JP2002154269A - インクジェット記録用シート - Google Patents

インクジェット記録用シート

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JP2002154269A
JP2002154269A JP2000354878A JP2000354878A JP2002154269A JP 2002154269 A JP2002154269 A JP 2002154269A JP 2000354878 A JP2000354878 A JP 2000354878A JP 2000354878 A JP2000354878 A JP 2000354878A JP 2002154269 A JP2002154269 A JP 2002154269A
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Japan
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ink jet
water
jet recording
recording sheet
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Application number
JP2000354878A
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English (en)
Inventor
Yuichi Wakata
裕一 若田
Ryoichi Nakano
良一 中野
Mizuki Yamamoto
瑞木 山本
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ひび割れ等が発生せず、表面光沢性及びイン
ク吸収性に優れ、高濃度な画像を形成でき、発色性が良
好で画像の耐光性・耐水性・耐ガス性に優れ、保存後の
経時ニジミの発生を抑制したインクジェット記録用シー
トを提供する。 【解決手段】 下記式(1)および式(2)で表される
単位のうち少なくとも1つを有する重合体と下記式
(3)で表される化合物との反応物を含むことを特徴と
するインクジェット記録用シート。 【化1】 [式(3)中、Yはアミノ基と化学反応して結合を形成
する基、Z1はN−Xを含む3員環以上の置換基を有し
ていてもよい含窒素複素環を形成可能な原子群を表す。
また、Xは、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ
基、オキシラジカル基、ヒドロキシル基、または、加水
分解によってイミノ基若しくはヒドロキシルイミノ基を
生成する基を表す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インク、油性
インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液
状化させた後、印画に供する固体状インク等を用いたイ
ンクジェット記録用シートに関し、詳しくは、インク受
容性能に優れ、かつ受像部の刑事でのニジミ、褪色が少
ないインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報産業の急速な発展に伴い、種
々の情報処理システムが開発されている。これに伴っ
て、それぞれの情報システムに適した記録方法や装置も
開発され、実用化されてきている。このような記録方法
の中で、インクジェット記録方法は、種々の記録材料に
記録できること、ハードが比較的安価であること、コン
パクトであること、さらに静粛性が高いこと等によっ
て、オフィスではもちろん、いわゆるホームユースにお
いても広く用いられてきている。また、近年のインクジ
ェットプリンターの高解像度化に伴い、いわゆる写真ラ
イクな高画質記録物を得ることが可能となってきた。そ
して、ハード(装置)の発展に伴ってインクジェット記
録用の記録シートも各種開発されてきている。
【0003】上記記録シートに要求される特性は一般的
に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大き
いこと)、(2)インクドットの径が適正で均一である
こと(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好である
こと、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度
が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこ
と)、(7)印画部の耐光性、耐水性が良好なこと、
(8)長期間保存しても画像にニジミや褪色が生じない
こと、(9)記録シートの白色度が高いこと、(10)
記録シートの保存性が良好なこと、(11)変形・寸法
安定性が良好であること(カールが十分に小さいこ
と)、(12)ハード走行性が良好であること等が挙げ
られる。さらに、いわゆる写真ライクな高画質記録物を
得るために用いられるフォト光沢紙の用途では、上記に
付け加えて、光沢性、表面の平滑性、銀塩写真に類似し
た印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】インクジェット記録に用いられる記録用シ
ートとしては、例えば、特開昭55−51583号公
報、同55−144172号公報、同55−15039
5号公報、同56−148582号公報、同56−14
8583号公報、同56−148584号公報、同56
−148585号公報、同57−14091号公報、同
57−38185号公報、同57−129778号公
報、同57−129979号公報、同60−21908
4号公報、同60−245588号公報等に記載されて
いる、シリカ等の顔料と水溶性バインダーとを、紙また
はプラスチックフイルム等からなる支持体上に塗布した
ものが知られている。しかしながら、これらに提案され
ている記録シートは、いずれも光沢性が非常に低く、フ
ォト光沢紙の用途としては不十分であった。
【0005】また、特開平2−276670号公報、同
3−215082号公報、同3−281383号公報、
同6−199035号公報等には、擬ベーマイトゾルと
水溶性バインダーとを用いた記録用シートが提案されて
いる。これらの記録シートは、光沢性の点である程度の
要求特性を満たすものではあるが、擬ベーマイト粒子の
製造コストが高い点、塗布液の調製が困難な点等の課題
が存在する。
【0006】さらに、特開平4−223190号公報で
は、硼砂または硼酸を0.1g/m 2以上塗工してなる
基紙に、5〜20g/m2の合成シリカ、およびポリビ
ニルアルコール(PVA)からなる記録層が設けられた
インクジェット記録用紙が提案されている。上記技術
は、単にバインダ含有量が少ない記録層の塗膜強度を向
上させることを目的としたものであり、光沢性の点で劣
るため、フォト光沢紙の用途としては不十分であった。
【0007】また、光沢性を得るために各種水溶性ポリ
マーを用いた記録材料が提案されている。例えば、特開
昭58−89391号公報、同58−134784号公
報、同58−134786号公報、同60−44386
号公報、同60−132785号公報、同60−145
879号公報、同60−168651号公報、同60−
171143号公報等に記載の、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、またはゼラチン等を紙また
はプラスチックフイルム等の支持体上に塗布したものが
知られている。これらの記録シートも光沢性の点では優
れるがインク速乾性の点で劣るため、フォト光沢紙の用
途としては不十分であった。
【0008】他方、特開平7−276789号公報、同
8−174992号公報、同11−115308号公
報、同11−192777号公報等では、上述のインク
ジェット記録用シートの要求特性、製造コストを満足す
るインクジェット記録用シートが提案されている。上記
特開平7−276789号公報では、無機顔料微粒子お
よび水溶性樹脂によって形成され、高い空隙率を持った
三次元構造を有する色材受容層が、支持体上に設けられ
た記録用シートが提案されている。この構成によれば、
上述のインク吸収性が向上し、印画時の混色ニジミが十
分に抑制され、解像度の高い画像を得ることができると
されている。この色材受容層は、一般に、小粒径の粒子
を多量に含有させて形成できるが、層形成のバインダー
量を空隙が形成できるように少なくする必要があるた
め、塗布層を急激に乾燥させるとひび割れが発生し、色
材受容層の透明性および外観が損なわれるといった欠点
があった。
【0009】一方、インク受容層のひび割れを防止する
方法としては、特開平9−109545号公報では、塗
布液のバインダーの粘度を比較的高くする方法が提案さ
れているが、この方法では、作業性の低下や塗布ムラが
発生する等のおそれがあり、実用上有効であるレベルに
は至っていない。また、特開平7−76161号公報、
同10−119423号公報では、無機粒子、ポリビニ
ルアルコール(PVA)、ホウ酸若しくはホウ酸塩から
なる塗布液を用いるひび割れ防止方法が開示されている
が、この方法の場合も、塗布液の粘度が上昇するため作
業性の低下が大きく、液の経時安定性にも問題があり、
実用上有効なレベルには至っていない。
【0010】上記特開平10−119423号公報、ま
たは同10−217601号公報等では、微細な無機顔
料粒子および水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を持つ色
材受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用
シートが提案されている。上記各インクジェット記録用
シートは、その構成からインク吸収性に優れ、高解像度
の画像を形成しうる高いインク受容性能を有し、かつ高
光沢を示す。しかしながら、光沢性と風合いの観点か
ら、支持体としてその両側の表面にポリエチレン等の樹
脂コートが施された支持体を用いるため、色材受容層中
に含まれる高沸点溶媒が蒸発せず、また該溶媒が支持体
に吸収されない。このため、色材受容層中にそのまま高
沸点溶媒が残存し、印画後、高温高湿環境下に長時間保
存されると、色材受容層中で該溶媒が染料と共に拡散し
て、経時による画像のニジミ(以下、「経時ニジミ」と
いうことがある。)を生ずるという問題があった。
【0011】また、インクジェット記録用シートには、
インク中の染料成分を固定化する目的でアミノ基やアン
モニウム塩を有する化合物、特にこれらを有する高分子
化合物を添加することが広くおこなわれている。例え
ば、特開昭60−83882号公報、同64−7528
1号公報、同59−20696号公報等に記載されるジ
アリルアンモニウム塩誘導体の(共)重合体、特開昭6
1−61887号公報、同61−72581号公報等に
記載されるアリルアミン塩共重合体、特開平6−340
163号公報、同4−288283号公報、同9−30
0810号公報、同8−318672号公報、同10−
272830号公報、特開昭63−115780号公報
等に記載のアンモニウム塩を有する(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリルアミド系(共)重合体、ビニルベ
ンジルアンモニウム塩(共)重合体等のビニル(共)重
合体、特開平10−44588号公報等に記載の変性ポ
リビニルアルコール(PVA)、特開平6−23426
8号公報、同11−277888等に記載のアミン・エ
ピクロルヒドリン重付加体、特開平10−119418
号公報等に記載のジハライド・ジアミン重付加体、特開
平11−58934号公報、同11−28860等に記
載のポリアミジン、同12−71603号公報などに記
載のアリルアミン塩酸塩、アリルアミン、ジアリルジメ
チルアンモニウム塩等の重合体など多くの化合物が用い
られている。これらの化合物を用いることで染料の固定
化を図り、ニジミの防止がなされている。
【0012】しかしながら、これらの高い空隙率を持つ
色材受容層を有するインクジェット記録シートはインク
吸収性、高光沢性といった長所を有し、経時ニジミも改
良されつつあるが、印画された画像を長期間に渡って保
存すると画像が褪色してしまうという問題点が有る。こ
の問題の中には従来から着目されている光による褪色
(耐光性と称する)のほかに、オゾンやNOx、SOx
等のガスによる褪色(従来の画像堅牢性と区別するため
に以下、「耐ガス性」と称する。)という問題も有る。
【0013】画像の堅牢性を高めようとする試みは各種
の方法が知られている。例えば特開平8−174990
号公報、同7−183242、同7−216502、特
開2000−154497号公報に記載されているよう
なUV吸収剤を含む媒染剤を用いる方法、あるいは特開
2000−108500号公報の様に水溶性のUV吸収
剤を用いる方法が知られている。これらの方法は耐光性
の向上には確かに効果が認めれるが、耐ガス性の向上は
認められなかった。
【0014】また、特開平10−235992号公報に
はカチオン型ポリマーを与えるモノマーとUV吸収活性
あるいは光安定性を有する部位を有するモノマーとの共
重合体を用いる方法が記載されている。この光安定性を
有する部位としてテトラメチルピペリジンの様なヒンダ
ードアミン系化合物部位が開示されており、共重合成分
としてアリルアミン系の化合物についても記載されてい
る。しかしながらこの場合、これらの部位の導入につい
ては該部位を有するモノマー((メタ)アクリレートな
ど)を共重合で導入しているものであり、また、ヒンダ
ードアミン系化合物の窒素上の置換基は水素、炭素数1
〜6のアルキルに限定されている。このため、これらの
効果も耐光性に限られており、耐ガス性に関しては十分
とはいえなかった。
【0015】特開平10−29369号公報には3級ア
ミノ基あるいは4級アンモニウム塩を含有する繰り返し
単位と一重項酸素消光基あるいはUV吸収基を含有する
繰り返し単位を有する重合体を用いる方法が記載されて
いる。しかしながらこの場合も耐光性に関しての効果は
認められるが、耐ガス性に対しての効果は不充分であっ
た。またこの場合には3級アミノ基あるいは4級アンモ
ニウム塩含有する繰り返し単位が必須成分であった。
【0016】特開2000−226544号公報には一
定値以上の一重項酸素クエンチ速度を有する化合物を含
む方法が記載されている。しかしながらこの場合も耐光
性の向上は可能であるが、耐ガス性に関しては十分な効
果が得られない。また特開2000−158802号公
報にはUV吸収剤と酸化防止剤とを含む方法が記載され
ている。さらに酸化防止剤としてヒンダードアミン系化
合物も例示されている。しかしながらこの場合はゼラチ
ンを必須成分としており多孔質構造も有しておらず、イ
ンク受容性等で劣っていた。これに対して特開平11−
314451号公報ではベンゾトリアゾール系UV吸収
剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤を側鎖
に有する水溶性カチオンポリマーを用いる方法が開示さ
れている。しかしながら、ヒンダードアミン系化合物の
窒素上の置換基は水素、またはメチル基に限定されてお
り、耐ガス性の向上は不十分であった。このように、上
述に挙げたものによっては耐光性の向上は可能である
が、耐ガス性に関しては十分な効果が得られなかった。
【0017】また、特開2000−203149号公報
には特定の化合物、およびこれとポリマーの反応物をイ
ンクジェット記録媒体に用いることが記載されている。
しかしながら、この場合には耐ガス性に関する記載はな
く、特定の化合物中、どの化合物のみが耐ガス性に特に
有効であるといった効果を容易に類推することはできな
い。
【0018】この様にインクジェット記録用紙につい
て、ひび割れ等の発生がなく強固で、かつ高い表面光沢
性を有すると共に、良好なインク吸収性を有し、高解像
度で高濃度な画像を形成でき、発色性が良好であり、画
像部の耐光性、耐水性、耐ガス性に優れ、かつ高温高湿
度環境下に長時間保存された場合でも経時ニジミが生じ
ないインクジェット用記録シートは知られていない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、本発明は、耐ガス性に優れ、印画後高
温高湿度環境下に長時間保存された場合でも、経時ニジ
ミを生ずることなく、安定に画像を保持し得るインクジ
ェット記録用シートを提供することにある。また、本発
明は、ひび割れ等の発生がなく、強固で、かつ高い表面
光沢を有すると供に、良好なインク吸収性を有し、高解
像度で高濃度な画像を形成でき、発色性が良好であり、
画像部の耐光性・耐水性に優れたインクジェット記録用
シートを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者は、これらの問
題解決のために鋭意検討をおこなった結果、下記のイン
クジェット記録用シートを用いることでこれらの問題を
解決可能であることを見出し、本出願に至った。
【0021】<1>下記式(1)および式(2)で表さ
れる単位のうち少なくとも1つを有する重合体と下記式
(3)で表される化合物との反応物を含むことを特徴と
するインクジェット記録用シートである。
【0022】
【化2】 [式(3)中、Yはアミノ基と化学反応して結合を形成
する基、Z1はN−Xを含む3員環以上の置換基を有し
ていてもよい含窒素複素環を形成可能な原子群を表す。
また、Xは、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ
基、オキシラジカル基、ヒドロキシル基、または、加水
分解によってイミノ基若しくはヒドロキシルイミノ基を
生成する基を表す。]
【0023】<2>前記Xで表される基が、オキシラジ
カル基であることを特徴とする<1>のインクジェット
記録用シートである。
【0024】<3>支持体上に色材受容層を有するイン
クジェット記録用シートであって、前記色材受容層が、
無機顔料微粒子と、水溶性樹脂と、前記反応物と、を含
むことを特徴とする<1>または<2>のインクジェッ
ト記録用シートである。
【0025】<4>前記色材受容層は、さらに、前記水
溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含むことを特徴とする<
3>のインクジェット記録用シートである。
【0026】<5>前記色材受容層は、前記支持体上に
前記無機顔料微粒子と前記水溶性樹脂とを含む第1の溶
液を塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によっ
て形成される塗布層の乾燥途中であって、前記塗布層が
減率乾燥速度を示すようになる前、および(3)前記塗
布層を乾燥して塗膜を形成した後、の少なくともいずれ
かに、前記反応物を含む第2の溶液を付与して得られる
ことを特徴とする<3>〜<4>のインクジェット記録
用シートである。
【0027】<6>前記第1および第2の溶液の少なく
ともいずれかの溶液に前記架橋剤を添加して付与、また
は、前記第1および第2の溶液とは別の前記架橋剤を含
む溶液を付与することで得られることを特徴とする<5
>のインクジェット記録用シートである。
【0028】<7>前記架橋剤が、ホウ素化合物である
ことを特徴とする<4>〜<6>のインクジェット記録
用シートである。
【0029】<8>前記無機顔料微粒子が、平均一次粒
子径が20nm以下のシリカ微粒子であることを特徴と
する<3>〜<7>のインクジェット記録用シートであ
る。
【0030】<9>前記水溶性樹脂が、ポリビニルアル
コールまたはその誘導体であることを特徴とする<3>
〜<8>のインクジェット記録用シートである。
【0031】<10>前記色材受容層が、空隙率50〜
80%の三次元網目構造を有し、かつ無機顔料微粒子
(i)と水溶性樹脂(p)との質量比(i:p)が1.
5:1〜10:1の範囲内にあることを特徴とする<3
>〜<9>のインクジェット記録用シートである。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容を詳細に説明
する。
【0033】《インクジェット記録用シート》本発明の
インクジェット記録用シートは、下記式(1)および式
(2)で表される単位のうち少なくとも1つを有する重
合体と、下記式(3)で表される化合物との反応物(以
下、「本発明に係る反応物」という場合がある。)と、
を含むことを特徴とする。本発明のインクジェット記録
用シートは上記反応物を含むことで、印画後、高温高湿
度環境下に長時間保存された場合でも、経時ニジミの発
生を防止し、耐光性および耐ガス性を向上させることが
できる。
【0034】
【化3】 [式(3)中、Yはアミノ基と化学反応して結合を形成
する基、Z1はN−Xを含む3員環以上の置換基を有し
ていてもよい含窒素複素環を形成可能な原子群を表す。
また、Xは、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ
基、オキシラジカル基、ヒドロキシル基、または、加水
分解によってイミノ基若しくはヒドロキシルイミノ基を
生成する基を表す。]
【0035】〈本発明に係る反応物〉 (式(1)および(2)で表される単位のうち少なくと
も1つを有する重合体)まず、上記式(1)および上記
式(2)で表される単位のうち少なくとも1つを有する
重合体(以下、「本発明に係る重合体」という場合があ
る。)について説明する。
【0036】本発明に係る重合体としては、例えばポリ
アリルアミン、ポリビニルアミンなどが挙げられる。ま
た、本発明に係る重合体は、式(1)および式(2)で
表される単位のみからなる重合体であってもよいし、こ
れらの単位以外にも本発明の効果を損ねない範囲でその
他の共重合可能なモノマーを含む共重合体であってもよ
い。本発明に係る重合体としては、式(1)または式
(2)で表される単位のどちらか一方のみからなる単独
重合体が特に好ましい。
【0037】上記その他の共重合可能なモノマーとして
は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例
えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリ
ル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、
(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t
−ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アク
リル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
ステアリルなどの(メタ)アクリル酸C1−18アルキ
ルエステルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキル
エステル[(メタ)アクリル酸シクロへキシルなど]、
(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリ
ル酸フェニルなど]、アラルキルエステル[(メタ)ア
クリル酸ベンジルなど]、置換(メタ)アクリル酸アル
キルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロ
キシエチルなど]、(メタ)アクリアミド類[例えば、
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルア
ミドなど]、芳香族ビニル類[スチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレンなど]、ビニルエステル類[酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル
など]、アリルエステル類[酢酸アリルなど]、ハロゲ
ン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、シ
アン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレ
フィン類[エチレン、プロピレンなど]などの非イオン
性単量体が挙げられる。また、特に上記式(2)で表さ
れる単位を有する本発明に係る重合体は、ビニルアミン
の重合ではなく、通常はN−ビニルホルムアミド、N−
ビニルアセトアミドなどの重合体を加水分解させて得ら
れることが多いので、上記他の共重合可能なモノマーの
単位が残存している場合が多い。
【0038】また、上記他の共重合可能なモノマーとし
ては、イオン性、塩基性の単位を有する単量体を用いる
こともでき、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムク
ロライド、メタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキ
シエチルジメチルアンモニウムクロライド、ビニルベン
ジルトリアルキルアンモニウム塩、(メタ)アクリロイ
ルエチルトリアルキルアンモニウム塩、(メタ)アクリ
ロイルプロピルトリアルキルアンモニウム塩、(メタ)
アクリルアミドエチルトリアルキルアンモニウム塩、
(メタ)アクリルアミドプロピルトリアルキルアンモニ
ウム塩、[これらに示したトリアルキル基としてはトリ
メチル、トリエチル、トリプロピル、トリイソプロピ
ル、トリブチル、トリへキシル、ジメチルベンジル等が
挙げられる]、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリレー
ト、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、
ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド[こ
れらに示したジアルキル基としてはジメチル、ジエチ
ル、ジブチル、メチルベンジル等が挙げられる]等を挙
げることができる。
【0039】上述の他の共重合可能なモノマーは、1種
を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよ
い。また、上記他の共重合可能なモノマーを用いる場合
には、本発明に係る重合体中の式(1)および/または
式(2)で表される繰り返し単位の含有率は、20mo
l%以上が好ましく、30mol%以上がさらに好まし
く、50mol%以上が特に好ましい。上記含有率が2
0mol%以上であると、染料が十分固着するため解像
度および経時ニジミの防止効果をさらに向上させること
ができる。
【0040】本発明に係る重合体の分子量は、重量平均
分子量として1000〜500000程度が好ましく。
2000〜400000がさらに好ましい。上記分子量
が100〜500000の範囲内にあると、耐水性がよ
り向上し、さらに、粘度が高くなってハンドリング適正
が不良となるのを防止することができる。
【0041】(式(3)で表される化合物)つぎに、上
記式(3)で表される化合物について説明する。
【0042】式(3)中、Z1はN−Xを含む3員環以
上の置換基を有していてもよい含窒素複素環(例えば、
アジリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環等)を形成
可能な原子群を表す。上記含窒素複素環は置換基を含有
してもよく、また芳香族π電子系を形成しない範囲で不
飽和結合を含有してもよい。この中でもピロリジン環、
ピペリジン環が好ましく、特に好ましくはピペリジン環
である。中でも特にN原子に隣接する炭素原子にメチル
基が置換したテトラメチルピロリジン、テトラメチルピ
ペリジンの誘導体が好ましく用いられる。
【0043】上記Xは水素原子、アルコキシ基(例えば
メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ
基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、トリ
ルオキシ基等)、オキシラジカル基、ヒドロキシル基、
または加水分解によってイミノ基またはヒドロキシイミ
ノ基を生成する基を表す。この中でも、本発明の効果を
より大きく発揮することができることから、上記Xはオ
キシラジカル基であることが好ましい。上記加水分解に
よってイミノ基またはヒドロキシイミノ基を生成する基
としては、例えば−Q−R、−Q−O−R、−Q−N−
R(R’)、−O−Q−R、−O−Q−O−R、−O−
Q−N−R(R’)で表される基を挙げることができ
る。ここで、Qはカルボニル基、イミノ基、α−ジケト
基、スルホニル基、−PO(R’’)−のいずれかから
選ばれる2価の連結基を表す。なお、Rはアルキル基、
アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、Qがイミノ
基のとき、RとQは互いに連結して環を形成してもよ
い。また、上記R’は水素原子、アルキル基、アリール
基、ヘテロ環基のいずれかを表し、R’’はアルキル
基、アリール基、アルキルアミノ基、アリールアミノ
基、アルコキシ基、アリールオキシ基のいずれかをあら
わす。
【0044】また、上記加水分解によってイミノ基また
はヒドロキシイミノ基を生成する基の例を挙げると、例
えばアルキルカルボニル基(例えばアセチル基、プロピ
オニル基、ブチロイル基)、アリールカルボニル基(例
えばベンゾイル基、アルキルベンゾイル基)、アルキル
カルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、ジメチ
ルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジエチルカ
ルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ピペリジノカ
ルバモイル基、モルホリノカルバモイル基)、アリール
カルバモイル基(例えばフェニルカルバモイル基、メチ
ルフェニルカルバモイル基、エチルフェニルカルバモイ
ル基、ベンジルフェニルカルバモイル基)、カルバモイ
ル基、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボ
ニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル
基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシ
カルボニル基)、またはアシルオキシ基(例えばアセチ
ルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ
基)、アルキルカルボニルオキシ基(例えばアセトキシ
基、プロピオニルオキシ基)、アリールカルボニルオキ
シ基(例えばベンゾイルオキシ基、アルキルベンゾイル
オキシ基)、
【0045】アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメ
トキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ
基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェ
ノキシカルボニルオキシ基)、アルキルカルバメート基
(例えばジメチルカルバモイルオキシ基)、アリールカ
ルバメート基(例えばエチルフェニルカルバモイルオキ
シ基)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニ
ル基、エタンスルホニル基)、アリールスルホニル基
(例えばフェニルスルホニル基、4−クロロフェニルス
ルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルキルス
ルファモイル基(例えばメチルスルファモイル基、ジメ
チルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエ
チルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、ピ
ペリジノスルファモイル基、モルホリノスルファモイル
基)、アリールスルファモイル基(例えばフェニルスル
ファモイル基、メチルフェニルスルファモイル基、エチ
ルフェニルスルファモイル基、ベンジルフェニルスルフ
ァモイル基)、スルファモイル基、アルキルオキザリル
基(例えばエチルオキザリル基)等がある。
【0046】式(3)中Yは、本発明の重合体のアミノ
基と反応して結合を形成する基であり、該反応によって
上記Z1を本発明に係る重合体に結合させる。このよう
な反応としては上記の目的に適する有機化学反応であれ
ばいずれのものであっても利用することができる。例え
ば、SN1、SN2反応に代表される求核置換反応、酸
性化合物や活性ハライド等との塩形成反応、Micae
l反応等に代表される付加反応などが挙げられる。
【0047】上記Yで表される基の具体例としては、ハ
ロゲン化アルキル基、ハロゲノメチレンアリール基、ハ
ロゲノメチレンカルボニル基、ハロゲノメチレンカルボ
ニルオキシ基、ハロゲノメチレンカルボンアミド基、ハ
ロゲノメチレンスルホニル基、ハロゲノメチレンスルホ
ンアミド基、アルキルスルホニルオキシアルキル基、ア
ルキルスルホニルオキシメチレンアリール基、アルキル
スルホニルオキシメチレンカルボニル基、アルキルスル
ホニルオキシメチレンカルボニルオキシ基、アルキルス
ルホニルオキシメチレンカルボンアミド基、アリールス
ルホニルオキシアルキル基、アリールスルホニルオキシ
メチレンアリール基、アリールスルホニルオキシメチレ
ンカルボニル基、アリールスルホニルオキシメチレンカ
ルボニルオキシ基、アリールスルホニルオキシメチレン
カルボンアミド基、ビニルカルボニル基、ビニルカルボ
ニルオキシ基、ビニルカルボンアミド基、ビニルスルホ
ニル基、ビニルスルホンアミド基、エポキシ基、エピス
ルフィド基、ホルミル基等を挙げることができる。
【0048】以下に式(3)で表される化合物の具体例
(例示化合物TB−1〜TB−80)を示すが、本発明
はこれらの化合物によって限定されるものではない。
【0049】
【化4】
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
【化11】
【0057】上記の化合物は、有機化学で広く知られて
いる合成反応を段階的に組み合わせることによって合成
可能である。
【0058】また、インクジェット記録用シートとして
の性能を悪化させない範囲で、必要に応じて公知の4級
アンモニウム塩またはアミンを有する重合体(ポリマー
媒染剤)や、低分子化合物(非ポリマー性の媒染剤)を
1種または2種以上を併用してもよい。好ましいポリマ
ー媒染剤としては、ポリジアリルジメチルアンモニウム
クロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒ
ドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリ
エチレンイミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド
−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジア
ミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロ
ピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン等を挙げるこ
とができる。これらの化合物は、分子量は1000〜5
00000程度が好ましく、2000〜400000が
さらに好ましい。上記分子量が100〜500000の
範囲内にあると、耐水性がさらに向上し、さらに、粘度
が高くなってハンドリング適正が不良となるのを防止す
ることができる。一方、非ポリマ−性の媒染剤として
は、炭素原子数の総和が12以上、好ましくは18以上
の第4級アンモニウム塩基を有する化合物を挙げること
ができる。
【0059】〈色材受容層〉本発明のインクジェット記
録用シートは、支持体上に、本発明に係る反応物を単独
で用いることもできるが、さらに無機顔料微粒子と水溶
性樹脂とを含む色材受容層を形成して用いることも好ま
しい。本発明のインクジェット記録用シートのもう一つ
の形態は、支持体上に、無機顔料微粒子と、水溶性樹脂
と、上記式(1)および式(2)で表される単位のうち
少なくとも1つを有する重合体と上記式(3)で表され
る化合物との反応物とを、を含む色材受容層を有するこ
とを特徴とする。この場合、本発明に係る反応物、また
はこれと公知の媒染剤との含有量としては、色材受容層
の全固形分に対して0.5〜25.0質量%が好まし
く、1.0〜20.0質量%がさらに好ましい。上記含
有量が0.5〜25.0質量%の範囲内にあるとさらに
耐水性や経時ニジミの防止効果が向上し、また、インク
吸収性の悪化を防止することができる。
【0060】(無機顔料微粒子)無機顔料微粒子として
は、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化
チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、
カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイ
ト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シ
リカ微粒子が特に好ましい。上記シリカ微粒子は、比表
面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が
高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散
をおこなえば色材受容層に透明性を付与でき、高い色濃
度と良好な発色性が得られるという特徴がある。色材受
容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされ
る用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適
用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性を得る観点
で重要である。
【0061】上記無機顔料微粒子の平均一次粒子径とし
ては、20nm以下が好ましく、10nm以下がさらに
好ましく、3〜10nmが特に好ましい。
【0062】上記シリカ微粒子は、その表面にシラノー
ル基を有し、該シラノール基による水素結合によって粒
子同士が付着しやすいため、上記のように平均一次粒子
径が10nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成す
ることができる。これにより、インク吸収特性を効果的
に向上させることができる。
【0063】また、シリカ微粒子は、その製造法によっ
て湿式法粒子と乾式法粒子とに大別される。上記湿式法
では、ケイ酸塩の酸分解によって活性シリカを生成し、
これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る
方法が主流である。一方、乾式法は、ハロゲン化珪素の
高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、ケ
イ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元
気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によっ
て無水シリカを得る方法が主流である。
【0064】これらの方法で得られる含水シリカおよび
無水シリカは、表面のシラノール基の密度、空孔の有無
等に相違があるため、それぞれ異なった性質を示す。特
に、無水シリカ(無水珪酸)は、空隙率が高い三次元構
造を形成しやすいため好ましい。この理由は明らかでは
ないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシ
ラノール基の密度が5〜8個/nm2と多く、シリカ微
粒子が密に凝集(アグリゲート)しやすい。一方、無水
シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の
密度が2〜3個/nm2と少ないため、疎な軟凝集(フ
ロキュレート)となる。その結果、空隙率が高い構造に
なるものと推定される。従って、本発明においては、微
粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm
2であるシリカ(シリカ微粒子)を用いることが好まし
い。
【0065】(水溶性樹脂)上記水溶性樹脂としては、
例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する
樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオ
ン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニル
アルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポ
リビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロ
ース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシ
エチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロ
ース(CMC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプ
ン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキ
サイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PP
O)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニル
エーテル(PVE);アミド基またはアミド結合を有す
る樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビ
ニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離
性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸
塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類を挙げ
ることができる。上記の中でも、特にポリビニルアルコ
ール類が好ましい。
【0066】上記水溶性樹脂の含有量としては、色材受
容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好まし
く、16〜33質量%がさらに好ましい。上記含有量
が、9質量%未満であると、膜強度が低下し、乾燥時に
ひび割れを生じやすくなることがあり、40質量%を超
えると、空隙が樹脂によって塞がれやすくなる結果、空
隙率が減少してインク吸収性が低下することがある。
【0067】色材受容層を主として構成する、上記無機
顔料微粒子と上記水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材で
もよいし、複数の素材の混合系であってもよい。
【0068】また、透明性の観点から、シリカ微粒子に
組合わせる樹脂の種類が重要となる。上記無水シリカを
用いる場合には、水溶性樹脂としては、ポリビニルアル
コール(PVA)が好ましく、中でも、鹸化度70〜9
9%のPVAがさらに好ましく、鹸化度70〜90%の
PVAが特に好ましい。
【0069】上記PVAは、その構造単位に水酸基を有
するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基
とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖
単位とする三次元網目構造を形成しやすくする。上記三
次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造
の色材受容層を形成しうると考えられる。インクジェッ
ト記録において、上述のようにして得た多孔質の色材受
容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、イ
ンクニジミのない真円性の良好なドットを形成すること
ができる。
【0070】−無機顔料微粒子と水溶性樹脂との含有比
− 無機顔料微粒子(好ましくはシリカ微粒子;i)と水溶
性樹脂(p)との含有比〔PB比(i:p)、水溶性樹
脂1質量部に対する無機顔料微粒子の質量〕は、色材受
容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が
大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当
り)が大きくなる。具体的には、上記PB比(i:p)
としては、1.5:1〜10:1が好ましい。上記PB
比が10:1を超える、即ち、PB比が大きくなりすぎ
ると、膜強度が低下し、乾燥時にひび割れを生じやすく
なることがあり、1.5:1未満、即ちPB比が小さす
ぎると、空隙が樹脂によって塞がれやすくなる結果、空
隙率が減少してインク吸収性が低下することがある。
【0071】インクジェットプリンタの搬送系を通過す
る場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、
色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要で
ある。さらにシート状に裁断加工する場合、色材受容層
の割れ、剥がれ等を防止する上でも色材受容層には十分
な膜強度を有していることが必要である。この場合、上
記PB比としては5:1以下が好ましく、インクジェッ
トプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点から
は、2:1以上であることが好ましい。
【0072】例えば、平均一次粒子径が20nm以下の
無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比2:1〜5:
1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布
し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子
を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径
が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積
0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上
の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0073】(架橋剤)本発明のインクジェット記録用
シートは、上記色材受容層に、さらに上記水溶性樹脂を
架橋しうる架橋剤を併用することも好ましい。
【0074】上記架橋剤溶液の付与は、多孔質性の色材
受容層を形成する塗布液(色材受容層用塗布液)が塗布
されるのと同時に、あるいは色材受容層用塗布液を塗布
して形成された塗布層が減率乾燥速度を示すようになる
前に、おこなわれることが好ましい。この操作によっ
て、塗布層が乾燥する間に発生するひび割れの発生を効
果的に防止することができる。即ち、上記塗布液が塗布
されたと同時に、あるいは塗布層が減率乾燥速度を示す
ようになる前に架橋剤溶液が塗布層内に浸透し、塗布層
内の水溶性樹脂と速やかに反応し、水溶性樹脂をゲル化
(硬化)させることによって、塗布層の膜強度を即時に
大幅に向上させる。
【0075】上記水溶性樹脂を架橋しうる架橋剤として
は、色材受容層に用いられる水溶性樹脂との関係で好適
な物を適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速
である点から、ホウ素化合物が好ましく、例えば、硼
砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、In
BO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)
2、Co3(BO3)2、二ホウ酸塩(例えば、Mg2
25、Co225)、メタホウ酸塩(例えば、LiB
2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四ホウ酸
塩(例えば、Na247・10H2O)、五ホウ酸塩
(例えば、KB58・4H 2O、Ca2611・7H
2O、CsB55)、グリオキザール、メラミン・ホル
ムアルデヒド(例えば、メチロールメラミン、アルキル
化メチロールメラミン)、メチロール尿素、レゾール樹
脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂等を挙げること
ができる。中でも、速やかに架橋反応を起こす点で、硼
砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特に水溶性樹脂とし
てポリビニルアルコールと組合わせて使用することがさ
らに好ましい。
【0076】上記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場
合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている、以下の
化合物を架橋剤として用いることができる。例えば、ホ
ルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒ
ド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタ
ンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル
尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,
5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジ
ン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルス
ルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノー
ル、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタ
ミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ
−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル
尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロ
ール化合物;
【0077】1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第301
7280号、同第2983611号に記載のアジリジン
系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載の
カルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジ
ルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチ
レン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ
系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等の
ハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジ
ヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム
明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等
である。なお、上記架橋剤は、一種単独でも、2種以上
を組合わせてもよい。
【0078】上記架橋剤溶液は、架橋剤を水および/ま
たは有機溶媒に溶解して調製される。架橋剤溶液中の架
橋剤の濃度としては、架橋剤溶液の質量に対して、0.
05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%が特に
好ましい。架橋剤溶液を構成する溶媒としては、一般に
水が使用され、該水と混和性の有機溶媒を含む水系混合
溶媒であってもよい。上記有機溶媒としては、架橋剤が
溶解するものであれば任意に使用することができ、例え
ば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、グリセリン等のアルコール;アセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエス
テル;トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等
のエーテル、およびジクロロメタン等のハロゲン化炭素
系溶剤等を挙げることができる。
【0079】(その他の添加剤)本発明のインクジェッ
ト記録用シートにはその他の必要に応じて、さらに下記
の成分等を含んでもよい。色材の劣化を抑制する目的
で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエ
ンチャー等を含んでいてもよい。上記紫外線吸収剤とし
ては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾト
リアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、
α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリア
ゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロ
ロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−
t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,
4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒン
ダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用で
き、具体的には少なくとも2位または6位のうち1ヵ所
以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が
好ましい。
【0080】また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系
紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線
吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−1053
7号公報、同58−111942号公報、同58−21
2844号公報、同59−19945号公報、同59−
46646号公報、同59−109055号公報、同6
3−53544号公報、特公昭36−10466号公
報、同42−26187号公報、同48−30492号
公報、同48−31255号公報、同48−41572
号公報、同48−54965号公報、同50−1072
6号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同
3,707,375号明細書、同3,754,919号
明細書、同4,220,711号明細書等に記載されて
いる。
【0081】蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用で
き、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具
体的には、特公昭45−4699号公報、同54−53
24号公報等に記載されている。
【0082】上記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開
特許第223739号公報、同309401号公報、同
309402号公報、同310551号公報、同第31
0552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開
特許第3435443号公報、特開昭54−48535
号公報、同60−107384号公報、同60−107
383号公報、同60−125470号公報、同60−
125471号公報、同60−125472号公報、同
60−287485号公報、同60−287486号公
報、同60−287487号公報、同60−28748
8号公報、同61−160287号公報、同61−18
5483号公報、同61−211079号公報、同62
−146678号公報、同62−146680号公報、
同62−146679号公報、同62−282885号
公報、同62−262047号公報、同63−0511
74号公報、同63−89877号公報、同63−88
380号公報、同66−88381号公報、同63−1
13536号公報、
【0083】同63−163351号公報、同63−2
03372号公報、同63−224989号公報、同6
3−251282号公報、同63−267594号公
報、同63−182484号公報、特開平1−2392
82号公報、特開平2−262654号公報、同2−7
1262号公報、同3−121449号公報、同4−2
91685号公報、同4−291684号公報、同5−
61166号公報、同5−119449号公報、同5−
188687号公報、同5−188686号公報、同5
−110490号公報、同5−1108437号公報、
同5−170361号公報、特公昭48−43295号
公報、同48−33212号公報、米国特許第4814
262号明細書、同第4980275号明細書等に記載
のものが挙げられる。
【0084】具体的には、6−エトキシ−1−フェニル
−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメ
チル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−
フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−
2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒ
ドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2
−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチ
ル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0085】上記耐光性向上剤は、単独でも2種以上を
併用してもよい。この耐光性向上剤は、水溶性化、分
散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に
含ませることもできる。上記耐光性向上剤の添加量とし
ては、色材受容層用塗布液の0.01〜10質量%が好
ましい。
【0086】また、無機顔料微粒子の分散性を高める目
的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等
を含んでいてもよい。さらに、塗布適性や表面品質を高
める目的で各種の界面活性剤を、表面の摩擦帯電や剥離
帯電を抑制する目的で、イオン導電性を持つ界面活性剤
や電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特
性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよ
い。
【0087】[支持体]支持体として使用できる材料と
しては、プラスチック等の透明材料を用いてもよいし、
紙等の不透明な材料を用いてもよい。本発明では、色材
受容層の透明性を生かす上で、支持体は透明支持体また
は高光沢の不透明支持体であることが好ましい。
【0088】上記透明支持体として使用できる材料とし
ては、透明でOHPあるいはバックライトディスプレイ
で使用される時の輻射熱に耐える性質を有する材料が好
ましい。このような材料としては、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル類、ニトロセルロース、セル
ロースアセテート、またはセルロースアセテートブチレ
ート等のセルロースエステル類、そしてポリスルホン、
ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネ
ート、ポリアミド等を挙げることができる。これらの中
でポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンフタレ
ートが好ましい。上記透明支持体の厚さについては、特
に制限はないが、50〜200μmのものが取り扱いや
すいため好ましい。
【0089】上記高光沢の不透明支持体としては、色材
受容層が設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有
するものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−81
42(紙および板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記
載の方法に従って測定することによって求められる値で
ある。高光沢の不透明支持体の例としては、アート紙、
コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使
用されるバライタ紙等の高光沢の紙、ポリエチレンテレ
フタレー卜(PET)等のポリエステル類、ニトロセル
ロース、セルロースアセテートおよびセルロースアセテ
ートブチレート等のセルロースエステル類、あるいはポ
リスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、
ポリカーボネート、またはポリアミド等のプラスチック
フィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした高光沢
の(表面カレンダー処理等をおこなってもよい)フイル
ム、あるいは上記各種紙、上記透明プラスチックフィル
ムまたは白色顔料等含有プラスチックフィルムの表面
に、白色顔料を含有するか、若しくは含有しないポリオ
レフィンの被覆層が設けられた支持体を挙げることがで
きる。さらに、白色顔料含有発泡ポリエステルフイルム
(例、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸によって
空隙を形成した発泡PET)も挙げることができる。
【0090】また、銀塩写真用支持体として一般的に使
用されているポリオレフィンコート紙(表面に白色顔料
含有ポリオレフィン層が設けられた紙支持体等)、ある
いは金属蒸着層等が設けられた特殊紙等を、好適に使用
することができる。特に白色顔料含有ポリオレフィン層
が設けられた銀塩写真用紙支持体、白色顔料含有ポリオ
レフィン層が設けられたポリエステル(好ましくはPE
T)フィルム、白色顔料含有ポリエステルフィルムある
いは白色顔料含有発泡ポリエステルフィルムが好まし
い。上記不透明支持体の厚さは、特に制限はないが、5
0〜300μmのものが取り扱いやすく好ましい。さら
に、支持体としては、色材受容層との密着性を付与する
ため、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫
外線照射処理を施したものを使用してもよい。
【0091】[インクジェット記録用シートの作製方
法]インクジェット記録用シートの作製方法としては、
支持体上に本発明に係る反応物を含む水分散液、有機溶
媒溶液、あるいは水と有機溶媒の混合溶液等の形態で調
液した塗布液を塗布する方法が挙げられるが、これに限
定されるものでない。ただし、得られる塗布膜の光沢性
等の観点から、本発明に係る反応物は、溶解した溶液と
して塗布することが特に好ましい。
【0092】(有機溶媒)上記塗布に用いることが可能
な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プ
ロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール
等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等の
ケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸
エチル、トルエン等が挙げられる。
【0093】(色材受容層の形成方法)つぎに、本発明
のもう一つの形態である、色材受容層に無機顔料微粒子
と水溶性樹脂と本発明に係る反応物とを含むインクジェ
ット記録用シートの作製について説明する。まず、色材
受容層の形成方法としては、例えば無機顔料微粒子と水
溶性樹脂との水性分散液(水以外に適宜有機溶媒を併用
してもよい。以下、「第1の溶液」という場合があ
る。)を調液、塗布等し、該塗布等によって形成された
塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示
すようになる前に、本発明に係る重合体を含む水分散
液、有機溶媒溶液、あるいは水と有機溶媒との混合溶液
などの形態で調液した塗布液(以下、「第2の溶液」と
いう場合がある。)を付与する方法が挙げられる。ある
いは、第1の溶液の塗布と同時に、または、第1の溶液
を塗布、乾燥させて塗膜を形成させた後に第2の溶液を
塗布する方法も利用できる。
【0094】本発明において、無機顔料微粒子と水溶性
樹脂とを少なくとも含んでなる色材受容層用の上記第1
の溶液は、例えば、以下のようにして調製できる。即
ち、平均一次粒子径20nm以下のシリカ微粒子を水中
に添加して(例えば、10〜20質量%)、高速回転湿
式コロイドミル(例えば、クレアミックス(エム・テク
ニック(株)製))を用いて、例えば10000rpm
(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転
の条件で20分間(好ましくは10〜30分間)分散さ
せた後、ポリビニルアルコール水溶液(例えば、シリカ
の1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、さ
らに上記と同じ回転条件で分散をおこなうことによって
調製することができる。得られた塗布液は均一ゾルであ
り、これを下記塗布方法で支持体上に塗布形成すること
によって、三次元網目構造を有する多孔質性の色材受容
層を形成することができる。上記第1の溶液には、必要
に応じて、さらに界面活性剤、pH調整剤、帯電防止剤
等を添加することもできる。
【0095】上記第1の溶液を付与する方法としては、
(1)支持体上等に塗布する方法、(2)第1の溶液を
スプレー等の方法によって噴霧する方法、(3)第1の
溶液の液中に、支持体等を浸漬する方法等が挙げられ
る。上記第1の溶液の塗布は、例えば、エクストルージ
ョンダイコータ、エアードクターコータ、ブレッドコー
タ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、リ
バースロールコータ、バーコータ等の公知の塗布方法に
よっておこなうことができる。
【0096】上述の「塗布層が減率乾燥速度を示すよう
になる前」とは、通常、第1の溶液を塗布した直後から
数分間を指し、この間においては、塗布された塗布層中
の溶剤の含有量が時間に比例して減少する現象である恒
率乾燥速度を示す。該恒率乾燥速度を示す時間について
は、化学工学便覧(p.707〜712、丸善(株)発
行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0097】上述の通り、上記第1の溶液の塗布後、減
率乾燥速度を示すようになるまでその塗布層は乾燥され
るが、該乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10分
間(好ましくは、0.5〜5分間)おこなわれる。この
乾燥時間としては、当然塗布量によって異なるが、上記
の範囲が適当である。
【0098】上記塗布層が減率乾燥速度を示すようにな
る前に、本発明に係る反応物を含む水分散液、有機溶媒
溶液、あるいは水と有機溶媒の混合溶液などの形態で調
液した塗布液(第2の塗布液)を付与する方法として
は、(1)第2の塗布液を塗布層上にさらに塗布する方
法、(2)第2の塗布液をスプレー等の方法によって噴
霧する方法、(3)第2の塗布液の液中に、該塗布層が
形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0099】上記方法(1)において、第2の塗布液を
塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコ
ータ、エクストルージョンダイコータ、エアードクター
コーター、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコー
タ、スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコー
タ等の公知の塗布方法を利用することができる。しか
し、エクストリュージョンダイコータ、カーテンフロー
コータ、バーコータ等のように、既に形成されている塗
布層にコータが直接接触しない方法を利用することが好
ましい。また、これらの塗布は、2種以上の塗布液を同
時に重層塗布してもよい。
【0100】上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エ
クストルージョンダイコータ、カーテンフローコータを
用いた塗布方法によっておこなうことができる。該同時
塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合
の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜1
0分間加熱することによっておこなわれ、好ましくは、
40〜100℃で0.5〜5分間加熱することによって
おこなわれる。例えば、架橋剤溶液に含有する架橋剤と
して硼砂やホウ酸を使用する場合は、60〜100℃で
5〜20分間加熱することが好ましい。
【0101】また、上記色材受容層は、本発明に係る反
応物と、無機顔料微粒子とを予め混合した後に、さらに
水溶性樹脂を混合した塗布液(水性の分散液、または有
機溶媒をさらに含んでいてもよい。以下、「第3の溶
液」という場合がある。)を塗布して形成することもで
きる。上記第3の溶液を調製する方法としては、本発明
に係る反応物を、溶解可能な溶媒中で無機顔料微粒子と
公知の方法で混合分散し、得られた溶液に水溶性樹脂ま
たは水溶性樹脂水溶液を混合して得る方法等を利用でき
る。上記第3の溶液を付与する方法としては、(1)上
記第3の溶液を支持体上に塗布する方法、(2)上記第
3の溶液をスプレー等の方法によって噴霧する方法、
(3)上記第3の溶液の液中に、支持体を浸漬する方法
等が挙げられる。また、上記第3の溶液としては、本発
明に係る反応物と無機微粒子とを混合して得られた分散
液を、さらに水または水性媒体(適当な分散剤を有して
いてもよい)中に分散させて、必要に応じて有機溶媒を
除去して得られる塗布液に水溶性樹脂または水溶性樹脂
水性溶液を混合して得られる塗布液や、水溶性樹脂水性
溶液中に本発明に係る反応物と無機顔料微粒子とを再分
散させて、必要に応じて有機溶媒を除去して得られる塗
布液等を用いることができる。
【0102】さらに、上述の第1、第2、および第3の
溶液のいずれかに架橋剤を添加して、該架橋剤を支持体
上等に塗布等することもできる。該架橋剤は、上記第
1、第2、および第3の溶液のうち2以上の塗布液に添
加されていてもよい。また、上述の第1、第2、および
第3の溶液とは別に、架橋剤を含む溶液を調製し、塗布
工程のいずれかの段階で塗布等することもできる。
【0103】また、上述の塗布における各工程では、溶
媒として水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒を用い
ることができる。この塗布に用いることができる有機溶
媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアル
コール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチ
ル、トルエン等が挙げられる。
【0104】支持体上に色材受容層を形成した後、該色
材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレン
ダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレ
ンダー処理を施すことによって、表面平滑性、光沢度、
透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。
しかしながら、上記カレンダー処理は、空隙率を低下さ
せる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が
低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件
を設定しておこなう必要がある。
【0105】カレンダー処理をおこなう場合のロール温
度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100
℃がさらに好ましい。また、カレンダー処理時のロール
間の線圧としては、50〜400kg/cmが好まし
く、100〜200kg/cmがさらに好ましい。
【0106】上記色材受容層の層厚は、インクジェット
記録用シートの場合では、液滴を全て吸収するだけの吸
収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で
決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm
2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μ
m以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インク
ジェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、
10〜50μmが好ましい。
【0107】また、色材受容層の細孔径は、メジアン径
で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜
0.025μmがさらに好ましい。上記空隙率および細
孔メジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサ
イザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用い
て測定することができる。
【0108】また、色材受容層は、透明性に優れている
ことが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透
明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30
%以下であることが好ましく、20%以下であることが
さらに好ましい。上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(H
GM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定するこ
とができる。
【0109】支持体上には、色材受容層と支持体との間
の接着性を高めたり、電気抵抗を調整する等の目的で、
下塗層を設けてもよい。なお、色材受容層は、支持体の
片面のみに設けてもよいし、カール等の変形を抑制する
等の目的で、支持体の両面に設けてもよい。OHP等で
用いる場合であって、色材受容層を支持体の片面のみに
設ける場合は、その反対側の表面、あるいはその両面
に、光透過性を高める目的で反射防止膜を設けることも
できる。
【0110】また、色材受容層が形成される側の支持体
の表面にホウ酸またはホウ素化合物が塗工され、該表面
に色材受容層を形成することによって、色材受容層の光
沢性、表面平滑性を確保し、かつ高温高湿環境下におけ
る、印画後の画像の経時ニジミを抑制することができ
る。しかも、色材受容層が無機顔料微粒子を含んで空隙
率50〜80%の三次元網目構造からなり、良好なイン
ク吸収性を示し高解像度で高濃度な画像が形成できると
共に、その形成画像が高い耐光性、耐水性を有するとい
った、優れたインク受容性能を確保することができる。
【0111】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中、「部」および「%」は、特に限定しない
限り「質量部」および「質量%」を表す。また、実施例
中「分子量」はGPCで測定した「重量平均分子量」を
表す。
【0112】[合成例1]ポリアリルアミン(分子量:
約5000)の20%水溶液570.5部に上記例示化
合物TB−52(式(3)で表される化合物)24.8
部を加え、70℃で6時間加熱攪拌し、水を添加した。
その後、得られた水溶液の濃度調整することで、N−オ
キシラジカルを有する重合体1の10%水溶液を得た。
【0113】[合成例2〜6]合成例1における、ポリ
アリルアミンおよび式(3)で表される化合物、並びに
その添加量を、それぞれ下記表1に示す重合体および化
合物、並びにその添加量に変更する以外は合成例1と同
様に反応させ、水で濃度調整をすることで重合体2〜6
の10%水溶液を得た。
【0114】
【表1】
【0115】[比較合成例1]水33.5部を窒素気流
下、70℃で攪拌しながら、N−ビニルピロリドン1
4.6部、N−ビニルイミダゾール24.7部、スチレ
ンスルフィン酸カリウム5.4部、水62.5部の混合
溶液A、およびV−50(和光純薬製、2,2’−アゾ
ビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩)1.135部
と水18.0部との混合溶液Bを2時間かけて滴下し
た。ついで、V−50の0.57部と水20.0部との
混合溶液Cをさらに加え、70℃で2時間加熱攪拌して
重合体11の25%水溶液を得た。得られた重合体11
の分子量は約11.8万であった。
【0116】[比較合成例2]比較合成例1で得られた
重合体11の水溶液に水150.0部を加え、室温で上
記例示化合物TB−52を5.11部を加え、70℃で
さらに2時間攪拌することでN−オキシラジカルを有す
る重合体12の15%水溶液得た。得られた重合体12
の分子量は13.1万であった。
【0117】[比較合成例3]比較合成例1における混
合溶液Aに連鎖移動剤としてメルカプトエタノール1.
64部を加える以外は比較合成例2と同様にして、N−
オキシラジカルを有する重合体13の25%水溶液を得
た。得られた重合体13の分子量は1.5万であった。
【0118】[実施例1] −支持体の作製− LBKP100部からなる木材パルプを、ダブルディス
クリファイナーによってカナディアンフリーネス300
mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド05部、ア
ニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリア
ミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリ
ルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量
比で添加し、長網抄紙機によって坪量170g/m2
原紙を抄造した。
【0119】上記原子の表面サイズを調整するため、ポ
リビニルアルコール4%水溶液に蛍光増泊剤(Whit
ex BB、住友化学工業(株)製)を、0.04%添
加し、絶乾質量換算で0.5g/m2となるように上記
原子に含浸させ、乾燥した後、キャレンダー処理を施し
て密度1.05に調整された基体を得た。
【0120】得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコ
ロナ放電処理をおこなった後、溶融押し出し機を用いて
高密度ポリエチレンを、厚さ19μmとなるようにコー
ティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以
下、樹脂層面を「裏面」という場合がある)。この裏面
側の樹脂層にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤と
して、酸化アルミニウム(アルミナゾル100、日産化
学工業(株)製)と二酸化ケイ素(スノーテックスO、
日産化学工業(株)製)とを1:2の比(質量比)で水
に分散させた分散液を、乾燥後の質量が0.2g/m2
となるように塗布した。
【0121】また、原紙のフェルト面(表面)側にコロ
ナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10
質量%、微量の群青、および蛍光増白剤0.01質量%
(対ポリエチレン)を含有したMFR(メルトフローレ
ート)が3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押し出し
機を用いて、厚さ29μmとなるように溶融押し出し
し、光沢面からなる熱可塑性樹脂層を上記基紙上に形成
して(以下、この面を「表面」と呼ぶ場合がある。)、
これを支持体とした。
【0122】−色材受容層塗布液の調製− 下記組成中の(1)および(2)を混合し、高速回転式
コロイドミル(クレアミックス、エム・テクニック
(株)製)を用いて、10000rpmの条件で20分
間分散させた。その後、下記(3)ポリビニルアルコー
ル9%水溶液を加え、さらに上記と同一の条件で分散を
おこない、色材受容層塗布液を調製した。シリカ微粒子
と水溶性樹脂との質量比(PB比)は、3.5:1であ
った。
【0123】 <色材受容層塗布液の組成> (1)シリカ微粒子(無機顔料微粒子) 9.9部 (平均一次粒子径7nm;アエロジル300、日本アエロジル(株)製) (2)イオン交換水 73.1部 (3)ポリビニルアルコール9%水溶液(水溶性樹脂) 31.6部 (PVA420、(株)クラレ製、鹸化度81.8%、重合度2000)
【0124】−本発明のインクジェット記録用シートの
作製− つぎに、上記から得られた色材受容層塗布液を、上記支
持体にエクストルージョンダイコーターを用いて200
ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機
にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分
濃度が20%になるまで乾燥させた。塗布層は、この期
間恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の塗布液
A(重合体および架橋剤含有溶液)に30秒間浸漬し
て、上記塗布層上に20g/m2を付着させ(重合体お
よび架橋剤含有溶液を付与する工程)、その後、さらに
80℃下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。これによ
り、乾燥膜厚32μmの色材受容層を支持体上に形成
し、本発明のインクジェット記録用シートを作製した。
【0125】 <塗布液Aの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 94.9部 (4)合成例1に示した重合体1 10%水溶液 20.8部 (本発明に係る反応物)
【0126】(評価方法) (1−1)インク吸収速度 インクジェットプリンタ(PM−800C、セイコーエ
プソン(株)製)を用いて、インクジェット記録用シー
トに、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K
(黒)、B(青)、G(緑)およびR(赤)のベタ画像
を印画し、その直後(約10秒後)、該画像上に紙を接
触押圧し、インクの紙への転写の有無を下記の基準に従
って評価した。 〔基準〕 AA:紙上へのインクの転写は全く認められなかった。 インク吸収速度が良好な事を示す。 CC:紙上へのインクの一部転写が認められた。
【0127】(1−2)ひび割れの発生 インクジェット記録用シートの表面に発生したひび割れ
の有無、およびその大きさを目視で観察し、下記の基準
に従って評価した。 〔基準〕 AA:表面にひび割れは全く認められなかった。 BB:1〜2mmの長さのひび割れが認められた。 CC:3mm以上の長さのひび割れが認められた。
【0128】(1−3)耐水性 上記(1−1)と同じプリンタを用いて、インクジェッ
ト記録用シート上に同じ印画パターンを形成させ、3時
間放置した後、水中に一分間浸して、インクの水中への
流出程度を目視で観察し、下記の基準に従って評価し
た。 〔基準〕 AA:染料の流出が全く認められなかった。 BB:染料の流出した部分が認められ、色濃度が低下し
た。 CC:染料がほぼ完全に水中に流出してしまった。
【0129】(1−4)経時ニジミ 上記(1−1)と同じプリンタを用いて、インクジェッ
ト記録用シート上にマゼンタインクとブラックインクと
を隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅0.2
8mm)を印画し、Xライト310TR(Xライト社
製)によってビジュアル濃度を測定した。さらに、印画
後3時間放置した後、40℃、相対湿度90%の恒温恒
湿槽に1日保管し、再度ビジュアル濃度を測定してその
濃度差(ΔOD)を算出した。該濃度差(ΔOD)の値
が小さいほど経時ニジミの発生は抑制されている。
【0130】(1−5)耐光性 上記(1−1)と同じプリンタを用いて、インクジェッ
ト記録用シート上にY(黄)、M(マゼンタ)、C(シ
アン)およびK(黒)のベタ画像を印画し、Xライト3
10TR(Xライト社製)によって各色のビジュアル濃
度を測定した。その後、印画した画像に対して365n
m以下の波長領域の紫外線をカットするフイルムを通し
て、Xenon weather−ometer Ci
65A(ATLAS社製)を用いて、25℃、相対湿度
32%の環境条件下で3.8時間ランプを点灯し、その
後、ランプを消した状態で、20℃、相対湿度91%の
環境条件下に1時間放置するサイクルを11日間おこな
った。その後、再度各色のビジュアル濃度を測定して各
色の褪色を残存率(試験前後での濃度変化率)を算出し
て評価した。
【0131】(1−6)耐ガス性 上記(1−1)と同じプリンタを用いて、インクジェッ
ト記録用シート上にY(黄)、M(マゼンタ)、C(シ
アン)およびK(黒)のベタ画像を印画し、Xライト3
10TR(Xライト社製)によって各色のビジュアル濃
度を測定した。印画後オゾン濃度3ppm雰囲気下で8
時間経時させた後、再度濃度を測定し、その濃度の残存
率を算出して評価した。残存率が高いほど耐ガス性に優
れている。
【0132】これらを評価した結果を下記表2に記す。
【0133】[実施例2]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液B(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0134】 <塗布液Bの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 91.2部 (4)合成例2に示した重合体2 10%水溶液 24.6部 (本発明に係る反応物)
【0135】[実施例3]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液C(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例3
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0136】 <塗布液Cの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 73.1部 (4)合成例3に示した重合体3 10%水溶液 42.7部 (本発明に係る反応物)
【0137】[実施例4]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液D(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例4
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0138】 <塗布液Dの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 91.2部 (4)合成例4に示した重合体4 10%水溶液 24.6部 (本発明に係る反応物)
【0139】[実施例5]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液E(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例5
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0140】 <塗布液Eの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 91.2部 (4)合成例5に示した重合体5 10%水溶液 24.6部 (本発明に係る反応物)
【0141】[実施例6]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液F(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0142】 <塗布液Fの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 91.2部 (4)合成例6に示した重合体6 10%水溶液 24.6部 (本発明に係る反応物)
【0143】[実施例7]実施例1において、色材受容
層用塗布液の代わりに下記の組成の色材受容層用塗布液
を用いて、塗布液Aの代わりに下記組成の塗布液G(重
合体および架橋剤含有溶液)を用いた以外は実施例1と
同様にして実施例7のインクジェット記録用シートを作
製し、評価した。結果を表2に記す。
【0144】 <色材受容層塗布液の組成> (1)シリカ微粒子(無機顔料微粒子) 9.9部 (平均一次粒子径7nm;アエロジル300、日本アエロジル(株)製) (2)イオン交換水 52.3部 (3)ポリビニルアルコール9%水溶液(水溶性樹脂) 31.6部 (PVA420、(株)クラレ製、鹸化度81.8%、重合度2000) (4)合成例1に示した重合体1 10%水溶液 20.8部 (本発明に係る反応物)
【0145】 <塗布液Gの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 116.3部
【0146】[比較例1]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液H(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして比較例1
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0147】 <塗布液Hの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 106.3部 (4)ポリアリルアミン 20%水溶液 8.5部 (媒染剤、分子量5000)
【0148】[比較例2]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液I(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして比較例2
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0149】 <塗布液Iの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 90.4部 (4)比較合成例1に示した重合体11 25%水溶液 24.4部
【0150】[比較例3]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液J(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして比較例3
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0151】 <塗布液Jの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 74.1部 (4)比較合成例2に示した重合体12 15%水溶液 40.7部
【0152】[比較例4]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液K(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして比較例4
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0153】 <塗布液Kの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 90.4部 (4)比較合成例3に示した重合体13 25%水溶液 24.4部
【0154】[比較例5]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液L(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして比較例5
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0155】 <塗布液Lの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 108.7部 (4)上記例示化合物TB−52 6.1部
【0156】[比較例6]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液M(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして比較例6
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0157】 <塗布液Mの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 107.2部 (4)ポリアリルアミン 20%水溶液 17.5部 (5)下式で表される化合物 0.8部
【0158】
【化12】
【0159】[比較例7]実施例1において、塗布液A
の代わりに下記組成の塗布液N(重合体および架橋剤含
有溶液)を用いた以外は実施例1と同様にして比較例7
のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。結
果を表2に記す。
【0160】 <塗布液Nの組成> (1)硼酸(架橋剤) 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F144D 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 90.4部
【0161】
【表2】
【0162】表2から、本発明に係る反応物を媒染剤と
して用いた場合には、インク吸収性、ひび割れ、耐水性
など基本性能は維持したままで経時ニジミや対光性、耐
ガス性を同時に満足することができることがわかった。
【0163】[実施例8、比較例8] −支持体の作製− LBKP80部、NBKP20部からなる木材パルプを
ダブルディスクリファイナーによってカナディアンフリ
ーネス430mlまで叩解して、カオリン10部、カチ
オン化でんぷん0.4部、ポリアクリルアミド0.2
部、中性ロジンサイズ剤0.075部をいずれもパルプ
に対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機によって坪量
80g/m2の原紙を抄造した。この基体に合成例1に
示した重合体1の10%水溶液を乾燥後の塗布量が2g
/m2となるように塗布して記録シートを得た。また比
較例8として、上記塗布をおこなわずに基体をそのまま
用いたものを評価に用いた。
【0164】(評価方法) (2−1)画像濃度 インクジェットプリンタ(PM−800C、セイコーエ
プソン(株)製)によって、インクジェット記録用シー
トにK(黒)のベタ画像を印字し、3時間放置後、該印
字面の反射濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0165】(2−2)耐水性 上記(2−1)と同じプリンタを用いてインクジェット
記録用シート上に、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シ
アン)、K(黒)、B(青)、G(緑)およびR(赤)
のベタ印字をし、3時間放置した後、水中に一分間浸し
て、インクの水中への流出程度を目視で観察し、下記の
基準に従って評価した。 〔基準〕 AA:染料の流出が全く認められなかった。 BB:染料の流出した部分が認められ、色濃度が低下し
た。 CC:染料がほぼ完全に水中に流出してしまった。
【0166】これらを評価した結果を下記表3に記す。
【0167】
【表3】
【0168】表3から、支持体上に本発明に係る重合体
を直接塗布した場合には、媒染剤を用いない場合に比し
て画像濃度が高く、経時ニジミの発生も大幅に減少する
ことがわかった。なお、実施例1〜7における、支持体
上に無機顔料微粒子と水溶性樹脂とを含む色材受容層に
本発明の重合体を含ませた場合と、実施例8における、
支持体上に本発明に係る重合体を直接塗布した場合とを
比較すると、実施例1〜7におけるインクジェット記録
用シートのほうが経時ニジミの発生を抑えることができ
た。
【0169】
【発明の効果】本発明によれば、耐ガス性に優れ、印画
後、高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも、経
時ニジミを生ずることなく、安定に画像を保持し得るイ
ンクジェット記録用シートを提供することができる。ま
た、本発明によれば、ひび割れ等の発生がなく、強固
で、かつ高い表面光沢を有すると供に、良好なインク吸
収性を有し、高解像度で高濃度な画像を形成でき、発色
性が良好であり、画像部の耐光性・耐水性に優れたイン
クジェット記録用シートを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 瑞木 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA05 EA13 FC06 2H086 BA01 BA15 BA33 BA34 BA35 BA45

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)および式(2)で表される
    単位のうち少なくとも1つを有する重合体と下記式
    (3)で表される化合物との反応物を含むことを特徴と
    するインクジェット記録用シート。 【化1】 [式(3)中、Yはアミノ基と化学反応して結合を形成
    する基、Z1はN−Xを含む3員環以上の置換基を有し
    ていてもよい含窒素複素環を形成可能な原子群を表す。
    また、Xは、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ
    基、オキシラジカル基、ヒドロキシル基、または、加水
    分解によってイミノ基若しくはヒドロキシルイミノ基を
    生成する基を表す。]
  2. 【請求項2】 前記Xで表される基が、オキシラジカル
    基であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェ
    ット記録用シート。
  3. 【請求項3】 支持体上に色材受容層を有するインクジ
    ェット記録用シートであって、前記色材受容層が、無機
    顔料微粒子と、水溶性樹脂と、前記反応物と、を含むこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェッ
    ト記録用シート。
  4. 【請求項4】 前記色材受容層は、さらに、前記水溶性
    樹脂を架橋し得る架橋剤を含むことを特徴とする請求項
    3に記載のインクジェット記録用シート。
  5. 【請求項5】 前記色材受容層は、前記支持体上に前記
    無機顔料微粒子と前記水溶性樹脂とを含む第1の溶液を
    塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形
    成される塗布層の乾燥途中であって、前記塗布層が減率
    乾燥速度を示すようになる前、および(3)前記塗布層
    を乾燥して塗膜を形成した後、の少なくともいずれか
    に、前記反応物を含む第2の溶液を付与して得られるこ
    とを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェッ
    ト記録用シート。
  6. 【請求項6】 前記第1および第2の溶液の少なくとも
    いずれかの溶液に前記架橋剤を添加して付与、または、
    前記第1および第2の溶液とは別の前記架橋剤を含む溶
    液を付与することで得られることを特徴とする請求項5
    に記載のインクジェット記録用シート。
  7. 【請求項7】 前記架橋剤が、ホウ素化合物であること
    を特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のインクジ
    ェット記録用シート。
  8. 【請求項8】 前記無機顔料微粒子が、平均一次粒子径
    が20nm以下のシリカ微粒子であることを特徴とする
    請求項3〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用
    シート。
  9. 【請求項9】 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコー
    ルまたはその誘導体であることを特徴とする請求項3〜
    8のいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
  10. 【請求項10】 前記色材受容層が、空隙率50〜80
    %の三次元網目構造を有し、かつ無機顔料微粒子(i)
    と水溶性樹脂(p)との質量比(i:p)が1.5:1
    〜10:1の範囲内にあることを特徴とする請求項3〜
    9のいずれかに記載のインクジェット記録用シート。
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