JP2002155223A - 粉体塗料の調色方法 - Google Patents
粉体塗料の調色方法Info
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Abstract
られる粉体塗料の調色方法及び塗膜の製造方法の提供。 【解決手段】無彩色の原色粉体塗料群及び有彩色の原色
粉体塗料群を組み合わせる粉体塗料の調色方法であっ
て、(1)基準原色粉体塗料群より、目標色に調色する
のに適した2種以上の基準塗料を選択する第1工程、
(2)有彩色の原色粉体塗料として、第1工程で選択さ
れた有彩色の基準原色粉体塗料が属するサブグループご
とに、各サブグループ内の原色粉体塗料から、明度の値
が目標色の明度を挟む2種を選択して色相を合わせ、場
合によっては、さらに目標色の彩度と明度を再現するの
に適した無彩色の原色粉体塗料を前記無彩色の原色粉体
塗料群から選択する第2工程、並びに(3)第2工程で
選択された原色粉体塗料を組み合わせて調色する第3工
程を有する粉体塗料の調色方法、並びにこの粉体塗料を
用いた塗膜の製造方法。
Description
異なる粉体塗料を組み合わせて目標色に調色する調色方
法及び塗膜の製造方法に関する。
れている粉体塗料は家庭電化製品、自動車部品、家具等
の塗装に広く用いられている。粉体塗料は、樹脂、硬化
剤、添加剤等に数種の着色剤を加え、混合した後、溶融
混練し、その後、冷却、粉砕、必要に応じて分級するこ
とにより、平均粒子径が20〜50μmの微粒子からな
る微粒子パウダーとして製造されるが、通常、色彩の異
なる微粒子パウダーを混合し、静電塗装ガン等で被塗布
物に塗布し焼き付けると、目で見ても塗膜の色彩が不均
一(以下、まだら感という)と感じる。そのため、要求
される色彩ごとに該色彩の微粒子パウダーからなる塗料
を用意せざるを得ず、その品揃えは膨大な数にのぼって
いる。
ために、限られた数の着色(原色)粉体塗料を組み合わ
せて、幅広い色彩に調色する方法の開発が望まれてい
る。
違いが目では見分けることができない粒子径、好ましく
は最大粒径が10μm以下の色彩の異なる粉体混合物を
造粒する方法が提案されているが、個々の粉体を10μ
m以下に粉砕し、造粒するため製造工程が必要であり煩
雑となる。
エロー、マゼンタ及びシアンの3原色、更にブラック及
びホワイトを加えた5原色に、また特開平11−293
162号公報には、シアン、マゼンタ、イエロー又はシ
アン、レッド、イエローの3原色の透光性塗料とシアン
より色の薄いライトシアン及びマゼンタより色の薄いラ
イトマゼンタの2色を加えた、5色を用いるコンピュー
タ・カラーマッチング法による調色方法が提案されてい
る。しかしながら、いずれの方法においても、各原色を
個別のものとして扱っているため、色再現性が十分でな
く、被塗装物の色の影響を受けやすい欠点と共に、コン
ピュータ・カラーマッチング計算のための登録用基礎デ
ータの数が増えるという課題がある。
の色彩の異なる粉体塗料を組み合わせて、広範囲にわた
って優れた色再現性を実現することができ、かつまだら
感の少ない均一な色彩を有する塗膜が得られる粉体塗料
の調色方法及び塗膜の製造方法を提供することを目的と
する。
技術に鑑み、塗膜における色彩のまだら感とL* C*h
表色系における明度(L* 値) ムラ、彩度(C* 値) ム
ラ及び色相角度(h値) ムラとの関係を検討した結果、
塗膜のまだら感は明度ムラに大きく依存することを見出
し、かかる知見をもとに本発明を完成する至った。
体塗料群及び有彩色の原色粉体塗料群からなる群より選
ばれた原色粉体塗料を組み合わせて目標色に調色する粉
体塗料の調色方法であって、前記無彩色の原色粉体塗料
群は、少なくとも2種の明度の異なる原色粉体塗料から
なり、前記有彩色の原色粉体塗料群は、1又は2以上の
サブグループからなり、ここで1つのサブグループは含
有率は異なるも同じ有彩色の着色剤をそれぞれ含有させ
てなる明度の異なる一連の複数の原色粉体塗料からな
り、2以上のサブグループにおける各グループの原色粉
体塗料にはそれぞれ色相の異なる有彩色の着色剤が配合
されてなり、(1)無彩色の原色粉体塗料群において明
度が最も高い原色粉体塗料及び明度が最も低い原色粉体
塗料並びに各サブグループにおいて有彩色の着色剤の含
有率が最も高い原色粉体塗料からなる基準原色粉体塗料
群より、目標色に調色するのに適した2種以上の基準原
色粉体塗料を選択する第1工程、(2)有彩色の原色粉
体塗料として、第1工程で選択された有彩色の基準原色
粉体塗料が属するサブグループごとに、各サブグループ
内の原色粉体塗料から、明度の値が目標色の明度を挟む
2種の原色粉体塗料を選択して色相を合わせ(但し、明
度の値が目標色の明度を挟む2種の原色粉体塗料が存在
しない場合は、目標色の明度との差が最も小さい1種を
選択する)、有彩色の原色粉体塗料として前記原色粉体
塗料のみを用いて目標色の彩度と明度を再現できない場
合は、さらに無彩色の原色粉体塗料として目標色の彩度
と明度を再現するのに適した無彩色の原色粉体塗料を前
記無彩色の原色粉体塗料群から選択する第2工程、並び
に(3)第2工程で選択された原色粉体塗料を組み合わ
せて調色する第3工程を有する粉体塗料の調色方法、
〔2〕 各サブグループが2〜10種の原色粉体塗料か
らなる前記(1)記載の調色方法、〔3〕 一のサブグ
ループにおいて、明度順に原色粉体塗料を配列した場合
に、隣り合う各原色粉体塗料間の明度差がそれぞれ5〜
40であるサブグループを、グループ数にして50%以
上用いる前記(1)又は(2)記載の調色方法、〔4〕
一のサブグループにおいて、明度が最も高い原色粉体
塗料の明度が65〜90であり、明度が最も低い原色粉
体塗料の明度が30〜60であるサブグループを、グル
ープ数にして50%以上用いる請求項1〜3いずれか記
載の調色方法、並びに〔5〕 前記(1)〜(4)いず
れか記載の粉体塗料の調色方法により組み合わせた粉体
塗料を用いた塗膜の製造方法に関する。
原色粉体塗料群及び有彩色の原色粉体塗料群からなる群
より選ばれた粉体塗料を組み合わせて目標色に調色す
る。なお、本発明における「目標色」とは、2種以上の
粉体塗料を特定の割合で混合して塗装し、焼き付けして
得ようとする塗膜の色彩を指す。また、「色彩」とは、
色相、明度及び彩度の3属性の組み合わせを示す。
の明度の異なる原色粉体塗料からなり、本発明では、そ
の中で、明度が最も高い原色粉体塗料を白原色粉体塗
料、明度が最も低い原色粉体塗料を黒原色粉体塗料とし
て、これら2種の原色粉体塗料を第1工程における基準
原色粉体塗料とする。なお、白原色粉体塗料は明度が9
0以上の白色粉体塗料、黒原色粉体塗料は明度が30以
下の黒色粉体塗料であるのがそれぞれ好ましく、さら
に、白色粉体塗料と黒色粉体塗料との間の明度を有する
灰色粉体塗料を加えて、白色粉体塗料、黒色粉体塗料及
び少なくとも1種の灰色粉体塗料を無彩色の原色粉体塗
料として用いるのが好ましい。なお、本発明における無
彩色の粉体塗料とは、単独で塗膜化した時、塗膜の彩度
が5未満のもの、有彩色の粉体塗料とは5以上のものを
いう。
のサブグループの原色粉体塗料からなり、ここで1つの
サブグループは含有率は異なるも同じ有彩色の着色剤を
それぞれ含有させてなる明度の異なる一連の複数の原色
粉体塗料からなり、2以上のサブグループがある場合、
各グループの原色粉体塗料にはそれぞれ色相の異なる有
彩色の着色剤が配合されているものとする。そして、各
サブグループにおいて有彩色の着色剤の含有率が最も高
い原色粉体塗料を第1工程における基準原色粉体塗料と
する。即ち、赤色系粉体塗料群、青色系粉体塗料群、黄
色系粉体塗料群等の着色剤の異なる原色粉体塗料群がそ
れぞれサブグループに相当し、例えば、赤色系粉体塗料
群を例にとると、赤色系粉体塗料群を構成する複数の赤
色粉体塗料の中で、最も赤色着色剤濃度の高い赤色粉体
塗料が、赤色系粉体塗料群の基準原色粉体塗料となる。
なお、各サブグループを構成する粉体塗料は、含有する
着色剤自体の明度に応じ、白系あるいは黒系の着色剤を
適宜配合して明度の調整をすることが好ましい。従っ
て、有彩色の原色粉体塗料にも通常無彩色の着色剤が含
有されているのが好ましく、このことは後述する不透明
化にもつながる。
多数の原色粉体塗料を用いることが好ましいが、調色の
ための品揃え数と色再現領域とのバランスを考慮する
と、有彩色の原色粉体塗料群を構成するサブグループ数
は、好ましくは3〜15種、より好ましくは6〜11
種、1つのサブグループを構成する原色粉体塗料数は、
好ましくは2〜10種、より好ましくは2〜5種であ
る。
を構成する各原色粉体塗料の明度に着目して原色粉体塗
料を選択することから、それぞれ明度の異なる2種以上
の原色粉体塗料からなるサブグループを用いる場合、一
のサブグループにおいて、明度順に原色粉体塗料を配列
した際に、隣り合う各原色粉体塗料間の明度差が、それ
ぞれ5〜40、好ましくは5〜30、より好ましくは1
0〜25であるサブグループを、グループ数にして50
%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100
%(全て)用いるのが望ましい。また、一のサブグルー
プにおいて、明度が最も高い原色粉体塗料の明度が65
〜90、好ましくは65〜80であり、明度が最も低い
原色粉体塗料の明度が30〜60、好ましくは35〜5
5であるサブグループを、グループ数にして50%以
上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%
(全て)用いるのが望ましい。さらに、異なるサブグル
ープ間で明度差が±10、好ましくは±5以内の原色粉
体塗料の組み合わせが少なくとも1組あるのが好まし
い。このように、着色剤濃度及び/又は明度の異なる原
色粉体塗料を同一着色剤で複数種品揃えし、少なくとも
これらの2種と無彩色の2種を組み合わせることで、同
一の色相における再現領域が4点以上の色彩により囲ま
れる範囲となるため全体としても再現領域を広くとるこ
とができる。なお、本発明における明度とは、国際照明
委員会(CIE)で規格化され、JIS Z8729に
おいて採用されているL* a* b* 表色系(CIE19
76)により測定されるL* 値を指し、前記a* 値及び
b* 値とは同表色系における色度を指す。なお、L
* 値、a* 値及びb* 値は、測定値が物体の表面状態に
依存しない測色方法であるSCI方式(正反射方向を含
む測色方式)で測定した値とする。
目標色に調色するのに適した2種以上の基準原色粉体塗
料を選択する。ここで、基準原色粉体塗料となる粉体塗
料は、前記したとおり、無彩色の原色粉体塗料群では、
明度が最も高い原色粉体塗料及び明度が最も低い原色粉
体塗料、有彩色の原色粉体塗料群では、各サブグループ
において有彩色の着色剤の含有率が最も高い原色粉体塗
料である。従って、有彩色の原色粉体塗料群が6色のサ
ブグループからなる場合には、無彩色の原色粉体塗料2
種(白原色粉体塗料及び黒原色粉体塗料)と有彩色の原
色粉体塗料6種との計8種の原色粉体塗料が基準原色粉
体塗料として規定されることになる。
て、有彩色2色の基準原色粉体塗料を選択して、その配
合比を調整して色相を合わせ、さらに無彩色1色又は2
色の基準原色粉体塗料の配合比を調整して彩度と明度を
合わせる。ここで有彩色2色の基準原色粉体塗料は、例
えばXYZ表色系のCIE1931xy色度図上におい
て、目標色と白原色粉体塗料又は黒原色粉体塗料との座
標を通る直線を境にして、両側に色度座標を有する有彩
色2色が選択される。
塗料の選択及び配合比の決定には、塗料工業における公
知の調色の計算技法として、Kubelka−Munk
の光学濃度モデルにDUNCANの混色理論を組み合わ
せたコンピュータ・カラーマッチング(compute
r color matching(CCM))を利用
することもできる。
せ方式として公知のメタメリックマッチ(Metame
ric−Match)とアイソメリックマッチ(Iso
meric−Match)の2つの方式があり、本発明
では、いずれか一方の方式を利用しても、両者の方式を
併用してもよい。ここで、メタメリックマッチとは、目
標色と試行色との三刺激値(X、Y、Z)を一致させる
方式であり、特定光源・視野条件(例えばC光源 2度
視野)のみにおける原色塗料の組み合わせであるため調
色計算の簡素化を測ることが可能である。また、アイソ
メリックマッチとは目標色と試行色との分光反射率曲線
を一致させる方式であり、光源や見方(視野)条件が変
わっても目標色と試行色とは同色に見える。しかし、反
射率の一致性を重視した場合には、目標色の分光反射率
を再現可能な原色塗料が必要とされるため、必然的に原
色塗料の種類が多くなるという欠点もある。そこで、調
色計算の簡素化と色再現性の要求をバランスさせる両方
式の併用が一般に行われている。
ステムは、例えば、目標色を測色するための分光測色計
と、目標色に調色するための粉体塗料の配合比を算出
し、結果を出力する演算・出力装置とから構成される。
演算・出力装置では、分光測色計にて測色された波長−
反射率曲線のデータから、光の吸収係数Kと散乱係数S
との比であるK/S値を算出し、このK/S値と、予め
使用する複数色の粉体塗料について測色したN個の基礎
データのK/S値〔(K/S)1 〜(K/S)n〕から
算出された計算反射率を用いて、メタメリックマッチ方
式、アイソメリックマッチ方式又は両技法を用いて、目
標色に調色するための粉体塗料の配合比を算出する。
概略工程は以下のようにして行われる。 分光測色計により、目標色の反射率を測定する。 許容色差(ΔE)、素材・塗装方法の設定、評価光
源・視野の設定、色合わせ選択技法の重み付け等の計算
条件を設定する。 目標色の反射率より評価光源・視野での目標色の三
刺激値(X、Y、Z)を計算し、使用する粉体塗料の仮
決めを行う。 計算対象粉体塗料の基礎データをデータファイルか
ら読み込む。 Kubelka−Munkの光学濃度モデルとDU
NCANの混色理論を組み合わせて、理想の反射率を計
算する。 メタメリックマッチ方式を採用する場合、計算光源
・視野における色差ΔEを計算し、アイソメリックマッ
チ方式を選択する場合、目標色と反射率の一致性、例え
ば、目標色の反射率と計算により求められる反射率との
差の2乗和を計算する。両方式を併用する場合は、両方
を計算する。 判定が収束するように、〜を繰り返し、粉体塗
料の選択、配合比を反復計算する。 計算収束結果、即ち選択した粉体塗料とその配合比
を出力する。
料を選択する際には、有彩色の原色粉体塗料の場合、選
択候補となる原色粉体塗料それぞれについて、着色剤濃
度の異なる3種の登録用基礎データが必要とされるが、
本発明では、同一サブグループを構成する原色粉体塗料
の1種についての基礎データですみ、さらにその基礎デ
ータに、同グループ内の他の原色粉体塗料のデータを利
用することができるため、着色剤の濃度分割数が多くて
も、即ち1つのサブグループが多数の原色粉体塗料から
構成される場合であっても、基礎データ登録の簡素化を
図ることができる。特に、基礎データの登録に必要な粉
体塗料及び本発明のサブグループを構成する原色粉体塗
料のいずれもが、有彩色の着色剤と白色着色剤との配合
比のみが異なる粉体塗料が用いられる場合に、より著し
くデータ登録数を減少させることができる。例えば、同
一着色剤を含有する3種の有彩色原色粉体塗料を選択候
補としてCCMシステムに登録する際、通常、1種の原
色粉体塗料につき、原色を含めて着色剤濃度の異なる4
種の基礎データが必要なため、3×4=12種の基礎デ
ータを登録する必要があるが、本発明では、3種の原色
粉体塗料のデータを互いの基礎データとして利用できる
ため、基礎データの登録数は、さらに1種の登録用基礎
データを加えるだけの、合計4種ですむ。一方、着色剤
自体の明度が非常に高い着色剤を用いた原色粉体塗料か
らなるサブグループ、例えば黄色系粉体塗料群では、黄
色着色剤及び白色着色剤に加えて、黒色着色剤を用い、
それらの配合比を変えた原色粉体塗料を用いるため、黄
色着色剤及び白色着色剤を用いた2種と、黄色着色剤、
白色着色剤及び黒色着色剤を用いた1種の、計3種の黄
色粉体塗料を選択候補としてCCMシステムに登録する
場合には、通常3×4=12種の基礎データが必要とさ
れるのに対し、本発明では、かかる3種の粉体塗料のデ
ータに、さらに2種の登録用基礎データを加えた、計5
種の基礎データを登録すればよい。
料として、第1工程で選択された有彩色の基準原色粉体
塗料が属するサブグループごとに、各サブグループ内の
原色粉体塗料から、明度の値が目標色の明度を挟む2種
の原色粉体塗料を選択して色相を合わせるが、明度の値
が目標色の明度を挟む2種の原色粉体塗料が存在しない
場合は、目標色の明度との差が最も小さい1種を選択
し、サブグループが複数の場合、即ち第1工程において
有彩色の原色粉体塗料が複数選択された場合には、各サ
ブグループについて上記と同様にして原色粉体塗料を選
択する。
料、黒色粉体塗料、赤色粉体塗料及び青色粉体塗料が選
択され、赤色系粉体塗料のサブグループが80(原色粉
体塗料a)、60(原色粉体塗料b)、40(原色粉体
塗料c)の明度を有する3種の赤色粉体塗料から構成さ
れている場合、目標色の明度が90の場合には原色粉体
塗料aが、目標色の明度が70の場合には原色粉体塗料
aと原色粉体塗料bが、目標色の明度が60の場合には
原色粉体塗料bが、それぞれ赤色系粉体塗料群の中から
選択されることとなる。さらに、青色系粉体塗料群から
も同様にして原色粉体塗料が選択された結果、合計2〜
4種の有彩色の原色粉体塗料が選択される。なお、1つ
のサブグループから2種の原色粉体塗料が選択された場
合、それらの配合比率は彩度と明度が目標色の値と一致
するように調整し、調色に使用する両者の使用量は、両
者が含有する有彩色着色剤量の合計が、第1工程で選択
された対応する基準原色粉体塗料が含有する着色剤の量
と一致するように決める。なお、この時選択された2種
の原色粉体塗料中の無彩色着色剤量の合計は、第1工程
で選択された無彩色基準粉体塗料に含まれる無彩色着色
剤の合計量を超えないようにしなければならない。
工程で選ばれた前記原色粉体塗料のみを用いて目標色の
彩度と明度に調整できない場合は、さらに無彩色の原色
粉体塗料として目標色の彩度と明度に調整するのに適し
た無彩色の原色粉体塗料を無彩色の原色粉体塗料群から
選択することになる。すなわち、決定された有彩色の原
色粉体塗料中には無彩色着色剤も含有されており、その
量と第1工程で決定された無彩色着色剤量との差分につ
いて前記有彩色の原色粉体塗料と同様にして目標色との
明度差の小さいものを無彩色原色粉体塗料群から原色粉
体塗料として選択し、明度及び彩度が目標色と一致する
ように配合比を決定し、両者を一致させる。
選択された原色粉体塗料を組み合わせて調色する。この
ように明度差に注目して粉体塗料の調色を行うことで、
数少ない原色粉体塗料のブレンド手法により、広範囲に
わたって色再現性を有し、かつまだら感の少ない均一な
色彩の塗膜が得られる。
来より用いられている、樹脂、着色剤、好ましくはさら
に硬化剤を含有する粉体塗料を特に限定することなく用
いることができるが、被塗装物が有する色彩の影響を少
なくするために、組み合わせる粉体塗料の少なくとも1
種、好ましくは用いる粉体塗料の80重量%以上、より
好ましくは全ての粉体塗料が不透明性であるのが望まし
い。
は、塗装焼き付けして得られる塗膜の色彩が被塗装物
(下地)の色彩に影響を受けることのない性質を有する
粉体塗料、すなわち塗膜において充分な隠蔽性を得るこ
とができる粉体塗料をいい、具体的には、後述する無機
系顔料を含有する粉体塗料を用いることができる。
特に限定されることなく使用可能である。例えば、ポリ
エチレン、ナイロン樹脂、塩化ビニルなどの非反応性樹
脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂な
どの反応性樹脂等が挙げられ、これらは2種以上を混合
して用いてもよい。これらのなかでは、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂が好ましく、ポリエ
ステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を主成分として、樹
脂中、50〜100重量%含有することがより好まし
い。
剤が特に限定されることなく使用可能である。例えば、
トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト等のポリイソシアネート系硬化剤;1,3,5−トリ
グリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌレート系硬
化剤;ブロックイソシアネート系硬化剤;ビスフェノー
ルA型ジグリシジルエーテル等のエポキシ系硬化剤;ア
ルコキシシラン系硬化剤;ポリアジリジン系硬化剤;オ
キサゾリン系硬化剤等の硬化剤が用いられる反応性樹脂
の官能基に対応して用いられる。硬化剤の含有量は、樹
脂中に存在する官能基の量にもよるが、官能基の当量比
で0.8〜1.2の範囲が好ましい。
るすべての無機系顔料と有機系顔料を用いることができ
る。無機系顔料としては、酸化チタン、べんがら、クロ
ムチタンイエロー、黄色酸化鉄、カーボンブラック等が
挙げられる。有機系顔料としては、アゾ系、ペリレン
系、縮合アゾ系、ニトロ系、ニトロソ系、フタロシアニ
ン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサン
系等の顔料が挙げられ、具体的には、アゾ系顔料として
はレーキレッド、ファストイエロー、ジスアゾイエロ
ー、パーマネントレッド等、ニトロ系顔料としてはナフ
トールイエロー等、ニトロソ系顔料としてはピグメント
グリーンB、ナフトールグリーン等、フタロシアニン系
顔料としてはフタロシアニンブルー、フタロシアニング
リーン等、アントラキノン系顔料としてはインダスレン
ブルー、ジアントラキノニルレッド等、キナクリドン系
顔料としてはキナクリドンレッド、キナクリドンバイオ
レット等、ジオキサン系顔料としてはカルバゾールジオ
キサジンバイオレット等が、それぞれ挙げられる。樹脂
100重量部に対する着色剤の含有量は、その種類によ
り異なるが、無機系顔料では、1〜60重量部、有機系
顔料では0.05〜30重量部が好ましい。
果があり、単独で使用しても、また2種以上の無機系顔
料を組み合わせて使用しても、不透明性の粉体塗料が得
られる。しかし、有機系顔料は、顔料自体に隠蔽性を付
与する効果が乏しいため、有機系顔料のみを着色剤とし
て使用すると、得られる粉体塗料は透明性のものとな
る。従って、不透明性の粉体塗料として使用する場合に
は、有機系原料だけでなく無機系顔料をともに使用する
ことが好ましい。特に、有機系顔料の色相を損なうこと
なく、塗膜に隠蔽性を付与し得る点から、有機系顔料と
併用する無機系顔料としては、白色着色剤として用いら
れる酸化チタンが好ましい。
ト重合体等の流展剤、各種触媒や有機系スズ化合物等の
架橋促進剤、ベンゾイン等のワキ防止剤等の添加剤等が
含有されていてもよい。
樹脂、硬化剤、着色剤、添加剤等を押出機等で溶融混練
し、冷却後、例えば、ハンマーミル、ジェット衝撃ミル
等の粉砕装置を用いて物理的粉砕を行い、ついで空気分
級機、マイクロン・クラッシファイアーなどの分級機を
用いて分級することにより調製することができる。ま
た、樹脂、硬化剤、着色剤等を、樹脂が溶解する溶媒に
分散させ、スプレードライ、相分離等の方法、または樹
脂を構成するモノマーに硬化剤、着色剤等を混合し、懸
濁重合、乳化重合する方法等も挙げられ、これらの粒子
を会合させて所望の粒径としてもよい。さらに、粉体塗
料の表面には、シリカ、アルミナ、チタニア又はジルコ
ニア等の流動性調整剤が添加されていてもよい。
効率及び保存性の観点からは、好ましくは15μm以
上、より好ましくは17μm以上、特に好ましくは20
μm以上、平滑性の観点からは、好ましくは50μm以
下、より好ましくは40μm以下、特に好ましくは30
μm以下であり、15〜50μmが好ましく、17μm
を超え40μm以下がより好ましく、20μmを超え3
0μm以下が特に好ましい。本発明では、組み合わせる
粉体塗料の少なくとも1種、好ましくは80重量%以
上、より好ましくは全ての粉体塗料が、前記体積平均粒
径を有しているのが望ましい。
塗料を用いて塗膜を製造することができる。具体的に
は、例えば、本発明により組み合わせた2種以上の粉体
塗料を混合塗布して、焼き付けることにより、塗膜を形
成させることができる。本発明の調色方法を用いて得ら
れる塗膜は、少ない原色粉体塗料の数にもかかわらず、
広範囲にわたって優れた色再現性を実現することがで
き、かつまだら感の少ない均一な色彩のものとなる。
合比の2種類以上の原色粉体塗料を予め混合した後に、
塗布するのが好ましいが、2種以上の原色粉体塗料を出
力された配合比に基づき、塗装機に連続的に供給しなが
ら塗布する方法やそれぞれの粉体塗料に対応した塗装機
を用いて塗布してもよい。
には、原色粉体塗料のドライブレンド調色や原色スラリ
ー粉体塗料(水系分散粉体塗料)のスラリー調色などが
挙げられるが、エネルギー効率の点よりドライブレンド
調色法であるのが好ましい。粉体塗料をドライブレンド
する方法としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキ
サー等の高速攪拌機で乾式混合する方法やV−ブレンダ
ー、フープシェーカ等の重力落下を応用して乾式混合す
る方法等の従来より知られている方法がすべて使用可能
である。
限定されず、静電スプレー、電子ガン等を用いる塗布方
法、流動浸漬法、プラスチック溶射法等が挙げられ、こ
れらのなかでは、コロナ方式又は摩擦方式の静電スプレ
ーを用いる塗装方法が好ましい。
する条件であれば、特に限定されない。焼き付けの際の
温度、時間等は、粉体塗料に含有される樹脂の種類、組
み合わせた粉体塗料の混合物の硬化開始温度等によって
異なるため、一概には決定できないが、通常、120〜
200℃で、10〜30分程度が好ましい。なお、粉体
塗料の塗布及び焼き付けの手順については特に制限はな
いが、作業効率の点から1コート、1ベイクで行うのが
好ましい。
C値、h値)を有する粉体塗料を調製した。
セルUCB社製)50重量部、エポキシ樹脂「エピコー
ト1004AF」(油化シェルエポキシ社製)50重量
部、表1に示す使用量(重量部)の着色剤、流展剤「デ
ェスパロンPL540」(楠本化成社製)1重量部、ワ
キ防止剤としてベンゾイン0.1重量部及び硬化触媒と
してフェニルイミダゾリン0.1重量部を、スーパーミ
キサー(カワタ社製)にて良く混合した後、ブッス・コ
ニーダー(ブッス社製)を使用して混練し、冷却したの
ち「パルペライザーACM10A」(ホソカワミクロン
社製)で粉砕、分級して体積平均粒子径22μmの粉体
を得た〔測定器:マイクロトラックHRA(日機装社)
model9320−X100〕。得られた粉体100
重量部とシリカ「R972」(日本アエロジル社製)
0.3重量部とをヘンシェルミキサーで均一に混合し、
粉体塗料を得た。
のリン酸亜鉛処理鋼板「パルボンドN−114」(パル
テック社製)に静電塗装し、その後180℃で20分焼
き付けて得られた塗膜について、分光測色計「CM−3
600d」(ミノルタ社製)を使用し、SCI方式の測
定条件にて測色し、F6光源、10°視野にて表色した
値である。なお、これらの塗膜が示す発色性はすべて下
地の灰色に影響を受けることなく、十分な隠蔽性を有し
ていた。なお、実施例に示す測色値の測定条件はすべて
上記と同じである。
前記と同様にして色彩値を測定して、CCMシステムの
登録用基礎データを得た。
比(重量比)で1リットル容のポリビンに計量された原
色粉体塗料約500gをターブラミキサー「T2F型」
(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて、回転数
96回転、10分間混合して混合塗料を得、前記と同様
に静電塗装、焼き付けし塗膜を作成した。
るCCMシステムの登録に必要なデータ数は、 原色粉体塗料数 17種 基礎データ登録用粉体塗料 14種 の登録用基礎データが必要とされることから、登録用基
礎データの合計は31種となる。
として、無彩色と有彩色の原色粉体塗料をそれぞれ2種
選択し、その配合比を決定した。さらに、前記CCMシ
ステムにより、第2工程として、第1工程にて選択され
た原色粉体塗料の種類と配合比(重量比)に基づいて、
原色粉体塗料を選択し、配合比(重量比)を決定し、第
3工程として、原色粉体塗料を混合し、目標色への調色
を行った。結果を表3〜8に示す。
調色するための粉体塗料の配合比を算出し、結果を出力
する演算・出力装置としては、「調色専科 PX」(日
清紡社製)をベースに、第1工程による計算結果を出力
し、さらに着色剤濃度ごとに配合比を出力することがで
きるように改造したシステムを用いた。
色粉体塗料15種を使用し、目標色の明度を考慮して原
色粉体塗料を選択し、実施例1の第1工程に用いた従来
のCCMシステムを用いて目標色への調色を行った。結
果を表3〜8に示すが、本比較例では、同一サブグルー
プの原色粉体塗料の使用は、目標色とより近い明度を有
する1種に限定し、表中、明度分割調色(高)とは高明
度の有彩色原色粉体塗料による調色を、明度分割調色
(低)とは低明度の有彩色原色粉体塗料による調色を、
それぞれ示す。なお、本比較例では、着色剤の濃度によ
り明度、彩度の異なる粉体塗料を各々別の原色粉体塗料
として取り扱ったため、 原色粉体塗料数 15種 基礎データ登録用粉体塗料 36種 の合計51種の、実施例1〜6(31種)に比べて多数
の登録用基礎データが必要であった。また、比較例1A
〜6Aでは、無彩色原色粉体塗料2種と有彩色原色粉体
塗料粉体1種の組み合わせによる3点の色彩により囲ま
れる範囲が色再現域となり、再現性が劣る。
を使用し、実施例1の第1工程に用いた従来のCCMシ
ステムを用いて目標色への調色を行った。結果を表3〜
8に示す。なお、本比較例では、登録用基礎データ数
が、 原色粉体塗料数 8種 基礎データ登録用粉体塗料 18種 の合計26種ですむ利点があるものの、後述するよう
に、明らかにまだら感が目立つ塗膜しか得られず、有用
性が乏しいものであった。
第2工程により選択した粉体塗料を調色して得られる計
算上の色彩と目標色との色差を示し、塗膜ΔEとは、調
色により組み合わせた粉体塗料を塗布して形成された塗
膜の色彩と目標色との色差を示す。なお、ΔEの値が小
さい程、目標色の色彩との一致性が高い。
以下の評価基準にて評価した。 〔評価基準〕両目視力1.0の観察者が、塗膜から50
cm離れて塗膜を観察した際に、 ○:まだら感がなく、均一に見える。 △:わずかにまだらに見える。 ×:まだらに見える。
現性に優れ、まだら感の小さい均一な塗膜が簡易に得ら
れることが分かる。これに対し、比較例1A〜6Aの調
色方法は、相対的に色再現性に欠けており、比較例2B
〜6Bの調色方法は、CCMシステムの登録用基礎デー
タ数は少ないものの、まだら感が生じて、均一な色相の
塗膜が得られない。
る粉体塗料を組み合わせて色再現性に優れ、まだら感の
少ない均一な色彩を有する塗膜が得られる粉体塗料に調
色することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 無彩色の原色粉体塗料群及び有彩色の原
色粉体塗料群からなる群より選ばれた原色粉体塗料を組
み合わせて目標色に調色する粉体塗料の調色方法であっ
て、前記無彩色の原色粉体塗料群は、少なくとも2種の
明度の異なる原色粉体塗料からなり、前記有彩色の原色
粉体塗料群は、1又は2以上のサブグループからなり、
ここで1つのサブグループは含有率は異なるも同じ有彩
色の着色剤をそれぞれ含有させてなる明度の異なる一連
の複数の原色粉体塗料からなり、2以上のサブグループ
における各グループの原色粉体塗料にはそれぞれ色相の
異なる有彩色の着色剤が配合されてなり、(1)無彩色
の原色粉体塗料群において明度が最も高い原色粉体塗料
及び明度が最も低い原色粉体塗料並びに各サブグループ
において有彩色の着色剤の含有率が最も高い原色粉体塗
料からなる基準原色粉体塗料群より、目標色に調色する
のに適した2種以上の基準原色粉体塗料を選択する第1
工程、(2)有彩色の原色粉体塗料として、第1工程で
選択された有彩色の基準原色粉体塗料が属するサブグル
ープごとに、各サブグループ内の原色粉体塗料から、明
度の値が目標色の明度を挟む2種の原色粉体塗料を選択
して色相を合わせ(但し、明度の値が目標色の明度を挟
む2種の原色粉体塗料が存在しない場合は、目標色の明
度との差が最も小さい1種を選択する)、有彩色の原色
粉体塗料として前記原色粉体塗料のみを用いて目標色の
彩度と明度を再現できない場合は、さらに無彩色の原色
粉体塗料として目標色の彩度と明度を再現するのに適し
た無彩色の原色粉体塗料を前記無彩色の原色粉体塗料群
から選択する第2工程、並びに(3)第2工程で選択さ
れた原色粉体塗料を組み合わせて調色する第3工程を有
する粉体塗料の調色方法。 - 【請求項2】 各サブグループが2〜10種の原色粉体
塗料からなる請求項1記載の調色方法。 - 【請求項3】 一のサブグループにおいて、明度順に原
色粉体塗料を配列した場合に、隣り合う各原色粉体塗料
間の明度差がそれぞれ5〜40であるサブグループを、
グループ数にして50%以上用いる請求項1又は2記載
の調色方法。 - 【請求項4】 一のサブグループにおいて、明度が最も
高い原色粉体塗料の明度が65〜90であり、明度が最
も低い原色粉体塗料の明度が30〜60であるサブグル
ープを、グループ数にして50%以上用いる請求項1〜
3いずれか記載の調色方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4いずれか記載の粉体塗料の
調色方法により組み合わせた粉体塗料を用いた塗膜の製
造方法。
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EP3792317A1 (en) * | 2019-09-13 | 2021-03-17 | Tambour Ltd | Composition for single layer powder coating with gradient color effect |
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- 2000-11-22 JP JP2000355382A patent/JP4118502B2/ja not_active Expired - Fee Related
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