JP2002150976A - 平面型表示装置 - Google Patents

平面型表示装置

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JP2002150976A
JP2002150976A JP2000338812A JP2000338812A JP2002150976A JP 2002150976 A JP2002150976 A JP 2002150976A JP 2000338812 A JP2000338812 A JP 2000338812A JP 2000338812 A JP2000338812 A JP 2000338812A JP 2002150976 A JP2002150976 A JP 2002150976A
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JP2000338812A
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English (en)
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Norihiro Shimoi
法弘 下位
Koichi Iida
耕一 飯田
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
  • Common Detailed Techniques For Electron Tubes Or Discharge Tubes (AREA)
  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】電界放出型表示装置やプラズマ表示装置に代表
される平面型表示装置の内部空間を、短時間で高い真空
度とし得る構造を有する平面型表示装置を提供する。 【解決手段】第1パネルP1と、第2パネルP2とを有
し、第1パネルP1と第2パネルP2によって囲まれた第
1の空間S1内における発光作用に基づき第1パネルP1
の外面P1Fに画像を表示する平面型表示装置であって
は、第2パネルP2の裏面P2Bに固定され、排気部3を
有する排気室1を備え、第2パネルP2と排気室1によ
って囲まれた第2の空間S2と第1の空間S1とを連通さ
せる連通部4が第2のパネルP2に設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平面型表示装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】テレビジョン受像機や情報端末機器に用
いられる表示装置の分野では、従来主流の陰極線管(C
RT)から、薄型化、軽量化、大画面化、高精細化の要
求に応え得る平面型表示装置への移行が検討されてい
る。このような平面型表示装置として、冷陰極電界電子
放出表示装置(FED:フィールドエミッションディス
プレイ,Field Emission Display)のように、2枚のパ
ネルが真空層を挟んで対向して配置されたタイプの平面
型表示装置が知られており、あるいは又、プラズマ表示
装置(PDP:プラズマ・ディスプレイ)が知られてい
る。
【0003】冷陰極電界電子放出表示装置(以下、単に
電界放出型表示装置と呼ぶ場合がある)においては、例
えば、針状の導体材料又は半導体材料の先端部に高電界
が形成されると、常温においても電子が量子トンネル効
果により導体材料又は半導体材料におけるポテンシャル
障壁を透過し、先端部から放出される。このような現象
は、電界放出(Field Emission)又は冷陰極放出(Cold
-Cathode Emission)とも呼ばれる。
【0004】プラズマ表示装置は、希ガスから成る放電
ガスを放電空間内に封入した放電セルに電圧を印加し
て、放電ガス中でのグロー放電に基づき発生した真空紫
外線で放電セル内の蛍光体層を励起することによって発
光を得る表示装置である。つまり、個々の放電セルは蛍
光灯に類似した原理で駆動され、放電セルが、通常、数
十万個のオーダーで集合して1つの表示画面が構成され
ている。プラズマ表示装置は、放電セルへの電圧の印加
方式によって直流駆動型(DC型)と交流駆動型(AC
型)とに大別される。
【0005】電界放出型表示装置を分解した概念図を、
図50に示す。この電界放出型表示装置は、第1パネル
1と第2パネルP2とが真空層を挟んで対向して配置さ
れ、第1パネルP1と第2パネルP2とが周縁部において
枠体24を介して接合された構成を有する。図50で
は、接合部位に斜線を付した。第1パネルP1及び第2
パネルP2の各々は、画素が配列され、実際の表示画面
として機能する有効領域EF1,EF2(斜線を付す)
と、有効領域EF1,EF2を包囲し、画素を選択するた
めの周辺回路等が形成された無効領域NE1,NE2
に、機能上、大別される。かかる電界放出型表示装置に
は、真空層の真空度を維持するために、真空層中の残留
ガスを捕捉可能な材料から成るゲッター33が配されて
いる。ゲッター33は、通常、2枚のパネルP1,P2
少なくともいずれかの無効領域に配されている。図示し
た例では、第2パネルP2の無効領域NF2に、1又は複
数の貫通孔34が設けられ、この貫通孔34を第2パネ
ルP2の外側から塞ぐように配設されたゲッターボック
ス35内にゲッター33が収容されている。尚、無効領
域NE2の他所には真空排気用の別の貫通孔36が設け
られており、この貫通孔36には、真空排気後に封じ切
られるチップ管とも呼ばれる排気管37が取り付けられ
ている。
【0006】図51には、かかる電界放出型表示装置の
一例として、第2パネルP2(カソードパネルとも呼ば
れる)の有効領域EF2に複数の冷陰極電界電子放出素
子(以下、電界放出素子と呼ぶ)から構成された電子放
出領域が配列された電界放出型表示装置の構成例を模式
的な一部端面図で示す。
【0007】図示した電界放出素子は、円錐型の電子放
出部を有する、所謂スピント(Spindt)型電界放
出素子と呼ばれるタイプの電界放出素子である。電界放
出素子は、支持体10と、支持体10上に形成されたカ
ソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上
に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成された
ゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設
けられた開口部14と、開口部14の底部に位置するカ
ソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15
から構成されている。一般に、カソード電極11を構成
するストライプ状の導電材料層(カソード電極用導電材
料層と呼ぶ)と、ゲート電極13を構成するストライプ
状の導電材料層(ゲート電極用導電材料層と呼ぶ)と
は、これらの導電材料層の射影像が互いに直交する方向
に形成されており、これらのストライプ状の導電材料層
の射影像が重複する部分に相当する領域(1画素分の領
域に相当し、電子放出領域である)に、通常、複数の電
界放出素子が配列されている。更に、かかる電子放出領
域が、第2パネルP2の有効領域EF2内に、通常、2次
元マトリクス状に配列されている。
【0008】一方、第1パネルP1(アノードパネルと
も称される)は、基板20と、基板20上に所定のパタ
ーンに従って形成された蛍光体層21(蛍光体層21
R,21G,21B)と、蛍光体層21上の全面に亙っ
て形成されたアノード電極23から構成されている。
尚、蛍光体層21の間の基板20上には、ブラックマト
リクス22が形成されている。
【0009】カソード電極11には相対的な負電圧が制
御回路30から印加され、ゲート電極13には相対的な
正電圧が走査回路31から印加され、アノード電極23
にはゲート電極13よりも更に高い正電圧が加速電源3
2から印加される。かかる表示装置において表示を行う
場合、カソード電極11には制御回路30から制御信号
(ビデオ信号)が入力され、ゲート電極13には走査回
路31から走査信号が入力される。カソード電極11と
ゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界
により、電子放出部15から量子トンネル効果によって
電子が放出され、この電子がアノード電極23に引き付
けられ、蛍光体層21に衝突する。その結果、蛍光体層
21が励起されて発光し、所望の画像を得ることができ
る。つまり、この表示装置の動作は、基本的にゲート電
極13に印加される電圧、及びカソード電極11を通じ
て電子放出部15に印加される電圧によって制御され
る。
【0010】電界放出型表示装置の組立においては、先
ず、第1パネルP1と第2パネルP2と枠体24の三者を
接合する。具体的には、通常、第1段階でいずれか一方
のパネルと枠体24をフリットガラスを用いて接合し、
第2段階で他方のパネルと枠体24とをフリットガラス
を用いて接合する。そして、三者の接合終了後、第1パ
ネルP1と第2パネルP2と枠体24とにより囲まれた空
間を、第1パネルP1及び第2パネルP2を加熱しなが
ら、排気して真空層とする。排気は、第2パネルP2
予め取り付けられた排気管37を通じて行う。排気管3
7は、典型的にはガラス管を用いて構成され、第2パネ
ルP2の無効領域NE1,NE2(即ち、表示画面として
機能する有効領域EF1,EF2以外の領域)に設けられ
た貫通孔36の周囲に、フリットガラスを用いて接合さ
れており、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によ
って排気管37を封じ切る。その後、ゲッター33の加
熱処理を行ってゲッター33の活性化を図る。
【0011】従来のAC型プラズマ表示装置の典型的な
構成例を、図52及び図53に示す。このAC型プラズ
マ表示装置は所謂3電極型に属し、一対の放電維持電極
311の間で放電が生じる。図52に示すAC型プラズ
マ表示装置は、フロントパネルに相当する第1パネルP
1とリアパネルに相当する第2パネルP2とが貼り合わさ
れて成る。第2パネルP2上の蛍光体層324の発光
は、例えば、第1パネルP1を通して観察される。尚、
図53の(A)は、第2パネルP2を概念的に示す模式
的な平面図であり、図53の(B)は、第2パネルP2
を概念的に示す模式的な断面図である。
【0012】第1パネルP1は、透明な第1の基板31
0と、第1の基板310上にストライプ状に設けられ、
透明導電材料から成る放電維持電極311と、放電維持
電極311のインピーダンスを低下させるために設けら
れ、放電維持電極311よりも電気抵抗率の低い材料か
ら成るバス電極312と、バス電極312及び放電維持
電極311上を含む第1の基板310上に形成され、誘
電体材料から成る誘電体層313とから構成されてい
る。
【0013】一方、第2パネルP2は、第2の基板32
0と、第2の基板320上にストライプ状に設けられた
アドレス電極(データ電極とも呼ばれる)321と、ア
ドレス電極321上を含む第2の基板320上に形成さ
れ誘電体膜322と、誘電体膜322上であって隣り合
うアドレス電極321の間の領域にアドレス電極321
と平行に延びる絶縁性の隔壁323と、誘電体膜322
上から隔壁323の側壁面上に亙って設けられた蛍光体
層324とから構成されている。蛍光体層324は、赤
色蛍光体層324R、緑色蛍光体層324G、及び青色
蛍光体層324Bから構成されており、これらの各色の
蛍光体層324R,324G,324Bが所定の順序に
従って設けられている。
【0014】放電維持電極311の射影像が延びる方向
とアドレス電極321の射影像が延びる方向とは直交し
ており、一対の放電維持電極311と、3原色を発光す
る蛍光体層324R,324G,324Bの1組とが重
複する領域が1画素(1ピクセル)に相当する。図52
は一部分解斜視図であり、実際には第2パネルP2側の
隔壁323の頂部が第1パネルP1側の誘電体層313
に当接している。一対の放電維持電極311と、2つの
隔壁323の間に位置するアドレス電極321とが重複
する重複領域が、放電セルに相当する。そして、隣り合
う隔壁323と蛍光体層324と誘電体層313とによ
って囲まれた空間内には、放電ガスが封入されている。
このような放電セルが、有効領域(実際の表示画面とし
て機能する領域を意味し、以下においても同様である)
内に2次元マトリクス状に、例えば数十万〜数百万個も
のオーダーにて配列されている。
【0015】尚、図53に示すように、第2の基板32
0の無効領域NE2(有効領域EF2の外周部に、有効領
域EF2を取り囲むように配置され、表示画面としては
機能しない領域を意味し、以下においても同様である)
には貫通孔325が形成されている。かかる貫通孔32
5は、例えば、ガラス管から成り、チップ管とも呼ばれ
る排気管326と連通している。排気管326は、第2
の基板320の外側に、例えばフリットガラス(図示せ
ず)を用いて取り付けられており、封止されている。
尚、図53の(A)では、第2パネルP2を構成する第
2の基板320、隔壁323及び貫通孔325以外の構
成要素の図示を省略し、図53の(B)では、第2パネ
ルP2を構成する第2の基板320、貫通孔325及び
排気管326以外の構成要素の図示を省略した。また、
図53の(B)には、封止する前の排気管326を図示
した。
【0016】プラズマ表示装置の組み立てにおいては、
例えばスクリーン印刷により、第2パネルP2の周縁部
にフリットガラス(図示せず)を塗布する。次に、第1
パネルP1と第2パネルP2とを貼り合わせ、焼成してフ
リットガラスを硬化させる。そして、第1パネルP1
第2パネルP2との間に形成された内部空間を、貫通孔
325、排気管326を介して排気した後、Ne−Xe
混合ガス(例えば、Ne50%−Xe50%混合ガス)
から成る放電ガスを例えば圧力8×104Pa(0.8
気圧)にて導入する。その後、排気管326を熱溶着し
て内部空間を封止して、プラズマ表示装置を完成させ
る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の電界
放出型表示装置やプラズマ表示装置においては、パネル
上に各種の構成要素が形成されるが故に、パネルの内面
は、微視的には多数の凹凸が存在する。しかも、特に、
各パネルの対角寸法が数インチ〜数十インチであるのに
対して、パネル間の対向距離は0.2mm〜1mmと狭
く、パネル間の空間の排気コンダクタンスが小さい。ま
た、フリットガラスを使用しているため、排気過程にお
いて、フリットガラスから大量のガスが発生する虞があ
る。従って、上述の電界放出型表示装置やプラズマ表示
装置の組立においては、排気工程に多大な時間を要する
といった問題がある。現状では、これらの表示装置の一
般的な最終到達真空度として、例えば、10-4Paのオ
ーダーを達成するために、対角寸法数インチの表示装置
ですら排気に十数時間を要している。対角寸法がより大
きい表示装置では、排気に要する時間は膨大となり、排
気装置の能力によっては所望の真空度が達成されない可
能性もある。このことは、平面型表示装置の大画面化や
量産に向けて大きな障害となる。
【0018】また、パネル間の空間の排気コンダクタン
スが小さいことに起因して、排気用の貫通孔36,32
5に近い領域の空間における最終到達真空度と、排気用
の貫通孔36,325から遠い領域の空間における最終
到達真空度とに差異が生じる場合がある。このような現
象が発生すると、表示画像に色ムラが生じたり、電界放
出型表示装置やプラズマ表示装置の製品寿命が短くなる
といった問題が生じる虞がある。
【0019】従って、本発明の目的は、電界放出型表示
装置やプラズマ表示装置に代表される平面型表示装置の
内部空間を、短時間で高い真空度とし得る構造を有する
平面型表示装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の平面型表示装置は、第1パネルと、第2パ
ネルとを有し、第1パネルと第2パネルによって囲まれ
た第1の空間内における発光作用に基づき第1パネルの
外面に画像を表示する平面型表示装置であって、第2パ
ネルの裏面に固定され、排気部を有する排気室を備え、
第2パネルと排気室によって囲まれた第2の空間と第1
の空間とを連通させる連通部が第2のパネルに設けられ
ていることを特徴とする。
【0021】本発明の平面型表示装置にあっては、この
ような排気室を設けることによって、第1の空間内を速
やかに高真空とすることが可能となる。
【0022】本発明の平面型表示装置において、連通部
は、発光作用に寄与しない第2パネルの領域(所謂、無
効領域)に設けられていることが好ましい。また、連通
部は、複数、設けられていることが好ましく、連通部の
断面積の合計をCS1、排気部の断面積をCS0としたと
き、CS1≦CS0を満足することが望ましい。
【0023】本発明の平面型表示装置にあっては、第1
の空間の体積をV1、第2の空間の体積をV2としたと
き、V2>V1、好ましくは、V2≧3V1、一層好ましく
は、5V1≦V2≦10V1を満足することが望ましい。
【0024】本発明の平面型表示装置においては、平面
型表示装置の構成に依存して第1の空間を真空雰囲気に
保持するために、第2パネルの裏面及び/又は排気室内
面にゲッターが配置されていることが望ましい。ゲッタ
ーの配置方法としては、第2パネルの裏面及び/又は排
気室内面に、例えば、エッチング法等によって凹部を形
成し、この凹部にゲッターを埋め込む方法を例示するこ
とができる。ゲッターを排気部の近傍に配置すること
が、ガスの効率的なゲッタリングといった観点から好ま
しい。尚、蒸発型のゲッター材料を使用する場合には、
後に、ゲッター材料は蒸発してしまうので、単に、第2
パネルの裏面及び/又は排気室内面にゲッターを配置す
るだけでよい場合もある。
【0025】あるいは又、平面型表示装置の構成に依存
して第1の空間を真空雰囲気に保持するために、第2パ
ネルの裏面及び/又は排気室内面にゲッター層が形成さ
れていることが望ましく、この場合、ゲッター層の面積
を拡大するといった観点からは、ゲッター層を形成すべ
き第2パネルの裏面の部分及び/又は排気室内面の部分
に凹凸が形成されていることが好ましい。ゲッター層を
排気部の近傍に形成することが、ガスの効率的なゲッタ
リングといった観点から好ましい。尚、第2パネルの裏
面と、第2パネルの裏面と対向した排気室の底面の内面
との間にスペーサを配設する場合、スペーサの露出表面
にゲッター層を形成してもよく、このような構成も、第
2パネルの裏面の部分及び/又は排気室内面の部分にゲ
ッター層を形成する態様に包含される。ゲッター層は、
例えば蒸着法やスパッタリング法にて形成することがで
きる。ここで、凹凸の形成方法として、 (1)拡張性があり、吸着性の高い材料(例えば、ポリ
ビニルアルコール等の界面活性剤若しくは水ガラスを用
いたカーボングラファイト)を第2パネルの裏面の部分
及び/又は排気室内面の部分に塗布する方法 (2)粒径数μm〜数十μmの微粒子ビーズ(例えば、
アクリル系樹脂から成る)を第2パネルの裏面の部分及
び/又は排気室内面の部分に散布する方法 (3)微粒子ダイヤモンド等の研磨材を使用して、第2
パネルの裏面の部分及び/又は排気室内面の部分を研磨
する方法 (4)例えばフッ化カルシウム(CaF2)を第2パネ
ルの裏面の部分上及び/又は排気室内面の部分上にスパ
ッタリング法にて形成する方法 (5)リソグラフィ技術及びドライエッチング技術ある
いはウエットエッチング技術を用いて第2パネルの裏面
及び/又は排気室内面をエッチングする方法を例示する
ことができる。ここで、「拡張性がある」とは、塗布
時、材料が凝集して「だま」にならないことを意味す
る。
【0026】あるいは又、平面型表示装置の構成に依存
して第1の空間を真空雰囲気に保持するために、第2パ
ネルの裏面及び/又は排気室内面にゲッター層が取り付
けられていることが望ましい。ゲッター層を排気部の近
傍に取り付けることが、ガスの効率的なゲッタリングと
いった観点から好ましい。ゲッター層の取り付け方法と
して、層状のゲッター材料を、例えば、接着剤(例え
ば、フリットガラス)を用いて第2パネルの裏面及び/
又は排気室内面に固定する方法を例示することができ
る。
【0027】ゲッターあるいはゲッター層を備えること
によって、第1の空間内の高真空度を確実に維持するこ
とができる。尚、例えば、プラズマ表示装置のように第
1の空間内に放電ガスを導入するような平面型表示装置
においては、ゲッターあるいはゲッター層を備えること
は不要である。ゲッターあるいはゲッター層を構成する
材料として、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(N
i)、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、鉄
(Fe)、コバルト(Co)、Zr−Ni合金、Ti−
Zr−V−Fe合金、Ti−Zr−Al合金、Ti−M
n−V合金、カーボンファイバー及びグラファイトから
成る群から選択された少なくとも1種類の、所謂非蒸発
型のゲッター材料;バリウム(Ba)、Ba−Alとい
った、所謂蒸発型のゲッター材料を挙げることができ
る。尚、非蒸発型のゲッター材料と蒸発型のゲッター材
料を併用することもできる。
【0028】本発明の平面型表示装置においては、第2
の空間内にガス吸着材が配設されていることが好まし
い。このようにガス吸着材を配設することによって、平
面型表示装置の組立時にフリットガラスや第1パネル、
第2パネルの構成材料等から放出されるガスをガス吸着
材によって吸着することができる結果、ゲッターあるい
はゲッター層が劣化することを防止し得る。ここで、ガ
ス吸着材は、第2パネルの裏面と、第2パネルの裏面と
対向する排気室の底面の内面とによって挟まれている構
成とすることができ、これによって、ガス吸着材は、所
謂スペーサとしての機能を発揮し得る。即ち、大気圧に
よって排気室が損傷を受けることを確実に防止すること
ができる。ガス吸着材は、例えば、フリットガラスの近
傍にも配設することが、フリットガラスから放出される
ガスを確実に吸着するといった観点から好ましい。ガス
吸着材を構成する材料として、カーボン系材料、具体的
には、黒鉛、フラーレン、グラファイトを例示すること
ができる。あるいは又、ガス吸着材を、第2パネルや排
気室を構成する材料と概ね同じ熱膨張率を有する棒状の
材料(例えば、ガラス棒)を芯部材とし、かかる芯部材
の外面に例えばグラファイトを吸着させた部材とするこ
ともできる。
【0029】第1パネルを構成する基板あるいは第1の
基板、及び、第2パネルを構成する支持体あるいは第2
の基板は、少なくとも表面が絶縁性部材より構成されて
いればよく、ガラス基板、表面に絶縁膜が形成されたガ
ラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基
板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げること
ができる。ガラス基板として、高歪点ガラス、ソーダガ
ラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(N
2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2Mg
O・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・Si
2)を例示することができる。基板あるいは第1の基
板と、支持体あるいは第2の基板の構成材料は、同じで
あっても異なっていてもよい。
【0030】排気室は、平面型表示装置の第1の空間及
び第2の空間を所望の雰囲気に保持し得る限りにおい
て、如何なる材料から構成することもできるが、上述し
た、基板あるいは第1の基板、支持体あるいは第2の基
板の構成材料と同様の材料から作製することが、材料の
熱膨張等の観点から好ましい。排気室は、底面を構成す
る底板と側壁を構成する枠体が接合された構造を有して
いてもよいし、底面と側壁とが一体となった構造を有し
ていてもよい。
【0031】排気部は、例えば、排気室の底面に貫通孔
を形成し、フリットガラス又は後述する低融点金属材料
を用いて、かかる貫通孔に排気管を固定した構造とすれ
ばよい。排気部の数は1つに限定されず、複数、設けて
もよい。排気管は、典型的にはガラス管を用いて構成さ
れる。第1の空間及び第2の空間を真空に排気した後、
排気部を熱溶融することによって、第1の空間及び第2
の空間を封止することができる。尚、平面型表示装置全
体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを
放出させることができ、この残留ガスを排気部から空間
外へ除去することができるので好適である。あるいは
又、平面型表示装置の構造によっては、第1の空間及び
第2の空間を真空に排気した後、第1の空間及び第2の
空間に所望のガスを導入し、その後、排気管を熱溶融す
ることによって、第1の空間及び第2の空間を封止して
もよい。
【0032】本発明の平面型表示装置に、ゲッターある
いはゲッター層が備えられている場合には、封止後、ゲ
ッターあるいはゲッター層を加熱することによって、ゲ
ッターあるいはゲッター層の活性化を図る。加熱方法と
して、例えば、レーザ光を使用した加熱、高周波を用い
た加熱、加熱炉を用いた加熱、ランプを用いた加熱、電
熱線を用いた加熱を挙げることができる。
【0033】第1パネルと第2パネルとを周縁部におい
て接合する場合、更には、第2パネルと排気室とを周縁
部において接合する場合、接合は接着層を用いて行って
もよいし、あるいはガラスやセラミックス等の絶縁性剛
性材料から成る枠体と接着層とを併用して行ってもよ
い。枠体と接着層とを併用する場合には、枠体の高さを
適宜選択することにより、接着層のみを使用する場合に
比べ、第1パネルと第2パネルとの間の対向距離をより
長く設定することが可能である。尚、接着層の構成材料
としては、フリットガラスが一般的であるが、融点が1
20〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用いても
よい。かかる低融点金属材料としては、In(インジウ
ム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合
金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95
Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高
温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb
94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5
1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温
はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Z
n)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314
゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の
錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)
等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示す
ることができる。
【0034】第1パネルと第2パネルと枠体の三者を接
合する場合、更には、第2パネルと排気室(場合によっ
ては、更に、枠体)を接合する場合、どのような順序
で、これらを接合するかは、本質的に任意である。例え
ば、第1パネルと第2パネルと枠体の三者を接合する場
合、三者を同時に接合してもよいし、あるいは、第1段
階で第1パネル又は第2パネルのいずれか一方と枠体と
を接合し、第2段階で第1パネル又は第2パネルの他方
と枠体とを接合してもよい。また、第2パネルと排気室
(場合によっては、更に、枠体)を接合する場合、これ
らを同時に接合してもよいし、あるいは、第1段階で第
2パネル又は排気室を構成する底板のいずれか一方と枠
体とを接合し、第2段階で第2パネル又は又は排気室を
構成する底板の他方と枠体とを接合してもよい。接合時
の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、
また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、ある
いは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばAr
ガス)を含む不活性ガスであってもよい。
【0035】本発明における平面型表示装置として、冷
陰極電界電子放出表示装置、プラズマ表示装置の他、プ
ラズマ・アドレス・液晶表示装置(PALC)を挙げる
ことができる。冷陰極電界電子放出表示装置における冷
陰極電界電子放出素子の構造は如何なる構造とすること
もできるし、プラズマ表示装置の構造も如何なる構造と
することもでき、また、直流駆動型、交流駆動型の如何
を問わない。尚、平面型表示装置が冷陰極電界電子放出
表示装置である場合の発光作用は、第2パネルに設けら
れた冷陰極電界電子放出素子を構成する電子放出部から
量子トンネル効果によって放出された電子が、第1パネ
ルに設けられたアノード電極に引き付けられ、第1パネ
ルに設けられた蛍光体層と衝突することによって、蛍光
体層が発光することに基づく。一方、平面型表示装置が
プラズマ表示装置である場合の発光作用は、希ガスから
成る放電ガスを放電空間内に封入した放電セルに電圧を
印加することによる、放電ガス中でのグロー放電に基づ
き発生した真空紫外線で放電セル内の蛍光体層を励起す
ることによる発光に基づく。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発
明を説明する。 (実施の形態1)実施の形態1は、本発明の平面型表示
装置に関する。実施の形態1の平面型表示装置の概念的
な断面図を図1の(A)に示し、第2パネルP2の裏面
(第2の空間S2側の表面)の模式的な平面図を図2の
(A)に示し、排気室1の底面の内面(第2の空間S2
側の表面)の模式的な平面図を図2の(B)に示す。
尚、図2の(A)において、実際の表示画面として機能
する有効領域EF2を点線で囲み、中に点線の斜線を付
した。また、排気室の側壁を構成する枠体と接合される
領域の境界を一点鎖線で示した。
【0037】この平面型表示装置は、第1パネルP
1と、第2パネルP2とを有し、第1パネルP1と第2パ
ネルP2によって囲まれた第1の空間S1内における発光
作用に基づき第1パネルP1の外面P1Fに画像を表示す
る平面型表示装置である。そして、第2パネルP2の裏
面P2Bに固定され、排気部3を有する排気室1を備え、
第2パネルP2と排気室1によって囲まれた第2の空間
2と第1の空間S1とを連通させる連通部4(例えば、
貫通孔)が第2のパネルP2に設けられている。第1パ
ネルP1と第2パネルP2とは、セラミックスから成る枠
体24を介して、フリットガラス(図示せず)にて接合
されている。
【0038】排気室1は、底面1Aを構成する底板と側
壁1Bを構成する枠体とがフリットガラス(図示せず)
にて接合された構造を有する。底板はガラスから作製さ
れており、枠体はセラミックスから作製されている。連
通部4は、発光作用に寄与しない第2パネルP2の領域
(無効領域EF2)に、複数、設けられており、連通部
4の断面積の合計をCS1、排気部3の断面積(より具
体的には、排気室1の底面1Aに設けられた貫通孔2の
断面積)をCS0としたとき、CS1≦CS0を満足して
いる。また、排気部3は、貫通孔2を取り囲むように、
フリットガラス(図示せず)にて底面1Aの外面に取り
付けられたガラス管から成る。排気部3は、図示しない
排気装置に接続されている。
【0039】実施の形態1の平面型表示装置は、第1パ
ネルP1、枠体24、第2パネルP2、排気室1の底面1
Aを構成する底板、及び、側壁1Bを構成する枠体を、
フリットガラスを用いて接合した後、平面型表示装置を
加熱しながら、第1の空間S 1及び第2の空間S2を排気
部3を介して排気し、次いで、排気部3を介して、第1
の空間S1及び第2の空間S2に所望のガスを導入した
後、排気部3を構成するガラス管を熱溶着させて、封止
することによって完成することができる。尚、このよう
な構成の平面型表示装置として、プラズマ表示装置を挙
げることができる。第1パネルP1及び第2パネルP2
構成、構造の詳細については、後述する。
【0040】(実施の形態2)実施の形態2は、実施の
形態1の平面型表示装置の変形である。実施の形態2の
平面型表示装置が実施の形態1の平面型表示装置と相違
している点は、第2パネルP2の裏面P2B及び排気室1
の内面にゲッター5A,5Bが配置されている点にあ
る。尚、このような構成の平面型表示装置として、冷陰
極電界電子放出表示装置を挙げることができる。第1パ
ネルP1及び第2パネルP2の構成、構造の詳細について
は、後述する。実施の形態2の平面型表示装置の概念的
な断面図を図1の(B)に示し、第2パネルP2の裏面
(第2の空間S2側の表面)の模式的な平面図を図3の
(A)に示し、排気室1の底面の内面(第2の空間S2
側の表面)の模式的な平面図を図3の(B)に示す。
尚、図3の(A)及び(B)において、ゲッター5A,
5Bが配置された領域に斜線を付した。
【0041】ゲッター5Aは、第2パネルP2の裏面P
2Bに形成された凹部内に埋め込まれている。一方、ゲッ
ター5Aは、排気室1の底面1Aの内面に形成された凹
部内に埋め込まれている。ここで、ゲッター5A,5B
を非蒸発型のゲッター材料から構成した。尚、各凹部の
形成は、例えば、エッチング法にて行うことができる。
【0042】代替的に、例えば、第2パネルP2の裏面
2B及び排気室1の底面1Aの内面にゲッター層5C,
5Dを形成してもよい。尚、非蒸発型のゲッター材料か
ら成るゲッター層5Cを形成すべき第2パネルP2の裏
面P2Bの部分には凹凸が形成されており、排気室1の底
面1Aの底面1Aの内面の部分にも凹凸が形成されてお
り、これらによって、ゲッター層5C,5Dの面積を拡
大することができる(図4の(A)の模式的な断面図参
照)。各凹凸は、例えば、微粒子ダイヤモンド等の研磨
材を使用して、排気室1の底面1Aの内面の部分を研磨
する方法に基づき形成することができる。ゲッター層5
C,5Dは、例えば蒸着法にて形成することができる。
ゲッター層5C,5Dが形成されている部分は、例え
ば、図3の(A)及び(B)において斜線を付した部分
とすればよい。
【0043】あるいは又、代替的に、例えば、第2パネ
ルP2の裏面P2B及び排気室1の底面1Aの内面にゲッ
ター層5E,5Fを取り付けてもよい。図4の(B)の
模式的な断面図に示すように、非蒸発型のゲッター材料
から成る層状のゲッター材料を、例えば、フリットガラ
ス6A,6Bを用いて第2パネルP2の裏面P2B及び排
気室1の底面1Aの内面に固定することによって、ゲッ
ター層5E,5Fを取り付けることができる。
【0044】実施の形態2の平面型表示装置は、第1パ
ネルP1、枠体24、第2パネルP2、排気室1の底面1
Aを構成する底板、及び、側壁1Bを構成する枠体を、
フリットガラスを用いて接合した後、平面型表示装置を
加熱しながら、第1の空間S 1及び第2の空間S2を排気
部3を介して排気し、次いで、排気部3を構成するガラ
ス管を熱溶着させて、封止した後、ゲッターあるいはゲ
ッター層を加熱して活性化することによって完成するこ
とができる。
【0045】(実施の形態3)実施の形態3は、実施の
形態2の平面型表示装置の変形である。実施の形態3の
平面型表示装置が実施の形態2の平面型表示装置と相違
している点は、第2の空間S2内にガス吸着材7が配設
されている点にある。実施の形態3においては、ガス吸
着材7は、棒状のグラファイトから成り、第2パネルP
2の裏面P2Bと、第2パネルの裏面と対向する排気室1
の底面1Aの内面とによって挟まれており、スペーサと
しての機能も有する。実施の形態3の平面型表示装置の
模式的な断面図を図5に示す。尚、図5においては、ガ
ス吸着材7が連通部4と排気部3との間を塞いでいるか
のように図示しているが、実際には、ガス吸着材7と側
壁1Bとの間には隙間があり、連通部4と排気部3との
間を気体が自由に流れる。ガス吸着材7は、底面1Aを
構成する底板と側壁1Bを構成する枠体とを接合したフ
リットガラス(図示せず)の近傍にも配設されており、
平面型表示装置の組立時、フリットガラスを焼成する際
にフリットガラスから放出されるガスを確実に吸着する
ことができる。
【0046】実施の形態3の平面型表示装置は、実施の
形態1と実質的に同様の方法で作製することができるの
で、詳細な説明は省略する。
【0047】(実施の形態4)実施の形態4において
は、平面型表示装置を冷陰極電界電子放出表示装置(以
下、電界放出型表示装置と呼ぶ場合がある)としたとき
の、各種の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素
子と呼ぶ)について説明する。
【0048】電界放出素子は、以下の3つの範疇に分類
することができる。即ち、第1の構造の電界放出素子
は、(イ)支持体と、(ロ)支持体上に設けられたスト
ライプ状のカソード電極と、(ハ)支持体及びカソード
電極上に形成された絶縁層と、(ニ)絶縁層上に設けら
れたストライプ状のゲート電極と、(ホ)ゲート電極を
貫通した開口部、及び、絶縁層を貫通し、開口部と連通
した孔部と、(ヘ)孔部の底部に位置するカソード電極
上に設けられた電子放出部、から成り、孔部の底部に露
出した電子放出部から電子が放出される構造を有する。
【0049】このような第1の構造を有する電界放出素
子として、スピント型(円錐形の電子放出部が、孔部の
底部に位置するカソード電極上に設けられた電界放出素
子)、クラウン型(王冠状の電子放出部が、孔部の底部
に位置するカソード電極上に設けられた電界放出素
子)、扁平型(略平面の電子放出部が、孔部の底部に位
置するカソード電極上に設けられた電界放出素子)を挙
げることができる。
【0050】第2の構造の電界放出素子は、(イ)支持
体と、(ロ)支持体上に設けられたストライプ状のカソ
ード電極と、(ハ)支持体及びカソード電極上に形成さ
れた絶縁層と、(ニ)絶縁層上に設けられたストライプ
状のゲート電極と、(ホ)ゲート電極を貫通した開口
部、及び、絶縁層を貫通し、開口部と連通し、底部にカ
ソード電極が露出した孔部、から成り、孔部の底部に露
出したカソード電極の部分が電子放出部に相当し、かか
る孔部の底部に露出したカソード電極の部分から電子を
放出する構造を有する。
【0051】このような第2の構造を有する電界放出素
子として、平坦なカソード電極の表面から電子を放出す
る平面型電界放出素子、凹凸が形成されたカソード電極
の表面の凸部から電子を放出するクレータ型電界放出素
子を挙げることができる。
【0052】第3の構造の電界放出素子は、(イ)支持
体と、(ロ)支持体の上方に設けられ、エッジ部を有す
るストライプ状のカソード電極と、(ハ)少なくともカ
ソード電極上に形成された絶縁層と、(ニ)絶縁層上に
設けられたストライプ状のゲート電極と、(ホ)少なく
とも、ゲート電極を貫通した開口部、及び、絶縁層を貫
通し、開口部と連通した孔部、から成り、孔部の底部若
しくは側壁に露出したカソード電極のエッジ部が電子放
出部に相当し、孔部の底部若しくは側壁に露出したカソ
ード電極のエッジ部から電子を放出する構造を有する。
このような構造を有する電界放出素子はエッジ型電界放
出素子とも呼ばれる。
【0053】スピント型電界放出素子にあっては、電子
放出部を構成する材料として、タングステン、タングス
テン合金、モリブデン、モリブデン合金、チタン、チタ
ン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合
金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリ
コン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る
群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げること
ができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、例
えば、蒸着法やスパッタリング法、CVD法によって形
成することができる。
【0054】クラウン型電界放出素子にあっては、電子
放出部を構成する材料として、導電性粒子、あるいは、
導電性粒子とバインダの組合せを挙げることができる。
導電性粒子として、黒鉛等のカーボン系材料;タングス
テン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタ
ン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)等の
高融点金属;あるいはITO(インジウム・錫酸化物)
等の透明導電材料を挙げることができる。バインダとし
て、例えば水ガラスといったガラスや汎用樹脂を使用す
ることができる。汎用樹脂として、塩化ビニル系樹脂、
ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース
エステル系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂や、エ
ポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等
の熱硬化性樹脂を例示することができる。電子放出効率
の向上のためには、導電性粒子の粒径が電子放出部の寸
法に比べて十分に小さいことが好ましい。導電性粒子の
形状は、球形、多面体、板状、針状、柱状、不定形等、
特に限定されないが、導電性粒子の露出部が鋭い突起と
なり得るような形状であることが好ましい。寸法や形状
の異なる導電性粒子を混合して使用してもよい。クラウ
ン型電界放出素子の電子放出部は、例えば、リフトオフ
法と組み合わせた塗布法、蒸着法、スパッタリング法に
よって形成することができる。
【0055】扁平型電界放出素子にあっては、あるいは
又、電子放出部を構成する材料として、カソード電極を
構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成す
ることが好ましく、どのような材料を選択するかは、カ
ソード電極を構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカ
ソード電極との間の電位差、要求される放出電子電流密
度の大きさ等に基づいて決定すればよい。電界放出素子
におけるカソード電極を構成する代表的な材料として、
タングステン(Φ=4.55eV)、ニオブ(Φ=4.
02〜4.87eV)、モリブデン(Φ=4.53〜
4.95eV)、アルミニウム(Φ=4.28eV)、
銅(Φ=4.6eV)、タンタル(Φ=4.3eV)、
クロム(Φ=4.5eV)、シリコン(Φ=4.9e
V)を例示することができる。電子放出部は、これらの
材料よりも小さな仕事関数Φを有していることが好まし
く、その値は概ね3eV以下であることが好ましい。か
かる材料として、炭素(Φ<1eV)、セシウム(Φ=
2.14eV)、LaB6(Φ=2.66〜2.76e
V)、BaO(Φ=1.6〜2.7eV)、SrO(Φ
=1.25〜1.6eV)、Y23(Φ=2.0e
V)、CaO(Φ=1.6〜1.86eV)、BaS
(Φ=2.05eV)、TiN(Φ=2.92eV)、
ZrN(Φ=2.92eV)を例示することができる。
仕事関数Φが2eV以下である材料から電子放出部を構
成することが、一層好ましい。尚、電子放出部を構成す
る材料は、必ずしも導電性を備えている必要はない。
【0056】特に好ましい電子放出部の構成材料とし
て、炭素、より具体的にはダイヤモンド、中でもアモル
ファスダイヤモンドを挙げることができる。電子放出部
をアモルファスダイヤモンドから構成する場合、5×1
7V/m以下の電界強度にて、表示装置に必要な放出
電子電流密度を得ることができる。また、アモルファス
ダイヤモンドは電気抵抗体であるため、各電子放出部か
ら得られる放出電子電流を均一化することができ、よっ
て、表示装置に組み込まれた場合の輝度ばらつきの抑制
が可能となる。更に、アモルファスダイヤモンドは、表
示装置内の残留ガスのイオンによるスパッタ作用に対し
て極めて高い耐性を有するので、電界放出素子の長寿命
化を図ることができる。
【0057】あるいは又、電子放出部を構成する材料と
して、かかる材料の2次電子利得δがカソード電極を構
成する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるよ
うな材料から適宜選択してもよい。即ち、銀(Ag)、
アルミニウム(Al)、金(Au)、コバルト(C
o)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(N
b)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(T
a)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)等の
金属;シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)等の半
導体;炭素やダイヤモンド等の無機単体;及び酸化アル
ミニウム(Al23)、酸化バリウム(BaO)、酸化
ベリリウム(BeO)、酸化カルシウム(CaO)、酸
化マグネシウム(MgO)、酸化錫(SnO2)、フッ
化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2
等の化合物の中から、適宜選択することができる。尚、
電子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えて
いる必要はない。
【0058】第2の構造を有する電界放出素子(平面型
電界放出素子あるいはクレータ型電界放出素子)、若し
くは第3の構造を有する電界放出素子(エッジ型電界放
出素子)にあっては、電子放出部に相当するカソード電
極を構成する材料として、タングステン(W)やタンタ
ル(Ta)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、モリブ
デン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)等の金属;
これらの合金や化合物(例えばTiN等の窒化物や、W
Si2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイ
ド);シリコン(Si)等の半導体;あるいはダイヤモ
ンド等の炭素薄膜を例示することができる。かかるカソ
ード電極の厚さは、おおよそ0.05〜0.5μm、好
ましくは0.1〜0.3μmの範囲とすることが望まし
いが、かかる範囲に限定するものではない。カソード電
極の形成方法として、例えば電子ビーム蒸着法や熱フィ
ラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、C
VD法やイオンプレーティング法とエッチング法との組
合せ、スクリーン印刷法、メッキ法等を挙げることがで
きる。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、ス
トライプ状のカソード電極を形成することが可能であ
る。
【0059】あるいは又、第2の構造(平面型電界放出
素子あるいはクレータ型電界放出素子)、第3の構造を
有する電界放出素子(エッジ型電界放出素子)、あるい
は、扁平型電界放出素子から成る第1の構造を有する電
界放出素子にあっては、カソード電極や電子放出部を、
導電性微粒子を分散させた導電性ペーストを用いて形成
することもできる。導電性微粒子としては、グラファイ
ト粉末;酸化バリウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、
金属粉末の少なくとも一種を混合したグラファイト粉
末;窒素、リン、ホウ素、トリアゾール等の不純物を含
むダイヤモンド粒子又はダイヤモンドライク・カーボン
粉末;カーボン・ナノ・チューブ粉末;(Sr,Ba,
Ca)CO3粉末;シリコン・カーバイド粉末を例示す
ることができる。特に、導電性微粒子としてグラファイ
ト粉末を選択することが、閾値電界の低減や電子放出部
の耐久性の観点から好ましい。導電性微粒子の形状を、
球状、鱗片状の他、任意の定形形状や不定形形状とする
ことができる。また、導電性微粒子の粒径は、カソード
電極や電子放出部の厚さやパターン幅以下であればよ
い。粒径が小さい方が、単位面積当たりの放出電子数を
増大させることができるが、あまり小さ過ぎるとカソー
ド電極や電子放出部の導電性が劣化する虞がある。よっ
て、好ましい粒径の範囲はおおよそ0.01〜4.0μ
mである。かかる導電性微粒子をガラス成分その他の適
当なバインダと混合して導電性ペーストを調製し、この
導電性ペースを用いてスクリーン印刷法により所望のパ
ターンを形成した後、パターンを焼成することによって
電子放出部として機能するカソード電極や電子放出部を
形成することができる。あるいは、スピンコーティング
法とエッチング技術の組み合わせにより、電子放出部と
して機能するカソード電極や電子放出部を形成すること
もできる。
【0060】また、スピント型電界放出素子やクラウン
型電界放出素子から成る第1の構造を有する電界放出素
子にあっては、カソード電極を構成する材料として、タ
ングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(T
a)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニ
ウム(Al)、銅(Cu)等の金属;これらの金属元素
を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物
や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシ
リサイド);シリコン(Si)等の半導体;ITO(イ
ンジウム・錫酸化物)を例示することができる。カソー
ド電極の形成方法として、例えば電子ビーム蒸着法や熱
フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング
法、CVD法やイオンプレーティング法とエッチング法
との組合せ、スクリーン印刷法、メッキ法等を挙げるこ
とができる。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直
接、ストライプ状のカソード電極を形成することが可能
である。
【0061】第1の構造〜第3の構造を有する電界放出
素子において、ゲート電極及び絶縁層に設けられた1つ
の開口部及び孔部内に1つの電子放出部が存在してもよ
いし、ゲート電極及び絶縁層に設けられた1つの開口部
及び孔部内に複数の電子放出部が存在してもよいし、ゲ
ート電極に複数の開口部を設け、かかる開口部と連通す
る1つの孔部を絶縁層に設け、絶縁層に設けられた1つ
の孔部内に1又は複数の電子放出部が存在してもよい。
【0062】第1の構造〜第3の構造を有する電界放出
素子において、カソード電極と電子放出部との間に抵抗
体層を設けてもよい。あるいは又、カソード電極の表面
あるいはそのエッジ部が電子放出部に相当している場
合、カソード電極を導電材料層、抵抗体層、電子放出部
に相当する電子放出層の3層構成としてもよい。抵抗体
層を設けることによって、電界放出素子の動作安定化、
電子放出特性の均一化を図ることができる。抵抗体層を
構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)と
いったカーボン系材料、SiN、アモルファスシリコン
等の半導体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タ
ンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物を例示する
ことができる。抵抗体層の形成方法として、スパッタリ
ング法や、CVD法やスクリーン印刷法を例示すること
ができる。抵抗値は、概ね1×10 5〜1×107Ω、好
ましくは数MΩとすればよい。
【0063】各種の電界放出素子におけるゲート電極を
構成する導電性材料として、タングステン(W)、ニオ
ブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、
クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等
の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物
(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、T
iSi2、TaSi2等のシリサイド);あるいはシリコ
ン(Si)等の半導体やダイヤモンド、カーボン、IT
O(インジウム・錫酸化物)を例示することができる。
【0064】絶縁層の構成材料として、SiO2、Si
N、SiON、SOG(スピンオングラス)を、単独あ
るいは適宜組み合わせて使用することができる。絶縁層
の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、ス
クリーン印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
【0065】以下、各種の電界放出素子及びその製造方
法を説明する。
【0066】[スピント型電界放出素子]図7の(B)
に示す電界放出素子は、円錐形の電子放出部15を有す
る所謂スピント型電界放出素子である。スピント型電界
放出素子は、支持体10と、支持体10上に設けられた
ストライプ状のカソード電極11と、支持体10及びカ
ソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層1
2上に設けられたストライプ状のゲート電極13と、ゲ
ート電極13を貫通した開口部、及び、絶縁層12を貫
通し、開口部と連通した孔部と、孔部の底部に位置する
カソード電極11上に設けられた円錐状の電子放出部1
5から成り、孔部の底部に露出した電子放出部15から
電子が放出される構造を有する。このスピント型電界放
出素子の製造方法の概要を、以下、支持体等の模式的な
一部端面図である図6及び図7を参照して説明する。
【0067】[工程−A1]先ず、例えばガラスから成
る支持体10上にニオブ(Nb)から成るストライプ状
のカソード電極11を形成した後、全面にSiO2から
成る絶縁層12を形成し、更に、ストライプ状のゲート
電極13を絶縁層12上に形成する。ゲート電極13の
形成は、例えば、スパッタリング法、リソグラフィ技術
及びドライエッチング技術に基づき行うことができる。
【0068】[工程−A2]次に、ゲート電極13及び
絶縁層12に、エッチング用マスクとして機能するレジ
スト層16をリソグラフィ技術によって形成する(図6
の(A)参照)。その後、RIE(反応性イオン・エッ
チング)法にてゲート電極13に開口部を形成し、更
に、絶縁層12に孔部を形成する。尚、以下の説明にお
いて、特に断りのない限り、開口部及び孔部を総称して
開口部14と表現する。開口部14(孔部)の底部にカ
ソード電極11が露出している。その後、レジスト層1
6をアッシング技術によって除去する。こうして、図6
の(B)に示す構造を得ることができる。
【0069】[工程−A3]次に、開口部14の底部に
露出したカソード電極11上に、電子放出部15を形成
する。具体的には、先ず、アルミニウムを斜め蒸着する
ことにより、剥離層17を形成する。このとき、支持体
10の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選
択することにより、開口部14の底部にアルミニウムを
殆ど堆積させることなく、ゲート電極13及び絶縁層1
2上に剥離層17を形成することができる。この剥離層
17は、開口部14の開口端部から庇状に張り出してお
り、これにより開口部14が実質的に縮径される(図6
の(C)参照)。
【0070】[工程−A4]次に、全面に例えばモリブ
デン(Mo)を垂直蒸着する。このとき、図7の(A)
に示すように、剥離層17上でオーバーハング形状を有
するモリブデンから成る導電材料層18が成長するに伴
い、開口部14の実質的な直径が次第に縮小されるの
で、開口部14の底部において堆積に寄与する蒸着粒子
は、次第に開口部14の中央付近を通過するものに限ら
れるようになる。その結果、開口部14の底部には円錐
形の堆積物が形成され、この円錐形のモリブデンから成
る堆積物が電子放出部15となる。
【0071】[工程−A5]その後、電気化学的プロセ
ス及び湿式プロセスによって剥離層17を絶縁層12及
びゲート電極13の表面から剥離し、絶縁層12及びゲ
ート電極13の上方の導電材料層18を選択的に除去す
る。その結果、図7の(B)に示すように、開口部14
の底部に位置するカソード電極11上に円錐形の電子放
出部15を残すことができる。その後、絶縁層12を等
方的にエッチングし、ゲート電極13の開口部端部を露
出させることが好ましい。等方的なエッチングは、ケミ
カルドライエッチングのようにラジカルを主エッチング
種として利用するドライエッチング、あるいは、エッチ
ング液を利用するウェットエッチングにより行うことが
できる。エッチング液として、例えば49%フッ酸水溶
液と純水の1:100(容積比)混合液を用いることが
できる。
【0072】[工程−A6]ストライプ状のカソード電
極11と、ストライプ状のゲート電極13とは、これら
の導電材料層の射影像が互いに直交する方向に形成され
ており、これらのストライプ状の電極の射影像が重複す
る部分に相当する領域(1画素分の領域に相当し、電子
放出領域である)に、通常、複数の電界放出素子が配列
されている。更に、かかる電子放出領域が、第2パネル
2の有効領域EF2内に、通常、2次元マトリクス状に
配列されている(図47の模式的な斜視図を参照)。こ
うして得られた電界放出素子を備えた第2パネルP
2と、第1パネルP1とを、枠体24を介してフリットガ
ラスを用いて接合する。こうして得られた構造を図46
に示す。その後、実施の形態2にて説明した平面型表示
装置の組立方法に基づき、第1パネルP1、第2パネル
2及び排気室1から電界放出型表示装置を完成させれ
ばよい。
【0073】尚、第1パネルP1(アノードパネルとも
称される)は、基板20と、基板20上に所定のパター
ンに従って形成された蛍光体層21(蛍光体層21R,
21G,21B)と、蛍光体層21上の全面に亙って形
成されたアノード電極23から構成されている。尚、蛍
光体層21の間の基板20上には、ブラックマトリクス
22が形成されている。
【0074】第1パネルP1の製造方法の一例を、以
下、図48を参照して説明する。先ず、発光性結晶粒子
組成物を調製する。そのために、例えば、純水に分散剤
を分散させ、ホモミキサーを用いて3000rpmにて
1分間、撹拌を行う。次に、発光性結晶粒子を分散剤が
分散した純水中に投入し、ホモミキサーを用いて500
0rpmにて5分間、撹拌を行う。その後、例えば、ポ
リビニルアルコール及び重クロム酸アンモニウムを添加
して、十分に撹拌し、濾過する。
【0075】第1パネルP1の製造においては、例えば
ガラスから成る基板20上の全面に感光性被膜40を形
成(塗布)する。そして、露光光源(図示せず)から射
出され、マスク43に設けられた開口44を通過した露
光光によって、基板20上に形成された感光性被膜40
を露光して感光領域41を形成する(図48の(A)参
照)。その後、感光性被膜40を現像して選択的に除去
し、感光性被膜の残部(露光、現像後の感光性被膜)4
2を基板20上に残す(図48の(B)参照)。次に、
全面にカーボン剤(カーボンスラリー)を塗布し、乾
燥、焼成した後、リフトオフ法にて感光性被膜の残部4
2及びその上のカーボン剤を除去することによって、露
出した基板20上にカーボン剤から成るブラックマトリ
クス22とを形成し、併せて、感光性被膜の残部42を
除去する(図48の(C)参照)。その後、露出した基
板20上に、赤、緑、青の各蛍光体層21を形成する
(図48の(D)参照)。具体的には、各発光性結晶粒
子(蛍光体粒子)から調製された発光性結晶粒子組成物
を使用し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成
物(蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像し、
次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(蛍光体
スラリー)を全面に塗布し、露光、現像し、更に、青色
の感光性の発光性結晶粒子組成物(蛍光体スラリー)を
全面に塗布し、露光、現像すればよい。その後、蛍光体
層21及びブラックマトリクス22上にスパッタリング
法にて厚さ約0.07μmのアルミニウム薄膜から成る
アノード電極23を形成する。尚、スクリーン印刷法等
により各蛍光体層21を形成することもできる。
【0076】こうして得られた電界放出型表示装置にお
ける画像表示は、従来の電界放出型表示装置と同様とす
ることができるので、詳細な説明は省略する。また、
[工程−A6]を、以下に説明する各種の電界放出素子
を組み込んだ電界放出型表示装置の製造に適用すること
ができる。
【0077】[クラウン型電界放出素子]クラウン型電
界放出素子から成る電界放出素子の模式的な一部端面図
を図9の(A)に示し、一部を切り欠いた模式的な斜視
図を図9の(B)に示す。クラウン型電界放出素子は、
支持体10上に形成されたカソード電極11と、支持体
10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12
と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲー
ト電極13及び絶縁層12を貫通した開口部14と、開
口部14(孔部)の底部に位置するカソード電極11上
に設けられたクラウン(王冠)型の電子放出部15Aか
ら構成されている。
【0078】以下、クラウン型電界放出素子の製造方法
を、支持体等の模式的な一部端面図等である図8〜図9
を参照して説明する。
【0079】[工程−B1]先ず、例えばガラスから成
る支持体10上に、ストライプのカソード電極11を形
成する。尚、カソード電極11は、図面の紙面左右方向
に延びている。ストライプ状のカソード電極11は、例
えば支持体10上にITO膜をスパッタリング法により
約0.2μmの厚さに全面に亙って成膜した後、ITO
膜をパターニングすることによって形成することができ
る。カソード電極11は、単一の材料層であってもよ
く、複数の材料層を積層することによって構成すること
もできる。例えば、後の工程で形成される各電子放出部
の電子放出特性のばらつきを抑制するために、カソード
電極11の表層部を残部よりも電気抵抗率の高い材料で
構成することができる。尚、このようなカソード電極の
構成を、他の電界放出素子のカソード電極に適用するこ
とができる。次に、支持体10及びカソード電極11上
に絶縁層12を形成する。ここでは、一例としてガラス
ペーストを全面に約3μmの厚さにスクリーン印刷す
る。次に、絶縁層12に含まれる水分や溶剤を除去し、
且つ、絶縁層12を平坦化するために、例えば100゜
C、10分間の仮焼成、及び500゜C、20分間の本
焼成といった2段階の焼成を行う。尚、上述のようなガ
ラスペーストを用いたスクリーン印刷に替えて、例えば
プラズマCVD法によりSiO2膜を形成してもよい。
【0080】次に、絶縁層12上に、ストライプ状のゲ
ート電極13を形成する。尚、ゲート電極13は、図面
の紙面垂直方向に延びている。即ち、ゲート電極13の
射影像の延びる方向は、ストライプ状のカソード電極1
1の射影像の延びる方向と90度を成す。
【0081】[工程−B2]次に、[工程−A2]と同
様にして、ゲート電極13及び絶縁層12をRIE法に
基づきエッチングし、ゲート電極13及び絶縁層12に
開口部14を形成し、開口部14(孔部)の底部にカソ
ード電極11を露出させる。開口部14の直径を約2〜
50μmとする。
【0082】[工程−B3]次に、ゲート電極13上、
絶縁層12上、及び開口部14の側壁面上に剥離層51
を形成する(図8の(A)参照)。かかる剥離層51を
形成するには、例えば、フォトレジスト材料をスピンコ
ーティング法により全面に塗布し、開口部14の底部の
一部分のみを除去するようなパターニングを行う。この
時点で、開口部14の実質的な直径は、約1〜20μm
に縮径される。
【0083】[工程−B4]次に、図8の(B)に示す
ように、全面に組成物原料から成る導電性組成物層52
を形成する。ここで使用する組成物原料は、例えば、導
電性粒子として平均粒径約0.1μmの黒鉛粒子を60
重量%、バインダとして4号の水ガラスを40重量%含
む。この組成物原料を、例えば1400rpm、10秒
間の条件で全面にスピンコートする。開口部14内にお
ける導電性組成物層52の表面は、組成物原料の表面張
力に起因して、開口部14の側壁面に沿って迫り上が
り、開口部14の中央部に向かって窪む。その後、導電
性組成物層52に含まれる水分を除去するための仮焼成
を、例えば大気中、400゜Cで30分間行う。
【0084】組成物原料において、バインダは、(1)
それ自身が導電性粒子の分散媒であってもよいし、
(2)導電性粒子を被覆していてもよいし、(3)適当
な溶媒に分散あるいは溶解されることによって、導電性
粒子の分散媒を構成してもよい。(3)のケースの典型
例は水ガラスであり、日本工業規格(JIS)K140
8に規定される1号乃至4号、又はこれらの同等品を使
用することができる。1号乃至4号は、水ガラスの構成
成分である酸化ナトリウム(Na2O)1モルに対する
酸化珪素(SiO2)のモル数(約2〜4モル)の違い
に基づく4段階の等級であり、それぞれ粘度が大きく異
なる。従って、リフトオフ・プロセスで水ガラスを使用
する際には、水ガラスに分散させる導電性粒子の種類や
含有量、剥離層51との親和性、開口部14のアスペク
ト比等の諸条件を考慮して、最適な等級の水ガラスを選
択するか、又は、これらの等級と同等の水ガラスを調製
して使用することが好ましい。
【0085】バインダは一般に導電性に劣るので、組成
物原料中の導電性粒子の含有量に対してバインダの含有
量が多過ぎると、形成される電子放出部15Aの電気抵
抗値が上昇し、電子放出が円滑に行われなくなる虞があ
る。従って、例えば水ガラス中に導電性粒子としてカー
ボン系材料粒子を分散させて成る組成物原料を例にとる
と、組成物原料の全重量に占めるカーボン系材料粒子の
割合は、電子放出部15Aの電気抵抗値、組成物原料の
粘度、導電性粒子同士の接着性等の特性を考慮し、概ね
30〜95重量%の範囲に選択することが好ましい。カ
ーボン系材料粒子の割合をかかる範囲内に選択すること
により、形成される電子放出部15Aの電気抵抗値を十
分に下げると共に、カーボン系材料粒子同士の接着性を
良好に保つことが可能となる。但し、導電性粒子として
カーボン系材料粒子にアルミナ粒子を混合して用いた場
合には、導電性粒子同士の接着性が低下する傾向がある
ので、アルミナ粒子の含有量に応じてカーボン系材料粒
子の割合を高めることが好ましく、60重量%以上とす
ることが特に好ましい。尚、組成物原料には、導電性粒
子の分散状態を安定化させるための分散剤や、pH調整
剤、乾燥剤、硬化剤、防腐剤等の添加剤が含まれていて
もよい。尚、導電性粒子を結合剤(バインダ)の被膜で
覆った粉体を、適当な分散媒中に分散させて成る組成物
原料を用いてもよい。
【0086】一例として、王冠状の電子放出部15Aの
直径を概ね1〜20μmとし、導電性粒子としてカーボ
ン系材料粒子を使用した場合、カーボン系材料粒子の粒
径は概ね0.1μm〜1μmの範囲とすることが好まし
い。カーボン系材料粒子の粒径をかかる範囲に選択する
ことにより、王冠状の電子放出部15Aの縁部に十分に
高い機械的強度が備わり、且つ、カソード電極11に対
する電子放出部15Aの密着性が良好となる。
【0087】[工程−B5]次に、図8の(C)に示す
ように、剥離層51を除去する。剥離は、2重量%の水
酸化ナトリウム水溶液中に、30秒間浸漬することによ
り行う。このとき、超音波振動を加えながら剥離を行っ
てもよい。これにより、剥離層51と共に剥離層51上
の導電性組成物層52の部分が除去され、開口部14
(孔部)の底部に露出したカソード電極11上の導電性
組成物層52の部分のみが残される。この残存した部分
が電子放出部15Aとなる。電子放出部15Aの形状
は、表面が開口部14の中央部に向かって窪み、王冠状
となる。[工程−B5]が終了した時点における状態
を、図9に示す。図9の(B)は、電界放出素子の一部
を示す模式的な斜視図であり、図9の(A)は図9の
(B)の線A−Aに沿った模式的な一部端面図である。
図9の(B)では、電子放出部15Aの全体が見えるよ
うに、絶縁層12とゲート電極13との一部を切り欠い
ている。尚、1つの電子放出領域には、5〜100個程
度の電子放出部15Aを設けることで十分である。尚、
導電性粒子が電子放出部15Aの表面に確実に露出する
ように、電子放出部15Aの表面に露出したバインダを
エッチングによって除去してもよい。
【0088】[工程−B6]次に、電子放出部15Aの
焼成を行う。焼成は、乾燥大気中、400゜C、30分
間の条件で行う。尚、焼成温度は、組成物原料に含まれ
るバインダの種類に応じて選択すればよい。例えば、バ
インダが水ガラスのような無機材料である場合には、無
機材料を焼成し得る温度で熱処理を行えばよい。バイン
ダが熱硬化性樹脂である場合には、熱硬化性樹脂を硬化
し得る温度で熱処理を行えばよい。但し、導電性粒子同
士の密着性を保つために、熱硬化性樹脂が過度に分解し
たり炭化する虞のない温度で熱処理を行うことが好適で
ある。いずれのバインダを用いるにしても、熱処理温度
は、ゲート電極やカソード電極、絶縁層に損傷や欠陥が
生じない温度とする必要がある。熱処理雰囲気は、ゲー
ト電極やカソード電極の電気抵抗率が酸化によって上昇
したり、あるいはゲート電極やカソード電極に欠陥や損
傷が生ずることがないように、不活性ガス雰囲気とする
ことが好ましい。尚、バインダとして熱可塑性樹脂を使
用した場合には、熱処理を必要としない場合がある。
【0089】[扁平型電界放出素子−1]扁平型電界放
出素子−1から成る電界放出素子の模式的な一部断面図
を、図10の(C)に示す。扁平型電界放出素子−1
は、例えばガラスから成る支持体10上に形成されたカ
ソード電極11、支持体10及びカソード電極11上に
形成された絶縁層12、絶縁層12上に形成されたゲー
ト電極13、ゲート電極13及び絶縁層12を貫通した
開口部14、並びに、開口部14(孔部)の底部に位置
するカソード電極11上に設けられた扁平の電子放出部
15Bから成る。ここで、電子放出部15Bは、図10
の(C)の紙面垂直方向に延びたストライプ状のカソー
ド電極11上に形成されている。また、ゲート電極13
は、図10の(C)の紙面左右方向に延びている。カソ
ード電極11及びゲート電極13はクロム(Cr)から
成る。電子放出部15Bは、具体的には、グラファイト
粉末から成る薄層から構成されている。また、電界放出
素子の動作安定化、電子放出特性の均一化のために、カ
ソード電極11と電子放出部15Bとの間にSiCから
成る抵抗体層60が設けられている。図10の(C)に
示した扁平型電界放出素子−1においては、カソード電
極11の表面の全域に亙って、抵抗体層60及び電子放
出部15Bが形成されているが、このような構造に限定
するものではなく、要は、少なくとも開口部14の底部
に電子放出部15Bが設けられていればよい。
【0090】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図10を参照して、扁平型電界放出素子−1の製造方
法を説明する。
【0091】[工程−C1]先ず、支持体10上に、ク
ロム(Cr)から成るカソード電極用導電材料層をスパ
ッタリング法にて形成した後、リソグラフィ技術及びド
ライエッチング技術に基づきカソード電極用導電材料層
をパターニングする。これによって、ストライプ状のカ
ソード電極11を支持体10上に形成することができる
(図10の(A)参照)。尚、カソード電極11は、図
10の紙面垂直方向に延びている。
【0092】[工程−C2]次に、カソード電極11上
に、電子放出部15Bを形成する。具体的には、先ず、
全面にスパッタリング法にてSiCから成る抵抗体層6
0を形成し、次いで、抵抗体層60の上にグラファイト
粉末塗料から成る電子放出部15Bをスピンコーティン
グ法にて形成し、電子放出部15Bを乾燥させる。その
後、電子放出部15B及び抵抗体層60を公知の方法に
基づきパターニングする(図10の(B)参照)。電子
放出部15Bから電子が放出される。
【0093】[工程−C3]次に、全面に絶縁層12を
形成する。具体的には、電子放出部15B及び支持体1
0上に、例えば、スパッタリング法にてSiO2から成
る絶縁層12を形成する。尚、絶縁層12を、ガラスペ
ーストをスクリーン印刷する方法や、SiO 2層をCV
D法にて形成する方法に基づき形成することもできる。
その後、ストライプ状のゲート電極13を絶縁層12上
に形成する。
【0094】[工程−C4]次に、[工程−A2]と同
様の方法に基づき、ゲート電極13及び絶縁層12に開
口部14を形成し、開口部14(孔部)の底部に電子放
出部15Bを露出させる。その後、電子放出部15B中
の有機溶剤を除去するために、400゜C、30分の熱
処理を施す。その後、絶縁層12を等方的にエッチング
し、ゲート電極13の開口部端部を露出させることが好
ましい。こうして、図10の(C)に示した電界放出素
子−1を得ることができる。
【0095】[扁平型電界放出素子−2]扁平型電界放
出素子−2の模式的な一部断面図を、図11の(C)に
示す。図11の(C)に示す扁平型電界放出素子−2に
おいては、電子放出部15Bの構造が、図10の(C)
に示した扁平型電界放出素子−1と若干異なっている。
以下、支持体等の模式的な一部断面図である図11を参
照して、かかる扁平型電界放出素子−2の製造方法を説
明する。
【0096】[工程−D1]先ず、支持体10上にカソ
ード電極用導電材料層を形成する。具体的には、支持体
10の全面にレジスト材料層(図示せず)を形成した
後、カソード電極を形成すべき部分のレジスト材料層を
除去する。その後、全面にクロム(Cr)から成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成す
る。更に、全面にスパッタリング法にてSiCから成る
抵抗体層60を形成し、次いで、抵抗体層60の上にグ
ラファイト粉末塗料層をスピンコーティング法にて形成
し、グラファイト粉末塗料層を乾燥させる。その後、剥
離液を用いてレジスト材料層を除去すると、レジスト材
料層上に形成されたカソード電極用導電材料層、抵抗体
層60及びグラファイト粉末塗料層も除去される。こう
して、所謂リフトオフ法に基づき、カソード電極11、
抵抗体層60及び電子放出部15B(電子放出層)が積
層された構造を得ることができる(図11の(A)参
照)。
【0097】[工程−D2]次に、全面に絶縁層12を
形成した後、絶縁層12上にストライプ状のゲート電極
13を形成する(図11の(B)参照)。その後、[工
程−A2]と同様の方法に基づき、ゲート電極13及び
絶縁層12に開口部14を形成することによって、開口
部14(孔部)の底部に電子放出部15Bを露出させる
(図11の(C)参照)。その後、絶縁層12を等方的
にエッチングし、ゲート電極13の開口部端部を露出さ
せることが好ましい。開口部14の底部に露出したカソ
ード電極11の表面に設けられた電子放出部15Bから
電子が放出される。
【0098】[扁平型電界放出素子−3]扁平型電界放
出素子の別の変形例の模式的な一部端面図を、図13の
(B)に示す。この扁平型電界放出素子−3において
は、電子放出部15Cは、CVD法に基づき形成された
炭素薄膜から構成されている。
【0099】電子放出部を炭素薄膜から構成すること
は、炭素(C)の仕事関数が低く、高い放出電子電流を
達成することができるので、好ましい。炭素薄膜から電
子を放出させるためには、炭素薄膜が適切な電界(例え
ば、106ボルト/m程度の強度を有する電界)中に置
かれた状態とすればよい。
【0100】ところで、レジスト材料をエッチング用マ
スクとして使用し、酸素ガスを用いてダイヤモンド薄膜
のような炭素薄膜のプラズマエッチングを行った場合、
エッチング反応系における反応副生成物として(C
x)系あるいは(CFx)系等の炭素系ポリマーが堆積
性物質として生成する。一般に、プラズマエッチングに
おいて堆積性物質がエッチング反応系に生成した場合、
この堆積性物質はイオン入射確率の低いレジスト材料の
側壁面、あるいは被エッチング物の加工端面に堆積して
所謂側壁保護膜を形成し、被エッチング物の異方性加工
によって得られる形状の達成に寄与する。しかしなが
ら、酸素ガスをエッチング用ガスとして使用した場合に
は、炭素系ポリマーから成る側壁保護膜は、生成して
も、直ちに酸素ガスによって除去されてしまう。また、
酸素ガスをエッチング用ガスとして使用した場合には、
レジスト材料の消耗も激しい。これらの理由により、従
来のダイヤモンド薄膜の酸素プラズマ加工においては、
ダイヤモンド薄膜のマスクの寸法に対する寸法変換差が
大きく、異方性加工も困難な場合が多い。
【0101】このような問題を解決するためには、例え
ば、カソード電極の表面に炭素薄膜選択成長領域を形成
し、炭素薄膜選択成長領域上に炭素薄膜から成る電子放
出部を形成する構成とすればよい。即ち、この扁平型電
界放出素子−3の製造においては、支持体上にカソード
電極を形成した後、カソード電極の表面に炭素薄膜選択
成長領域を形成し、その後、炭素薄膜選択成長領域上に
炭素薄膜(電子放出部に相当する)を形成する。尚、カ
ソード電極の表面に炭素薄膜選択成長領域を形成する工
程を、炭素薄膜選択成長領域形成工程と呼ぶ。
【0102】ここで、炭素薄膜選択成長領域は、表面に
金属粒子が付着したカソード電極の部分、若しくは、表
面に金属薄膜が形成されたカソード電極の部分であるこ
とが好ましい。尚、炭素薄膜選択成長領域における炭素
薄膜の選択成長を一層確実なものとするために、炭素薄
膜選択成長領域の表面には、硫黄(S)、ホウ素(B)
又はリン(P)が付着していることが望ましく、これら
の物質は一種の触媒としての作用を果たすと考えられ、
これによって、炭素薄膜の選択成長性を一層向上させる
ことができる。尚、炭素薄膜選択成長領域は、開口部の
底部に位置するカソード電極の部分の表面に形成されて
いればよく、開口部の底部に位置するカソード電極の部
分から開口部の底部以外のカソード電極の部分の表面に
延在するように形成されていてもよい。また、炭素薄膜
選択成長領域は、開口部の底部に位置するカソード電極
の部分の表面の全面に形成されていても、部分的に形成
されていてもよい。
【0103】炭素薄膜選択成長領域形成工程は、炭素薄
膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の部分の表面
(以下、単にカソード電極の表面と呼ぶ場合がある)
に、金属粒子を付着させ、若しくは、金属薄膜を形成す
る工程から成り、以て、表面に金属粒子が付着し、若し
くは、表面に金属薄膜が形成されたカソード電極の部分
から成る炭素薄膜選択成長領域を得ることが好ましい。
また、この場合、炭素薄膜選択成長領域における炭素薄
膜の選択成長を一層確実なものとするために、炭素薄膜
選択成長領域の表面に、硫黄(S)、ホウ素(B)又は
リン(P)を付着させることが望ましく、これによっ
て、炭素薄膜の選択成長性を一層向上させることができ
る。炭素薄膜選択成長領域の表面に硫黄、ホウ素又はリ
ンを付着させる方法としては、例えば、硫黄、ホウ素又
はリンを含む化合物から成る化合物層を炭素薄膜選択成
長領域の表面に形成し、次いで、例えば加熱処理を化合
物層に施すことによって化合物層を構成する化合物を分
解させ、炭素薄膜選択成長領域の表面に硫黄、ホウ素又
はリンを残す方法を挙げることができる。硫黄を含む化
合物としてチオナフテン、チオフテン、チオフェンを例
示することができる。ホウ素を含む化合物として、トリ
フェニルボランを例示することができる。リンを含む化
合物として、トリフェニルフォスフィンを例示すること
ができる。
【0104】あるいは又、炭素薄膜選択成長領域におけ
る炭素薄膜の選択成長を一層確実なものとするために、
カソード電極の表面に、金属粒子を付着させ、若しく
は、金属薄膜を形成した後、金属粒子の表面若しくは金
属薄膜の表面の金属酸化物(所謂、自然酸化膜)を除去
することが望ましい。金属粒子の表面若しくは金属薄膜
の表面の金属酸化物の除去を、例えば、水素ガス雰囲気
におけるマイクロ波プラズマ法、トランス結合型プラズ
マ法、誘導結合型プラズマ法、電子サイクロトロン共鳴
プラズマ法、RFプラズマ法等に基づくプラズマ還元処
理、アルゴンガス雰囲気におけるスパッタ処理、若しく
は、例えばフッ酸等の酸や塩基を用いた洗浄処理によっ
て行うことが望ましい。尚、炭素薄膜選択成長領域の表
面に硫黄、ホウ素又はリンを付着させる工程、あるいは
又、金属粒子の表面若しくは金属薄膜の表面の金属酸化
物を除去する工程を含む場合、絶縁層に開口部を設けた
後、炭素薄膜選択成長領域上に炭素薄膜を形成する前に
これらの工程を実行することが好ましい。
【0105】炭素薄膜選択成長領域を得るためにカソー
ド電極の表面に金属粒子を付着させる方法として、例え
ば、炭素薄膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の
領域以外の領域を適切な材料(例えば、マスク層)で被
覆した状態で、溶媒と金属粒子から成る層を炭素薄膜選
択成長領域を形成すべきカソード電極の部分の表面に形
成した後、溶媒を除去し、金属粒子を残す方法を挙げる
ことができる。あるいは又、カソード電極の表面に金属
粒子を付着させる工程として、例えば、炭素薄膜選択成
長領域を形成すべきカソード電極の領域以外の領域を適
切な材料(例えば、マスク層)で被覆した状態で、金属
粒子を構成する金属原子を含む金属化合物粒子をカソー
ド電極の表面に付着させた後、金属化合物粒子を加熱す
ることによって分解し、以て、表面に金属粒子が付着し
たカソード電極の部分から成る炭素薄膜選択成長領域を
得る方法を挙げることができる。この場合、具体的に
は、溶媒と金属化合物粒子から成る層を炭素薄膜選択成
長領域を形成すべきカソード電極の部分の表面に形成し
た後、溶媒を除去し、金属化合物粒子を残す方法を例示
することができる。金属化合物粒子は、金属粒子を構成
する金属のハロゲン化物(例えば、ヨウ化物、塩化物、
臭化物等)、酸化物、水酸化物及び有機金属から成る群
から選択された少なくとも1種類の材料から成ることが
好ましい。尚、これらの方法においては、適切な段階
で、炭素薄膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の
領域以外の領域を被覆した材料(例えば、マスク層)を
除去する。
【0106】炭素薄膜選択成長領域を得るためにカソー
ド電極の表面に金属薄膜を形成する方法として、例え
ば、炭素薄膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の
領域以外の領域を適切な材料で被覆した状態での、電解
メッキ法、無電解メッキ法、MOCVD法を含むCVD
法(化学的気相成長法)、物理的気相成長法(PVD
法、Physical Vapor Deposition 法)等の公知の方法を
挙げることができる。尚、物理的気相成長法として、
(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着
等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2
極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグ
ネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、
マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタ
リング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタ
リング法、(d)DC(direct current)法、RF法、多
陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレ
ーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種
イオンプレーティング法を挙げることができる。
【0107】ここで、金属粒子あるいは金属薄膜は、モ
リブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(T
i)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タングステ
ン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、
鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)及び亜鉛(Z
n)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属
から構成されていることが好ましい。
【0108】炭素薄膜として、グラファイト薄膜、アモ
ルファスカーボン薄膜、ダイヤモンドライクカーボン薄
膜、あるいはフラーレン薄膜を挙げることができる。炭
素薄膜の形成方法として、マイクロ波プラズマ法、トラ
ンス結合型プラズマ法、誘導結合型プラズマ法、電子サ
イクロトロン共鳴プラズマ法、RFプラズマ法等に基づ
くCVD法、平行平板型CVD装置を用いたCVD法を
例示することができる。炭素薄膜の形態には、薄膜状は
もとより、炭素のウィスカー、炭素のナノチューブ(中
空及び中実を含む)が包含される。
【0109】尚、カソード電極の構造としては、導電材
料層の1層構成とすることもできるし、下層導電材料
層、下層導電材料層上に形成された抵抗体層、抵抗体層
上に形成された上層導電材料層の3層構成とすることも
できる。後者の場合、上層導電材料層の表面に炭素薄膜
選択成長領域を形成する。このように、抵抗体層を設け
ることによって、電子放出部における電子放出特性の均
一化を図ることができる。
【0110】以下、支持体等の模式的な一部端面図であ
る図12及び図13を参照して、扁平型電界放出素子−
3の製造方法の一例を説明する。
【0111】[工程−E1]先ず、例えばガラスから成
る支持体10上にカソード電極用導電材料層を形成し、
次いで、周知のリソグラフィ技術及びRIE法に基づき
カソード電極用導電材料層をパターニングすることによ
って、ストライプ状のカソード電極11を支持体10上
に形成する。ストライプ状のカソード電極11は、図面
の紙面左右方向に延びている。カソード電極11は、例
えばスパッタリング法により形成された厚さ約0.2μ
mのクロム(Cr)層から成る。
【0112】[工程−E2]その後、全面に、具体的に
は、支持体10上及びカソード電極11上に絶縁層12
を形成する。
【0113】[工程−E3]次いで、ストライプ状のゲ
ート電極13を絶縁層12上に形成した後、[工程−A
2]と同様の方法に基づき、ゲート電極13及び絶縁層
12に開口部14を形成し、開口部14(孔部)の底部
にカソード電極11を露出させる(図12の(A)参
照)。ストライプ状のゲート電極13は図面の紙面垂直
方向に延びている。開口部14の平面形状は、例えば直
径1μm〜30μmの円形である。開口部14を、例え
ば、1画素分の領域(電子放出領域)に1個〜3000
個程度形成すればよい。
【0114】[工程−E4]次に、開口部14の底部に
露出したカソード電極11上に、電子放出部15Cを形
成する。具体的には、先ず、開口部14の底部に位置す
るカソード電極11の表面に炭素薄膜選択成長領域70
を形成する。そのために、先ず、開口部14の底部の中
央部にカソード電極11の表面が露出したマスク層71
を形成する(図12の(B)参照)。具体的には、レジ
スト材料層をスピンコーティング法にて開口部14内を
含む全面に成膜した後、リソグラフィ技術に基づき、開
口部14の底部の中央部に位置するレジスト材料層に孔
部を形成することによって、マスク層71を得ることが
できる。マスク層71は、開口部14の底部に位置する
カソード電極11の一部分、開口部14の側壁、ゲート
電極13及び絶縁層12を被覆している。これによっ
て、次の工程で、開口部14の底部の中央部に位置する
カソード電極11の表面に炭素薄膜選択成長領域を形成
するが、カソード電極11とゲート電極13とが金属粒
子によって短絡することを確実に防止し得る。
【0115】次に、露出したカソード電極11の表面を
含むマスク層71上に、金属粒子を付着させる。具体的
には、ニッケル(Ni)微粒子をポリシロキサン溶液中
に分散させた溶液(溶媒としてイソプロピルアルコール
を使用)をスピンコーティング法にて全面に塗布し、炭
素薄膜選択成長領域70を形成すべきカソード電極11
の部分の表面に溶媒と金属粒子から成る層を形成する。
その後、マスク層71を除去し、400゜C程度に加熱
することによって溶媒を除去し、露出したカソード電極
11の表面に金属粒子72を残すことで、炭素薄膜選択
成長領域70を得ることができる(図13の(A)参
照)。尚、ポリシロキサンは、露出したカソード電極1
1の表面に金属粒子72を固定させる機能(所謂、接着
機能)を有する。
【0116】[工程−E5]その後、炭素薄膜選択成長
領域70上に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜73を形成
し、電子放出部15Cを得る。この状態を図13の
(B)に示す。マイクロ波プラズマCVD法に基づく炭
素薄膜73の成膜条件を、以下の表1に例示する。
【0117】[表1] [炭素薄膜の成膜条件] 使用ガス :CH4/H2=100/10SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー:500W(13.56MHz) 成膜温度 :500゜C
【0118】[平面型電界放出素子−1]平面型電界放
出素子−1の模式的な一部断面図を、図14の(C)に
示す。この平面型電界放出素子−1は、例えばガラスか
ら成る支持体10上に形成されたストライプ状のカソー
ド電極11、支持体10及びカソード電極11上に形成
された絶縁層12、絶縁層12上に形成されたストライ
プ状のゲート電極13、並びに、ゲート電極13及び絶
縁層12を貫通し、底部にカソード電極11が露出した
開口部14から成る。カソード電極11は、図14の
(C)の紙面垂直方向に延び、ゲート電極13は、図1
4の(C)の紙面左右方向に延びている。カソード電極
11はクロム(Cr)から成り、絶縁層12はSiO2
から成る。ここで、開口部14の底部に露出したカソー
ド電極11の部分が電子放出部15Dに相当する。
【0119】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図14を参照して、平面型電界放出素子−1の製造方
法を説明する。
【0120】[工程−F1]先ず、支持体10上に電子
放出部15Dとして機能するカソード電極11を形成す
る。具体的には、支持体10上に、クロム(Cr)から
成るカソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて
形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技
術に基づきカソード電極用導電材料層をパターニングす
る。これによって、ストライプ状のカソード電極11を
支持体10上に形成することができる(図14の(A)
参照)。尚、カソード電極11は、図14の紙面垂直方
向に延びている。
【0121】[工程−F2]次に、例えばCVD法にて
SiO2から成る絶縁層12を、支持体10及びカソー
ド電極11の上に形成する。尚、絶縁層12を、スクリ
ーン印刷法に基づきガラスペーストから形成することも
できる。
【0122】[工程−F3]その後、ストライプ状のゲ
ート電極13を絶縁層12上に形成する(図14の
(B)参照)。尚、ゲート電極13は、図14の紙面左
右方向に延びている。例えばスクリーン印刷法にて、ス
トライプ状のゲート電極13を絶縁層12上に、直接形
成することもできる。
【0123】[工程−F4]次に、[工程−A2]と同
様の方法に基づき、ゲート電極13及び絶縁層12に開
口部14を形成し、開口部14(孔部)の底部に電子放
出部15Dとして機能するカソード電極11を露出させ
る(図14の(C)参照)。その後、絶縁層12を等方
的にエッチングし、ゲート電極13の開口部端部を露出
させることが好ましい。
【0124】[平面型電界放出素子−2]図15の
(A)に模式的な一部断面図を示す平面型電界放出素子
−1の変形例である平面型電界放出素子−2が図14の
(C)に示した平面型電界放出素子−1と相違する点
は、開口部14の底部に露出したカソード電極11の表
面(電子放出部に相当する)に、微小凹凸部11Aが形
成されている点にある。このような平面型電界放出素子
−2は、以下の製造方法にて製造することができる。
【0125】[工程−G1]先ず、[工程−F1]〜
[工程−F3]と略同様にして、支持体10上にストラ
イプ状のカソード電極11を形成し、全面に絶縁層12
を形成した後、ストライプ状のゲート電極13を絶縁層
12上に形成する。即ち、例えばガラスから成る支持体
10の上に、スパッタリング法により厚さ約0.2μm
のタングステン層を成膜し、通常の手順に従って、この
タングステン層をストライプ状にパターニングし、カソ
ード電極11を形成する。次に、支持体10及びカソー
ド電極11上に絶縁層12を形成する。絶縁層12は、
TEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとして用
いるCVD法により形成することができる。更に、この
絶縁層12の上に、ゲート電極13を形成する。ここま
でのプロセスが終了した状態は、実質的に、図14の
(B)に示したと同様である。
【0126】[工程−G2]次に、[工程−F4]と同
様にして、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14
を形成し、開口部14の底部にカソード電極11を露出
させる。その後、開口部14の底部に露出したカソード
電極11の部分に、微小凹凸部11Aを形成する。微小
凹凸部11Aの形成に際しては、エッチングガスとして
SF6を用い、カソード電極11を構成するタングステ
ン結晶粒のエッチング速度よりも粒界のエッチング速度
の方が早くなるような条件を設定してRIE法に基づく
ドライエッチングを行う。その結果、タングステンの結
晶粒径をほぼ反映した寸法を有する微小凹凸部11Aを
形成することができる。
【0127】このような平面型電界放出素子−2の構成
においては、カソード電極11の微小凹凸部11A、よ
り具体的には微小凹凸部11Aの凸部に、ゲート電極1
3から大きな電界が加わる。このとき、凸部に集中する
電界は、カソード電極11の表面が平滑である場合に比
べて大きいため、凸部からは量子トンネル効果によって
電子が効率良く放出される。従って、開口部14の底部
に単に平滑なカソード電極11が露出している平面型電
界放出素子−1に比べて、表示装置に組み込まれた場合
の輝度の向上が期待できる。それ故、図15の(A)に
示した平面型電界放出素子−2によれば、ゲート電極1
3とカソード電極11との間の電位差が比較的小さくて
も、十分な放出電子電流密度を得ることができ、表示装
置の高輝度化が達成される。あるいは、同じ輝度を達成
するために必要なゲート電圧が低くて済み、以て、低消
費電力化を達成することが可能である。
【0128】尚、絶縁層12をエッチングすることによ
って孔部を形成し、しかる後に異方性エッチング技術に
基づきカソード電極11に微小凹凸部11Aを形成した
が、開口部14を形成するためのエッチングによって、
微小凹凸部11Aを同時に形成することも可能である。
即ち、絶縁層12をエッチングする際に、ある程度のイ
オンスパッタ作用が期待できる異方的なエッチング条件
を採用し、垂直壁を有する開口部14が形成された後も
エッチングを継続することにより、開口部14の底部に
露出したカソード電極11の部分に微小凹凸部11Aを
形成することができる。その後、絶縁層12の等方性エ
ッチングを行えばよい。
【0129】また、[工程−G1]と同様の工程におい
て、支持体10上に、タングステンから成るカソード電
極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した後、リ
ソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づきカソ
ード電極用導電材料層をパターニングし、次いで、カソ
ード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11Aを形成
した後、[工程−F2]〜[工程−F4]と同様の工程
を実行することによって、図15の(A)に示したと同
様の電界放出素子を作製することもできる。
【0130】あるいは又、[工程−G1]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Aを形成し、次いで、リソグラフィ技術及びドライエッ
チング技術に基づきカソード電極用導電材料層をパター
ニングした後、[工程−F2]〜[工程−F4]と同様
の工程を実行することによって、図15の(A)に示し
たと同様の電界放出素子を作製することもできる。
【0131】図15の(B)には、図15の(A)に示
した電界放出素子の変形例を示す。図15の(B)に示
す電界放出素子においては、微小凹凸部11Aの先端部
の平均高さ位置が、絶縁層12の下面位置よりも支持体
10側に存在している(即ち、下がっている)。かかる
電界放出素子を形成するには、[工程−G2]における
ドライエッチングの継続時間を延長すればよい。このよ
うな構成によれば、開口部14の中央部近傍の電界強度
を一層高めることができる。
【0132】図16には、電子放出部に相当するカソー
ド電極11の表面(より具体的には、少なくとも微小凹
凸部11A上)に被覆層11Bが形成されている平面型
電界放出素子を示す。
【0133】この被覆層11Bは、カソード電極11を
構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成す
ることが好ましく、どのような材料を選択するかは、カ
ソード電極11を構成する材料の仕事関数、ゲート電極
13とカソード電極11との間の電位差、要求される放
出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。
被覆層11Bの構成材料として、アモルファスダイヤモ
ンドを例示することができる。被覆層11Bをアモルフ
ァスダイヤモンドを用いて構成した場合には、5×10
7V/m以下の電界強度にて、表示装置に必要な放出電
子電流密度を得ることができる。
【0134】被覆層11Bの厚さは、微小凹凸部11A
を反映し得る程度に選択する。これは、被覆層11Bに
よって微小凹凸部11Aの凹部が埋め込まれ、電子放出
部の表面が平滑化されてしまっては、微小凹凸部11A
を設けた意味が無くなるからである。従って、微小凹凸
部11Aの寸法にも依るが、例えば微小凹凸部11Aが
電子放出部の結晶粒径を反映して形成されている場合に
は、被覆層11Bの厚さを概ね30〜100nm程度に
選択することが好ましい。また、微小凹凸部11Aの先
端部の平均高さ位置を絶縁層12の下面位置よりも下げ
る場合には、厳密には、被覆層11Bの先端部の平均高
さ位置を絶縁層12の下面位置よりも下げることが、一
層好ましい。
【0135】具体的には、[工程−F2]の後、全面に
例えばCVD法によりアモルファスダイヤモンドから成
る被覆層11Bを形成すればよい。尚、被覆層11B
は、ゲート電極13及び絶縁層12の上に形成されたレ
ジスト層(図示せず)の上にも堆積するが、この堆積部
分はレジスト層の除去時、同時に除去される。原料ガス
として例えばCH4/H2混合ガスや、CO/H2混合ガ
スを使用したCVD法に基づき被覆層11Bを形成する
ことができ、それぞれ炭素を含む化合物の熱分解によっ
てアモルファスダイヤモンドから成る被覆層11Bが形
成される。
【0136】あるいは又、[工程−F1]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づ
きカソード電極用導電材料層をパターニングし、その
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Aを形成し、次いで、被覆層11Bを形成した後、[工
程−F2]〜[工程−F4]と同様の工程を実行するこ
とによって、図16に示す電界放出素子を作製すること
もできる。
【0137】あるいは又、[工程−F1]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Aを形成し、次いで、被覆層11Bを形成した後、リソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき被覆層
11B、カソード電極用導電材料層をパターニングした
後、[工程−F2]〜[工程−F4]と同様の工程を実
行することによって、図16に示す電界放出素子を作製
することもできる。
【0138】あるいは又、被覆層を構成する材料とし
て、かかる材料の2次電子利得δがカソード電極を構成
する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるよう
な材料を適宜選択することもできる。
【0139】尚、図14の(C)に示した平面型電界放
出素子の電子放出部15D(カソード電極11の表面)
に被覆層を形成してもよい。この場合には、[工程−F
4]の後、開口部14の底部に露出したカソード電極1
1の表面に被覆層11Bを形成すればよく、あるいは
又、[工程−F1]において、例えば、支持体10上に
カソード電極用導電材料層を形成した後、カソード電極
用導電材料層上に被覆層11Bを形成し、次いで、リソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき、これ
らの層をパターニングすればよい。
【0140】[クレータ型電界放出素子−1]クレータ
型電界放出素子−1の模式的な一部断面図を、図20の
(B)に示す。クレータ型電界放出素子−1において
は、電子を放出する複数の隆起部111Aと、各隆起部
111Aに囲まれた凹部111Bとを有するカソード電
極111が、支持体10上に備えられている。尚、絶縁
層12及びゲート電極13を取り除いた模式的な斜視図
を図19の(B)に示す。
【0141】凹部の形状は特に限定されないが、典型的
には略球面を成す。これは、かかるクレータ型電界放出
素子の製造方法において球体が使用され、凹部111B
が球体の形状の一部を反映して形成されることと関連し
ている。従って、凹部111Bが略球面を成す場合、凹
部111Bを囲む隆起部111Aは円環状となり、この
場合の凹部111Bと隆起部111Aとは、全体として
クレータあるいはカルデラのような形状を呈する。隆起
部111Aは電子を放出する部分であるため、電子放出
効率を高める観点からは、その先端部111Cが先鋭で
あることが特に好ましい。隆起部111Aの先端部11
1Cのプロファイルは、不規則な凹凸を有していても、
あるいは滑らかであってもよい。1画素内における隆起
部111Aの配置は規則的であってもランダムであって
もよい。尚、凹部111Bは、凹部111Bの周方向に
沿って連続した隆起部111Aにより囲まれていてもよ
いし、場合によっては、凹部111Bの周方向に沿って
不連続な隆起部111Aにより囲まれていてもよい。
【0142】このようなクレータ型電界放出素子の製造
方法において、支持体上にストライプ状のカソード電極
を形成する工程は、より具体的には、複数の球体を被覆
したストライプ状のカソード電極を支持体上に形成する
工程と、球体を除去することによって、球体を被覆した
カソード電極の部分を除去し、以て、電子を放出する複
数の隆起部と、各隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の
一部を反映した凹部とを有するカソード電極を形成する
工程、から成る。
【0143】球体の状態変化及び/又は化学変化によっ
て、球体を除去することが好ましい。ここで、球体の状
態変化及び/又は化学変化とは、膨張、昇華、発泡、ガ
ス発生、分解、燃焼、炭化等の変化若しくはこれらの組
合せを意味する。例えば、球体が有機材料から成る場
合、球体を燃焼させることによって除去することが一層
好ましい。尚、球体の除去と球体を被覆するカソード電
極の部分の除去は、必ずしも同時に起こらなくてもよ
い。例えば、球体を被覆するカソード電極の部分を除去
した後に球体の一部が残存している場合、残存した球体
の除去を後から行えばよい。
【0144】特に、球体が有機材料から成る場合、球体
を例えば燃焼させると、例えば、一酸化炭素、二酸化炭
素、水蒸気が発生し、球体近傍の閉鎖空間の圧力が高ま
り、球体近傍のカソード電極は或る耐圧限界を超えた時
点で破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆す
るカソード電極の部分が飛散し、隆起部及び凹部が形成
され、しかも、球体が除去される。あるいは又、球体を
例えば燃焼させると、同様の機構に基づき、カソード電
極は或る耐圧限界を超えた時点で破裂する。この破裂の
勢いによって、球体を被覆するカソード電極の部分が飛
散し、隆起部及び凹部と同時に孔部が形成され、しか
も、球体が除去される。即ち、球体を除去する以前には
カソード電極には孔部が存在せず、球体の除去に伴って
孔部が形成される。このとき、球体の燃焼の初期過程は
閉鎖空間内で進行するため、球体の一部は炭化する可能
性もある。球体を被覆するカソード電極の部分の厚さ
を、破裂によって飛散し得る程度に薄くすることが好ま
しい。
【0145】後述するクレータ型電界放出素子−3ある
いはクレータ型電界放出素子−4においても、球体の状
態変化及び/又は化学変化によって球体を除去すること
ができるが、カソード電極の破裂を伴わないので、外力
によって除去を行う方が簡便な場合もある。ここで、外
力とは、空気又は不活性ガスの吹付け圧力、洗浄液の吹
付け圧力、磁気吸引力、静電気力、遠心力等の物理的な
力である。尚、クレータ型電界放出素子−3において
は、クレータ型電界放出素子−1と異なり、球体を被覆
する部分のカソード電極を飛散させる必要がないので、
カソード電極の残渣が発生し難いという利点がある。
【0146】後述するクレータ型電界放出素子−3ある
いはクレータ型電界放出素子−4で使用される球体は、
少なくとも表面が、カソード電極を構成する材料の界面
張力(表面張力)に比べて、大きな界面張力を有する材
料から構成されていることが好ましい。後述するクレー
タ型電界放出素子−3あるいはクレータ型電界放出素子
−4において、球体は、少なくとも表面が界面張力に関
するこの条件を満たしていればよい。つまり、カソード
電極の界面張力よりも大きな界面張力を有している部分
は、球体の表面のみであっても全体であってもよく、ま
た、球体の表面及び/又は全体の構成材料は、無機材
料、有機材料、あるいは無機材料と有機材料の組合せの
いずれであってもよい。クレータ型電界放出素子−3あ
るいはクレータ型電界放出素子−4において、カソード
電極等が通常の金属系材料から構成されている場合、金
属系材料の表面には吸着水分に由来する水酸基、絶縁層
の表面にはSi−O結合のダングリング・ボンドと吸着
水分とに由来する水酸基が存在し、親水性の高い状態に
あるのが普通である。従って、疎水性の表面処理層を有
する球体を用いることが、特に有効である。疎水性の表
面処理層の構成材料として、フッ素系樹脂、例えばポリ
テトラフルオロエチレンを挙げることができる。球体が
疎水性の表面処理層を有する場合、疎水性の表面処理層
の内側の部分を芯材と称することにすると、芯材の構成
材料は、ガラス、セラミックス、フッ素系樹脂以外の高
分子材料のいずれであってもよい。
【0147】球体を構成する有機材料は特に限定されな
いが、汎用の高分子材料が好適である。但し、重合度が
極端に大きかったり、多重結合含有量が極端に多い高分
子材料では、燃焼温度が高くなり過ぎ、燃焼による球体
の除去時、カソード電極に悪影響が及ぶ虞がある。それ
故、これらに対する悪影響が生じる虞のない温度にて燃
焼若しくは炭化させることが可能な高分子材料を選択す
ることが好ましい。特に、絶縁層をガラスペーストのよ
うな、後工程において焼成を要する材料を用いて形成す
る場合には、工数をなるべく減少させる観点から、ガラ
スペーストの焼成温度にて燃焼若しくは炭化可能な高分
子材料を選択することが好適である。ガラスペーストの
典型的な焼成温度は約530゜Cなので、かかる高分子
材料の燃焼温度は350〜500゜C程度であることが
好ましい。代表的な高分子材料として、スチレン系、ウ
レタン系、アクリル系、ビニル系、ジビニルベンゼン
系、メラミン系、ホルムアルデヒド系、ポリメチレン系
のホモポリマー又は共重合体を挙げることができる。あ
るいは又、球体として、支持体上での確実な配置を確保
するために、付着力を有する固着タイプの球体を使用す
ることもできる。固着タイプの球体として、アクリル系
樹脂から成る球体を例示することができる。
【0148】あるいは又、例えば、塩化ビニリデン・ア
クリロニトリル共重合体を外殻とし、発泡材としてイソ
ブタンを内包し、カプセル化した加熱膨張型マイクロス
フェアを球体として使用することができる。クレータ型
電界放出素子−1において、かかる加熱膨張型マイクロ
スフェアを用い、熱膨張型マイクロスフェアを加熱する
と、外殻のポリマーが軟化し、しかも、内包されたイソ
ブタンがガス化して膨張する結果、粒径が膨張前と比較
して約4倍程度の真球の中空体が形成される。その結
果、クレータ型電界放出素子−1において、電子を放出
する隆起部、及び、隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状
の一部を反映した凹部を、カソード電極に形成すること
ができる。尚、熱膨張型マイクロスフェアの加熱による
膨張も、本明細書においては、球体の除去という概念に
包含される。その後、熱膨張型マイクロスフェアを適切
な溶剤を用いて取り除けばよい。
【0149】クレータ型電界放出素子−1においては、
支持体上に複数の球体を配置した後、球体を被覆するカ
ソード電極を形成すればよい。この場合においては、あ
るいは又、後述するクレータ型電界放出素子−3あるい
はクレータ型電界放出素子−4においては、支持体上へ
の複数の球体の配置方法として、球体を支持体上に散布
する乾式法を挙げることができる。球体の散布には、例
えば、液晶表示装置の製造分野において、パネル間隔を
一定に維持するためのスペーサを散布する技術を応用す
ることができる。具体的には、圧搾気体で球体をノズル
から噴射する、所謂スプレーガンを用いることができ
る。尚、球体をノズルから噴射する際、球体を揮発性の
溶剤中に分散させた状態としてもよい。あるいは、静電
粉体塗装の分野で通常使用されている装置や方法を利用
して球体を散布することもできる。例えば、コロナ放電
を利用して、静電粉体吹付けガンにより負に帯電させた
球体を、接地した支持体に向かって吹き付けることがで
きる。使用する球体は、後述するように非常に小さいた
め、支持体上に散布されると支持体の表面に例えば静電
気力によって付着し、以降の工程においても容易に支持
体から脱落することはない。支持体上に複数の球体の配
置した後、球体を加圧すれば、支持体上の複数の球体の
重なりを解消することができ、球体を支持体上で単層に
密に配置することができる。
【0150】あるいは、後述するクレータ型電界放出素
子−2のように、球体とカソード電極材料とを分散媒中
に分散させて成る組成物から成る組成物層を支持体上に
形成し、以て、支持体上に複数の球体を配置し、カソー
ド電極材料から成るカソード電極で球体を被覆した後、
分散媒を除去することもできる。組成物の性状として
は、スラリーやペーストが可能であり、これらの所望の
性状に応じ、分散媒の組成や粘度を適宜選択すればよ
い。組成物層を支持体上に形成する方法としては、スク
リーン印刷法が好適である。カソード電極材料は、典型
的には、分散媒中における沈降速度が球体よりも遅い微
粒子であることが好適である。かかる微粒子を構成する
材料として、カーボン、バリウム、ストロンチウム、鉄
を挙げることができる。分散媒を除去した後、必要に応
じてカソード電極の焼成を行う。組成物層を支持体上に
形成する方法としては、噴霧法、滴下法、スピンコーテ
ィング法、スクリーン印刷法を挙げることができる。
尚、球体が配置されると共に、カソード電極材料から成
るカソード電極で球体が被覆されるが、組成物層の形成
方法に依っては、かかるカソード電極のパターニングを
行う必要がある。
【0151】あるいは、後述するクレータ型電界放出素
子−3あるいはクレータ型電界放出素子−4にあって
は、球体を分散媒中に分散させて成る組成物から成る組
成物層を支持体上に形成し、以て、支持体上に複数の球
体を配置した後、分散媒を除去することができる。組成
物の性状としては、スラリーやペーストが可能であり、
これらの所望の性状に応じ、分散媒の組成や粘度を適宜
選択すればよい。典型的には、イソプロピルアルコール
等の有機溶媒を分散媒として用い、蒸発により分散媒を
除去することができる。組成物層を支持体上に形成する
方法としては、噴霧法、滴下法、スピンコーティング
法、スクリーン印刷法を挙げることができる。
【0152】ところで、ゲート電極とカソード電極は互
いに異なる方向(例えば、ストライプ状のゲート電極の
射影像とストライプ状のカソード電極の射影像とが成す
角度が90度)に延びており、且つ、例えばストライプ
状にパターニングされており、電子放出領域に位置する
隆起部から電子が放出される。従って、隆起部は、機能
上、電子放出領域にのみ存在すればよい。但し、たとえ
電子放出領域以外の領域に隆起部及び凹部が存在してい
たとしても、このような隆起部及び凹部は絶縁層に被覆
されたまま、何ら電子を放出するといった機能を果たさ
ない。従って、球体を全面に配置しても何ら問題は生じ
ない。
【0153】これに対して、球体を被覆したカソード電
極用導電材料層、絶縁層及びゲート電極を構成する層の
各部分を除去する場合、個々の球体の配置位置と開口部
の形成位置とが一対一に対応するため、電子放出領域以
外の領域にも開口部が形成される。以下、電子放出領域
以外の領域に形成される開口部を「無効開口部」と呼
び、電子放出に寄与する本来の開口部と区別する。とこ
ろで、電子放出領域以外の領域に無効開口部が形成され
たとしても、この無効開口部は電界放出素子として何ら
機能せず、電子放出領域に形成される電界放出素子の動
作に何ら悪影響を及ぼさない。なぜなら、無効開口部の
底部に隆起部及び凹部が露出していても、無効開口部の
上端部にゲート電極が形成されていないからであり、あ
るいは又、無効開口部の上端部にゲート電極が形成され
ていても底部に隆起部及び凹部が露出していないか、あ
るいは、無効開口部の底部に隆起部及び凹部が露出して
おらず、しかも、上端部にゲート電極が形成されておら
ず、単に支持体の表面が露出しているか、のいずれかで
あるからである。従って、球体を全面に配置しても何ら
問題は生じない。尚、電子放出領域とそれ以外の領域と
の境界線上に形成された孔は、開口部に含まれる。
【0154】球体の直径は、所望の開口部の直径、凹部
の直径、電界放出素子を用いて構成される表示装置の表
示画面寸法、画素数、電子放出領域の寸法、1画素を構
成すべき電界放出素子の個数に応じて選択することがで
きるが、0.1〜10μmの範囲で選択することが好ま
しい。例えば、液晶表示装置のスペーサとして市販され
ている球体は、粒径分布が1〜3%と良好なので、これ
を利用することが好適である。球体の形状は真球である
ことが理想的ではあるが、必ずしも真球である必要はな
い。支持体上には球体を100〜5000個/mm2
度の密度で配置することが好適である。例えば球体を約
1000個/mm2の密度で支持体上に配置すると、例
えば電子放出領域の寸法を仮に0.5mm×0.2mm
とした場合、この電子放出領域内に約100個の球体が
存在し、約100個の隆起部が形成されることになる。
1つの電子放出領域にこの程度の個数の隆起部が形成さ
れていれば、球体の粒径分布や真球度のばらつきに起因
する凹部の直径のばらつきはほぼ平均化され、実用上、
1画素(又は1サブピクセル)当たりの放出電子電流密
度や輝度はほぼ均一となる。
【0155】クレータ型電界放出素子−1あるいは後述
するクレータ型電界放出素子−2〜クレータ型電界放出
素子−4においては、球体の形状の一部が電子放出部を
構成する凹部の形状に反映される。隆起部の先端部のプ
ロファイルは、不規則な凹凸を有していても、あるいは
滑らかであってもよいが、特に、クレータ型電界放出素
子−1やクレータ型電界放出素子−2においては、この
先端部はカソード電極の破断により形成されるため、隆
起部の先端部が不規則形状となり易い。破断により隆起
部に先端部が先鋭化すると、先端部が高効率の電子放出
部として機能し得るので、好都合である。クレータ型電
界放出素子−1〜クレータ型電界放出素子−4において
は、凹部を囲む隆起部はいずれも概ね円環状となり、こ
の場合の凹部と隆起部とは、全体としてクレータあるい
はカルデラのような形状を呈する。
【0156】支持体上における隆起部の配置は規則的で
あってもランダムであってもよく、球体の配置方法に依
存する。上述の乾式法あるいは湿式法を採用した場合、
支持体上における隆起部の配置はランダムとなる。
【0157】クレータ型電界放出素子−1〜クレータ型
電界放出素子−4において、絶縁層の形成後、絶縁層に
開口部を形成するが、隆起部の先端部に損傷が生じない
ように、隆起部を得た後、保護層を形成し、開口部の形
成後、保護層を取り除く構成とすることもできる。保護
層を構成する材料として、クロムを例示することができ
る。
【0158】以下、図17〜図20を参照して、クレー
タ型電界放出素子−1の製造方法を説明するが、図17
の(A)、図18の(A)、図19の(A)模式的な一
部端面図であり、図20の(A)及び(B)は模式的な
一部断面図であり、図17の(B)、図18の(B)及
び図19の(B)は、図17の(A)、図18の(A)
及び図19の(A)よりも広い範囲を模式的に示す一部
斜視図である。
【0159】[工程−H1]先ず、複数の球体80を被
覆したカソード電極111を支持体10上に形成する。
具体的には、先ず、例えばガラスから成る支持体10上
の全面に、球体80を配置する。球体80は、例えばポ
リメチレン系の高分子材料から成り、平均直径約5μ
m、粒径分布1%未満である。球体80を、スプレーガ
ンを用い、支持体10上におおよそ1000個/mm2
の密度でランダムに配置する。スプレーガンを用いた散
布は、球体を揮発性溶剤と混合して噴霧する方式、ある
いは粉末状態のままノズルから噴射する方式のいずれで
もよい。配置された球体80は、静電気力で支持体10
上に保持されている。この状態を図17の(A)及び
(B)に示す。
【0160】[工程−H2]次に、球体80及び支持体
10上にカソード電極111を形成する。カソード電極
111を形成した状態を、図18の(A)及び(B)に
示す。カソード電極111は、例えばカーボンペースト
をストライプ状にスクリーン印刷することによって形成
することができる。このとき、球体80は支持体10上
の全面に配置されているので、球体80の中には、図1
8の(B)に示すように、カソード電極111で被覆さ
れないものも当然存在する。次に、カソード電極111
に含まれる水分や溶剤を除去し、且つ、カソード電極1
11を平坦化するために、例えば150゜Cにてカソー
ド電極111を乾燥する。この温度では、球体80は何
ら状態変化及び/又は化学変化を起こさない。尚、上述
のようなカーボンペーストを用いたスクリーン印刷に替
えて、カソード電極111を構成するカソード電極用導
電材料層を全面に形成し、このカソード電極用導電材料
層を通常のリソグラフィ技術とドライエッチング技術を
用いてパターニングし、ストライプ状のカソード電極1
11を形成することもできる。リソグラフィ技術を適用
する場合、通常、レジスト材料層をスピンコーティング
法により形成するが、スピンコーティング時の支持体1
0の回転数が500rpm程度、回転時間が数秒間程度
であれば、球体80は脱落したり変位することなく、支
持体10上に保持され得る。
【0161】[工程−H3]次に、球体80を除去する
ことによって、球体80を被覆したカソード電極111
の部分を除去し、以て、電子を放出する複数の隆起部1
11Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且つ、球体80
の形状の一部を反映した凹部111Bとを有するカソー
ド電極111を形成する。この状態を、図19の(A)
及び(B)に示す。具体的には、カソード電極111の
焼成を兼ね、約530゜Cにて加熱を行うことにより球
体80を燃焼させる。球体80の燃焼に伴って球体80
が閉じ込められていた閉鎖空間の圧力が上昇し、球体8
0を被覆するカソード電極111の部分が或る耐圧限界
を超えた時点で破裂して除去される。その結果、支持体
10上に形成されたカソード電極111の一部分に、隆
起部111A及び凹部111Bが形成される。尚、球体
を除去した後に、球体の一部分が残渣として残る場合に
は、使用する球体を構成する材料にも依るが、適切な洗
浄液を用いて残渣を除去すればよい。
【0162】[工程−H4]その後、カソード電極11
1及び支持体10上に絶縁層12を形成する。具体的に
は、例えば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚さに
スクリーン印刷する。次に、絶縁層12に含まれる水分
や溶剤を除去し、且つ、絶縁層12を平坦化するため
に、例えば150゜Cにて絶縁層12を乾燥する。上述
のようなガラスペーストを用いたスクリーン印刷に替え
て、例えばプラズマCVD法によりSiO2膜を形成し
てもよい。
【0163】[工程−H5]次に、絶縁層12上に、ス
トライプ状のゲート電極13を形成する(図20の
(A)参照)。ストライプ状のゲート電極13の射影像
の延びる方向は、ストライプ状のカソード電極111の
射影像の延びる方向と90度の角度を成している。
【0164】[工程−H6]その後、ゲート電極13の
射影像とカソード電極111の射影像とが重複する電子
放出領域において、[工程−A2]と同様の方法に基づ
き、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14を形成
し、以て、開口部14(孔部)の底部に複数の複数の隆
起部111A及び凹部111Bを露出させる。尚、カソ
ード電極111に対して十分に高いエッチング選択比が
確保できる条件でエッチングを行うことが好ましい。あ
るいは又、隆起部111Aを形成した後、例えば、クロ
ムから成る保護層を形成しておき、開口部14を形成し
た後、保護層を取り除くことが好ましい。こうして、図
20の(B)に示した電界放出素子を得ることができ
る。
【0165】尚、クレータ型電界放出素子−1の製造方
法の変形例として、[工程−H2]の後、[工程−H
4]〜[工程−H6]を実行し、次いで、[工程−H
3]を実行してもよい。この場合、球体の燃焼とゲート
電極13及び絶縁層12を構成する材料の焼成を同時に
行えばよい。
【0166】あるいは又、[工程−H2]の後、[工程
−H4]を実行し、更に、[工程−H5]と同様の工程
において、開口部を有していないストライプ状のゲート
電極を構成する層を絶縁層上に形成した後、[工程−H
3]を実行する。これによって、球体80を被覆したカ
ソード電極111、絶縁層12及びゲート電極13を構
成する層の各部分が除去され、以て、ゲート電極13及
び絶縁層12を貫通した開口部14が形成されると共
に、電子を放出する隆起部111Aと、隆起部111A
に囲まれ、且つ、球体80の形状の一部を反映した凹部
111Bとから成る電子放出部を、開口部14の底部に
位置するカソード電極111に形成することができる。
即ち、球体80の燃焼に伴って球体80が閉じ込められ
ている閉鎖空間の圧力が上昇し、球体を被覆する部分の
カソード電極111と絶縁層12とゲート電極13を構
成する層とが或る耐圧限界を超えた時点で破裂し、隆起
部111A及び凹部111Bと同時に開口部14が形成
され、しかも、球体80が除去される。開口部14は、
ゲート電極13及び絶縁層12を貫通し、且つ、球体8
0の形状の一部を反映している。また、開口部14の底
部には、電子を放出する隆起部111A、及び、隆起部
111Aに囲まれ、且つ、球体80の形状の一部を反映
した凹部111Bが残る。
【0167】[クレータ型電界放出素子−2]クレータ
型電界放出素子−2の製造方法の図21を参照して説明
するが、支持体10上に複数の球体80を配置する工程
が、球体80とカソード電極材料とを分散媒中に分散さ
せて成る組成物から成る組成物層81を支持体10上に
形成し、以て、支持体10上に複数の球体80を配置
し、カソード電極材料から成るカソード電極111で球
体を被覆した後、分散媒を除去する工程から成る、即
ち、湿式法から成る点が、クレータ型電界放出素子−1
の製造方法と相違する。
【0168】[工程−J1]先ず、支持体10上に複数
の球体80を配置する。具体的には、球体80とカソー
ド電極材料81Bとを分散媒81A中に分散させて成る
組成物から成る組成物層81を支持体10上に形成す
る。即ち、例えば、イソプロピルアルコールを分散媒8
1Aとして使用し、平均直径約5μmのポリメチレン系
の高分子材料から成る球体80と、平均直径約0.05
μmのカーボン粒子をカソード電極材料81Bとして分
散媒81A中に分散させて成る組成物を支持体10上に
ストライプ状にスクリーン印刷し、組成物層81を形成
する。図21の(A)には、組成物層81の形成直後の
状態を示す。
【0169】[工程−J2]支持体10に保持された組
成物層81中では、間もなく球体80が沈降して支持体
10上に配置されると共に、球体80から支持体10上
に亙ってカソード電極材料81Bが沈降し、カソード電
極材料81Bから成るカソード電極111が形成され
る。これによって、支持体10上に複数の球体80を配
置し、カソード電極材料から成るカソード電極111で
球体80を被覆することができる。この状態を、図21
の(B)に示す。
【0170】[工程−J3]その後、分散媒81Aを例
えば蒸発させることによって除去する。この状態を、図
21の(C)に示す。
【0171】[工程−J4]次いで、クレータ型電界放
出素子−1の[工程−H3]〜[工程−H6]と同様の
工程、あるいは、クレータ型電界放出素子−1の製造方
法の変形例を実行することによって、図20の(B)に
示したと同様の電界放出素子を完成することができる。
【0172】[クレータ型電界放出素子−3]このクレ
ータ型電界放出素子−3の製造方法において、支持体上
にストライプ状のカソード電極を形成する工程は、より
具体的には、支持体上に複数の球体を配置する工程と、
電子を放出する複数の隆起部と、各隆起部に囲まれ、且
つ、球体の形状の一部を反映した凹部とを有し、各隆起
部が球体の周囲に形成されたカソード電極を、支持体上
に設ける工程と、球体を除去する工程、から成る。支持
体上への複数の球体の配置は、球体の散布によって行
う。また、球体は疎水性の表面処理層を有する。以下、
かかる電界放出素子の製造方法を、図22を参照して説
明する。
【0173】[工程−K1]先ず、支持体10上に複数
の球体180を配置する。具体的には、ガラスから成る
支持体10上の全面に、複数の球体180を配置する。
この球体180は、例えばジビニルベンゼン系の高分子
材料から成る芯材180Aをポリテトラフルオロエチレ
ン系樹脂から成る表面処理層180Bで被覆して成り、
平均直径約5μm、粒径分布1%未満である。球体18
0を、スプレーガンを用い、支持体10上におおよそ1
000個/mm2の密度でランダムに配置する。配置さ
れた球体180は、静電気力で支持体10上に吸着され
ている。ここまでのプロセスが終了した状態を、図22
の(A)に示す。
【0174】[工程−K2]次に、電子を放出する複数
の隆起部111Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且
つ、球体180の形状の一部を反映した凹部111Bと
を有し、各隆起部111Aが球体180の周囲に形成さ
れたカソード電極111を、支持体10上に設ける。具
体的には、クレータ型電界放出素子−1で述べたと同様
に、例えばカーボンペーストをストライプ状にスクリー
ン印刷するが、クレータ型電界放出素子−3では、球体
180の表面が表面処理層180Bにより疎水性を帯び
ているために、球体180の上にスクリーン印刷された
カーボンペーストは直ちに弾かれて落下し、球体180
の周囲に堆積して隆起部111Aが形成される。隆起部
111Aの先端部111Cは、クレータ型電界放出素子
−1の場合ほど先鋭とはならない。球体180と支持体
10との間に入り込んだカソード電極111の部分が、
凹部111Bとなる。図22の(B)では、カソード電
極111と球体180との間に隙間が存在するように図
示されているが、カソード電極111と球体180とは
接触している場合もある。その後、カソード電極111
を例えば150゜Cにて乾燥させる。ここまでのプロセ
スが終了した状態を、図22の(B)に示す。
【0175】[工程−K3]次に、球体180に外力を
与えることによって、支持体10上から球体180を除
去する。具体的な除去方法としては、洗浄や圧搾気体の
吹付けを挙げることができる。ここまでのプロセスが終
了した状態を、図22の(C)に示す。尚、球体の除去
は、球体の状態変化及び/又は化学変化に基づいて、よ
り具体的には、例えば、燃焼によって球体を除去するこ
とも可能である。
【0176】[工程−K4]その後、クレータ型電界放
出素子−1の[工程−H4]〜[工程−H6]を実行す
ることによって、図20の(B)に示したと略同様の電
界放出素子を得ることができる。
【0177】尚、クレータ型電界放出素子−3の製造方
法の変形例として、[工程−K2]の後、クレータ型電
界放出素子−1における[工程−H4]〜[工程−H
6]を実行し、次いで、[工程−K3]を実行してもよ
い。
【0178】[クレータ型電界放出素子−4]クレータ
型電界放出素子−4の製造方法において、支持体上にス
トライプ状のカソード電極を形成する工程は、より具体
的には、支持体上に複数の球体を配置する工程と、電子
を放出する複数の隆起部と、各隆起部に囲まれ、且つ、
球体の形状の一部を反映した凹部とを有し、各隆起部が
球体の周囲に形成されたカソード電極を支持体上に設け
る工程、から成る。尚、全面に絶縁層を設ける際、球体
の上方に開口部が形成された絶縁層を、カソード電極及
び支持体上に設ける。球体の除去は、開口部の形成後に
行う。クレータ型電界放出素子−4の製造方法において
は、支持体上への複数の球体の配置は、球体の散布によ
って行う。また、球体は疎水性の表面処理層を有する。
以下、クレータ型電界放出素子−4の製造方法を、図2
3及び図24を参照して説明する。
【0179】[工程−L1]先ず、支持体10上に複数
の球体180を配置する。具体的には、クレータ型電界
放出素子−3の製造工程における[工程−K1]と同様
の工程を実行する。
【0180】[工程−L2]その後、電子を放出する複
数の隆起部111Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且
つ、球体180の形状の一部を反映した凹部111Bと
を有し、各隆起部111Aが球体180の周囲に形成さ
れたカソード電極111を、支持体10上に設ける。具
体的には、クレータ型電界放出素子−3の製造工程にお
ける[工程−K2]と同様の工程を実行する。
【0181】[工程−L3]次に、球体の上方に開口部
14Aが形成された絶縁層12を、カソード電極111
及び支持体10上に設ける。具体的には、例えば、ガラ
スペーストを全面に約5μmの厚さにスクリーン印刷す
る。球体180の表面が表面処理層180Bにより疎水
性を帯びているために、球体180の上にスクリーン印
刷されたガラスペーストは直ちに弾かれて落下し、自ら
の表面張力により絶縁層12の球体180の上の部分は
収縮する。その結果、球体180の頂部は絶縁層12に
覆われることなく、開口部14A内に露出する。この状
態を図23の(A)に示す。図示した例では、開口部1
4Aの上端部の直径は球体180の直径よりも大きい
が、表面処理層180Bの界面張力が、ガラスペースト
の界面張力よりも小さい場合には、開口部14Aの直径
が小さくなる傾向にある。逆に、表面処理層180Bの
界面張力が、ガラスペーストの界面張力よりも著しく大
きい場合には、開口部14Aの直径は大きくなり易い。
その後、絶縁層12を例えば150゜Cにて乾燥させ
る。
【0182】[工程−L4]次に、開口部14Aと連通
する開口部14Bを有するゲート電極13を絶縁層12
上に形成する。具体的には、例えば、ペーストをストラ
イプ状にスクリーン印刷する。球体180の表面が表面
処理層180Bにより疎水性を帯びているために、球体
180の上にスクリーン印刷されたペーストは直ちに弾
かれて、自らの表面張力により収縮し、絶縁層12の表
面のみに付着した状態となる。このとき、ゲート電極1
3は、図示するように、絶縁層12の開口端部から開口
部14A内へ若干回り込むように形成されることもあ
る。その後、ゲート電極13を例えば150゜Cにて乾
燥させる。ここまでの工程が終了した状態を、図23の
(B)に示す。尚、表面処理層180Bの界面張力が、
ペーストの界面張力よりも小さい場合には、開口部14
Aの直径が小さくなる傾向にある。逆に、表面処理層1
80Bの界面張力が、ペーストの界面張力よりも著しく
大きい場合には、開口部14Aの直径は大きくなり易
い。
【0183】[工程−L5]次に、開口部14B,14
Aの底部に露出した球体180を除去する。具体的に
は、カソード電極111と絶縁層12との焼成を兼ね、
ガラスペーストの典型的な焼成温度である約530゜C
にて加熱を行うことにより、球体180を燃焼させる。
このとき、クレータ型電界放出素子−1と異なり、絶縁
層12及びゲート電極13には開口部14A,14Bが
最初から形成されているので、カソード電極111や絶
縁層12、ゲート電極13の一部が飛散することはな
く、球体180は速やかに除去される。尚、開口部14
A,14Bの上端部の直径が球体180の直径よりも大
きい場合、球体180を燃焼させなくとも、例えば、洗
浄や圧搾気体の吹付け等の外力によって球体180を除
去することが可能である。ここまでの工程が終了した状
態を、図24の(A)に示す。
【0184】[工程−L6]その後、開口部14Aの側
壁面に相当する絶縁層12の一部を等方的にエッチング
すると、図24の(B)に示す電界放出素子を完成する
ことができる。ここでは、ゲート電極13の端部が下方
を向いているが、このことは、開口部14内の電界強度
を高める上で好ましい。
【0185】[エッジ型電界放出素子]エッジ型電界放
出素子の模式的な一部断面図を図25の(A)に示す。
このエッジ型電界放出素子は、支持体10上に形成され
たストライプ状のカソード電極211と、支持体10及
びカソード電極211上に形成された絶縁層12と、絶
縁層12上に形成されたストライプ状のゲート電極13
から構成されており、開口部14がゲート電極13及び
絶縁層12に設けられている。開口部14の底部にはカ
ソード電極211のエッジ部211Aが露出している。
カソード電極211及びゲート電極13に電圧を印加す
ることによって、カソード電極211のエッジ部211
Aから電子が放出される。
【0186】尚、図25の(B)に示すように、開口部
14内のカソード電極211の下の支持体10に凹部1
0Aが形成されていてもよい。あるいは又、模式的な一
部断面図を図25の(C)に示すように、支持体10上
に形成された第1のゲート電極13Aと、支持体10及
び第1のゲート電極13A上に形成された層間絶縁層1
2Aと、層間絶縁層12A上に形成されたカソード電極
211と、層間絶縁層12A及びカソード電極211に
形成された絶縁層12Bと、絶縁層12B上に形成され
た第2のゲート電極13Bから構成することもできる。
そして、開口部14が、第2のゲート電極13B、絶縁
層12B、カソード電極211及び層間絶縁層12Aに
設けられており、開口部14の側壁にはカソード電極2
11のエッジ部211Aが露出している。カソード電極
211並びに第1のゲート電極13A、第2のゲート電
極13Bに電圧を印加することによって、電子放出部に
相当するカソード電極211のエッジ部211Aから電
子が放出される。
【0187】例えば、図25の(C)に示したエッジ型
電界放出素子の製造方法を、支持体等の模式的な一部端
面図である図26を参照して、以下、説明する。
【0188】[工程−M1]先ず、例えばガラスから成
る支持体10の上に、スパッタリング法により厚さ約
0.2μmのタングステン膜を成膜し、通常の手順に従
ってフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術
によりこのタングステン膜をパターニングし、第1のゲ
ート電極13Aを形成する。次に、全面に、SiO2
ら成る厚さ0.3μmの層間絶縁層12Aを形成した
後、層間絶縁層12Aの上にタングステンから成るスト
ライプ状のカソード電極211を形成する(図26の
(A)参照)。
【0189】[工程−M2]その後、全面に、例えばS
iO2から成る厚さ0.7μmの絶縁層12Bを形成
し、次いで、絶縁層12B上にストライプ状の第2のゲ
ート電極13Bを形成する(図26の(B)参照)。
【0190】[工程−M3]次に、[工程−A2]と同
様の方法に基づき、第2のゲート電極13Bを例えばR
IE法により異方的にエッチングし、開口部を形成す
る。次に、開口部の底面に露出した絶縁層12Bを等方
的にエッチングし、孔部を形成する。絶縁層12BをS
iO2を用いて形成しているので、緩衝化フッ酸水溶液
を用いたウェットエッチングを行う。絶縁層12Bに形
成された孔部の壁面は、第2のゲート電極13Bに形成
された開口部の開口端面よりも後退するが、このときの
後退量はエッチング時間の長短により制御することがで
きる。ここでは、絶縁層12Bに形成された孔部の下端
が、第2のゲート電極13Bに形成された開口部の開口
端面よりも後退するまで、ウェットエッチングを行う。
【0191】次に、孔部の底面に露出したカソード電極
211を、イオンを主エッチング種とする条件によりド
ライエッチングする。イオンを主エッチング種とするド
ライエッチングでは、被エッチング物へのバイアス電圧
の印加やプラズマと磁界との相互作用を利用して荷電粒
子であるイオンを加速することができるため、一般には
異方性エッチングが進行し、被エッチング物の加工面は
垂直壁となる。しかし、この工程では、プラズマ中の主
エッチング種の中にも垂直以外の角度を有する入射成分
が若干存在すること、及び開口部の端部における散乱に
よってもこの斜め入射成分が生ずることにより、カソー
ド電極211の露出面の中で、本来であれば開口部によ
って遮蔽されてイオンが到達しないはずの領域にも、あ
る程度の確率で主エッチング種が入射する。このとき、
支持体10の法線に対する入射角の小さい主エッチング
種ほど入射確率は高く、入射角の大きい主エッチング種
ほど入射確率は低い。
【0192】従って、カソード電極211に形成された
孔部の上端部の位置は、絶縁層12Bに形成された孔部
の下端部とほぼ揃っているものの、カソード電極211
に形成された孔部の下端部の位置はその上端部よりも突
出した状態となる。つまり、カソード電極211のエッ
ジ部211Aの厚さが、突出方向の先端部に向けて薄く
なり、エッジ部211Aが先鋭化される。例えば、エッ
チング・ガスとしてSF6を用いることにより、カソー
ド電極211の良好な加工を行うことができる。
【0193】次に、カソード電極211に形成された孔
部の底面に露出した層間絶縁層12Aを等方的にエッチ
ングし、層間絶縁層12Aに孔部を形成し、開口部14
を完成させる。ここでは、緩衝化フッ酸水溶液を用いた
ウェットエッチングを行う。層間絶縁層12Aに形成さ
れた孔部の壁面は、カソード電極211に形成された孔
部の下端部よりも後退する。このときの後退量はエッチ
ング時間の長短により制御可能である。開口部14の完
成後に第1のレジスト層を除去すると、図25の(C)
に示した構成を得ることができる。
【0194】[スピント型電界放出素子の製造方法の変
形−1] [スピント型電界放出素子]にて説明したスピント型電
界放出素子の製造方法の変形例を、以下、支持体等の模
式的な一部端面図である図27〜図30を参照して説明
するが、このスピント型電界放出素子は、基本的には、
以下の工程に基づき作製される。即ち、 (a)支持体10上にストライプ状のカソード電極11
を形成する工程 (b)カソード電極11上を含む支持体10上に絶縁層
12を形成する工程 (c)絶縁層12上にストライプ状のゲート電極13を
形成する工程 (d)底部にカソード電極11が露出した開口部14
を、ゲート電極13及び絶縁層12に形成する工程 (e)開口部14内を含む全面に電子放出部形成用の導
電材料層91を形成する工程 (f)開口部14の中央部に位置する導電材料層91の
領域を遮蔽するように、マスク材料層92を導電材料層
91上に形成する工程 (g)導電材料層91の支持体10に対して垂直な方向
におけるエッチング速度がマスク材料層92の支持体に
対して垂直な方向におけるエッチング速度よりも速くな
る異方性エッチング条件下で導電材料層91とマスク材
料層92とをエッチングすることにより、導電材料層9
1から成り、先端部が錐状形状を有する電子放出部15
Eを開口部14内に露出したカソード電極11上に形成
する工程
【0195】[工程−N1]先ず、例えばガラス基板上
に厚さ約0.6μmのSiO2層を形成して成る支持体
10上に、クロム(Cr)から成るカソード電極11を
設ける。具体的には、支持体10上に、例えばスパッタ
リング法やCVD法にてクロムから成るカソード電極用
導電材料層を堆積させ、かかるカソード電極用導電材料
層をパターニングすることによって、複数のカソード電
極11を形成することができる。カソード電極11の幅
を例えば50μm、カソード電極間スペースを例えば3
0μmとする。その後、カソード電極11上を含む支持
体10上に、原料ガスとしてTEOS(テトラエトキシ
シラン)を使用するプラズマCVD法にてSiO2から
成る絶縁層12を形成する。絶縁層12の厚さを約1μ
mとする。次に、絶縁層12上の全面に、カソード電極
11と直交する方向に平行に延びるストライプ状のゲー
ト電極13を形成する。
【0196】次に、カソード電極11とゲート電極13
との重複領域である電子放出領域、即ち、1画素領域に
おいて、ゲート電極13と絶縁層12とを貫通した開口
部14を、[工程−A2]と同様の方法に基づき形成す
る(図27の(A)参照)。開口部14の平面形状は、
例えば、直径0.3μmの円形である。開口部14は、
通常、1画素領域に数百乃至千個程度形成される。
【0197】[工程−N2]次に、全面に密着層90を
スパッタリング法にて形成する(図27の(B)参
照)。この密着層90は、ゲート電極13が形成されて
いない絶縁層12の露出面や開口部14の側壁面に露出
している絶縁層12と、次の工程で全面的に成膜される
導電材料層91との間の密着性を高めるために設けられ
る層である。導電材料層91をタングステンで形成する
ことを前提とし、タングステンから成る密着層90を、
DCスパッタリング法により0.07μmの厚さに形成
する。
【0198】[工程−N3]次に、開口部14内を含む
全面に、厚さ約0.6μmのタングステンから成る電子
放出部形成用の導電材料層91を水素還元減圧CVD法
により形成する(図28の(A)参照)。成膜された導
電材料層91の表面には、開口部14の上端面と底面と
の間の段差を反映した凹部91Aが形成される。
【0199】[工程−N4]次に、開口部14の中央部
に位置する導電材料層91の領域(具体的には凹部91
A)を遮蔽するようにマスク材料層92を形成する。具
体的には、先ず、ピンコート法により厚さ0.35μm
のレジスト材料をマスク材料層92として導電材料層9
1の上に形成する(図28の(B)参照)。マスク材料
層92は、導電材料層91の凹部91Aを吸収し、ほぼ
平坦な表面となる。次に、マスク材料層92を酸素系ガ
スを用いたRIE法によりエッチングする。このエッチ
ングを、導電材料層91の平坦面が露出した時点で終了
する。これにより、導電材料層91の凹部91Aを平坦
に埋め込むようにマスク材料層92が残る(図29の
(A)参照)。
【0200】[工程−N5]次に、導電材料層91とマ
スク材料層92と密着層90とをエッチングし、円錐形
状の電子放出部15Eを形成する(図29の(B)参
照)。これらの層のエッチングは、導電材料層91のエ
ッチング速度がマスク材料層92のエッチング速度より
も速くなる異方性エッチング条件下で行う。エッチング
条件を以下の表2に例示する。
【0201】[表2] [導電材料層91等のエッチング条件] SF6流量 :150SCCM O2流量 :30SCCM Ar流量 :90SCCM 圧力 :35Pa RFパワー:0.7kW(13.56MHz)
【0202】[工程−N6]その後、等方的なエッチン
グ条件にて開口部14の内部において絶縁層12に設け
られた開口部14の側壁面を後退させると、図30に示
す電界放出素子が完成される。等方的なエッチングは
[工程−A5]にて説明したと同様とすればよい。
【0203】ここで、[工程−N5]において、電子放
出部15Eが形成される機構について、図31を参照し
て説明する。図31の(A)は、エッチングの進行に伴
って、被エッチング物の表面プロファイルが一定時間毎
にどのように変化するかを示す模式図であり、図31の
(B)は、エッチング時間と開口部14の中心における
被エッチング物の厚さとの関係を示すグラフである。開
口部14の中心におけるマスク材料層の厚さをhp、開
口部14の中心における電子放出部15Eの高さをhe
とする。
【0204】表2に示したエッチング条件では、レジス
ト材料から成るマスク材料層92のエッチング速度より
も、導電材料層91のエッチング速度の方が当然速い。
マスク材料層92が存在しない領域では、導電材料層9
1が直ぐにエッチングされ始め、被エッチング物の表面
が速やかに下降してゆく。これに対して、マスク材料層
92が存在する領域では、最初にマスク材料層92が除
去されないとその下の導電材料層91のエッチングが始
まらないので、マスク材料層92がエッチングされてい
る間は被エッチング物の厚さの減少速度は遅く(hp
少区間)、マスク材料層92が消失した時点で初めて、
被エッチング物の厚さの減少速度がマスク材料層92の
存在しない領域と同様に速くなる(he減少区間)。he
減少区間の開始時期は、マスク材料層92が厚さが最大
となる開口部14の中心で最も遅く、マスク材料層92
の薄い開口部14の周辺に向かって早くなる。このよう
にして、円錐形状の電子放出部15Eが形成される。
【0205】レジスト材料から成るマスク材料層92の
エッチング速度に対する導電材料層91のエッチング速
度の比を、「対レジスト選択比」と称することにする。
この対レジスト選択比が、電子放出部15Eの高さと形
状を決定する重要な因子であることを、図32を参照し
て説明する。図32の(A)は、対レジスト選択比が相
対的に小さい場合、図32の(C)は、対レジスト選択
比が相対的に大きい場合、図32の(B)はこれらの中
間である場合の、電子放出部15Eの形状を示してい
る。対レジスト選択比が大きいほど、マスク材料層92
の膜減りに比べて導電材料層91の膜減りが激しくなる
ので、電子放出部15Eはより高く、且つ鋭くなること
が判る。対レジスト選択比は、SF6流量に対するO2
量の割合を高めると低下する。また、基板バイアスを併
用してイオンの入射エネルギーを変化させることが可能
なエッチング装置を用いる場合には、RFバイアスパワ
ーを高めたり、バイアス印加用の交流電源の周波数を下
げることで、対レジスト選択比を下げることができる。
対レジスト選択比の値は1.5以上、好ましくは2以
上、より好ましくは3以上に選択される。
【0206】尚、上記のエッチングにおいては当然、ゲ
ート電極13やカソード電極11に対して高い選択比を
確保する必要があるが、表2に示した条件で全く問題は
ない。なぜなら、ゲート電極13やカソード電極11を
構成する材料は、フッ素系のエッチング種では殆どエッ
チングされず、上記の条件であれば、概ね10以上のエ
ッチング選択比が得られるからである。
【0207】[スピント型電界放出素子の製造方法の変
形−2] [スピント型電界放出素子の製造方法の変形−2]の製
造方法は、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形
−1]の製造方法の変形である。この製造方法において
は、マスク材料層により遮蔽される導電材料層の領域
を、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形−1]
における製造方法におけるよりも狭くすることが可能で
ある。即ち、[スピント型電界放出素子の製造方法の変
形−2]におけるスピント型電界放出素子の製造方法に
おいては、開口部の上端面と底面との間の段差を反映し
て、柱状部とこの柱状部の上端に連通する拡大部とから
成る略漏斗状の凹部を導電材料層の表面に生成させ、工
程(f)において、導電材料層の全面にマスク材料層を
形成した後、マスク材料層と導電材料層とを支持体の表
面に対して平行な面内で除去することにより、柱状部に
マスク材料層を残す。
【0208】以下、[スピント型電界放出素子の製造方
法の変形−2]におけるスピント型電界放出素子の製造
方法を、支持体等の模式的な一部端面図である図33〜
図35を参照して説明する。
【0209】[工程−P1]先ず、支持体10上にカソ
ード電極11を形成する。カソード電極11は、例えば
DCスパッタリング法により、TiN層(厚さ0.1μ
m)、Ti層(厚さ5nm)、Al−Cu層(厚さ0.
4μm)、Ti層(厚さ5nm)、TiN層(厚さ0.
02μm)及びTi層(0.02μm)をこの順に積層
して積層膜を形成し、続いてこの積層膜をパターニング
して形成することができる。尚、図ではカソード電極1
1を単層で表した。次に、支持体10とカソード電極1
1の上に、厚さ0.7μmの絶縁層12を、TEOS
(テトラエトキシシラン)を原料ガスとするプラズマC
VD法に基づき形成する。次いで、絶縁層12の上にゲ
ート電極13を形成する。
【0210】更に、全面に例えば SiO2から成る厚さ
0.2μmのエッチング停止層93を形成する。エッチ
ング停止層93は、電界放出素子の機能上不可欠な部材
ではなく、後工程で行われる導電材料層91のエッチン
グ時に、ゲート電極13を保護する役割を果たす。尚、
導電材料層91のエッチング条件に対してゲート電極1
3が十分に高いエッチング耐性を持ち得る場合には、エ
ッチング停止層93を省略しても構わない。その後、R
IE法により、エッチング停止層93、ゲート電極1
3、絶縁層12を貫通し、底部にカソード電極11が露
出した開口部14を、[工程−A2]と同様の方法に基
づき形成する。このようにして、図33の(A)に示す
状態が得られる。
【0211】[工程−P2]次に、開口部14内を含む
全面に、例えば厚さ0.03μmのタングステンから成
る密着層90を形成する。次いで、開口部14内を含む
全面に電子放出部形成用の導電材料層91を形成する
(図33の(B)参照)。但し、[スピント型電界放出
素子の製造方法の変形−2]における導電材料層91
は、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形−1]
の製造方法で述べた凹部91Aよりも深い凹部91Aが
表面に生成されるように、導電材料層91の厚さを選択
する。即ち、導電材料層91の厚さを適切に設定するこ
とによって、開口部14の上端面と底面との間の段差を
反映して、柱状部91Bとこの柱状部91Bの上端に連
通する拡大部91Cとから成る略漏斗状の凹部91Aを
導電材料層91の表面に生成させることができる。
【0212】[工程−P3]次に、導電材料層91の全
面に、例えば無電解メッキ法により、厚さ約0.5μm
の銅(Cu)から成るマスク材料層92を形成する(図
34の(A)参照)。無電解メッキ条件を以下の表3に
例示する。
【0213】 [表3] メッキ液 :硫酸銅(CuSO4・5H2O) 7g/リットル ホルマリン(37%HCHO) 20ml/リットル 水酸化ナトリウム(NaOH) 10g/リットル 酒石酸ナトリウムカリウム 20g/リットル メッキ浴温度:50゜C
【0214】[工程−P4]その後、マスク材料層92
と導電材料層91とを支持体10の表面に対して平行な
面内で除去することにより、柱状部91Bにマスク材料
層92を残す(図34の(B)参照)。この除去は、例
えば化学的機械的研磨法(CMP法)により行うことが
できる。
【0215】[工程−P5]次に、導電材料層91と密
着層90のエッチング速度がマスク材料層92のエッチ
ング速度よりも速くなる異方性エッチング条件下で、導
電材料層91とマスク材料層92と密着層90とをエッ
チングする。その結果、開口部14内に錐状形状を有す
る電子放出部15Eが形成される(図35の(A)参
照)。尚、電子放出部15Eの先端部にマスク材料層9
2が残存する場合には、希フッ酸水溶液を用いたウェッ
トエッチングによりマスク材料層92を除去することが
できる。
【0216】[工程−P6]次に、等方的なエッチング
条件で開口部14の内部において絶縁層12に設けられ
た開口部14の側壁面を後退させると、図35の(B)
に示す電界放出素子が完成される。等方的なエッチング
については、[スピント型電界放出素子の製造方法の変
形−1]の製造方法で説明したと同様とすればよい。
【0217】ところで、[スピント型電界放出素子の製
造方法の変形−2]の製造方法で形成された電子放出部
15Eにおいては、[スピント型電界放出素子の製造方
法の変形−1]の製造方法で形成された電子放出部15
Eに比べ、より鋭い錐状形状が達成されている。これ
は、マスク材料層92の形状と、マスク材料層92のエ
ッチング速度に対する導電材料層91のエッチング速度
の比の違いに起因する。この違いについて、図36を参
照しながら説明する。図36は、被エッチング物の表面
プロファイルが一定時間毎にどのように変化するかを示
す図であり、図36の(A)は銅から成るマスク材料層
92を用いた場合、図36の(B)はレジスト材料から
成るマスク材料層92を用いた場合をそれぞれ示す。
尚、簡略化のために導電材料層91のエッチング速度と
密着層90のエッチング速度とをそれぞれ等しいものと
仮定し、図36においては密着層90の図示を省略す
る。
【0218】銅から成るマスク材料層92を用いた場合
(図36の(A)参照)は、マスク材料層92のエッチ
ング速度が導電材料層91のエッチング速度に比べて十
分に遅いために、エッチング中にマスク材料層92が消
失することがなく、従って、先端部の鋭い電子放出部1
5Eを形成することができる。これに対して、レジスト
材料から成るマスク材料層92を用いた場合(図36の
(B)参照)は、マスク材料層92のエッチング速度が
導電材料層91のエッチング速度に比べてそれ程遅くな
いために、エッチング中にマスク材料層92が消失し易
く、従って、マスク材料層消失後の電子放出部15Eの
錐状形状が鈍化する傾向がある。
【0219】また、柱状部91Bに残るマスク材料層9
2には、柱状部91Bの深さが多少変化しても、電子放
出部15Eの形状は変化し難いというメリットもある。
即ち、柱状部91Bの深さは、導電材料層91の厚さや
ステップカバレージのばらつきによって変化し得るが、
柱状部91Bの幅は深さによらずほぼ一定なので、マス
ク材料層92の幅もほぼ一定となり、最終的に形成され
る電子放出部15Eの形状には大差が生じない。これに
対して、凹部91Aに残るマスク材料層92において
は、凹部91Aが浅い場合と深い場合とでマスク材料層
の幅も変化してしまうため、凹部91Aが浅くマスク材
料層92の厚さが薄い場合ほど、より早期に電子放出部
15Eの錐状形状の鈍化が始まる。電界放出素子の電子
放出効率は、ゲート電極とカソード電極との間の電位
差、ゲート電極とカソード電極との間の距離、電子放出
部の構成材料の仕事関数の他、電子放出部の先端部の形
状によっても変化する。このため、必要に応じて上述の
ようにマスク材料層の形状やエッチング速度を選択する
ことが好ましい。
【0220】[スピント型電界放出素子の製造方法の変
形−3] [スピント型電界放出素子の製造方法の変形−3]の製
造方法は、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形
−2]のスピント型電界放出素子の製造方法の変形であ
る。[スピント型電界放出素子の製造方法の変形−3]
の製造方法においては、工程(e)において、開口部の
上端面と底面との間の段差を反映して、柱状部とこの柱
状部の上端に連通する拡大部とから成る略漏斗状の凹部
を導電材料層の表面に生成させ、工程(f)において、
導電材料層の全面にマスク材料層を形成した後、導電材
料層上と拡大部内のマスク材料層を除去することによ
り、柱状部にマスク材料層を残す。以下、[スピント型
電界放出素子の製造方法の変形−3]におけるスピント
型電界放出素子の製造方法を、支持体等の模式的な一部
端面図である図37及び図38を参照して説明する。
【0221】[工程−Q1]先ず、図34の(A)に示
したマスク材料層92の形成までを[スピント型電界放
出素子の製造方法の変形−2]の製造方法の[工程−P
1]〜[工程−P3]と同様に行った後、導電材料層9
1上と拡大部91C内のマスク材料層92のみを除去す
ることにより、柱状部91Bにマスク材料層92を残す
(図37の(A)参照)。このとき、例えば希フッ酸水
溶液を用いたウェットエッチングを行うことにより、タ
ングステンから成る導電材料層91を除去することな
く、銅から成るマスク材料層92のみを選択的に除去す
ることができる。柱状部91B内に残るマスク材料層9
2の高さは、エッチング時間に依存するが、このエッチ
ング時間は、拡大部91Cに埋め込まれたマスク材料層
92の部分が十分に除去される限りにおいて、それ程の
厳密さを要しない。なぜなら、マスク材料層92の高低
に関する議論は、図36の(A)を参照しながら前述し
た柱状部91Bの浅深に関する議論と実質的に同じであ
り、マスク材料層92の高低は最終的に形成される電子
放出部15Eの形状に大きな影響を及ぼさないからであ
る。
【0222】[工程−Q2]次に、導電材料層91とマ
スク材料層92と密着層90のエッチングを、[スピン
ト型電界放出素子の製造方法の変形−2]の製造方法と
同様に行い、図37の(B)に示すような電子放出部1
5Eを形成する。この電子放出部15Eは、図35の
(A)に示したように全体が錐状形状を有していても勿
論構わないが、図37の(B)には先端部のみが錐状形
状を有する変形例を示した。かかる形状は、柱状部91
Bに埋め込まれたマスク材料層92の高さが低いか、若
しくは、マスク材料層92のエッチング速度が比較的速
い場合に生じ得るが、電子放出部15Eとしての機能に
何ら支障はない。
【0223】[工程−Q3]その後、等方的なエッチン
グ条件で開口部14の内部において絶縁層12に設けら
れた開口部14の側壁面を後退させると、図38に示す
電界放出素子が完成される。等方的なエッチングについ
ては、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形−
1]の作製方法で説明したと同様とすればよい。
【0224】[スピント型電界放出素子の製造方法の変
形−4] [スピント型電界放出素子の製造方法の変形−4]の製
造方法は、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形
−1]の製造方法の変形である。[スピント型電界放出
素子の製造方法の変形−4]の模式的な一部端面図を図
39に示す。[スピント型電界放出素子の製造方法の変
形−4]が[スピント型電界放出素子の製造方法の変形
−1]と異なる点は、電子放出部が、基部94と、基部
94上に積層された錐状の電子放出部15Eとから構成
されている点にある。ここで、基部94と電子放出部1
5Eとは異なる導電材料から構成されている。具体的に
は、基部94は、電子放出部15Eとゲート電極13の
開口端部との間の距離を調節するための部材であり、且
つ、抵抗体層としての機能を有し、不純物を含有するポ
リシリコン層から構成されている。電子放出部15Eは
タングステンから構成されており、錐状形状、より具体
的には円錐形状を有する。尚、基部94と電子放出部1
5Eとの間には、TiNから成る密着層90が形成され
ている。尚、密着層90は、電子放出部の機能上不可欠
な構成要素ではなく、製造上の理由で形成されている。
絶縁層12がゲート電極13の直下から基部94の上端
部にかけてえぐられることにより、開口部14が形成さ
れている。
【0225】以下、[スピント型電界放出素子の製造方
法の変形−4]の製造方法を、支持体等の模式的な一部
端面図である図40〜図42を参照して説明する。
【0226】[工程−R1]先ず、開口部14の形成ま
でを、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形−
1]の製造方法の[工程−N1]と同様に行う。続い
て、開口部14内を含む全面に基部形成用の導電材料層
94Aを形成する。導電材料層94Aは、抵抗体層とし
ても機能し、ポリシリコン層から構成され、プラズマC
VD法により形成することができる。次いで、全面に、
スピンコート法にてレジスト材料から成る平坦化層95
を表面が略平坦となるように形成する(図40(A)参
照)。次に、平坦化層95と導電材料層94Aのエッチ
ング速度が共に略等しくなる条件で両層をエッチング
し、開口部14の底部を上面が平坦な基部94で埋め込
む(図40の(B)参照)。エッチングは、塩素系ガス
と酸素系ガスとを含むエッチングガスを用いたRIE法
により行うことができる。導電材料層94Aの表面を平
坦化層95で一旦平坦化してからエッチングを行ってい
るので、基部94の上面が平坦となる。
【0227】[工程−R2]次に、開口部14の残部を
含む全面に密着層90を成膜し、更に、開口部14の残
部を含む全面に電子放出部形成用の導電材料層91を成
膜し、開口部14の残部を導電材料層91で埋め込む
(図41の(A)参照)。密着層90は、スパッタリン
グ法により形成される厚さ0.07μmのTiN層であ
り、導電材料層91は減圧CVD法により形成される厚
さ0.6μmのタングステン層である。導電材料層91
の表面には、開口部14の上端面と底面との間の段差を
反映して凹部91Aが形成されている。
【0228】[工程−R3]次に、導電材料層91の全
面に、スピンコート法によりレジスト材料ら成るマスク
材料層92を表面が略平坦となるように形成する(図4
1の(B)参照)。マスク材料層92は、導電材料層9
1の表面の凹部91Aを吸収して平坦な表面となってい
る。次に、マスク材料層92を酸素系ガスを用いたRI
E法によりエッチングする(図42の(A)参照)。こ
のエッチングは、導電材料層91の平坦面が露出した時
点で終了する。これにより、導電材料層91の凹部91
Aにマスク材料層92が平坦に残され、マスク材料層9
2は、開口部14の中央部に位置する導電材料層91の
領域を遮蔽するように形成されている。
【0229】[工程−R4]次に、[スピント型電界放
出素子の製造方法の変形−1]の製造方法の[工程−N
5]と同様にして、導電材料層91、マスク材料層92
及び密着層90を共にエッチングすると、前述の機構に
基づき対レジスト選択比の大きさに応じた円錐形状を有
する電子放出部15Eと密着層90とが形成され、電子
放出部が完成される(図42の(B)参照)。その後、
開口部14の内部において絶縁層12に設けられた開口
部14の側壁面を後退させると、図39に示した電界放
出素子を得ることができる。
【0230】[スピント型電界放出素子の製造方法の変
形−5] [スピント型電界放出素子の製造方法の変形−5]の製
造方法は、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形
−2]の製造方法の変形である。[スピント型電界放出
素子の製造方法の変形−5]の模式的な一部端面図を図
44の(B)に示す。[スピント型電界放出素子の製造
方法の変形−5]が[スピント型電界放出素子の製造方
法の変形−2]と異なる点は、電子放出部が、[スピン
ト型電界放出素子の製造方法の変形−4]と同様に、基
部94と、基部94上に積層された錐状の電子放出部1
5Eとから構成されている点にある。ここで、基部94
と電子放出部15Eとは異なる導電材料から構成されて
いる。具体的には、基部94は、電子放出部15Eとゲ
ート電極13の開口端部との間の距離を調節するための
部材であり、且つ、抵抗体層としての機能を有し、不純
物を含有するポリシリコン層から構成されている。電子
放出部15Eはタングステンから構成されており、錐状
形状、より具体的には円錐形状を有する。尚、基部94
と電子放出部15Eとの間には、TiNから成る密着層
90が形成されている。尚、密着層90は、電子放出部
の機能上不可欠な構成要素ではなく、製造上の理由で形
成されている。絶縁層12がゲート電極13の直下から
基部94の上端部にかけてえぐられることにより、開口
部14が形成されている。
【0231】以下、[スピント型電界放出素子の製造方
法の変形−5]の製造方法を、支持体等の模式的な一部
端面図である図43及び図44を参照して説明する。
【0232】[工程−S1]先ず、開口部14の形成ま
でを、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形−
1]の製造方法の[工程−N1]と同様に行う。次に、
開口部14内を含む全面に基部形成用の導電材料層を形
成し、導電材料層をエッチングすることによって、開口
部14の底部を埋め込む基部94を形成することができ
る。尚、図示される基部94は平坦化された表面を有し
ているが、表面が窪んでいてもよい。尚、平坦化された
表面を有する基部94は、[スピント型電界放出素子の
製造方法の変形−4]の製造方法の[工程−R1]と同
様のプロセスによって形成可能である。更に、開口部1
4の残部を含む全面に、密着層90及び電子放出部形成
用の導電材料層91を順次形成する。このとき、開口部
14の残部の上端面と底面との間の段差を反映した柱状
部91Bとこの柱状部91Bの上端に連通する拡大部9
1Cとから成る略漏斗状の凹部91Aが導電材料層91
の表面に生成されるように、導電材料層91の厚さを選
択する。次に、導電材料層91上にマスク材料層92を
形成する。このマスク材料層92は、例えば銅を用いて
形成する。図43の(A)は、ここまでのプロセスが終
了した状態を示している。
【0233】[工程−S2]次に、マスク材料層92と
導電材料層91とを支持体10の表面に対して平行な面
内で除去することにより、柱状部91Bにマスク材料層
92を残す(図43の(B)参照)。この除去は、[工
程−P4]と同様に、化学的機械的研磨法(CMP法)
により行うことができる。
【0234】[工程−S3]次に、導電材料層91とマ
スク材料層92と密着層90とをエッチングすると、前
述の機構に基づき対レジスト選択比の大きさに応じた円
錐形状を有する電子放出部15Eが形成される。これら
の層のエッチングは、[スピント型電界放出素子の製造
方法の変形−2]の製造方法の[工程−P5]と同様に
行うことができる。電子放出部15Eと基部94、及
び、電子放出部15Eと基部94の間に残存する密着層
90とによって、電子放出部が形成される。電子放出部
は、全体が錐状形状を有していても勿論構わないが、図
44の(A)には基部94の一部が開口部14の底部を
埋め込むように残存した状態を示した。かかる形状は、
柱状部91Bに埋め込まれたマスク材料層92の高さが
低いか、若しくは、マスク材料層92のエッチング速度
が比較的速い場合に生じ得るが、電子放出部としての機
能に何ら支障はない。
【0235】[工程−S4]その後、等方的なエッチン
グ条件で開口部14の内部において絶縁層12の側壁面
を後退させると、図44の(B)に示した電界放出素子
が完成される。等方的なエッチング条件は、[スピント
型電界放出素子の製造方法の変形−1]の製造方法で説
明したと同様とすればよい。
【0236】[スピント型電界放出素子の製造方法の変
形−6] [スピント型電界放出素子の製造方法の変形−6]の製
造方法は、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形
−3]のスピント型電界放出素子の製造方法の変形であ
る。[スピント型電界放出素子の製造方法の変形−6]
がスピント型電界放出素子の製造方法の変形−3]と異
なる点は、電子放出部が、[スピント型電界放出素子の
製造方法の変形−4]と同様に、基部94と、基部94
上に積層された錐状の電子放出部15Eとから構成され
ている点にある。以下、スピント型電界放出素子である
[スピント型電界放出素子の製造方法の変形−6]の製
造方法を、支持体等の模式的な一部端面図である図45
を参照して説明する。
【0237】[工程−T1]マスク材料層92の形成ま
でを[スピント型電界放出素子の製造方法の変形−5]
の製造方法の[工程−S1]と同様に行う。その後、導
電材料層91上と拡大部91C内のマスク材料層92の
みを除去することにより、柱状部91Bにマスク材料層
92を残す(図45参照)。例えば希フッ酸水溶液を用
いたウェットエッチングを行い、タングステンから成る
導電材料層91を除去することなく、銅から成るマスク
材料層92のみを選択的に除去することができる。この
後の導電材料層91とマスク材料層92のエッチング、
絶縁層12の等方的なエッチング等のプロセスは、全
て、[スピント型電界放出素子の製造方法の変形−5]
の製造方法と同様に行うことができる。
【0238】(実施の形態5)実施の形態5において
は、平面型表示装置をプラズマ表示装置とした。以下、
3電極型の交流駆動型プラズマ表示装置を例にとり、プ
ラズマ表示装置を説明する。尚、実施の形態5のプラズ
マ表示装置における第1パネルP1、第2パネルP2の構
成は、図52に示した従来のAC型プラズマ表示装置と
同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
尚、第2パネルP2の概念的な平面図を図49の(A)
に示し、第2パネルP2の概念的な断面図を図49の
(B)に示す。
【0239】放電維持電極311を構成する導電性材料
は、プラズマ表示装置が透過型であるか、反射型である
かによって異なる。透過型のプラズマ表示装置では、蛍
光体層の発光は第2の基板320を通して観察されるの
で、放電維持電極311を構成する導電性材料に関して
透明/不透明の別は問わないが、アドレス電極321は
透明であることが要求される。反射型のプラズマ表示装
置では、蛍光体層324の発光は第1の基板310を通
して観察されるので、アドレス電極321を構成する導
電性材料に関して透明/不透明の別は問わないが、放電
維持電極311を構成する導電性材料が透明であること
が要求される。尚、ここで述べる透明/不透明とは、蛍
光体材料に固有の発光波長(可視光域)における導電性
材料の光透過性に基づく。即ち、蛍光体層から射出され
る光に対して透明であれば、例えば、放電維持電極31
1を構成する導電性材料は透明であると云える。不透明
な導電性材料として、Ni、Al、Au、Ag、Al、
Pd/Ag、Cr、Ta、Cu、Ba、LaB6、Ca
0.2La0.8CrO3等の材料を単独又は適宜組み合わせ
て用いることができる。透明な導電性材料として、IT
O(インジウム・錫酸化物)やSnO2を挙げることが
できる。放電維持電極311やアドレス電極321は、
スパッタ法や、蒸着法、スクリーン印刷法、サンドブラ
スト法、メッキ法、リフトオフ法等によって形成するこ
とができる。
【0240】放電維持電極311の形成方法として、使
用する導電性材料に応じて蒸着法、スパッタリング法、
CVD法、印刷法、リフトオフ法等を適宜選択すること
ができる。即ち、適当なマスクやスクリーンを使用した
印刷法にて最初から所定のパターンを有する放電維持電
極311を形成してもよいし、蒸着法やスパッタリング
法、CVD法に基づき導電材料層を全面に形成した後
に、導電材料層をパターニングして放電維持電極311
を形成してもよいし、所謂リフトオフ法にて放電維持電
極311を形成してもよい。
【0241】放電維持電極311に加えて、第1の基板
310には、第1の電極のインピーダンスを低下させる
ために、放電維持電極311よりも電気抵抗率の低い材
料から成るバス電極312が設けられていることが好ま
しい。バス電極312は、典型的には、金属材料、例え
ば、Ag、Al、Ni、Cu、Cr、Cr/Cu/Cr
積層膜から構成することができる。かかる金属材料から
成るバス電極312は、反射型のプラズマ表示装置にお
いては、蛍光体層324から放射されて第1の基板31
0を通過する可視光の透過光量を低減させ、表示画面の
輝度を低下させる要因となり得るので、放電維持電極3
11に必要な電気抵抗値が得られる範囲内で出来る限り
細く形成することが好ましい。バス電極312は、スパ
ッタ法や、蒸着法、スクリーン印刷法、サンドブラスト
法、メッキ法、リフトオフ法等によって形成することが
できる。
【0242】放電維持電極311の表面には、例えば、
電子ビーム蒸着法やスパッタ法、蒸着法、スクリーン印
刷法等に基づき、誘電体層313が形成されている。誘
電体層313は、典型的には、低融点ガラスあるいはS
iO2から構成される。誘電体層313を設けることに
よって、イオンや電子と放電維持電極311との直接接
触を防止することができる結果、放電維持電極311の
磨耗を防ぐことができる。誘電体層313は、壁電荷を
蓄積する機能、過剰な放電電流を制限する抵抗体として
の機能、放電状態を維持するメモリ機能を有する。誘電
体層313は、典型的には、低融点ガラスあるいは酸化
ケイ素から構成することができるが、その他の誘電体材
料を用いて形成することもできる。
【0243】誘電体層313の上に、保護膜を形成する
ことが好ましい。保護膜を設けることによって、イオン
や電子と放電維持電極311との直接接触を防止するこ
とができる結果、放電維持電極311の磨耗を防ぐこと
ができる。保護膜は、放電に必要な2次電子を放出する
機能も有する。保護膜を構成する材料として、酸化マグ
ネシウム(MgO)、フッ化マグネシウム(Mg
2)、フッ化カルシウム(CaF2)を例示することが
できる。中でも酸化マグネシウムは、2次電子放出比が
高い上に、スパッタリング率が低く、蛍光体層の発光波
長における光透過率が高く、放電開始電圧が低い等の特
色を有する好適な材料である。尚、保護膜を、これらの
材料から成る群から選択された少なくとも2種類の材料
から構成された積層膜構造としてもよい。
【0244】隔壁323は、隣接する蛍光体層324の
間に設けられている。言い換えれば、隔壁323は、隣
り合うアドレス電極321の間の領域においてアドレス
電極321と平行に延びている構成とすることができ
る。即ち、一対の隔壁323の間を1つのアドレス電極
321が延びる構造とすることができる。場合によって
は、隔壁は、隣り合う放電維持電極311の間の領域に
おいて放電維持電極311と平行に延びる第1隔壁と、
隣り合うアドレス電極321の間の領域においてアドレ
ス電極321と平行に延びる第2隔壁とから構成されて
いる(即ち、格子状とされている)構成とすることもで
きる。かかる格子状の隔壁は、従来よりDC型プラズマ
表示装置に採用されているが、AC型のプラズマ表示装
置にも適用することができる。また、隔壁はミアンダ構
造を有していてもよい。
【0245】隔壁323を構成する材料として、従来公
知の絶縁材料を使用することができ、例えば広く用いら
れている低融点ガラスにアルミナ等の金属酸化物を混合
した材料(低融点ガラスペーストと呼ぶ)を例示するこ
とができる。尚、隔壁323を黒くすることにより、所
謂ブラック・マトリクスを形成し、表示画面の高コント
ラスト化を図ることができる。隔壁323を黒くする方
法として、黒色に着色された低融点ガラスペーストを用
いて隔壁323を形成する方法を例示することができ
る。
【0246】隔壁323の構成材料として、従来公知の
絶縁材料を使用することができ、例えば広く用いられて
いる低融点ガラスにアルミナ等の金属酸化物を混合した
材料を用いることができる。隔壁323の形成方法とし
て、スクリーン印刷法、サンドブラスト形成法、ドライ
フィルム法、感光法を例示することができる。ここで、
スクリーン印刷法とは、隔壁323を形成すべき部分に
対応するスクリーンの部分に開口部が形成されており、
スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口
部を通過させ、第2の基板320上若しくは誘電体膜3
22上(以下、これらを総称して、第2の基板等上と呼
ぶ)に隔壁形成用材料層を形成した後、かかる隔壁形成
用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法と
は、第2の基板等上に感光性フィルムをラミネートし、
露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィル
ムを除去し、除去によって生じた開口部に隔壁形成用の
材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルム
は焼成によって燃焼、除去され、開口部に埋め込まれた
隔壁形成用の材料が残り、隔壁となる。感光法とは、第
2の基板等上に感光性を有する隔壁形成用の材料層を形
成し、露光及び現像によってこの材料層をパターニング
した後、焼成を行う方法である。サンドブラスト形成法
とは、例えば、スクリーン印刷やロールコーター、ドク
ターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形
成用材料層を第2の基板等上に形成し、乾燥させた後、
隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で
被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサ
ンドブラスト法によって除去する方法である。尚、隔壁
を黒くすることにより、所謂ブラック・マトリクスを形
成し、表示画面の高コントラスト化を図ることができ
る。隔壁を黒くする方法として、黒色に着色されたカラ
ーレジスト材料を用いて隔壁を形成する方法を例示する
ことができる。
【0247】蛍光体層324は、赤色を発光する蛍光体
材料、緑色を発光する蛍光体材料及び青色を発光する蛍
光体材料から成る群から選択された蛍光体材料から構成
され、第2の基板320の上方に設けられている。アド
レス電極321を第2の基板320上に設ける場合、具
体的には、例えば、赤色を発光する蛍光体材料から構成
された蛍光体層(赤色蛍光体層)324Rがアドレス電
極321の上方に設けられ、緑色を発光する蛍光体材料
から構成された蛍光体層(緑色蛍光体層)324Gが別
のアドレス電極321の上方に設けられ、青色を発光す
る蛍光体材料から構成された蛍光体層(青色蛍光体層)
324Bが更に別のアドレス電極321の上方に設けら
れており、これらの3原色を発光する蛍光体層が1組と
なり、所定の順序に従って設けられている。そして、対
になった放電維持電極311とこれらの3原色を発光す
る1組の蛍光体層が重複する領域が、1画素に相当す
る。赤色蛍光体層324R、緑色蛍光体層324G及び
青色蛍光体層324Bは、ストライプ状に形成されてい
てもよいし、格子状に形成されていてもよい。更には、
放電維持電極311とアドレス電極321とが重複する
領域にのみ、蛍光体層324を形成してもよい。
【0248】尚、アドレス電極321を第2の基板32
0上に設ける場合、蛍光体層324はアドレス電極32
1の上に直接形成されていてもよいし、アドレス電極3
21上から隔壁323の側面に懸けて形成されていても
よい。あるいは又、蛍光体層324は、アドレス電極3
21上に設けられた誘電体膜322上に形成されていて
もよいし、アドレス電極321上に設けられた誘電体膜
322上から隔壁323の側面に懸けて形成されていて
もよい。更には、蛍光体層324は、隔壁323の側面
にのみ形成されていてもよい。誘電体膜322の構成材
料として、低融点ガラスや酸化ケイ素を挙げることがで
き、スクリーン印刷法やスパッタ法、真空蒸着法等に基
づき形成することができる。場合によっては、蛍光体層
や隔壁の表面に、酸化マグネシウム(MgO)、フッ化
マグネシウム(MgF2)、フッ化カルシウム(Ca
2)等から成る保護層を形成してもよい。
【0249】蛍光体層324を構成する蛍光体材料とし
ては、従来から公知の蛍光体材料の中から、量子効率が
高く、真空紫外線に対する飽和が少ない蛍光体材料を適
宜選択して用いることができる。カラー表示を想定して
いるので、色純度がNTSCで規定される3原色に近
く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間
が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料
を組み合わせることが好ましい。真空紫外線の照射によ
り赤色に発光する蛍光体材料として、(Y23:E
u)、(YBO3Eu)、(YVO4:Eu)、(Y0.96
0.600.404:Eu0.04)、[(Y,Gd)BO3
Eu]、(GdBO3:Eu)、(ScBO3:Eu)、
(3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)を例
示することができる。真空紫外線の照射により緑色に発
光する蛍光体材料として、(ZnSiO2:Mn)、
(BaAl1219:Mn)、(BaMg2Al1627
Mn)、(MgGa24:Mn)、(YBO3:T
b)、(LuBO3:Tb)、(Sr4Si38Cl4
Eu)を例示することができる。真空紫外線の照射によ
り青色に発光する蛍光体材料として、(Y2SiO5:C
e)、(CaWO4:Pb)、CaWO4、YP0.85
0.154、(BaMgAl1423:Eu)、(Sr22
7:Eu)、(Sr227:Sn)を例示することが
できる。蛍光体層324の形成方法として、厚膜印刷
法、蛍光体粒子をスプレーする方法、蛍光体層324の
形成予定部位に予め粘着性物質を付けておき、蛍光体粒
子を付着させる方法、感光性の蛍光体ペーストを使用
し、露光及び現像によって蛍光体層をパターニングする
方法、全面に蛍光体層を形成した後に不要部をサンドブ
ラスト法により除去する方法を挙げることができる。
【0250】空間に封入される希ガスには、以下の点が
要求される。 プラズマ表示装置の長寿命化の観点から、化学的に
安定であり、且つ、ガス圧力を高く設定し得ること 表示画面の高輝度化の観点から、真空紫外線の放射
強度が大きいこと 真空紫外線から可視光線へのエネルギー変換効率を
高める観点から、放射される真空紫外線の波長が長いこ
と 消費電力低減の観点から、放電開始電圧の低いこと
【0251】希ガスとして、He(共鳴線の波長=5
8.4nm)、Ne(同74.4nm)、Ar(同10
7nm)、Kr(同124nm)、Xe(同147n
m)を単独で用いるか、又は混合して用いることが可能
であるが、ペニング効果による放電開始電圧の低下が期
待できる混合ガスが特に有用である。かかる混合ガスと
しては、Ne−Ar混合ガス、He−Xe混合ガス、N
e−Xe混合ガスを挙げることができる。尚、これらの
希ガスの中でも最も長い共鳴線波長を有するXeは、波
長172nmの強い真空紫外線も放射するので、好適な
希ガスである。
【0252】プラズマ表示装置において、誘電体層31
3と蛍光体層324と一対の隔壁323によって囲まれ
た空間(第1の空間S1)に封入された希ガスの圧力
は、2.0×104Pa(0.2気圧)乃至3.0×1
5Pa(3気圧)、好ましくは4.0×104Pa
(0.4気圧)乃至2.0×105Pa(2気圧)とす
ることが望ましい。
【0253】尚、プラズマ表示装置として、一対の放電
維持電極の一方を第1の基板310に形成し、他方を第
2の基板320に形成する構成とすることができる。
尚、このような構成のプラズマ表示装置を、便宜上、2
電極型と呼ぶ。この場合、一方の放電維持電極の射影像
は第1の方向に延び、他方の放電維持電極の射影像は、
第1の方向とは異なる第2の方向に延び、一対の放電維
持電極が対面するごとく対向して配置されている。2電
極型のプラズマ表示装置にあっては、必要に応じて、上
述の説明における「アドレス電極」を「他方の放電維持
電極」と読み替えればよい。
【0254】プラズマ表示装置においては、第2の基板
320上に形成された一対の隔壁323と、一対の隔壁
323によって囲まれた領域内を占める放電維持電極3
11とアドレス電極321、蛍光体層324(例えば、
赤色蛍光体層324R、緑色蛍光体層324G及び青色
蛍光体層324Bのいずれか1つの蛍光体層)によって
1つの放電セルが構成される。そして、かかる放電セル
内、より具体的には、隔壁323によって囲まれた放電
空間内に放電ガスが封入されており、蛍光体層324
は、放電空間内の放電ガス中で生じた交流グロー放電に
基づき発生した真空紫外線に照射されて発光する。
【0255】第1パネルP1を以下の方法で作製するこ
とができる。先ず、高歪点ガラスやソーダガラスから成
る第1の基板310の全面に例えばスパッタリング法に
よりITO層を形成し、フォトリソグラフィ技術及びエ
ッチング技術によりITO層をストライプ状にパターニ
ングすることによって、一対の放電維持電極311を、
複数、形成する。放電維持電極311は第1の方向に延
びている。次に、全面に例えば蒸着法によりアルミニウ
ム膜を形成し、フォトリソグラフィ技術及びエッチング
技術によりアルミニウム膜をパターニングすることによ
って、各放電維持電極311の縁部に沿ってバス電極3
12を形成する。その後、全面に、例えば厚さ3μmの
酸化ケイ素(SiO2)から成る誘電体層313を形成
し、その上に電子ビーム蒸着法により厚さ0.6μmの
酸化マグネシウム(MgO)から成る保護膜を形成す
る。以上の工程により第1パネルP1を完成することが
できる。
【0256】第2パネルP2を以下の方法で作製するこ
とができる。先ず、高歪点ガラスやソーダガラスから成
る第2の基板320上に例えばスクリーン印刷法により
銀ペーストをストライプ状に印刷し、焼成を行うことに
よって、アドレス電極321を形成する。アドレス電極
321は、第1の方向と直交する第2の方向に延びてい
る。次に、スクリーン印刷法により全面に低融点ガラス
ペースト層を形成し、この低融点ガラスペースト層を焼
成することによって誘電体膜322を形成する。その
後、隣り合うアドレス電極321の間の領域の上方の誘
電体膜322上に、例えばスクリーン印刷法により低融
点ガラスペーストを印刷し、焼成を行うことによって、
隔壁323を形成する。尚、隔壁の平均高さを、例えば
130μmとすることができる。次に、3原色の蛍光体
スラリーを順次印刷し、焼成を行うことによって、隔壁
323の間の誘電体膜322上から隔壁323の側壁面
上に亙って、蛍光体層324R,324G,324Bを
形成する。以上の工程により第2パネルP2を完成する
ことができる。
【0257】次に、プラズマ表示装置の組み立てを行
う。具体的には、実施の形態1にて説明した平面型表示
装置の組立方法に基づき、第1パネルP1、第2パネル
2及び排気室1からプラズマ表示装置を完成させれば
よい。
【0258】以上、本発明を、発明の実施の形態に基づ
き説明したが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。発明の実施の形態にて説明した第1パネル、第2パ
ネル、排気室、平面型表示装置の構造、構成、製造方法
は例示であり、適宜変更することができる。更には、電
界放出素子やプラズマ表示装置の製造において使用した
各種材料も例示であり、適宜変更することができる。
【0259】電界放出型表示装置を構成する電界放出素
子においては、専ら1つの開口部に1つの電子放出部が
対応する形態を説明したが、電界放出素子の構造に依っ
ては、1つの開口部に複数の電子放出部が対応した形
態、あるいは、複数の開口部に1つの電子放出部が対応
する形態とすることもできる。
【0260】電界放出型表示装置においては、ゲート電
極の上方に収束電極を形成する構造とすることもでき
る。ここで収束電極とは、開口部から放出されアノード
電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の
向上や隣接画素間の色濁りの防止を可能とするための電
極であり、アノード電極とカソード電極との間の電位差
が数キロボルトのオーダーであって、第1パネルP
1(アノードパネル)と第2パネルP2(カソードパネ
ル)との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプの電
界放出型表示装置を想定した場合に、特に有効な部材で
ある。収束電極には、収束電源から相対的な負電圧が印
加される。収束電極は、必ずしも電界放出素子ごとに設
けられている必要はなく、例えば、電界放出素子の所定
の配列方向に沿って延在させることにより、複数の電界
放出素子に共通の収束効果を及ぼすこともできる。
【0261】また、電界放出型表示装置においては、電
界放出素子の構成に依存して(例えば、電子放出部を炭
素薄膜から構成する場合)、絶縁層やゲート電極を設け
ずに、単に、カソード電極上に電子放出部を設けた構造
とすることもできる。このような構造においては、1画
素(1サブピクセル)単位で、カソード電極に印加する
電圧の制御を行う。カソード電極の平面形状を略矩形と
し、各カソード電極を配線及び例えばトランジスタから
成るスイッチング素子を介して制御回路に接続する。あ
るいは又、ゲート電極の平面形状を略矩形とし、各ゲー
ト電極を配線及び例えばトランジスタから成るスイッチ
ング素子を介して制御回路に接続する。各矩形形状のカ
ソード電極に閾値電圧以上の電圧が印加されると、ある
いは又、各矩形形状のゲート電極に閾値電圧以上の電圧
が印加されると、アノード電極によって形成される電界
に基づき、量子トンネル効果に基づき電子放出部から電
子が放出され、この電子がアノード電極に引き付けら
れ、蛍光体層に衝突する。輝度は、カソード電極に印加
される電圧によって制御される。
【0262】電界放出型表示装置においては、ゲート電
極を、開口部が形成された帯状あるいはシート状の金属
箔から構成し、支持体上にゲート電極支持部を形成し、
金属箔がかかるゲート電極支持部の頂面に接するよう
に、且つ、電子放出部の上方に開口部が位置するよう
に、金属箔が張架された構成とすることもできる。尚、
この場合、金属箔に形成された複数の開口部の下方に1
つの電子放出部が形成されていてもよいし、金属箔に形
成された1つの開口部の下方に1つの電子放出部が形成
されていてもよい。
【0263】表面伝導型電界放出素子と通称される電界
放出素子から電子放出領域を構成することもできる。こ
の表面伝導型電界放出素子は、例えばガラスから成る支
持体上に酸化錫(SnO2)、金(Au)、酸化インジ
ウム(In23)/酸化錫(SnO2)、カーボン、酸
化パラジウム(PdO)等の導電材料から成り、微小面
積を有し、所定の間隔(ギャップ)を開けて配された一
対の電極がマトリクス状に形成されて成る。それぞれの
電極の上には炭素薄膜が形成されている。そして、一対
の電極の内の一方の電極に行方向配線が接続され、一対
の電極の内の他方の電極に列方向配線が接続された構成
を有する。一対の電極に電圧を印加することによって、
ギャップを挟んで向かい合った炭素薄膜に電界が加わ
り、炭素薄膜から電子が放出される。かかる電子をアノ
ードパネル上の蛍光体層に衝突させることによって、蛍
光体層が励起されて発光し、所望の画像を得ることがで
きる。
【0264】
【発明の効果】本発明の平面型表示装置においては、排
気室を備えることによって、大きなサイズの平面型表示
装置にあっても、容易に、且つ、比較的短時間に平面型
表示装置の内部を高い真空度とすることができる。しか
も、第2パネルに設ける連通部の位置を最適化すること
によって、第1の空間内の真空度のバラツキ発生を抑制
することが可能となる。更には、排気部の位置を平面型
表示装置の製造装置に合わせて自由に設計することがで
きる。
【0265】また、ゲッターあるいはゲッター層を設け
る場合、平面型表示装置のサイズにより、最適な量のゲ
ッターあるいはゲッター層を最適な位置に配置等するこ
とができる。そして、ゲッターあるいはゲッター層が設
けられた本発明の平面型表示装置を冷陰極電界電子放出
表示装置に適用した場合、電子放出部に吸着するガス量
を減少させることができる結果、電子放出部の劣化を防
止でき、冷陰極電界電子放出表示装置の長寿命化を達成
することができるし、電子放出部からの放出電子量の揺
らぎを減少させることができる。また、電子放出部にお
ける閾値電圧のバラツキ発生を抑制できる結果、表示画
面の均一化を得ることができるし、電子放出部における
閾値電圧が減少する結果、冷陰極電界電子放出表示装置
の消費電力の低減を達成することができる。更には、冷
陰極電界電子放出素子とアノード電極との間の耐圧が向
上するので、アノード電圧を高くすることが可能とな
り、蛍光体層の輝度劣化を抑制することができ、輝度に
関するライフタイムの延長を図ることができる。以上の
結果として、長寿命で高信頼性を有する大画面の冷陰極
電界電子放出表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態1及び発明の実施の形態2の
平面型表示装置の概念的な断面図である。
【図2】発明の実施の形態1の平面型表示装置における
第2パネルの模式的な平面図、及び、排気室の模式的な
平面図である。
【図3】発明の実施の形態2の平面型表示装置における
第2パネルの模式的な平面図、及び、排気室の模式的な
平面図である。
【図4】発明の実施の形態2の平面型表示装置の変形例
の概念的な断面図である。
【図5】発明の実施の形態3の平面型表示装置の概念的
な断面図である。
【図6】スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造方法
を説明するための支持体等の模式的な一部端面図であ
る。
【図7】図6に引き続き、スピント型冷陰極電界電子放
出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な
一部端面図である。
【図8】クラウン型冷陰極電界電子放出素子の製造方法
を説明するための支持体等の模式的な一部端面図であ
る。
【図9】図8に引き続き、クラウン型冷陰極電界電子放
出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な
一部端面図である。
【図10】扁平型冷陰極電界電子放出素子−1の製造方
法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図であ
る。
【図11】扁平型冷陰極電界電子放出素子−2の製造方
法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図であ
る。
【図12】扁平型冷陰極電界電子放出素子−3の製造方
法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図であ
る。
【図13】図13に引き続き、扁平型冷陰極電界電子放
出素子−3の製造方法を説明するための支持体等の模式
的な一部端面図である。
【図14】平面型冷陰極電界電子放出素子−1の製造方
法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図であ
る。
【図15】平面型冷陰極電界電子放出素子−2の模式的
な一部断面図である。
【図16】平面型冷陰極電界電子放出素子−2の模式的
な一部断面図である。
【図17】クレータ型冷陰極電界電子放出素子−1の製
造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面
図、及び、部分的な斜視図である。
【図18】図17に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子−1の製造方法を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図、及び、部分的な斜視図である。
【図19】図19に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子−1の製造方法を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図、及び、部分的な斜視図である。
【図20】図20に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子−1の製造方法を説明するための支持体等の
模式的な一部断面図である。
【図21】クレータ型冷陰極電界電子放出素子−2の製
造方法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図
である。
【図22】クレータ型冷陰極電界電子放出素子−3の製
造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図23】クレータ型冷陰極電界電子放出素子−4の製
造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図24】図23に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子−4の製造方法を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図25】エッジ型冷陰極電界電子放出素子の模式的な
一部断面図である。
【図26】エッジ型冷陰極電界電子放出素子の製造方法
を説明するための支持体等の模式的な一部端面図であ
る。
【図27】[スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造
方法の変形−1]を説明するための支持体等の模式的な
一部端面図である。
【図28】図27に引き続き、[スピント型冷陰極電界
電子放出素子の製造方法の変形−1]を説明するための
支持体等の模式的な一部端面図である。
【図29】図28に引き続き、[スピント型冷陰極電界
電子放出素子の製造方法の変形−1]を説明するための
支持体等の模式的な一部端面図である。
【図30】図29に引き続き、[スピント型冷陰極電界
電子放出素子の製造方法の変形−1]を説明するための
支持体等の模式的な一部端面図である。
【図31】円錐形状の電子放出部が形成される機構を説
明するための図である。
【図32】対レジスト選択比と、電子放出部の高さと形
状の関係を模式的に示す図である。
【図33】[スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造
方法の変形−2]を説明するための支持体等の模式的な
一部端面図である。
【図34】図33に引き続き、[スピント型冷陰極電界
電子放出素子の製造方法の変形−2]を説明するための
支持体等の模式的な一部端面図である。
【図35】図34に引き続き、[スピント型冷陰極電界
電子放出素子の製造方法の変形−2]を説明するための
支持体等の模式的な一部端面図である。
【図36】被エッチング物の表面プロファイルが一定時
間毎にどのように変化するかを示す図である。
【図37】[スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造
方法の変形−3]を説明するための支持体等の模式的な
一部端面図である。
【図38】図37に引き続き、[スピント型冷陰極電界
電子放出素子の製造方法の変形−3]を説明するための
支持体等の模式的な一部端面図である。
【図39】[スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造
方法の変形−4]にて得られるスピント型冷陰極電界電
子放出素子の模式的な一部端面図である。
【図40】[スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造
方法の変形−4]を説明するための支持体等の模式的な
一部端面図である。
【図41】図40に引き続き、[スピント型冷陰極電界
電子放出素子の製造方法の変形−4]を説明するための
支持体等の模式的な一部端面図である。
【図42】図41に引き続き、[スピント型冷陰極電界
電子放出素子の製造方法の変形−4]を説明するための
支持体等の模式的な一部端面図である。
【図43】[スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造
方法の変形−5]を説明するための支持体等の模式的な
一部端面図である。
【図44】図43に引き続き、[スピント型冷陰極電界
電子放出素子の製造方法の変形−5]を説明するための
支持体等の模式的な一部端面図である。
【図45】[スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造
方法の変形−6]を説明するための支持体等の模式的な
一部端面図である。
【図46】発明の実施の形態4において製造された第1
パネル及び第2パネルを組み立てた状態を示す模式的な
一部端面図である。
【図47】発明の実施の形態4において製造された第1
パネル及び第2パネルの模式的な斜視図である。
【図48】発明の実施の形態4における第1パネルの製
造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図で
ある。
【図49】発明の実施の形態5における第2パネルP2
の概念的な平面図、及び、概念的な断面図である。
【図50】従来の冷陰極電界電子放出表示装置を分解し
た概念図である。
【図51】図50に示した従来の第2パネルにおける各
構成要素の概念的な配置図である。
【図52】3電極型の交流駆動型プラズマ表示装置を概
念的に示す一部分解斜視図である。
【図53】従来のプラズマ表示装置の第1パネルを概念
的に示す模式的な平面図及び断面図である。
【符号の説明】
1・・・第1パネル、P2・・・第2パネル、S1・・
・第1の空間、S2・・・第2の空間、1・・・排気
室、1A・・・底面、1B・・・側壁、2・・・貫通
孔、3・・・排気部、4・・・連通部、5A,5B,5
C,5D,5E,5F・・・ゲッターあるいはゲッター
層、6・・・フリットガラス、7・・・ガス吸着材、1
0・・・支持体、11,111,211・・・カソード
電極、111A・・・隆起部、111B・・・凹部、1
11C・・・先端部、11A・・・微小凹凸部、11B
・・・被覆層、12,12A,12B・・・絶縁層、1
3,13A,13B・・・ゲート電極、14.14A,
14B・・・開口部、15,15A,15B,15C,
15D,15E・・・電子放出部、16・・・レジスト
層、17・・・剥離層、18・・・導電材料層、20・
・・基板、21,21R,21G,21B・・・蛍光体
層、22・・・ブラックマトリクス、23・・・アノー
ド電極、24・・・枠体、30・・・制御回路、31・
・・走査回路、32・・・加速電源、51・・・剥離
層、52・・・導電性組成物層、60・・・抵抗体層、
70・・・炭素薄膜選択成長領域、71・・・マスク
層、72・・・金属粒子、73・・・炭素薄膜、80,
180・・・球体、81・・・組成物層、81A・・・
分散媒、81B・・・カソード電極材料、180A・・
・芯材、180B・・・表面処理層、90・・・密着
層、91・・・導電材料層、91A・・・凹部、91B
・・・柱状部、91C・・・拡大部、92・・・マスク
材料層、93・・・エッチング停止層、94・・・基
部、94A・・・導電材料層、95・・・平坦化層、3
10・・・第1の基板、311・・・放電維持電極、3
12・・・バス電極、313・・・誘電体層、320・
・・第2の基板、321・・・アドレス電極、322・
・・誘電体膜、323・・・隔壁、324,324R,
324G,324B・・・蛍光体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 31/12 H01J 31/12 C Fターム(参考) 5C032 BB18 CD06 EE17 EF07 JJ12 5C035 EE01 JJ03 JJ11 5C036 EE14 EE19 EF01 EF06 EG50 EH01 5C040 HA04 HA08 MA26 MA30 5C235 EE01 JJ03 JJ11

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1パネルと、第2パネルとを有し、第1
    パネルと第2パネルによって囲まれた第1の空間内にお
    ける発光作用に基づき第1パネルの外面に画像を表示す
    る平面型表示装置であって、 第2パネルの裏面に固定され、排気部を有する排気室を
    備え、 第2パネルと排気室によって囲まれた第2の空間と第1
    の空間とを連通させる連通部が第2のパネルに設けられ
    ていることを特徴とする平面型表示装置。
  2. 【請求項2】連通部は、発光作用に寄与しない第2パネ
    ルの領域に設けられていることを特徴とする請求項1に
    記載の平面型表示装置。
  3. 【請求項3】第2パネルの裏面及び/又は排気室内面に
    ゲッターが配置されていることを特徴とする請求項1に
    記載の平面型表示装置。
  4. 【請求項4】第2パネルの裏面及び/又は排気室内面に
    ゲッター層が形成されていることを特徴とする請求項1
    に記載の平面型表示装置。
  5. 【請求項5】ゲッター層を形成すべき第2パネルの裏面
    の部分及び/又は排気室内面の部分には凹凸が形成され
    ていることを特徴とする請求項4に記載の平面型表示装
    置。
  6. 【請求項6】第2パネルの裏面及び/又は排気室内面に
    ゲッター層が取り付けられていることを特徴とする請求
    項1に記載の平面型表示装置。
  7. 【請求項7】第2の空間内にガス吸着材が配設されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置。
  8. 【請求項8】ガス吸着材は、第2パネルの裏面と、第2
    パネルの裏面と対向する排気室の底面の内面とによって
    挟まれていることを特徴とする請求項7に記載の平面型
    表示装置。
  9. 【請求項9】ガス吸着材はカーボン系材料から成ること
    を特徴とする請求項7に記載の平面型表示装置。
  10. 【請求項10】平面型表示装置は、冷陰極電界電子放出
    表示装置若しくはプラズマ表示装置であることを特徴と
    する請求項1に記載の平面型表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004039742A1 (ja) * 2002-10-29 2004-05-13 Nippon Sheet Glass Company, Limited ガラスパネルの製法とその製法によるガラスパネル

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