JP2003103901A - インクジェット記録用シート - Google Patents

インクジェット記録用シート

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JP2003103901A
JP2003103901A JP2001296891A JP2001296891A JP2003103901A JP 2003103901 A JP2003103901 A JP 2003103901A JP 2001296891 A JP2001296891 A JP 2001296891A JP 2001296891 A JP2001296891 A JP 2001296891A JP 2003103901 A JP2003103901 A JP 2003103901A
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coating
fine particles
recording sheet
ink
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JP2001296891A
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English (en)
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Ryoichi Nakano
良一 中野
Takashi Kobayashi
孝史 小林
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 他のインク受容性能を低下させることなく、
良好なインク吸収性を有し、光沢感および耐経時ニジミ
に優れ、太陽光や蛍光灯等の光照射下でも高い耐光性を
示すインクジェット記録用シートを提供すること。 【解決手段】 支持体表面に、色材受容層を有するイン
クジェット記録用シートであって、前記色材受容層は、
前記支持体表面に、アルミナ微粒子をカチオンポリマー
で分散して得られる分散液と水溶性樹脂と該水溶性樹脂
を架橋し得る架橋剤とを含む塗布液を塗布し、該塗布に
よって形成される塗布層を、20℃以下に冷却後、20
〜70℃で乾燥して形成されることを特徴とするインク
ジェット記録用シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インク、油性
インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液
状化させて印画に供する固体状インク等を用いたインク
ジェット記録に適した被記録材に関し、詳しくは、イン
ク受容性能に優れたインクジェット記録用シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、情報産業の急速な発展に伴い、種
々の情報処理システムが開発され、その情報システムに
適した記録方法および装置も開発され、各々実用化され
ている。上記記録方法の中で、インクジェット記録方法
は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)
が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛
性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆる
ホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】また、近年のインクジェットプリンタの高
解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を
得ることも可能になってきている。さらに、ハード(装
置)の発展に伴って、インクジェット記録用の記録シー
トも各種開発されてきている。上記インクジェット記録
用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、
(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこ
と)、(2)インクドットの径が適正で均一であること
(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であるこ
と、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が
高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこ
と)、(7)印画部の耐光性、耐水性が良好なこと、
(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シー
トの保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさ
ないこと)、(10)変形しにくく、寸法安定性が良好
であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハー
ド走行性が良好であること等が挙げられる。更に、いわ
ゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられる
フォト光沢紙の用途としては、上記特性に加えて、光沢
性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い
等も要求される。
【0004】インクジェット記録に用いられる記録用シ
ートとしては、例えば、特開昭55−51583号公
報、同55−144172号公報、同55−15039
5号公報、同56−148582号公報、同56−14
8583号公報、同56−148584号公報、同56
−148585号公報、同57−14091号公報、同
57−38185号公報、同57−129778号公
報、同57−129979号公報、同60−21908
4号公報、同60−245588号公報等に記載されて
いる、シリカ等の顔料と水溶性バインダーとを、紙また
はプラスチックフイルム等の支持体上に塗布したものが
知られている。しかしながら、これら提案された記録シ
ートにおいては、いずれも光沢性が非常に低く、フォト
光沢紙の用途としては不十分であった。
【0005】さらに、特開平4−223190号公報で
は、硼砂または硼酸を0.1g/m 2以上塗工してなる
基紙に、5〜20g/m2の合成シリカ、およびポリビ
ニルアルコール(PVA)からなる記録層が設けられた
インクジェット記録用紙が提案されている。上記技術
は、単にバインダー含有量が少ない記録層の塗膜強度を
向上させることを目的としたものであり、光沢の点で劣
るため、フォト光沢紙の用途としては不十分であった。
【0006】また、光沢性を得るために各種水溶性ポリ
マーを用いた記録材料が提案されている。例えば、特開
昭58−89391号公報、同58−134784号公
報、同58−134786号公報、同60−44386
号公報、同60−132785号公報、同60−145
879号公報、同60−168651号公報、同60−
171143号公報等に記載の、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、またはゼラチン等を紙また
はプラスチックフイルム等の支持体上に塗布したものが
知られている。これらの記録シートも光沢性の点では優
れるがインク速乾性の点で劣るため、フォト光沢紙の用
途としては不十分であった。
【0007】他方、特開平7−276789号公報、同
8−174992号公報、同11−115308号公
報、同11−192777号公報等では、上述のインク
ジェット記録用シートの要求特性、製造コストを満足す
るインクジェット記録用シートが提案されている。上記
特開平7−276789号公報では、無機顔料微粒子お
よび水溶性樹脂によって形成され、高い空隙率を持った
三次元構造を有する色材受容層が、支持体上に設けられ
た記録用シートが提案されている。この構成によれば、
上述のインク吸収性が向上し、印画時の混色ニジミが十
分に抑制され、解像度の高い画像を得ることができると
されている。この色材受容層は、一般に、小粒径の粒子
を多量に含有させて形成できるが、層形成のバインダー
量を空隙が形成できるように少なくする必要があるた
め、塗布層を急激に乾燥させるとひび割れが発生し、色
材受容層の透明性および外観が損なわれるといった欠点
があった。
【0008】インク受容層のひび割れを防止する方法と
して、特開平9−109545号公報では、塗布液のバ
インダーの粘度を比較的高くする方法が提案されている
が、この方法では、作業性の低下や塗布ムラが発生する
等のおそれがあり、実用上有効であるレベルには至って
いない。また、特開平7−76161号公報、同10−
119423号公報では、無機粒子、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、ホウ酸若しくはホウ酸塩からなる塗布
液を用いるひび割れ防止方法が開示されているが、この
方法の場合も、塗布液の粘度が上昇するため作業性の低
下が大きく、液の経時安定性にも問題があり、実用上有
効なレベルには至っていない。
【0009】上記特開平10−119423号公報、ま
たは同10−217601号公報等では、微細な無機顔
料粒子および水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を持つ色
材受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用
シートが提案されている。上記各インクジェット記録用
シートは、その構成からインク吸収性に優れ、高解像度
の画像を形成しうる高いインク受容性能を有し、かつ高
光沢を示す。しかしながら、光沢性と風合いの観点か
ら、支持体としてその両側の表面にポリエチレン等の樹
脂コートが施された支持体を用いるため、色材受容層中
に含まれる高沸点溶媒が蒸発せず、また該溶媒が支持体
に吸収されない。このため、色材受容層中にそのまま高
沸点溶媒が残存し、印画後、高温高湿環境下に長時間保
存されると、色材受容層中で該溶媒が染料と共に拡散し
て、経時による画像のニジミ(以下、「経時ニジミ」と
いうことがある。)を生ずるという問題があった。
【0010】また、特開平2000ー158807号公
報には、ポリビニルアルコールと無機顔料微粒子と硬膜
剤とを含有するインクジェット記録用紙が提案されてい
る。該インクジェット記録紙は、無機顔料微粒子、硬膜
剤およびポリビニルアルコールからなるインク吸収層
(色材受容層)を有し、光沢性、耐水性に優れ、インク
吸収層のひび割れを改善している。しかし、上記インク
ジェット記録用紙はインク吸収層(色材受容層)に用い
る無機顔料微粒子として主にシリカ微粒子と酸化チタン
とを用いているが、インク吸収層(色材受容層)にシリ
カ微粒子を用いると形成した画像の耐光性に劣るといっ
た問題がある。
【0011】特開平11−321078号公報等にはシ
リカ微粒子の代わりに微細なアルミナを用いたインクジ
ェット記録用シートが提案されている。しかし、上記公
報に記載された被記録材(記録用シート)は、アルミナ
を窒素原子含有モノカルボン酸(低分子)で分散させた
分散液を用いるため、高光沢にならないなどの問題が生
じる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、色材受
容層が、ひび割れ等の発生がなく強固である一方、高解
像度な画像が形成できると共に、その形成画像が耐水
性、印画濃度、鮮鋭性に優れるといったインク受容性能
を備えながら、良好なインク吸収性を有し、光沢感、耐
経時ニジミおよび耐光性に優れるインクジェット記録用
シートは、未だ提供されていないのが現状である。
【0013】本発明は、前記従来における諸問題を解決
し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、第
一に、本発明は、他のインク受容性能を低下させること
なく、良好なインク吸収性を有し、光沢感および耐経時
ニジミに優れ、太陽光や蛍光灯等の光照射下でも高い耐
光性を示すインクジェット記録用シートを提供すること
を目的とする。第二に、本発明は、ひび割れ等の発生が
なく強固で、高解像度な画像を形成し、画像の印画濃度
および耐水性に優れるインクジェット記録用シートを提
供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> 支持体表面に、色材受容層を有するインクジェ
ット記録用シートであって、前記色材受容層は、前記支
持体表面に、アルミナ微粒子をカチオンポリマーで分散
して得られる分散液と水溶性樹脂と該水溶性樹脂を架橋
し得る架橋剤とを含む塗布液を塗布し、該塗布によって
形成される塗布層を、20℃以下に冷却後、20〜70
℃で乾燥して形成されることを特徴とするインクジェッ
ト記録用シートである。
【0015】<2> 前記アルミナ微粒子は、平均一次
粒子径が5〜100nmであることを特徴とする<1>
のインクジェット記録用シートである。
【0016】<3> 前記架橋剤は、ホウ素化合物であ
ることを特徴とする<1>または<2>のインクジェッ
ト記録用シートである。
【0017】
【発明の実施の形態】《インクジェット記録用シート》
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体表面
に、色材受容層を有するインクジェット記録用シートで
あって、該色材受容層は、前記支持体表面に、アルミナ
微粒子をカチオンポリマーで分散して得られる分散液
(以下「アルミナ分散液」という場合がある。)と水溶
性樹脂と該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤とを含む塗布
液を塗布し、該塗布によって形成される塗布層を、20
℃以下に冷却後、20〜70℃で乾燥して形成されるこ
とを特徴とする。
【0018】本発明のインクジェット記録用シートにお
ける色材受容層は、アルミナ微粒子をカチオンポリマー
で分散させ、水溶性樹脂との混合時におこる凝集を抑制
し分散性に優れ粒子径の小さい塗布液を用いて形成され
る。このため、光沢度が高く、インク吸収速度および耐
光性に優れ、経時ニジミの発生が少ない。さらに、色材
受容層に、アルミナ微粒子、カチオンポリマー、水溶性
樹脂および架橋剤を併用することで、ひび割れ等の発生
がない強固な色材受容層を形成することができ、形成画
像の印画濃度、耐水性、および鮮鋭性等を向上させるこ
とができる。
【0019】〈色材受容層〉まず、色材受容層に含まれ
る各材料について説明する。本発明における色材受容層
は、少なくとも、アルミナ微粒子とカチオンポリマーと
水溶性樹脂と架橋剤とを含み、その他必要に応じて各種
添加剤を含んでいてもよい。
【0020】(アルミナ微粒子)本発明における色材受
容層はアルミナ微粒子を含有する。該アルミナ微粒子を
色材受容層に用いると、シリカ微粒子を用いた場合と同
等に、インクの吸収性および保持の効率が高い。また、
屈折率が低いため、適切な粒子径まで分散をおこなえば
色材受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発
色性が得られ、さらに、シリカ微粒子を用いた場合に比
して高い耐光性を発揮することができる。色材受容層が
透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途
のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する
場合でも、高い色濃度と良好な発色性を得る観点で重要
である。
【0021】上記アルミナ微粒子としては、例えば、無
水若しくは含水アルミニウム酸化物等を挙げることがで
きる。例えば、無水アルミニウム酸化物としては、α−
アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナ
等の無水アルミナが挙げられ、含水アルミニウム酸化物
としては、ベーマイト、ギブサイト、バイヤライト、ノ
ルストランダイト、ダイアスポア、トーダイト、アルミ
ナゲル等のアルミナ水和物等を挙げることができる。
【0022】これらの中でも好ましいアルミナ微粒子
は、δ−アルミナであり、また、製造方法による観点か
らは、気相法により製造されるアルミナ微粒子、すなわ
ち酸水素反応の際に発生する水の存在の下で、またその
ような反応に特徴的な温度において、気体状の金属塩化
物を加水分解することにより得られるアルミナ微粒子
が、特に好ましい。
【0023】上記アルミナ微粒子の形態としては、例え
ば、所定の粒子径を有する微細な粒子、微粒子、微細粒
子、粉体、微粉、微細粉等を採用することができ、その
平均一次粒子径は、5〜100nmであるのが好まし
く、特に5〜20nmであることが好ましい。上記アル
ミナ微粒子の平均一次粒径が上記範囲内にあると、空隙
率の大きい構造を形成することができ、さらにインクジ
ェット記録用シートのインク吸収性を向上させることが
できる。なお、上記平均一次粒子径は、例えば、電子顕
微鏡を用いて測定することができる。
【0024】本発明おけるアルミナ分散液中のアルミナ
の含有量は、60質量%以下が好ましく、5〜60質量
%がさらに好ましく、10〜50質量%が特に好まし
い。アルミナ微粒子の含有量が上記範囲内にあると、ア
ルミナ微粒子をより効果的に分散させることができる。
上記アルミナ分散液におけるアルミナ微粒子の含有量が
多くても60質量%以下であると、例えば、アルミナ分
散液中においてアルミナ微粒子同士の粒子間距離が短く
なること等に起因する増粘やゲル化等を効果的に抑制す
ることができる。
【0025】上記アルミナ分散液におけるアルミナの含
有量が60質量%以下、特に5〜60質量%の範囲であ
り、さらに上記カチオンポリマーを用いて分散すると、
例えば、このアルミナ分散液の粘度を50〜1000m
Pa・sに容易に調節することができるので、取り扱い
性に優れたアルミナ分散液を得ることができる。
【0026】本発明における水系分散媒としては非アル
カリ性の水系分散媒を挙げることができる。該非アルカ
リ性の水系分散媒としては、例えば、水、メタノール、
エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エ
チル、および、エチレングリコールからなる群より選択
される少なくとも1種の水系溶媒、これらの中から選択
される2種以上を混合した水系混合溶媒等を挙げること
ができる。
【0027】上記水系混合溶媒としては、例えば、水と
イソプロピルアルコールとの混合溶媒、水とメタノール
および/またはエタノールとの混合溶媒、水とエチレン
グリコールとイソプロピルアルコールとの混合溶媒、水
とエチレングリコールとイソプロピルアルコールと酢酸
エチルとの混合溶媒等を挙げることができる。
【0028】(カチオンポリマー)本発明はアルミナ微
粒子の凝集を防止するためにカチオンポリマーを用い
る。以下、アルミナ微粒子の凝集を防止するために添加
するカチオンポリマーを単に「凝集防止剤」という場合
がある。上記凝集防止剤として用いるカチオンポリマー
としては第1級〜第3級アミノ基およびその塩、第4級
アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーが好ましく
用いられるが、カチオン性の非ポリマーも併用すること
ができる。上記カチオンポリマーは、ポリジアリルジメ
チルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキ
シエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウム
クロライド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン塩
酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷ
ん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2
−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミ
ジン等、あるいは、下記第4級アンモニウム塩基等のカ
チオン性基を有するモノマーの単独重合体やその他のモ
ノマーとの共重合体若しくは縮重合体として得られるも
のが好ましい。
【0029】カチオン性基を有するモノマーとしては、
例えばトリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムク
ロライド、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2
−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチ
ル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピ
ル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾー
ル、N−ビニル−2−メチルイミタゾール、N−(3−
ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキ
シルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメ
チル−(メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロ
ライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノ
プロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0030】上記他のモノマーとして、例えば、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸プロピル.(メタ)アクリル酸イソプロピ
ル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリ
ル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、
(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸オク
チル、(メタ)アクリル酸−2−エチルへキシル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリ
ルなどの(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステ
ルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル
[(メタ)アクリル酸シクロへキシルなど]、(メタ)
アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェ
ニルなど]、アラルキルエステル[(メタ)アクリル酸
ベンジルなど]、芳香族ビニル類[スチレン、ビニルト
ルエン、α−メチルスチレンなど]、ビニルエステル類
[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビ
ニルなど]、アリルエステル類[酢酸アリルなど]、ハ
ロゲン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルな
ど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルな
ど]、オレフィン類[エチレン、プロピレンなど]など
が挙げられる。これらの非イオン性単量体も単独で、若
しくは、二種以上を組合せて使用できる。また、メチル
アクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリ
レート、エチルメタアクリレート、等のモノマーが好適
に用いられる。
【0031】上記カチオンポリマーは水溶性ポリマーと
しても、また、水分散性のラテックス粒子など、何れの
形でも使用することができる。凝集防止剤として用いる
カチオンポリマーとしては、下記具体例(化合物(1)
〜(4))を好適に使用することができる。但し、本発
明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化1】
【0033】凝集防止剤として用いるカチオンポリマー
の分子量としては、重量平均分子量で1000〜200
000程度が好ましく、2000〜100000程度が
さらに好ましく、3000〜60000程度が特に好ま
しい。上記分子量が1000未満では耐水性が不十分と
なる傾向があり、200000を超えると粘度が高くな
り、ハンドリング適性が不良となる場合がある。上記凝
集防止剤として用いるカチオンポリマーの添加量は、ア
ルミナ微粒子に対して、1〜10質量%が好ましく、1
〜5質量%がさらに好ましい。該添加量が、1質量%未
満では分散性に劣る場合があり、10質量%を超えると
インクジェット記録用シートに印画した際、色濃度が低
下することがあるため好ましくない。
【0034】また、上記アルミナ微粒子と凝集防止剤と
からなるアルミナ分散液の調製は、アルミナ微粒子水分
散液をあらかじめ調製し、該水分散液を凝集防止剤水溶
液に添加してもよいし、凝集防止剤水溶液をアルミナ微
粒子水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよ
い。また、アルミナ微粒子水分散液ではなく、粉体のア
ルミナ微粒子を用いて上記のように凝集防止剤水溶液に
添加してもよい。上記のアルミナ微粒子と凝集防止剤と
を混合した後、該混合液を分散機を用いて細粒化するこ
とで、水分散液を得ることができる。該水分散液を得る
ために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体攪
拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分
散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各
種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ
状微粒子の分散を効率的におこなうという点から、コロ
イドミル分散機または高圧分散機が好ましい。
【0035】(水溶性樹脂)上記水溶性樹脂としては、
例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する
樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオ
ン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニル
アルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポ
リビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロ
ース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシ
エチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロ
ース(CMC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプ
ン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキ
サイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PP
O)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニル
エーテル(PVE);アミド基またはアミド結合を有す
る樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビ
ニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離
性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸
塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類を挙げ
ることができる。上記の中でも、特にポリビニルアルコ
ール類が好ましい。
【0036】上記水溶性樹脂の含有量としては、色材受
容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好まし
く、16〜33質量%がさらに好ましい。上記含有量
が、9質量%未満であると、膜強度が低下し、乾燥時に
ひび割れを生じやすくなることがあり、40質量%を超
えると、空隙が樹脂によって塞がれやすくなる結果、空
隙率が減少してインク吸収性が低下することがある。
【0037】色材受容層を主として構成する、上記アル
ミナ微粒子と上記水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材で
もよいし、複数の素材の混合系であってもよい。
【0038】また、透明性の観点から、アルミナ微粒子
に組合わせる樹脂の種類が重要となる。上記アルミナ微
粒子を用いる場合には、水溶性樹脂としては、ポリビニ
ルアルコール(PVA)が好ましく、中でも、鹸化度7
0〜99%のPVAがさらに好ましく、鹸化度70〜9
0%のPVAが特に好ましい。
【0039】上記PVAは、その構造単位に水酸基を有
するが、この水酸基とアルミナ微粒子表面とが水素結合
を形成して、アルミナ微粒子の二次粒子を鎖単位とする
三次元網目構造を形成しやすくする。上記三次元網目構
造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造の色材受容
層を形成しうると考えられる。インクジェット記録にお
いて、上述のようにして得た多孔質の色材受容層は、毛
細管現象によって急速にインクを吸収し、インクニジミ
のない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0040】−アルミナ微粒子と水溶性樹脂との含有比
− アルミナ微粒子(i)と水溶性樹脂(p)との含有比
〔PB比(i:p)、水溶性樹脂1質量部に対するアル
ミナ微粒子の質量〕は、色材受容層の膜構造にも大きな
影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率、
細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。具体
的には、上記PB比(i:p)としては、2:1〜1
0:1が好ましい。上記PB比が10:1を超える、即
ち、PB比が大きくなりすぎると、膜強度が低下し、乾
燥時にひび割れを生じやすくなることがあり、2:1未
満、即ちPB比が小さすぎると、空隙が樹脂によって塞
がれやすくなる結果、空隙率が減少してインク吸収性が
低下することがある。
【0041】例えば、平均一次粒子径が20nm以下の
アルミナ微粒子と水溶性樹脂とをPB比2:1〜10:
1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布
し、該塗布層を乾燥した場合、アルミナ微粒子の二次粒
子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔
径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容
積0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上
の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0042】(架橋剤)本発明のインクジェット記録用
シートの色材受容層は、アルミナ微粒子および水溶性樹
脂を含む塗布層(多孔質層)に、更に上記水溶性樹脂を
架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と上記水溶性樹脂と
の架橋反応によって硬化された層である。本発明におけ
る色材受容層は、架橋剤によって硬化されることで膜強
度および耐水性が向上する。該架橋剤を用いずに、色材
受容層を形成すると膜強度が著しく低下し、色材受容層
表面にひび割れが発生してしまう。
【0043】上記架橋剤は、本発明におけるカチオンポ
リマーでアルミナ微粒子を分散させた後にアルミナ分散
液に添加する。該架橋剤の添加は、アルミナ分散液に上
記水溶性樹脂を添加する前におこなうのが好ましい。上
記架橋剤を水溶性樹脂よりも後に添加すると、色材受容
層の膜強度が低下し表面にひび割れが生じる場合があ
る。
【0044】上記水溶性樹脂を架橋しうる架橋剤として
は、色材受容層に用いられる水溶性樹脂との関係で好適
な物を適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速
である点から、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合
物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オ
ルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaB
3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩
(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩
(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、K
BO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H
2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2
611・7H2O、CsB55)が挙げられる。上記架
橋剤としては、その他、グリオキザール、メラミン・ホ
ルムアルデヒド(例えば、メチロールメラミン、アルキ
ル化メチロールメラミン)、メチロール尿素、レゾール
樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂等を挙げるこ
とができる。中でも、ポリビニルアルコールと速やかに
架橋反応を起こす点で、硼砂、硼酸、硼酸塩等のホウ素
化合物が好ましく、硼酸がより好ましい。
【0045】上記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場
合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている、以下の
化合物を架橋剤として用いることができる。例えば、ホ
ルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒ
ド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタ
ンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル
尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,
5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジ
ン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルス
ルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノー
ル、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタ
ミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ
−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル
尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロ
ール化合物;
【0046】1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第301
7280号、同第2983611号に記載のアジリジン
系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載の
カルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジ
ルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチ
レン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ
系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等の
ハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジ
ヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム
明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等
である。なお、上記架橋剤は、一種単独でも、2種以上
を組合わせてもよい。
【0047】上記塗布液中の架橋剤の含有量としては、
0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%が特
に好ましい。
【0048】(他の成分)色材受容層は、必要に応じて
下記成分を含んでいてもよい。色材の劣化を抑制する目
的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素ク
エンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。上記紫
外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘
導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げら
れる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o
−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾ
ール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール
−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリ
アゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙
げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤
として使用でき、具体的には少なくとも2位または6位
のうち1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノ
ール誘導体が好ましい。
【0049】また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系
紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線
吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−1053
7号公報、同58−111942号公報、同58−21
2844号公報、同59−19945号公報、同59−
46646号公報、同59−109055号公報、同6
3−53544号公報、特公昭36−10466号公
報、同42−26187号公報、同48−30492号
公報、同48−31255号公報、同48−41572
号公報、同48−54965号公報、同50−1072
6号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同
3,707,375号明細書、同3,754,919号
明細書、同4,220,711号明細書等に記載されて
いる。
【0050】蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用で
き、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具
体的には、特公昭45−4699号公報、同54−53
24号公報等に記載されている。
【0051】上記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開
特許第223739号公報、同309401号公報、同
309402号公報、同310551号公報、同第31
0552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開
特許第3435443号公報、特開昭54−48535
号公報、同60−107384号公報、同60−107
383号公報、同60−125470号公報、同60−
125471号公報、同60−125472号公報、同
60−287485号公報、同60−287486号公
報、同60−287487号公報、同60−28748
8号公報、同61−160287号公報、同61−18
5483号公報、同61−211079号公報、同62
−146678号公報、同62−146680号公報、
同62−146679号公報、同62−282885号
公報、同62−262047号公報、同63−0511
74号公報、同63−89877号公報、同63−88
380号公報、同66−88381号公報、同63−1
13536号公報、
【0052】同63−163351号公報、同63−2
03372号公報、同63−224989号公報、同6
3−251282号公報、同63−267594号公
報、同63−182484号公報、特開平1−2392
82号公報、特開平2−262654号公報、同2−7
1262号公報、同3−121449号公報、同4−2
91685号公報、同4−291684号公報、同5−
61166号公報、同5−119449号公報、同5−
188687号公報、同5−188686号公報、同5
−110490号公報、同5−1108437号公報、
同5−170361号公報、特公昭48−43295号
公報、同48−33212号公報、米国特許第4814
262号、同第4980275号公報等に記載のものが
挙げられる。
【0053】具体的には、6−エトキシ−1−フェニル
−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメ
チル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−
フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−
2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒ
ドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2
−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチ
ル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0054】上記褪色防止剤は、単独でも2種以上を併
用してもよい。この上記褪色防止剤は、水溶性化、分
散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に
含ませることもできる。上記褪色防止剤の添加量として
は、色材受容層塗布液の0.01〜10質量%が好まし
い。
【0055】また、アルミナ微粒子の分散性を高める目
的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等
を含んでいてもよい。更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電
を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子
を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を
含んでいてもよい。
【0056】〈色材受容層の形成方法〉次に、色材受容
層の形成方法について述べる。本発明の色材受容層は、
少なくともアルミナ微粒子をカチオンポリマーで分散し
て得られるアルミナ分散液に架橋剤と水溶性樹脂とを添
加した塗布液(色材受容層用塗布液)を、支持体表面に
塗布し、該塗布によって形成される塗布層を20℃以下
に冷却後、20〜70℃の温度で乾燥することで形成さ
れる。
【0057】本発明において、アルミナ微粒子をカチオ
ンポリマーによって分散して得られる分散液と架橋剤
(例えばホウ素化合物)と水溶性樹脂(例えばPVA)
とを含んでなる色材受容層用の塗布液は、例えば、以下
のようにして調製できる。即ち、アルミナ微粒子を水中
に添加して(例えば、10〜20質量%)、さらに、凝
集防止剤として用いるカチオンポリマーを添加して、高
速回転湿式コロイドミル(例えば、クレアミックス(エ
ム・テクニック(株)製))を用いて、例えば1000
0rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の
高速回転の条件で20分間(好ましくは10〜30分
間)分散させた後、ホウ素化合物(例えば、0.1〜3
質量%)およびポリビニルアルコール水溶液(例えば、
アルミナ微粒子の1/4程度の質量のPVAとなるよう
に)をこの順に加え、さらに上記と同じ回転条件で分散
をおこなうことによって調製することができる。得られ
た色材受容層用塗布液は均一ゾルであり、これを下記塗
布方法で支持体上に塗布し、塗布層を形成する。尚、本
発明において「塗布層」とは、支持体表面に塗布され膜
状となった塗布液が、乾燥される前の状態を意味する。
上記色材受容層用塗布液には、必要に応じて、さらに界
面活性剤、pH調整剤、帯電防止剤等を添加することも
できる。
【0058】上記色材受容層用塗布液の塗布は、例え
ば、エクストルージョンダイコータ、エアードクターコ
ータ、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、
スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等
の公知の塗布方法によっておこなうことができる。
【0059】また、上述の塗布における各工程では、溶
媒として水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒を用い
ることができる。この塗布に用いることができる有機溶
媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアル
コール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチ
ル、トルエン等が挙げられる。
【0060】次いで、支持体表面に形成された塗布層の
表面温度が20℃以下になるまで冷却する。上記表面温
度が20℃より高いまま塗布層を乾燥すると、ひび割れ
などが生じる。該冷却は、塗布層の表面温度が好ましく
は15℃以下、更に好ましくは10℃以下になるまでお
こなうのが好ましい。これにより塗布液の粘度が増粘し
て強固な三次元構造が形成されて、膜強度が向上し、色
材受容層のひび割れを防止することができる。上記冷却
温度の下限としては、乾燥温度を上げづらい点から0℃
以上が好ましい。
【0061】この三次元構造は、アルミナ微粒子、カチ
オンポリマー、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂お
よびホウ素化合物等の架橋剤が複雑に絡み合ってもたら
されているものと推定される。
【0062】上記塗布層の冷却は通常は20℃以下の雰
囲気中を通過させることで行うが、好ましくは15℃以
下、特に好ましくは10℃以下の雰囲気を通過させるこ
とでおこなうことが出来る。この温度に保持する時間
は、塗布する塗布液の温度や湿潤膜厚、支持体の厚み等
により変化するが、通常の塗布液温度(35〜50℃)
であれば通常5〜100秒、好ましくは10〜50秒の
範囲である。
【0063】冷却後、支持体に形成された塗布層は、2
0〜70℃、好ましくは30〜60℃の風を吹き付けて
乾燥される。これにより、三次元網目構造を有する多孔
質性の色材受容層を形成することができる。上記乾燥温
度が20℃未満であると、乾燥不十分となり、70℃を
超えると、ひび割れが生じる。この場合、冷却ゾーンか
らすぐに高温乾燥するといったん形成された三次元構造
が破壊されてひび割れが起きやすくなるために、冷却後
の乾燥温度は通常50℃以下にするのが好ましい。
【0064】乾燥する際の風の湿度は通常10〜50%
の範囲程度が好ましいが、完全に乾燥した後では、30
〜70%の相対湿度で一定時間(例えば20〜180秒
間)超湿するのがさらに好ましい。上記乾燥時間として
は、塗布層を十分に乾燥できる程度の時間であれば特に
限定はないが、通常20〜100秒程度である。
【0065】支持体上に色材受容層を形成した後、該色
材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレン
ダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレ
ンダー処理を施すことによって、表面平滑性、光沢度、
透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。
しかしながら、上記カレンダー処理は、空隙率を低下さ
せる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が
低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件
を設定しておこなう必要がある。
【0066】カレンダー処理をおこなう場合のロール温
度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100
℃がさらに好ましい。また、カレンダー処理時のロール
間の線圧としては、50〜400kg/cmが好まし
く、100〜200kg/cmがさらに好ましい。
【0067】上記色材受容層の層厚は、インクジェット
記録用シートの場合では、液滴を全て吸収するだけの吸
収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で
決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm
2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μ
m以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インク
ジェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、
10〜50μmが好ましい。
【0068】また、色材受容層の細孔径は、メジアン径
で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜
0.025μmがさらに好ましい。上記空隙率および細
孔メジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサ
イザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用い
て測定することができる。
【0069】また、色材受容層は、透明性に優れている
ことが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透
明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30
%以下であることが好ましく、20%以下であることが
さらに好ましい。上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(H
GM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定するこ
とができる。
【0070】〈支持体〉上記支持体としては、プラスチ
ック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材
料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。色材
受容層の透明性を生かす上では、透明支持体または高光
沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
【0071】上記透明支持体に使用可能な材料として
は、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使
用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ま
しい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、
ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネ
ート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポ
リエステル類が好ましく、ポリエチレンテレフタレート
は特に好ましい。上記透明支持体の厚みとしては、特に
制限はないが、取り扱い性の点で、50〜200μmが
好ましい。
【0072】高光沢性の不透明支持体としては、色材受
容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有す
るものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−814
2(紙および板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載
の方法に従って求められる値である。具体的には、下記
支持体が挙げられる。
【0073】例えば、アート紙、コート紙、キャストコ
ート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等
の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート
(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セ
ルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート
等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニ
レンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ
アミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有さ
せて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていて
もよい。)高光沢性のフィルム;或いは、上記各種紙支
持体、上記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高
光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含
有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体が
挙げられる。更に、白色顔料含有発泡ポリエステルフィ
ルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸
により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げること
ができる。
【0074】上記不透明支持体の厚みについても特に制
限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好
ましい。
【0075】また、上記支持体には、コロナ放電処理、
グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施した
ものを使用してもよい。
【0076】次に、上記紙支持体に用いられる原紙につ
いて詳述する。上記原紙としては、木材パルプを主原料
とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン
などの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルな
どの合成繊維を用いて抄紙される。上記木材パルプとし
ては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LD
P、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いること
ができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LB
SP、NDP、LDPをより多く用いることが好まし
い。但し、LBSPおよび/またはLDPの比率として
は、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0077】上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ
(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、
漂白処理をおこなって白色度を向上させたパルプも有用
である。
【0078】原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテン
ダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化
チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白
剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散
剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加する
ことができる。
【0079】抄紙に使用するパルプの濾水度としては、
CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、
叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される
24メッシュ残分質量%と42メッシュ算分の質量%と
の和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分
の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0080】原紙の坪量としては、30〜250gが好
ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さと
しては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段
階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与える
こともできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(J
IS P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度
としては、JIS P−8143に規定される条件で2
0〜200gが好ましい。
【0081】原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよ
く、表面サイズ剤としては、上記原紙中添加できるサイ
ズと同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JI
S P−8113で規定された熱水抽出法により測定さ
れた場合、5〜9であることが好ましい。
【0082】原紙表面および裏面を被覆するポリエチレ
ンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)およ
び/または高密度のポリエチレン(HDPE)である
が、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用する
ことができる。
【0083】特に、色材受容層を形成する側のポリエチ
レン層は、写真用印画紙で広くおこなわれているよう
に、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチ
レン中に添加し、不透明度および白色度を改良したもの
が好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリ
エチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4
〜13質量%がより好ましい。
【0084】ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用い
ることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し
出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理をお
こなって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や
絹目面を形成したものも使用できる。
【0085】以上のように、本発明によれば、他のイン
ク性能を低下させることなく、光沢度、インク吸収速
度、耐経時ニジミおよび耐光性を向上させることができ
る。しかも、色材受容層がアルミナ微粒子を含んで空隙
率50〜80%の三次元網目構造を有すると、良好なイ
ンク吸収性を示し高解像度な画像が形成できると共に、
高温高湿環境下での経時ニジミも抑制され、形成された
画像も高い耐光性、耐水性を示すといった、優れたイン
ク受容性能をも同時に確保することができる。
【0086】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、
実施例中の「部」および「%」は、特に指定しない限り
「質量部」および「質量%」を表し、「WM」に続く数
字は「重量平均分子量」を表し、「重合度」は「重量平
均重合度」を表す。
【0087】[実施例1] −支持体の作製− 秤量186g/m2のアート紙(OK金藤;王子製紙
(株)製)にコロナ放電処理をおこなった後、溶融押出
機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるよ
うにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成し
た(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面
側の樹脂層にさらにコロナ放電処理を施し、その後、帯
電防止剤として、酸化アルミニウム(アルミナゾル10
0、日産化学工業(株)製)と二酸化ケイ素(スノーテ
ックスO、日産化学工業(株)製)とを1:2の比(質
量比)で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/
2となるように塗布した。
【0088】更に、樹脂層の設けられていない側のフェ
ルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナタ
ーゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、および蛍光増
白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有する、MFR
(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレン
を、溶融押出機を用いて、厚み24μmとなるように溶
融押し出しし、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側
に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称す
る。)、支持体とした。なお、支持体のオモテ面は塗布
液を塗布する前にコロナ放電処理をして使用した。
【0089】−色材受容層用塗布液の調製− 下記組成中のイオン交換水にアルミナ微粒子を混合し、
上記化合物(3)(本発明におけるカチオンポリマー)
をさらに混合し、ナノマイザーLA31(ナノマイザー
(株)製)を用いて、500kg/m2の圧力で2回処
理をおこなった後、ホウ酸を加え、さらに60分間攪拌
をおこない、下記組成中のポリビニルアルコール8%水
溶液を攪拌しながら加え、次いで、エマルゲン109P
(10%)水溶液を加え、色材受容層用塗布液Aを調製
した。アルミナ微粒子と水溶性樹脂との質量比は、3.
5:1であった。
【0090】 〔色材受容層用塗布液Aの組成〕 ・アルミナ微粒子 7.8部 (BET法による比表面積:100m2/g、平均一次粒子径10nm、 Aluminium Oxide C、日本エアロジル(株)製) ・イオン交換水 62.1部 ・上記化合物(3) 0.8部 (本発明におけるカチオンポリマー、固形分濃度60%、 PAS−M−1、日東紡(株)製、分子量20000) ・ポリビニルアルコール8%水溶液 21.3部 (PVA124、(株)クラレ製、鹸化度98.5%、重合度2400) ・ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1.0部 (ノニオン系界面活性剤;エマルゲン109P(10%)、花王(株)製) ・ホウ酸(架橋剤) 7.0部
【0091】−インクジェット記録用シートの作製− 得られた色材受容層用塗布液Aを支持体表面に塗布し、
塗布層表面が約7℃になるまで一度冷却した後、50℃
の風を5分間吹き付けて乾燥し、本発明のインクジェッ
ト記録用シート(1)を作製した。
【0092】[実施例2]実施例1において、色材受容
層用塗布液Aを下記組成の色材受容層用塗布液Bに変更
した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェッ
ト記録用シート(2)を作製した。
【0093】 〔色材受容層用塗布液Bの組成〕 ・アルミナ微粒子 7.8部 (BET法による比表面積:100m2/g、平均一次粒子径10nm、 Aluminium Oxide C、日本エアロジル(株)製) ・イオン交換水 67.1部 ・上記化合物(3) 0.8部 (本発明におけるカチオンポリマー、固形分濃度60%、 PAS−M−1、日東紡(株)製、分子量20000) ・ポリビニルアルコール8%水溶液 21.3部 (PVA124、(株)クラレ製、鹸化度98.5%、重合度2400) ・ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1.0部 (ノニオン系界面活性剤;エマルゲン109P(10%)、花王(株)製) ・ホウ砂(架橋剤) 2.0部
【0094】[実施例3]実施例1において、色材受容
層用塗布液Aを下記組成の色材受容層用塗布液Cに変更
した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェッ
ト記録用シート(3)を作製した。
【0095】 〔色材受容層用塗布液Cの組成〕 ・アルミナ微粒子 7.8部 (BET法による比表面積:100m2/g、平均一次粒子径10nm、 Aluminium Oxide C、日本エアロジル(株)製) ・イオン交換水 61.2部 ・上記化合物(4) 1.7部 (本発明におけるカチオンポリマー、固形分濃度28%、 PAS−H−5L、日東紡(株)製、分子量40000) ・ポリビニルアルコール8%水溶液 21.3部 (PVA124、(株)クラレ製、鹸化度98.5%、重合度2400) ・ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1.0部 (ノニオン系界面活性剤;エマルゲン109P(10%)、花王(株)製) ・ホウ酸(架橋剤) 7.0部
【0096】[比較例1]実施例1において色材受容層
用塗布液Aを、下記組成の色材受容層用塗布液Dに変更
した以外は実施例1と同様に比較用インクジェット記録
用シート(1)を作製したが、色材受容層のひび割れが
激しく、実用適性がなかった。
【0097】 〔色材受容層用塗布液Dの組成〕 ・アルミナ微粒子 7.8部 (BET法による比表面積:100m2/g、平均一次粒子径10nm、 Aluminium Oxide C、日本エアロジル(株)製) ・イオン交換水 62.1部 ・上記化合物(3) 0.8部 (本発明におけるカチオンポリマー、固形分濃度60%、 PAS−M−1、日東紡(株)製、分子量20000) ・ポリビニルアルコール8%水溶液 21.3部 (PVA124、(株)クラレ製、鹸化度98.5%、重合度2400) ・ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1.0部 (ノニオン系界面活性剤;エマルゲン109P(10%)、花王(株)製)
【0098】[比較例2] −比較用インクジェット記録用シート(2)の作製− 実施例1における色材受容層用塗布液Aを支持体表面に
塗布し、冷却せずに70℃の風を5分間吹き付けて乾燥
し、比較用インクジェット記録用シート(2)を作製し
た。
【0099】−評価方法− (1−1)光沢度 印画前の記録シートの色材受容層表面における60°光
沢度を、デジタル変角光沢度計(UGV−50DP,ス
ガ試験機(株)製)にて測定した。結果を表1に示す。
【0100】(1−2)インク吸収速度 インクジェットプリンター(PM−900C、セイコー
エプソン(株)製)を用いて、インクジェット記録用シ
ートに、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K
(黒)、B(青)、G(緑)およびR(赤)のベタ画像
を印画し、その直後(約10秒後)、該画像上に紙を接
触押圧し、インクの紙への転写の有無を下記の基準に従
って評価した。結果を表1に示す。 〔基準〕 AA:紙上へのインクの転写は全く認められなかった。
インク吸収速度が良好な事を示す。 CC:紙上へのインクの一部転写が認められた。
【0101】(1−3)経時ニジミ 上記(1−2)と同じプリンタを用いて、インクジェッ
ト記録用シート上にマゼンタインクとブラックインクと
を隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅0.2
8mm)を印画し、Xライト310TR(Xライト社
製)によってビジュアル濃度を測定した。さらに、印画
後3時間放置した後、40℃、相対湿度90%の恒温恒
湿槽に1日保管し、再度ビジュアル濃度を測定してその
濃度差(ΔOD)を算出した。該濃度差(ΔOD)の値
が小さいほど経時ニジミの発生は抑制されている。結果
を表1に示す。
【0102】(1−4)耐光性 上記(1−2)と同じプリンタを用いて、インクジェッ
ト記録用シート上にY(黄)、M(マゼンタ)、C(シ
アン)およびK(黒)のベタ画像を印画し、Xライト3
10TR(Xライト社製)によって各色のビジュアル濃
度を測定した。その後、印画した画像に対して365n
m以下の波長領域の紫外線をカットするフイルムを通し
て、Xenon weather−ometer Ci
65A(ATLAS社製)を用いて、25℃、相対湿度
32%の環境条件下で3.8時間ランプを点灯し、その
後、ランプを消した状態で、20℃、相対湿度91%の
環境条件下に1時間放置するサイクルを7日間おこなっ
た。その後、再度各色のビジュアル濃度を測定して各色
の中で残存率(試験前後での濃度変化率)が低いマゼン
タの残存率を算出した。結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】上記表1から、アルミナ微粒子をカチオン
ポリマーで分散させ、架橋剤およびポリビニルアルコー
ルを用い、乾燥前に塗布層を冷却した実施例1〜3は塗
布液が凝集することなく多孔質構造を形成し、光沢度、
インク吸収性、経時ニジミおよび耐光性のすべてにおい
て良好であった。これに対し、架橋剤を用いなかった比
較例1のインクジェット記録用シートは色材受容層が多
孔質構造を形成せず、色材受容層のひび割れが激しく上
記各評価をおこなうことができなかった。また、塗布層
の乾燥前に冷却おこなわなかった比較例のインクジェッ
ト記録用シートも比較例1と同様に、多孔質構造を形成
せず、上記各評価をおこなうことができなかった。
【0105】
【発明の効果】本発明は、他のインク受容性能を低下さ
せることなく、良好なインク吸収性を有し、光沢感およ
び耐経時ニジミに優れ、太陽光や蛍光灯等の光照射下で
も高い耐光性を示すインクジェット記録用シートを提供
することができる。また、本発明は、ひび割れ等の発生
がなく強固で、高解像度な画像を形成し、耐水性および
印画後の画像濃度に優れるインクジェット記録用シート
を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA01 BA15 BA33 BA35 BA37 BA46 4D075 BB18Z BB24Z BB93Z CA32 CA35 CA38 CA48 CB04 DA04 DB18 DB48 DB53 DC27 EA06 EA10 EA19 EB07 EB13 EB15 EB19 EB22 EB35 EB39 EB52 EB56 EC02 EC37 EC53

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体表面に、色材受容層を有するイン
    クジェット記録用シートであって、前記色材受容層は、
    前記支持体表面に、アルミナ微粒子をカチオンポリマー
    で分散して得られる分散液と水溶性樹脂と該水溶性樹脂
    を架橋し得る架橋剤とを含む塗布液を塗布し、該塗布に
    よって形成される塗布層を、20℃以下に冷却後、20
    〜70℃で乾燥して形成されることを特徴とするインク
    ジェット記録用シート。
  2. 【請求項2】 前記アルミナ微粒子は、平均一次粒子径
    が5〜100nmであることを特徴とする請求項1に記
    載のインクジェット記録用シート。
  3. 【請求項3】 前記架橋剤は、ホウ素化合物であること
    を特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット
    記録用シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006130810A (ja) * 2004-11-08 2006-05-25 Konica Minolta Photo Imaging Inc 熱転写受像シート及びその製造方法
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