JP2002151085A - ニッケル水素二次電池電極用バインダー、スラリーおよびニッケル水素二次電池 - Google Patents
ニッケル水素二次電池電極用バインダー、スラリーおよびニッケル水素二次電池Info
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Abstract
せ、かつ、結着が持続するニッケル水素二次電池バイン
ダーを提供すること。 【解決手段】 アルコール性水酸基を有する水溶性ポリ
マーの存在下に重合して得られる(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル系重合体を含有するニッケル水素二次電
池電極用バインダー。
Description
電池の電極用バインダー、電極用スラリー、電極および
二次電池に関し、より詳しくは、電池容量を向上したニ
ッケル水素二次電池、そのための電極、電極用スラリー
および電極用バインダーに関する。
をセパレーターを介して設置し、アルカリ電解液と共に
容器内に収納した構造を有するもので、正極は活物質で
ある水酸化ニッケルやオキシ水酸化ニッケル、導電性材
料であるコバルト粉末などを二次電池電極用バインダー
により相互に結着し、さらにそれらを金属集電体に結着
させたものであり、負極は活物質である水素吸蔵合金、
導電性材料であるニッケル粉末やカーボンをバインダー
により相互に結着し、さらにそれらを金属集電体に結着
させたものである。
は、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、水溶性
セルロース誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニ
ルピロリドンなどの水溶性ポリマーが用いられてきた
(特開平3−283362号公報、特開平4−1219
58号公報、特開平4−206345号公報、特開平4
−272656号公報、特開平6−140033号公
報、特開平9−63589号公報など)。しかし、水溶
性ポリマーを二次電池電極用バインダーに用いると、ポ
リマーがアルカリ性水溶液である電解液に溶解して電解
液の粘度を上昇させてイオンの移動度を低下させたり、
ポリマーが電解液を吸収して膨潤し、電極内に必要以上
の電解液を取り込んで電池内の適正な電解液のバランス
を崩して放電容量を低下させたりする問題を起こす。ま
た、ニッケル水素二次電池の場合、水溶性ポリマーの二
次電池電極用バインダーは水素吸蔵合金や導電性材料を
集電体に結着する力が弱いために、充放電サイクルの進
行に伴ってそれらが電極から脱落して電池容量が低下し
てゆくという問題を有していた。
質および集電体を相互に強固に結着させ、かつ、結着が
持続する二次電池電極用バインダーを提供すること、お
よび、電池容量が大きく、充放電サイクルを繰り返して
も電池容量が低下しにくいニッケル水素二次電池を提供
することにある。
を達成すべく鋭意研究した結果、水媒体中で、アルコー
ル性水酸基含有水溶性ポリマーの存在下で重合して得ら
れる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体がニ
ッケル水素二次電池電極用バインダーとして有効である
ことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに
至った。かくして本発明によれば、(1)水媒体中で、
アルコール性水酸基を有する水溶性ポリマーの存在下に
重合して得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステル
系重合体を含有するニッケル水素二次電池電極用バイン
ダー、(2)アルコールが添加された水媒体中で、アル
コール性水酸基を有する水溶性ポリマーの存在下に重合
して得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重
合体を含有するニッケル水素二次電池電極用バインダ
ー、(3)電極活物質および上記(1)または(2)に
記載のバインダーを液状媒体に溶解または分散させてな
る二次電池電極用スラリー、(4)電極活物質および上
記(1)または(2)記載のニッケル水素二次電池電極
用バインダーを含む混合層が集電体に結着してある二次
電池電極、および、(5)電極活物質および上記(1)
または(2)記載のニッケル水素二次電池電極用バイン
ダーを含む混合層が集電体に結着してある二次電池電極
を有するニッケル水素二次電池、が提供される。
極用バインダー(以下、単に「バインダー」と記すこと
がある。)は、水媒体中で、アルコール性水酸基含有水
溶性ポリマーの存在下に重合して得られる(メタ)アク
リル酸アルキルエステル(アクリル酸アルキルエステル
および/またはメタクリル酸アルキルエステルの意。以
下、同様。)系重合体を含有するものである。ここで、
「存在下に」とは、水媒体中にアルコール性水酸基含有
水溶性ポリマーが溶存していることを意味する。
合体は、アクリル酸アルキルエステル単量体および/ま
たはメタクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返
し単位を、好ましくは20重量%以上含有する重合体
で、重合原料の単量体は、(メタ)アクリル酸アルキル
エステルの単独種単量体、(メタ)アクリル酸アルキル
エステルの複数種混合単量体、単独もしくは複数種の
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれらと共重合
可能な単量体との混合単量体である。共重合可能な単量
体の中では、ジエン系化合物および/または芳香族ビニ
ル化合物が好ましい。
キルエステル単量体とは、炭素数1〜20のアルキル基
を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであ
る。具体例を挙げると、(メタ)アクリル酸n−ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)
アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸アルキル
エステルが挙げられる。これらの中でもアクリル酸アル
キルエステルが好ましく、炭素数6〜20のアルキル基
を有するアクリル酸アルキルエステルがより好ましく、
炭素数8〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキ
ルエステルが特に好ましい。
ある炭素数4〜8の鎖状のジエン含有炭化水素化合物で
ある。具体例としては、1、3−ブタジエン、イソプレ
ン、2、3−ジメチルブタジエン、ピペリレンなどが挙
げられる。芳香族ビニル化合物とは、炭素数1〜4のア
ルキル基、水酸基またはハロゲンの置換基を有すること
もある芳香族環を含有するビニル化合物である。具体例
としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチル
スチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンな
どが挙げられる。
クリロニトリルなどのニトリル基含有単量体;(メタ)
アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリアミ
ド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの
(メタ)アクリルアミド単量体;(メタ)アクリル酸2
−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル単量体;アクリル酸グリシジル、
メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルな
どのグリシジル基含有単量体;(メタ)アクリル酸ジメ
チルアミノエチルなどのアミノ基含有(メタ)アクリル
酸アルキルエステル単量体;メトキシポリエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレートなどのアルコキシ基含
有(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体などが例
示される。これらの中でも、水酸基含有(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル単量体、アルコキシ基含有(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル単量体などが好まし
い。
ある正極および負極においてそれぞれ活物質および金属
集電体を相互に結着させるために用いられる。バインダ
ーに求められる性質としては、この結着性と、また、充
放電により活物質が体積変動を起こして生ずる活物質の
脱落を防止するための柔軟性が挙げられる。このような
結着性と柔軟性とを有するポリマーが結着持続性の良い
バインダーとなる。
の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の好ま
しいガラス転移温度(Tg)は、−80〜20℃、より
好ましくは−60〜0℃であり、特に好ましくは−50
〜−10℃である。Tgが高過ぎると電極の柔軟性や結
着持続性に欠け、充放電の繰り返しにより活物質が脱着
するおそれがある。そのため、(メタ)アクリル酸アル
キルエステル系重合体を得るための単量体としては、生
成する重合体のTgが上記範囲になるよう選択する必要
がある。
系重合体の重合に使用するアルコール性水酸基含有水溶
性ポリマーは、全繰り返し単量体単位の好ましくは50
重量%以上をアルコール性水酸基含有単量体単位が占め
る水溶性のポリマーである。また、アルコール性水酸基
含有水溶性ポリマーの平均分子量は、通常、1,000
〜100,000、好ましくは5,000〜50,00
0、より好ましくは10,000〜30,000であ
る。平均分子量が過度に小さいと結着性が低下するおそ
れがあり、逆に、平均分子量が過度に大きくなると電池
内の抵抗が増して電池容量が低下する可能性があるので
好ましくない。
ポリマーの例としては、ポリビニルアルコールおよびそ
の変性物などのビニルアルコール系重合体;アクリル
酸、メタクリル酸または無水マレイン酸と酢酸ビニルと
の共重合体のけん化物;メチルセルロース、ヒドロキシ
メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなど
のセルロース誘導体;アルキル澱粉、カルボキシルメチ
ル澱粉、酸化澱粉などの澱粉誘導体;アラビアゴム、ト
ラガントゴム;ポリアルキレングリコールなどを挙げる
ことができる。中でも、工業的に品質が安定したものを
入手しやすい点から、ビニルアルコール系重合体が好ま
しい。
については制限はない。代表的な製造方法としては、酢
酸ビニルのようなビニルエステル系単量体を主体とする
ビニル系単量体を従来公知の方法で重合して得たビニル
エステル系重合体(すなわち、ビニルエステル系単量体
の単独重合体、2種以上のビニルエステル系単量体の共
重合体、およびビニルエステル系単量体と他のエチレン
性不飽和単量体との共重合体)を常法によりけん化する
方法が挙げられる。ビニルアルコール系重合体の他の製
造方法としては、各繰り返し単位を与える単量体を共重
合する方法、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体に
ブチルアルデヒドを反応させてビニルアルコール−ビニ
ルブチラール−酢酸ビニル共重合体を得る方法などが挙
げられる。また、本発明で使用できるビニルアルコール
系重合体としては、分子の主鎖、側鎖または末端にエポ
キシ基、メルカプト基などの置換基を導入した変性物も
挙げられる。
ときのけん化度は、置換基の有無およびその種類に依存
して変動するが、得られるビニルアルコール系重合体の
水溶性の観点から、40〜100モル%であることが好
ましく、50〜100モル%がより好ましく、60〜1
00モル%が特に好ましい。けん化度が40モル%未満
の場合には(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合
体粒子の分散安定性が低下するおそれがある。
エステル系重合体を得る重合反応において、アルコール
性水酸基含有水溶性ポリマーは、好ましくは30重量%
以下の濃度の水溶液として仕込む。アルコール性水酸基
含有水溶性ポリマーの使用量は、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル系重合体製造のための単量体(以後、単
に「単量体」という。)100重量部当たり、好ましく
は0.01〜100重量部、より好ましくは0.05〜
50重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。ア
ルコール性水酸基含有水溶性ポリマーの使用量が過度に
少ないと、重合反応の安定性が悪くて凝集物が多量に発
生する、得られる重合体水性分散液の機械的安定性およ
び化学的安定性などが低下する、重合体水性分散液の乾
燥皮膜の強度が低下する、などの問題が起きる。逆に、
過度に多く使用すると、重合反応液の粘度が上昇して反
応熱除去が困難になる、得られる重合体水性分散液が高
粘度で取り扱いが困難となる、重合体水性分散液の乾燥
皮膜の耐水性が低下する、などの問題が起きる。
ポリマーの存在下で行う(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル系重合体の重合反応は、好ましくは、安定した重
合体水性分散液を得るために、アルコールが添加された
水媒体中で行う。水媒体にアルコールを添加する方法と
しては、アルコールを重合開始剤添加前に反応容器に添
加しておく、アルコールを重合開始剤の溶媒またはその
一部として重合系に添加する、アルコールを単量体仕込
時に同時に添加するなどの方法を採用することができ
る。重合の開始が、アルコールの添加されていない水媒
体で行われると、重合体が凝集しやすくなるので単量体
濃度を低くする必要が生じる。
単量体などの重合をアルコールの存在下で行うと安定な
重合体水性分散液が得られる理由は明確ではないが、ラ
ジカルがアルコール性水酸基含有ポリマーから水素を引
き抜いてアルコール性水酸基含有ポリマーラジカルを生
成する速度より、アルコールから水素を引き抜いてアル
コールラジカルを生成する速度の方が遙かに速いので、
アルコール性水酸基含有ポリマーの重合体の生成が抑え
られるためと推察される。上記アルコールは、格別限定
されることはなく、1価アルコールおよび多価アルコー
ルのいずれでもよいが、少なくとも重合温度において水
に溶解するものである。このようなアルコールとして
は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セロールなどを例示することができる。アルコールの使
用量は単量体100重量部に対して、通常、0.5〜5
0重量部、好ましくは1〜30重量部、特に好ましくは
2〜20重量部である。アルコールが過度に少ないと得
られる重合体水性分散液が機械的安定性、化学的安定性
などの各種安定性に欠けるおそれがあり、逆に過度に多
いと所望する分子量の重合体が得られなかったり、重合
反応が遅延したりする可能性がある。
合体の重合反応における単量体およびアルコール性水酸
基含有水溶性ポリマーの添加方法は、共に、初期に一括
添加するのではなく連続的または断続的に添加する。単
量体とアルコール性水酸基含有水溶性ポリマーの添加
は、別々であっても、それらを混合して得られる乳化混
合物として一緒であってもよい。単量体とアルコール性
水酸基含有水溶性ポリマーとを別々に添加する場合は、
両者を同じタイミングで添加することが好ましい。単量
体のみが先に多量に添加されると重合体の凝集物が発生
しやすく、逆に、アルコール性水酸基含有水溶性ポリマ
ーが先に添加されると重合反応液が増粘して反応熱除去
が困難になったり、重合体の凝集物が発生するなどの問
題が起きやすい。
反応液中での重合転化率が10重量%以上を保つように
制御することが好ましい。反応液中での好ましい重合転
化率は20重量%以上、より好ましくは30重量%以上
である。単量体の添加速度が速すぎると、粗大粒子が発
生しやすくなる。単量体およびアルコール性水酸基含有
水溶性ポリマーの添加に要する時間は、好ましくは1時
間以上であり、より好ましくは2時間以上、20時間以
下である。両者の添加終了は、同時であることが好まし
いがそれに限定されない。
合体を得る重合において、アルコール性水酸基を有する
水溶性ポリマーに、通常重合反応に使用されるアニオン
性、ノニオン性、カチオン性または両性界面活性剤など
の各種の界面活性剤を併せて使用することも可能であ
る。アニオン性界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸
ナトリウムなどの高級アルコールの硫酸エステル塩、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪
酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルホン酸
塩、ポリリン酸塩などを、ノニオン性界面活性剤の例と
しては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル、
アルキルフェニルエーテルまたはアルキルエーテルなど
を、カチオン性界面活性剤の例としては、脂肪族アミン
塩、脂肪酸4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウ
ム塩、複素環4級アンモニウム塩などを、両性界面活性
剤の例としては、カルボキシベタイン、スルホベタイ
ン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などを挙
げることができる。これらの界面活性剤は、単独で用い
ても2種以上を併用してもよい。これらの界面活性剤を
使用する場合の使用量は単量体100重量部に対して、
好ましくは0.01〜3重量部であり、多すぎるとアル
コール分散性が低下する。
合体の重合反応に用いる重合開始剤は、ラジカル開始剤
を好ましく使用することができる。具体例としては、過
硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの
水溶性開始剤;t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシピ
バレートなどの油溶性過酸化物;水溶性開始剤または油
溶性過酸化物と重亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤と
の組み合わせによるレドックス系開始剤、アゾビスイソ
ブチロニトリルなどのアゾ化合物などを挙げることがで
きる。重合開始剤の使用量は、単量体総重量100重量
部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好
ましくは0.05〜5重量部である。0.01重量部未
満では重合に長時間を要し、生産性が悪い。10重量部
を超えると、重合体凝集物が発生しやすいため好ましく
ない。
量体100重量部に対して、好ましくは150〜100
0重量部、より好ましくは200〜500重量部であ
る。重合温度は、好ましくは0〜100℃、より好まし
くは5〜95℃である。単量体添加が終了し、所望の重
合転化率に到達した後、重合を停止する。重合の停止
は、重合停止剤を添加するかまたは単に重合系を冷却す
ることによって行うことができる。重合反応終了により
重合体水性分散液が得られる。得られる重合体の形状
は、特に制限はないが球形であることが好ましい。重合
体の平均粒子径は、好ましくは0.01〜10μm、よ
り好ましくは0.03〜5μm、特に好ましくは0.0
5〜2μmである。平均粒子径が大きすぎると電極活物
質と接触しにくくなるので接触に必要なだけ多量に入れ
ると電極の内部抵抗が増加するおそれがある。一方、平
均粒径が小さすぎると活物質の表面を覆い隠して電池反
応を阻害する可能性がある。
タ)アクリル酸アルキルエステル系重合体に加えて、他
のポリマーを併用することができる。他のポリマーを併
用する場合は、合計バインダーに対する他のポリマーの
割合が好ましくは80重量%以下、より好ましくは70
重量%以下となるようにする。併用可能なポリマーとし
ては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、カルボキシメチルセルロース、メチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロ
ース系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリ
アクリル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオ
キシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸またはアク
リル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン
酸またはマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコー
ルの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリア
クリル酸などの親水性ポリマーなどがある。
物質(以下、単に「活物質」と記すことがある。)10
0重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、
より好ましくは、0.1〜6重量部用いる。0.05重
量部未満では、活物質などを相互に結着させる力が不十
分で活物質が脱落して電池容量が低下するおそれがあ
る。一方、10重量部を超えると、電池内の抵抗が増し
て電池容量が低下する可能性があり、好ましくない。
セパレーターを介して設置し、アルカリ電解液と共に容
器内に収納した構造を有するものである。正極および負
極は、それぞれ活物質などを上記バインダーにより相互
に結着し、さらにそれらを金属集電体に結着させたもの
である。上記バインダーの使用方法としては、先ず、液
状媒体、活物質ならびに必要により添加される導電性材
料、その他の添加剤と共に混合して二次電池電極用スラ
リーとする。二次電池電極用スラリーは、集電体に塗布
して電極を製造するための塗料状組成物である。液状媒
体としては、水の他、非水系媒体、例えば、n−オクタ
ン、イソオクタン、ノナン、デカリン、ピネン、クロロ
ドデカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シ
クロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素類;スチレン、
クロロベンゼン、クロロトルエン、クメンなどの芳香族
炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、
ベンジルアルコール、グリセリンなどのアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、イ
ソホロンなどのケトン類;
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル
類;γ−ブチロラクトン、δ−ブチロラクトンなどのラ
クトン類;β−ラクタムなどのラクタム類;ジメチルホ
ルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトア
ミドなどの鎖状・環状のアミド類;メチレンシアノヒド
リン、エチレンシアノヒドリン、3,3'−チオジプロ
ピオニトリル、アセトニトリルなどのニトリル基含有化
合物類;ピリジン、ピロールなどの含窒素複素環系化合
物;エチレングリコール、プロピレングリコールなどの
グリコール類;ジエチレングリコール、ジエチレングリ
コールエチルブチルエーテルなどのジエチレングリコー
ル類;ギ酸エチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、アク
リル酸メチルなどのエステル類などが例示され、このほ
かラッカー、ガソリン、ナフサ、ケロシンなどの混合物
を用いることができる。前述のバインダーを、上記液状
媒体に溶解または分散させる濃度は、好ましくは0.2
〜70重量%、より好ましくは0.5〜60重量%、特
に好ましくは0.5〜50重量%である
性を向上させたり、充放電特性を向上させるために増粘
剤を加えることができる。これらの増粘剤としては、カ
ルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー;
ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩;ポ
リビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、マレ
イン酸−ビニルアルコール共重合体、(メタ)アクリル
酸−ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコ
ール系ポリマー;ポリエチレンオキシド、ポリビニルピ
ロリドン、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
こ増粘剤の使用割合は、全バインダーの固形分合計重量
に対して、好ましくは300重量%未満、より好ましく
は30重量%以上250重量%以下、特に好ましくは4
0重量%以上200重量%以下である。
用されるものが制限なく使用できる。例えば、正極活物
質としては水酸化ニッケル、酸化ニッケルなどのニッケ
ル化合物など、負極活物質としては水素吸蔵合金であ
る。
常使用されるものが制限なく使用できる。例えば、正極
では酸化コバルト、負極ではニッケル粉末、酸化コバル
ト、酸化チタン、カーボンなどを挙げることができる。
カーボンとしては、アセチレンブラック、ファーネスブ
ラック、黒鉛、炭素繊維、フラーレン類を挙げることが
できる。好ましくは、アセチレンブラック、ファーネス
ブラックであり、特にファーネスブラック、中でもケッ
チェンブラックインターナショナル社製ケッチェンブラ
ックが好ましい。導電性材料の使用量は、活物質100
重量部に対して、好ましくは0.2〜10重量部であ
る。0.2重量部未満では導電性が低下し、本発明の二
次電池を高いレートで放電すると容量が低下するおそれ
がある。集電体としては、ニッケル水素二次電池に通常
使用されるものが制限なく使用可能である。例えば、パ
ンチングメタル、エキスパンドメタル、金網、発泡金
属、網状金属繊維焼結体、金属メッキ樹脂板などを挙げ
ることが出来る。
極は、正極活物質を含む上記の二次電池電極用スラリー
を集電体に塗布し、乾燥した後、ロールプレスして圧着
して作製する。正極活物質、導電性材料、バインダーな
どの混合層の厚さは、好ましくは10〜1000μm、
より好ましくは50〜800μmである。
極は、負極活物質を含む上記の二次電池電極用スラリー
を集電体に塗布し、乾燥した後、ロールプレスして圧着
して作製する。負極活物質、導電性材料、バインダーな
どの混合層の厚さは、好ましくは10〜1000μm、
より好ましくは50〜800μmである。
二次電池に用いられているものが制限なく使用でき、ポ
リエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド
不織布及びそれらを親水性処理したものが挙げられる。
電解液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化カリウ
ム水溶液に水酸化ナトリウムおよび/または水酸化リチ
ウムを添加したものなどが挙げられる。
説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるも
のではない。なお、実施例中の「%」および「部」は特
記しない限り、それぞれ「重量%」および「重量部」を
示す。なお、各種重合体水性分散液の「部」は固形分換
算で記した。なお、充放電サイクル試験は次に記す方法
で行った。充放電サイクル試験 作製した正極と負極の間に、ポリプロピレン製不織布の
セパレーターを挟み、電池缶に入れ、35%水酸化カリ
ウム水溶液の電解液を注液し、負極規制で電池を作製し
た。0.1Cの電流で150%充電し、0.2Cの電流
で電池電圧が1Vになるまで放電する充放電サイクルを
繰り返し、初期放電容量に対する各サイクルにおける放
電容量の割合を効率として測定する充放電サイクル試験
を行った。粒径測定 コールターカウンターLS230(コールター社製粒子
径測定器)による積分粒径分布における50%積分値に
相当する粒径を平均粒径とした。
0部とスチレン20部とよりなる単量体混合物およびポ
リビニルアルコール(PVA205,クラレ社製、重合
度550、けん化度88mol%のポリビニルアルコー
ル)5部を混合、撹拌して、単量体乳化液を得た。別
途、還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口およ
び撹拌機を備えたガラス製反応容器に、蒸留水57部お
よびエタノール3部を装入して温度を80℃に昇温し、
80℃を維持した状態で、過硫酸アンモニウム0.5部
を脱イオン水10部に溶解した開始剤溶液を添加した。
2分後に反応容器に前記単量体乳化液の添加を開始し、
4時間かけて添加を終了した。添加終了後、さらに2時
間撹拌を継続し、重合転化率98%を確認後、冷却して
重合体水性分散液を得た。平均粒径は0.61μmであ
った。得られた重合体分散液を乾燥した後、常法により
測定した(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由
来の繰り返し単位は79%であった。
ニッケル粉末100部、一酸化コバルト粉末11部、併
用する他のバインダーとしてカルボキシメチルセルロー
ス(CMC)0.33部およびポリテトラフルオロエチ
レン水性分散液(比重1.5、固形分60%)0.56
部ならびに水合計50部を混練して正極用スラリーを調
製した。このスラリーをニッケルメッキした発泡メタル
シートに充填し、さらにその両側にも塗布したのち80
℃で1時間乾燥した後ロールプレスを行って正極を得
た。生成した混合膜の厚みは120μmであった。ま
た、上記の得られた重合体0.5部に対して、平均粒径
37μmの水素吸蔵合金粉末100部、併用する他のバ
インダーとしてCMC0.5部、導電性材料(ニッケル
粉末およびカーボンの等重量混合物)1.0部ならびに
水合計50部を混練して、負極用スラリーを調製した。
このスラリーをパンチングメタル(厚み0.06mm)
に塗布し、80℃で1時間乾燥した後プレスして負極を
得た。生成した混合膜の厚みは130μmであった。作
製した正極および負極を組み込んだニッケル水素二次電
池の充放電サイクル試験の結果を表1に記す。
ル酸メチル15部およびスチレン5部とし、PVA20
5をPVA224E(クラレ社製、重合度2400、け
ん化率88モル%のポリビニルアルコール)に変えた他
は実施例1と同様に行った。 1H−NMRで測定した
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り
返し単位は94%であった。平均粒径は0.75μmで
あった。作製した混合膜の厚みは、正極130μm、負
極140μmであった。正極および負極を組み込んだニ
ッケル水素二次電池の充放電サイクル試験の結果を表1
に記す。
部とスチレン20部の代わりに、メタクリル酸メチル2
0部、ブタジエン40部およびスチレン40部とし、P
VA205を5部から4部に変えた他は実施例1と同様
に行った。13C−NMRおよび熱分解ガスクロマトグ
ラフィーで測定した(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル単量体由来の繰り返し単位は20%であった。平均粒
径は0.73μmであった。作製した混合膜の厚みは、
正極130μm、負極120μmであった。正極および
負極を組み込んだニッケル水素二次電池の充放電サイク
ル試験の結果を表1に記す。
0部から15部に、スチレンを20部から85部にそれ
ぞれ変更した他は実施例1と同様に行った。(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル系単量体由来の繰り返し単位
は15%であった。平均粒径は0.13μmであった。
作製した混合膜の厚みは、正極130μm、負極140
μmであった。正極および負極を組み込んだニッケル水
素二次電池の充放電サイクル試験の結果を表1に記す。
0部とスチレン20部とよりなる単量体混合物およびラ
ウリル硫酸ナトリウム3部を混合、撹拌して、単量体乳
化液を得た。別途、還流冷却器、滴下ロート、温度計、
窒素吹込口、撹拌機を備えたガラス製反応容器に、蒸留
水57部およびエタノール3部を装入して温度を80℃
に昇温し、80℃を維持した状態で、過硫酸アンモニウ
ム0.5部を脱イオン水10部に溶解した開始剤溶液を
添加し、約2分後に上記単量体乳化液の添加を開始し4
時間かけて添加を終了した。添加終了後、さらに2時間
撹拌を継続し、重合転化率98%を確認後、冷却して濃
度を35%に調製した重合体水性分散液を得た。(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の繰り返し
単位は78%であった。平均粒径は0.15μmであっ
た。作製した混合膜の厚みは、正極、負極とも130μ
mであった。正極および負極を組み込んだニッケル水素
二次電池の充放電サイクル試験の結果を表1に記す。
205を5部溶解した水溶液を添加した。作製した混合
膜の厚みは、正極140μm、負極130μmであっ
た。ニッケル水素二次電池の充放電サイクル試験の結果
を表1に記す。
ルキルエステル単量体などの単量体を水媒体中でポリビ
ニルアルコール存在下で重合して得られた(メタ)アク
リル酸アルキルエステル系重合体を含有するバインダー
を電極のバインダーに用いて作製したニッケル水素二次
電池は、いずれも高い放電容量を有し(5サイクル
目)、それらが50サイクル目までの充放電サイクルの
進行にも拘らずほとんど低下しなかった。これにより、
本発明のバインダーが結着力に優れ、かつ、結着が長く
持続することが示された(実施例1〜4)。一方、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル単量体などの単量体を
アルコール性水酸基含有水溶性ポリマーを使用せずに重
合して得られた重合体(比較例1)、および、その重合
体の重合後にポリビニルアルコールを添加した重合体
(比較例2)を、それぞれ電極バインダーに用いて作製
したニッケル水素二次電池は、いずれも初期(5サイク
ル目)の放電容量が小さく、また50サイクル目の容量
低下が大きかった。
に強固に結着させ、かつ、結着が持続するバインダーが
提供される。また、電池容量が大きく、充放電サイクル
を繰り返しても電池容量が低下しにくいニッケル水素二
次電池が提供される。
Claims (5)
- 【請求項1】 水媒体中で、アルコール性水酸基を有す
る水溶性ポリマーの存在下に重合して得られる(メタ)
アクリル酸アルキルエステル系重合体を含有するニッケ
ル水素二次電池電極用バインダー。 - 【請求項2】 アルコールが添加された水媒体中で、ア
ルコール性水酸基を有する水溶性ポリマーの存在下に重
合して得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系
重合体を含有するニッケル水素二次電池電極用バインダ
ー。 - 【請求項3】 電極活物質および請求項1または2に記
載のバインダーを液状媒体に溶解または分散させてなる
二次電池電極用スラリー。 - 【請求項4】 電極活物質および請求項1または2に記
載のニッケル水素二次電池電極用バインダーを含む混合
層が集電体に結着してある二次電池電極。 - 【請求項5】 電極活物質および請求項1または2記載
のニッケル水素二次電池電極用バインダーを含む混合層
が集電体に結着してある二次電池電極を有するニッケル
水素二次電池。
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