JP2002225454A - 平版印刷版用支持体の製造方法、平版印刷版用支持体、および平版印刷原版 - Google Patents

平版印刷版用支持体の製造方法、平版印刷版用支持体、および平版印刷原版

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JP2002225454A
JP2002225454A JP2001026938A JP2001026938A JP2002225454A JP 2002225454 A JP2002225454 A JP 2002225454A JP 2001026938 A JP2001026938 A JP 2001026938A JP 2001026938 A JP2001026938 A JP 2001026938A JP 2002225454 A JP2002225454 A JP 2002225454A
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aluminum
printing plate
aluminum plate
plate
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JP2001026938A
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English (en)
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Atsuo Nishino
温夫 西野
Yoshitaka Masuda
義孝 増田
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Akio Uesugi
彰男 上杉
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再生アルミニウム地金から製造されたアル
ミニウム板を用いた場合にも、耐過酷インキ汚れ性に優
れ、ブラン汚れが生じることがなく、耐刷性に優れた平
版印刷原版が得られる平版印刷版用支持体の製造方法の
提供。 【解決手段】アルミニウム板の少なくとも一方の面を粗
面化する粗面化工程を有してなり、前記粗面化工程にお
いて、硝酸およびアルミニウムイオンをそれぞれ5〜1
5g/リットル含有し、アンモニウムイオンを10〜3
00ppm含有し、液温が50〜80℃である硝酸水溶
液中で、前記アルミニウム板に交流を印加する交流電解
粗面化処理を行う平版印刷版用支持体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持
体の製造方法、平版印刷版用支持体、および平版印刷原
版に係り、特に、スクラップ材やリサイクル材などの再
生アルミニウム地金も材料として使用できる平版印刷版
用支持体の製造方法、前記方法で製造された平版印刷版
用支持体、および前記平版印刷版用支持体の表面に感熱
性または感光性の製版層を形成した平版印刷原版に関す
る。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版の原版である平版印刷原版
は、一般的に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金
(以下、「アルミニウム等」ということがある。)の板
(以下、「アルミニウム板」という。)の表面を粗面化
し、次いで前記表面を陽極酸化処理することにより、陽
極酸化皮膜を形成して平版印刷版用支持体を得、前記平
版印刷版用支持体における陽極酸化皮膜が形成された表
面に感光性樹脂または感熱性樹脂を塗布して感光性また
は感熱性の製版層を形成するという手順に従って作製さ
れる。前記感光性の製版層および感熱性の製版層は、下
層に形成される下塗り層および保護膜層なども含め、特
開2000−62333号公報、特開昭59−1016
51号公報、および特開昭60−149491号公報な
どにおいて公知になっている。
【0003】前記平版印刷原版の製版層に文字および絵
などの印刷画像を焼き付け、現像することにより、平版
印刷版が作製される。
【0004】アルミニウム板の粗面化においては、ナイ
ロンなどの毛を有するブラシローラまたは表面が研磨布
からなる研磨ローラ等による機械的粗面化処理、アルカ
リ溶液中で前記アルミニウム板の表面を化学的に粗面化
するエッチング処理、および前記アルミニウム板を電極
の一方として、酸性電解液中で交流を印加して電気分解
を行う交流電解粗面化などの電解粗面化処理などが行な
われている。
【0005】特に、印刷時の水バランスを付与する目的
で、機械的粗面化処理を行い、次いでエッチング処理お
よび電解粗面化処理を施すことが一般的である。
【0006】更に、前記電解粗面化処理および前記化学
的粗面化処理の後に、前記アルミニウム板を酸性溶液に
浸漬するデスマット処理を施し、前記アルミニウム板に
含まれる元素に由来するとともに、前記電解粗面化およ
び化学的粗面化処理によって表面に析出した酸化物、水
酸化物、および金属間化合物などを除去することもあ
る。
【0007】ここで、スクラップ材およびリサイクル材
などの再生アルミニウム地金は、新地金よりも安価であ
り、製造時のエネルギー消費が少ないから、前記再生ア
ルミニウム地金から製造されたアルミニウム板から平版
印刷版用原版を製造できれば、コストおよびエネルギー
の節減の面で好ましいばかりでなく、資源の節約にもな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記再生アル
ミニウム地金は、新地金とは異なり、合金成分の制御は
殆どされてなく、各種の不純物を含んでいる。
【0009】したがって、前記再生アルミニウム地金か
ら製造されたアルミニウム板の表面には、前記不純物に
由来する種々の金属間化合物や析出物が露出するので、
前記アルミニウム板を用いた平版印刷原版においては、
陽極酸化皮膜に欠陥が生じ易く、印刷紙面の全面に点状
にインキが付着する過酷インキ汚れが発生しやすかっ
た。
【0010】また、不純物を多く含むアルミニウム板
は、従来の方法では電気化学的な粗面化を均一に行うこ
とが難しく、不均一な表面形状になる故に、オフセット
ローラのゴム胴すなわちブランケットにインキが付着
し、このインキが印刷紙面に付着する所謂ブラン汚れが
生じ易いという問題もあった。
【0011】本発明は、再生アルミニウム地金から製造
されたアルミニウム板を用いた場合にも、過酷インキ汚
れやブラン汚れが生じることがなく、耐刷性に優れた平
版印刷原版の支持体になる平版印刷版用支持体を製造で
きる平版印刷版用支持体の製造方法を提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、アルミニウム板の少なくとも一方の面を粗面化する
粗面化工程を有してなり、前記粗面化工程において、硝
酸およびアルミニウムイオンをそれぞれ5〜15g/リ
ットル含有し、アンモニウムイオンを10〜300pp
m含有し、液温が50〜80℃である硝酸水溶液中で、
前記アルミニウム板を交流電解粗面化処理することを特
徴とする平版印刷版用支持体の製造方法に関する。
【0013】前記アルミニウム板が、前記再生アルミニ
ウム地金から製造したものであっても、前記条件で交流
電解粗面化処理を行うことにより、小孔が緻密に配列さ
れ、ハニカム状の外観を呈するハニカムピットが表面に
均一に形成される。したがって、前記製造方法で得られ
る平版印刷版用支持体における粗面化面に製版層を形成
した平版印刷原版は、過酷インキ汚れおよびブラン汚れ
の発生が殆ど見られない。
【0014】請求項2に記載の発明は、前記交流電解粗
面化処理において、前記アルミニウム板に印加する交流
における前記アルミニウム板が陽極であるときの電気量
QAと前記アルミニウム板が陰極であるときの電気量Q
Cとの比QA/QCが0.9〜1であり、dutyが
0.5であり、周波数が40〜120Hzである平版印
刷版用支持体の製造方法である。
【0015】前記平版印刷版用支持体の製造方法によれ
ば、前記アルミニウム板には、更に均一なハニカムピッ
トが形成される。
【0016】請求項3に記載の発明は、前記交流電解粗
面化処理において、前記アルミニウム板に印加する交流
の立ち上がり時間Tpが0.01〜0.3ミリ秒であ
り、また、前記交流が流れない期間である0.001秒
以上0.6秒以下の休止期間を設けてなる平版印刷版用
支持体の製造方法である。
【0017】前記平版印刷版用支持体の製造方法によっ
て得られる平版印刷版用支持体は、表面のハニカムピッ
トの均一性に特に優れているから、平版印刷原版の支持
体として特に好適である。
【0018】請求項4に記載の発明は、前記交流電解粗
面化処理において、前記硝酸水溶液を内部に収容し、前
記アルミニウム板が内部を通過する電解槽本体と、前記
アルミニウム板に交流を供給する給電手段と、前記電解
槽本体内部において、前記交流電解粗面化処理時に前記
アルミニウム板に向かい合うように設けられた対極とを
有し、前記アルミニウム板と前記対極との間に交流電流
を流して交流電解を行う交流電解槽を用い、前記アルミ
ニウム板と前記対極との間に交流電流の流れない休止期
間を1回以上設け、前記休止期間の長さを、0.001
秒〜0.6秒/回とする平版印刷版用支持体の製造方法
である。
【0019】前記平版印刷版用支持体の製造方法におい
て、電解槽を2以上直列に使用する場合には、一の電解
槽から導出されたアルミニウム板が他の電解槽に導入さ
れるまでの、前記アルミニウム板と前記一または他の電
解槽の対極との間に交流が流れない時間が0.6秒以下
になるように前記電解槽を配設することが好ましい。
【0020】前記平版印刷版用支持体の製造方法によっ
て得られる平版印刷版用支持体は、表面のハニカムピッ
トの均一性に特に優れているから、平版印刷原版の支持
体として特に好適である。
【0021】請求項5に記載の発明は、前記粗面化工程
において、前記アルミニウム板にアルカリ性水溶液を接
触させて1回目のエッチング処理を施し、前記1回目の
エッチング処理が施されたアルミニウム板に前記交流電
解粗面化処理を施し、前記交流電解粗面化処理を施した
アルミニウム板にアルカリ性水溶液を接触させて2回目
のエッチング処理を施す平版印刷版用支持体の製造方法
に関する。
【0022】前記平版印刷版用支持体の製造方法におい
ては、交流電解粗面化処理の前後にエッチング処理を行
なっているから、前記製造法で得られる平版印刷版用支
持体の粗面化面に製版層を形成した平版印刷原版は、調
子再現性に優れる。
【0023】請求項6に記載の発明は、前記1回目のエ
ッチング処理において、前記アルミニウム板を1m2
り1〜15g溶解させ、前記2回目のエッチング処理に
おいて、前記アルミニウム板を1m2当り0.01〜5
g溶解させる平版印刷版用支持体の製造方法である。
【0024】前記平版印刷版用支持体の製造方法で得ら
れる平版印刷版用支持体の粗面化面に製版層を形成した
平版印刷原版は、特に調子再現性に優れる。
【0025】請求項7に記載の発明は、前記粗面化工程
において、前記1回目のエッチング処理と前記交流電解
粗面化処理との間に、前記アルミニウム板を酸性水溶液
に接触させる1回目のデスマット処理を行い、前記2回
目のエッチング処理の後に、前記アルミニウム板を酸性
水溶液に接触させる2回目のデスマット処理を行う平版
印刷版用支持体の製造方法である。
【0026】前記平版印刷版用支持体の製造方法におい
ては、前記交流電解粗面化処理の前に1回目のデスマッ
ト処理を行なっているから、前記アルミニウム板の表面
に析出した金属間化合物および単体珪素は、前記デスマ
ット処理で除去される。したがって、前記交流電解粗面
化処理において、前記金属間化合物および単体珪素に起
因する処理むらが発生することを効果的に防止できるか
ら、表面に特に均一なハニカムピットが形成された平版
印刷版用支持体が得られる。
【0027】さらに、2回目のエッチングの後に2回目
のデスマット処理を行なうことにより、前記1回目のデ
スマット処理で除去できなかった前記アルミニウム板の
表面の金属間化合物および単体珪素が除去できる。
【0028】したがって、前記製造方法で得られた平版
印刷版用支持体の粗面化面に製版面を形成することによ
り、特に耐過酷インキ汚れ性に優れ、ブラン汚れが生じ
難い平版印刷原版が得られる。
【0029】請求項8に記載の発明は、前記粗面化工程
において、前記1回目のエッチング処理の前に、前記ア
ルミニウム板の少なくとも一方の面を機械的に粗面化す
る機械的粗面化処理を施す平版印刷版用支持体の製造方
法である。
【0030】前記平版印刷版用支持体の製造方法におい
ては、前記アルミニウム板に機械的粗面化処理を施して
から、1回目のエッチング処理、交流電解粗面化処理、
および2回目のエッチング処理を施しているから、水−
インキバランス性に優れた平版印刷原版の支持体になる
平版印刷版用支持体が得られる。
【0031】請求項9に記載の発明は、前記粗面化工程
において少なくとも一方の面を粗面化したアルミニウム
板を陽極酸化処理して前記アルミニウム板の表面に陽極
酸化皮膜を形成する陽極酸化工程を有する平版印刷版用
支持体の製造方法である。
【0032】陽極酸化皮膜は、緻密であり、しかも硬度
が高いから、前記平版印刷版用支持体の製造方法で得ら
れた平版印刷版用支持体は、粗面化面の耐久性に優れ
る。
【0033】請求項10に記載の発明は、前記陽極酸化
工程において、前記陽極酸化処理れたアルミニウム板の
表面を親水化する親水化処理を行なう平版印刷版用支持
体の製造方法に関する。
【0034】前記平版印刷版用支持体の製造方法で得ら
れた平版印刷版用支持体は、陽極酸化皮膜と製版層との
間の密着性に優れる。
【0035】請求項11に記載の発明は、前記陽極酸化
工程において、前記陽極酸化処理されたアルミニウム板
の表面に形成された陽極酸化皮膜における小孔を封ずる
封孔処理を行なう平版印刷版用支持体の製造方法であ
る。
【0036】前記平版印刷版用支持体の製造方法で得ら
れた平版印刷版用支持体は、陽極酸化皮膜の表面欠陥が
特に少ないから、前記平版印刷版用支持体の粗面化面に
製版層を形成することにより、耐過酷インキ汚れ性に優
れた平版印刷原版が得られる。
【0037】請求項12に記載の発明は、前記アルミニ
ウム板は、アルミニウムの含有量が95〜99.4重量
%であり、珪素の含有量が0.15〜1重量%である平
版印刷版用支持体の製造方法に関する。
【0038】再生アルミニウム地金としては、Siが多
いものとMnが多いものとが一般的である。
【0039】前記平版印刷版用支持体の製造方法は、S
iの多い再生アルミニウム地金から製造されたアルミニ
ウム板に、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法を適
用した例である。
【0040】請求項13に記載の発明は、前記アルミニ
ウム板は、アルミニウム含有量が95〜99.4重量%
であり、マンガンの含有量が0.1〜1.5重量%であ
る平版印刷版用支持体の製造方法に関する。
【0041】前記平版印刷版用支持体の製造方法は、M
nの多い再生アルミニウム地金から製造されたアルミニ
ウム板に、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法を適
用した例である。
【0042】請求項14に記載の発明は、請求項1〜1
3の何れか1項に記載の平版印刷版用支持体の製造方法
によって製造されたことを特徴とする平版印刷版用支持
体に関する。
【0043】前記平版印刷版用支持体の粗面化面に感光
性または感熱性の製版層を形成することにより、過酷イ
ンキ汚れやブラン汚れが生じ難い平版印刷原版が得られ
る。
【0044】請求項15に記載の発明は、請求項14に
記載の平版印刷版用支持体における粗面化された側の面
に、感光性または感熱性の製版層を形成してなることを
特徴とする平版印刷原版に関する。
【0045】前記平版印刷原版は、過酷インキ汚れやブ
ラン汚れが生じ難いという特長を有する。
【0046】
【発明の実施の形態】1.アルミニウム板 本発明において使用されるアルミニウム板としては、公
知の平版印刷版用支持体に使用されるアルミニウム圧延
板のほか、スクラップ材およびリサイクル材などの再生
アルミニウム地金から形成したシートまたは板材が挙げ
られる。
【0047】前記アルミニウム圧延板としては、たとえ
ばJIS A−1050材、JISA−1100材など
の純アルミニウム材の圧延板、およびJIS A−30
03材、JIS A−3103材、JIS A−500
5材などのアルミニウム合金材の圧延板などが挙げられ
る。
【0048】前記スクラップ材などの再生アルミニウム
地金は、前述のように、Fe、Si、Cu、Mg、M
n、Zn、Cr、およびTiなどの各種の元素を含んで
いてもよいが、アルミニウムの含有量が99.4〜95
重量%の範囲であることが好ましい。
【0049】Feの含有率は0.3〜1.0重量%であ
るのが好ましい。Feは新地金においても0.1〜0.
2重量%前後含有される元素で、アルミニウム中に固溶
する量は少なく、殆どが金属間化合物として残存する。
Feの含有率が前記範囲であるアルミニウム板は、圧延
途中に割れが発生し難く、しかも安価であるから好まし
い。より好ましいFeの含有率は0.5〜1.0重量%
である。
【0050】Siの含有率は0.15〜1.0重量%で
あるのが好ましい。SiはJIS2000系、4000
系、6000系材料のスクラップに多く含まれる元素で
ある。また、新地金においても0.03〜0.1重量%
前後含有される元素であり、アルミニウム中に固溶した
状態、または、金属間化合物として存在する。Siが過
剰に含まれているアルミニウム地金を加熱すると、固溶
していたSiが単体Siとして析出することがある。単
体SiとFeSi系の金属間化合物とは、何れも耐過酷
インキ汚れ性に悪影響を与えることが知られている。し
かし、Siの含有率が前記範囲内であれば、たとえ前記
金属間化合物および単体Siが表面に析出しても、後述
する硫酸による処理(デスマット処理工程)で充分に除
去できるから、耐過酷インキ汚れ性などの点で問題が生
じることはなく、また、コスト的にも有利である。より
好ましいSiの含有率は0.3〜1.0重量%である。
【0051】Cuの含有率は0.1〜1.0重量%であ
るのが好ましい。CuはJIS2000系、4000系
材料のスクラップに多く含まれる元素であり、比較的ア
ルミニウムに中に固溶しやすい。Cuの含有率が前記範
囲内であれば、表面に析出したCuは、前記デスマット
処理により充分に除去でき、また、コスト面でも有利で
ある。より好ましいCuの含有率は0.3〜1.0重量
%である。
【0052】Mgの含有率は0.1〜1.5重量%であ
るのが好ましい。MgはJIS2000系、3000
系、5000系、7000系材料のスクラップに多く含
まれる元素である。特にcan end材に多く含まれ
るため、スクラップ材に含まれる主要な不純物金属の1
つである。Mgも比較的アルミニウム中に固溶しやす
く、Siと金属間化合物を形成する。しかし、Mgの含
有率が前記範囲内であれば、前記金属間化合物は、前記
デスマット処理で容易に除去できるから、たとえスクラ
ップ材や再生アルミニウム地金を圧延したアルミニウム
板を用いた場合においても、所謂バージン材から作製し
た平版印刷原版とほぼ同様の性能を有する平版印刷原版
が得られる。より好ましいMgの含有率は0.5〜1.
5重量%で、さらに好ましくは1.0〜1.5重量%で
ある。
【0053】Mnの含有率は0.1〜1.5重量%であ
るのが好ましい。MnはJIS3000系材料のスクラ
ップに多く含まれる元素である。特にcan body
材に多く含まれるため、スクラップ材に含まれる主要な
不純物金属の1つである。Mnも比較的アルミニウム中
に固溶しやすく、AlFeSiと金属間化合物を形成す
る。しかし、Mnの含有率が前記範囲内であれば、Si
およびMgのところで述べたのと同様の理由から好まし
い。より好ましいMnの含有率は0.5〜1.5重量
%、さらに好ましくは1.0〜1.5重量%である。
【0054】Znの含有率は0.1〜0.5重量%であ
るのが好ましい。Znは特にJIS7000系のスクラ
ップに多く含まれる元素である。比較的アルミニウム中
に固溶しやすい。しかし、Znの含有率が前記範囲内で
あれば、前記デスマット処理により、容易に除去できる
から、所謂バージン材から作製した平版印刷原版とほぼ
同様の性能を有するものが安価に得られる点で好まし
い。より好ましいZnの含有率は0.3〜0.5重量%
である。
【0055】Crの含有率は0.01〜0.1重量%で
あるのが好ましい。CrはJIS5000系、6000
系、7000系のスクラップに少量含まれる不純物金属
である。Crの含有率が前記範囲内であれば、前記デス
マット処理により充分除去できるから、耐過酷インキ汚
れ性などの点で問題になることはない。また、コスト的
にも有利である。より好ましいCrの含有率は0.05
〜0.1重量%である。
【0056】Tiの含有率は0.03〜0.5重量%で
あるのが好ましい。Tiは通常結晶微細化材として0.
01〜0.04重量%添加される元素である。JIS5
000系、6000系、7000系のスクラップには不
純物金属として比較的多めに含まれる。Tiの含有率が
前記範囲内であれば、CrおよびZnのところで述べた
のと同様の理由から好ましい。より好ましいTiの含有
率は0.05〜0.5重量%である。
【0057】本発明で用いるアルミニウム板は、例え
ば、前記アルミニウム等、スクラップ材、または再生ア
ルミニウム地金を常法で鋳造した鋳塊に、適宜圧延処理
や熱処理を施し、厚さ0.1〜0.7mmまで圧延し、
必要に応じて平面性矯正処理を施して製造される。
【0058】なお、上記アルミニウム板の製造方法とし
ては、DC鋳造法、DC鋳造法において均熱処理および
焼鈍処理の少なくとも一方を省略した方法、並びに連続
鋳造法を用いることができる。
【0059】前記アルミニウム板は、連続したシート材
または板材であるウェブであってもよく、製品として出
荷される平版印刷原版に対応した大きさに裁断された枚
葉状シートであってもよい。前記ウェブおよび枚葉状シ
ートの厚みは、通常0.1〜1mm程度であり、0.2
〜0.5mmの範囲が好ましい。
【0060】2.粗面化処理および陽極酸化処理 本発明に係る平板印刷版用支持体の製造方法において
は、前記アルミニウム板の表面を粗面化する粗面化工程
のみを行ってもよく、前記粗面化工程に加えて、前記粗
面化工程において粗面化されたアルミニウム板の表面を
陽極酸化処理する陽極酸化工程を行ってもよい。
【0061】前述のように、粗面化工程においては、特
定の組成を有する硝酸水溶液中で交流電解粗面化処理を
行うが、前記交流電解粗面化処理の前に、機械的粗面化
処理およびエッチング処理を行ってもよく、また、前記
交流電解粗面化処理の後に、再びエッチング処理を行っ
てもよい。更に、最初のエッチング処理と交流電解粗面
化処理との間、および2回目のエッチング処理の後にデ
スマット処理を行なってもよい。
【0062】前記粗面化工程に引き続いて陽極酸化工程
を行う場合には、前記粗面化工程で粗面化したアルミニ
ウム板を前記陽極酸化工程において陽極酸化処理した
後、陽極酸化皮膜を親水化する親水化処理を施したり、
前記陽極酸化皮膜の細孔を塞ぐ封孔処理を施したりして
もよい。
【0063】以下、前記粗面化工程における各粗面化処
理、および陽極酸化処理工程について詳細に説明する。
【0064】(2−1)交流電解粗面化処理 本発明に係る平板印刷版用支持体の製造方法において
は、硝酸およびアルミニウムイオンをそれぞれ5〜15
g/リットル含有し、アンモニウムイオンを10〜30
0ppm含有し、液温が50〜80℃である硝酸水溶液
中で、前記アルミニウム板に交流を印加する。
【0065】前記硝酸水溶液には、ほかに、Fe、S
i、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、およびTi等のア
ルミニウム板中に含まれる金属等が溶解していてもよ
い。
【0066】上記硝酸を主体とする酸性水溶液は、たと
えば、硝酸濃度5〜15g/リットルの希硝酸に、アル
ミニウムイオンとアンモニウムイオンとの濃度が前記範
囲になるように、硝酸アルミニウムおよび硝酸アンモニ
ウムを添加して調製できる。
【0067】前記交流電解粗面化に用いる交流電流の波
形は、サイン波、矩形波、三角波、台形波等が挙げら
れ、この中でも矩形波および台形波が好ましい。
【0068】前記交流電流の周波数は、電源装置を製作
するコストの観点から40〜120Hzが好ましい。
【0069】また、アルミニウム板が陽極になるときの
電気量、即ち陽極時電気量QAと、陰極になるときの電
気量、即ち陰極時電気量QCとの比QC/QAが0.9
〜1の範囲内であれば、該アルミニウム板表面に均一な
ハニカムピットを生成することができるから好ましい。
特に、前記QC/QAが0.95〜0.99の範囲内で
あれば好ましい。
【0070】前記交流電解粗面化処理において、補助ア
ノードを有する交流電解槽を使用する場合には、特開昭
60−43500号公報および特開平1−52098号
公報に記載されているように、前記補助アノードに分流
する電流値を制御することにより、前記QC/QAの比
率を制御することが好ましい。
【0071】前記交流電解粗面化において用いられる交
流電流のdutyは、アルミニウム板表面を均一に粗面
化する点、および電源装置の製作上の都合からは0.5
が最も好ましい。本発明でいうdutyとは、交流電流
の周期Tにおいて、アルミニウム板が陽極反応する時間
(アノード反応時間)をtaとしたときのta/Tをい
う。
【0072】カソード反応時のアルミニウム板表面に
は、水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分が生
成し、更に、酸化被膜の溶解や破壊が発生することがあ
る。そして、前記酸化皮膜の溶解や破壊が生じると、前
記溶解や破壊が生じた部分は、次のアルミニウム板のア
ノード反応時におけるピッティング反応の開始点とな
る。したがって、交流電流のdutyの選択は均一な交
流電解粗面化を行なう点から特に重要である。
【0073】前記交流電流における電流値が0から正ま
たは負のピークに達するまでの立ち上がり時間Tpは、
前記交流電流が台形波である場合において、0.01〜
0.3ミリ秒の範囲が好ましい。上記立ち上がり時間T
pが前記範囲内であれば、前記アルミニウム板の表面
に、より均一なハニカムピットが形成される。
【0074】一方、前記交流電流におけるアノードサイ
クル側のピーク時の電流Iap、および、カソードサイ
クル側のピーク時の電流Icpは、交流電解粗面化の開
始時から終了時までに前記アルミニウム板のアノード反
応に与る電気量の総和が1〜500クーロン/cm2
なるように定めることができるが、ともに10〜200
A/dm2が好ましい。また、Icp/Iapは、0.
9〜1.5の範囲内にあることが好ましい。
【0075】前記交流電解粗面化において、交流電流の
流れない休止期間を1回以上設け、前記休止期間の長さ
を0.001秒以上0.6秒以下とすれば、ハニカム状
の細孔であるハニカムピットがアルミニウム板の表面全
体に均一に形成されるから好ましい。
【0076】前記交流電解粗面化処理においては、前記
硝酸水溶液を内部に収容し、前記アルミニウム板が内部
を通過する電解槽本体と、前記電解槽本体内部に収容さ
れた硝酸水溶液中を通過するアルミニウム板に交流を供
給する給電手段と、前記電解槽本体内部において、前記
交流電解粗面化処理時に前記アルミニウム板に向かい合
うように設けられた対極とを有する交流電解槽が使用で
きる。
【0077】前記交流電解槽としては、縦型、特公昭6
1−30036号公報に記載のフラット型、および特開
平8−300843号公報に記載のラジアル型など、各
種の交流電解槽が使用できるが、特にラジアル型交流電
解槽が好ましい。
【0078】前記ラジアル型交流電解槽としては、例え
ば、電解槽本体内部に配設され、アルミニウムウェブを
巻き掛けるドラムと、前記ドラムを取り囲むように電解
槽本体内部に形成され、絶縁体によって円筒状に結合さ
れた一対の半円筒状の電極と、前記給電手段の一例であ
り、前記電解槽本体の外部に配置され、アルミニウムウ
ェブに接触しつつ回転する給電ローラとを有するものが
挙げられる。給電ローラとしては、特公昭61−501
38号公報に記載されているように、工業用純アルミニ
ウムを用いて鋳造したローラに高温均質化処理を施し、
少なくとも表面部分のAl−Fe系晶出物を実質的にA
3Feの単一相にして耐食性を向上させたものが挙げ
られる。
【0079】(2−2)機械的粗面化処理 機械的粗面化処理においては、円柱状の胴の表面に、ナ
イロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合
成樹脂からなる合成樹脂毛などのブラシ毛を多数植設し
たローラ状ブラシにより、前記アルミニウム板の一方ま
たは両方の面を擦って粗面化することが一般的である。
但し、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを
使用してもよい。
【0080】前記ローラ状ブラシにおけるブラシ毛の長
さは、前記ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じ
て適宜定めることができるが、一般的には、10〜10
0mmの範囲である。
【0081】研磨材としては、珪砂およびパミスストー
ンが使用されるが、珪砂は、パミスストーンに比較して
硬く、壊れ難いので、アルミニウム板の表面を非常に効
率良く目立てできるから好ましい。
【0082】前記研磨材の平均粒径は、粗面化効率が高
く、しかも砂目立てピッチが狭くできる点から、3〜4
0μmの範囲が好ましく、特に、10〜30μmの範囲
が好ましい。
【0083】前記研磨材は、例えば水中に懸濁させた研
磨スラリー液として使用できる。前記研磨スラリー液に
は、他に、増粘剤、界面活性剤等の分散剤、および防腐
剤等を配合してもよい。
【0084】(2−3)エッチング処理 前記エッチング処理は、通常、前記アルミニウム板をア
ルカリ剤に接触させることにより行なわれる。
【0085】アルミニウム板をアルカリ剤に接触させる
方法としては、例えば前記アルカリ剤を収容する槽中を
連続的に通過させる方法、前記アルカリ剤を収容する槽
中に浸漬する方法、および前記アルカリ剤を前記アルミ
ニウム板の表面に噴霧する方法などがある。
【0086】前記アルカリ剤としては、苛性アルカリお
よびアルカリ金属塩の溶液等が挙げられる。前記溶液に
おける苛性アルカリおよびアルカリ金属塩の濃度は0.
01〜30重量%が好ましく、温度は20〜90℃の範
囲が好ましい。
【0087】苛性アルカリとしては、苛性ソーダおよび
苛性カリ等が挙げられる。
【0088】前記アルカリ金属塩としては、メタ珪酸ソ
ーダ、珪酸ソーダ、メタ珪酸カリ、および珪酸カリ等の
アルカリ金属珪酸塩、炭酸ソーダおよび炭酸カリ等のア
ルカリ金属炭酸塩、アルミン酸ソーダおよびアルミン酸
カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩、グルコン酸ソーダ
およびグルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩、
並びに第二燐酸ソーダ、第二燐酸カリ、第三燐酸ソー
ダ、および第三燐酸カリ等のアルカリ金属燐酸水素塩等
が挙げられる。前記アルカリ剤としては、エッチング速
度が速い点および安価である点から、苛性アルカリの溶
液、および前記苛性アルカリとアルカリ金属アルミン酸
塩との溶液が特に好ましい。
【0089】エッチング量は、0.1〜20g/m2
範囲が好ましく、1〜15g/m2の範囲が特に好まし
く、2〜10g/m2の範囲が最も好ましい。エッチン
グ時間は、5秒〜5分の範囲が好ましい。エッチング量
およびエッチング時間が前記範囲内であれば、機械的粗
面化処理で平版印刷版用支持体の表面に形成された凹凸
が適度に残存するから、非画像部における保水性が高
く、非画像部にインキが付着して所謂ブラン汚れなどの
外観不良を生じさせることのない平版印刷原版が作製で
きる平版印刷版用支持体が得られる。
【0090】前記エッチング処理は、アルミニウム板の
エッチング処理に通常に使用されるエッチング槽を用い
て行うことができる。前記エッチング槽としては、バッ
チ式および連続式の何れも使用できる。また、前記エッ
チング槽の代わりに、前記アルカリ剤をアルミニウム板
に噴霧する噴霧装置を用いてもよい。
【0091】(2−4)デスマット処理 デスマット処理は、前記エッチング処理に前記アルミニ
ウム板の表面に生じたFeなどの酸化物および水酸化物
などを主体とする黒色の粉末であるスマットを除去する
処理である。
【0092】前記デスマット処理は、通常、硫酸、硝
酸、塩酸、燐酸、およびクロム酸のうち、一種以上を含
む酸性水溶液に前記アルミニウム板を浸漬するか、また
は前記アルミニウム板の表面に前記酸性水溶液を噴霧す
ることにより、行うことができる。
【0093】前記酸性水溶液中の酸濃度は、1〜500
g/リットルが好ましい。
【0094】前記酸性水溶液中には、アルミニウムイオ
ンおよび前記アルミニウム板中のFeなどの不純物に由
来する金属イオンが溶解していてもよいが、前記アルミ
ニウムイオンおよび金属イオンの溶解量は、0.1〜1
5g/リットルが好ましい。
【0095】前記酸性溶液の液温は、20〜95℃が好
ましく、とくに30〜80℃が好ましい。
【0096】前記デスマット処理の時間は、1〜180
秒が好ましい。
【0097】前記酸性水溶液としては、前記電解粗面化
で使用された酸性水溶液を使用すれば、廃液量を削減で
きるから好ましい。
【0098】なお、前記酸性水溶液としては、酸として
主に硫酸を含有する硫酸水溶液、酸として主に硝酸を含
有する硝酸水溶液、および酸として主に塩酸を含有する
塩酸水溶液が特に好ましい。
【0099】(a)硫酸水溶液 前記硫酸水溶液中の硫酸の濃度は、250〜500g/
リットルが好ましい。液温は、60〜90℃が好まし
い。また、前記酸性水溶液のところで述べたアルミニウ
ムイオンおよび金属イオンを含有していてもよいが、ア
ルミニウムイオン濃度は、前記液温において、固形の硫
酸アルミニウムが析出しない程度であることが好まし
く、具体的には、0.1〜15g/リットルの範囲が好
ましく、特に、0.1〜10g/リットルの範囲が好ま
しい。
【0100】前記硫酸水溶液中におけるデスマット処理
時間は、1〜180秒が好ましい。とくに、前記電解粗
面化処理前にデスマット処理を行なう場合には、60〜
120秒の範囲が好ましく、後述する陽極粗面化処理前
にデスマット処理を行なう場合には、1〜10秒の範囲
が好ましい。
【0101】(b)硝酸水溶液 前記硝酸水溶液中の硝酸の濃度は、1〜20g/リット
ルの範囲が好ましい。また、硝酸アルミニウム、硝酸ナ
トリウム、および硝酸アンモニウムから選択される硝酸
塩を1種以上含有していてもよい。前記硝酸塩の含有量
は、1g〜飽和量/リットルが好ましい。更に、前記硝
酸水溶液中には、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Z
n、Cr、およびTiのイオンが含まれていてもよい。
【0102】前記硝酸水溶液としては、硝酸5〜15g
/リットル、アルミニウムイオン5〜15g/リット
ル、アンモニウムイオン10〜300ppmになるよう
に、希硝酸に硝酸アルミニウムおよび硝酸アンモニウム
を添加した溶液が最も好ましい。
【0103】液温は、40〜80℃が好ましく、50〜
70℃が最も好ましい。
【0104】(c)塩酸水溶液 前記塩酸水溶液中の塩酸の濃度は、1〜20g/リット
ルの範囲が好ましい。また、塩化アルミニウム、塩化ナ
トリウム、および塩化アンモニウムから選択される塩化
物を1種以上含有していてもよい。前記塩化物の含有量
は、1g〜飽和量/リットルが好ましい。更に、前記塩
酸水溶液中には、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Z
n、Cr、およびTiのイオンが含まれていてもよい。
【0105】前記塩酸水溶液としては、塩酸5〜15g
/リットル、アルミニウムイオン5〜15g/リット
ル、アンモニウムイオン10〜300ppmになるよう
に、希塩酸に塩化アルミニウムおよび塩化アンモニウム
を添加した溶液が最も好ましい。
【0106】液温は、10〜95℃が好ましく、30〜
50℃が最も好ましい。
【0107】(3)陽極酸化処理 陽極酸化処理においては、前記粗面化処理が施されたア
ルミニウム板を、常法に従って陽極酸化処理する。
【0108】陽極酸化処理においては、たとえば硫酸、
燐酸、蓚酸、クロム酸、およびアミドスルホン酸の少な
くとも1種を含有する電解液中で、前記アルミニウム板
に直流または脈流を印加する。
【0109】陽極酸化処理に使用される電解液として
は、前記電解液のほかに、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム
酸、およびアミドスルホン酸の少なくとも1種とアルミ
ニウムイオンとを含有するものも挙げられる。
【0110】電解液における電解質の濃度は、1〜80
重量%の範囲が好ましく、温度は、5〜70℃の範囲が
好ましい。
【0111】陽極酸化処理は、陽極酸化皮膜の量が0.
1〜10g/m2になるように行なうことが、平版印刷
版用支持体の耐磨耗性、ひいては前記平版印刷版用支持
体を支持体とする平版印刷原版の耐久性の点から好まし
く、電流密度は、0.5〜60A/dm2の範囲が好ま
しく、電圧は、1〜100Vの範囲が好ましい。電解時
間は1秒〜5分の範囲が好ましい。
【0112】前記陽極酸化処理においては、更に、前記
陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム板を、珪酸ソーダ
および珪酸カリ等のアルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬
して親水化処理するか、または、親水性ビニルポリマー
または親水性化合物を塗布して親水性の下塗り層を形成
することが好ましい。
【0113】珪酸ソーダおよび珪酸カリ等のアルカリ金
属珪酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,
714,066号明細書および米国特許第3,181,
461号明細書に記載の方法および手順に従って行なう
ことができ、前記親水性の下塗り層の形成は、特開昭5
9−101651号公報および特開昭60−14949
1号公報に記載された条件および手順に従って行なうこ
とができる。前記親水性ビニルポリマーとしては、ポリ
ビニルスルホン酸、およびスルホン酸基を有するp−ス
チレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニルモノマー
と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニ
ルモノマーとの共重合体が挙げられ、親水性化合物とし
ては、NH2基、−COOH基、およびスルホン基の少
なくとも1つを有する化合物が挙げられる。
【0114】また、前記陽極酸化皮膜を形成したアルミ
ニウム板を沸騰水、熱水、または水蒸気に接触させて前
記陽極酸化皮膜における小孔を封じる封孔処理を行なっ
ても良い。
【0115】3.平版印刷原版 本発明の平版印刷原版は、前記平版印刷版用支持体にお
ける機械的粗面化処理等を施した側の表面に感光性樹脂
を含有する感光性樹脂溶液または感熱性樹脂を含有する
感熱性樹脂溶液を塗布し、暗所で乾燥することにより形
成できる。
【0116】前記感光性樹脂溶液または感熱性樹脂溶液
の塗布方法としては、回転塗布法、ワイヤーバー法、デ
ィップ塗布法、エアーナイフ塗布法、ロール塗布法、お
よびブレード塗布法等、従来公知の方法が挙げられる。
【0117】前記製版層の形成に使用される感光性樹脂
としては、光が当たると現像液に溶けるようになるポジ
型感光性樹脂、および光が当たると現像液に溶解しなく
なるネガ型感光性樹脂が挙げられる。
【0118】ポジ型感光性樹脂としては、キノンジアジ
ド化合物およびナフトキノンジアジド化合物等のジアジ
ド化合物と、フェノールノボラック樹脂およびクレゾー
ルノボラック樹脂等のフェノール樹脂との組み合わせ等
が挙げられる。
【0119】一方、ネガ型感光性樹脂としては、芳香族
ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等のアルデヒド類と
の縮合物等のジアゾ樹脂、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、
および前記ジアゾ樹脂の有機酸塩等のジアゾ化合物と、
(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、およびポ
リウレタン等の結合剤との組み合わせ、並びに(メタ)
アクリレート樹脂およびポリスチレン樹脂等のビニルポ
リマーと、(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレン
等のビニルモノマーと、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェ
ノン誘導体、およびチオキサントン誘導体等の光重合開
始剤との組み合わせ等が挙げられる。
【0120】前記感光性樹脂溶液における溶剤として
は、前記感光性樹脂を溶解し、しかも、室温である程度
の揮発性を有する溶剤が挙げられ、具体的には、たとえ
ばアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、
エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミド系
溶剤、および炭酸エステル系溶剤等が挙げられる。
【0121】アルコール系溶剤としては、エタノール、
プロパノール、およびブタノール等が挙げられる。ケト
ン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、およ
びジエチルケトン等が挙げられる。エステル系溶剤とし
ては、酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸メチル、蟻酸エ
チル等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、テトラ
ヒドロフランおよびジオキサン等が挙げられ、グリコー
ルエーテル系溶剤としては、エチルセロソルブ、メチル
セロソルブ、およびブチルセロソルブ等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミドおよびジ
メチルアセトアミド等が挙げられる。炭酸エステル系溶
剤としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエ
チル、および炭酸ジブチル等が挙げられる。
【0122】感光性樹脂の溶液には、更に、各種着色剤
等を配合することができる。前記着色剤としては、通常
の色素のほか、露光により発色する露光発色色素、およ
び露光により殆どまたは完全に無色になる露光消色色素
等が使用できる。前記露光発色色素としては、たとえば
ロイコ色素等が挙げられる。一方、前記露光消色色素と
しては、トリフェニルメタン系色素、ジフェニルメタン
系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノ
ナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、およびアント
ラキノン系色素等が挙げられる。
【0123】前記平版印刷原版を、必要に応じて適宜の
大きさに裁断した後、露光および現像を行うか、レーザ
光線を照射して印刷画像を直接書き込むかして製版す
る。
【0124】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説
明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施例の範囲に
は限定されることはない。
【0125】(実施例1) 《平版印刷版用支持体の作製》表1に示す組成を有する
再生アルミニウム地金の溶湯を、脱ガスし、濾過した
後、DC鋳造法で鋳塊を製造した。
【0126】前記鋳塊の表面を10mm削り取り、前記
鋳塊を過熱し、均熱処理を行なうことなく、400℃で
熱間圧延し、板圧が4mmのアルミニウム合金板を得
た。
【0127】次いで、前記アルミニウム合金板を、厚み
が1.5mmになるまで冷間圧延し、焼鈍処理を行なっ
た後、再度冷間圧延を行なって厚みを0.24mmまで
減少させ、平面性を矯正してアルミニウムウェブを得
た。
【0128】
【表1】
【0129】前記アルミニウムウェブを連続的に搬送し
つつ、 (1)機械的粗面化処理、 (2)第1回目のエッチング処理 (3)第1回目のデスマット処理 (4)交流電解粗面化処理 (5)第2回目のエッチング処理 (6)第2回目のデスマット処理 (7)陽極酸化処理 を順次施した。前記処理(1)〜処理(7)のそれぞれ
が終了する毎に、ニップローラで前記アルミニウムウェ
ブの表面に付着した処理液を切り、スプレー管から水を
吹き付けて水洗を行った。
【0130】前記処理(1)〜処理(7)のうち、処理
(2)、処理(3)、処理(5)、および処理(6)
は、前記アルミニウムウェブの搬送経路である搬送面の
両側に配置した処理液スプレーから前記アルミニウムウ
ェブの両方の面に処理液を吹き付けて行った。処理液ス
プレーとしては、管に、長手方向に沿って50mmの間
隔で直径4mmの噴射孔を開けたものを使用した。前記
処理液スプレーは、前記噴射孔から前記搬送面までの距
離が50mmになるように配設した。処理時間は、前記
処理液スプレーから噴出された処理液が前記アルミニウ
ムウェブの表面に付着してから前記処理液を前記ニップ
ローラで切るまでの時間とした。
【0131】また、前記水洗も、前記搬送面の両側に配
置した水洗スプレーから前記アルミニウムウェブの両方
の面に洗浄水を吹き付けて行った。前記水洗スプレーと
しては、扇形のスプレーパターンを描くスプレーチップ
を長手方向に沿って100mm間隔で管に取り付けたも
のを用いた。前記水洗スプレーは、前記スプレーチップ
から前記搬送面までの距離が100mmになるように配
設した。
【0132】前記処理(1)〜処理(7)は、以下の条
件に従って行なった。
【0133】(1)機械的粗面化処理 研磨材スラリーとして、比重1.12の珪砂(平均粒径
25μm)を水に懸濁させた懸濁液を用い、前記アルミ
ニウムウェブの搬送方向に沿って、前記搬送面の上方に
ローラ状ブラシを3個配設した機械的粗面化装置を用い
て機械的粗面化を行なった。
【0134】ローラ状ブラシとしては、長さ50mm、
直径0.48mmの6・10ナイロンの毛を、直径30
0mmのステンレス鋼製ローラの表面に密になるように
植毛したものを用いた。
【0135】一方、前記搬送面を挟んで前記ローラ状ブ
ラシの反対側に、前記ローラ状ブラシ1個につき、直径
200mmのステンレス鋼製の支持ローラを2個づつ配
設した。前記支持ローラは、中心間の距離が300mm
になるように配設した。
【0136】ローラ状ブラシは、機械的粗面化後のアル
ミニウムウェブの平均表面粗さが0.45μmになるよ
うな圧力で前記アルミニウムウェブに押し付け、粗面化
面における回転方向が前記アルミニウムウェブの搬送方
向と同方向になるように回転させた。前記ローラ状ブラ
シを前記アルミニウムウェブに押し付ける圧力は、前記
ローラ状ブラシを回転させる駆動モータの負荷に基づい
て制御した。
【0137】なお、前記研磨材スラリーの温度と比重と
から前記研磨材スラリー中の珪砂の濃度を連続的に求
め、前記濃度が一定になるように、水および珪砂を補充
しつつ、機械的粗面化を行なった。また、機械的粗面化
において粉砕され、細粒化した珪砂は、サイクロンで連
続的に除去し、前記研磨材スラリー中の珪砂の粒度分布
がほぼ一定になるようにした。
【0138】(2)第1回目のエッチング処理 苛性ソーダおよびアルミニウムイオンをそれぞれ27重
量%および6.5重量%含有し、液温が70℃のアルカ
リ性水溶液をアルカリ剤として用い、前記アルミニウム
ウェブにおける前記機械的粗面化を施した側の面の溶解
量が8g/m2であり、前記面とは反対側の面の溶解量
が2g/m2になるように、前記アルミニウムウェブの
両面に前記アルカリ性水溶液を吹付けた。
【0139】前記アルカリ性水溶液の温度、比重、およ
び導電率と、苛性ソーダおよびアルミニウムイオンの濃
度との関係を予め求めておき、前記アルカリ性水溶液の
温度、比重、および導電率を測定して前記測定結果に基
づいて苛性ソーダおよびアルミニウムイオンの濃度を求
め、前記濃度が一定になるように、水と48重量%苛性
ソーダ溶液とを補充しつつ、前記エッチング処理を行な
った。
【0140】(3)第1回目のデスマット処理 前記エッチング処理を施したアルミニウムウェブに、液
温が70℃であり、硫酸を300g/リットル含有し、
アルミニウムイオンを2g/リットル含有する硫酸水溶
液をスプレーで2秒間吹き付けた。
【0141】(4)交流電解粗面化処理 前記交流電解粗面化処理においては、硝酸の濃度が10
g/リットルになり、アルミニウムイオンの濃度が10
g/リットルになり、アンモニウムイオンの濃度が14
0ppmになるように、濃度10g/リットルの希塩酸
に硝酸アルミニウムと硝酸アンモニウムとを配合した硝
酸水溶液中で、アルミニウムウェブに交流を印加した。
前記硝酸水溶液の液温は55℃であった。
【0142】交流電解槽としては、「(2−1)交流電
解粗面化処理」のところで説明したラジアル型交流電解
槽における電解槽本体の底部に給液ノズルを設けたもの
を用いた。
【0143】前記交流は、前記アルミニウムウェブが、
前記交流電解槽を通過する間にアノード反応に与る電気
量が200クーロン/dm2になるように印加した。
【0144】前記交流電解槽に印加した交流は、周波数
が60Hzであり、立ち上がり時間Tpが0.2ミリ秒
である台形波であり、アノードサイクル側のピーク時の
電流Iap、および、カソードサイクル側のピーク時の
電流Icpは、ともに50A/dm2であり、Icp/
Iapは、1.0であった。dutyは0.5であっ
た。
【0145】前記交流電解槽における電解休止時間は、
給液ノズル部分において0.5秒であり、絶縁体におい
て0.017秒であった。
【0146】前記交流電解槽中の硝酸水溶液の温度、導
電率、および超音波伝播速度から、硝酸、アルミニウム
イオン、およびアンモニウムイオンの濃度を求め、前記
濃度が一定になるように、硝酸の濃度が67重量%の濃
硝酸と水とを、前記給液ノズルから、通電量に応じて添
加し、余剰の硝酸水溶液をオーバーフローさせることに
より、前記交流電解槽中の硝酸、アルミニウムイオン、
およびアンモニウムイオンの濃度を一定に保持した。
【0147】(5)第2回目のエッチング処理 苛性ソーダおよびアルミニウムイオンを、それぞれ26
重量%および6.5%含有し、液温が45℃のアルカリ
性水溶液を用い、前記アルミニウムウェブの溶解量が1
g/m2になるように、前記アルミニウムウェブの両面
に吹付けた。
【0148】前記アルカリ性水溶液中の苛性ソーダおよ
びアルミニウムイオンの濃度は、第1回目のエッチング
処理(2)のときと同様な方法で制御した。
【0149】(6)第2回目のデスマット処理 前記アルミニウム板の両面に、第1回目のデスマット処
理(3)で使用されたものと同様の硫酸水溶液をスプレ
ーで10秒間吹き付けた。
【0150】前記硫酸水溶液中の硫酸およびアルミニウ
ムイオンの濃度と、前記硫酸水溶液の温度、比重、およ
び導電度との関係を予め求めておき、前記温度、比重、
および導電度を測定して、前記測定結果に基づき、水と
硫酸濃度が50重量%の濃硫酸とを前記硫酸水溶液に添
加して硫酸およびアルミニウムイオンの濃度を一定に保
持した。
【0151】(7)陽極酸化処理 硫酸およびアルミニウムイオンを、それぞれ100g/
リットルおよび5g/リットル含有し、液温が50℃の
硫酸水溶液を用い、陽極酸化皮膜の量が2.4g/m2
になるように、前記第2回目のデスマット処理(6)を
施したアルミニウム板に直流を印加した。
【0152】前記硫酸水溶液中における硫酸およびアル
ミニウムイオンの濃度の制御は、前記第2回目のデスマ
ット処理(6)と同様に行った。
【0153】《平版印刷原版の作製》前記手順に従って
得られた平版印刷版用支持体における粗面化処理を施し
た側の面に下塗層、および感光性樹脂溶液を塗布して乾
燥させて感光性の製版層を形成することにより、乾燥膜
厚が2.0g/m2のポジ型の平版印刷原版を作製し
た。
【0154】前記平版印刷原版に画像を焼き付けて現像
し、平版印刷版を作製した。
【0155】前記平版印刷版の非画像部を走査型電子顕
微鏡で観察したところ、均一なハニカム状ビットが形成
されているのが認められた。
【0156】《評価》前記平版印刷版を用いて印刷を行
った。印刷後における平版印刷版の表面の汚れ具合を目
視によって観察し、耐汚れ性を評価した。結果を表3に
示す。
【0157】(比較例1)実施例1において、第1回目
のデスマット処理(3)を、硝酸濃度が10g/リット
ルであり、液温が40℃である硝酸水溶液中で行った。
【0158】また、交流電解粗面化処理(4)において
は、実施例1で使用したのと同様のラジアル型交流電解
槽を直列に2台配列して交流電解を行った。
【0159】硝酸水溶液としては、硝酸濃度およびアル
ミニウムイオン濃度がそれぞれ10g/リットルおよび
5g/リットルであり、液温が40℃のものを用いた。
【0160】また、前記ラジアル型交流電解槽におい
て、カーボン対極と前記アルミニウムウェブとの間に
は、交流として、立ち上がり時間Tpが1.5ミリ秒の
台形波を印加した。
【0161】前記アルミニウムウェブが、前記2台のラ
ジアル型交流電解槽の間を通過する時間は10秒間であ
り、この間は、前記アルミニウムウェブには交流電流は
流れなかった。
【0162】なお、最初および2番目の交流電解槽の何
れにおいても、前記アルミウムウェブが前記交流電解槽
を通過する間にアノード反応に与る電気量が100クー
ロン/dm2になるように交流電流を印加した。
【0163】これらの諸点を除いては、実施例1と同様
の手順および条件に従って平版印刷版支持体を作製し、
前記平版印刷版支持体の粗面化面に製版層を形成して平
版印刷原版を作製した。
【0164】前記平版印刷原版に画像を焼き付けて現像
し、平版印刷版を作製した。
【0165】前記平版印刷版の非画像部を走査型電子顕
微鏡で観察したところ、実施例1に比較して明らかに不
均一なハニカム状ビットが形成されているのが認められ
た。
【0166】更に、表3に示す結果からも明らかなよう
に、印刷後の前記平版印刷版の非画像部は、付着したイ
ンキによって著しく汚れていた。
【0167】(実施例2)実施例1と同様の手順に従っ
て作製した平版印刷版用支持体を、沸騰した純水中に通
して陽極酸化皮膜に存在する細孔を封じる封孔処理を行
なった。
【0168】前記封孔処理を行なった平版印刷版用支持
体を、液温が70℃であり、珪酸ソーダの濃度が2.5
重量%の珪酸ソーダ水溶液に14秒間浸漬して親水化処
理した。
【0169】なお、前記珪酸ソーダ水溶液については、
珪酸ソーダの濃度と、液温および導電率との関係を求
め、前記珪酸ソーダ水溶液の液温と導電率とを測定して
珪酸ソーダの濃度を求め、前記珪酸ソーダの濃度が一定
になるように水と3号珪酸ソーダ原液とを添加した。
【0170】親水化処理後の平版印刷版用支持体の表面
に、実施例1と同様にして製版層を形成し、平版印刷原
版を作製した。そして、前記平版印刷原版の製版層に画
像を形成して平版印刷版を形成した。
【0171】前記平版印刷版の非画像部を走査型電子顕
微鏡で観察したところ、均一なハニカム状ビットが形成
されているのが認められた。
【0172】前記平版印刷版の印刷特性を、実施例1と
同様の手順で評価したところ、良好であることが判っ
た。結果を表3に示す。
【0173】(実施例3)実施例1と同様の手順に従っ
て作製した平版印刷版用支持体を、液温が70℃であ
り、珪酸ソーダの濃度が2.5重量%の珪酸ソーダ水溶
液に5秒間浸漬して親水化処理し、その後、スプレーで
水洗し、乾燥した。
【0174】乾燥後の平版印刷版用支持体の表面に、実
施例1と同様にして製版層を形成し、平版印刷原版を作
製した。そして、前記平版印刷原版の製版層に画像を形
成して平版印刷版を形成した。 前記平版印刷版の非画
像部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、均一なハニ
カム状ビットが形成されているのが認められた。
【0175】前記平版印刷版の印刷特性を、実施例1と
同様の手順で評価したところ、実施例1および2と同様
に良好であることが判った。結果を表3に示す。
【0176】(実施例4)実施例1と同様の手順に従っ
て作製した平版印刷版用支持体を、液温が70℃である
ポリビニルスルホン酸の1.5重量%水溶液に5秒間浸
漬して親水化処理した。
【0177】前記水溶液中のポリビニルスルホン酸の濃
度と、前記水溶液の温度および導電率との関係を予め求
めておき、前記水溶液の液温と導電率とを測定してポリ
ビニルスルホン酸の濃度を求め、前記濃度が一定になる
ように水とポリビニルスルホン酸原液とを添加した。
【0178】前記親水化処理後の平版印刷版用支持体を
スプレーで水洗し、乾燥した。
【0179】乾燥後の平版印刷版用支持体の表面に、実
施例1と同様にして製版層を形成し、平版印刷原版を作
製した。そして、前記平版印刷原版の製版層に画像を形
成して平版印刷版を形成した。
【0180】前記平版印刷版の非画像部を走査型電子顕
微鏡で観察したところ、均一なハニカム状ビットが形成
されているのが認められた。
【0181】前記平版印刷版の印刷特性を、実施例1と
同様の手順で評価したところ、実施例1および2と同様
に良好であることが判った。結果を表3に示す。
【0182】(実施例5)アルミニウム板として、下記
の表2に示す組成を有する再生アルミニウム地金から作
製したものを用い、実施例1における処理(1)〜処理
(7)のうち、機械的粗面化処理(1)を行わなかった
以外は、実施例1と同様の手順に従って平版印刷版用支
持体を作製した。
【0183】
【表2】
【0184】前記平版印刷版用支持体の表面を走査型電
子顕微鏡で観察したところ、均一なハニカムピットの生
成が認められた。
【0185】前記平版印刷版用支持体の粗面化面に、実
施例1と同様の手順で製版層を形成して平版印刷原版を
得、前期平版印刷原版に画層を焼き付けて現像して平版
印刷原版を得た。
【0186】前記平版印刷原版の印刷特性を実施例1と
同様の手順で評価したところ、印刷性能が良好で、非画
像部が、インキで酷く汚れることがなかった。結果を表
3に示す。
【0187】
【表3】
【0188】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
再生アルミニウム地金から製造されたアルミニウム板を
用いた場合にも、耐過酷インキ汚れ性に優れ、ブラン汚
れが生じることがなく、耐刷性に優れた平版印刷原版が
得られる平版印刷版用支持体を製造できる平版印刷版用
支持体の製造方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25F 3/04 C25F 3/04 C B 7/00 7/00 D G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/09 501 7/09 501 (72)発明者 澤田 宏和 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA00 AA12 AB03 DA18 EA01 2H096 AA00 AA07 CA03 CA20 LA16 2H114 AA04 AA14 AA22 AA23 AA24 BA01 BA10 EA02 EA09 FA04 FA17 GA06 GA08 GA09

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板の少なくとも一方の面
    を粗面化する粗面化工程を有してなり、 前記粗面化工程において、硝酸およびアルミニウムイオ
    ンをそれぞれ5〜15g/リットル含有し、アンモニウ
    ムイオンを10〜300ppm含有し、液温が50〜8
    0℃である硝酸水溶液中で、前記アルミニウム板を交流
    電解粗面化処理することを特徴とする平版印刷版用支持
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記交流電解粗面化処理において、前
    記アルミニウム板に印加する交流は、前記アルミニウム
    板が陽極であるときの電気量QAと前記アルミニウム板
    が陰極であるときの電気量QCとの比QA/QCが0.
    9〜1であり、dutyが0.5であり、周波数が40
    〜120Hzである請求項1に記載の平版印刷版用支持
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記交流電解粗面化処理において、前
    記アルミニウム板に印加する交流は、立ち上がり時間T
    pが0.01〜0.3ミリ秒であり、また、前記交流が
    流れない期間である0.001秒以上0.6秒以下の休
    止期間を設けてなる請求項1または2に記載の平版印刷
    版用支持体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記交流電解粗面化処理においては、 前記硝酸水溶液を内部に収容し、前記アルミニウム板が
    内部を通過する電解槽本体と、前記アルミニウム板に交
    流を供給する給電手段と、前記電解槽本体内部におい
    て、前記交流電解粗面化処理時に前記アルミニウム板に
    向かい合うように設けられた対極とを有し、前記アルミ
    ニウム板と前記対極との間に交流電流を流して交流電解
    を行う交流電解槽を用い、 前記アルミニウム板と前記対極との間に交流電流の流れ
    ない休止期間を1回以上設け、前記休止期間の長さを、
    0.001秒〜0.6秒/回とする請求項1〜3の何れ
    か1項に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記粗面化工程においては、前記アル
    ミニウム板にアルカリ性水溶液を接触させて1回目のエ
    ッチング処理を施し、 前記1回目のエッチング処理が施されたアルミニウム板
    に前記交流電解粗面化処理を施し、 前記交流電解粗面化処理を施したアルミニウム板にアル
    カリ性水溶液を接触させて2回目のエッチング処理を施
    す請求項1〜4の何れか1項に記載の平版印刷版用支持
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記1回目のエッチング処理において
    は、前記アルミニウム板を1m2当り1〜15g溶解さ
    せ、前記2回目のエッチング処理においては、前記アル
    ミニウム板を1m2当り0.01〜5g溶解させる請求
    項5に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記粗面化工程においては、前記1回
    目のエッチング処理と前記交流電解粗面化処理との間
    に、前記アルミニウム板を酸性水溶液に接触させる1回
    目のデスマット処理を行い、前記2回目のエッチング処
    理の後に、前記アルミニウム板を酸性水溶液に接触させ
    る2回目のデスマット処理を行う請求項5または6に記
    載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記粗面化工程において、前記1回目
    のエッチング処理の前に、前記アルミニウム板の少なく
    とも一方の面を機械的に粗面化する機械的粗面化処理を
    施す請求項5〜7の何れか1項に記載の平版印刷版用支
    持体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記粗面化工程において少なくとも一
    方の面を粗面化したアルミニウム板を陽極酸化処理して
    前記アルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽
    極酸化工程を有する請求項1〜8の何れか1項に記載の
    平版印刷版用支持体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記陽極酸化工程において、前記陽極
    酸化処理されたアルミニウム板の表面を親水化する親水
    化処理を行なう請求項9に記載の平版印刷版用支持体の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 前記陽極酸化工程において、前記陽極
    酸化処理されたアルミニウム板の表面に形成された陽極
    酸化皮膜における小孔を封ずる封孔処理を行なう請求項
    9または10に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記アルミニウム板は、アルミニウム
    の含有量が95〜99.4重量%であり、珪素の含有量
    が0.15〜1重量%である請求項1〜11の何れか1
    項に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記アルミニウム板は、アルミニウム
    の含有量が95〜99.4重量%であり、マンガンの含
    有量が0.1〜1.5重量%である請求項1〜12の何
    れか1項に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13の何れか1項に記載の
    平版印刷版用支持体の製造方法によって製造されたこと
    を特徴とする平版印刷版用支持体。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の平版印刷版用支持
    体における粗面化された側の面に、感光性または感熱性
    の製版層を形成してなることを特徴とする平版印刷原
    版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103966654A (zh) * 2014-05-16 2014-08-06 大连理工大学 一种在铝合金基底上实现水滴定向运输的方法

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