0094】
【表1】
【0095】に示す。なお、Airは、大気の反射率
を、1〜5は、5層に形成された反射防止膜の各層を、
6の「HC」は、ハードコート膜を、「Substra
te」は、基板6aを示す。また、図9は、得られたハ
ードコート膜と反射防止膜とが形成された基板6aの各
波長における反射率を示す図である。この表1および図
9の結果より、得られたハードコート膜と反射防止膜と
が形成された基板6aは、表面の反射防止効果が十分で
あることが分かった。
【0096】(具体的実施例2)以下、請求項1、5に
係る発明の具体的実施例について説明する。本例では、
図4に示す薄膜形成装置S2を用いて、プラスチック基
板上にハードコート膜を形成した。本例の薄膜形成装置
S2としては、ステンレス(SUS304)製からなる
ものを用いた。また、図4のポンプ17として、ドライ
ポンプ(ドライバック 100P:ライボルト社製)1
7a、メカニカルブースターポンプ(WS501:ライ
ボルト社製)17b、ターボ分子ポンプ(TG 340
0VW:大阪真空社製)17cの3つを用いた。また、
ボート7として、モリブデン製ボートを用いた。プラス
チック基板6aとしては、ポリメチルメタクリレート基
板(三菱レイヨン株式会社製)アクリペットVH(以降
PMMAと表記する)を用いた。
【0097】基板6aをセットした基板ホルダ6を装置
S2に設置しハードコート剤を、ボート7に入れて、不
図示の蓋を閉め、ポンプ17a〜cを作動させ、装置S
2内を所定の真空度になるように排気した。所定の真空
度に達したところで、ボート7を加熱して約400℃ま
で昇温させ、ボート7内のハードコート膜材料を基板6
a上に蒸着する真空蒸着工程を行った。モニタ機構11
で、基板6a上のハードコート膜材料の堆積を監視し、
所定の厚みまで、ハードコート膜材料が堆積したところ
で、ボート7の加熱を止め、蒸着を終了した。その後、
装置S2の外に設置されたUV照射装置25としての高
圧水銀ランプ(HL400DL/H/S−1、400
W:ウシオ電機株式会社社製)から、石英窓24を通し
て、ハードコート膜材料が蒸着された基板6aに、光を
4秒照射し、硬化工程を行った。
【0098】その後、装置S2中を大気圧に戻し、基板
6aを大気中に取出し、ハードコート膜が形成された基
板を得た。得られたハードコート膜が形成された基板に
ついて、鉛筆硬度を測定したところ、6Hであった。ま
た、屈折率は1.54であり、物理膜厚は1μmであっ
た。以上のように、本例の薄膜形成方法によれば、表面
の硬度の高いハードコート膜が得られることが分かっ
た。
【0099】
【発明の効果】以上のように請求項1に係る発明によれ
ば、プラスチック基板上にハードコート膜を形成する方
法であって、同じ真空槽内で、ハードコート膜を形成す
る真空蒸着工程と同時または前記真空蒸着工程に連続し
て、硬化工程を行うように構成しているので、ドライプ
ロセスによるシンプルな工程で、プラスチック基板上
に、基板の擦傷防止のためのハードコート膜を形成する
ことが可能となる。また、真空蒸着によりハードコート
膜を形成しているため、膜厚・硬度の安定したハードコ
ート膜を得ることが可能となる。さらに、プラスチック
基板に、有機物ハードコート膜を形成しているので、光
学薄膜形成前の半製品として、光学薄膜の密着性のよい
ハードコート膜付き基板を製造することが可能となる。
また、真空蒸着により、プラスチック基板よりも硬度の
高いハードコート膜を形成しているので、プラスチック
基板の擦傷防止効果を有するハードコートを、ドライプ
ロセスによるシンプルかつクリーンな方法で、形成する
ことが可能となる。また、真空蒸着により、有機物ハー
ドコート膜を形成しているので、クラックが発生し難い
有機物ハードコートを、ドライプロセスによるシンプル
かつクリーンな方法で、形成することが可能となる。
【0100】また、請求項2に係る発明によれば、プラ
スチック基板上にハードコート膜と光学薄膜とを順次形
成する方法であって、同じ真空槽内で、ハードコート膜
の真空蒸着工程と光学薄膜形成工程とを行うように構成
しているので、ドライプロセスのみによる単純化された
工程で、真空を破ることなく、ハードコート膜と光学薄
膜とを連続して堆積することが可能となる。また、真空
蒸着によりハードコート膜を形成しているため、膜厚・
硬度の安定したハードコート膜を得ることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る薄膜形成装置の概略説
明図である。
【図2】図1のハードコート膜蒸着室の他の例を示す概
略説明図である。
【図3】図1のハードコート膜蒸着室のさらに他の例を
示す概略説明図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例に係る薄膜形成装置
の概略説明図である。
【図5】本発明の他の実施例に係る薄膜形成装置の概略
説明図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る薄膜形成装置の概略
説明図である。
【図7】本発明の他の実施例に係る薄膜形成装置の概略
説明図である。
【図8】本発明の他の実施例に係る薄膜形成装置の概略
説明図である。
【図9】本発明の具体的実施例により、ハードコート膜
と反射防止膜とが形成された基板の各波長における反射
率を示す図である。
【符号の説明】
S、S2 薄膜形成装置 1A ハードコート膜蒸着室 1B 供給室 2A 光学薄膜蒸着室 2B 蒸着室 3 取出室 4、5、12、13 ゲートバルブ 6 基板ホルダ 6a 基板 7、26 ボート 8 ハードコート膜材料 9 るつぼ 10 電子銃 11 モニタ機構 14、16、18、34、37 バルブ 15、17、17a、17b、17c、19 ポンプ 20、21、22 リークバルブ 23 窓孔 24 石英窓 25 UV(紫外線)照射装置 27 多孔性タブレット 31 原料貯蔵用容器 32 配管 33 開口 35 導管 36 液送ポンプ 38 ノズル 39 蒸発気化器 40 蒸発気化部 41 気体噴出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 14/58 C23C 14/58 B // C08L 101:00 C08L 101:00 (72)発明者 世田 博国 東京都品川区南大井3丁目2番6号 株式 会社シンクロン内 (72)発明者 桜井 武 東京都品川区南大井3丁目2番6号 株式 会社シンクロン内 Fターム(参考) 4F006 AA02 AA22 AA35 AA36 AB24 AB64 BA01 BA02 DA01 EA03 4K029 AA11 BA03 BA07 BA42 BA43 BA46 BA48 BA50 BA51 BA62 BB02 BC00 BC02 BC07 BD00 CA01 CA11 DA01 DB13 DB18 GA00 GA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽内で、プラスチック基板上に、該
    プラスチック基板よりも硬度の高い有機物ハードコート
    膜を形成する方法であって、 前記基板を、前記真空槽内に導入する基板真空槽導入工
    程と、 前記真空槽内において、真空中で蒸着することにより、
    前記基板上に、有機物を堆積させて、前記ハードコート
    膜を形成する真空蒸着工程と、 該真空蒸着工程と同時にまたは前記真空蒸着工程に連続
    して、前記ハードコート膜を硬化させる硬化工程と、 該硬化工程で得られたハードコート膜が形成された基板
    を、前記真空槽から大気中に取り出す基板取出工程と、
    を備えることを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】 真空槽内で、プラスチック基板上にハー
    ドコート膜と光学薄膜とを順次形成する方法であって、 前記基板を、前記真空槽内に導入する基板真空槽導入工
    程と、 前記真空槽内において、真空中で蒸着することにより前
    記基板上に、有機物を堆積させて前記ハードコート膜を
    形成する真空蒸着工程と、 該真空蒸着工程で得られたハードコート膜上に、前記真
    空槽内において、真空中で光学薄膜を堆積させる光学薄
    膜形成工程と、 該光学薄膜形成工程で得られたハードコート膜および光
    学薄膜が形成された基板を、前記真空槽から大気中に取
    り出す基板取出工程と、を備えることを特徴とする薄膜
    形成方法。
  3. 【請求項3】 前記真空蒸着工程の後で、該真空蒸着工
    程で得られたハードコート膜を、真空中で硬化させる硬
    化工程を行うことを特徴とする請求項2記載の薄膜形成
    方法。
  4. 【請求項4】 前記光学薄膜形成工程の後で、前記光学
    薄膜形成工程で得られた光学薄膜上に、表面処理膜を堆
    積させる表面処理膜形成工程を行うことを特徴とする請
    求項2記載の薄膜形成方法。
  5. 【請求項5】 プラスチック基板上に、有機物からなる
    ハードコート膜を形成する装置であって、 真空槽と、該真空槽内に配設された前記基板を支持可能
    な基板ホルダと、前記基板上に有機物を真空蒸着により
    堆積させる該真空槽内に配設されたハードコート膜蒸発
    源と、前記基板上に真空蒸着された有機物を硬化可能な
    硬化手段と、を備え、 前記硬化手段は、前記基板ホルダに支持された基板に対
    向するように配設されていることを特徴とする薄膜形成
    装置。
  6. 【請求項6】 プラスチック基板上にハードコート膜と
    光学薄膜とを形成する装置であって、 真空槽と、該真空槽内に配設された前記基板を支持可能
    な基板ホルダと、前記基板上に有機物を真空蒸着により
    堆積させるハードコート膜蒸着手段と、前記基板上に光
    学薄膜を堆積させる光学薄膜堆積手段と、を備え、 前記ハードコート膜蒸着手段および前記光学薄膜堆積手
    段は、前記真空槽内に、前記基板に対向するように配設
    されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  7. 【請求項7】 前記ハードコート膜蒸着手段により前記
    基板上に堆積した有機物を硬化させる硬化手段を備えて
    いることを特徴とする請求項6記載の薄膜形成装置。
  8. 【請求項8】 前記真空槽内に、前記基板上に表面処理
    膜を堆積させる表面処理膜形成手段が配設されているこ
    とを特徴とする請求項6記載の薄膜形成装置。
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