JP2002148519A - 液浸系顕微鏡対物レンズ - Google Patents

液浸系顕微鏡対物レンズ

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JP2002148519A JP2000347095A JP2000347095A JP2002148519A JP 2002148519 A JP2002148519 A JP 2002148519A JP 2000347095 A JP2000347095 A JP 2000347095A JP 2000347095 A JP2000347095 A JP 2000347095A JP 2002148519 A JP2002148519 A JP 2002148519A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高倍率および高開口数を有し、広視野に亘っ
て諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有する液
浸系顕微鏡対物レンズ。 【解決手段】 正屈折力の第1レンズ群G1と正屈折力
の第2レンズ群G2と負屈折力の第3レンズ群G3とを
備えている。第1レンズ群G1は、物体側から順に、物
体側に平面を向けた平凸レンズと像側に凸面を向けたメ
ニスカスレンズとの貼り合わせからなる第1接合レンズ
L1と、像側により屈折力の大きな面を向けた正レンズ
L2と、負レンズと正レンズとの貼り合わせからなる第
2接合レンズL3とを有する。第2レンズ群G2は、負
レンズと正レンズとの貼り合わせからなる接合レンズ
(L4〜L6)を有する。第1接合レンズL1中のメニ
スカスレンズのd線に対する屈折率n12が、n12>
1.9の条件を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液浸系顕微鏡対物
レンズに関し、特に対物レンズと観察物体との間の光路
を水やオイルなどの液体で満たした状態で観察を行う液
浸系顕微鏡に好適な対物レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】高倍率の液浸系顕微鏡対物レンズでは、
像面湾曲の補正をするために、先端のレンズに相対的に
屈折率の低い平凸レンズを埋め込み、その屈折率の差に
より接合面に負の屈折力を与えてペッツバール和を低減
させている。さらに、光束径の小さい位置に互いに向き
合った一対の凹面を配置し、その強い負の屈折力により
ペッツバール和を減少させている。
【0003】すなわち、埋め込みレンズを用いたペッツ
バール和の低減と、いわゆるガウスタイプを用いたペッ
ツバール和の低減とを組み合わせた構成が、公知の技術
となっている。このような液浸系顕微鏡対物レンズで高
倍率のアポクロマート級対物レンズが、たとえば特開2
000−35541号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、先端の埋め込
み平凸レンズでペッツバール和を低減させるとき、平凸
レンズが埋め込まれるメニスカスレンズでは、そのレン
ズ厚をなるべく大きくし、且つ屈折率のより高い光学材
料を使用する方が有利である。しかしながら、その反
面、平凸レンズが埋め込まれるメニスカスレンズの像側
に向けた曲率の強い凸面で発生する色の球面収差が増大
してしまう。
【0005】これは、光学材料の屈折率が高くなると分
散(波長による屈折率差)が相対的に大きくなる傾向が
あること、およびメニスカスレンズを厚くするとその空
気側屈折面での光束の高さhが大きくなることに起因し
ている。上述の公報に開示された従来の液浸系顕微鏡対
物レンズにおいても、諸収差の補正が充分ではなく、特
に色の球面収差(波長による球面収差の差)の高次成分
が残存している。
【0006】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
のであり、高倍率および高開口数を有し、広視野に亘っ
て諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有する液
浸系顕微鏡対物レンズを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明では、物体側から順に、正の屈折力を有する
第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群
G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3とを備
え、前記第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側
に平面を向けた平凸レンズと像側に凸面を向けたメニス
カスレンズとの貼り合わせからなる第1接合レンズと、
像側により屈折力の大きな面を向けた正レンズと、負レ
ンズと正レンズとの貼り合わせからなる第2接合レンズ
とを有し、前記第2レンズ群G2は、負レンズと正レン
ズとの貼り合わせからなる接合レンズを有し、前記第1
レンズ群G1中の前記メニスカスレンズのd線に対する
屈折率n12が、 n12>1.9 の条件を満足することを特徴とする液浸系顕微鏡対物レ
ンズを提供する。
【0008】本発明の好ましい態様によれば、前記第1
レンズ群G1中の前記第2接合レンズを構成する前記負
レンズの焦点距離をf31とし、前記対物レンズ全系の
焦点距離をFとしたとき、 5<|f31|/F<25 の条件を満足する。
【0009】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記第2レンズ群G2は、物体側から順に、負レンズと正
レンズとの貼り合わせからなる第3接合レンズと、負レ
ンズと正レンズとの貼り合わせからなる第4接合レンズ
と、負メニスカスレンズと両凸レンズと両凹レンズとの
貼り合わせからなる第5接合レンズとを有する。
【0010】さらに、本発明の好ましい態様によれば、
前記第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸
面を向けた正レンズと像側に凹面を向けた負レンズとの
貼り合わせからなる第6接合レンズと、物体側に凹面を
向けた負レンズと像側に凸面を向けた正レンズとの貼り
合わせからなる第7接合レンズとを有し、前記第6接合
レンズ中の前記正レンズのd線に対する屈折率をn71
とし、前記第7接合レンズ中の前記正レンズのd線に対
する屈折率をn82としたとき、 n71>1.49 n82>1.6 の条件を満足する。
【0011】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記第1レンズ群G1中の前記平凸レンズのd線に対する
屈折率n11が、 n11>1.55 の条件を満足する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の典型的な形態にしたがう
液浸系顕微鏡対物レンズでは、第1レンズ群G1が3つ
のレンズ成分で構成されている。第1レンズ成分は、い
わゆる埋め込みレンズ成分であって、物体側に平面を向
けた平凸レンズと、この平凸レンズが埋め込まれるメニ
スカスレンズとの貼り合わせからなる第1接合レンズで
ある。
【0013】ここで、平凸レンズが使用する液体(浸
液)とほぼ等しい屈折率を有する構成により、液体と平
凸レンズとの境界面で球面収差がほとんど発生しないと
いう利点がある。さらに、平凸レンズが埋め込まれるメ
ニスカスレンズとの接合面に強い負の屈折力を付与する
ことにより、ペッツバール和を減少させている。
【0014】第1レンズ成分を介した光束は、正屈折力
の単レンズである第2レンズ成分によって緩やかな屈折
作用を受ける。その際に、第2レンズ成分を構成する正
レンズが像側により屈折力の大きな面を向ける構成によ
り、マージナル光線の偏角ができるだけ小さくなるよう
にしている。
【0015】第3レンズ成分では、屈折率が互いに近く
且つ分散の互いに異なる負レンズと正レンズとを貼り合
わせて構成された第2接合レンズにより、第1レンズ成
分および第2レンズ成分において像側の曲率の強い凸面
で発生する軸上色収差および色の球面収差を補正してい
る。
【0016】一方、第2レンズ群G2では、第1レンズ
群G1からの発散光を収斂光に変換するとともに、負レ
ンズと正レンズとを貼り合わせて構成された接合レンズ
を配置することにより、球面収差および軸上色収差を補
正している。この場合、負レンズと正レンズとの貼り合
わせからなる2組の接合レンズすなわち第3接合レンズ
および第4接合レンズと、負メニスカスレンズと両凸レ
ンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる第5接合レン
ズとで第2レンズ群G2を構成することが、上述の収差
補正の観点から最も好ましい。
【0017】第3レンズ群G3では、ペッツバール和を
減少させつつ、軸上色収差と倍率色収差とをバランス良
く補正している。この場合、いわゆるガウスタイプに構
成する方が、ペッツバール和の良好な補正効果を、ひい
ては像面湾曲の良好な補正効果を期待することができ
る。
【0018】以下、本発明の各条件式について詳述す
る。本発明においては、第1レンズ群G1中の第1接合
レンズを構成するメニスカスレンズ、すなわち平凸レン
ズが埋め込まれるメニスカスレンズのd線に対する屈折
率n12が、次の条件式(1)を満足する。 n12>1.9 (1)
【0019】条件式(1)は、平凸レンズが埋め込まれ
るメニスカスレンズの屈折率n12について適切な範囲
を規定している。条件式(1)の下限値を下回ると、平
凸レンズとメニスカスレンズとの接合面において十分な
負の屈折力が得られなくなる。その結果、ペッツバール
和を十分に減少させることができず、像面の平坦性が悪
くなってしまう。視野数25まで像面湾曲を良好に補正
しつつ、さらに良好な結像性能を確保するには、条件式
(1)の下限値を2.0に設定することが望ましい。
【0020】また、本発明においては、次の条件式
(2)を満足することが好ましい。 5<|f31|/F<25 (2) ここで、f31は、第1レンズ群G1中の第2接合レン
ズを構成する負レンズの焦点距離である。また、Fは、
対物レンズ全系の焦点距離である。
【0021】条件式(2)は、軸上色収差および色の球
面収差を良好に補正するための条件を規定している。条
件式(2)の範囲を逸脱すると、色収差だけでなく球面
収差の補正も困難になるので好ましくない。なお、1.
4以上の開口数NAを確保しつつさらに優れた結像性能
を確保するには、条件式(2)の上限値を21とし、下
限値を7と設定することが好ましい。
【0022】また、本発明では、第3レンズ群G3が、
物体側から順に、物体側に凸面を向けた正レンズと像側
に凹面を向けた負レンズとの貼り合わせからなる第6接
合レンズと、物体側に凹面を向けた負レンズと像側に凸
面を向けた正レンズとの貼り合わせからなる第7接合レ
ンズとを有し、次の条件式(3)および(4)を満足す
ることが好ましい。
【0023】n71>1.49 (3) n82>1.6 (4) ここで、n71は、第6接合レンズ中の正レンズのd線
に対する屈折率である。また、n82は、第7接合レン
ズ中の正レンズのd線に対する屈折率である。
【0024】条件式(3)は、ガウスタイプに構成され
た第3レンズ群G3における、第6接合レンズ中の正レ
ンズの屈折率n71について適切な範囲を規定してい
る。条件式(3)の範囲を逸脱すると、ペッツバール和
を十分に減少させるには、第6接合レンズ中の正レンズ
の空気側面(物体側面)の曲率半径が小さくなりすぎ
て、コマ収差が悪化するので好ましくない。なお、像面
湾曲を良好に補正しつつ、さらに良好な結像性能を確保
するには、条件式(3)の下限値を1.56に設定する
ことが望ましい。
【0025】条件式(4)は、ガウスタイプに構成され
た第3レンズ群G3における、第7接合レンズ中の正レ
ンズの屈折率n82について適切な範囲を規定してい
る。条件式(4)の範囲を逸脱すると、ペッツバール和
を十分に減少させるには、第7接合レンズ中の正レンズ
の空気側面(像側面)の曲率半径が小さくなりすぎて、
コマ収差が悪化するので好ましくない。なお、像面湾曲
を良好に補正しつつ、さらに良好な結像性能を確保する
には、条件式(4)の下限値を1.80に設定すること
が望ましい。
【0026】また、本発明においては、対物レンズの開
口数が1.4を超える場合、第1レンズ群G1中の平凸
レンズのd線に対する屈折率n11が、次の条件式
(5)を満足することが好ましい。 n11>1.55 (5)
【0027】高い開口数を確保するために、屈折率の比
較的高い液体、たとえば1.55以上の屈折率を有する
オイルなどを使用する場合、条件式(5)を満足するこ
とにより、液体と平凸レンズとの境界面で発生する球面
収差を良好に抑えることができる。
【0028】
【実施例】本発明の実施例を、添付図面に基づいて説明
する。各実施例において、本発明の液浸系顕微鏡対物レ
ンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レン
ズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、
負の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されて
いる。各実施例の顕微鏡対物レンズは、浸液として油
(オイル)を用いた油浸系である。したがって、各実施
例の顕微鏡対物レンズを用いて観察を行う場合、観察物
体に接するようにカバーガラスが配置され、カバーガラ
スと対物レンズとの間の光路中に油浸液が満たされる。
【0029】各実施例において、顕微鏡対物レンズは無
限遠設計されているので、顕微鏡対物レンズの像側に所
定の空気間隔を隔てて結像レンズ(第2対物レンズ)を
配置し、顕微鏡対物レンズと結像レンズとの組合せによ
り有限光学系を形成している。なお、以下の各実施例に
おいて示す諸収差図は、顕微鏡対物レンズと結像レンズ
との軸上空気間隔が150mmの場合の諸収差図であ
る。ただし、軸上空気間隔が50mm〜180mmの範
囲で変化しても、収差の変動がほとんどないことを本発
明者は検証している。
【0030】図7は、各実施例における結像レンズの構
成を示す図である。図7に示すように、各実施例におけ
る結像レンズは、物体側から順に、両凸レンズと両凹レ
ンズとの貼り合わせからなる接合レンズL21と、両凸
レンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる接合レンズ
L22とから構成されている。次の表(1)に、各実施
例における結像レンズの諸元の値を掲げる。表(1)に
おいて、面番号は物体側からの各レンズ面の順序を、r
は各レンズ面の曲率半径(mm)を、dは各レンズ面の
間隔(mm)を、nはd線(λ=587.6nm)に対
する屈折率を、νdはd線に対するアッベ数をそれぞれ
示している。
【0031】
【表1】 面番号 r d n νd 1 75.040 5.1 1.62280 57.03 (L21) 2 -75.040 2.0 1.74950 35.19 3 1600.580 7.5 4 50.260 5.1 1.66755 41.96 (L22) 5 -84.540 1.8 1.61266 44.41 6 36.910
【0032】〔第1実施例〕図1は、本発明の第1実施
例にかかる液浸系顕微鏡対物レンズの構成を概略的に示
す図である。図1に示す顕微鏡対物レンズにおいて、第
1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向
けた平凸レンズと像側に凸面を向けた正メニスカスレン
ズとの貼り合わせからなる第1接合レンズL1と、像側
により屈折力の大きな凸面を向けた正メニスカスレンズ
L2と、両凹レンズと両凸レンズとの貼り合わせからな
る第2接合レンズL3とから構成されている。
【0033】第2レンズ群G2は、物体側から順に、両
凹レンズと両凸レンズとの貼り合わせからなる第3接合
レンズL4と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレン
ズと両凸レンズとの貼り合わせからなる第4接合レンズ
L5と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両
凸レンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる第5接合
レンズL6とから構成されている。
【0034】第3レンズ群G3は、物体側から順に、両
凸レンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる第6接合
レンズL7と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレン
ズと像側に凸面を向けた正メニスカスレンズとの貼り合
わせからなる第7接合レンズL8とから構成されてい
る。
【0035】第1実施例では、カバーガラスの厚さt=
0.17mmであり、カバーガラスのd線に対する屈折
率nd=1.52216であり、カバーガラスのd線に
対するアッベ数νd=58.80である。また、油浸液
のd線に対する屈折率nd=1.51536であり、油
浸液のd線に対するアッベ数νd=41.36である。
【0036】次の表(2)に、第1実施例にかかる顕微
鏡対物レンズの諸元の値を掲げる。表(2)において、
Fは対物レンズ全系の焦点距離(対物レンズのみの焦点
距離:mm)を、NAは対物レンズ全系の開口数を、β
は対物レンズと結像レンズとを組み合わせた合成光学系
の倍率を、WDは作動距離(カバーガラスの対物レンズ
側の面と対物レンズの最も物体側のレンズ面との軸上間
隔:mm)をそれぞれ表している。さらに、面番号は物
体側からの各レンズ面の順序を、rは各レンズ面の曲率
半径(mm)を、dは各レンズ面の間隔(mm)を、n
はd線(λ=587.6nm)に対する屈折率を、νd
はd線に対するアッベ数をそれぞれ示している。
【0037】
【表2】 F=3.33 NA=1.4 β=−60.0 WD=0.15 面番号 r d n νd 1 ∞ 0.65 1.51823 58.90 (第1レンズ群G1) 2 -1.332 3.6 2.02204 29.06 3 -3.716 0.1 4 -13.716 3.75 1.56907 71.30 5 -7.247 0.1 6 -27.891 1.0 1.60342 38.03 7 34.230 6.8 1.56907 71.30 8 -13.453 0.15 9 -84.754 1.0 1.61266 44.41 (第2レンズ群G2) 10 20.048 9.4 1.43385 95.25 11 -16.266 0.15 12 47.671 1.1 1.61266 44.41 13 14.802 8.0 1.43385 95.25 14 -28.664 0.1 15 18.671 1.6 1.61266 44.41 16 11.816 6.3 1.43385 95.25 17 -48.478 1.0 1.52682 51.35 18 25.246 0.15 19 8.784 5.2 1.56907 71.30 (第3レンズ群G3) 20 -238.404 5.0 1.80440 39.59 21 4.823 3.4 22 -4.801 2.6 1.80440 39.59 23 -204.674 3.0 1.80518 25.46 24 -8.172 (条件式対応値) (1)n12=2.02204 (2)|f31|/F=7.60 (3)n71=1.56907 (4)n82=1.80518 (5)n11=1.51823
【0038】図2は、第1実施例における諸収差図であ
る。各収差図において、NAは開口数を、Yは像高を、
dはd線(λ=587.6nm)を、CはC線(λ=6
56.3nm)を、FはF線(λ=486.1nm)
を、gはg線(λ=435.8nm)をそれぞれ示して
いる。また、球面収差図およびコマ収差図において、実
線はd線を、破線はC線を、一点鎖線はF線を、二点鎖
線はg線をそれぞれ示している。
【0039】さらに、非点収差図および歪曲収差図は、
基準波長としてのd線に対する収差を示している。ま
た、非点収差図において、実線はサジタル像面を、破線
はメリディオナル像面をそれぞれ示している。各収差図
から明らかなように、第1実施例では、60倍の高倍率
および1.4の高開口数を確保しつつ、視野数25まで
色の球面収差を含む諸収差が良好に補正され、優れた結
像性能が確保されていることがわかる。
【0040】〔第2実施例〕図3は、本発明の第2実施
例にかかる液浸系顕微鏡対物レンズの構成を概略的に示
す図である。図3に示す顕微鏡対物レンズにおいて、第
1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向
けた平凸レンズと像側に凸面を向けた正メニスカスレン
ズとの貼り合わせからなる第1接合レンズL1と、像側
により屈折力の大きな凸面を向けた正メニスカスレンズ
L2と、両凹レンズと両凸レンズとの貼り合わせからな
る第2接合レンズL3とから構成されている。
【0041】第2レンズ群G2は、物体側から順に、両
凹レンズと両凸レンズとの貼り合わせからなる第3接合
レンズL4と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレン
ズと両凸レンズとの貼り合わせからなる第4接合レンズ
L5と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両
凸レンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる第5接合
レンズL6とから構成されている。また、第3レンズ群
G3は、物体側から順に、両凹レンズと両凸レンズと両
凹レンズとの貼り合わせからなる接合レンズL7’から
構成されている。
【0042】第2実施例においても第1実施例と同様
に、カバーガラスの厚さt=0.17mmであり、カバ
ーガラスのd線に対する屈折率nd=1.52216で
あり、カバーガラスのd線に対するアッベ数νd=5
8.80である。また、油浸液のd線に対する屈折率n
d=1.51536であり、油浸液のd線に対するアッ
ベ数νd=41.36である。
【0043】次の表(3)に、第2実施例にかかる顕微
鏡対物レンズの諸元の値を掲げる。表(3)において、
Fは対物レンズ全系の焦点距離(対物レンズのみの焦点
距離:mm)を、NAは対物レンズ全系の開口数を、β
は対物レンズと結像レンズとを組み合わせた合成光学系
の倍率を、WDは作動距離(カバーガラスの対物レンズ
側の面と対物レンズの最も物体側のレンズ面との軸上間
隔:mm)をそれぞれ表している。さらに、面番号は物
体側からの各レンズ面の順序を、rは各レンズ面の曲率
半径(mm)を、dは各レンズ面の間隔(mm)を、n
はd線(λ=587.6nm)に対する屈折率を、νd
はd線に対するアッベ数をそれぞれ示している。
【0044】
【表3】 F=2.0 NA=1.4 β=−100.0 WD=0.15 面番号 r d n νd 1 ∞ 0.6 1.51823 58.90 (第1レンズ群G1) 2 -1.113 3.3 2.02240 29.06 3 -3.320 0.1 4 -12.476 3.261 1.60300 65.42 5 -6.818 0.15 6 -28.872 1.0 1.52682 51.35 7 20.752 7.770 1.49782 82.52 8 -12.157 0.2 9 -151.459 1.0 1.60342 38.03 (第2レンズ群G2) 10 18.680 8.227 1.43385 95.25 11 -16.862 0.2 12 25.434 1.0 1.61266 44.41 13 11.981 7.597 1.43385 95.25 14 -28.918 0.2 15 13.722 1.5 1.74950 35.19 16 9.019 5.740 1.43385 95.25 17 -24.314 1.5 1.67163 38.80 18 20.929 13.659 19 -115.034 1.0 1.77279 49.45 (第3レンズ群G3) 20 7.657 3.0 1.80518 25.46 21 -7.822 1.0 1.77279 49.45 22 11.351 (条件式対応値) (1)n12=2.02240 (2)|f31|/F=11.38 (5)n11=1.51823
【0045】図4は、第2実施例における諸収差図であ
る。各収差図において、NAは開口数を、Yは像高を、
dはd線(λ=587.6nm)を、CはC線(λ=6
56.3nm)を、FはF線(λ=486.1nm)
を、gはg線(λ=435.8nm)をそれぞれ示して
いる。また、球面収差図およびコマ収差図において、実
線はd線を、破線はC線を、一点鎖線はF線を、二点鎖
線はg線をそれぞれ示している。
【0046】さらに、非点収差図および歪曲収差図は、
基準波長としてのd線に対する収差を示している。ま
た、非点収差図において、実線はサジタル像面を、破線
はメリディオナル像面をそれぞれ示している。各収差図
から明らかなように、第2実施例では、100倍の高倍
率および1.4の高開口数を確保しつつ、視野数25ま
で色の球面収差を含む諸収差が良好に補正され、優れた
結像性能が確保されていることがわかる。
【0047】〔第3実施例〕図5は、本発明の第3実施
例にかかる液浸系顕微鏡対物レンズの構成を概略的に示
す図である。図5に示す顕微鏡対物レンズにおいて、第
1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向
けた平凸レンズと像側に凸面を向けた正メニスカスレン
ズとの貼り合わせからなる第1接合レンズL1と、像側
により屈折力の大きな凸面を向けた正メニスカスレンズ
L2と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと物
体側に凹面を向けた正メニスカスレンズとの貼り合わせ
からなる第2接合レンズL3とから構成されている。
【0048】第2レンズ群G2は、物体側から順に、両
凹レンズと両凸レンズとの貼り合わせからなる第3接合
レンズL4と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレン
ズと両凸レンズとの貼り合わせからなる第4接合レンズ
L5と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両
凸レンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる第5接合
レンズL6とから構成されている。
【0049】第3レンズ群G3は、物体側から順に、両
凸レンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる第6接合
レンズL7と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレン
ズと像側に凸面を向けた正メニスカスレンズとの貼り合
わせからなる第7接合レンズL8とから構成されてい
る。
【0050】第3実施例では、第1実施例および第2実
施例とは異なり、カバーガラスの厚さt=0.17mm
であり、カバーガラスのd線に対する屈折率nd=1.
80411であり、カバーガラスのd線に対するアッベ
数νd=46.55である。また、油浸液のd線に対す
る屈折率nd=1.80914であり、油浸液のd線に
対するアッベ数νd=16.11である。
【0051】次の表(4)に、第3実施例にかかる顕微
鏡対物レンズの諸元の値を掲げる。表(4)において、
Fは対物レンズ全系の焦点距離(対物レンズのみの焦点
距離:mm)を、NAは対物レンズ全系の開口数を、β
は対物レンズと結像レンズとを組み合わせた合成光学系
の倍率を、WDは作動距離(カバーガラスの対物レンズ
側の面と対物レンズの最も物体側のレンズ面との軸上間
隔:mm)をそれぞれ表している。さらに、面番号は物
体側からの各レンズ面の順序を、rは各レンズ面の曲率
半径(mm)を、dは各レンズ面の間隔(mm)を、n
はd線(λ=587.6nm)に対する屈折率を、νd
はd線に対するアッベ数をそれぞれ示している。
【0052】
【表4】 F=2.0 NA=1.65 β=−100.0 WD=0.15 面番号 r d n νd 1 ∞ 0.6 1.80411 46.55 (第1レンズ群G1) 2 -1.113 3.206 2.02204 29.06 3 -3.212 0.1 4 -13.302 3.446 1.60300 65.42 5 -6.773 0.1 6 -20.366 1.0 1.52682 51.35 7 -447.839 5.256 1.49782 82.52 8 -11.111 0.15 9 -65.351 1.0 1.61266 44.41 (第2レンズ群G2) 10 15.899 8.992 1.43385 95.25 11 -13.670 0.15 12 31.346 1.1 1.61266 44.41 13 12.121 6.881 1.43385 95.25 14 -35.703 0.15 15 13.523 1.5 1.78800 47.37 16 10.443 6.3 1.43385 95.25 17 -19.332 1.0 1.61266 44.41 18 15.158 0.15 19 7.829 4.808 1.49782 82.52 (第3レンズ群G3) 20 -50.000 7.864 1.52682 51.35 21 3.450 2.2 22 -2.929 6.144 1.80440 39.59 23 -25.968 2.083 1.80518 25.46 24 -8.031 (条件式対応値) (1)n12=2.02204 (2)|f31|/F=20.27 (3)n71=1.49782 (4)n82=1.80518 (5)n11=1.80411
【0053】図6は、第3実施例における諸収差図であ
る。各収差図において、NAは開口数を、Yは像高を、
dはd線(λ=587.6nm)を、CはC線(λ=6
56.3nm)を、FはF線(λ=486.1nm)
を、gはg線(λ=435.8nm)をそれぞれ示して
いる。また、球面収差図およびコマ収差図において、実
線はd線を、破線はC線を、一点鎖線はF線を、二点鎖
線はg線をそれぞれ示している。
【0054】さらに、非点収差図および歪曲収差図は、
基準波長としてのd線に対する収差を示している。ま
た、非点収差図において、実線はサジタル像面を、破線
はメリディオナル像面をそれぞれ示している。各収差図
から明らかなように、第3実施例では、100倍の高倍
率および1.65の高開口数を確保しつつ、視野数25
まで色の球面収差を含む諸収差が良好に補正され、優れ
た結像性能が確保されていることがわかる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、60
倍〜100倍の高倍率および1.4〜1.65の高開口
数を有し、視野数25までの広視野に亘って諸収差(球
面収差、色収差、コマ収差、像面湾曲など)が良好に補
正され、優れた結像性能を有する液浸系顕微鏡対物レン
ズを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる液浸系顕微鏡対物
レンズの構成を概略的に示す図である。
【図2】第1実施例における諸収差図である。
【図3】本発明の第2実施例にかかる液浸系顕微鏡対物
レンズの構成を概略的に示す図である。
【図4】第2実施例における諸収差図である。
【図5】本発明の第3実施例にかかる液浸系顕微鏡対物
レンズの構成を概略的に示す図である。
【図6】第3実施例における諸収差図である。
【図7】各実施例における結像レンズの構成を示す図で
ある。
【符号の説明】
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群 G3 第3レンズ群 Li 各レンズ成分

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側から順に、正の屈折力を有する第
    1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G
    2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3とを備え、 前記第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に平
    面を向けた平凸レンズと像側に凸面を向けたメニスカス
    レンズとの貼り合わせからなる第1接合レンズと、像側
    により屈折力の大きな面を向けた正レンズと、負レンズ
    と正レンズとの貼り合わせからなる第2接合レンズとを
    有し、 前記第2レンズ群G2は、負レンズと正レンズとの貼り
    合わせからなる接合レンズを有し、 前記第1レンズ群G1中の前記メニスカスレンズのd線
    に対する屈折率n12が、 n12>1.9 の条件を満足することを特徴とする液浸系顕微鏡対物レ
    ンズ。
  2. 【請求項2】 前記第1レンズ群G1中の前記第2接合
    レンズを構成する前記負レンズの焦点距離をf31と
    し、前記対物レンズ全系の焦点距離をFとしたとき、 5<|f31|/F<25 の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の液
    浸系顕微鏡対物レンズ。
  3. 【請求項3】 前記第2レンズ群G2は、物体側から順
    に、負レンズと正レンズとの貼り合わせからなる第3接
    合レンズと、負レンズと正レンズとの貼り合わせからな
    る第4接合レンズと、負メニスカスレンズと両凸レンズ
    と両凹レンズとの貼り合わせからなる第5接合レンズと
    を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液
    浸系顕微鏡対物レンズ。
  4. 【請求項4】 前記第3レンズ群G3は、物体側から順
    に、物体側に凸面を向けた正レンズと像側に凹面を向け
    た負レンズとの貼り合わせからなる第6接合レンズと、
    物体側に凹面を向けた負レンズと像側に凸面を向けた正
    レンズとの貼り合わせからなる第7接合レンズとを有
    し、 前記第6接合レンズ中の前記正レンズのd線に対する屈
    折率をn71とし、前記第7接合レンズ中の前記正レン
    ズのd線に対する屈折率をn82としたとき、 n71>1.49 n82>1.6 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれか1項に記載の液浸系顕微鏡対物レンズ。
  5. 【請求項5】 前記第1レンズ群G1中の前記平凸レン
    ズのd線に対する屈折率n11が、 n11>1.55 の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれか1項に記載の液浸系顕微鏡対物レンズ。
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