JP2002154283A - 平版印刷版用支持体、その製造方法、および平版印刷原版 - Google Patents

平版印刷版用支持体、その製造方法、および平版印刷原版

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JP2002154283A JP2000354353A JP2000354353A JP2002154283A JP 2002154283 A JP2002154283 A JP 2002154283A JP 2000354353 A JP2000354353 A JP 2000354353A JP 2000354353 A JP2000354353 A JP 2000354353A JP 2002154283 A JP2002154283 A JP 2002154283A
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Teruyoshi Yasutake
輝芳 安竹
Mutsumi Matsuura
睦 松浦
Hideki Miwa
英樹 三輪
Akio Uesugi
彰男 上杉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 面質および印刷性能に優れた平版印刷版用
支持体とその製造方法、前記平版印刷版用支持体を支持
体とする平版印刷原版の提供。 【解決手段】アルミニウム板に機械的粗面化処理を施
し、次いで、前記面に、エッチング処理、電解粗面化処
理、および陽極酸化処理の1つ以上を施してなり、ブラ
シ毛の直径dが0.1〜0.9mmであり、外周部にお
けるブラシ毛の密度が、30〜(10/d)2本/cm2
の回転ブラシを用い、研磨材として、平均粒径が3〜4
0μmの珪砂を用いて前記機械的粗面化処理を施し、前
記面の単位面積当たり山個数が500〜800個/mm
2であり、十点平均粗さが5〜10μmである平版印刷
版用支持体、前記平版印刷版用支持体の製造方法、前記
平版印刷版用支持体を有する平版印刷原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持
体、その製造方法、および平版印刷原版に関し、とくに
印刷性能だけでなく表面の面質にも優れた平版印刷版用
支持体とその製造方法、および前記平版印刷版用支持体
を支持体とする平版印刷原版に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版の原版である平版印刷原版
は、一般的に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金
(以下、「アルミニウム等」ということがある。)の板
の表面を粗面化し、次いで前記表面を陽極酸化処理する
ことにより、陽極酸化皮膜を形成して平版印刷版用支持
体を得、前記平版印刷版用支持体における陽極酸化皮膜
が形成された表面に感光性樹脂を塗布して感光層を形成
するという手順に従って作製されている。
【0003】前記平版印刷原版に文字および絵などの印
刷画像を焼き付け、現像することにより、平版印刷版が
作製される。
【0004】アルミニウム板の粗面化においては、ロー
ラ状ワイヤブラシまたは研磨布からなる方面を有する研
磨ローラ等による機械的粗面化、酸性電解液中での交流
電解などの電解粗面化、およびエッチングなどの化学的
粗面化等が行なわれ、特に、印刷時の水バランスを付与
する目的で、機械的粗面化が広く行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来
は、機械的粗面化において、研磨材として火山灰を原料
とするパミスストーンを用いていたので、粗面化効率に
劣り、製造速度を上げると充分な目立てができず、印刷
面の状態である面質および印刷性能の何れについても満
足できる平版印刷原版が得られなかった。
【0006】前記問題を解決すべく、ローラ状ワイヤブ
ラシの毛の直径、密度、および珪砂スラリー中の研磨材
濃度等が検討された。また、スラリージェットおよびチ
ャンネルブラシの採用等も検討された。
【0007】しかし、前記の手段の何れによっても、な
お、面質および印刷性能の点で満足のいく平版印刷原版
が得られなかった。
【0008】本発明は、上記事実を考慮し、印刷性能お
よび面質に優れた平版印刷板の支持体となる平版印刷版
用支持体、前記平版印刷版用支持体の製造方法、および
前記平版印刷版用支持体を支持体とする平版印刷原版を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、アルミニウム板における少なくとも一方の面に機械
的粗面化処理を施し、次いで、前記機械的粗面化処理を
施した面に、エッチング処理、電解粗面化処理、および
陽極酸化処理のうちの少なくとも1つを施してなる平版
印刷版用支持体であって、ブラシ毛の直径dが0.1〜
0.9mmであり、外周部におけるブラシ毛の密度が、
30〜(10/d)2本/cm2である回転ブラシを用
い、研磨材として、平均粒径が3〜40μmの珪砂を用
いて前記機械的粗面化処理を施してなり、前記機械的粗
面化処理を施した側の面における基準面から1μmより
も高い山の単位面積当たり個数(SPc)が500〜8
00個/mm2であり、十点平均粗さ(SRz)が5〜
10μmであることを特徴とする平版印刷版用支持体で
ある。
【0010】前記平版印刷版用支持体の粗面化面に感光
層を形成することにより、面質に優れ、印刷面に水を付
着させたときに、水が付着していない部分が光って見え
ることがなく、言い替えれば所謂「てかり」がないので
水の付着状態の確認が容易であり、しかも耐刷性などの
印刷性能に優れた平版印刷版用原版が得られる。
【0011】請求項2に記載の発明は、アルミニウム板
における少なくとも一方の面に機械的粗面化処理を施
し、次いで、前記機械的粗面化処理を施した面に、電解
粗面化処理、エッチング処理、および陽極酸化処理のう
ちの少なくとも1つを施す平版印刷版用支持体の製造方
法であって、前記機械的粗面化処理において、ブラシ毛
の直径dが0.1〜0.9mmであり、外周部における
ブラシ毛の密度が、30〜(10/d)2本/cm2であ
る回転ブラシを用い、研磨材として、平均粒径が3〜4
0μmの珪砂を用い、前記機械的粗面化処理を施した側
の面における基準面から1μmよりも高い山の単位面積
当たり個数(SPc)が500〜800個/mm2であ
り、十点平均粗さ(SRz)が5〜10μmである平版
印刷版用支持体が得られる圧力で前記回転ブラシを前記
アルミニウム板における前記面に押圧することを特徴と
する平版印刷版用支持体の製造方法である。
【0012】前記製造方法によれば、請求項1に記載の
平版印刷版用支持体が容易に作製できる。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の平版印刷版用支持体において、機械的粗面化処理を施
した側の面に感光層を形成したことを特徴とする平版印
刷原版である。
【0014】前記平版印刷用原版は、特に面質に優れ、
所謂「てかり」がなく、しかも、印刷性能に優れてい
る。
【0015】
【発明の実施の形態】前述のように、本発明の平版印刷
版用支持体は、アルミニウム板における少なくとも一方
の面に機械的粗面化処理を施し、次いで、前記機械的粗
面化処理を施した面に、エッチング処理、電解粗面化処
理、および陽極酸化処理のうちの少なくとも1つを施し
た平版印刷版用支持体である。前記平版印刷版用支持体
においては、ブラシ毛の直径および密度が特定の範囲で
ある回転ブラシを用い、研磨材として、特定の範囲の平
均粒径を有する珪砂を用いて機械的粗面化処理を行なっ
ている。
【0016】本発明の平版印刷版用支持体は、基準面か
ら1μmよりも高い山の単位面積当たり個数(以下、
「単位面積当たり山個数」という。)(SPc)が50
0〜800個/mm2であり、特に好ましくは500〜
750個/mm2である。そして、十点平均粗さ(SR
z)は、5〜10μmであり、好ましくは5.5〜8μ
mである。
【0017】前記単位面積当たり山個数(SPc)にお
ける基準面は、SAE−J911―1986(自動車技
術会)に規定されているように、基準レベルとなる面で
あり、具体的には、3次元粗さ測定器で求めた3次元表
面粗さ曲線の中心面である。したがって、前記単位面積
当たり山個数(SPc)は、山の高さが、表面粗さ曲線
の中心面から1μmよりも高い山、言い替えれば、前記
中心面から1μm上方に、前記中心面に対して平行に位
置する仮想面から上方に突出する山の単位面積当たりの
個数、具体的には1mm2当たりの個数として定義され
る。
【0018】十点平均粗さ(SRz)は、前記3次元表
面粗さ曲線から単位面積分だけ抜き出し、前記部分にお
ける高いほうから1〜5番目の山の高さの平均と、深い
ほうから1〜5番目の谷の深さの平均とを求め、前記山
の高さの平均と谷の深さの平均との間隔を求めるという
手順により求められる。
【0019】前記単位面積当たり山個数(SPc)およ
び十点平均粗さ(SRz)が前記範囲内である平版印刷
版用支持体を用いれば、印刷中の表面状態である面質お
よび印刷性能に優れ、表面に「てかり」が生じることな
く、水の付着状態の確認が容易な平版印刷原版が得られ
る。
【0020】1.アルミニウム板 本発明におけるアルミニウム板は、アルミニウム等のシ
ートまたは板材であり、連続したシート材または板材で
あるウェブであってもよく、製品として出荷される平版
印刷原版に対応した大きさに裁断された枚葉状シートで
あってもよい。
【0021】前記アルミニウム等としては、たとえばJ
IS A−1050材、JIS A−1100材などの
純アルミニウム材、およびJIS A−3003材、J
ISA−3103材、JIS A−5005材などのア
ルミニウム合金材などが挙げられる。
【0022】2.機械的粗面化処理 機械的粗面化処理において使用される回転ブラシは、ブ
ラシ毛の直径が0.1〜0.9mmであり、好ましくは
0.15〜0.7mmである。外周部におけるブラシ毛
の密度は、30〜(10/d)2本/cm2(但し、d
は、ミリメートルで表した前記ブラシ毛の直径であ
る。)である。
【0023】ブラシ毛の直径および密度が前記範囲内で
あれば、後述する珪砂を研磨材として使用することによ
り、前記アルミニウム板を効率良く目立てでき、面質お
よび印刷性能に優れた平版印刷原版を容易に作製でき
る。
【0024】前記ブラシ毛としては、ナイロン(商標
名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からな
る合成樹脂毛などが挙げられる。
【0025】前記回転ブラシとしては、例えば、円柱状
の胴の表面に前記ブラシ毛を多数植設したローラ状ブラ
シが挙げられる。前記ローラ状ブラシにおけるブラシ毛
の長さは、前記ローラ状ブラシの外径および胴の直径に
応じて適宜定めることができるが、一般的には、10〜
100mmの範囲である。
【0026】研磨材としては、珪砂が使用される。珪砂
は、研磨材として、従来から使用されていたパミススト
ーンに比較して硬く、壊れ難いので、前記金属粗面化処
理中において粒子が崩れることがずっと少ない。したが
って、アルミニウム板の表面を非常に効率良く目立てで
きる。
【0027】前記珪砂の平均粒径は3〜40μmであ
り、好ましくは10〜30μmである。前記平均粒径の
珪砂を研磨材として用いると、粗面化効率が向上し、し
かも砂目立てピッチが狭くできるので、面質および印刷
性能に優れた平版印刷原版が得られる。
【0028】前記珪砂は、例えばスラリーとして使用で
きる。前記スラリーとしては、前記珪砂を5〜70重量
%程度の濃度で水中に懸濁させた懸濁液等が挙げられ
る。前記懸濁液には、他に、増粘剤、界面活性剤等の分
散剤、および防腐剤等を配合してもよい。
【0029】前記ローラ状ブラシを用いた機械的粗面化
装置の一例を図1に示す。図1に示す機械的粗面化装置
100は、本発明におけるアルミニウム板の一例である
ウェブWが搬送される経路である搬送面Tの上方に配設
され、前記ウェブWの上面を粗面化する3本のローラ状
ブラシ2A、2B、および2Cと、ローラ状ブラシ2
A、2B、および2Cのそれぞれに対し、前記搬送面T
を挟んで反対側に2個づつ設けられ、ウェブWを下方か
ら支持する支持ローラ4A、4A’、4B、4B’、4
C、および4C’と、上面が開口した箱状であり、ロー
ラ状ブラシ2A、2B、2C、および支持ローラ4A、
4A’、4B、4B’、4C、4C’を収容する筐体8
とを備えている。
【0030】ローラ状ブラシ2A、2B、および2Cの
それぞれの近傍には、ウェブWの搬送方向tに対して上
流側に、ウェブWの上面に前記珪砂のスラリーである珪
砂スラリーを供給するスラリー供給管6A、6B、およ
び6Cが設けられている。また、ローラ状ブラシ2A、
2B、および2Cは、それぞれ、ブラシ移動機構(図示
せず。)によって矢印a、b、cで示すように上下方向
に移動可能に形成され、これによってローラ状ブラシ2
A、2B、および2CのウェブWへの押圧力が調節でき
る。前記押圧力は、得られる平版印刷版用支持体におけ
るローラ状ブラシ2A、2B、および2Cで粗面化した
側の面の単位面積当たり山個数(SPc)が500〜8
00個/mm2になり、十点平均粗さ(SRz)が5〜
10μmになるように両接される。
【0031】筐体8の内部には、ローラ状ブラシ2Aよ
りも搬送方向tに対して上流側に研磨装置100に向か
って搬送されたウェブWを筐体8の内部に導く1対の入
口側誘導ローラ10A、10Bが設けられ、筐体8の内
部におけるローラ状ブラシ2Cよりも下流側には、ロー
ラ状ブラシ2A、2B、および2Cで粗面化されたウェ
ブWを筐体8の外部に導く1対の出口側誘導ローラ12
A、12Bが設けられている。
【0032】筐体8の下方には、スラリー供給管6A、
6B、および6Cから供給された珪砂スラリーを回収す
るスラリー回収槽14が設けられている。筐体8の底面
には、前記スラリーをスラリー回収槽14に落下させる
スラリー回収管路16が接続されている。
【0033】スラリー回収槽14の底面近傍には、スラ
リー回収槽14中の珪砂スラリーをスラリー供給管6
A、6B、6Cに供給するスラリー供給管路18が接続
されている。スラリー供給管路18にはポンプ18Aが
介装されている。
【0034】機械的粗面化装置100には、更に、スラ
リー回収槽14中の珪砂スラリーに含まれる珪砂の平均
粒径が一定になるように調整する粒子径調整部20が設
けられている。
【0035】粒子径調整部20は、前記珪砂スラリーか
ら粒径の小さな粒子を分離して除去するサイクロンなど
の分級器22と、スラリー回収槽14中における珪砂ス
ラリー中の珪砂の濃度を一定に制御するスラリー濃度制
御部24と、スラリー回収槽14の内部に設けられ、前
記珪砂スラリー中のスラリー濃度を測定してスラリー濃
度制御部24に向かって出力するスラリー濃度計26
と、スラリー濃度制御部24からの指令に基づいてスラ
リー回収槽14に珪砂を補給する珪砂補給装置28と、
スラリー濃度制御部24からの指令に基づいてスラリー
回収槽14に水を補給する水補給装置30とを備える。
【0036】スラリー回収槽14の底面近傍と分級器2
2との間には、スラリー回収槽14中の珪砂スラリーを
分級器22に導入する管路32が設けられ、管路32に
は、ポンプ32Aが介装されている。分級器22には、
更に、分級器22で分級された珪砂のうち粒径の大きな
方をスラリー回収槽14に戻すスラリー戻し管路34
と、前記珪砂のうち粒径の小さな方を遠心分離機38に
導くスラリー排出管路36とを備える。
【0037】スラリー回収槽14には、更に、内部の珪
砂スラリーを攪拌して珪砂が沈殿しないようにする攪拌
機40が設けられている。
【0038】機械的粗面化装置100には、更に、ロー
ラ状ブラシ2A,2B、2CのウェブWへの押圧力を制
御する押圧力制御部42が設けられている。
【0039】押圧力制御部42は、ローラ状ブラシ2
A,2B、2Cのそれぞれの駆動モータが消費した電力
量を測定する電力消費量測定部44と、電力消費量測定
部44において測定された電力量に基づき、ローラ状ブ
ラシ2A,2B、2Cのそれぞれについて実際の押圧力
を算出し、所定の押圧力と比較する制御部46と、制御
部46からの出力に基づいてブラシ移動機構を駆動し、
ローラ状ブラシ2A,2B、2Cの押圧力が所定の値に
なるようにローラ状ブラシ2A,2B、2Cを上下させ
るブラシ移動機構制御部48とを備える。
【0040】機械的粗面化装置100におけるローラ状
ブラシ2A,2B、2Cの回転速度は、100〜100
0回転/分程度が好ましく、又、回転方向bは、ウェブ
10における研磨面において、ウェブ10の搬送方向t
と同方向であっても反対方向であってもよい。
【0041】3.その他の処理 アルミニウム板には、前記機械的粗面化処理に引きづつ
いて、エッチング処理、電解粗面化処理、および陽極酸
化処理のうちの少なくとも1つが施される。また、電解
粗面化処理の後に更に第2回目のエッチング処理を施し
てもよく、また、前記機械的粗面化処理と前記電解粗面
化処理との間に、第1回目のエッチング処理および第1
回目のデスマット処理を行ない、電解粗面化処理後に第
2回目のエッチング処理および第2回目のデスマット処
理をこの順で施し、最後に陽極酸化処理を行なってもよ
い。
【0042】(1)エッチング処理 エッチング処理は、一般的にアルカリ剤を用いて行なわ
れる。
【0043】前記アルカリ剤としては、苛性アルカリお
よびアルカリ金属塩の溶液等が挙げられる。前記溶液に
おける苛性アルカリおよびアルカリ金属塩の濃度は0.
01〜30重量%が好ましく、温度は20〜90℃の範
囲が好ましい。
【0044】苛性アルカリとしては、苛性ソーダおよび
苛性カリ等が挙げられる。
【0045】前記アルカリ金属塩としては、メタ珪酸ソ
ーダ、珪酸ソーダ、メタ珪酸カリ、および珪酸カリ等の
アルカリ金属珪酸塩、炭酸ソーダおよび炭酸カリ等のア
ルカリ金属炭酸塩、アルミン酸ソーダおよびアルミン酸
カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩、グルコン酸ソーダ
およびグルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩、
並びに第二燐酸ソーダ、第二燐酸カリ、第三燐酸ソー
ダ、および第三燐酸カリ等のアルカリ金属燐酸水素塩等
が挙げられる。前記アルカリ剤としては、エッチング速
度が速い点、および安価である点から苛性アルカリの溶
液が特に好ましい。
【0046】エッチング量は、0.1〜20g/m2
範囲が好ましく、1〜15g/m2の範囲が特に好まし
く、2〜10g/m2の範囲が最も好ましい。エッチン
グ時間は、5秒〜5分の範囲が好ましい。エッチング量
およびエッチング時間が前記範囲内であれば、機械的粗
面化処理で平版印刷版用支持体の表面に形成された凹凸
が適度に残存するから、非画像部における保水性が高
く、非画像部にインキが付着してブラシ汚れなどの外観
不良を生じさせることのない平版印刷原版の支持体とな
る平版印刷版用支持体が得られる。
【0047】エッチング処理は、アルミニウム板のエッ
チング処理に通常に使用されるエッチング槽を用いて行
うことができる。前記エッチング槽としては、バッチ式
および連続式の何れも使用できる。
【0048】尚、エッチング処理と次の電解粗面化処理
との間に、アルミニウム板の表面に残存し、アルカリ溶
液に不要な残滓を除去する第1回目のデスマット処理を
行ってもよい。第1回目のデスマット処理は、たとえば
エッチング処理後のアルミニウム板を水洗し、次いで硝
酸、燐酸、硫酸、クロム酸等の強酸、またはこれらの混
合物で処理することにより、行うことができる。
【0049】(2)電解粗面化処理 電解粗面化処理においては、前記エッチング工程でエッ
チングされたアルミニウム板を、たとえば酸性電解液中
で交流を印加して交流電解する。
【0050】酸性電解液としては、たとえば、硫酸、塩
酸、および硝酸の少なくとも1種を含有する電解液が挙
げられる。前記酸性電解液中の硫酸、塩酸、および硝酸
の濃度は、電解条件等に応じて適宜定めることができる
が、合計で0.3〜15重量%の範囲が好ましい。前記
酸性電解液には、他に、必要に応じて蓚酸、酢酸、クエ
ン酸、酒石酸、および乳酸等の有機酸類、燐酸、クロム
酸、硝酸塩、塩化物、アミン類、並びにアルデヒド類等
を配合してもよい。酸性電解液は、アルミニウムイオン
を含んでいてもよいが、アルミニウムイオンの含有量は
50g/リットル以下が好ましい。酸性電解液の温度も
又、電解条件等に応じて適宜定めることができるが、3
0〜80℃の範囲が好ましい。
【0051】アルミニウム板に印加する交流の周波数
は、0.1〜100Hzの範囲が好ましく、電圧は、陽
極時電圧を基準にして10〜50Vの範囲が好ましい。
陰極時電圧は、陽極時電圧と同一であってもよく、陽極
時電圧よりも小さくてもよい。
【0052】電流密度は、5〜100A/dm2の範囲
が好ましく、陽極電気量は、150〜600クーロン/
dm2の範囲が好ましい。
【0053】前記交流は、正弦波電流であってもよく、
矩形波電流であってもよく、特開昭52−58602号
公報に記載されているような台形波電流であってもよ
い。
【0054】前記交流電解処理においては、バッチ式お
よび連続式の交流電解処理装置が使用できる。
【0055】前記連続式交流電解処理装置の例を図2お
よび図3に示す。
【0056】図2に示す連続式交流電解処理装置は、水
平方向に伸びる軸線の周りに、図2における反時計回り
の方向に回転してウェブWを送るウェブ送りローラ52
と、ウェブ送りローラ52および酸性電解液を内部に収
容する電解槽50とを備えている。
【0057】電解槽50の内壁面には、ウェブ送りロー
ラ52を囲むように略半円筒状に形成された2組の電極
54Aおよび電極54Bが設けられている。
【0058】電極54Aと電極54Bとには、交流電源
ACから交流電流が供給される。
【0059】電解槽50の上部にはウェブWの入口およ
び出口である開口部50Aが設けられている。開口部5
0Aの、ウェブWの搬送方向tに対して上流側の壁は、
下流側の壁よりも低く形成されている。開口部50Aの
搬送方向tに対して下流側の上縁部には、電解槽50に
酸性電解液を供給する電解液供給部56が設けられてい
る。電解液供給部56の内部には、供給された酸性電解
液を一時貯留して電解槽50に一定量で供給されるよう
にする空間であるキャビティ56Aが設けられ、キャビ
ティ56Aと電解槽50の内部とは、電解槽50に向か
って設けられたスリット56Bによって連通している。
キャビティ56Aの内部には水平方向にディストリビュ
ータ56Cが設けられている。電解液供給部56におけ
るディストリビュータ56Cを挟んでスリット56Bの
反対側には、酸性電解液を供給する給液配管56Dが設
けられている。電解液供給部56は、電解槽50の低部
における電極54Aと54Bとの間にも設けられ、電解
液供給部56と電極54Aおよび54Bとの間には絶縁
材58が嵌装されている。
【0060】開口部50Aの直上には、電解槽50に入
るウェブWを受ける入口側受ロール60Aと電解槽50
から出て行くウェブWを受ける出口側受ロール50Bと
が設けられている。
【0061】電解槽50の前記搬送方向tに対して上流
側には、開口部50Aから溢れ出た酸性電解液を受ける
箱状の溢流電解液受け62が設けられている。溢流電解
液受け62の底面には、溢流電解液受け62で受けた酸
性電解液を外部に排出する電解液排出管路64が設けら
れている。
【0062】図2における左方から、入口側受ロール6
0Aによって電解槽50内部に案内されたウェブWは、
ウェブ送りローラ52によって図2における反時計回り
の方向に送られ、出口側受ロール50Bによって電解槽
50の外に導かれる。
【0063】この状態において電極54Aおよび電極5
4Bに交流電流を印加すると、ウェブWは、交流電解さ
れる。
【0064】酸性電解液は、前記2つの電解液供給部5
6から、電解槽50の内壁面とウェブ送りロール52の
外周面との間を500〜4,000mm/秒の流速で流
れるように供給される。電解槽50の内壁面とウェブ送
りロール52の外周面との間をウェブWの搬送方向tに
対して下流側から上流側に向かって流れた酸性電解液
は、開口部50Aから溢流電解液受け62に向かって溢
流し、電解液排出管路64から外部に排出される。
【0065】図3に示す連続式交流電解処理装置は、内
部をウェブWが通過する電解槽70を備える。電解槽7
0は、ウェブWの搬送方向tに対し上流側に位置し、ウ
ェブWの入り口が上面に開口した直方体状のウェブ導入
部70Aと、前記搬送方向tに対し下流側に位置し、ウ
ェブWの出口が上面に開口した直方体状のウェブ導出部
70Bと、ウェブ導入部70Aとウェブ70Bとを低部
において連通し、横長の長方形状断面を有するダクト状
の中央部70Cとを有する。
【0066】ウェブ導入部70Aの底面近傍には、ウェ
ブ導入部70Aに導入されたウェブWを中央部70Cに
案内する第1案内ローラ72が設けられ、ウェブ導出部
70Bの底面近傍には、中央部70Cを通過したウェブ
Wをウェブ導出部70Bに案内する第2案内ローラ74
が設けられている。
【0067】ウェブ導入部70Aの上方には、図3に示
すように、前記連続式交流電解処理装置に向かって搬送
されたウェブWをウェブ導入部70Aに案内する入口側
ウェブ案内ローラ76が設けられ、ウェブ導出部70B
の上方には、ウェブ導出部70Bを通過したウェブを前
記連続式交流電解処理装置の外部に案内する出口側ウェ
ブ案内ローラ78が設けられている。ウェブWの搬送面
を挟んで入口側ウェブ案内ローラ78の反対側には、交
流電源ACに接続された電極の一方であり、ウェブWに
接触しつつ回転して交流電源ACからの交流電流をウェ
ブWに印加する給電ローラ80が設けられている。
【0068】ウェブ導入部70Aの内部は、図3に示す
ように、第1案内ローラ72よりも前記搬送方向tに対
して上流側に位置する溢流堰82によって2つに仕切ら
れている。溢流堰82はの底面からの高さは、ウェブ導
入部70Aの底面から上面開口部までの高さよりも低
い。ウェブ導入部70Aにおける溢流堰82で仕切られ
た上流側の部分の底面には、酸性電解液を排出する電解
液排出管路84が設けられている。
【0069】ウェブ導出部70Bの底面には、電解槽7
0に酸性電解液を供給する電解液供給部56が設けられ
ている。電解液供給部56の構成は、図2に示す交流電
解処理装置のところで述べた通りである。
【0070】中央部70Cの底面には、交流電源ACに
接続された他方の電極である主電極86が固定されてい
る。
【0071】図3に示す交流電解処理装置においては、
中央部70Cを流通する酸性電解液の流速が500〜4
000m/秒になるように、電解液供給部56から酸性
電解液が供給される。
【0072】電解液供給部56から供給された酸性電解
液は、中央部70Cを通ってウェブ導入部70Aに導入
され、溢流堰82を越えて、ウェブ導入部70Aにおけ
る溢流堰82で仕切られた上流側の部分に導入され、電
解液排出管路84から外部に排出される。これにより、
中央部70Cには、ウェブ導出部70Bからウェブ導入
部70Aに向かう方向、すなわちウェブWの搬送方向t
とは反対方向の、酸性電解液の流れが生じる。
【0073】この状態で、図3における搬送方向tに沿
ってウェブWを搬送しつつ、主電極86と給電ローラ8
0とに交流電流を印加すると、前記交流電流は、電解槽
70とウェブWとに印加されるから、電解槽70内部に
おいてウェブWが交流電解される。
【0074】電解粗面化処理の後に、第2回目のエッチ
ング処理を行うことができる。
【0075】第2回目のエッチング処理は、pH10以
上のアルカリ溶液中で行なうことができる。前記アルカ
リ溶液としては、具体的には、前記エッチング処理のと
ころで述べたアルカリ剤と同様の溶液が挙げられる。ア
ルカリ溶液の温度は25〜60℃の範囲が好ましい。エ
ッチング量は、0.1〜5g/m2が好ましい。エッチ
ング時間は、エッチング量とアルカリ液の組成および温
度などに応じて適宜定めることができるが、たとえば1
〜10秒の範囲が好ましい。
【0076】前記エッチング処理を行った後のアルミニ
ウム板を、温度が25〜65℃であり、硫酸の濃度が5
〜40重量%の硫酸水溶液に浸漬して第2回目のデスマ
ット処理を行なってもよい。
【0077】(3)陽極酸化処理 陽極酸化処理においては、前記粗面化処理が施されたア
ルミニウム板を、常法に従って陽極酸化処理する。
【0078】陽極酸化処理においては、たとえば硫酸、
燐酸、蓚酸、クロム酸、およびアミドスルホン酸の少な
くとも1種を含有する電解液中で、前記アルミニウム板
に直流または脈流を印加する。
【0079】陽極酸化処理に使用される電解液として
は、前記電解液のほかに、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム
酸、およびアミドスルホン酸の少なくとも1種とアルミ
ニウムイオンとを含有するものも挙げられる。
【0080】電解液における電解質の濃度は、1〜80
重量%の範囲が好ましく、温度は、5〜70℃の範囲が
好ましい。
【0081】陽極酸化処理は、陽極酸化皮膜の量が0.
1〜10g/m2になるように行なうことが、平版印刷
版用支持体の耐磨耗性、ひいては前記平版印刷版用支持
体を支持体とする平版印刷原版の耐久性の点から好まし
く、電流密度は、0.5〜60A/dm2の範囲が好ま
しく、電圧は、1〜100Vの範囲が好ましい。電解時
間は1秒〜5分の範囲が好ましい。
【0082】4.平版印刷原版 本発明の平版印刷原版は、前記平版印刷版用支持体にお
ける機械的粗面化処理等を施した側の表面に感光性樹脂
を含有する感光性樹脂溶液を塗布し、暗所で乾燥するこ
とにより形成できる。
【0083】感光性樹脂溶液の塗布方法としては、回転
塗布法、ワイヤーバー法、ディップ塗布法、エアーナイ
フ塗布法、ロール塗布法、およびブレード塗布法等、従
来公知の方法が挙げられる。
【0084】前記平版印刷版用支持体の機械的粗面化処
理等を施した側の表面に感光層を形成するには、予め、
必要に応じて、珪酸ソーダおよび珪酸カリ等のアルカリ
金属珪酸塩の水溶液に浸漬して親水化処理するか、また
は、親水性ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布し
て親水性の下塗り層を形成することが好ましい。
【0085】珪酸ソーダおよび珪酸カリ等のアルカリ金
属珪酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,
714,066号明細書および米国特許第3,181,
461号明細書に記載の方法および手順に従って行なう
ことができ、前記親水性の下塗り層の形成は、特開昭5
9−101651号公報および特開昭60−14949
1号公報に記載された条件および手順にしたがって行な
うことができる。前記親水性ビニルポリマーとしては、
スルホン酸基を有するp−スチレンスルホン酸等のスル
ホン酸基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸アル
キルエステル等の通常のビニルモノマーとの共重合体が
挙げられ、親水性化合物としては、NH 2基、−COO
H基、およびスルホン基の少なくとも1つを有する化合
物が挙げられる。
【0086】前記感光層の形成に使用される感光性樹脂
としては、光が当たると現像液に溶けるようになるポジ
型感光性樹脂、および光が当たると現像液に溶解しなく
なるネガ型感光性樹脂が挙げられる。
【0087】ポジ型感光性樹脂としては、キノンジアジ
ド化合物およびナフトキノンジアジド化合物等のジアジ
ド化合物と、フェノールノボラック樹脂およびクレゾー
ルノボラック樹脂等のフェノール樹脂との組み合わせ等
が挙げられる。
【0088】一方、ネガ型感光性樹脂としては、芳香族
ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等のアルデヒド類と
の縮合物等のジアゾ樹脂、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、
および前記ジアゾ樹脂の有機酸塩等のジアゾ化合物と、
(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、およびポ
リウレタン等の結合剤との組み合わせ、並びに(メタ)
アクリレート樹脂およびポリスチレン樹脂等のビニルポ
リマーと、(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレン
等のビニルモノマーと、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェ
ノン誘導体、およびチオキサントン誘導体等の光重合開
始剤との組み合わせ等が挙げられる。
【0089】前記感光性樹脂溶液における溶剤として
は、前記感光性樹脂を溶解し、しかも、室温である程度
の揮発性を有する溶剤が挙げられ、具体的には、たとえ
ばアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、
エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミド系
溶剤、および炭酸エステル系溶剤等が挙げられる。
【0090】アルコール系溶剤としては、エタノール、
プロパノール、およびブタノール等が挙げられる。ケト
ン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、およ
びジエチルケトン等が挙げられる。エステル系溶剤とし
ては、酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸メチル、蟻酸エ
チル等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、テトラ
ヒドロフランおよびジオキサン等が挙げられ、グリコー
ルエーテル系溶剤としては、エチルセロソルブ、メチル
セロソルブ、およびブチルセロソルブ等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミドおよびジ
メチルアセトアミド等が挙げられる。炭酸エステル系溶
剤としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエ
チル、および炭酸ジブチル等が挙げられる。
【0091】感光性樹脂の溶液には、更に、各種着色剤
等を配合することができる。前記着色剤としては、通常
の色素のほか、露光により発色する露光発色色素、およ
び露光により殆どまたは完全に無色になる露光消色色素
等が使用できる。前記露光発色色素としては、たとえば
ロイコ色素等が挙げられる。一方、前記露光消色色素と
しては、トリフェニルメタン系色素、ジフェニルメタン
系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノ
ナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、およびアント
ラキノン系色素等が挙げられる。
【0092】前記平版印刷原版を、必要に応じて適宜の
大きさに裁断した後、露光,および現像を行って製版す
る。露光および現像は、従来公知の平版印刷原版と同様
の手順に沿って行うことができる。
【0093】
【実施例】以下、本発明について、実施例を用いて具体
的に説明する。 (実施例1〜6、比較例1〜5) 1.平版印刷版用支持体の作製 1−1 粗面化処理 A.機械的粗面化処理 厚さ0.3mmのアルミニウム板のウェブWにおける一
方の面を、図1に示す研磨装置を用いて機械的粗面化処
理した。
【0094】回転ブラシ2A、2B、2Cとしては、外
径が600mmであり、ブラシ毛の長さが50mmであ
るローラ状ブラシを使用した。ローラ状ブラシにおける
ブラシ毛としては、表1に示す直径を有するナイロン製
のものを使用した。前記ローラ状ブラシにおける外周部
のブラシ毛の密度も、表1に示す通りである。
【0095】研磨材として、表1に示す平均粒径を有す
る珪砂またはパミスストーンを用いた。前記珪砂または
パミスストーンを400g/リットルの割合で水で懸濁
させた懸濁液を、研磨材スラリー供給槽6から、200
リットル/分の割合でウェブWの研磨面上に供給した。
【0096】ウェブWの搬送速度は30m/分であり、
研磨圧力は0.5A/100mmであり、ローラ状ブラ
シの周速は470m/sであった。
【0097】B.エッチング処理 機械的粗面化処理を施したウェブWを、前記送り速度
で、液温60℃、濃度10重量%の苛性ソーダ溶液が貯
留された連続式エッチング槽を通過させ、エッチング量
が10g/m2になるようにエッチング処理した。
【0098】エッチング処理後のウェブWを、水槽に通
して水洗し、更に濃度30重量%、液温60℃の硫酸が
貯留された連続式デスマット処理槽に通過させて第1回
目のデスマット処理を行った。
【0099】C.電解粗面化処理 図2に示す連続式交流電解槽の電解槽に、液温40℃、
濃度2重量%の硝酸を満たし、デスマット処理後のウェ
ブWを連続的に通過させつつ、周波数60Hz、電流密
度20A/dm2、陽極電気量200クーロン/cm2
電圧20Vの交流を印加して交流電解し、電解粗面化処
理を行った。
【0100】電解粗面化処理を行ったウェブWを、液温
35℃、濃度10重量%の苛性ソーダ溶液中を、エッチ
ング量が1.5g/m2になるように連続的に通過させ
て第2のエッチング処理を行った。第2回目のエッチン
グ処理を行なったウェブWを水洗し、液温60℃、濃度
30重量%の硫酸中を、連続的に通過させて第2回目の
デスマット処理を施した。
【0101】1−2 陽極酸化処理 粗面化処理後のウェブWを、液温30℃、濃度10重量
%の希硫酸の溶液中に連続的に浸漬し、40Vの直流電
流を印加し、陽極酸化皮膜量が2g/m2になるように
陽極酸化処理を行って平版印刷版用支持体を作製した。
【0102】2.平版印刷原版の作製 前記手順に従ってウェブWを粗面化し、陽極酸化処理し
て得られた平版印刷版用支持体を、濃度が3重量%であ
り、液温が70℃である珪酸ソーダ溶液に30秒間浸漬
して表面を親水化した。
【0103】ついで、前記平版印刷版用支持体に、ジア
ゾ化合物として1,2−ジアゾナフトキノン−5−スル
ホニルクロリドとピロガロール−アセトン樹脂とのエス
テル化物(米国特許第3,635,709号明細書の実
施例1に記載されているもの)を含有し、結合剤として
ノボラック樹脂および2−ノルマルオクチルフェノール
−ホルムアルデヒド樹脂(米国特許第4,123,27
9号明細書に記載されているもの)を含有するネガ型感
光性樹脂溶液を、1.5g/m2の塗布量で塗布して乾
燥させ、感光層を形成して平版印刷原版を作製した。
【0104】前記平版印刷版用支持体の単位面積当たり
山個数(SPc)および十点平均粗さ(SRz)、並び
に前記平版印刷原版の面質および印刷性能について、以
下のようにして評価した。
【0105】<単位面積当たり山個数(SPc)および
十点平均粗さ(SRz)>実施例1〜6および比較例1
〜5に係る平版印刷版用支持体の表面の3次元粗さ曲線
を、小坂研究所(株)製SE−3FK型3次元表面粗さ
測定器(触針:2μmR)を用いて求め、得られた3次
元粗さ曲線に基づき、小坂研究所(株)製SPA−11
型3次元粗さ解析装置を用いて以下の手順に従って単位
面積当たり山個数(SPc)および十点平均粗さ(SR
z)を求めた。
【0106】a.単位面積当たり山個数(SPc) SAE−J911―1986(自動車技術会)に規定さ
れた手順に従って求めた。
【0107】先ず、前記3次元粗さ曲線の中心面を、前
記3次元粗さ解析装置を用いて求めた。次ぎに、前記3
次元粗さ解析装置において、前記中心面よりも1μm高
い面を設定し、前記面から上方に突出する山の1mm2
当たりの個数を数えて単位面積当たり山個数(SPc)
を求めた。結果を表1に示す。
【0108】b.十点平均粗さ(SRz) 十点平均粗さ(SRz)は、前記3次元表面粗さ曲線か
ら1mm2分だけ抜き出し、前記部分における高いほう
から1〜5番目の山の高さの平均と、深いほうから1〜
5番目の谷の深さの平均とを求め、前記山の高さの平均
と谷の深さの平均との間隔を求めることにより、十点平
均粗さ(SRz)を求めた。結果を表1に示す。
【0109】<印刷性能> a.ブランケット汚れの評価 オフセット印刷機におけるブランケットローラの胴の汚
れであるブランケット汚れについては、以下の手順に従
って評価した。
【0110】実施例1〜6および比較例1〜5で作製さ
れた平版印刷原版に、テストパターンを形成した透明フ
ィルムを重ね、1mの距離から3kWのメタルハライド
ランプにより1分間照射して露光した。
【0111】次いで、[SiO2]/[Na2O]のモル
比が1.2であり、SiO2濃度が1.4重量%である
珪酸ナトリウム水溶液100重量部と、エチレンジアミ
ン・エチレンオキシド付加物(30モル)0.3重量部
とを含有する現像液を用いて前記露光後の平版印刷原版
を現像し、平版印刷版を作製した。
【0112】得られた平版印刷版にガム引きを施し、三
菱重工業(株)製のDAIYA型2色印刷機を用いて5
00枚印刷した後、印刷機のブランケットローラの表面
を目視で観察し、前記表面の汚れの度合いを◎、◎○、
○、○△、△、×の6段階で評価した。結果を表1に示
す。
【0113】b.ポツ汚れの評価 実施例1〜6および比較例1〜5で作製された平版印刷
原版を、1〜2段をクリアする程度の低光量で露光し、
「a.ブランケット汚れの評価」のところで述べたのと
同様の現像液を用いて現像した。
【0114】現像後、平版印刷版用支持体の表面にポツ
状に残った感光層の有無および残存量をルーペで観察
し、◎、◎○、○、○△、△、×の6段階で評価した。
結果を表1に示す。
【0115】c.耐刷力の評価 実施例1〜6および比較例1〜5で作製された平版印刷
原版を、「a.ブランケット汚れの評価」のところで述
べたのと同様の露光条件で露光し、同様の現像液を用い
て現像して平版印刷版を作製した。
【0116】得られた平版印刷版にガム引きを施し、小
森印刷機(株)製リスロン26型印刷機およびダールグ
レインAADダンプナー給水装置を用いてオフセット印
刷を行ない、得られた印刷物の画質を目視で評価して正
常な印刷物が得られなくなるまでの印刷枚数を求めた。
結果を表1に示す。なお、表1においては、実施例1に
係る平版印刷版における前記印刷枚数を100%とした
ときの割合で結果を表す。
【0117】<面質>露光および現像については、
「a.ブランケット汚れの評価」と同様に行なった。
【0118】得られた平版印刷版にガム引きを施し、ハ
イデルベルグSOR−M印刷機およびアルカラー給水装
置を用いてオフセット印刷を行なった。印刷中、前記平
版印刷版の表面状態を目視で観察して面質を評価し、水
が付着していない部分の光沢の有無および大小を目視で
観察して「てかり」の有無を評価した。結果を表1に示
す。なお、表1において、前記結果を◎、◎○、○、○
△、△、×の6段階で表示した。
【0119】
【表1】
【0120】なお、表1において、「パミス」はパミス
ストーンの略であり、「ブラン汚れ」は、ブランケット
汚れの略である。
【0121】
【発明の効果】本発明によれば、面質および印刷性能に
優れ、所謂「てかり」の生じない平版印刷板の支持体と
なる平版印刷版用支持体、前記平版印刷版用支持体の製
造方法、および前記平版印刷版用支持体を支持体とする
平版印刷原版が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る平版印刷版用支持体の製
造方法において、機械的粗面化処理に使用される機械的
粗面化装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明に係る平版印刷版用支持体の製
造方法において、電解粗面化処理に使用される連続式交
流電解槽の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明に係る平版印刷版用支持体の製
造方法において、電解粗面化処理に使用される連続式交
流電解槽の別の例を示す概略図である。
【符号の説明】
2A ローラ状ブラシ 2B ローラ状ブラシ 2C ローラ状ブラシ 4A 支持ローラ 14 スラリー回収槽 20 粒子径調整部 42 押圧力制御部 50 電解槽 70 電解槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三輪 英樹 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H096 AA07 CA03 2H114 AA04 AA11 AA14 AA23 BA01 DA04 DA08 DA75 EA02 FA01 GA03 GA05 GA08 GA09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板における少なくとも一
    方の面に機械的粗面化処理を施し、次いで、前記機械的
    粗面化処理を施した面に、エッチング処理、電解粗面化
    処理、および陽極酸化処理のうちの少なくとも1つを施
    してなる平版印刷版用支持体であって、 前記機械的粗面化処理において、ブラシ毛の直径dが
    0.1〜0.9mmであり、外周部におけるブラシ毛の
    密度が、30〜(10/d)2本/cm2である回転ブラ
    シを用い、研磨材として、平均粒径が3〜40μmの珪
    砂を用い、 前記機械的粗面化処理を施した側の面における基準面か
    ら1μmよりも高い山の単位面積当たり個数(SPc)
    が500〜800個/mm2であり、十点平均粗さ(S
    Rz)が5〜10μmであることを特徴とする平版印刷
    版用支持体。
  2. 【請求項2】 アルミニウム板における少なくとも一
    方の面に機械的粗面化処理を施し、次いで、前記機械的
    粗面化処理を施した面に、電解粗面化処理、エッチング
    処理、および陽極酸化処理のうちの少なくとも1つを施
    す平版印刷版用支持体の製造方法であって、 前記機械的粗面化処理において、ブラシ毛の直径dが
    0.1〜0.9mmであり、外周部におけるブラシ毛の
    密度が、30〜(10/d)2本/cm2である回転ブラ
    シを用い、研磨材として、平均粒径が3〜40μmの珪
    砂を用い、 前記機械的粗面化処理を施した側の面における基準面か
    ら1μmよりも高い山の単位面積当たり個数(SPc)
    が500〜800個/mm2であり、十点平均粗さ(S
    Rz)が5〜10μmである平版印刷版用支持体が得ら
    れる圧力で前記回転ブラシを前記アルミニウム板におけ
    る前記面に押圧することを特徴とする平版印刷版用支持
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の平版印刷版用支持体
    において、機械的粗面化処理を施した側の面に感光層を
    形成したことを特徴とする平版印刷原版。
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